松阪(まつさか)牛で有名な三重県は松阪市にやってまいり
ました。
以前、松阪の「東京納豆」奥野食品の奥野さんにご案内して
頂いた
「不二屋」(三重県松阪市中町1900 電話0598-23-9605
11:00AM〜2:30PM 4:00PM〜7:00PM 土日祝は6:00PMまで、
定休日は木曜日)
での昼食です。
松阪牛の牛肉料理で有名な「和田金」からでてきた、頭頂部
にいささかの不安を感じさせる脂ギッシュなオトーサンと妙に
年の離れた濃紺のスーツ美人のカップルに、
「けっ、昼から牛肉かい。結構、結構、
けっこう、毛だらけ猫灰だらけ、お尻の周りはク
ソだらけ」
と嫉妬しつつ「不二屋」に向かいました。
「いらっしゃいませぇ、何名様ですかぁ」
いつもなら独りなので、「オレ様」とでも定番のおやじギャグを
言って、相手に「引かれる」ところですが、今回は私以外に、祖
母、母、妹を軽自動車につめこんで来たので四人です。
座敷に上がり、新潟からの約八時間に及ぶドライブに憔悴しきっ
た祖母は、
「おばぁちゃん、ちょっとでいいから」
と三名分の注文で十分と主張。
「いや、大丈夫だよ、食べられるって」
となだめつつ注文をします。
「えっと、肉入り中華そば4つと五目やきそば1つ、
あっ、肉入り中華そばの1つは大盛りで!」
「おいおい、5人分じゃないか」とツッコまれるところですが、
奥野さんによれば、やきそばをサイドディッシュとして注文する
のが地元・松阪(まっつあか)人のやり方とのことなので、注文
してみました。
「はいぃ、肉入り中華そばと五目やきそばです。
こちらが大盛りです。」
透き通った醤油風味のスープにツヤのある麺が沈み、タマネギ、
モヤシを中心とした野菜の上にナルト、かまぼこ、そして松阪牛
が鎮座しています。
まずはスープを一口。醤油風味のあっさりしたス−プに、タマ
ネギだと思いますが野菜の甘みが生きています。
大阪は「神座」のラーメンスープを洋風さっぱり系スープとす
れば、こちらは和風野菜さっぱりスープといった感じです。
麺は中細。少し歯に吸い付くようなモッチリ感があり、スープ
とうまく調和しています。
隣では、ズズー、ジルジルと疲れ切っていたはずの祖母が美味
しそうに食べています。
「やさしい」ラーメンとご紹介した方が宜しいかもしれません。
おっと、五目やきそばを忘れていました。
ジャキ、ジャキと揚げた麺を、和風だしのきいた塩味の「あん」
とともに突き崩します。
一緒についてきた生卵は、いつ混ぜるのか悩んだ挙げ句、その
まま飲んでしまいました。制作者の意に反したことをお詫びしま
す。
香ばしい揚げ麺のボリッ、ボリッとした食感が心地よく、トロ
みある塩味のあんが口中を上品にまとめてくれます。
五目やきそばの後半は、テーブルに備え付けてあるソースをバ
シャバシャと下品にかけ、下町のやきそばの味を楽しみます。
ズズーッとスープを飲み干し、ソースまみれの下町やきそばを
食べ終え、私がすっかり満腹になったころには祖母もスープをほ
とんど飲み干し、顔が汗ばんでいたのでした。