「麺屋  武蔵」新宿店

最終更新日 平成12年9月10日

 美味しいラーメンを多く食べてこそ、本当の美味しさが分かっ
てくるという理念のもと、平成12年7月29日(土)新宿ラー
メン戦争?では勝ち組といわれる、「麺屋  武蔵」新宿店
(東京都新宿区西新宿2−2−6 電話03-3762-4634 11:30AM
〜2:30PM 5:30PM〜9:30PM、日曜日は休み)にラーメン調査に行っ
てまいりました。
 昼の12時から並ぶこと1時間10分、やっと店内に入ること
ができました。
 店内はカウンター20席ほどのオープン・キッチンを中心とし
て、黒基調の落ち着いたインテリアに明治・大正を偲ばせる看板
や古い宮本武蔵の劇場用ポスターが貼ってあります。
 まずは食券を買います。
 
 「あっ、メンマが単品である!じゃあメンマ(200円)
 ポチッ、とな」
(このポチッは、ボタンを押した音ですが、懐かしのTVアニメ
 『タイムボカン』シリーズを想起して頂ければ幸い?です)

 「あとは味玉らー麺(800円)、ポチッ、とな。」 

 「そうだ、チャーシューも評価しなきゃ、
  今週の山場ぁ〜味玉チャーシュー麺(1200円)、
  ブチョ、とな」
(『タイムボカン』シリーズでは、ここで女性の胸を指で押し
 て「このスカポンタン!」とひっぱたかれますが、実生活
 ではさすがに実現できません) 

 3枚の食券を持って、赤い衣装の店員さんに渡すと、

 「あっさり、こってりはどうしますか?」

と聞かれたので、

 「あっさりとこってり、両方!チャーシューをこってりで」

と答えると、やや怪訝な表情をした後、席を案内してくれました。
 席は、一番奥の落ち着いたところ。ラッキー、これで心おき
なくデジカメ画像が撮れると思っていたのですが、隣は社会人
生活1年目を迎えて「お互い最近大変だったね」と言っている
ような真面目そうな20代前半カップル。
 彼らもメンマを単品で頼んだようで、先にきたメンマ1皿を
二人で食べつつ、

 「もっと食べなよ」
 「え〜太っちゃうもん、最近けっこーヤバいし」
 「こんなの余裕だってぇ〜、嫌いになんかなんねっつーの」

などと、実に聞くに堪えない会話をしています。
 店員の軽快な動きによる心地よさに反し、大変に不愉快です。
 とは言いつつも、不愉快なのは孤独なラーメン調査に来てい
る私の「ただのヒガミ」が原因です。

 「はい、こちらメンマ」

 醤油色に煮染められたメンマがきました。ここでデジカメ撮影。
 ジャッキ、ジャッキという心地よい歯触りとともに、化学調
味料のイラらしさがない旨味が口に広がります。
 ビール、冷や酒のつまみとしては最適で、ジャッキ、ジャッ
キと食べた後、冷たい水が美味しく感じます。(つまり多少味が
濃い目)

 「なぁ、これがサンマ干しの味だってさ」
 「ふーん」

と隣のカップルが、ラーメンを食べながらの「愛のカンバセー
ション」(Conversation)がはじまった頃、

 「味玉あっさり、味玉チャーシューこってり、
  お待ちどうさまでしたぁー」


あっさり


こってり

 「サンマ干し」の香りなのでしょうか、魚だしの強い香りとと
もに「あっさり」「こってり」の2つのラーメンが同時に届きま
した。これもデジカメで撮影。

 「ねぇ、ねぇ、・・・・・」

と隣のカップルの女性が男性に、「アレ見てよ」と言わんばかり
に耳打ちしています。

 「ケッ、こちとら遊びじゃねーんだ!」

と勘違いの職人根性を出しつつ、スープから味わいます。
 量味とも、サンマ干し、鶏ガラ、小海老、昆布の出汁が強く、
多少しょっぱめの醤油ベーススープで、「あっさり」は柚子の
香りが口の中に爽やかに漂い、「こってり」はオイスターソー
スのような濃厚なスープが足されているようです。
 麺は中太のやや縮れの麺。コシも十分あり、硬めに茹でてあ
ります。
 味玉子は味がよく浸みていますが、かなりの固茹でなので、
最近ハヤリの半熟玉子派からは好まれないかも知れません。
 見た目が硬そうなチャーシューは、きちんと口の中でとろけ、
しょっぱめのスープを一緒に口に含むと旨さが倍増します。

 「あっさり」「こってり」を食べながら、量味の差分を求め、
はたまた具を味わい瞑目して、しばし黙考。
 隣のカップルには、いい話題になったようでチラチラこちらを
見ては小声で話してます。

 「ケッ、いいんだ、いいんだ。
  ねっ、君たちカップルがうまくいくために話題提供したと思
  えばね・・・・」

といささか自虐的になったところで、全体をまとめますと、ラー
メン調査ではいつも飲み干し、かつ最初に美味しいと思ったスー
プが飲み干せなかったことからも、全体的に「しょっぱめ」です。
 ちょっと強引な例えをしますと、だしのきいた美味しい蕎麦の
つゆのアップグレード版といったところでしょうか。

 「がんこラーメン」もそうですが、「しょっぱめ」の味付けに
どう対処するかが評価の分かれ目と思われます。

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