平成14年度全国納豆鑑評会の報告

 最終更新日 平成15年2月16日


 平成15年2月14日(金)、長野県長野市のホテルメトロポリタンホテル
にて、納豆に日本一を決定する「第8回全国納豆鑑評会」が行われました。
 今回も出品ルールに変わりはなく、一企業一部門のみ出品で、極小・小粒部門
(6.5mm未満、ひきわり含む)に54点、中粒・大粒部門(6.5mm以上)に73点
の応募があったものの、出品条件を満たさないものがあり、結局、大粒・中粒
部門68点、極小・小粒部門52点のあわせて、出品数120点となりました。
 審査員は、失礼ながら敬称を略し、役職名で列挙させて頂きますと、
 
 ・高星進一 全国納豆協同連合組合連合会会長
 ・同 副会長
 ・同 常務理事 研究委員長
 ・須見洋行 倉敷芸術科学大学産業科学技術学部教授
 ・永山久夫 食文化研究所
 ・農林水産省 総合食料局食品産業振興課総括課長補佐
 ・厚生労働省 医薬局食品保健部企画課 係長
 ・関東農政局 企画調整部 次長
 ・長谷川裕正 茨城県工業技術センター主任研究員
 ・松本ノーサン(株)穀物部次長
 ・長野県商工部産業技術課生活産業部 技師
 ・長野県婦人連合会 会長
 ・納親会会長
 ・長野県中信農業試験場畑作育種部 主任研究員
 ・長野県学校給食会 専務理事
 ・新潟県納豆協同組合理事長
 ・北陸納豆製造組合理事長
 ・山梨県納豆協同組合理事長
 ・長野県納豆事業協同組合理事長
 ・静岡県納豆工業協同組合理事長
 ・長野市第一学校給食センター 栄養士
 ・長野調理製菓専門学校・学校法人石坂学園 副理事
 ・全国農業協同組合連合会農産部大豆特産課長
 
私を加えた計25名。一次審査は、審査員が大粒組と小粒組に分かれるのです
が、私の担当は大粒でした。

 審査方法は、評価を5点満点、一次審査で約1/4に絞られ、その後に二次
審査、同点があった場合には三次審査が行われます。
 評価ポイントは、
 
 1.外観(見た目)
    大豆表面の納豆菌の増殖具合。豆の色、割れ、つぶれの多少。
    糸引きの状態
 
 2.香り
    アンモニア臭、コゲ臭、酸臭、その他異臭の有無。
    納豆らしい香りの有無。
 
 3.食感(味を含む)
    豆の硬軟。ザラツキの有無。
    旨味、苦味、甘味、異味などの有無
 
の3つ。ただここで疑問がわいたので、審査委員の長谷川先生に質問。
 
 「納豆らしい香りという評価についてですが、容器の香りが含まれる
  場合はどう評価したら良いのでしょうか。たとえば経木や藁の香り
  は高得点にしたいのですが、人によっては異臭ととってしまったり
  するのではないでしょうか」
 
 「難しい問題ですが、納豆としての完成度で見ていただいて、経木
  の香りも良いと感じるようでしたら、高得点で宜しいと思います」

ということで、個人的には経木や藁の香りは良い香りとして評価するこ
とにしました。
 いよいよ審査開始となり、白衣を身に付け、
 
 「乳ガンの疑いですか、触診しましょう」
 
とスケベなオヤジ・ギャグをやり、周りの皆様に
 
 「コイツを審査員に選んで失敗したな・・・・」
 
と思わせつつ、8:30、審査会場へ。
 納豆は常温に置きますと、5分ぐらい経った段階でその納豆の【顔】
が変わってしまいますので、まずはデジカメで全部撮影しました。
 その後、割り箸をとり、片っ端から評価。
 出品された納豆は、メーカーさんの名前が分からないよう番号のみ
表示され、納豆を容器から取り出した表と裏の2つ分が皿に乗っています。

 知った顔の納豆メーカーさんもいらっしゃいますが、そこはガチンコ
評価、点数は5段階あるものの、厳しく1か5を区別する方式で採点
しました。
 こうやって、敵を増やしていく私でございます・・・・。


地元メディアも注目の大会です。

 一次審査が終了し、集計後二次審査へ。
 二次審査は、大粒・中粒部門19点、極小・小粒部門19点のあわせ
て、出品数38点を再度、審査します。
 この段階になってきますと、小粒の方はアンモニア臭がでているもの
や多少のチロシンが発生したものもあり、また大粒でもかなり乾いてき
ている納豆もございました。納豆をベストの状態を出品することも難し
さを実感致しました。
 もし私が納豆メーカーで勝つことを考えて出品するなら、こんな作戦
でいきます。
 
 ・出品は大粒。
 ・見た感じ、菌膜が多く乗るよう煮方を調整。
 ・室の水分を調整し、水分量の多い納豆にする。
 
とはいうものの、今回、研究者である長谷川先生もその知識を生かし、
隠れて出品したのですが、見事、一次審査で落選。長谷川先生もおっ
しゃっていましたが、私も納豆造りの奥深さを再認識した次第です。
 二次審査も終わったものの、同点の納豆があり、最終決定は高星進
全国納豆協同連合組合連合会会長と倉敷芸術科学大学の須見教授で再
度、審査となりました。そして、その結果は以下の通りです。

最優秀賞(小粒部門) 農林水産大臣賞
 「元気納豆 昆布たれ付」マルキン食品<熊本>

優秀賞(極小・小粒部門)農林水産省総合食料局長賞
 「わたり国産納豆」わたり納豆<宮城>

優秀賞(中粒・大粒部門)農林水産省総合食料局長賞
 「おらが街道納豆」内藤食品工業<北海道>

厚生労働省(極小・小粒部門)医薬局食品保険部長賞
 「北海道産小粒三ツ折」川口納豆<宮城>

厚生労働省(中粒・大粒部門)医薬局食品保険部長賞
 「吟選つるの子」大力納豆<新潟>

関東農政局長(局管内)
 「丹波黒豆納豆」野呂食品<神奈川>

長野県知事賞(長野県組合)
 「小粒納豆鈴丸」阿部納豆店<長野>

全国納豆組合連合会会長賞(極小・小粒部門)
 「なっとうやさんの国産大豆納豆」小林食品<宮城>

納親会長賞(中粒・大粒部門)
 「国産100%大粒納豆」丸亀八百清商店<山形>

 今回の納豆も前回の鑑評会以上のかなりのレベルアップで、私も色々な雑誌
や番組で試食をする機会は多いのですが、今回はかなり難しい判定が必要でし
た。その「難しさ」は、前日に長野市内の実情を勉強?するため、長野市内の
歓楽街である権堂に飲みに行ったのも影響しなかったわけではないような気も
します。
 
 ということで、納豆日本一を決める今大会が無事に終了しました。
 事務局の皆様、出品された皆様お疲れ様でした。
 
 次回は名古屋で開催されます。
 かなりの言いたい放題、点数辛めの私が審査員をやるかどうか分かりません
が、来年も潜入したいと思います。

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