究極の納豆うどんを求めて、

    讃岐うどん巡り

最終更新日 平成14年4月12日

 キリキリに冷やした細い稲庭うどんに納豆、メガネが曇るほどに
モウモウと湯気をたてる大阪うどんに納豆。
 納豆とうどんの組み合わせについては、いままで色々なパターンを
研究してまいりました。
 粉末にした納豆パウダーを練り込んだ納豆そばを打ち、納豆うどんも
作ってみました。
 しかし、究極の納豆うどんを見つけたかと言えば、否です。
 
 そこで、うどんといえば讃岐
 讃岐うどんを食べまくり、自分の追い求める納豆うどんの答えを
見つけようと、平成12年3月16日、香川県にやってまいりました。
 
*以下の報告にはそれぞれタイトルをつけてありますが、これは私の
 好きな『ルパン三世』の作品タイトルをもじったものです。
 ご興味がございましたら、原題を予想いただければと思います。

  讃岐は燃えているか・・・?!  
 
 早朝、顔を紅潮させ、会員である高松市にお住いのみやもさんと
待ち合わせ。
 実は、これからの讃岐うどんとの出会いで興奮して紅潮していたわけで
はなく、待ち合わせ場所近くにあった道の駅「ことなみ エピアみかど」
に併設された「美霞洞温泉」で朝風呂に入ったからでございます。
 この時点で、うどん修行への姿勢が問われてしまうような気もし
ますが、早速、みやもさんと最初のお店「谷川米穀店」さんに
行きます。

 「谷川米穀店」
 仲多度郡琴南町川東1490
 電話:0877−84−2409
    11:00〜13:00
    定休日 第2・4日曜日
 
 土器川に架かる橋の近くにあったそのお店は、これと言った案内が
あるわけではなく、「※」の看板だけ。
 多くの方が訪れる人気店と聞いておりましたが、正直
 
 「こんな山奥にうどん喰いにくる人なんかいるのか?」
 
と疑っていたところ、
 
 ポコッ!
 
と頭に何か落ちてきました。
 悪態をついてバチがあたったのかと思ったら、屋根の部分について
いたと思われる発泡スチロールが落ちてきたようです。
 とりあえず、強引に元の位置につけてお店のなかに入ります。
 ネギの香りでいっぱいのお店のなかには、おばちゃんとおばーちゃん
がせわしなく動いています。

 メニューは、
 
 うどん 大 200円
     小 100円
 そ ば 大 220円
     小 110円
 卵入りは+30円
 そば粉1kg 1100円
 
となっており、それぞれ「つめたいの」「あっついの(ぬっくいの)」
が選べます。
 様子を見るため、
 
 「スイマセーン、冷たいうどんの『小』下さい」
 
と注文したところで、店内にあふれんばかりの人が入ってきました。
 山奥のうどん屋さんに訪れる多くの人々、讃岐はまさに「うどん」
の国。うどんに燃えています。
 
 おばちゃんからうどんを受け取ります。
 その昔、志村けん氏が『8時だよ!全員集合』のなかで、
 
 「今、君はピカピカに光ってぇ〜、
  あきれ返るほどぉ〜素敵ぃ〜
                 宮崎美子ぉ〜」
 
とお腹の肉をつまむギャグをやっておりましたが、麺のカドがしっかり
したそのうどんは、まさにピカピカに光っています。

 テーブルの上には、醤油、酢、味の素、青唐辛子、七味唐辛子、そし
てネギが置かれており、自分で味付けを行うようですが、まずは
そのままズズーッとひとすすり。

 ムニュ、ムニュ、デローン(頬がゆるむ)
 
 「こ、これが讃岐のうどん?」
              『機動戦士 ガンダム』アムロ・レイ風に
 
 ただの小麦粉、グルテンの感触ではなく、ネットリとした新鮮な
モンゴウイカの刺し身のような食感。そして、優しい母親のなかに
見る芯の強さのコシ。
 讃岐うどんとのファースト・コンタクトとしては、強烈過ぎるイン
パクトでした。

  魔術師と呼ばれたおばちゃん  
 
 早くも讃岐うどんの美味さに驚き、「谷川米穀店」さんでもう何杯か
うどんを食べたいと思ったのですが、次のお店もありますので泣く泣く
移動。
 次は、「山越(やまごえ)製麺所」さんです。

 「山越製麺所」
 綾歌郡綾上町羽床602−2
 電話:0878−78−0420
    9:00〜13:30
    定休日 日曜日
 
 プレハブ小屋のただの製麺所といった感じですが、なかに入るとおば
ちゃんの活気、そしてお客さんの「食べる気」でムセかえるような熱気
が襲ってきます。
 メニューは、
 
 玉 数   1     2    3     4
 釜 玉  140円 230円 320円 410円
 釜あげ   90円 180円 270円 360円
 か け   90円 180円 270円 360円
 つ け   90円 180円 270円 360円
 月 見  140円 230円 320円 410円
 天ぷら、揚げ 各90円
 卵、マヨネーズ 各50円
 
となっております。
 みやもさんととも列に並び待っていますと、20代前半らしきスリムな
女性が釜玉の4玉を注文している場面に出くわし、かなりの驚きとともに
うどんが主食という讃岐人の言葉にウソがないことを確認致しました。
 また、後ろに並んでいた背広姿の三人組は、
 
 「いやー、さすがに混んどるなぁ〜、『やまこし』
 「讃岐うどんの王様、言われとるらしいでぇ〜」
 「『やまこし』かぁ、オレもヨメ連れて、またこんとイカンかなぁ〜」
 
ガイドブックに載っている店名の漢字をご覧になって来店されたのでしょ
う、しきりに店名を『やまこし』を言うので、みやもさんとともにこちら
が間違っているのではないかと不安になりました。
 だんだんと列の前の方になり、店内の奥の方に入っていくと、おばちゃん
が冷たそうな水で、ジャブジャブと一所懸命に麺を洗っているところが
見えました。『あらいぐまラスカル』のようだ、などと失礼な事は申しま
せんが、これが『恐るべきさぬきうどん』ホットカプセル、さとなお著
『うまひゃひゃ さぬきうどん』コスモの本で言われている
「魔法の水」のようです。
 おっと、そうこうしているうちに注文の順番がきました。

 「かけの冷たいやつ一玉と・・・」
 
周りの熱気に押され、ちょっと戸惑っていると次の人が注文をしそう
になりました。
 
 「マ、マズイ、
  山越の釜玉食べなかったら、来た価値がない・・・」
 
 この混雑具合、山越さんの営業時間を考えるとチャンスは一度。
 
 「つ、ついでに釜玉1玉下さい!!」
 
と、見事?注文に成功し、2つのどんぶりを持ってプレハブ内のベンチに
移動。

 まずは釜玉から食べます。
 釜玉は、どんぶりに生卵を入れてから、熱々の釜揚げの麺を入れたもの
で、麺の熱で半熟になった卵が麺と絡み合って、イタリアのパスタでいう
カルボナーラのような感じです。

 「谷川米穀店」さんに比べてやや荒々しい歯ごたえのある麺、絡みい
た半熟卵と「いりこ」ダシの濃厚さをしっかりと受け止めています。
 あっという間に食べ終え、つめたいうどんに熱いダシをかけたものを
一気にすすります。

 釜玉で感じた荒々しさを、より明確に口中で感じました。
 天ぷらをのっけてモロモロになった衣とうどんを、一緒に食べてみた
いという欲求を抑えつつ、
 
 「男らしい麺だな・・・」
 
とつぶやいてお店をでました。

  ネギ切りのチャンスは一度  
 
 続いてのお店は「中村」さん。
 みやもさんとともに迷いながらやっと到着。
 しかも、住所の「飯山町」を「いいやまちょう」と読んでいたものの
実は「はんざんちょう」だったことが分かり、「山越」を「やまこし」
と言っていた方を笑えません。

 「中村」
 綾歌郡飯山町西坂元1373−3
 電話:0877−98−4818
    8:30〜16:30(土日祝 9:00〜14:00)
    定休日 第1・3・5日曜日
 
 お店というよりは、畑の中にある農家の納屋といった感じで、いかに
もマニア好みのロケーション。
 メニューは、
 
 冷たいうどん 100円
 温かいうどん 100円
 ちくわ天    80円
 ゲソ天    100円
 卵       50円
 
で、冷たいうどんにしました。

 熱いダシ汁をポットから注ぎます。

 ではでは、と薬味を探すと、味の素、唐辛子、大根、生姜、のほかに
何故かまな板と畑から抜いてきたような、そのままのネギが置いてあり
ます。
 ここは、客が自分でネギを畑から抜いてきたり、きざむお店でした。
 28歳独身、いままでの納豆生活、料理生活、爪先に染み付いたネギ
の香りは伊達じゃありません。

 「私を誰だと思っているのだね」
        『機動戦士ガンダム』シャア・アズナブル風に

 ウォォォー、トン、トン、トン、トン
 
 と通常の3倍の速度できざんでいると、横から次々と手が・・・、
 
 【お願い】
  おじさん、ボクが刻んだネギを勝手にとらないで下さい。
 
 気を取り直してネギをきざみ、ついでに大根、生姜をおろしてうどん
に投入します。

 外にでて、農家風景のなかで一すすり。
 
 「ヌッ、こ、これは今までと違う系統のクニュクニュ系」
 
 お菓子のグミを多少ゆるめに溶いた食感で、いままでの二店と系統
が違う感じです。
 
 「これに合うものは・・・・」
 
と、急いでゲソ天を追加購入してうどんに投入します。
 ゲソ天の衣がモロモロになったところで、
 
 ズボボボー、ムリュムリュ(モロモロ通過中)
 
 天ぷらを入れることによって楽しめる、唇の快感、喉の達成感。
 立ち食い蕎麦でもよく楽しみますが、つゆをたっぷり吸って
モロモロになった衣を麺と一緒に食べるのは快感です。さらに、
このお店のうどんはそれにマッチするクニュクニュ系、素晴らしい
経験をさせて頂きました。
 
 ここまでに食べたお店を自分なりにカテゴライズしてみますと、
「谷川米穀店」さんは女系、「山越」さんは男系、
「中村」さんはクニュクニュ系という感じでしょうか。

 ターゲットは555匹いりこダシ 

 続いてのお店は、「宮川製麺所」さん。
 細い道にあった町工場風の建物で、その周辺の雰囲気からして
『男はつらいよ』にでてくるタコ社長の印刷所に似ているような
気もします。

 「宮川製麺所」
 善通寺市中村町1−1−20
 電話:0877−62−1229
    8:00〜18:00
    定休日 日曜日
 
 アルミサッシの戸を開けると、お店とは思えないほどの生活臭が漂う
空間に驚愕。入り口近くには、数百匹単位で「いりこ」がたっぷりと
入った袋が無造作に置かれています。
 このたっぷりの「いりこ」で作ったダシ汁が楽しみです。
 普通、飲食店に行きますと、自分が次に何をするかという行動がだい
たい分かるのですが、まったくもってこのお店は分かりません。
 今までのお店のなかで、セルフの度合いが最も高いお店です。
 みやもさんとともに、しばし呆然としているとお店のおばちゃんが、
 
 「食べるん?丼もってこっち来て」
 
と、近所の子供に話かけるように声をかけてくれました。
 システム的には、自分でうどんを茹でて、丼に入れるようです。
 メニューは、
 
 小 120円
 大 180円
 特 250円
 
となっており、小にすることにしました。
 うどんを1玉とり、チャ、チャと茹でます。

 好みの茹で加減になったところで、ひしゃくを使ってダシ汁をかける
のですが、ダシ汁の釜のなかで「いりこ」が浮き沈みしているので、
なかなかうまくダシ汁をすくえません。

 数百匹の「いりこ」をよけ、ダシ汁をかけ、ネギや天かすをのっけて、
できあがりです。

 テーブルの上には、ゴマ、唐辛子、醤油、味の素、そして何故か演歌
のテープが・・・・。
 まずは薬味なしで一すすり、ダシ汁をズズーッ。
 
 「下品で、ウ、ウマイ」
 
 セルフで茹でたので、麺の具合は好みになりましたが、それ以上に
失礼ながら、下品で美味しいダシ汁に驚きました。
 私自身が下品だからでしょうか、奥歯の付け根に残るような「いりこ」
の味わいが、うどんに味にふくらみを与えています。
 生醤油で食べるうどん、強烈な「いりこ」ダシで食べるうどん、
ますます讃岐うどんの奥深さを知ったところで、お店をでました。

   神様のくれたぶっかけ   
 
 「宮川製麺所」さんで讃岐うどんのバリエーションを再認識した
ところで、みやもさんからのご提案で讃岐うどんのもう一つの姿である、
「ぶっかけ」を食べてみようと、「山下うどん」さんに向かいました。

 「山下うどん」
 善通寺市与北町宮の前1015
 電話:0877−62−6882
    10:00〜19:00
    定休日 火曜日
       (祝日の場合は営業、翌日が休み)
 
 「ぶっかけ」には、麺が温い、冷たいの二種類、ダシ汁も熱と冷の
二種類あるそうで、この四種類の組み合わせが選べるそうです。
 メニューは、かなり多くの種類がありましたが、とりあえず
 
 「ぶっかけ 小 250円(麺冷たい、つゆ熱)」
 
を注文。
 いままでのお店とは違って、セルフではなく一般の飲食店のシステム
ですので、うどんがくるまで店内を見回していますと、1つずつ串に
刺さったおでん(1本80円 すじ肉のみ 90円)がありま
した。
 うどんのダシ汁を使って作っているおでんで、讃岐のうどん屋では
定番だそうです。
 
 「記念だから・・・」
 
と訳の分からないことを言いながら、すじ肉を1本とって食べていたと
ころ、やたら大きくて持ちづらい徳利ともに、「ぶっかけ」到着。
 「ぶっかけ」は、重量感を感じるウネリのうどんの上に、レモン、
ネギ、揚げ玉がのっていました。

 まずは、お作法通りにレモンが絞り、生姜をおろして少々、最後に
徳利をすべり落としそうになりながらも、熱いダシ汁をかけます。

 ジュ、ジュ、ズボボボー
 
 歯茎をマッサージするかのようなうどんの氾濫、生姜とレモンの清涼。
 
 「こ〜れもうどん、あれもうどん、きっとうどん〜」
 
と懐かしの『愛の水中花』(作詩・五木寛之)風に歌いたくなるほど、
新しいショックです。
 一気に食べ終え、もう少し「ぶっかけ」勉強なければならないという
「ぶっかけ」魂?に火をつけ、お店をでました。

  ぶっかけはぶっかけを呼ぶ  
 
 「山下うどん」さんで火のついた「ぶっかけ」魂を満足させるべく、
「おか泉(せん)」さんにやってきました。
 
 「おか泉(せん)」
 宇多津町浜八番丁129−10
 電話:0877−49−4422
    11:00〜20:30
    定休日 月曜日
 
 綺麗な店内で、お土産用のうどんも扱っているからでしょうか、観光客
らしき方々でごった返しています。
 メニューの主力は、
 
 生じょうゆ(冷) 400円
 ぶっかけ(冷)  350円
 冷天ぶっかけ   850円
 
のようで、ここでは迷わず「ぶっかけ(冷) 350円」を注文。
 思ったより早く、おろし生姜、ネギ、かつおぶしをのせた「ぶっかけ」
が届きました。

 軽く混ぜて、ズボボボー。
 
 多少甘めのダシ汁、適度な弾力のうどんが口中で暴れるというより、
「お戯れ」になって喉の奥に流れていきます。
 荒々しい暴れっぷりの「山下うどん」さんの「ぶっかけ」に比べて、
なにやら上品で洗練された「ぶっかけ」という感じがします。
 
 偉大なるかな「ぶっかけ」。
 山梨県富士吉田市は「ほうとう」の本場・甲斐にあって、なぜか
うどんが名物ですが、「ぶっかけ」を見た瞬間、同じようなうどんでは
ないかと予想した自分の情けない限りです。
 
 以上、「谷川米穀店」さん、「山越」さん、「中村」さん、
「宮川製麺所」さん、「山下うどん」さん、「おか泉」さんの計六店
を食べ歩き、この日の「讃岐うどん巡り」を終えました。
 
 ご案内頂きました、みやもさん、誠にありがとうございました。

     納豆の大勝負     
 
 たった六店しか行ってないのに、自分の追い求める納豆うどんの答え
を見つけてしまおうという、讃岐の方には怒られそうな企画ですが、
自分なりに成果を出さなければなりません。
 「谷川米穀店」さんの「母性うどん」、「山越」さんの「父性うどん」、
「中村」さんの「クニュクニュうどん」、「宮川製麺所」さんの
「うまけりゃいいのよ、うどん」、「山下うどん」さんの「荒武者
ぶっかけ」、「おか泉」さんの「お戯れぶっかけ」と色々ございました。
 
 「早く決めてね、三井田」
 「こんな状況で決められると思うんですか?」
 「アナタならやれるわ」
 「おだてないで下さいよ・・・・三井田言いまーす」
     『機動戦士ガンダム』セイラ・マス&アムロ・レイ風に
 
ということで、はっきり言います。
 納豆うどんに最適な讃岐うどんは、「谷川米穀店」さんです。
 少ない経験で考えた結果なので、多少不安ですが、私のなかでは
「谷川米穀店」さんのうどんが一番、納豆と合うと思ったわけです。
 ちなみに、納豆を関係なしにして考えた場合、「山越」さんのうどん
が一番美味しいのではないかと思っております。

    さらば愛しき讃岐よ    
 
 納豆に合う讃岐うどん、もちろん「思った」だけで決めていけません。
 経験主義の私でございます、納豆1パックをバックのなかに隠し持ち、
翌、平成12年3月17日 11:20、「谷川米穀店」さんにやって
まいりました。
 前日に訪れた際に落ちてきた発泡スチロールが、キチンと元に戻って
いるか確認しながら、お店に入ります。

 既にお客さんでいっぱいの店内。
 
 「うどん大、冷たいの下さい」
 
と勢いよく注文して、おばちゃんからうどんを受け取ります。
 店内が混んでおりましたので、外に持っていき、人に見られることなく、
納豆うどんにして食べられたのですが、納豆食の普及にも貢献したいと
思う、Enlightenment・三井田、ここはあえて店内で食べる道を選びまし
た。
 まずは、うどんにネギ、青唐辛子、唐辛子、そして醤油をかけます。
 ここまでは普通の客です。

 ゴソゴソと納豆(中粒)のパックを取り出し、攪拌をはじめますと
店内のお客さんの視線が段々と集まってきました。
 攪拌作業が終了したところで、デロデロとうどんの上にのっけます。

 うどんと納豆を軽く混ぜて、一気にすすりますと、
 
 ムニュ、ヌル、ニュニュニュ、ヌル、むほー
 
「幸福」ならぬ、「口福」に思わず「降服」
 オヤジギャグも軽くでてしまうほどの美味さです。
 うどんの心地よい弾力感、納豆のヌルヌルで、口中の快感を満たされ、
醤油とうどんの素直な出会いに絡みつく納豆の旨み、青唐辛子の味の
緊縛、最高でございます。
 他のお客さんの視線も気になりません。
 一分もかからず食べ終え、その味と納豆に合う讃岐うどんの発見に
満足し、お店をあとにしました。
 
 ・・・と、ここでお詫びをしなければならないことがあります。
 「谷川米穀店」さんの店員の皆様、丼を納豆臭くして申し訳ありません。
 こんなアホなことをするのは、私以外にはいないと思いますので、
 一回のアクシデントだったとしてお許し頂ければ幸いです。

   誰が最後にヘコんだか    
 
 瀬戸大橋を渡り、帰路をひた走りながら、お土産を買ってないことに
気づきました。
 讃岐に来る前、家族には
 
 「美味しい讃岐うどん買ってきてやる!」
 
と豪語していたのですが、すっかり忘れておりました。
 実家に電話をかけますと、
 
 「あっ、兄ちゃん?」
 「ごめん、讃岐うどん買い忘れた・・・」
 「いいよ、どうせ自分だけ食べてたんでしょ!
          お土産あると思ってないもん
 
と妹に叱咤され、ちょっとヘコみました。
 最後に、一句。
 
  土産すら 期待されない 兄貴です
                三井田 孝欧

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