本州最北端納豆

青森県大間崎

最終更新日 平成13年6月17日
 

 平成11年5月1日、やってきました本州最北端の地・大間崎
(北緯41度32分東経140度55分)。 
 北海道の松前町(北緯41度23分東経140度1218分)
よりも北に位置するそうです。 

 あたりを見渡すと「最北端のお土産屋」と称するお店が5〜 
6店あり、うち一つのお店からは、 
  
 「はぁぁ〜よされぇは、よされぇは父親譲りぃ、津軽生まれで
  海峡育ち・・・・・」 
  
と地元を賛美する演歌でしょうか、雰囲気を壊すかのように大音
量で流れています。 
 とりあえず、本州最北端の地に来たことを家の人に伝えること
にしました。 
  
 「プルプルプル、ガチャ、はい三井田です。」(妹がでる) 
 「おっ、さくらか。」 
 「”さくら”じゃないよ。兄ちゃん酔っぱらってるの」 
 「いいから、いいから、”さくら”ってことにしておけって。 
  おいちゃん、おばちゃんは元気かぁ、ん」 
 「えっ?お父さん、いるよー代わる?」 
 「・・・・いい。」 
 「兄ちゃんなー、いま本州の最北端、大間崎ってところだ。」 
 「ふーん」 
 「そろそろ細かいの無くなるから、切るなっ、ん」 
 「えっ、携帯じゃないの」 
 「ガチャ、プツッ、プー、プー、プー」 
  
 携帯での「寅さんプレイ」を終わり、あたり周辺をひと廻り。 
 「日本海軍 豊国丸戦死者忠霊碑」という碑があったので、手
を合わせました。昨今、話題になっている戦争論ではありますが、
私は国のためと思って戦ってくれた人には素直に感謝します。
『君が代』問題など色々あるものの、人間、感謝の心を忘れては
いけません。ありがとうございました。 

 

 「おい青年、碑の前でピースだか何だかするもんじゃないよ」 
 「コラ、そこのカップル。碑の前で腕なんか組んで、かっー 
  親の顔見てみたいよ」 
  
と保守的に寅さん言葉で叱った後(但し心の中で)は、英語訳 
付きの石川啄木の歌碑を詠みます。 
  
  東海の小島の磯の白砂に 
  われ泣きぬれて 
  蟹とたはむる 
  
  On the white sandy shore of a small island, 
  Far in the Eastern Sea, 
  Weary of weeping, 
  I play with crabs. 
  
  大海にむかひて一人 
  七八日 
  泣きなむとすと家を出でにき 
  
  Alone facing the ocean 
  For seven-eight days, 
  I wished to weep 
  And departed from home. 
  
 ちなみに啄木の短歌については、日本語の特質、ひいては 
日本人の特質として、李御寧(イ−・オリョン)著『「縮み」 
志向の日本人』講談社文庫(名著だと思います)にて、興味 
深く考察されています。ご興味のある方、ご一読下さい。 
 青森県知事の歌碑もありました。 
  
  大といふ字を百あまり 
  砂に書き 
  死ぬことをやめて帰り来れり 
                青森県知事 木村守男 
  
  After writing the word "great" 
  More than one hundred times on the sand, 
  I forsook the thought of dying and returned 
  home. 
  
 歌碑を見ているうちに、自然から呼び出しがあったので、 
公衆便所に入りました。 
  
 「四国から青森、あなたと泊まりたい」 
 「ゆみこ、CB400Fです。一緒に遊ボ」 
 「東北大自然研、コンパ相手募集!」 
  
と色々落書きがあります。他にも、何と申しましょうか、ヘ 
テロではない方々のメッセージも数多くありました(公衆便 
所でメモっている私は変?)。 
 続いて、そびえ立つ灯台のなかに入ると、「本州最北端  
大間崎到着証明書記念にどうぞ」と書いてあったので、売店 
に行きますとヒマそうに雑誌を読んでいる茶パツ(多少、金 
有り)、パール系のルージュの女の子(推定年齢19歳)が 
二人がいました。 
  
 「すいませーん、到着証明を下さい」 
 「あっ、にじゅるい(二種類)あるですけど」 
 (語尾あがり気味) 
 「じゃあ、二つ下さい。何読んでんの?」 
  
と読んでいた雑誌の表紙を見させてもらうとコギャル系雑誌 
の『egg』。最北端の地で頑張るんですよ、おじさん見守っ 
てるからね。 
 「本州最北端 大間崎到着証明書」(400円)二種類両 
方を手にし、いよいよ本州最北端納豆に挑戦です。 
 「じょっぱり納豆」を紙の器に移し、辛子多めでかき混ぜ 
ます。海峡には辛子がよく似合う、とはかの有名な・・・ウ 
ソです、私が勝手に思いました。 
 テトラポットを降り、本当の最北端に器を置き、まずは記 
念撮影。イエーイ、最北端納豆だぜ!と喜んでいると、 

  

 ザバァー、あっ 

  

 ・・・・本州最北端納豆、波にさらわれていきました。 
 残った大豆数粒を口に入れ、海峡の海水で味わう納豆 
は、その冷たさで、歯と独り旅の心に響いたのでした。

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