恐山で納豆食う!

最終更新日 平成13年6月17日

 平成11年5月1日、日本三大霊場の一つ「恐山」にやって
まいりました。 
 入口に横にそびえる地蔵、ただならぬ雰囲気に身が引き締ま
る思いが致します。

 受付にいらっしゃる方からは、何やら霊気らしきものを感じ
ますし、受付横で売っている「霊場アイス」からも冷気を感じ
ます・・・・恐山で納豆食べようという私もバチあたりですが、
この「霊場アイス」もなかなかのバチあたりです。 

 入場料500円を支払い、半券をもらいますと「平成11年
No.A003670」とシリアルナンバーが打ってあり、記
念スタンプが押してあります。「5月2日」、あれ?どうやら
日付変更線を越えてしまったようです。恐るべし恐山。 
 半券にある「地蔵と共におわす故に浄土なり」の意味を考え
つつ、いよいよ入場。 
 硫黄の香りが辺り一面に漂い、かつ白い砂や岩が独特の雰囲
気をかもしだしています。 

 恐山は、蓮華八葉にたとえられる鶏頭、地蔵、剣、大尽、小
尽、北国、屏風、釜臥山(別名 円山)の八つの峰に囲まれた、
宇曽利湖畔にあります。 

 解説によれば、千二百年前、慈覚大師(円仁)が唐の五台山
で修行中のある夜、夢の中に一人の聖僧が現われ、 
  
「汝、国に帰り、東方行程三十余日の所に至れば霊 
 山あり。地蔵尊一体を刻しその地に仏道をひろめよ」 
  
と告げて消え去り、目を覚ました大師の机には、一巻の地蔵経
があったそうです。帰国後、教えに従って東北地方に霊場を尋
ねて山野を渡り歩き、一羽の鵜が魚をくわえて飛び立つのを見
て宇曽利湖を発見したそうです。大師はお告げに従って、地蔵
尊一体を刻し、地蔵経を納めて祀ったのがこの恐山です。 
  
 「さて、イタコはどこかなぁ〜」 
  
 イタコに新渡戸稲造先生とエルヴィス・プレスリーを呼び出
してもらって納豆を一緒に食べるという野望を持ってこの地に
きたのですが、イタコは期間限定らしく、観光客以外誰もいま
せん。 
  
 「大切な友人であったセルゲロイ・アレクサンダー・ 
  フルコマフさんを呼んでいただけますか」 
 「はいよ・・・・うっ、うぅぅぅ、うー」  
 「あなたはどなたですか?」 
 「わ、私の名は、・・セルゲロ・・セルゲロ 
  えっと、何でしたかのぉ?」 
  
 というやりとりを不謹慎にも期待していたのですが、私の調
査不足でイタコのやっていない時期に来てしまいました。「イ
タコと納豆」を期待していた方、申し訳ありません(納豆が嫌
いなイタコに納豆好きの霊を降ろしたら、納豆を食べるので
しょうか?)。 
 気を取り直して、バッグから紙皿と納豆、割り箸を取り出し、
コネコネ、ネバネバ。水子地蔵にそえられた風車がクルクル回っ
てます。

 

 「台があればもっとかき混ぜやすいのに・・・ 
  あっ、ちょうど良く石が積んであった」 
  
と一瞬思ったのですが、そこまでバチあたりな事できません。 
 クルクル、ネバネバ、クルクル、ネバネバ、何だか人として、
やってはイケナイことのように感じてきましたが、もう突っ走
るのみです。 
 ほど良く攪拌した納豆を、勢いよくズズーズボボボボ。 
 静寂した霊場に響く納豆を吸い込む音。 
 観光客の視線をよそに急いで食べ終え、バチがあたらないこ
とを祈り、恐山を後にしました。 
  
 余談ながら、その夜のテレビニュースで分かったことですが、
この日(5月1日)が、恐山に初めて観光バスが入った日だそ
うです。 

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