1998年の新聞記事

最終更新日 平成13年5月3日
それぞれの記事は引用です。

『日清シスコ、納豆の味前面スナック投入。』
98/11/18 日経産業新聞
 
 日清シスコ(大阪府堺市、原拓善社長)はスナック菓子「納
豆玉 からしマヨネーズ味」を二十四日に発売する。価格は百
二十円。粒状のパフスナックで納豆のうまみを前面に出した。
カップ入りで手をよごさずに食べられるようにした。
 からしマヨネーズ味をつけて、若者好みの味に仕上げた。カ
ップはふたを二重にし、上ぶたをとるとカップに口をつけてそ
のまま食べることができる。販売目標は発売後一年で五億円。
 《NIKKEINET》
 

『[ニュースレター]秋田 10分間朝食クッキング/愛知』
98/11/17 毎日新聞 地方版
 
 若者を中心に朝食離れが進む中、短時間で作れて栄養バラン
スのとれた朝食メニューを競う「10分間朝食クッキングコン
クール」が、秋田経法大短大キャンパスで開催された。審査の
結果、最優秀賞に同市、主婦、渡部恵美さんの「照り焼き納豆
どんぶり」。優秀賞は同所、調理師、岸紀雄さんの「オニオン
ライスグラタン」に決まった。
 

『決算から――旭松食品、納豆など好調で増収。』
98/11/13 日本経済新聞 地方経済面
 
 旭松食品 九八年九月中間期の売上高は納豆と即席みそ汁が
好調で前年同期比九・九%増の九十八億五百万円となった。納
豆部門の採算性改善が奏功し、経常利益は同四九・三%増の二
億七千二百万円、税引き利益は同四八・三%増の一億三千八百
万円だった。
 九九年三月通期は売上高二百二億円(前期比五・六%増)、
経常利益六億三千万円(同五四・七%増)と増収増益を見込ん
でいる。
 

『挑む 営む 新鮮人、岩手』
98/11/13 河北新報 朝刊
 
挑む 営む 新鮮人/岩手
小岩久三郎商店社長・小岩養太郎さん(62)=一関市=
「大豆の一粒一粒に命」
 「納豆は、温度、湿度、空気の影響を受けやすい。医者が患
者に接するように、いたわりの気持ちで、大豆の一粒一粒に命
を吹き込んでいる」
 主力商品の「白糸納豆」は、平成7、8年の全国納豆鑑評会
で最優秀賞に輝いている。「消費者に納得していただくには品
質の良い大豆を見つけだすことが重要。しかし、安くなくては
経営は成り立たない」と話す。現在は、中国の吉林省、黒竜江
省から年間約120トンの大豆を輸入している。また、業界の
友人と米国南部の農場で、米国産大豆の品種改良に成功。いず
れも小粒だがタンパク質や糖分が多く日本人の味覚にあってい
るという。
 健康ブームで納豆文化が見直され、関西での消費拡大が目立
つという。実際、問い合わせや注文が全国から寄せられる。
「消費拡大はうれしいが納豆は五感で作るもの。機械での大量
生産は考えていない」と製造過程にもこだわる。 容器も工夫
を凝らしている。「白糸デラップス納豆」は、紙で包み販売し
ている。スチロール製に比べ、冷蔵が早く、スペースをとらな
い上、紙なので燃やしても有害物質を出さない。「うまいだけ
じゃダメ、自然環境にも配慮しないとね」と話す。
 祖父の代から続く、バナナの卸販売も行っている。納豆は戦
時中、冷蔵技術が発達していないため夏場に消費が激減。そこ
で、納豆を発酵させる室(むろ)を活用し、バナナの熟成を思
いついた。先代の「納豆とバナナ、おいしい水、空気があれば
人は生きていける」という口癖を受け継ぐ。
 今後は、「減反で苦しめられている農家と一緒になって、地
場産大豆の消費拡大を図りたい」と力を込める。
<小岩久三郎商店>一関市山目泥田65の1。昭和6年創業。
資本金2500万円。年商約2億5000万円。従業員13
人。店名は祖父の名に由来する。
 

『旭松食品、埼玉の新工場、来春までにフル稼働』
98/11/10 日経産業新聞
 
 旭松食品は、埼玉県吉見町にある納豆の新工場を、九九年三
月までにフル稼働させる。関東地区での需要が大きく伸びてお
り、現在、日産四十二万食前後の生産能力を五十万食に引き上
げる計画だ。このため、パックに納豆を詰める機械を一台増や
し、七ライン体制にする。
 同社は関東地区での営業を強化するため、九七年十一月に埼
玉工場を新設。「氷温熟成 納豆いち」の販売促進活動を進め
た。九八年度上期の販売量は関西地区が前年同期比一三%強増
えたのに対し、関東では同三割増だったという。
 需要の大幅な伸びで生産能力は限界に近づいており、一部社
外に生産委託している。供給体制を拡充するため、設備を増強
する。
 増産に合わせ、販路の拡大も進める。関東地区では、大手量
販店での展開がほぼ終わったため、今後はコンビニエンススト
アや中小スーパーの開拓を狙う。九九年三月期の売上高は前期
比六%増の二百二億円、経常利益は同五五%増の六億三千万円
を見込んでいる。
 

『熊本で大豆改善検討会、高品質、安定供給へ、こだわり生産追求を』
98/11/05 日本農業新聞
 
 「売れる大豆づくり」をテーマに十月二十九、三十日、熊本
県内で開かれた全国大豆生産改善検討会で、加工業界から大豆
の国内生産に多くの要望が出された。原料確保が不安定な国産
の供給体制を改善すべきという要望とともに、「国産への消費
者の信頼は高い」と指摘し、輸入物を上回る高品質大豆生産の
取り組み強化を求めた。
 全国納豆協同組合連合会の黒田敏昭専務は、納豆消費が伸び
ている現状を報告した。今年の原料用大豆の使用量は十一万七
千トンと、前年の六%増を見込む。昨年の一世帯の納豆消費金
額は三千七百六十六円で、前年の一割増だった。
 黒田専務は「三年前から納豆が健康食品として注目された。
O(オー)157に対して抗菌作用があると発表されたこと
が、納豆消費を上向かせた」と分析。同連合会の検討事項とし
て、新しい薬味を開発し、夕食時にも食べてもらえる新メニュ
ー提案を挙げた。
 しかし、国産の今年の使用量見込みは六千トンとわずかで、
米国とカナダ産が八割近い。黒田専務は「全国大豆鑑評会で入
賞するのは、食べて味の出てくる国産の中粒種と一部の大粒種
だ」と最近の動向を紹介。中小の納豆メーカーの活性化と結び
つけた中粒種の生産振興を求めた。さらに生産者には「熱心に
納豆用大豆の売り込みに力を入れ、契約を守る米国関係者の積
極的姿勢を見習ってほしい」と注文を付けた。
 煮豆・総菜業界での大豆使用量は一万五千〜二万トン。全量
国産使用の業界だったが、一九九四年産からの減産で国産シェ
アは六割まで落ち込み、最近は八割に回復した。
 煮豆業界二位の小倉屋柳本(神戸市)は、年間の大豆使用量
七百五十トンのうち、八割を輸入物で賄う。輸入品種は日本の
「トヨマサリ」「タチナガハ」で、六十トン分はオーガニック
の認定大豆を使う。
 同社の柳本一郎社長は「日本品種の採用で、品質的には国産
に劣らない」と指摘。国産大豆については「栽培方法の違い
で、大豆の味は明らかに違ってくる。おいしい大豆は“こだわ
り”アイテム用として、高くても買いたい。量販店などでは、
他店との違いを出したいという要望がある」と、品質向上を求
めた。さらに「購入した大豆は、コストをかけて自社か外部委
託で最終選別している。選別の必要がない大豆を出荷してほし
い」とした。
 国内の食品用に使う大豆九十万トン余りのうち、主力の豆
腐・油揚げ向けは約五十万トン。日本豆腐協会の木嶋弘倫専務
は、そのうち国産の使用量は三万トン程度にすぎない現状を示
し、「十年ほど前には大手メーカーでも七割が国産原料だった
が、その後の原料不足で輸入に切り替えた経緯がある」と、大
豆の自給率の向上と安定供給を求めた。
 

『“おいしさ”が受ける、国産大粒納豆、量販店に欠かせず』
98/11/04 日本農業新聞
 
 極小粒が主流の納豆の中で、大粒が徐々に売れ出した。“お
いしさ”が消費者に受け、量販店の品ぞろえに欠かせず、数は
少ないが十年前に比べ、納品が三倍に増えたメーカーもある。
 納豆は、ご飯の上に乗せて食べるのが一般的で、米粒の大き
さと違和感の少ない、小さな粒が好まれている。
 東京都青梅市の菅谷食品は、二十年前に「消費者に国産大粒
のおいしさを伝えたい」と、「鶴の子」を使った納豆を発売。
当初は百五十グラムの紙袋だけだったが、十年前から五十グラ
ムパック二個をセットにしたものも販売してきた。
 同社は、大手百貨店や東京都、神奈川県をエリアにする食品
スーパーなどに納品する。「大粒納豆は、徐々に売れ始め、今
は平均的な店舗で三十個ほど売れている。品質、味では小粒よ
り上ということを消費者が理解してきた」という。
 一九九八年度全国納豆鑑評会で、大粒納豆が最優秀賞になっ
た高橋商店(新潟市)は「大粒のおいしい納豆を」という客の
要望で、三年前から大粒を扱った。販売量は「小粒に比べ少な
いが、かなり増えている」と順調だ。新潟県産「エンレイ」
(中〜大粒)を使った製品も手がける。
 九七年の納生産量は、全国納豆協同組合連合会(全納連)の
推定だと約二十四万トン、一パック五十グラムとすると四十八
億個。JA全農の推定では、使用大豆の九六%が輸入とみられる。
 納豆は極小粒、小粒、大粒などに分けられ、割合は極小粒が
六〇%、小粒三〇%、大粒その他一〇%。
 極小粒、小粒が主流にあることに変わりはないが、京王スト
アでは「大粒を置かないと、客の好みに応じられない。品ぞろ
えには欠かせない」と話す。
 菅谷食品では「大粒は、はしにかかりやすいので、ご飯にか
けないで食べるスタイルが増えれば、納豆に占める割合も一
五%、二〇%になる可能性がある」と期待する。
 

『日生協、遺伝子組み換え品種「不使用」、しょうゆに表示。』
98/11/03 日経流通新聞
 
 日本生活協同組合連合会(東京・渋谷、竹本成徳会長)は、
このほど遺伝子を組み換えた大豆を全く使用せずに開発したし
ょうゆなど三品目を新たに発売した。その内、しょうゆに限っ
て商品ラベル上に原料となる大豆は遺伝子組み換え品種を使用
していない旨を記載する。こうした表記を書き添えるのは、日
生協の商品では初めてという。
 新商品の名称は「日本の大豆」シリーズ。しょうゆや納豆、
みその三品目。いずれも北海道産の大豆が原料で、しょうゆは
「津別町大豆生産組合」、ほか二品は豊頃町で「コープ大豆生
産組合」が栽培したものを限定して使用する。収穫後は日生協
の商品検査センターで遺伝子を組み換えた原料が混入していな
いか確認する。
 価格はしょうゆが五百ミリリットル入りで二百九十八円、納
豆は三個で百六十八円、みそは七百五十グラムで四百七十八
円。三品目で年商二億千万円を見込んでいる。
 

『[食のふるさと]おしながき 比内のとんぶり(秋田)』
98/11/02 毎日新聞 朝刊
 
 「キャビア」といえばチョウザメの卵。では、「畑のキャビ
ア」といえば? 即座に「とんぶり」と答えられる人は、何人
いるだろうか。
 とんぶりはホウキギの実で、秋田県の特産品だ。なかでも比
内町は一大産地となっている。
 同町独鈷の栽培農家、野呂文雄さん(51)に案内され、と
んぶり畑に入る。ほうきの穂先を逆さにしたようなホウキギが
一面に茂る。高さは1メートル前後。遠目には、イネやススキ
を束ねたように見える。風が吹くたび、緑や黄、茶の穂先が風
下になびく。その先端には、直径2、3ミリほどの小さなクリ
ーム色の実がびっしり。「これがとんぶりになるんです」と野
呂さん。野呂さんは2・8ヘクタールで、年間約20トンを生
産している。
 穂先を手に取る。触れただけで、パラパラと実が落ちる。
「こんな小さな実を……」。食用とした土地の人の発想に感心
させられた。
 比内町では、72戸の農家が65ヘクタールで年間250ト
ン前後を栽培している。
 「ホウキギは、昔はどこの家の庭先にもあった。食べるよう
になったのは、江戸時代のころからだと聞いています」と野呂
さん。「保存食でいつでも食べられることから、ここでは冬の
野菜不足を補うために食べられていました」
 比内町を管轄する「JAあきた北」が年間に出荷する青果物
の出荷額は約15億円。とんぶりだけでその1割強に当たる1
億8000万円を占めるという。
 関東地区に出荷を始めたのは1950年ごろ。食用に栽培を
本格化したのは、グルメに関心が高まった87年ごろからだ。
 弱点は台風だという。風で実が落下するため、91年の台風
19号ではほぼ全滅の被害を受けた。「台風の時期前だと、ま
だ少し実が小さい。育つまで待ち過ぎると台風が来てしまう。
収穫どきの見極めが難しい」(野呂さん)という。また、「加
工しやすいものを作るため、粒の大きさをそろえるのに苦労す
る」とも。養分を全体に行き渡らせるため、枝を1メートル前
後でカットするのだという。
 とんぶりは9月から10月中旬ごろまでが収穫期。根っこか
ら刈り取り、米用の脱穀機を改良したコンバインで穂先の実を
取る。農家はこれを乾燥機で乾かし、農協の加工所などで処理
して出荷する。
 「加工には3日かかります。20〜40分ほど煮て、水でふ
やけさせ、機械で薄い外皮をむく。これをパックに詰めたり、
ビニールに入れて出荷します」と、同農協比内営農センターの
立石満さん(42)。関東を中心に全国に出荷され、京浜地区
では店頭で100グラム130〜150円で売られる。
 小さな粒を手のひらに載せてみる。きれいなエメラルドグリ
ーン。口に放り込むと、プリプリとした食感。一粒一粒が口の
中ではじける。かむほどに、トウモロコシに似たほんのりとし
た甘みが広がった。【斎藤毅】
…………………………………………………………………………
 ◇秋田では一般家庭でよく食べられるとんぶりだが、県外に
はあまり浸透していない。地元での代表的な食べ方は――。
(1)「納豆とんぶり」 納豆にしょうゆで味つけし、刻んだ
ネギととんぶりを加えてかきまぜる(2)「ナメコ長イモとん
ぶり」 千切りにした長イモと、しょうゆで味つけしたナメコ
を皿に入れ、とんぶりを添える。
…………………………………………………………………………
 ◇とんぶり アカザ科の1年草のホウキギの実。欧州が原
産。枝の先にいくほどに細かく枝分かれして伸び、高さ2メー
トル近くにもなる。夏に花をつけ、秋に種子となる実をつけ
る。この実を加工したものが「とんぶり」と呼ばれる。
 

『うまいぞ地の野菜 現地ルポおもしろ野菜発見「曲がりネギ」』
98/11/02 日食外食レストラン新聞
 
 「うちらは小さい時から曲がったネギを食べていたから何の
不思議もないんだけど、東京に出荷したら曲がっているせいか
なかなか売れず、ついに戻ってきましたよ」と笑う鈴木孝雄さ
ん(67)。北目地区の曲がりネギ栽培農家四五戸の一人である。
 「ここらでは太白ネギと呼んでいるけど、白くて柔らかい
し、独特の甘みがあって、味噌汁から納豆、鍋にと毎日食べな
い日はないね」と言葉を添えるのは奥さんのひよしさん。ご主
人を「たかおちゃん、たかおちゃん」と連発する陽気な奥さんだ。
 曲がりネギは、明治末期に仙台市余目(あまりめ)部落の永
野さんが栽培を始め、余目ネギとして親しまれてきたが、最近
では「仙台曲がりネギ」の名称で仙台周辺に出回っている。
 寝かせて栽培
 曲がりネギは直立棒ネギと違い、定植と同時に覆土して曲が
りをつけ、軟白部の組織を長く柔らかいネギに仕上げる。この
栽培法は仙台だけの独特のものである。
 夏から秋にかけ収穫される曲がりネギは、10月に播種し、
一〇日前後で発芽。寒くなると透明ビニールをかぶせ、翌年の
3月に移植し、6月ごろまで成長させる。
 ここまでは一般の直立棒ネギと同じ栽培法だが、曲がりをつ
けるために傾斜をつけた斜めの畝にネギを寝かせて移植、根の
ところに軽く土をかぶせる地元でいう「やとい」を行い、一ヵ
月も置くと軟白部分が成長し、寝ていた緑の葉の部分は垂直に
伸び上がってくる。
 こうなれば収穫の始まりだ。7月中旬から11月いっぱいが
収穫期。耐寒性が劣るため、12月になると葉が落ちて白い根
も堅くなる。
 甘く柔らかく
 宅地造成が進む住宅地に中州のように青々としたネギ畑があ
る。奥さんと嫁の薫さんの三人で作る曲がりネギ畑は五反。
「昔は一反だったが、増反したんです。だんだん味が知られ、
需要が増えてきたので付近の農家でも田圃をネギ畑に変えてい
ますよ」
 かつてはキュウリ、ゴボウなどを栽培していたが、収穫期に
は集中しての出荷だった。曲がりネギに替えてからは出荷量も
調整でき、掘り起こしも覆土が浅いため力も要らず、高齢者に
はピッタリの作物なのかもしれない。
 「秋の芋煮会の季節になるとドーンと出荷が増え、予約が入
る」というほど地元では人気の曲がりネギ。曲がったネギと偏
見をもたず、甘くて柔らかな味わいを知る人が増えることを願う。
■生産者名=鈴木孝雄、宮城県仙台市太白区郡山字北目宅地五
〇、Tel022・247・0041
■販売方法=仙台中央卸売市場
■価格=一キログラム約三〇〇〜四〇〇円
 

『朝ごはん知事賞に開市理恵子さん、校生のコンテスト、岡山県』
98/11/01 日本農業新聞
 
 【岡山】98高校生の朝ごはんメニューコンテスト(県主
催)の二次審査会が十月二十七日、岡山市の県総合福祉会館で
開かれ、県知事賞に県立興陽高校二年の開市理恵子さんが作っ
た「納豆チャーハンとチーズ入り卵焼き、豆腐のみそ汁」が選
ばれた。
 高校生を対象に、一日の活力となる朝ご飯をきちんと食べる
正しい習慣を身につけ、健康な食生活への理解を深めるととも
に、米の消費拡大を図ろうと昨年から開いているもの。
 テーマは「朝はごはん・元気いっぱい」。県内の高校生から
三百十点の応募があり、書類による一次審査を通った十人が、
日常生活の中から創意工夫をこらした朝ご飯料理に腕を振るった。
 県栄養士会の前田民子会長ら六人の審査員が「ご飯のおいし
さが生かされているか」「栄養バランスは良いか」など五項目で
審査した。
 開市さんを除く上位入賞者は次の通り。
 ▽岡山食糧事務所長賞=岸本いく(県立津山東高校三年)
「和風きんぴらオムライス」▽(社)県栄養士会長賞=與田歩
(県立倉敷中央高校一年)「ライスピザ」。
 

『あづま食品、宇都宮に業務用納豆工場、5年後メド』
98/10/28 日本経済新聞 地方経済面
 
 納豆メーカー大手のあづま食品(栃木県河内町、黒崎信也社
長)は業務用納豆製品を強化する。業界初の業務用専用工場を
宇都宮市に設け、スーパー、コンビニエンスストアの総菜用や
外食チェーン向けに売り込む。業務用の売上高は現在約四億円
にとどまっているが、五年後をめどに十億円程度に高めたいと
している。
 同社は宇都宮市関宿に延べ床面積一千平方メートルの専用工
場を設けた。浸漬タンク、蒸煮室、充填(じゅうてん)ライ
ン、冷凍室を整備し、設備投資額は五億円。
 これまで河内町にある本社工場で生産していたが、専用工場
を設ける方が菌の発生や冷凍設備、調味・加工などの面で効
率、品質の向上につながると判断した。
 手巻きずし用にチューブ詰めや棒状に冷凍にしたひき割り納
豆、おにぎり用の冷凍ひき割り納豆、給食用のスティック状納
豆など約十種類を製造する。
 同社の年商は九八年三月期で百十二億円だが、大手量販店や
生協、コンビニエンスストアなどを販路にした家庭向け商品が
中心。このため業務用は年間四億円程度にとどまっていた。
 しかし、ここ数年、回転ずしやスーパー、コンビニの持ち帰
りずし、おにぎりなどの需要が拡大していることに着目、業務
用納豆の生産を本格化する。
 

『照り焼き納豆どんでイライラ解消?!』
98/10/28 毎日新聞 地方版
 
 若者を中心に朝食離れが進む中、短時間で作れ、栄養バラン
スのとれた朝食メニューを競う「10分間朝食クッキングコン
クール」が27日、秋田経法大短大キャンパスで開催された。
入賞したのは照り焼き風味に調理した納豆をかけるどんぶりな
ど3メニュー。主催した秋田食文化研究会(奈良洋会長)の田
中玲子・同短大教授(特殊栄養学)は「朝食抜きは、糖尿病や
イライラを招くことが分かっている。しっかり取ってもらうた
めにも、PRしていきたい」と話していた。
 出場したのは、応募者46人のうち書類選考をパスした15
人で、主婦やプロの料理人など顔ぶれもさまざま。制限時間の
10分以内にアイデアを凝らした朝食をこしらえ、審査員6人
が独創性や栄養バランス、普及性などを100点満点で採点した。
 その結果、最優秀賞に同市、主婦、渡部恵美さん(36)の
「照り焼き納豆どんぶり」、優秀賞は同所、調理師、岸紀雄さ
ん(43)の「オニオンライスグラタン」が決まった。
 市内の中華料理店に勤務する杉本祥子さん(24)は「おか
ゆ定食」で優良賞を受賞。「私自身も面倒くさがり屋なので、
有り合わせの物で作れる料理を心がけました。若い人が朝食で
食べてくれるといいですね」と話していた。【清水優子】
 
 

『遺伝子組み換え農産物使ってません 食品メーカー60社紹介したリスト配布』
98/10/28 東京読売新聞 朝刊
 
 しょうゆや納豆、植物油などの原料に、遺伝子組み換え農産
物を使っていない全国の食品製造業者60社のリストがこのほ
どまとまった。組み換え作物の安全性や表示の問題に取り組ん
でいる市民団体「遺伝子組み換え食品いらない!キャンペーン」
(東京・目黒)が、業者へのアンケート調査をもとに作成した。
 現在、日本では6種類20品種の組み換え作物の流通が認め
られているが、表示が義務付けられていないため、組み換え作
物が使われているかどうかを店頭で判断できない。
 消費者の間に表示の義務化を求める声が強く、農水省は表示
のあり方について検討を進めている。しかし、今のところ一般
の消費者にはほとんど選択する手がかりがないことから、同キ
ャンペーンでリスト作りを進めてきた。
 リストには、取り扱い食品、販売方法、消費者へのメッセー
ジなど、アンケートに回答した約60の業者の調査票がそのま
ま収録されている。希望者には、600円(送料240円)で
配布する。問い合わせは、同キャンペーン(03・3711・
7766)へ。
 

『旭松食品、中間、業績予想を上方修正――売上高4億円増98億円。』
98/10/27 日本経済新聞 地方経済面
 
 旭松食品は二十六日、九八年九月中間期の業績予想を上方修
正した。ここ数年力を入れている納豆の販売が関東地区を中心
に好調だったため、売上高は当初予想を四億円上回る九十八億
円、経常利益は同八千万円増の二億七千万円になる。九九年三
月期通期は売上高が前期比五・六%増の二百二億円、経常利益
が同五四・八%増の六億三千万円を予想している。
 同社は凍り豆腐製造の最大手だが、最近は納豆と即席みそ汁
など加工食品の売り上げ比率がそれぞれ凍り豆腐を上回っている。
 昨秋の埼玉工場稼働から一年たち、首都圏への氷温熟成納豆
(氷点下で熟成させる納豆)の供給が順調に推移した。関西と
関東に続き、東北地方への納豆拡販も目指しており各地区で着
実にシェアを伸ばす。
 

『納豆の作る酵素が豊富、ジャード(新製品)』
98/10/24 日経流通新聞
 
納豆の作る酵素が豊富
 納豆の成分を生かした栄養補助食品「納豆習慣」。納豆菌を
培養した液をろ過し、納豆菌を除去、その後濃縮して納豆菌
が作り出すナットウキナーゼという酵素だけを残した。
 ナットウキナーゼには血液の流れを良くする効果があるとさ
れ、成人病予防に有効という。2粒で納豆1パック分(30グ
ラム)のナットウキナーゼを含む。60粒入り(2800円)
と180粒入り(7600円)がある。
 発売元はジャード(東京都新宿区、TEL03・3953・
3781)。
 

『こうや豆腐特集、旭松食品、初の合同キャンペーンでスタート』
98/10/23 日本食糧新聞
 
 旭松食品(株)(大阪市淀川区、06・306・4121)
は大豆製品の範ちゅうで、「健康」を切り口に、凍り豆腐、納
豆、即席味噌汁の三本柱で展開している。
 今上半期決算(9月)では、納豆が二桁、即席味噌汁が二桁
弱と、大きな売上げの伸びを示したのに対して、凍り豆腐は前
年比微減と厳しい数字にとどまった。
 業界のトップメーカーとして、自社の売上げを伸長させるだ
けでなく、「カルシウムやイソフラボンを豊富に含む健康志向
商材として、業界挙げてのPRに積極的に取り組んでいかなく
てはならない」としており、今回の「女の一生とこうや豆腐」
の業界キャンペーンに連動し、同社独自でも納豆、即席味噌汁
と併せた消費者キャンペーンを実施。こうした三部門合同のキ
ャンペーンは初めての試みで、新キャラクターに西村知美の起
用も併せて、特に若い主婦層を念頭に置いた販売戦略を立てて
いる。
 「今まで凍り豆腐の販促活動は、他の分野に比べて遅れてお
り、今回のキャンペーンでスタートラインに立った。これをき
っかけに、新しい売り方に本腰を入れて取り組みたい」として
いる。
 一方、売上げ構成比は低いものの、業務用やチルドの範ちゅ
うの商品は好調で、この分野の取り組みもこれからの課題とい
ったところだ。
 

『◆ふりかけ・お茶漬特集:お茶漬好調、ふりかけ横ばい』
98/10/19 日本食糧新聞
 
 九八年上期の動向をカテゴリー別にみると、ふりかけ市場は
ほぼ横ばい、お茶漬市場は大幅な伸びで推移したようだ。
 ふりかけはこの春、各社が「納豆」「ソフト」「キャラクタ
ー」の三ジャンルを新戦略の核に掲げ需要喚起をねらったが、
いずれも市場拡大に大きく寄与するまでには至らなかった。そ
の背景には依然として続くコメ需要の停滞、長期的な景気不況
による食品消費の伸び悩みもある。
 お茶漬は七〇%以上のシェアをもつ永谷園の販売が好調なこ
とから、市場の底上げにつながった。同社がTVCMなどの販
促策を大量に投下した結果、他社商品にもその効果が波及して
市場が活性化するなど、例年になく盛り上がった。
 現在、秋の本格需要期に向けて市場の動きは活発化してき
た。下期のふりかけ市場はこれといったキーワードはみられな
いが、各社は独自路線の商品展開で拡販を目指す。お茶漬は現
状の好調販売をどこまで維持できるかで、九八年市場の趨勢が
決しよう。
 

『ふりかけ・お茶漬特集:ふりかけ市場上期動向、順調に成長する納豆』
98/10/19 日本食糧新聞
 
 九八年上期のふりかけ市場の主だった動きは、各社が「納
豆」「ソフト」「キャラクター」の新トレンドが登場したことだ。
 納豆素材の商品はこれまでも数社が発売していたが、健康食
品としての需要が高まり、順調に成長を続ける納豆市場に改め
て着目した。今春は二大メーカーの永谷園、丸美屋を筆頭に新
規参入が相次いだ。
 主要製品をみると「納豆さまさま」(永谷園)、「納豆ふり
かけ」(丸美屋)、「ふりかける納豆」(大森屋)、「納豆ふ
りかけ三袋入り」(ニチフリ)、「黒五入り・黒大豆納豆ふり
かけ」(大盛食品)、「納豆のふりかけ」(真富士屋)など。
その他、納豆専業メーカーのタカノフーズ「なっとうふりか
け」、加工海苔メーカーであるニコニコのり、大島屋など、異
分野企業の活躍も目立った。ただ、実際の売行きには目立つも
のがなかったようだ。「発売当初は目新しさもあって、売場で
もまずまずの回転だったが、消費者が価格・品質面を生の納豆
と比較して、それほど魅力を感じなくなった」(量販店)ため
とみられる。また各社が一斉に発売したため、棚取り合戦が激
しくなり、思うように店頭配荷率を上げられなかった企業も多い。
 「ソフト・ウエットふりかけ」はまだ規模が小さいながら、
市場での足固めを順調に進めているようだ。最近は多くの量販
店が定番で一〜三フェースを設ける傾向が強まっている。
 このジャンルの主要製品は、にんべんの「かつお(おかか
)」「とりそぼろ」などで構成する一連のシリーズ(全七アイ
テム)、丸美屋の「ソフトふりかけ」(おかか、しそ、わか
め)。また大森屋やニチフリ、地場メーカー各社なども商品展
開に積極的だ。
 しっとりとした独特な食感、素材の持ち味を生かした本格感
はシルバー層を中心に受け入れられており、今後も堅調な拡大
が見込まれているが、「各社ともおかか、しそ、わかめといっ
た同じような素材を使う傾向が強いので、まったく異なるタイ
プの商品を出さなければ、今後は差別化にはならない」(量販
店)など、新たな商品開発が特に望まれるジャンルといえる。
 キャラクター分野では昨年、永谷園の「ポケモンふりかけ」
が単品で一三億円を売上げる大ヒット商品となった。市場のこ
れまでの低迷を払拭し「キャラクター商品は起用するもの次第
で爆発力を期待できる」ことを証明したが、今年度上期は「ポ
ケモン」の代わりになる商品が登場せず、再び落ち着きをみせ
ている。 永谷園の「ポケモンふりかけ」は今期4〜9月実績
で前年比二桁減と勢いを落とした。丸美屋も主力の大袋タイプ
は1〜8月前年比六%増と好調ながら、キャラクター部門の二
桁減が響き、ふりかけ全体を三%増にとどめている。
 今年4月以降の主要新製品は、永谷園「ドラえもんふりかけ
カートン」「Bビーダマンふりかけ」「ふりかけファンタジー
ワールド」、丸美屋「ドクタースランプふりかけ・缶入り」
「名探偵コナンふりかけ」、ニチフリ「ギンガマンふりかけ
」、田中食品「時空探偵ゲンシクンふりかけ」など。各社とも
多方面から新キャラクターを発掘し、次の一手を摸索中。
 各メーカーの基幹商品は全体的に堅実な動きだが、企業別で
は大きく明暗を分けている様子。上期も新製品、リニューアル
などで定期的に商品強化を施した企業は相応の実績を維持する
が、既存品に終始する企業は厳しい展開を強いられているよう
だ。九七年市場は本紙推定で前年比五%増の四〇一億円だった
が、今年は成長要素が少なく、前年比一〜二%増にとどまるも
のと思われる。
 

『注目商品登場 あずま食品「なめ茸おろし納豆」「満点太郎納豆」』
98/10/19 日本食糧新聞
 
 納豆メーカー大手、あづま食品(株)(本社=栃木県河内
郡、028・672・2112)が、首都圏のCVSを中心に
今秋、市場導入した「なめ茸おろし納豆」(納豆六〇g、なめ
茸一〇g、おろし一五g、たれ五cc、標準売価一〇〇円)
は、納豆一パックに「なめ茸」と「大根おろし」が小袋でセッ
ト“さっぱりとした味、新しいおいしさ”がキャッチフレーズ
のユニークな商品。
 「納豆」「なめ茸」「大根おろし」は、それぞれ日本人の食
卓に欠かせない食品だが、同製品では、この三つが一体となっ
たおいしさが味わえる。
 納豆のおいしさは、もちろんのこと、「なめ茸」は、林の中
で自生している野生のエノキ茸に近い、味わいが深く香りも良
く、ぬめりがあって、歯触りが良い本場信州のブラウン系の
「香乃山えのき」を使用。「生大根おろし」は、原料に関東近
県を主生産地とし、甘みのある青首系に比べて辛味のある大倉
系で、バランスの良いあっさりした味が特徴の大根を使用。特
殊製法により非加熱で、各種酵素やビタミンが生きている。
 また「満点太郎 納豆」(納豆四五g×三、たれ・からし
付、同一六八円)は、おいしさの基本を原料大豆とし、種皮が
薄く、糖質がバランス良く豊富で、脂肪分が少なく、張りと弾
力に富んだうまみ十分の納豆に仕上げる事ができる国産小粒系
大豆の最高峰といわれる「地塚大豆」の小粒(五・五ミリメー
トル〜六・三ミリメートル)を一〇〇%使用、豆の味わいと小
粒の食べごたえを堪能できる。
 ネーミングは、「おいしさ」「安心」「値打ち」、すべてに
満足できるということから「満点」と、日本を代表する元気な
名前「太郎」にあやかって「満点太郎」にしたという。
 二品とも現在、人気上昇中の納豆だ。
 

『くめ・クオリティ、納豆増産へ協力工場集約』
98/10/15 日本経済新聞 地方経済面
 
 納豆製造大手のくめ・クオリティ・プロダクツ(茨城県金砂
郷町、石塚昇一郎社長)は生産能力を強化するため、協力工場
を含めた生産拠点の全面見直しに乗り出す。全国の協力工場を
九カ所に集約する一方、二年後をメドに茨城県江戸崎町に新し
い自社工場を建設。製品の品質を高めるとともに、月産六千万
食程度に倍増させる。
 協力工場は三月時点で十カ所あったが、他社製品を手掛ける
ところもあり、必ずしもくめ主導の生産が出来なかった。この
ため、「くめ製品のみを製造する工場にまとめる」(石塚社
長)ことで、生産能力を高めることにした。
 これまでに兵庫県明石市と札幌市内の工場と取引を中止した
ほか、仙台市の工場とも近くやめる。
 一方、くめ専門の新しい協力工場を作る方針で、六月に第一
弾として和歌山市内に日産能力四十五万食の大型工場が完成し
た。地元会社が運営、くめが建設費の一部を負担した。二〇〇
〇年をメドに札幌市周辺に新たな協力工場を確保する方針。く
めが一部資金を負担、函館市の協力業者が建設する方向で調整
している。両工場はそれぞれ西日本と北海道の供給拠点として
活用する計画で、既存工場の集約化と合わせて九協力工場体制
を整える。
 自社工場については、江戸崎工場(日産能力九十万食程度)
を二年後をメドに建設する。土地は取得済みで、三十億円程度
の建設費を見込んでいる。本社工場(金砂郷町)と昨年稼働の
高柿工場(同)に次ぐ三番目の自社工場になる。
 自社、協力両工場の生産量は今春時点で月間約三千四百万
食。生産体制が整うと六千万食程度まで増やすことが可能という。
 

『[農漁食]ミニミニ情報=納豆博士”招いた講演会』
98/10/13 西日本新聞朝刊
 
 ●“納豆博士”招いた講演会 福岡県若宮町で納豆を製造し
ている納豆家族(神戸市)は14日午後1時半から、福岡市博
多区の大博多ビルで「食生活文化講演会」を開く。“納豆博
士”として知られる須見洋行・倉敷芸術科学大学教授が、納豆
の持つ機能性や日本食の意義、食生活の改善方法などについて
講演。定員400人。入場無料。問い合わせは同社工場=09
495(2)3852。
 

『食料自給率、和食でアップ ご飯食べて…農水省新手PR』
98/10/10 東京読売新聞 朝刊
 
◆朝食なら56%、洋食14% 脂肪分の比率も低く
 「和食の良さを見直して!」――。食料自給率の低下に歯止
めをかけたい農水省は、和食と洋食で食料自給率(カロリー・
ベース)がどう違ってくるかを朝食メニューで比較し、データ
をまとめた。それによると、ご飯中心の和食は食料自給率が高
まるのに対し、トースト中心の洋食だと自給率は極めて低いと
いう。農水省は食料自給率のアップを農業政策の目標に掲げる
方針を打ち出しており、こうしたメニュー情報を九九年一月か
ら農水省のホームページに掲載し、毎日の食事から国民に自給
率を考えてもらうことにしている。
 農水省が試算した和食メニューは、日本人の代表的な朝食と
して、ご飯、みそ汁にホウレン草のおひたし、卵、納豆、魚の
切り身の組み合わせを例示した。素材別の自給率は、主原料の
大豆を輸入に頼る米みそが3%と低いが、カロリー摂取量全体
の五割近くを占める茶わん一・五杯分のご飯が自給率100%
なので全体の自給率は56%と高い。また、脂肪分の比率(カ
ロリー・ベース)は25%の適量で、「和食は、とり過ぎると
体によくない脂肪の摂取量も少ない」(農水省)という。
 一方、例示された洋食メニューは、トースト、オムレツ、ウ
インナー、サラダ、牛乳だった。原料が輸入小麦の食パンが自
給率ゼロなのが響き、メニュー全体の自給率は14%にとどま
った。脂肪の比率は53%と高い。
 もちろん、和食、洋食にしても、メニューによっては自給
率、脂肪分の比率も大きく異なるが、今後、別の代表的なメニ
ューも取り上げ、自給率を試算する方針だ。
 和食と洋食を比べると、自給率アップの決め手はやはり「ご
飯=コメ」だ。だが、これまでの米食推進運動は空振り続き
で、「『ご飯を食べよう』と訴えるだけではコメ消費は増えな
い」(農水省幹部)との反省がある。
 また、食料自給率のアップを政策目標に掲げることに対して
は、「食生活への政府介入だ」との批判もある。農水省は「和
食の良さ」を強調する押し付けがましくない形で自給率の向上
を訴え、「総合食料安全保障政策」の基盤固めにつなげたい考えだ。
〈食料自給率〉 国民に供給された食料のうち国内生産がま
かなった割合を示す比率。供給熱量で計算したカロリー・ベー
スの自給率が代表的で、日本は先進諸国で最低の42%(96
年)まで落ち込んでいる。自給率は食品の原料、家畜の飼料の
出所までさかのぼって計算する。このため、たとえばほぼ全量
を国内生産している鶏卵でも、鶏の飼料は大半が輸入に依存し
ているため、自給率は低い。
 

『創る拓く 聞き書き・東北の企業人』
98/10/02 河北新報 朝刊
 
創る拓く 聞き書き・東北の企業人
太子食品工業相談役 工藤一男さん(3)/苦労
15年 昼夜なく仕事
<泊まりがけで勉強>
 戦後は食べる物がなかったから、作れば売れました。ところ
が間もなく、隣の青森県南部町の納豆屋が三輪車を買って配達
することを始めました。当時は、注文が来るのを待っていた時
代。三戸から各地に出向く行商に売った後はのんびりしていま
した。
 だから私は、商売上がったりになるという危機感を持ちまし
てね。自転車で対抗しようとしましたが、もちろん駄目で、同
じ三輪車を買おうとしたのです。ところが父は「待て待て。ど
うせ買うなら四輪車だ」と。それで昭和25年、トラックを買
いました。当時、三戸町に1台あったぐらいでしょうか。この
車で八戸へ売りに行くなど、外に飛び出していったのです。
 このころ、父の知り合いだった仙台の高橋食品から「モヤシ
も面白いぞ」と助言を受けました。当時、この辺でモヤシを作
っているところはありませんでした。私は、社長の高橋三雄次
さんのところに指導を受けに行ってきました。設備の造り方か
ら製造方法、原料の買い方まで、泊まりがけで教えてもらいま
した。でも、高橋さんは“授業料”を一銭も取らなかった。私
は弟子だということで…。ありがたいことでした。
<しみ豆腐にも挑戦>
 そのころ、しみ豆腐作りも始めました。何度も本場の長野へ
行って作り方を学んできたり、大阪へ出向いて冷蔵庫の造り方
を教えてもらったり。その時には、本当によく売れました。た
だ、問題は夏場で、乾燥させる技術を得ようと取り組みを続け
ました。でも、いいものができなくて…。結局、54年、すっ
ぱりやめました。機械は全部スクラップにしました。
 31年に弟の静香(現会長)が独立しました。兄弟2人で、
この狭い地域でやっていてもしようがないな、と。札幌、東
京、名古屋と、独立する候補地を探しましたが、結局八戸に落
ち着きました。ところが、互いに事業が拡大して競合するよう
になりました。私たちはどうということはないが、それぞれの
従業員が張り合う。父からは「兄弟げんかは絶対するな」と言
われていましたから、後でまた一緒になりました。
<亡き父継ぎ店主に>
 その父は36年、69歳で亡くなりました。父に代わって私
が「工藤商店」店主になりました。当時も必死でした。納豆は
生き物で、納豆菌から出た熱が高くなると菌が死んでしまう。
だから、まず晩は9時に寝て11時に起き、室に冷たい空気を
入れる。午前1時にも同じ作業をし、朝3時に室から納豆を出
し、行商の人たちに渡しました。モヤシも、1日4回の水掛け
が必要だったから、必ず夜中に1回掛けました。
 そういう仕事を15年続けたでしょうか。でも、私自身は苦
労とは思いませんでした。父がしてきた苦労に比べれば、ただ
仕事に追われていただけですから。
 
 

『CVS向けカップタイプ「減塩カップみそ汁」4品発売(永谷園)』
98/10/02 日本食糧新聞
 
 (株)永谷園(東京都港区、03・3432・2511)は
9月21日から、塩分カットで健康感を強めた「減塩みそ汁」
のカップタイプを全国のCVSで発売した。初年度売上げ目標
は一〇億円。
 アイテムは「長ねぎ」「ほうれんそう」「とうふ」「納豆」
とバリエーションも豊富。全品とも従来品より塩分を(ナトリ
ウム)二〇%カットしてあるが、味や風味などおいしさはその
まま。カップ型なので弁当向けなどに利便性が高い。カップは
環境に配慮して紙容器を採用した。
 「減塩みそ汁」は4月に袋タイプで発売、健康訴求の新コン
セプトで順調に販売を伸ばしている。形態変更で新規用途を獲
得する考え。
 商品内容は次の通り。
 「減塩カップみそ汁」▽内容量=長ねぎ二〇・五g、ほうれ
んそう二〇・五g、とうふ二一g、納豆二四g▽標準小売価格
=一三〇円▽荷姿=一カップ×五P×六B▽賞味期限=六ヵ月
 

『創る拓く 聞き書き・東北の企業人』
98/09/30 河北新報 朝刊
 
創る拓く 聞き書き・東北の企業人
太子食品工業相談役 工藤一男さん(1)/創業者
納豆製造始めた父
<商店兼食堂を経営>
 太子食品を語るには、父栄次郎を抜きにできません。父は明
治26年、青森県新郷村で生まれ、太子の前身「工藤商店」を
つくり上げました。
 父は小さいころ、実家の酒屋が倒産したために奉公に出るな
ど苦労しましたが、国鉄の保線職員を経て大正8年、商売を始
めました。三戸駅前に商店兼食堂を開き、酒かすやイグサの卸
小売りをしていました。イグサは、リンゴの袋かけに使うひも
の材料に使われていました。
 他人が考えつかないようなアイデアを思いつくのが得意で、
石炭の販売で当てたこともありました。ところが、昭和12年
の日支事変後から経済が統制されるようになり、物を自由に売
ることができなくなって困っていました。そんなとき、納豆と
巡り合ったのです。
<聖徳太子の名から>
 当時、三戸地方は大豆の生産地でした。15年6月、秋田の
小坂町から、納豆屋を営んでいた秋山佐五郎さんが大豆の買い
付けにやって来ました。父は食堂もやっていましたから、偶然
立ち寄った秋山さんと話すことができました。納豆の話を聞い
て面白いと思ったのでしょう。間もなく穀物の移動が禁止にな
ったこともあり、秋山さんと話し合った結果、父のところに秋
山さんが来て、一緒に納豆製造をすることになったのです。秋
山さんは当時、70歳を超えていましたから、余生のつもりだ
ったのでしょう。
 その年の12月に納豆第1号ができ、販売を始めましたが、
これが売れました。でも、秋山さんは17年、満州に渡ってし
まいました。満州鉄道に勤めていた息子さんに呼ばれたからで
す。その時、納豆を作る道具や技術を譲り受けました。戦後、
秋山さんの息子さんは帰国しましたが、秋山さんは帰って来ま
せんでした。
 偶然出会って納豆製造を教え、すーっと消えていった。私の
母そよは、よく言っていました。「秋山さんは神様だった」
と。秋山さんは、小坂鉱山に技師として勤めていたこともあり
ました。鉱山の守り神は聖徳太子。聖徳太子にはまた、納豆を
作ったという伝説もあります。秋山さんは小坂町で「太子納
豆」の名前で販売していました。父もその名前を受け継ぎまし
た。これが太子の原点です。
<教師の道を目指す>
 私は当時、創業にかかわってはいませんでした。そのころ、
貧乏は当たり前。私どもは兄弟8人(女1人)で、両親は子供
たちを養うのに必死でした。長男だった私は、教師の道に進み
ました。当時はまた不況だったし、親は、教師だと食いっぱぐ
れがないと思ったのでしょう。小さいころから世話をしてもら
った伯父が教師だったという環境もありました。家業を継ぐと
は思っていませんでした。(八戸支局・鎌田聡)=5回続き
<くどう・かずお>大正5年12月1日、青森県南部町生ま
れ。青森師範学校卒。同県田子小教諭を経て昭和22年、家業
の手伝いに入る。36年、工藤商店店主。39年、太子食品工
業を設立し、社長。46年、株式会社太子食品と合併し、社長
就任。平成2年、会長。6年から相談役。三戸町川守田在住。
 挑戦、苦労、成功、挫折…。企業を、地域経済を創(つく)
り、拓(ひら)いてきた東北の経営トップを月1回紹介するシ
リーズ。今回は太子食品工業(青森県三戸町)相談役の工藤一
男さんです。
 

『東京パック“98開く:フジテクノ、フレッシュウルトラパンチパック』
98/09/28 日本食糧新聞
 
 フジテクノ(株)(東京都千代田区、03・3864・66
91)は、特許を取得した「納豆製造方法および納豆用トップ
シール」と同トップシールの有孔加工技術を応用してヘッター
部を特殊加工した野菜・きのこ用「フレッシュウルトラパンチ
パック」を展示する。このほか鮮度保持用品、抗菌包装資材、
炊飯保存袋、電子レンジ対応用袋も各企画開発商品ごとのコー
ナーづくりでわかりやすく展示する。
 同社は多くの納豆メーカーが現在も採用している納豆製造方
法とトップシールで7月に特許を取得した。これは溶孔有孔加
工のプラスチックフィルムで大豆を覆い室に入れ発酵させると
いうもの。このトップシールの特性を応用した野菜・きのこ用
パックを8月に発売したため、今回はこのPRにも注力する。
 同パックは埼玉・川口のダイワ包材(株)と共同開発したも
ので、ワリフやネットより割安でヘッターのシール部分が引張
りや外圧で剥がれることがない特殊加工を施した。現在ダイワ
包材が特許を出願中だ。ホチキスなどが不要なためPL法を踏
まえニーズがあるものとみている。
 鮮度保持用品コーナーにはプラチナフォトンファイバーを使
用した「料理の鉄人」などを展示する。これは肉や魚など素材
の水分を活性化させて細胞破壊を防ぎ鮮度保持、風味維持に効
果的だ。ドリップの流出抑制、変色防止効果もあり、飲食店や
鮮魚、精肉売場で幅広く利用されている。
 抗菌包装資材コーナーではワサビやカラシの抗菌効果を利用
した「ワサオーロ」を展示する。天然の揮発性成分で弁当・惣
菜などの鮮度、衛生状態を保持するもので、フィルム状のもの
は製品の上に置くだけで効果がある。炊飯米保存袋コーナーに
は「ライスガード」を展示する。炊飯センターなどが使用して
いるコンテナやイベント時のダンボール配送に保湿内袋として
使用し、炊き立ての味を長時間保ち洗浄を容易にする。電子レ
ンジ対応用袋コーナーには逆止弁機能が付いた「ミラクルレン
ジパック」を展示する。包装のままレンジ調理でき蒸し効果で
食品の温かさが持続する。
 

『納豆自分で作ってごらん、富良野の富士食品、1000万円投じ体験室。』
98/09/25 日経産業新聞
 
 納豆製造の富士食品(富良野市、柿本薫社長)は消費者に実
際に納豆を作ってもらい、納豆本来の味、栄養素などについて
理解を深めてもらおうと、一千万円を投じて体験室をつくっ
た。二十五日から小・中学生や観光客らに開放する。
 体験室は同社敷地内に建設したログハウス風の建物で一階建
て、広さは十三・二平方メートル。専用の発酵室を設けたほ
か、同社の新製品開発のための試験用設備を利用でき、できあ
がった製品を顕微鏡画像で見ることもできる。商品ラベルのデ
ザインも手作りで作製してもらう。
 納豆のほか豆腐、さらに同社の独自商品である納豆サラミな
どの製造も体験できる。同社の柿本亮策会長は「一回に三―五
人しか入れない小さな設備だが、多くの人に昔ながらの納豆の
手作りを体験してもらいたい」と話している。 (旭川)
 

『[みんなの広場]「わが家の納豆物語」=主婦・宗光京子・38』
98/09/25 毎日新聞 大阪朝刊
 
(広島県尾道市)
 「納豆」という存在は、豆を腐らせた存在で、独特の嫌なに
おいがするものと、最近まで思っていた。だから私にとって納
豆のイメージは悪く、まったく遠い存在だった。
 しかし、昨年あたりから納豆が学校給食のメニューに加わり
始めた。そして、わが家の子供たちが「買ってほしい」と言う
ようになった。私は嫌々ながら納豆を売っている店に行った。
見れば、入れもののカップの絵が子供の気に入りそうなので、
試しに買ってみた。見かけも可愛く、においもやさしく、味も
子供が好む味になっていた。
 いつのまにか、おいしそうに食べている子供たちに影響さ
れ、私も食べてみた。特有のにおいが気になるものの、結構お
いしい。
 給食のメニューに納豆が入るようにならなければ、わが家は
一生、納豆と縁がなかったかもしれない。これは、ちょっとし
た「わが家の納豆物語」である。
 

『ジャード、納豆カプセル食品を発売』
98/09/23 日刊工業新聞
 
ジャード(東京都新宿区、03・3953・3781)は納豆
菌培養液濃縮エキス含有食品「納豆習慣=写真」を発売した。
納豆を培養した液を高度な技術で濾過した後、納豆菌やビタミ
ンK2を取り除いて凝縮、カプセル状にした。価格は百八十粒
入り七千六百円、六十粒入り二千八百円。
一粒に納豆菌培養液濃縮エキスを六十g含有しており、二粒で
市販の納豆一パック(三十g)分のナットウキナーゼ活性が得
られる。
 

『ポイント=日々創業』
98/09/21 日本食糧新聞
 
 昨年、納豆業界二位に浮上した、あづま食品(株)本社栃木
工場を取材したが、一番印象深かったのは工場内の熱気▼全ラ
インフル稼働し、ほとんどの同社アイテムが生産され、出荷さ
れる状況を目の当たりにしたが、この調子で行ければ、今年も
業界二位の座は、安泰だと思った。何よりも働く人々の情熱が
感じられ、工場内に熱気が満ちているのだ▼黒崎信也社長は、
「日々創業の原点に戻り、納豆作りに取り組んでいきたい」と
しているが、今、まさに脂が乗り切っている同社にあって、長
年の納豆への真剣な取組みが開花、売上げが伸長し、全社員の
情熱、工場の熱気につながっているようだ。
 

『富士食品、納豆作り、自ら体験――1000万円を投じ施設。』
98/09/15 日本経済新聞 地方経済面
 
 納豆製造の富士食品(富良野市、柿本薫社長)は消費者に実
際に納豆を作ってもらい、納豆本来の味、栄養素などについて
理解を深めてもらおうと、一千万円を投じて体験室をつくっ
た。二十五日から小・中学生や観光客らに開放する。
 体験室は同社敷地内に建設したログハウス風の建物で一階建
て、広さは十三・二平方メートル。専用の発酵室を設けたほ
か、同社の新製品開発のための試験用設備を利用でき、できあ
がった製品を顕微鏡画像で見ることもできる。商品ラベルのデ
ザインも手作りで作製してもらう。
 納豆のほか豆腐、さらに同社の独自商品である納豆サラミな
どの製造も体験できる。同社の柿本亮策会長は「一回に三―五
人しか入れない小さな設備だが、多くの人に昔ながらの納豆の
手作りを体験してもらいたい」と話している。
 

『納豆のセット商品、くめ・クオリティが拡販。』
98/09/10 日経産業新聞
 
 【水戸】納豆大手のくめ・クオリティ・プロダクツ(茨城県
金砂郷町、石塚昇一郎社長)はコンビニエンスストア、スーパ
ーといった業態に合わせた納豆の新製品を相次いで投入する。
納豆と野菜などのセットをコンビニ向けに初めて発売する。ス
ーパー向けにはどんぶりタイプやふりかけとのセットを売り出
す。いずれも納豆を主要なおかずに手軽にできるよう工夫した
もので、納豆の購入層の拡大につなげる。
 「おかず納豆」は納豆と、納豆に合うよう調理した加工総菜
をセットにする。第一弾として野菜と肉類の二種類を用意。野
菜は漬物に近く、肉類も加熱調理して長期間保存が効くように
した。価格は一個百二十円程度。十一月にも関東地方で販売を
始め、順次全国展開する。別の総菜も加えてシリーズ化する予定。
 一方、スーパー向けには九月中に「水戸伝説小どんぶり」を
発売。直径約十センチの小さいどんぶり型の容器に高級納豆
「水戸伝説」を収めた。納豆だけで食べるのではなく、卵など
好きな食材と組み合わせやすくした。価格は二個セットで百二
十八円になる見込み。
 また、九九年早々には「ふりかけ納豆」(仮称)を計画。納
豆に合わせて開発したふりかけを組み合わせ、納豆嫌いの子供
でも食べられるようにする。
 

『地域食品認証制度の見直しに賛否両論、宮城県消費生活審議会』
98/09/10 河北新報 朝刊
 
地域食品認証制度の見直しに賛否両論/宮城県消費生活審議会
 県消費生活審議会(会長・関根正行東北学院大副学長)は9
日、仙台市青葉区のパレス宮城野で会合を開き、県の地域食品
認証制度について協議した。
 県地域食品認証制度は昭和52年に制定され、豆腐、油揚
げ、納豆、こんにゃく、かまぼこの5品目の品質表示基準など
を定めている。しかし、消費者のニーズが多様化していること
などから廃止、または制度の見直しに着手する都道府県が相次
いでいるという。
 会合では「制度の創設から20年以上が経過しており、廃
止、見直しもやむを得ない」とする意見が相次いだ一方で、
「消費者が安心して買い物できる制度は必要だ」との声も出た。
 審議会は委員の意見を集約し、近く県に意見書を提出する。
県はこの意見書を受け、制度の存続を含めた検討を始める予定だ。
 

『[食のふるさと]おしながき水戸の納豆(茨城)朝はやはりこれだ』
98/09/07 毎日新聞 朝刊
 
 日本の朝食といえばご飯にみそ汁、そして納豆。朝はそれさ
えあれば幸せという人は多いはず。
 納豆市場は、全国で1600億円規模。納豆といえば水戸を
連想するが、茨城県産は約6割を占める。
 水戸市本町3の「水戸納豆製造」(高星進一社長)は、19
29年の創業。市内で2番目に古い。月に平均18トンを製造
する中規模の会社だ。わらや木を薄く削った経木に入った手作
り納豆を作り続けている。
 「水戸の納豆の特徴は、小粒なことです」。2代目の高星社
長(66)が話す。この地は度々、秋に水害に見舞われてき
た。そのため、地場の大豆は9月ごろに収穫される早生品種が
主流になった。早生は小粒。だから、水戸納豆は粒が小さいの
だという。輸入大豆が主流になった今も、その伝統が残る。
 2階建ての工場に入る。「夏の間は売れ行きが悪いので、生
産は抑えています」。3代目の高星修専務(45)が静かな工
場を案内してくれた。1階は冷蔵室と出荷作業場、2階に大豆
を蒸す釜場(かまば)、わらに盛り込む作業場、発酵室などが
ある。
 シンとした工場内に、かすかに大豆とわらのにおいが漂って
いた。
 現在、茨城県納豆商工業協同組合の加盟は38社。生産の中
心は大規模な会社がある県南と県北地区。水戸市内には5社だ
けだ。どこも中規模。地元向け中心に土産物用の納豆を作って
いる。主に駅や高速道路サービスエリアの売店に卸している。
 「水戸の納豆が有名になったのは、明治時代に常磐線が開通
してから」(高星社長)という。当時、水戸市内には「納豆売
り」の子供がたくさんいて、納豆屋から仕入れた製品を街頭で
売り歩いていた。売れ行きの悪い日、余りを駅で弁当と一緒に
売り始めたことから県外へ。常磐線伝いに東京に流れ、「水戸
に小粒でうまい納豆がある」と口コミで広まっていった。
 水戸の納豆の出荷量は、現在も伸び続けている。今年も3月
から6月にかけ毎月、対前年比で3・7〜5・2%の伸びだ。
最近の伸びの原因は、健康ブーム。「昔は『安いから食べる』
だったが、最近は『体にいいから』になった」(同)という。
全国納豆協同組合連合会でも大学の研究者に委託し、薬理効果
を調べてもらったところ、脳血栓や骨粗しょう症、O157の
予防に効果が認められたという。O157騒動以後、関西でも
グッと伸びている。
 経木で包装された「水戸納豆製造」の納豆を手にとる。発泡
スチロールのパックがないころは、みなこうだった。木のぬく
もりが懐かしい。経木を開く。納豆を皿に移し、かき混ぜる。
次第に粘り気が強くなる。はしでつまむと、糸がグングン伸び
る。タレをつけずに食べてみる。軟らか過ぎず、きちんとした
歯応え。ほんのりと大豆の香ばしさが口に残った。
 「大豆を水に漬ける時間、蒸し加減、発酵の温度設定の違い
で、各メーカーの味に特徴が出るんです」と高星社長。「大切
なのは適度な硬さ、糸引き具合、香りです」。小粒でわらの香
りがする、よそでは食べられない水戸らしい納豆――それが目
標だという。「創業以来の味を残していきたい」。この道50
年の高星社長は、言葉に力を込めた。【斎藤毅】
 納豆をおいしく食べるには、よくかき混ぜて粘り気を出して
から、しょうゆを加える。逆だと粘り気が出なくなる。通常の
「糸引き納豆」のほか、麹(こうじ)菌で発酵させて作る乾燥
したタイプの「塩辛納豆」もある。このほか、最近は健康食品
ブームを反映して、カルシウム増強に納豆の中にサケの中骨を
入れたものや、乳酸カルシウム、ビタミン入りのタレも登場。
 ◇納豆
 大豆の加工食品。「水戸納豆製造」では、大豆を12時間ほ
ど水に浸し、大釜で2時間蒸す。すぐに納豆菌をかけ、わらな
どに盛り込む。温度42度、湿度90%の発酵室で約20時間
寝かせた後、1昼夜冷蔵室で放冷して出来上がる。
 

『農水省有機加工食品検討委開く、国際基準に沿い策定』
98/09/04 日本食糧新聞
 
 農水省は8月31日、「有機加工食品製造基準等検討委員
会」の第一回会合を開き、CODEXガイドラインなど、国際
的な流れに沿った基準作りを進めることで一致した。
 出席した業界関係者は醤油、味噌、納豆、豆腐、豆乳の大豆
関連業界とソース、菓子の七団体代表で、農水省がまとめた
「有機加工食品製造基準」をタタキ台に意見が交わされた。C
ODEXガイドラインのオーガニック表示は原料の九五%以上
が有機であることを原則に複数の原料を使用する場合には「有
機原料を使った商品」と表示できることになっているが、委員
会でもこの点について意見が出されたようだ。また、輸入原料
が多い現状に対して国内農業の重要性を指摘する意見もあった
ようだ。
 第二回は今月21日に開かれる。なお、加工食品および別途
検討されている農産物の栽培基準がまとまるのを受けて、10
月中旬から下旬にかけて「有機食品の検査・認証制度検討委員
会」が開かれ、有機認証制度作りの結論を出す予定である。
 

『くめ・クオリティ・プロダクツ、総菜セットやどんぶり型、納豆新製品相次ぎ発売。』
98/09/03 日本経済新聞 地方経済面
 
 納豆製造大手のくめ・クオリティ・プロダクツ(茨城県金砂
郷町、石塚昇一郎社長)は納豆の新商品を相次いで投入する。
納豆と野菜などのセットをコンビニエンスストア向けに初めて
発売する。どんぶりタイプやふりかけとのセットも売り出す。
いずれも納豆を主要なおかずに手軽にできるよう工夫したもの
で、納豆の購入層の拡大につなげる。
 「おかず納豆」は納豆と、納豆に合うよう調理した加工総菜
をセットにする。第一弾として野菜と肉類の二種類を用意。野
菜は漬物に近く、肉類も加熱調理して長期間保存が効くように
した。
 コンビニの納豆はスーパーで購入できなかった際の代替品で
あるケースが多く、一店舗で一日四、五個が出る程度。このた
め単独で主要なおかずになる独自の商品を開発、スーパーと異
なるコンビニの利用客にも受け入れやすくする。小売価格は一
個百二十円程度。十一月に関東地方で販売を始め、順次全国展
開する。別の総菜も加えてシリーズ化する予定。
 スーパー向けには九月にも「水戸伝説小どんぶり」を売り出
す。直径約十センチの小さいどんぶり型の容器に高級納豆「水
戸伝説」を収めた。家庭での使い勝手を考え、納豆だけで食べ
るのではなく、卵など好きな食材と組み合わせやすくした。納
豆に合う薬味なども紹介する。小売価格は二個セットで百二十
八円になる見込み。来年早々には「ふりかけ納豆」(仮称)を
計画。納豆に合わせて開発したふりかけを組み合わせて納豆嫌
いの子供でも食べられるようにする。
 同社は今年度から仕事を持つ忙しい主婦を主なターゲットに
する方針を打ち出しており、手軽にきちんとしたおかずになる
製品の開発を進めていた。
 同社の納豆の年間売上高は約九十四億円(九八年六月期)。
ここ数年は毎年八%程度の伸びを見込んでおり、今年度にも百
億円を初めて超える見込み。
 

『[BOOKほん]『遺伝子組み換え食品最前線』=渡辺雄二著』
98/09/02 毎日新聞 朝刊
 
 除草剤をまいても枯れない大豆など、遺伝子操作によって誕
生した遺伝子組み換え農産物が日本の市場に浸透している。
 大豆、トウモロコシ、ジャガイモなど遺伝子組み換え農産物
を原料にした豆腐、納豆、みそ、ナタネ油などが売られている
が、表示がないため、遺伝子組み換えかどうかは分からない。
 「日本で売られている生食用のスイートコーンは、ほぼ10
0%自給なので、組み換えコーンはない。使用されているとす
れば、家畜の飼料やビールの原料となるコーンスターチだろ
う」。遺伝子組み換え食品をめぐる最新の情報を詳しく報告し
ている。環境ホルモンの問題によって、関心が低くなっている
が、この本を読めば、やはり重大な問題なのに気付く。(家の
光協会・本体1400円)
 

『あづま食品、商品開発課を新設――ニーズの多様化に対応。』
98/09/01 日経産業新聞
 
 【宇都宮】納豆メーカー大手のあづま食品(栃木県河内町、
黒崎信也社長)は商品開発部門を強化する。生産開発本部内に
商品開発課を設け、このほど新商品「なめ茸おろし納豆」と
「満点太郎納豆」を発売した。多様化する消費者ニーズに対
応、今後も積極的に新商品を投入していく。
 商品開発課のスタッフは三人。マーケット調査や得意先の要
望に応じて新商品を開発する。
 なめ茸おろし納豆は同社が初めて手がける「総菜納豆」。納
豆と大根おろし、なめ茸を組み合わせた商品。おつまみとして
の需要も見込む。栃木工場で生産、東日本の量販店を中心に、
月間六十万個を販売する計画。価格は百円。
 満点太郎納豆は茨城県産の小粒系「地塚納豆」を使用。種皮
が薄く、脂肪分が少ないのが特徴。高級国産大豆を使用するこ
とで、消費者の“本物志向”にこたえたという。四十五グラム
の納豆三個入りパックで、価格は百六十八円。全国の量販店で
月間六十万パックを販売する計画。
 

『ニンニクエキス使う納豆、納豆家族(新製品)』
98/08/29 日経流通新聞
 
ニンニクエキス使う納豆
 ニンニクのエキスを使用した納豆「無臭華やかに
んにく納豆」。大豆と黒大豆をブレンドして製造。添付のたれ
は通常のニンニクに比べてにおいの少ない品種を採用し、この
ニンニクから抽出したエキスを調味液に配合。
 調味液を納豆にふりかけて食べると、納豆とニンニクの両方
の栄養がとれる。納豆特有のにおいも和らぐという。価格は2
パック(1パック50グラム入り)180円。
 発売元は納豆家族(福岡県若宮町、TEL09495・2・
3832)。
 

『あづま食品、商品開発部門を強化――なめ茸入り総菜納豆など。』
98/08/28 日本経済新聞 地方経済面
 
 納豆メーカー大手のあづま食品(栃木県河内町、黒崎信也社
長)は商品開発部門を強化する。生産開発本部内に商品開発課
を設けたほか、このほど新商品「なめ茸おろし納豆」と「満点
太郎納豆」を発売した。多様化する消費者ニーズに対応し、積
極的に新商品を投入する。
 商品開発課のスタッフは三人。マーケット調査や得意先の要
望に応じて新商品を開発する。
 なめ茸おろし納豆は同社が初めて手がける「総菜納豆」。納
豆と大根おろしとナメタケを組み合わせた商品。おつまみとし
ての需要も見込む。栃木工場で生産、東日本の量販店を中心
に、月間六十万個を販売する計画。価格は百円。
 満点太郎納豆は茨城県産の小粒系「地塚納豆」を使用、種皮
が薄く、脂肪分が少ない。高級国産大豆を使用することで、消
費者の“本物志向”に応えたという。
 全国の量販店で月間六十万パックを販売する計画。一パック
は四十五グラムの納豆三個入りで、価格は百六十八円。
 

『ポイント=納豆販売合戦』
98/08/28 日本食糧新聞
 
 「セブンイレブンでは、納豆の棚替えが、終わったようだ」
と、納豆業界関係者、某氏の言葉▼新アイテムが現れたという
が、氏は、ダイエー、イトーヨーカドーを中心にチェーンスト
ア、また自宅近くのCVSで休日も店頭調査しているという。
時には自宅から二時間もかかる店舗まで行くというから驚きだ
▼感触として今夏も納豆の消費は順調のようだ。そして大手を
中心に各メーカーが、新アイテムを市場投入し、秋の販売合戦
が始まる。商品開発、営業企画などメーカー担当者が工夫を凝
らしたアイテムの登場が期待できるが、消費者がどう判断する
か(どのアイテムを買うか)。興味津々。
 

『旭松食品、秋のプレゼントキャンペーン展開』
98/08/28 日本食糧新聞
 
 【大阪】旭松食品(株)(大阪市淀川区、06・306・4
121)は「’98旭松秋のプレゼントキャンペーン」を実
施、併せて新キャラクター西村知美(写真)を起用したテレビ
CMをオンエアする。キャンペーン応募要項は以下の通り。
▽実施期間=9月20日〜11月30日
▽キャンペーンの対象商品=凍り豆腐、生みそずい、納豆い
ちなどのキャンペーンポイントの付いている同社製品。
▽応募方法=応募はがき(または官製はがき)に、対象商品
のパッケージのバーコード周辺に付いているポイント部分を、
希望コース分だけ切り取って貼り、希望コース(写真)と住
所・氏名・年齢・職業・電話番号などを明記の上、宛先まで応募。
▽宛先=〒106‐0041東京都港区東麻布二‐三五‐一
「’98旭松秋のプレゼントキャンペーン」係
▽当選発表=厳選なる抽選の上、商品の発送をもって発表とする。
▽注意事項=応募ははがき一枚につき一口(一コース)とす
る。なお、各コースに対するポイントの端数は切り捨てとする。
 今秋オンエアのテレビCMの対象商品は、凍り豆腐と納豆
で、新キャラクター西村知美を起用。凍り豆腐は、妊婦および
更年期の主婦をターゲットに、凍り豆腐の健康面を訴求。放送
エリアは近畿中心。納豆は「なっとういち」および「完熟納豆
いち」の商品特徴を明るく消費者に訴求。放送エリアは全国。
 

『梅酢で納豆たれ開発、茨城・JAやさと、夏場の需要喚起へ』
98/08/27 日本農業新聞
 
 茨城県JAやさとは、梅干しの副産物である梅酢を生かし、
納豆のたれに加工する研究を進めている。同JAは地場産大豆
一〇〇%の納豆を製造、生協を中心に供給する。納豆の消費量
が落ちる夏場に、さっぱりした梅酢のたれを付け、需要を促す
考えだ。
 同JAは二十年以上、生協との産直交流を続ける。生協に供
給する生梅の余剰分を活用するため、昨年から梅干し加工の試
験を始めた。併せて、大量に発生する梅酢を使い納豆のたれの
開発に乗り出した。梅干しは塩分一五%で漬け込むため、梅酢
に他の調味料などを混ぜて塩分を抑える必要がある。
 一九八九年に全国のJAで初めて、納豆工場を建設。地場産
大豆一〇〇%の味が人気を呼び、昨年は二百五十万パック(一
パック=五十グラム×二個)を販売した。
 ただ、真夏は、ほかの季節に比べ三〜四割、消費が落ち込
む。同JAは「来年夏をめどに、梅酢の味を守りつつ納豆に合
う、たれにしたい」(対外対策室)と計画している。
 

『くめ・クオリティ・プロダクツ社長石塚昇一郎氏―納豆消費も季節感影響(交差点)』
98/08/26 日本経済新聞 地方経済面
 
 〇…「納豆は気候の変化で売れ行きが微妙に左右される商
品。今年の夏のような天候不順は困りますね」と話すのは納豆
製造大手、くめ・クオリティ・プロダクツ(金砂郷町)の石塚
昇一郎社長。例年、夏は納豆の出荷量が冬の最盛期の半分程度
にまで落ち込む季節。ならば暑さがさほど厳しくなかった今夏
のような気候は歓迎できるようにはた目にはみえるが、そうで
もないらしい。
 〇…「不順な天気が長くダラダラ続くより、例え暑くてもそ
の後ですっと涼しくなるような、季節感がはっきりした方が食
欲も高まる」と見る。もっとも納豆は健康食品として消費がこ
のところ急速に拡大している。この点は一抹の不安を吹き飛ば
す心強い材料のようだ。
 

『本紙大阪支社50周年特集:21世紀戦略を語る 旭松食品・木下社長』
98/08/26 日本食糧新聞
 
 凍り豆腐、即席味噌汁、納豆の三本柱で展開する旭松食品
(株)(大阪市淀川区、06・3064121)は、凍り豆腐
では業界トップ、即席味噌汁では「生みそずい」ブランドで広
く消費者に支持されている。特に、納豆では独自の納豆菌を用
いた「においひかえめなっとういち」が納豆嫌いの関西人の食
文化を変え、近年の納豆ブームの火付け役となったといわれて
いる。
 健康志向を追い風にますます好業績を上げている同社の、二
一世紀に向けての取組みを中心に、木下晃一社長にお話を聞い
た。
 ‐‐今3月期決算は前年比一〇・一%増の一九一億円三五〇
〇万円と好調でしたが、今期に入っての業績はいかがでしょうか。
 木下 6月までの三ヵ月間で、売上げ・利益面とも計画以上
で推移しています。部門別でみると、納豆が二〇%増、即席味
噌汁が一〇%増、凍り豆腐が三%増でした。7月も引続き順調
にきています。
 当社は大豆製品を柱に、常に健康をテーマにした商品を提供
しており、こうした企業理念が時代にマッチしていると自負し
ています。
 7月24日に「思いっきりテレビ」で納豆が取り上げられた
ことを始め、当社が取扱っている商品がテレビの人気番組で取
上げられるチャンスも多く、お客様の関心や認知度が高まって
きました。また、環境問題を踏まえて、去年カップ味噌汁のカ
ップをすべて紙製に変更しました。こうした努力が、お客様に
受け入れられたのではないかと思っています。
 ‐‐納豆では、関東地区での伸長率が高いと聞いていますが。
 木下 昨年関東地区の生産拠点として、埼玉工場を竣工・稼
働させました。需要に応じてラインを増設させていますが、増
設が需要に追いつかないのが現状です。
 七ラインがキャパシティーですが、現在五ラインまできてお
り、高森、小野工場などと共同体制を取っていますが、近い将
来手一杯になるのではないかと危惧しています。
 関東地区の当社の納豆のシェアは、東京都・埼玉県、千葉・
神奈川県の一部など首都圏三〇キロメートル圏内で、一五%を
占めるようになりました。関東の人に「氷温熟成完熟納豆い
ち」がすっかり定着し、店によっては売れ筋の商品の一位に挙
げられるなど、高い評価を得ています。
 逆に関西地区が手薄になった感がありますので、一層の強化
を目指し、秋以降テレビコマーシャルを導入する計画です。そ
の他の地域は供給体制で制約があり、まだまだいけていないの
が現状です。
 ‐‐凍り豆腐・即席味噌汁はいかがですか。
 木下 凍り豆腐の主力商品、一〇切れや五切れなどの素材型
の商品から、味だし付きなどの用途別・簡便型商品に移行して
おり、こうした商品が伸びてきました。新ユーザー獲得のため
にも、長野県凍り豆腐工業共同組合主催で「こうや豆腐消費拡
大キャンペーン」を東京で開催します。これは初めての試み
で、業界挙げての啓蒙活動と張り切っています。
 即席味噌汁では、氷温熟成製法の味噌を使用、アルコールを
使わずに製造していますから、醸造味噌を使った味噌汁に近い
味と評価をいただいています。商品にバラエティーを持たすた
め、期間限定で季節野菜入りを発売するなど、商品開発面で工
夫しております。
 ‐‐世の中は変化のスピードを上げていますが、御社として
もどう対応していかれるのでしょうか。
 木下 世の中の流れが「健康」に向いているので、そういっ
た意味では当社は追い風に乗っているといえます。当社は常に
「顧客の創造、マーケットの創造」をテーマにした商品開発を
進めてきましたが、ISO・HACCPやリサイクル法への対
応、ダイオキシンの発生しない包材開発などの面で、新しい時
代に対応する努力も続けています。
 また、HMRへの対応として、一昨年から業務用をスタート
させました。凍り豆腐が主体で素材から完全調理のお惣菜まで
展開していますが、まだ実験的な段階で、お客様の反応をみな
がら、ノウハウを構築していきたいと思います。
 販売チャネルは惣菜店や量販店のバックヤードなどです。
 ‐‐将来的には凍り豆腐以外のアイテムへも拡大されるので
すか。
 木下 そのつもりです。あくまで健康をテーマにしてですが。
  ‐‐二一世紀の企業ビジョンとこれからの取組みについて
教えて下さい。
 木下 医食同源ではないですけれど、やはりおいしく食べて
健康ということに尽きますね。また、私は商品でも「スクラッ
プアンドビルド」が必要だと常に社員にいっています。時代の
ニーズに合った新しい商品を開発し、合わなくなった商品をス
クラップしていきます。
 例えば、昨年新商品を含めて、味噌汁で八四アイテム、全体
では一一〇アイテムリニュアルしました。一方廃番になった商
品は九五アイテムあります。その分経費はかかりますが、商品
の回転が早いのも当社の特徴です。
 ‐‐二一世紀に向けてのこれからの取組みを教えて下さい。
 木下 高齢化社会を踏まえて、4月から病院給食と、在宅用
病人食材の開発室をスタートさせました。特定の病院で実験的
に展開していますが、きざみ食など約五〇〜六〇アイテムあり
ます。
 冷凍惣菜で提供しておりますが、業務用惣菜と合わせて、二
一世紀への取組みの第一歩を踏み出したというところです。
 

『「納豆味噌」いかが、こだわり商品に手ごたえ、茨城』
98/08/25 日本農業新聞
 
 茨城県味噌協同組合は、同県特産の納豆とみそを合わせた納
豆味噌(みそ)を商品化し、県内や東北地方で売り出した。健
康に良いとされる大豆製品を合わせた付加価値商品として一
層の製造販売を計画している。
 納豆はにおいが強く、日持ちもしない。みそと合わせるため
に一年以上も試行錯誤。納豆を乾燥させて粉末にしてこの問題
をクリアした。納豆は地元業者から調達。みその原料の大豆は
国産の無農薬・有機大豆、発酵用の米こうじには地元産有機
「コシヒカリ」、塩は兵庫県赤穂の天然天日塩、水は筑波山系
の伏流水を使うなどこだわっている。
 四百グラム入りを一万個を製造、一個六百円で売り出しが、
「ほのかに納豆の風味がしておいしい」、「豆のうまみが出て
いる」と好評。今後は「首都圏を販売のターゲットにしたい」
(同組合)と意気盛んだ。
 

『【十字路】「納豆味噌」を開発』
98/08/24 産経新聞 夕刊
 
 ◇…パン食普及によるみその消費伸び悩みをはね返そうと、
茨城県味噌協同組合(水戸市)は同県特産の納豆とみそを合わ
せた「納豆味噌」を開発。県内や東北地方で販売を始めた。
 ◇…においが強く日持ちしない納豆をみそと合わせるため、
地元産納豆を乾燥粉末化。みその原料も国産の無農薬有機大豆
と兵庫県・赤穂の天然天日塩、筑波山系の伏流水、発酵用の米
こうじに地元産有機コシヒカリというこだわりだ。
 

『みそだれで食べる納豆、小杉食品(新製品)』
98/08/22 日経流通新聞
 
みそだれで食べる納豆
 みそだれで食べる納豆「味噌納豆」。健康志向を反映し、納
豆への関心が高まっているが、依然として納豆特有のにおいが
苦手という人は多い。
 同商品は名古屋名物の赤みそを使用した甘口のたれを添付。
しょうゆよりもまろやかな味わいで、みその風味が特有の臭み
を和らげる。小粒大豆を使用したこともあり、納豆が苦手な人
も食べやすい。40グラム×2パック入り、価格は128円。
 発売元は小杉食品(三重県桑名市、TEL0594・22・
1871)。
 

『永谷園のふりかけ「納豆さまさま」(ネーミング)』
98/08/22 日経流通新聞
 
「納豆さまさま」
 永谷園が今年三月発売した納豆のふりかけ。納豆は高たんぱ
くだがコレステロールがゼロ。そのうえビタミン類、食物繊
維、鉄分が多く含まれる“健康食品”。「見た目は地味だが、
効用がたくさんある納豆に敬意を表したネーミングをめざし
た」(斉藤公一広報課長)という。一度聞いたら忘れられない
商品名で、従来品にはないひねりをきかせたネーミングになった。
 

『記者憂楽帳=争いを避ける』
98/08/21 日本食糧新聞
 
 先日、あやめで有名な水郷にある大手納豆メーカーの工場に
取材に行った際、時間があったので、近くの香取神宮に参拝し
た。
 私の尊敬する武術家、飯篠長威斎が剣法の修業をしたという
梅木山に行き、苔がこびり付き、彫られた文字が欠け、今の霊
園にはほとんど見られない、遠い昔を感じさせる長威斎の墓を
見て感動した。
 私が長威斎を尊敬するのは、卓越した武術だけでなく、「兵
法は平法なり」と闘わずして勝つ、次元まで達したことだ。具
体的には、熊笹の教えといわれ、高名な長威斎を倒し、名を上
げようと挑んでくる武芸者に対して、熊笹の上に座って対し
た。相手はあっけにとられ、戦意喪失したといわれる。
 同じように、鹿島の塚原ト伝も、船上である武芸者に流儀を
問われた際、「闘わずして勝つ」と応えた逸話があり、私が最
も尊敬する武術家、日本居合道の祖、林崎甚助重信も「居合と
は人に斬られず、人斬らず おのれを責めて平らかな道」奥義
は刀を抜かぬ事、と句で表現している。
 さて納豆業界、今年も消費は好調のようだが、大手間では、
低価格商品が上段まで侵食しておりますます競争が過熱、中小
メーカーも負けじ、と個性的な商品の開発に力を注ぐ所も多い
が、2月に行われた全国納豆鑑評会に入賞した「小出っ子」を
生んだ、新潟・大力納豆は、他社と競争せず、品切れしても
(少量でも)いい納豆の製造に専念している、という。こうい
う姿勢が大手を含めた今の納豆メーカーには必要ではないか
と、争いを避ける奥義に達した武術家達の逸話を思い出しなが
ら、感じている。(英)
 

『何か悪い病気を起こす細菌の例ばかりあげたようですが(鐘)』
98/08/20 日本経済新聞 夕刊
 
 「何か悪い病気を起こす細菌の例ばかりあげたようですが、
細菌にはいろいろと役に立つものも多いようです」 (畑中正
一著「ウイルスは生物をどう変えたか」)
 細菌にはどうしても悪い印象がつきまとう。例えば赤痢菌に
結核菌。過去、人類は病原菌にどれほど苦しめられたことだろ
う。
 だが必ずしも細菌のすべてが悪役というわけではない。むし
ろ人間の役に立っている細菌も少なくない。乳酸菌はチーズや
ヨーグルトをつくってくれるし、納豆菌を使えば大豆から納豆
ができる。
 敵対したり、仲のいい共生関係を築いたり。こんな人間と細
菌の関係になぞらえられそうなのが地球と人間の関係だ。
 太古の昔から人間にとって地球は寛大な家主だった。人間が
空や海を少々汚しても、地球は文句も言わず自然を浄化し続け
てくれた。だが二十世紀末、人間が吐き出すゴミの多さにさす
がの地球も音を上げた。
 「私は地球。私の体にはりついた微生物が最近、悪さをして
困るの。お薬を飲んで退治しようかしら」。ひょっとしたら地
球はこんなことを考えているかもしれない。くわばら、くわば
ら。(山)
 

『フジテクノが納豆の製造方法とトップシール特許取得、業界内に混乱も』
98/08/17 日本食糧新聞
 
 フジテクノ(株)(東京都千代田区、03・3864・66
91)は、納豆用有孔プラスチックフィルムのトップシール
と、これを使って室で発酵させる納豆の製造方法に関する特許
を7月17日付で取得した。これは多くの納豆製造メーカーが
採用し、主流となっているもの。特許の名称は「納豆製造方法
及び納豆用トップシール」で、取得番号は「PAT〓NO〓2
137320」。特許効力は出願から二〇年間に及び、同特許
は向こう一二年間にわたって効力を発揮する。
 特許の範囲は四項目で、第一には、大豆を蒸して納豆菌を混
入する工程と、この大豆を溶孔有孔加工した直径一〇〇〜五〇
〇μm(マイクロメートル)の孔の有孔率が〇・八〜六・五%
のプラスチックフィルムで覆った後に室に入れて発酵させる工
程からなる製造方法。
 第二は製造工程中の室で発酵させる段階で、フィルムに溶孔
有孔加工された面を下にして大豆を覆うこと。
 溶孔有孔加工した直径一〇〇〜五〇〇μmの孔が多数あり、
その有孔率が〇・八〜六・五%というプラスチックフィルム製
有孔納豆用トップシールそのものが第三。
 第四に、同トップシールの面に文字や図形などが印刷された
ものの四項目となっている。
 納豆は、容器内に蒸した大豆と納豆菌を入れ、インナーフィ
ルムを被せた上にタレや、からしを置き、蒸気が逃げるよう、
孔の開いた蓋(ふた)やシールをして室で発酵させて製造され
る。かつては蓋部分も発泡スチロール製のものが少なくなかっ
たが、カップ入りの需要が増えたことや環境問題への配慮など
もあって、紙製やPSP(発泡ポリスチレン)製容器が台頭
し、蓋の代わりにトップシールを使ったものが主体になっている。
 国内の納豆市場はおよそ一七六三億円、このうち大手一〇社
で七五〇億円を占め、同社の特許製品が使用されているのは三
割強だという。納豆用のトップシール市場一〇億円のうち同社
の現在のシェアは三〜四割にとどまっている。
 取得した特許は、出願から二〇年間にわたって効力がある。
同社は平成2年2月に出願していることから、一二年後の平成
22年2月まで特許効力がある。今回の取得で、多くのメーカ
ーが採用し、主流となっている製造方法そのものが特許の侵害
にあたり、今後、納豆メーカーやフィルム関係業者の間に大き
な影響を与えそうだ。
 取得までには数社からの異議申し立てがあったというが、今
回正式に取得したことで、この問題はすでに解決した。
 今後は全国の納豆メーカーや大手量販店を中心にPR活動を
開始して特許権を行使するとともに、市場占有率アップを図る
ため地方の中小メーカーの窓口となる地域代理店も募集していく。
 

『中部地区夏期特集:旭松食品が9月から秋のキャンペーン』
98/08/12 日本食糧新聞
 
 旭松食品(株)名古屋営業所およびチルド中部営業所(名古
屋市中区、052・339・3127)は、「’98旭松 秋
のプレゼントキャンペーン」を管轄下でも実施する。
 ▽期間=9月20日〜11月30日▽対象商品=キャンペー
ンPOINTの付いている、あさひ豆腐、ダイヤ豆腐、小さな
こうや、ころころこうや、生みそずい袋入、納豆いち、なっと
ういち‐‐の各種製品▽方法=応募ハガキまたは官製ハガキで
要領に従って応募▽当選=抽選により、Aコース(二〇〇人)
カロリースケール、Bコース(二〇〇人)気化式加湿器、Cコ
ース(三六〇〇人)エスプレッソコーヒーメーカー、Dコース
(六〇〇〇人)つぼキュレーター‐‐など合わせて一万人に
「話題の逸品」が当たる。
 

『ヤマダフーズのパック入り納豆「照井さんの豆」(ネーミング)』
98/08/08 日経流通新聞
 
「照井さんの豆」
 ヤマダフーズのパック入り納豆。「照井さん」は実際に岩手
県に住む大豆生産者で、この製品に使用する複数の農家の大豆
をまとめ、代表する役割も果たしている。そこで、ネーミング
にはこの「照井さん」の名前を使い、パッケージに夫妻の写真
を使った。おかげで、「特に地元では評判となり、爆発的なヒ
ットとなった」(営業企画推進室)という。
 

『全納豆連青年同友会が研修会、品質向上へ激論』
98/08/07 日本食糧新聞
 
 全国納豆協同組合連合会(東京都台東区、03・3832・
0709)青年同友会主催の「納豆製品品質懇話会」など平成
10年度研修会が5日、横浜のパン・パシフィックホテルで開
かれ、全国から若手組合員、納親会(納豆機械・資材メーカ
ー)会員、約一〇〇名が出席、消費好調の納豆の品質を向上さ
せようと、激論を闘わせた。
 高星進一全納連会長、井川敏久青年同友会委員長のあいさつ
の後、「だから私は納豆が嫌い」の演題で笑福亭福三、鈴鈴舎
鈴之助、ミスターI(納豆関係者)がバトルトークを展開する
研修会としては、異例のスタート。続いて「食品容器包装の環
境問題」を野村綜合商事(株)代表取締役野村栄司氏が、「遺
伝子組み換え大豆の問題」を互明商事(株)次長高野秀男氏が
講演した。
 研修会の目玉となった納豆製品品質情報懇話会「これでいい
のかウチの納豆」では、(株)大力納豆「小出っ子」など全国
納豆鑑評会入賞製品と青年同友会委員企業の製品を見ながら、
品質・技術・デザインなどについて激論を闘わせたが、現在、
原料大豆は小粒、極小粒が主流だが、大粒は間違いなくおいし
いので戦略次第では売れる、工場ではより一層、衛生管理を徹
底、例えば床をドライにし、雑菌の繁殖を防ぐ工夫をする、ま
た、いい納豆をつくるには、全社員の情熱、コミュニケーショ
ンが必要、などの意見が出た。
 今回出席したのは、ほとんど中小メーカーだったが、大手間
では納入合戦が今年も過熱、上段まで侵食している状況の中、
大手に対抗できる商品を開発・営業展開する上でも、実りの多
い研修会だったようだ。
 

『「サン食品」が自己破産 負債総額12億円/青森』
98/08/05 毎日新聞 地方版
 
 民間信用調査会社・帝国データバンク青森支店によると、青
森地裁が4日、老舗の食品製造会社「サン食品工業」(本社・
尾上町日沼、従業員25人)の自己破産申し立てを受理、同社
は事実上倒産した。負債総額は12億円。大型倒産が相次いで
いる県内は、7月の倒産企業の負債総額が12年ぶりに100
億円を超えており、8月に入っても同様の流れが続いている。
 同社の創業は1906年で、豆腐や納豆、こんにゃくなどを
製造してきた。95年に青森市内から尾上町の尾上農工団地に
移転した。県内の業界では中堅上位だった。しかし、価格競争
や一部商品への苦情、同業者の工場を引き継いで移転した際の
設備投資などから経営が悪化、97年3月期の累積欠損は4億
6000万円に上った。
 一方、農工団地内にある同社の工場や本社の土地、建物は弘
前機能性食品開発協同組合(櫛引元三理事長、組合員6社)の
所有。組合が中小企業事業団の融資を受けて整備、各社は組合
を通じて返済している。
 櫛引理事長によると、事業団融資のうち同社が組合に償還す
べき金額は約3億円で、このほか組合に対し、転貸融資や組合
費滞納で約1億1000万円の負債を残している。事業団融資
については、数社から進出の照会があるため、残りの組合員が
肩代わりする事態にはならないという。【横井信洋】
 

『青森の納豆・豆腐製造、サン食品 自己破産、負債総額12億円』
98/08/05 河北新報 朝刊
 
青森の納豆・豆腐製造/サン食品 自己破産/負債総額12億円
 納豆・豆腐製造のサン食品工業(本社青森県尾上町、野田康
美社長)は青森地裁に自己破産を申し立て、4日受理された。
帝国データバンク青森支店によると負債総額は約12億円。
 同社は明治39年の創業。長年の実績から知名度は高く、青
森県内食品業界で中堅上位に位置付けられていた。
 平成7年、青森市から尾上町の尾上農工団地に工場を移転
し、8年3月期には6億8600万円の売り上げを計上した。
その後、売り上げ低下と採算悪化で9年3月期には累積欠損金
が2億2000万円に拡大し、営業継続が困難と判断した。
 

『納豆最大手タカノフーズ、「紙製トレー入り」拡販――リサイクル法強化にらむ。』
98/07/31 日本経済新聞 地方経済面
 
 納豆最大手のタカノフーズ(茨城県小川町、高野英一社長)
は紙製トレー入り納豆の販売を拡大する。容器包装リサイクル
法の規制が二〇〇〇年に強化されるのをにらみ、発泡スチロー
ル製トレーに代わる容器として育てていく。秋にも紙製トレー
を採用した新商品を投入。紙製トレー入り商品を現在の月産二
十万個から来春には同三百万個に増やす計画だ。
 同社は紙製トレー入りの「おかめ納豆・有機納豆」を五月か
ら関東地区で試験販売してきた。トレー上部をふさぐふたも紙
でできており、利用後はそのまま燃えるごみとして処分でき
る。容器上面に「エコパック紙容器・燃やせます」と印刷する
など、環境への影響が小さいことをアピールしてきた。
 製品は有機栽培大豆を原料に使った高級タイプで、希望小売
価格は六十八円(四十五グラム入り)。消費者の反応を見極め
るため宣伝を避けてきたが、「まずまずの売れ行きで、紙製ト
レーを選ぶ一定の消費者層が存在すると判断した」(梶本幸男
専務)という。
 このため、これまでの一個売りに加え、二―三個をパックに
した新商品などを九月以降、市場に投入する。紙製トレー入り
商品の現在の個数比率は同社全体の〇・二%程度だが、売れ行
きを見ながら増産する計画。
 容器包装リサイクル法は現在、ペットボトルなどの回収・再
利用を自治体や企業に義務づけているが、二〇〇〇年四月から
は樹脂系容器全般に対象が広がる。納豆の容器は約七割が発泡
スチロール製トレー、残りが紙カップなど。再利用は事実上困
難なため、「紙製容器の利用拡大を検討していく」(同)考えだ。
 紙製トレーは不二コーン製作所(静岡県藤枝市、下岡一夫社
長)が製造、専門商社のトレーダムジャパン(つくば市、村田
日出男社長)を通じて調達した。
 

『太子食品工業(青森・三戸町)――原料の安全性前面に(挑む地場企業)』
98/07/27 日本経済新聞 朝刊
 
 青森県三戸町は南部氏の拠点として古くから栄え、伝統的な
食品作りが盛んだ。豆腐・納豆メーカーの太子食品工業は「原
料に遺伝子組み換え大豆を使用しない」と宣言し、安全性・環
境を重視する消費者に訴えかけている。割高な原料を仕入れて
いるため、昨年、商品価格を約五%引き上げたが販売は落ち
ず、工藤茂雄社長は「消費者の支持は得られたと思う」と自信
を深めている。
 五月に日光工場(栃木県今市市)が完成、今秋から機能性を
重視した組み替え大豆不使用の豆腐を首都圏市場に本格的に出
荷する。大市場に商品が受け入れられるかどうか、大きな節目
となる。
 不使用を宣言したのは九七年。安全性・機能性を高める取り
組みの一環だった。天然ニガリを使った豆腐や骨粗しょう症予
防に有効とされるイソフラボンを多く含有する豆腐などを開発
してきた一連の商品戦略と重なる。
 九七年度の納豆市場の規模は約千七百億円で前年度に比べ約
百億円増えた。ただ、同社が地盤とする東日本の伸びは小さ
い。豆腐も年三千五百億円前後の市場だが、伸び悩んでいる。
 成熟市場の中で組み換え原料の不使用は一定の消費刺激効果
を持ったようだが、今のところ追随の動きは出ていない。青森
市のみそメーカー、かねさは「世界的な食糧需給を考えれば、
遺伝子組み換え原料を使わないなどと言っていられないのでは
ないか」と疑問を提示する。
 これに対し工藤社長は「組み替え原料の使用は当社の企業理
念になじまない」と、安全性・環境重視の路線をひた走る構え
だ。 (青森支局)
 

『[今晩のおかず]納豆入りオムレツ』
98/07/27 大阪読売新聞 朝刊
 
【材料=4人前】
卵           3個
納豆       小2パック
牛ひき肉    100グラム
タマネギ       中1個
ニンジン      1/2本
青ネギ         2本
ワカメ  もどして30グラム
キュウリ        1本
キャベツ        2枚
塩、コショウ、油、からし、酢、しょうゆ
………………………………
エネルギー(1人前)135キロ・カロリー
塩分(1人前)1.0グラム
【作り方】〈1〉タマネギ、ニンジン、青ネギはみじん切り
にする〈2〉油大さじ2を熱してタマネギ、ニンジン、牛ひき
肉をいためる。納豆、ネギを混ぜ、納豆についているたれとか
らしを混ぜ4等分する〈3〉卵をよく溶きほぐして、塩、コシ
ョウ少々をし、よく熱したフライパンに油をひき、1人分ずつ
具をのせて焼く〈4〉もどしたワカメは小さめに刻む。キュウ
リは薄く輪切り、キャベツはせん切りにして混ぜ合わせる〈
5〉酢大さじ2、しょうゆ大さじ1、からし小さじ1を混ぜて
からし酢じょうゆをつくり、野菜とあえる。(所要時間約25分)
 納豆は納豆菌の働きにより元の大豆よりビタミンB2が多
く、脂肪の燃焼を助ける。(小倉 澄美)
 

『中埜酢店グループ上期売上高956億円に、食酢などが貢献』
98/07/27 日本食糧新聞
 
 中埜酢店グループ(本社=愛知県半田市、0569・24・
5087)は、九八年度上期(九七年12月〜九八年5月末)
を増収増益の堅調な業績で終えた。グループ合計売上高は九五
六億円、前年同期比一%増。(株)中埜酢店など国内メーカー
部門五五五億円(前年同期比二%増)、朝日食品(株)六〇億
円(同一七%増)の増収が貢献した。健康志向に訴えた食酢、
拡大基調の本みりんやつゆ、冷凍食品「タイムディッシュ」、
納豆「金のつぶ」などが牽引役になった。朝日食品を加えた食
酢以外の製品売上げ構成比は七〇%に達した。下期6月、7月
も食酢、つゆ、納豆が好調に推移しており、通期業績も堅調な
数値で着地しそうだ。
 グループ売上高九五六億円の主な内訳は国内メーカー部門五
五五億円(前年同期比二%増)、朝日食品六〇億円(同一七%
増)、(株)ナカノ三一三億円(同三%減)。
 部門別では研究データを基に健康機能を訴えた食酢がテレビ
の情報番組効果も手伝い堅調に推移した。家庭用二%増、業務
用横ばい、トータルでは一%増。つゆグループは汎用訴求で年
間商材に育ち三一%増と高伸長した。今春新発売の「のっけう
どんつゆ」も好調。冷凍・冷蔵商品は全国発売した「タイムデ
ィッシュ」、「金のつぶ」を中心とした納豆(約五%増)が売
上を稼ぎ全体では一〇%増となった。業務用開発品は四%増。
ドレッシング、つゆ、みりん(ほんてり)、海外提携品が伸びた。
 前年を下回った部門は味ぽんグループ(一%減)、ほんてり
グループ(八%減)、五目ちらし(横ばい)、おむすび山(
三%減)。ほんてりグループは本みりんが分母が小さいことも
あり二六九%増と拡大したが、反比例してみりん風の売上げが
減少した結果。しゃぶしゃぶのたれは二%増と前年をクリアし
たものの、最盛期の水準には達しなかった。下期の滑り出しは
食酢は堅調、つゆ、納豆とも二桁成長を維持している。今期か
ら朝日食品に移管したもずくは原料不足が引き続き懸念材料。
業務用はイクラのO157禍の収束で食酢が回復に転じた。
 

『広島・大和町ハトムギ使い“テンペ”作り、女性部が試食会』
98/07/19 日本農業新聞
 
 【広島・賀茂】大和町蔵宗地区営農組合女性部(十五人)は
このほど、大和町サイクリングターミナルで、地域特産のハト
ムギ、大豆を用いた新しい加工品として、テンペの試食会を開
いた。
 テンペとは、インドネシアの伝統的発酵食品で、通常は大豆
が原料。栄養価、消化性が高く、納豆のようなくせや粘りがな
いので、近年健康食品として注目されている。
 同町は、水田転作として推進しているハトムギの加工に力を
入れており、新しい加工品として“はとむぎテンペ”を取り上
げた。
 五月に岡山工業技術センターでテンペの製造法や料理法を学
んできた、沖ユキ子部長と、東広島地域農業改良普及センター
の池田淳子技師が、試食会を前に、ハトムギ、黒大豆、白大豆
のテンペ製造法を指導。
 試食会ではハトムギと白大豆のテンペと、テンペを使ったみ
そ汁、てんぷら、野菜いためを試食し、大和町長や普及センタ
ー所長、女性部関係者ら三十人が味わった。中でも、ハトムギ
テンペのてんぷらが好評だった。
 試食会に参加した、だいわ特産の菊谷さんは、「道の駅で出
す料理の一つに、テンペ料理をぜひ加えたい」と話していた。
 

『永谷園、中部地区に「減塩みそ汁」4品発売』
98/07/13 日本食糧新聞
 
 (株)永谷園名古屋支店(名古屋市東区、052・931・
3841)は6月23日から管轄下に、塩分二〇%カットの
「減塩みそ汁わかめ」「同ほうれんそう」「同とうふ」「同納
豆」の四品を導入した。荷姿はいずれも三人前×一〇P×八
B。小売一三〇円。
 

『緑茶・納豆・食酢・乳酸菌がO157の予防効果あり』
98/07/11 東京読売新聞 朝刊
 
 病原性大腸菌O(オー)157の予防効果があるとされる食
品類についての研究発表が、相次いでいる。緑茶と納豆、最近
は食酢と乳酸菌製剤にも効果があるという学会報告があった。
しかし、専門家らは「有効としても、それだけに頼るのは危
険」と指摘。これらの予防法はあくまで補助的手段であり、加
熱や消毒、手洗いなどが欠かせないという。
 ◆基本3か条 〈1〉手や器具を良く洗う〈2〉食材、75
度で1分加熱〈3〉食品、長時間放置ダメ
 今月初め、東京で乳酸菌製剤によるO157の予防効果につ
いての研究結果を発表したのは、東海大医学部の古賀泰裕教授
らのグループ。
 乳酸菌製剤を与えてからO157を経口感染させたマウス
と、そのままO157を感染させたマウスとで、感染後の死亡
率とO157が出すベロ毒素が血清中にどのくらいあるかを比
較。その結果、「乳酸菌製剤を与えることによりベロ毒素が腸
管から吸収されるのを阻止し、高い生存率につながった」という。
 4月には名古屋大のグループが、日本農芸化学会で食酢の抗
菌効果を発表した。O157を接種したハンバーグに穀物酢を
加え、生焼け状態にして一日放置したところ、1グラム当たり
の菌数は20個以下にとどまったという。穀物酢を加えない場
合は1グラム当たり1200万個に増加した。
 2年前、大阪・堺市を中心にO157の大規模な被害が発生
して以来、予防法の研究が盛んだ。これまでに、お茶や納豆な
どが有効という研究結果が発表されている。
 お茶の場合、渋みの成分のカテキンにO157を殺菌するう
え、ベロ毒素も解毒する作用があるという。納豆は、納豆菌に
含まれるジピコリン酸などの働きによって増殖を抑え、死滅さ
せるという。
 梅干しや、青梅の搾り汁を煮詰めて作る梅肉エキスにも抗菌
作用があるとされる。
 乳酸菌製剤に関しては、厚生省のO157治療マニュアルで
も「投与については国内外において有効であるとの報告が行わ
れている」と紹介しているが、「予防効果の有無はコメントで
きない」(同省結核感染症課)と慎重だ。
 また、これらの研究はいずれも実験にとどまり、実際に人間
の腸の中で効果があるのかはまだ不明。国立感染症研究所細菌
部長の渡辺治雄さんも「例えば、乳酸菌の腸への定着度合いは
人によって違い、一日何度も飲む必要があるとなると実用的か
どうか疑問。乳酸菌製剤を飲めば何を食べても大丈夫と、注意
を怠る方が心配だ」と指摘する。
 今年、O157に感染して症状が出た人は404人、昨年同
期より3割以上少ない。油断せず、流行を抑え込みたいところだ。
 渡辺さんによると、O157予防の基本は、〈1〉手や調理
器具はよく洗い、生肉などがついた包丁、まな板類は熱湯消毒
〈2〉食材は75度で1分以上加熱〈3〉調理前後の食品は、
室温に長時間放置しない――などだ。「これらをしっかり守っ
たうえで、乳酸菌製剤などは補助的な予防手段と考えた方がい
い」と話している。
 

『企画[噴気口]「納豆の日」で鹿県内業者が福祉施設に納豆贈る』
98/07/11 南日本新聞夕刊
 
 ○…七と十でナットー。というわけで七月十日は「納豆の
日」。全国納豆協同組合連合会に所属する鹿児島県内の納豆業
者二社は、児童福祉施設を中心に県内の約四十の社会福祉施設
に納豆約三千食分を贈った。毎年この日にプレゼントしてお
り、今年で五年目。
 ○…鹿児島市坂元町の母子生活支援施設「千草寮」には、二
社の社長が直接出向き「納豆は健康にいいと見直されている。
納豆を食べて健康になってください」とPR。子供たちは昼食
のごはんに納豆をのせて、おいしそうにほおばった。
 ○…同寮の丸尾直樹寮長は「子供たちはいつもこの日を楽し
みにしている。毎年多くの施設にいただいており、ありがたい
こと」と話していた。
 

『納豆菌で優しい精練(トピックス)』
98/07/09 日経産業新聞
 
 繊維学会が六月末に開いた年次大会で注目されたのがバイオ
精練。「ヒトと環境に優しい繊維産業をめざして」進められて
きた酵素化学の研究が実り、従来の化学精練に取って代わる新
技術が実用化されだした。
 暑さの折には吸湿性のある綿の肌着が好まれる。その原綿に
は四、五%の不純物が含まれており、ペクチン、綿ろう、たん
ぱく質などを含むクチクル層、網状層で覆われている。ペクチ
ンは糊(のり)の役目をし、吸湿性や染色性を損なう不純物の
主役だが、これを取り除くのが精練。
 そこでカセイソーダなどアルカリによる高温処理で精練して
いたが、作業環境や強いアルカリ廃液の処理などに問題があっ
た。これを酵素で処理する方法が大阪府立大学や近畿大学など
の大学、民間企業も参加したバイオ精練研究会で確立され、納
豆菌の一種、酵素プロトペクチナーゼを使って化学精練技術と
同様な効果を出すことに成功した。
 研究会会長の高岸徹阪府大教授は「温度も半分に下げた優し
い反応で廃水負荷も低減、コストも下がるので今後の普及が楽
しみだ」と話している。 (技術士 鈴木清)
 

『九州食品産業特集 本州とひと味違う食文化 マルキン食品』
98/07/08 日本食糧新聞
 
 マルキン食品(株)は大正4年、穀粉類の製造、販売から出
発した。
 平成7年3月には創業八〇周年を迎え、納豆業界では西日本
有数の総合食品メーカーに成長した。
 今では納豆、コンニャク、ところてん、豆腐など日本の伝統
ある食品を製造販売している。
 そこには、健康的な食品の創造をテーマに、さらに時代の求
める新しい味を追求している。
 販売シェアも高く、永年の健康を柱とした企業姿勢が実を結んだ。
 食に対する消費者のニーズが、多様化している今、同社はあ
くまで「安心と健康」にこだわった商品を開発していく。生活
者の声に耳を傾け、それを反映した商品開発の裏には、創業以
来の企業スローガンである「愛ある味のパートナー」の中にす
べてが込められている。
 健康を支える食の重要性が高まる中、食を通じて人々の豊か
な生活に貢献するという企業姿勢で、古き良きものを大切にし
て、次代の飛躍に向けて挑戦を続ける。
 本社所在地=熊本市世安町三八〇、電話=096・325・
3232、FAX=096・325・3233
★ わが社の売れ筋商品
 「元気納豆無農薬一〇〇%」は、米国産有機栽培大豆を使用
している。消費者の健康志向は高まる一方で、健康食である納
豆が近年、脚光を浴びている。
 だが、完全な無農薬大豆使用の納豆は少なく、本物の無農薬
の納豆を食べたいという消費者の声を反映したのが、この商品。
 「有機栽培」とは、農薬と化学肥料を一切使用せず、堆肥な
どで畑の土作りを三年以上行い、栽培から収穫するまでをい
う。その有機栽培の大豆を一〇〇%使用した。
 身体によいものしか使わない。原材料にこだわる同社のポリ
シーを商品化した。有機栽培大豆の持ち味である柔らかさを独
自の製造方法で、よりその特徴を引上げ、自然な味わいが生き
ている。
 内容量三〇g×三パック、荷姿二〇入り、小売価格一三〇円。
 

『[みんなの広場]健康には大豆食品と梅干しだ=会社員・阿部晃・56』
98/07/07 毎日新聞 朝刊
 
(大阪市平野区)
 梅雨の季節は特に、食中毒に気をつけたい。
 そこで食生活に、日本古来の伝統食品であるみそ、納豆など
の大豆食品と梅干しの効用を見直したい。納豆には、良質のた
んぱく質と消化酵素やレシチンが含まれ、免疫・治癒機能を活
発にする。
 納豆菌はアミノ酸を作り、脳の機能を活発にする効果がある
うえ、血管を丈夫にする働きが認められ、基礎体力を強くする
健康食品といわれる。
 また、梅干しも食欲増進と殺菌効果のある食品とされている。
 そこで朝食には、香り高い「みそ汁」と、納豆に生卵とネ
ギ、ノリを入れた「納豆ご飯」で、朝の出発が快い。
 梅干しは食欲を誘い、食中毒の予防にもなり、一石二鳥であ
る。蒸し暑い夜も、就寝前に妻の手作りの梅酒を一杯たしなむ
と、心地よい眠りで、睡眠不足の解消にもなる。
 

『[憂楽帳]大豆』
98/07/01 毎日新聞 中部夕刊
 
 冷ややっこ、枝豆、納豆。ビールのうまい季節、つまみに欠
かせないのがこれだ。ところが、原料の大豆が危ないという。
輸入の大半を占める米国産に遺伝子組み換え大豆が増えている
からだ。遺伝子組み換え食品の安全性ははっきりしていない。
これでは安心して冷ややっこが食べられない。
 心配していたら、日本消費者連盟が大豆畑のオーナーを募集
する国産大豆トラスト運動への参加を呼び掛けているのを知っ
て、早速応募した。1口4000円を出資、静岡県細江町で約
30平方メートルの畑のオーナーになった。遠く福岡や大阪、
兵庫からも申し込みがあり、予想以上の人気という。5日には
交流会を兼ねて植えつけ作業をする。順調にいけば、秋には約
6キロの収穫が見込めるという。
 大塚勝夫早大教授が著書で「農的生活」を提唱している。
「農業生活」とも「農村生活」とも違う。自然にやさしい、生
命を大切にする、生態系を守る、自然体で過ごす。そんな自然
と共生する生き方が行き詰まった時代を切り開く、というわけだ。
 大豆は97%を輸入に依存している。始まったばかりのトラ
スト運動が自給率アップにどれほど寄与できるか分からない。
問題は数字ではなく実践することである。【白木〓】
 

『極小粒を使った納豆、ヤマダフーズ(新製品)』
98/06/27 日経流通新聞
 
極小粒を使った納豆
 テレビドラマの人気にあやかって商品化した「徳
川慶喜納豆」。慶喜の出身地、水戸市で開発され、米国で栽培
した極小粒大豆「地塚大豆」を輸入して使用。古来のワラを使
う製法を参考に、低温でじっくり時間をかけて発酵・熟成させ
た。特有のにおいが抑えられ、まろやかな味わい。
 特製の梅しそたれと、専用のたれやからし付き。3パック入
り(1個50グラム)、価格は158円。
 発売元はヤマダフーズ(東京都足立区、TEL03・385
5・2504)。
 

『国産原料でこだわりの味、食品メーカーが地域農業を応援、静岡』
98/06/27 日本農業新聞
 
 新農基法の検討が進んでいる中で、静岡県内産・国内産農産
物を加工する側から応援する静岡県こだわりの味協同組合。
「安心・安全」を前面に掲げ、県内食品メーカー五十社と、J
A静岡経済連など五十以上の賛助会員が加盟し、地域農業を後
押ししている。
 組合設立は一九九六年十二月。個性化によるメーカーの生き
残りのためはもちろんだが、(1)その地方独自の味・文化を
守る(2)日本の農業・畜産業・漁業を守る――なども設立理
念にうたっている。納豆製造では県内最大のシェアを誇る冨良
食品社長で同組合の代表理事を務める冨永昌良さん(五四)は
「日本農業を子孫に残すのが務め」と話す。
 同組合が認定する商品は納豆や豆腐、コンニャク、うどんな
ど二百種を超す。JA遠州中央から大豆を納入するなど、県内
産を基本に国内産を使用。県内・国内産で賄いきれないものは
輸入に頼る。添加物は使わない。厳選したものだけを認定商品
として販売している。認定商品は、JA静岡経済連のふれあい
便にも使われているほか、JA静岡市など一部Aコープにも卸
している。
 冨永理事は「納豆にしてもうどんにしても、静岡産の小麦で
おいしものができる」と、県産原料の商品に自信を見せる。た
だ、「原料の供給がまだ安定しないことが残念」(冨永理事)
と言う。国産原材料を使うことで割高になりがちな価格は、物
流形態の一括化や独自のルートを使うことでコストダウンを図
っている。
 認定商品には統一デザインを採用。「自然の味 そのまん
ま」と記される。同組合内の商品委員会でチェックし、クリア
した品だけが受けられるものだ。安定して原材料が入手できる
商品には、生産者名も明記している。
 「組合の事業は軌道に乗ってきたばかり」と冨永理事は言う
が、事業が完全に定着するには消費者の意識改革の必要性を挙
げる。さらに、第一次産業の振興も視野に置き「加工業者の立
場から日本の農業をどう守るか考えていきたい」と、農業にエ
ールを送っている。
 

『[期待の色大豆](3)、秋試緑1号、実の中まで青く加工向き』
98/06/25 日本農業新聞
 
 「秋試緑1号」は中生種の青大豆。秋田県農業試験場(秋田
市)が、鹿角地方に古くから栽培されてきた在来種「雪の下」
の中から系統を選抜し、育成した。濃い緑色の大粒種で、品質
が安定して加工に向く。昨年三月に県の認定品種に採用された
ばかりだが、栽培面積はすでに在来種の「青目大豆」を抜い
た。豆腐やドレッシング、納豆などさまざまな加工品が市販さ
れている。
 「秋試緑1号」は裂皮が少なく、倒れにくいため、コンバイ
ンなど機械収穫に適している。子実は「青目大豆」よりもやや
小さいが、百粒重は四十グラム前後と極大粒品種に属する。ま
た、実の中まで青いため、加工しても色が映えるなど品質評価
は高い。
 同農試によると、今年の県内での青大豆栽培面積は約百ヘク
タールで、そのうち七十ヘクタールを「秋試緑1号」が占める
見通しだ。極晩生種の「青目大豆」よりも成熟期が一か月早い
十月上旬で、品質が安定することが品種更新のポイントとなった。
 十一月になると天候が悪くなり、雨や雪が降りやすい。同農
試は「雨に当たると大豆の色が落ち、凍霜害で品質が落ちるこ
とが多い」(園芸畑作部)と、晩生の「青目大豆」の弱点を指
摘する。た「秋試緑1号」は「青目大豆」と比べて登熟が良
く、収量が二割ほど多いことも強みだ。
 同県内の最大産地は大潟村。昨年度からの取り組みで、今年
の「秋試緑1号」の栽培面積は五十ヘクタール程度を見込む。
契約生産の形を取り、集荷に当たる同村カントリーエレベータ
ー公社が売り先を探し、村内や首都圏の業者と契約している。
 業者は豆腐を主体に加工利用している。青大豆豆腐を長年、
製造してきた業者は「在来の青大豆と比べて色、味、歩留まり
とも大幅に良くなった。黄大豆よりうまみのある青大豆豆腐の
生産を増やしていきたい」と評価する。このほかに納豆や冷凍
乾燥した菓子類も市販され、県段階では「ひたし豆」加工も検
討されている。
 JA大潟村でも「秋試緑1号」を加工・販売する。豆腐とア
イスクリーム、大豆ドレッシングで、「青目大豆よりも加工適
性は良い」と、同JA生産販売課。有力な転作作物としての定
着を目指す。
 

『[論説]消費増やそう国産原料納豆』
98/06/24 日本農業新聞
 
 各地で、転作大豆が増えている。大豆を使った食品は体に良
いことも分かっている。中でも納豆はいろいろな面で注目され
ている。そして同じ納豆なら、国産大豆で作ったものがおいし
いことも、証明されている。
 家計調査によると、一九九六年度の全国一世帯当たり納豆の
消費金額は、三千四百二十一円で前年に比べて九・二%も増え
た。この年、全国的に猛威をふるった病原性大腸菌O(オー)
157に対して、納豆の抗菌効果が注目されたためだった。多
くの効用に注目
 O157が激しかった西日本で、特に消費が伸びたのも、健
康食品としての効用が注目されたからだ。
 豊かな栄養分だけでなく、納豆は多くの効用をもっている。
納豆の酵素であるナットウキナーゼは、脳卒中や脳梗塞(こう
そく)を引き起こす血栓を溶かす治療薬として使われている酵
素のウロキナーゼと似た働きをするので、その名が付いた。納
豆業界によると、納豆百グラム(二パック)中に、ウロキナー
ゼ一回分の投与量に相当するナットウキナーゼが含まれている。
 納豆に多く含まれているリノール酸は、心臓病や高血圧の予
防に効果的と言う。また、神経伝達物質であるアセチルコリン
を作りだレシチンを多く含み、脳の老化を遅らせ老人性痴ほう
症の予防にも効果があるようだ。骨粗鬆(しょう)症の予防に
も良い。納豆一グラム中に十億個といわれる納豆菌、その納豆
菌が作るさまざまな酵素は消化も助け、便秘の予防にもなる。
 さまざまな効用が注目されている納豆だが、食べておいしい
のは、国産大豆を使った製品の方だ。納豆業界は、毎年、専門
家による食ベ比べによる鑑評会を開いているが、上位の入賞
は、決まって国産大豆使用の製品である。
 一般の消費者の官能試験でも輸入大豆で作った納豆より、国
産大豆でできた方がおいしいと評価されている。最近、納豆に
限らず消費者が国産大豆使用と表示してある製品を選ぶのは、
輸入大豆に対する各種の不安もあるが、基本的にはおいしいと
いうことだろう。 大豆の国内需要量は四百九十万トン。油用
が中心だが、みそや納豆など食用大豆の需要量は九十二万ト
ン。これに対して、国産大豆の生産量は九六年で十四万八千ト
ンに過ぎない。国産大豆の需要先は、豆腐・油揚げ用が五三
%、煮豆・総菜向けが二〇%、納豆向けが一一%、みそ・しょ
うゆ向けが一一%である。日本型食生活にも
 今年は米転作で、国産大豆の作付けが大幅に増えるだろう。
生産は年によって大きく振れ、流通価格も大きく動いてきた。
ここに来て相場が弱くなってきている。しかしこれは、納豆や
豆腐業界などから見ると、輸入大豆との比較で、それだけ国産
大豆を使いやすくなってきたことでもある。
 大事なことは、国産大豆を増産しつつ生産量を安定させ、食
品業界がより使いやすいようにしていくことで、国産大豆製品
の需要をより広げていくことだろう。
 納豆の消費は、日本型食生活の良さにも通じる。七月十日は
納豆の日だ。もっと納豆を食ベよう。
 

『「納豆大好き」が多数 業界挙げてのPRが効果』
98/06/19 日本食糧新聞
 
 日本食糧新聞社が、5月下旬、約二〇〇人に実施した「納豆
に関するアンケート」によると、九割の人が納豆を「好き」と
答え、八割の人が「スーパーで購入する」などの集計結果が出
た。このアンケートは、日食ふれあいクッキング(料理講習
会)の参加者を対象に、納豆について一〇項目の質問を行った
もの。
 納豆に対するイメージでは「健康的」と答えた人が七割、
「安い」と答えた人が三割で、購入目的は、「習慣」「冷蔵庫
にいつも買い置きしているから」と答えた人がそれぞれ三割、
ほかに「いつもあると便利」「手軽に食べられる」と答えた人
もいた。
 また納豆を買うとき重視することでは、「価格」「ブラン
ド」「特にこだわらない」がそれぞれ三割で、「パッケージ」
と答えた人が約一割いた。
 購入する場所としては、八割の人が「スーパー」と答えて圧
倒的に多く、「一般小売店」「コンビニ」がそれぞれ一割だった。
 ほかに納豆関連商品の項目で注目されている「納豆ふりか
け」を知っている人は一〇四人とやはり多かったが、「ドライ
納豆」を知っていると答えた人が六〇人、「納豆アイスクリー
ム」を知っていると答えた人が一一人と意外な結果も出た。
 納豆の市場規模は約一七六〇億円、平成9年には約一六〇億
円増、前年比約一〇%の驚異的な伸びを示し、平成7年から三
年間落ちることを知らず、食品業界異業種からも注目されてい
る食品。
 その背景には、O157禍の影響(納豆菌の抗菌力が再評価
された)や従来、食べる習慣のなかった関西地区へのメーカー
の進出もあるが、ここ数年、全国納豆協同組合連合会が力を注
いできたPR活動が最も功を奏したといえるだろう。
 全納連のPR部会では、7月10日の「納豆の日」の意識付
け、昨年11月7〜9日「農水祭」への参加を各単協の協力を
得て実施、今年も消費拡大に向け、さらにPR活動を積極的に
行うという。
 また大手メーカーも納豆売場にテレビを置き、納豆料理のレ
シピをビデオで流したり、積極的に消費者キャンペーンを実施
するなど販促活動に力を入れているが、いずれにせよ消費者ニ
ーズに即したPRがポイントで、今回のアンケートは一つのヒ
ントになるといえそうだ。
 

『くめ・クオリティが経営本部移転』
98/06/12 日本食糧新聞
 
◆くめ・クオリティ
 納豆メーカー大手、くめ・クオリティ・プロダクツ(株)
は、6月1日から経営本部を移転した。
 住所は、〒101‐0032東京都千代田区岩本町一‐三‐
一、ニュー中野ビル九F、TEL03・5833・7527、
FAX03・5833・7528。
 

『杉山産業化学研究所、納豆の不思議で講演会開く』
98/06/05 日本食糧新聞
 
 (財)杉山産業化学研究所(横浜市戸塚区、045・85
2・4011)は5月28日、「納豆の不思議‐最近明らかに
された効能成分」の演題で第四六回公開講演会を同研究所講堂
で開催した。
 納豆は、昨年、全国の消費金額で前年比約一〇%増の驚異的
な伸びを示しているが、特に従来、食習慣がなかった関西地区
への大手メーカーの拡販、業界挙げてのPRなどが功を奏して
か、その機能性に対する認識が消費者間で広く定着しつつある。
 講演では、倉敷芸術科学大学機能物質化学科教授で、日本工
業技術振興協会「天然物・生理機能素材研究委員会」委員長の
須見洋行氏が、血栓を溶かす強力な酵素ナットウキナーゼ、骨
粗しょう症予防に働くビタミンK、O157に対する抗菌作用
など納豆の効用について説明した。
 聴講者は、学校給食の栄養士の他、一般の人達も多く、納豆
に対する消費者の関心の高さが改めてうかがい知れた。
 

『東北版 かねさ、FD即席味噌汁3品発売』
98/06/05 日本食糧新聞
 
 かねさ(株)(本社=青森市、0177・39・5211)
は、フリーズドライ製法による乾燥タイプのブロック味噌汁三
品を6月1日から新発売した。
 商品は「長ねぎ汁」「きぬさや汁」「納豆汁」。手軽に本格
的な味噌汁ができ上がる。
 三品とも内容量は九g、価格は卸七五円、標準小売一〇〇
円。荷姿は一ケース一食×五×一二
 

『納豆、みそを、転作物の利用呼びかけ、茨城県農業総合センター』
98/06/04 日本農業新聞
 
 転作などで生産の増加が見込まれる大豆、麦を有効に利用し
ていくため、茨城県農業総合センターでは、ちらしを配布して
納豆、豆腐、みそづくりなどを積極的に取り組むよう呼び掛け
ている。「手作りの味」ブームをキャッチして、自家利用はも
ちろん、直売所などでの販売を視野に農家所得の向上を期待し
ている。
 同県の昨年の転作対応では、麦が三千四百ヘクタール余り、
大豆が一千ヘクタール余り。麦・大豆で転作面積の三分の一を
占める。今年は転作等目標面積が二六%増えることから、麦・
大豆の生産増加が見込まれている。
 加工への取り組みは、地域活性化のほか、付加価値を高めて
農家所得の向上に結びつけることも期待している。
 ちらしはB4判。大豆では、豆腐、納豆、みその「三セッ
ト」を用意。作り方の基本を分かりやすく説明している。また
麦では、うどんの作り方を説明している。同センターでは、各
農業改良普及センターを通じて、農家の要望に沿って指導して
いく考え。
 県内の各直売所では、みそを一キロ五百〜六百円程度で販売
されている。手作りの味ということで、直売所の「定番商品」
となり人気を呼んでいる。
 

『総会開く 全国納豆協組連、“からだに良い”積極PR』
98/05/29 日本食糧新聞
 
 全国納豆協同組合連合会(東京都台東区、03・3832・
0709)は5月20日、第四四回通常総会を東京・池之端の
ホテル ソフィテル東京で開催した。
 高星進一会長は、あいさつで「混迷する日本の経済状況の
中、連合会もどういう方向に進むべきか模索している」とし、
「流通もグローバル化され値段の状況も厳しく、納入価格が下
がっているようだが、納豆に関しては、他の生鮮食品よりは足
腰が強い業界だと力説。いずれにせよ消費拡大を図ることが一
番で、納豆は本当に体に良いことを浸透させるためPRし、大
変な時代であるが進んでいきたい」と語った。
 議事は、第一号議案(平成9年度事業報告承認の件)から第
八号議案(借入金限度額承認の件)まで可決、承認された。
 また総会に先だって、2月に開催された平成9年度全国納豆
鑑評会の表彰式が行われ、最優秀賞(農林水産省食品流通局長
賞)を受賞した(株)大力納豆(新潟県)「小出っ子」ほか六
社が表彰された。
 

『大豆関連業界が自主基準、原産国表示を徹底へ』
98/05/25 日本農業新聞
 
 大豆関連業界は、国産大豆製品の原産国表示を徹底するよう
取り組み始めた。全国納豆協同組合連合会は、国産大豆七〇%
以上使用だけに「国産大豆使用」の表示ができる公正競争規約
の原案を先の総会でまとめた。内部でさらに検討、年度内にも
実施の考え。みそ、しょうゆ、豆腐の業界も原料の適正表示に
向けて取り組んでいる。
 納豆業界がまとめた公正競争規約案は、国産大豆使用を表示
できる基準などを決めている。この原案をもとに、消費者やメ
ーカー、学識経験者などによる検討会を設け、意見を聞いてい
く。業界内には、公正取引協議会を設ける。
 基準によると、国産大豆使用の表示は「国産大豆の割合が七
〇%以上」の場合で、さらに使用割合を明記しなければならな
い。「国産有機栽培大豆使用」など国産有機を強調する場合
は、国産一〇〇%で、しかも農水省の有機農産物等特別表示ガ
イドラインを守っていなければならない。
 また、輸入大豆で「有機無農薬大豆使用」などと表示する場
合は、原料大豆の産地国など原産地を明示、有機無農薬大豆一
〇〇%使用の場合に限る。このほか、成分や原材料などが実際
より著しく優良であると誤認されるよな表示は不当表示として
禁止する。
 みそ業界も、表示のあり方検討委員会を設け、各種の強調表
示について検討しており、当面、適正表示のマニュアルを作る
計画だ。
しょうゆ業界も、有機しょうゆの基準作りで原料大豆のあり方
を検討している。豆腐業界は、これまでに作っている自主規格
を基に、国産大豆使用などの適正表示を進めている。 全国納
豆協同組合連合会の黒田敏昭専務は「国産大豆や有機大豆な
ど、食品の強調表示に対して、消費者の関心が高まっている。
納豆も、業界自ら基準を作り、あいまいな表示をなくすように
していきたい。原案をもとに、さらに、消費者の意見を聞い
て、公正取引委員会の認可を受ける競争規約にしていきたい」
と話している。
 

『納豆のあづま食品、PET容器採用で環境対策に貢献』
98/05/25 日本食糧新聞
 
 昨年、果敢な営業力で、納豆業界二位に浮上した、あづま食
品(株)(栃木県河内郡、028・672・2131)は、西
暦二〇〇〇年を目前に、文明の発達と裏腹に地球環境を含め、
人間の生活環境は厳しくなっていると認識、環境問題が今後の
大きな課題となっているとし、この状況を踏まえ「おいしさと
安全」の納豆を追求する新しい提案が“PET素材のトレーを
使った納豆”。大きな特徴は、(1)環境に優しく(2)おい
しい納豆が出来(3)便利で使いやすいこと、とアピールして
いる。
 環境にやさしい、とは、PETは炭素・酸素・水素の三元素
から出来ているので、完全燃焼させると炭酸ガスと水だけにな
り、不完全燃焼であっても、ダイオキシン、塩化水素ガス・亜
硫酸ガスなどの有害ガスが発生せず、燃焼カロリーも低く、ゴ
ミ焼却炉を痛める恐れもない。また焼却ゴミとし処理すること
もできるが、リサイクルできることが最大のメリットだという。
 PETトレーでおいしい納豆が出来るのは、従来の発泡スチ
ロールトレーに比べて容積が約三〇%大きく、より一層均一な
ムラのない発酵となり、熱伝導率が高いため低い温度で穏やか
に発酵が進み「焼け」(十分発酵出来ない状態)も起こりにく
くなる。また発酵終了後は速やかに冷却が出来、発酵を停止さ
せておいしさを封じ込め、更にシュリンク包装により、空気の
流入を少なくして、「乾燥」と「二次発酵」を抑えて、おいし
さが長持ちするという。
 発泡スチロールより強度が高いので割れたり、穴が開いたり
する心配もなく、しかも混ぜやすい。また邪魔な蓋が無く、開
けやすいトップシールで中身も見えて安心、便利で使いやすい。
 同社のPET使用の製品で、一番売れているのが「新極小粒
3P」、ファミリーマートなどCVSで販売されているのが
「極小粒1P」(写真)、二番目に売れているのが「有機一番
3P」。「同2P」もあり、いずれも原料は米国産でOCIA
の認定、「無添加、無着色」のたれからし付き。他に「国産ひ
きわり3P」は、栃木産タチナガハ(大粒大豆)を六〜八分
割、特製まろやかたれ付き。
 このように同社は、PET素材のトレーを使った製品アイテ
ムも豊富に揃えた納豆メーカーとして環境対策に貢献している。
 

『[掘り起こせ地元消費]4、納豆づくりの宿「くすの木」−千葉県』
98/05/08 日本農業新聞
 
 千葉県和田町の体験交流施設「くすの木」は、自分が作った
納豆が食べられる。味がよいので持ち帰る客も多く、一パック
(八十グラム)五十円で販売。みそ、田舎ずし、もちつきなど
もできる。みそは、熟成のための保存も引き受ける。無農薬栽
培の大豆をはじめ原料はすべて地元産だ。
 同施設は、小学校跡を利用した宿泊施設で昨年末オープン。
同町上区自治会が「くすの木王国」を組織、町から運営を受託
した。田植えや乳搾り、花摘みなどの体験メニューもある。先
の連休明けまでで日帰りを含め千七百人が利用した。
 「この施設はホームページで知った。自分で作った納豆は格
別の味」と茨城県の家族連れ、岡留博司さん(三一)は満足
げ。
 「施設のおかげで地域が一体となった。体験で田舎のよさを
知ってほしい」と管理人の鈴木稔さん(六七)。
 宿泊料金は一泊二食付きで五千円。定員は四十八人。
 

『食品業界−、広がる公正競争規約作り、期限、原料など明確に』
98/05/05 日本農業新聞
 
 食品の期限や原料名などの表示法を決める公正競争規約が広
がっている。すでに食品関係では三十の業界でつくっている
が、新たに納豆、インスタントラーメン、煮干し業界でも規約
づくりを進めている。みそ業界も表示のマニュアルを作る予定
だ。「原産国(地)」の表示だけでなく、「手作り」など強調
表示への業界ルールを作るもの。ただ、消費者の国産原料志向
が強まっている中、原料の原産国表示がない今の規約の仕組み
には課題もある。
 全国納豆協同組合連合会は、「一九九八年度中にまとめるよ
う」(黒田敏昭専務)、公正競争規約づくりを進めている。
 規約の中身は調整中だが、例えば「国産大豆使用」との表示
を使う場合には、国産大豆の割合が一定割合以上であること。
また、「客観的な根拠がないまま、特選、名産、本場等の表示
をしてはならない」など、不当表示の禁止などを盛り込む方向
だ。すでに景品類の規約があるインスタント・ラーメン業界
も、「九八年度中に、表示規約を整備したい」(日本即席食品
工業協会)考えだ。
 また、みそ業界も公正競争規約への一歩として、「吟醸」
「本醸造」「有機」などの強調表示のあ方で自主的なマニュア
ルを近く作る計画だ。
 各業界の公正競争規約の動向をまとめている全国公正取引協
議会連合会によると、食品関係表示のうち、原産国(地)表示
を「必要的表示事項」にしている規約の数は二十四(表参照
)。同連合会によると国名の表示がほとんどで、産地名まで義
務化しているのはウニ食品規約だけ。景品表示法上、「原産
地」とは商品の内容に実質的な変更を加えた所とされ、公正競
争規約上も原料の産地名は、問われないのが現状だ。
 食肉など素材がそのまま出回る商品の場合などには原産国
(輸入先国名)を表示するよう決めている規約もあるが、食品
の場合、一般的には原料の原産地名の表示義務はないことにな
る。国産志向が強まっている中、原料原産地を表示するべき
だ、との指摘も強い。<ことば>公正競争規約
 公正取引委員会の認定を受け、景品のあり方や表示の仕方な
どを業界が自主的に決めているルール。表示規約は製品の内容
や原材料、日付などの表示法や不当表示となる基準を決めてい
る。公正競争規約数は五月時点で百十八。景品類の規約は五
十、表示関係は六十八になる。酒類を含めた食品関係の規約は
景品と表示を合わせて五十九になる。
 表示規約の内容は、必ず表示しなければならない義務的表示
と、してはいけない表示を決める不当表示の禁止がある。
 ◆原産国(地)表示の規定がある公正競争規約(食品関係)
 発酵乳・乳酸菌飲料、殺菌乳酸菌飲料、アイスクリーム類、
はちみつ類、ローヤルゼリー、ウニ食品、辛子めんたいこ食
品、削りぶし、食品缶詰、トマト加工品、ビスケット類、チョ
コレート類、チョコレート利用食品、チューインガム、凍り豆
腐、食酢、コーヒー飲料等、レギュラーコーヒー及びインスタ
ントコーヒー、マーガリン類、観光土産品、ハム・ソーセージ
類、輸入ビール、輸入ウイスキー、食肉。
 

『丸美屋食品、中部に「納豆ふりかけ」など2品種発売』
98/04/29 日本食糧新聞
 
 丸美屋食品工業(株)名古屋支店(名古屋市北区、052・
914・8771)は、上旬から「納豆ふりかけ」「お茶ふり
かけ」の二品種を新発売した。
 ▽納豆ふりかけ=(1)納豆は有機無農薬栽培大豆を使用
(2)相性のいいおかかを、程よく合わせた(3)今までとは
違う本物感(4)汎用性が高い‐‐などが特徴。一八g(四・
五g×四袋)×一〇×六。小売一三〇円。
 ▽お茶ふりかけ=特徴は(1)有機無農薬栽培の茶葉とごま
を使用(2)程よい酸味の梅味(3)お茶の新鮮な風味を保つ
分包タイプ‐‐などが特徴。一二g(三・〇g×四袋)×一〇
×六。同一三〇円。
 

『永谷園、塩分20%カット「減塩みそ汁」4品発売』
98/04/27 日本食糧新聞
 
 (株)永谷園(東京都港区、03・3432・2511)は
6日から、標準品より塩分(ナトリウム)を二〇%カットした
即席味噌汁「減塩みそ汁」を静岡・北陸地区で発売した。初年
度売上げ目標は一〇億円。
 塩分カットでも「従来と変わらないおいしさを維持」(永谷
園)させたという。メニューは食物繊維、カルシウムをバラン
ス良く含む「わかめ」、鉄分・ビタミンAが豊富な「ほうれん
そう」、タンパク質とカルシウムに優れた「とうふ」、植物性
タンパクが豊富な「納豆」の四品を揃えた。
 発売に合わせてTVCMを放映し、店頭販売を支援する。
 商品内容は次の通り。
 「減塩みそ汁」▽内容量=わかめ五七g、ほうれんそう五
八・五g、とうふ六〇g、納豆六三g▽標準小売価格=一三〇
円▽荷姿=三人前×一〇P×八B
 

『ふりかけ・お茶漬け特集  今春のキーワード「納豆」』
98/04/27 日本食糧新聞
 
 今春のふりかけ商戦は「納豆」「ソフト」「キャラクター」
の三ジャンルがキーワードになりそうだ。
 もちろん、販売ボリュームの高い既存ブランドも商戦を左右
する位置づけにはあるが、主要メーカーは特にこの三点を新戦
略の核に掲げている。小売業もメーカーの動きに対応して重点
部門に位置づけ、各種店頭販促・企画でフォローする構えだ。
 「納豆」「ソフト」は「健康感・素材感」といった消費トレ
ンドを捉えたタイムリーな商品展開。子供から高齢者まで、幅
広い層の消費者向けに販売できるのもポイント。
 逆に「キャラクター」は幼年層に対象を絞った商品だが、こ
のところの世間のキャラクターブームを追い風に市場は著しく
成長している。昨年もふりかけでは相次いでヒット商品が登場
し、久々に活況を呈した。
 三ジャンルの主要製品の動向を探った。
 

『ふりかけ・お茶漬け特集 納豆ふりかけ=健康食品で需要増す』
98/04/27 日本食糧新聞
 
 納豆素材の商品はこれまでも数社が発売していたが、今年は
二大メーカーの永谷園、丸美屋を筆頭に新規参入が相次いだ。
 健康食品としての需要が高まり、順調に成長を続ける納豆市
場に改めて着目した様子。
 ふりかけメーカーだけでなく、加工海苔や納豆専業メーカー
などの「納豆ふりかけ」も売場を演出。メーカー間の競合も当
然激しさを増しているが、このジャンルは例年になく盛り上が
っている。納豆ふりかけの各社の動きをみてみる。
 (株)大島屋(本社=兵庫県尼崎市、06・481・711
7)は「納豆ふりかけ」として五年前から発売。商品は八〇g
のびん入りタイプ。フリーズドライの納豆を使用して、納豆臭
さを押えている。納豆はひきわりタイプを使用。ネギ、海苔、
ごま、わさびの粉を副材として使用。一ケース三〇個入り。標
準小売三五〇円。この商品類の中では手ごろな価格として市場
に食い込んでおり、関東地区から、関西市場に主に販売している。
 最近では九州地区での販売が増加している。また、この4月
から「ふりパッパ」シリーズ三品、納豆、野沢菜、明太子を新
発売した。商品は野沢菜、三八g、明太子三二g、納豆三五g
の袋入り。標準小売は各商品とも一八〇円。
 なおびん入りの納豆ふりかけ、焼肉、わさび、梅わさび、明
太子、野沢菜、松茸など八〇〜七五g商品は9月にリニューア
ルする予定。
 ニコニコのり(株)(本社=大阪市、06・647・114
7)は昨年「納豆ふりかけ」を新発売した。
 商品はフリーズドライの納豆を中心として白ごま、かつお削
り、卵黄などを副材として配合。納豆の臭さを極力押えてお
り、ごはんなどにふりかけるとねばりなど、納豆のうま味が生
きてくる。袋入り三〇g、標準小売二〇〇円。
 健康志向の商品の良さ、同社の販売力から市場への浸透は早
く、今期は昨年同じく発売された「三〇食品ふりかけ」を入れ
て、海苔以外の関連商品(もずくスープ、のりサンド)の売上
げ予定六億のうちの約半分の三億円を予定している。
 今後も海苔以外の商品構成比の確立を図っていく方針。
 (株)大森屋(本社=大阪市、06・464・1668)は
「納豆ふりかけ」を昭和63年にびん入りのタイプで発売。健
康志向に注目しての商品開発で、当時としては先発商品であっ
た。この実績をもとにこの2月中旬には「納豆ふりかけ」の小
袋商品を新発売した。商品は業界初のからし風味で、フリーズ
ドライの納豆比率が四五%あり、納豆の原料に北海道大豆を使
用しているのが特徴。一袋四・五gの三袋入りで、標準小売一
七〇円。
 先発商品での実績を生かしての商品開発と、同社の二三億円
にもなったふりかけ類売上げのポイント商品のひとつとしての
位置づけで販売。健康志向の中で、納豆ふりかけへの注目度が
高い中での、ニーズ対応として、ふりかけ類売上げの上乗せ商
品としたいとしている。
 永谷園は3月から「納豆さまさま」を発売した。今年度上期
の注力商品のひとつに位置づけている。
 この商品は素材や味付けの面で際立った特徴は打ち出さな
い。「“納豆”のコンセプトでストレートに勝負する。食べて
もらえば分かる味」(永谷園)との考えによる。
 代わりにネーミングをインパクトのあるものとし、パッケー
ジ・デザインも店頭で目立ちやすくした。
 4月から販売エリアを拡大し、現在は計画比一五%増の好調
な販売状況で推移している。初年度販売目標は四億円という。
 丸美屋食品工業は4月3日から「納豆ふりかけ」を全国で発
売した。同コンセプトの商品が出揃った中、無農薬栽培の大豆
で作った納豆を使用して差別化。他社商品を大きく凌ぐ健康感
を打ち出した。
 納豆と相性の良い“おかか”で味付け。FD(フリーズドラ
イ)ネギもバランスよく加え、外観の本格感と風味のよさを強
調。容量に占めるFD納豆の比率も四〇%と高い。
 ニチフリ食品は1月から従来品を「納豆ふりかけ・三袋入
り」で発売。自社の北関東営業所及び仙台営業所管内からスタ
ートした。
 じっくり熟成した納豆をFDで仕上げ、口当たりのよさとほ
どよい風味を生かした。消化吸収のよい皮むきゴマも素材に加
え、鰹節・醤油で味を整えた。
 大盛食品は「黒五入り・黒大豆納豆ふりかけ」「炭火造り・
納豆ふりかけ」のアイテムをもつ。
 「黒大豆〜」は昨年発売、大袋とびんの二アイテムで展開し
ている。黒ごま・黒コメ・黒大豆・黒松実・黒かりん‐‐の
“黒”をキーワードにした五つの健康素材を配合、普及品との
差別化を明確にしている。
 五年ほど前から売り出した「炭火〜」はご飯だけでなく、パ
スタや焼きそばなどにも使える汎用性を打ち出している。
 納豆専業メーカーでは最大手のタカノフーズが「なっとうふ
りかけ」を一昨年から導入。通常のふりかけ商品と異なり、小
売業が納豆と同じチルド売場で販売するケースが多い。認知度
の高い「おかめ納豆」ブランドで、まずまずの販売状況にある
ようだ。
 同社が納豆ふりかけを出したのは、本業の納豆売場を活性化
させるためという。「納豆売場は最下段を特売スペースに割
き、この部分の販売ボリュームは当然高い。だが売場全体に変
化をつけるには、上段の品揃えをバラエティーさせることが重
要」(タカノフーズ)とみて、コンセプトの近いふりかけを提
案したという。
 

『ふりかけ・お茶漬け特集 中部地区=話題多く活況』
98/04/27 日本食糧新聞
 
 【名古屋】中部ふりかけ・お茶漬の素市場は、このところ有
機栽培ふりかけ、納豆ふりかけ、さらにウエットふりかけなど
話題が多く、企業別では永谷園のけん引もあって活況を呈して
いる。同業界だけでなく、食品界全体の話題をさらっているの
が、やはり永谷園のポケモン製品であり、お茶漬の素、即席み
そ汁のTVCMだろう。それで同社が業績を伸ばしているのは
もちろん、同業界および流通を刺激、相乗効果を起こしている。
 そうした流れの中で、まず、ふりかけで地元勢の動向をみる
と、浜乙女とマルアイが地元だけでなく、東西にも進出して、
既に安定した実績を確保しており評価が高い。浜乙女は、ここ
数年来、ヘルシー志向にマッチした商品の開発に取り組んで来
ており、野菜、いわし、さけなどの定番商品化に成功してい
る。今年はまた、先にアレルギー対応の素彩派ふりかけを発
売、今後の動向が注目されている。マルアイは、かつお、海苔
を主体としたふりかけで地元の大手スーパーで安定したフェイ
スを確保しているが、さらにここ二〜三年来、ヘルシー志向に
も注力し、にんじん、さけ、まぐろいわし、海藻、小えびの各
ふりかけの育成で成果をあげている。
 こうした地元勢に対し、東西から永谷園おとなのふりかけ、
ポケモン、アンパンマン、丸美屋食品工業のりたま、味道楽、
ドクター・スランプ、ミツカンおむすび山、三島食品ゆかり、
大森屋緑黄野菜、さらにニチフリ食品、白子、日本食品、浦島
海苔製品など大手・有力ブランドが全部勢揃いしており、面取
り合戦は激烈だ。また、こうしたドライ製品に対し注目されて
いるのがウエットふりかけだ。
 既存のにんべんに加え、この5月下旬からは丸美屋食品工業
もソフト三品の発売が予定されており、これからの市場拡大
に、はずみがつきそうだ。
 一方、お茶漬の素をみると、地元勢では浜乙女が一社善戦し
ている。中部での独自性もあり、NBも一目置く存在となって
いる。あとは東西からの大手が激烈なシェア争いを展開してお
り、NBの永谷園を中心に、丸美屋食品工業、白子、カメヤ食
品などがからんでのシェア争いという図式。
 こうした状況のなかで、ふりかけ・お茶漬の素で共通してい
えることは、大手と大手、大手と中小が、それぞれ格差が顕著
化して来ていることがあげられる。そういう意味では、中堅以
下もこれ以上離されまいとして、必死の攻防が展開されそうだ。
 

『納豆業界春の陣火花、熾烈な販売合戦展開』
98/04/24 日本食糧新聞
 
 平成9年の納豆業界は、市場規模一七六三億円、前年比一
〇%増と伸長したが、今年に入っても販売量は好調に推移、春
の商戦に突入、熾烈な販売合戦を展開している。
 最大手のタカノフーズ(株)は、依然「ミニ3」「カップ
3」が主力商品だが、納豆の惣菜化に対応した「しそ海苔ミニ
2」(3月1日全国発売)が好評、人気を呼んでいる。
 昨年、二位に浮上した、あづま食品(株)はペット(PE
T)トレー「新極小粒」の売れ行きが好調、ファミリーマート
にも同じくPETの「極小粒」を納入、こちらも好評のよう
だ。朝日食品(株)は新ブランド「金のつぶ」シリーズ(3月
発売)を差し替えなく既存アイテムとともに販売、同シリーズ
では「ふくまろ」が特に好評だ。くめ・クオリティプロダクツ
(株)は、3月に「健幸モルバ納豆」を新発売したが、こうし
た中・上段製品だけでなく、「金印」「味道楽」などのアイテ
ムで今年は下段にも力を入れるという。
 ここ一、二年、納豆業界の台風の目になった旭松食品(株)
では「完熟超小粒 納豆いち」が埼玉工場稼働が功を奏し、予
定通り好調に売上げを伸ばしている。
 また秋田に本社を持つ(株)ヤマダフーズは、茨城工場を拠
点に関東市場に本格参入、3月に発売した下段型商品「徳川慶
喜納豆」の売れ行きが好調で「土、日も稼働して供給に対応し
ている」(山田社長)とうれしい悲鳴。他にフジッコ(株)の
「黒豆納豆」が、関東の消費者にもおいしいと評判。
 納豆業界・春の陣、まだ序盤戦が始まったばかりだが、今年
も秋の棚替えをにらんで各社の熱い戦いが続くようだ。
 

『科学技術振興功績者に太陽化学・山崎氏ら2氏』
98/04/24 日本食糧新聞
 
 科学技術の振興に優れた功績を挙げた人を顕彰する科学技術
振興功績者の表彰式が16日、東京・虎ノ門の虎ノ門パストラ
ルで開催された。今回表彰されたのはさまざまな産業分野で新
技術の開発に取り組んできた三九名だが、食品分野では緑茶ポ
リフェノールの効能研究とそれを活用した製品開拓に功績をあ
げた太陽化学(株)代表取締役副社長の山崎義文、アンモニア
臭の少ない納豆菌の開発を行った旭松食品(株)常務取締役研
究所長の田村正紀の両氏が晴れの科学技術庁長官賞に輝いた。
 表彰式には両氏ともに夫人同伴で出席、谷垣禎一長官から賞
状とメダルが授与された。両氏の功績は次の通り。
 ▽山崎義文氏=「緑茶ポリフェノールの開発育成」
 未利用の緑茶を原料に、分離、生成が難しく、少量しか得ら
れなかった緑茶ポリフェノールを成分毎に、大量にかつ安価に
分離、精製し、工業的利用を可能とする技術を確立した。ま
た、緑茶ポリフェノールの抗う蝕性、血中コレステロールの改
善、血中脂肪調節、細菌・ウイルス感染予防、腸内細菌叢改
善、消臭・酸化防止などの多様な効果について科学的裏付けを
与え、その有用な特性を用いたさまざまな製品開発を通じて食
品産業の発展に寄与した。
 ▽田村正紀氏=「新規な納豆菌および納豆製品の開発」
 従来の納豆菌は一〇度C前後の低温でも繁殖できるため流通
中に納豆菌の生育が起こり、代謝物としてアンモニアを発生す
る。これを防止するため納豆菌の改良に取り組み、多種類の納
豆菌の性質を検証した。その結果、二〇度C以下の低温では生
育できない低温感受性納豆菌の開発に成功した。この納豆菌を
使った納豆は普通の納豆にくらべて納豆臭が少なく、マイルド
で、糸引き性、味、色とも良好で、しかも、安定した品質をも
たらすことがわかった。この納豆は昭和60年に関西地区で発
売され、従来、あまり食べられなかった関西の市場開拓に貢献
した。
 

『即席味噌汁特集、永谷園がブランド力を発揮』
98/04/17 日本食糧新聞
 
 昨年度の即席味噌汁のメーカー出荷額は、三五〇億円前後で
前年比二%台の増と、やや伸び率が鈍化した。これは、永谷園
とハナマルキの上位二社が、前年比で微増にとどまったため
だ。ハナマルキと三つどもえの二番手争いを展開するマルコメ
と旭松は比較的順調。なかでも旭松は、昨年早々にカップ味噌
汁をリニューアルし、あわせてヒット商品「なっとういち」を
使った「納豆汁」(カップ、袋)を投入。下期には、季節感を
打出した袋入普及タイプ(三食、小売一三〇円)三品を新発
売。昨秋には、里いも、長なす、しめじの具をプラス。この春
には、菜の花をプラスという具合で、味噌のダシもコーティン
グに切りかえるなど、積極策も手伝って一時の低迷から完全に
脱し、再び上昇気流に乗ろうとしている。
 「料亭の味」ブランドの即席(袋九五年4月、カップ九六年
1月)のヒットや積極的なPB化などの急速な伸びを示したマ
ルコメも「計画は未達成」ながら、前年比三〜四%増と順調に
推移。カップ味噌汁が低迷し、一般の袋物は横ばいながら、具
を練り込んだ家庭用徳用タイプの「即生」が、前年比三〇%増
と一時の減少から完全に復活。ブロック状のフリーズドライ
(一食袋)も、基礎数値が小さいとはいえ、前年比二七%増と
寄与。消費者キャンペーン(テレカプレゼントなど)をおりま
ぜて全体で上乗せを確保。ここで、、おわん味噌汁への注力や
FDカレンダーの投入など、品揃えを強化し今シーズンにのぞ
んでいる。
 一方、トップメーカーの永谷園は前年比で微増にとどまっ
た。袋物の生タイプは、三%増と健闘したが粉末が五%減とな
り、その額も二〇億円前後にまでダウン。また、前年は五〇%
台の大幅増を示したカップ味噌汁が、その反動もあってか一
〇%減と後退。生味噌に具を練り込んだ「ミニあさげ」など
が、前年比九%増と伸びてなんとか前年をキープした形だ。た
だ、年明けだけでみると、2月からオンエアしたテレビCF効
果で、「あさげ」の生や粉末ともに前年を上回る動きになって
おり、そのブランド力が出はじめている。
 カップ味噌汁ではトップのハナマルキの課題は、袋物の強化
といえる。その中で、昨夏発売した「即席よりどり6食」(一
袋六食、小売二〇〇円)が好調な出足で、今期「六億円はいけ
る」ペース。また、カップでは九五年に発売した「Qカップ」
(小売一二〇円)を、昨年リニューアル(三〇秒シリーズに名
称変更)したのに続き、メーンのHカップ一六品(小売一四〇
〜一七〇円)をここでリニューアル。中身の改良とともに、目
玉は容器の変更。包装容器リサイクル法にそなえ、それまでの
樹脂と紙から紙単体に変更。「Qカップ導入時に苦情がなかっ
た」ことで、ゴミとなるスプーンの封入も中止するなど、他に
先がけ新たな試みに挑戦している。
 上位四社からやや離れてはいるが、これを追うのが東北のか
ねさと宮坂醸造(神州一)の両味噌メーカーだ。東北、北海道
を地盤にするかねさは、顆粒タイプ(味噌)に注力する業界唯
一のメーカーといえる存在。前期も八割近いウエートを占める
生タイプが、前年比一%の微増にとどまった半面、顆粒は同
五%増と順調に増加。即席味噌汁全体の売上げも、着実に二〇
億円に迫っている。顆粒タイプ(ひい、ふう、みそ汁)は、具
にわかめを入れた缶入りのテーブルユース三品。コンビニ主体
の一二〇g、生協などの四五〇g、量販店向けの二二五gと揃
え、大手やバンタムクラスの量販店に着実に広まっている。
 宮坂醸造は、ここ数年来二桁増と好調を持続している。その
主力となっているのが「得入り8食」(一袋八食、小売二五〇
円)の四品。わかめ、油あげなど、いずれもオーソドックスな
具でジワジワと浸透。この2月から具の増量などリニューアル
も実施。カップ味噌汁も着実に増加しているが、同社では三年
ほど前にいち早く紙カップに切りかえるなど「環境に配慮し
た」施策で、当時、国際的な賞も受賞している。
 このほか、首都圏では業務用向けの香辛・調味料メーカーの
埼玉のアミュードが、前年比四%増と健闘。競合激化でやや伸
び率は鈍化したが、ここで中部、関西市場向けに「赤だし」を
新発売。「中身を重視してゆく」戦略に沿って、HACCP対
応の最新工場(羽生工場)が、今月20日から稼働の予定な
ど、業務用分野では目の離せない存在になってきた。
 また、スタンカップブランドのカップ味噌汁で、同市場の先
発組に数えられる上野食品は、持ち帰り弁当やすしルートなど
の既存ルートに加え、通販や景品分野にも注力。昨今では、早
炊き米を使った釜めしセットなど、そのアイデアを駆使して、
業務・惣菜全般に力を入れている。また、デパートやスーパー
の弁当コーナーや中堅CVSを主体に、佐渡のマルダイがカッ
プ味噌汁や練り込みタイプで展開。ここで通常の袋物を開発。
信州の中堅ひかり味噌は、袋物を中心に堅調な伸びを示し、O
EMを含めるとかなりのボリュームを手がけている。
 一方、昨今目につくのがFD(フリーズドライ)のブロック
状の即席(一食袋)だ。味噌と具を一緒にブロック状にし、F
D化したものでたまごスープの流れをくむ商品。コンビニやス
ーパーの一部で扱っているが、一食八〇〜一〇〇円が大勢とな
り「袋物にしては割高」というのがネック。ただ、いろいろな
種類を飲みたい層には、その手軽さや味も受けてか手がけるメ
ーカーも多い。一般の袋物から撤退した味の素も、豚汁や油あ
げなど五品などを発売。マルコメや天野実業などのFDメーカ
ーも注力しているほか、かねさも近々に発売するなど話題も多
い。半面、有力メーカーでも撤退するところもあるなど、コス
ト高の分だけ難しい商材でもあるようだ。
 

『納豆特集  タカノフーズ=関連商材の開発が成果』
98/04/08 日本食糧新聞
 
 最大手のタカノフーズ(株)(東京本社=東京都台東区、0
3・3845・7010、高野英一社長)は、デリバリーとし
て豆腐事業に着手するとともに、二年前に煮豆の発売を開始、
続いて納豆ふりかけ、マルカ食品(株)(ペヤング)と組んだ
カップ麺「納豆麺」を発売した。特に煮豆はCVSで定着、
「納豆ふりかけ」も大型小売店、大手量販店の納豆売場に置か
れ現在でも人気商品だ。さらに同社では昨年10月、即席カッ
プ味噌汁「納豆屋さんの納豆汁」をセブンイレブンに投入、現
在でもフェースを守っており好評のようだ。
 こうした先見性と安定性が同社最大の特徴といえるだろう。
 納豆に関しては、ミニ2、ミニ3という強力なアイテムを持
って大型小売店、大手量販店の下段を押さえ、ほとんどのCV
Sにも納入していた。この一年間は他社の攻勢が激しく棚割り
を減らしていた側面も否定できないが、現在、同社のアイテム
「極小粒五〇g×三」「同カップ3たれ付き三〇×三」「ザ・
納豆ミニたれ付き五〇×三」「CGCおかめ納豆」「水戸一
番」などは人気度で一〇位以内にあるとみられ、市場占有率二
〇%は堅い。
 こうしたことから、同社は現在でも納豆業界に多大な影響力
を持つリーディングカンパニーであるといえよう。
 

『納豆特集  あづま食品=真摯な取り組みで2位に』
98/04/08 日本食糧新聞
 
 九七年の売上高は一一〇億円を突破、ほぼ二桁増となる見通
しで、朝日食品を抜いて二位に浮上したあづま食品(株)(本
社=栃木県河内郡、028・672・2112、黒崎信也社
長)は、とりわけ真摯に納豆の製造・販売に取り組むイメージ
が強い。セブンイレブン、ファミリーマートへの納入を果たし
たが、大型小売店、大手量販店での棚割り拡大が目につくのも
こうした姿勢の現れだろう。
 有機・無農薬原料使用、容器リサイクル法への対応も迅速
で、今後も「有機」「国産」を柱にしていくようだが、下段向
け、CVS向け商品だけでなく、一方では従来から高級納豆と
して「舌鼓」でステータスを築いた上段型商品を持つ強みもあ
る。今年は一二〇億円以上、二桁の売上げを目指すようだ。現
在の人気アイテムは「満点納豆」「朝めし太郎」「極小一番」
「鶴の子」「ひきわり納豆」など。現在、ファミリーマートで
話題を呼んだPET容器製品を全国販売中だ。
 

『納豆特集  朝日食品=総合力で巻き返しへ』
98/04/08 日本食糧新聞
 
 (株)朝日食品(本社=茨城県行方郡、0299・64・2
711、野田和男社長)は昨年3月、(株)中埜酢店(ミツカ
ン)が経営権を取得したが、今年は納豆業界で最も注目されて
いるメーカーといえる。
 あづま食品に抜かれ市場占有率三位に後退したといわれる
が、朝日食品の九七年度の業績は売上高一〇〇億一〇〇〇万円
で前年比九・四%増。ただし納豆は九六億円の売上げを上げて
おり、今年は充実した中身で利益体質を強化、納豆部門では約
一五%増の約一一〇億円強の売上げを目指すようだ。
 現在の人気アイテムは「水戸納豆 有機栽培無農薬大豆」
「同極小粒」「水戸小粒撰」などだが、昭和27年以来蓄積し
てきた納豆製造技術と中埜酢店の研究開発力(食酢の開発を通
して培ってきた菌研究力・発酵技術)・マーケティング力(市
場分析・消費者調査)が融合して生まれた納豆の新ブランド
「金のつぶ」シリーズを3月に発売した。関東・東海地区を中
心にTVCMを集中投下、同期間消費者プレミアムキャンペー
ン「金のハローキティグッズ・プレゼントキャンペーン」を実
施している。また、チルド食品(もずくなどの珍味類)の販売
も行っている。
 

『納豆特集 くめ・クオリティプロダクツ=ユニークな独自路線』
98/04/08 日本食糧新聞
 
 くめ・クオリティプロダクツ(株)(本社=茨城県久慈郡、
0294・76・3333、石塚昇一郎社長)は今秋、和歌山
工場の完工・稼働を目指している。和歌山県の納豆の消費量は
全国で最も少ないようだが、関西市場進出への拠点となる位置
付けの自社工場ということか。
 同社の特徴を一言でいえば、ユニーク発想による商品開発。
失敗を恐れず、既成観念に捉われない納豆を開発・商品化し市
場導入する行動力は評価できる。
 二年前に発売した塗る納豆「まぜてーらのせてーら」のよう
な既存の枠を超えた商品を開発・販売する時期にきたのか、3
月上旬に発売した「健幸モルバ納豆」は同社ならではの柔軟な
発想で生まれた商品。今後、この「健幸」をテーマに引き続き
シリーズ化していくという。
 もちろん上段定番アイテム「丹精」も持ち、「味道楽」「プ
チ納豆」「水戸撰品納豆極小粒」「くめ納豆」「納豆家族」な
ど、中〜下段をまんべんなくカバー、いずれも根強い人気を維
持している。
 

『◆納豆特集 人気持続へ新製品で攻勢』
98/04/08 日本食糧新聞
 
 納豆業界は平成9年、市場規模一七六三億円、前年比一〇%
増の巨大市場に成長した。一昨年も前年比約一〇%増を果たし
たが、昨年も夏場も乗り切り伸長し続けたことがわかった。
 総務庁の家計調査による購入金額からみると、昨年10月に
は前年同月比で減速の兆しをみせたが、このデータから納豆人
気に陰りが出たと考えるのは早計で、まず第一に、一昨年10
月は爆発的に納豆が売れ始めた月だったということ。第二に、
中小メーカーでは生産が小規模なこともあるが、品不足に悩ま
されるケースが続いていること。また、現在でも工場の新設・
増設を進める大手メーカーもあり、これも納豆の消費拡大を見
込んでのことであり、納豆人気が持続していたことが裏付けら
れる結果となった。
 だが、これから消費減退が進む可能性も考えられ、こうした
状況を捉えてか、今春、大手メーカーは新製品発売と消費者キ
ャンペーン展開に力を入れている。また、納豆関連食品の開
発・販売に力を注ぐメーカーもあるが、その特徴を一言でいえ
ば、納豆関連食品を持つ異業種メーカーの得意分野に攻勢をか
ける形が目立つ。
 例えば、凍り豆腐、即席味噌汁に続き納豆業界に参入し驚異
的に売上げを伸ばしたのが旭松食品(株)。また、「納豆汁」
が長く消費者に好評を得ている(株)永谷園に対して、業界最
大手タカノフーズ(株)が即席カップ味噌汁「なっとうやさん
さんの納豆汁」「納豆ふりかけ」を本格的に市場導入、現在安
定した人気を保っている。同社は「黒豆納豆」がおいしいと評
判のフジッコ(株)に対して煮豆も販売、CVSに納入している。
 以下、タカノフーズはじめ関東に本社を持つ大手四社の動向
を探ってみる。
 

『納豆特集  日本工業技術振興協会が抗酸化でセミナー』
98/04/08 日本食糧新聞
 
 (社)日本工業技術振興協会・天然物生理機能素材研究委員
会(03・3298・5300)はこのほど、東京・青山のア
イビーホール青学会館で公開セミナー「納豆・大豆の抗酸化作
用について」(後援=全国納豆協同組合連合会)を開催した。
 同協会と全納連は数年前に自然食品「納豆」のセミナーを開
始した。健康食品として急速に売上げを伸ばし、メーカーの努
力もあり納豆を食べる習慣のなかった関西圏でも消費が伸び、
現在の市場規模は一七六三億円。こうした状況の中、同協会が
主催するセミナ‐への参加者は年々増加している。
 今回は「納豆・大豆の抗酸化作用」をテーマに、活性酸素を
取り上げた内容が中心。
 須見洋行天然物生理機能素材研究委員長(倉敷芸術科学大学
教授)の開会あいさつに始まり、各講演者が研究を発表した。
「大豆成分と抗酸化能」(金澤武道弘前大学医学部第二生理学
教室助教授)、「皮膚疾患、老化と活性酸素」(土岐尚親日本
臨床皮膚科学医学会理事、広島県土岐皮膚科病院長)、「納豆
の強力な活性酸素消去系、SOD」(須見氏)、「大豆および
大豆食品の活性酸素消去能」(大久保一良東北大学大学院農学
研究科教授)など、かなり専門性の高い内容であった。
 特に納豆関係者が注目した須見氏の講演内容は、人間が吸い
込む酸素の約二%が、ガンをはじめ現代病の九〇%がかかわる
活性酸素に変化することを踏まえ、納豆には活性酸素消去系酵
素が極めて多く含まれ、特にSOD(スーパーオキシドジスム
ターゼ)酵素の活性が納豆そのままの形でも市販されているS
OD剤以上に強く、安定なものであるというもので、他の食品
との比較も発表された。
 総合討論では講演者同士も含め質問が続出、最後に高星進一
全納連会長のあいさつで閉会した。
 

『納豆特集  全国納豆協同組合連合会が神戸で全国鑑評会』
98/04/08 日本食糧新聞
 
 全国納豆協同組合連合会(事務局=東京都台東区、03・3
832・0709)はこのほど、神戸市の新神戸オリエンタル
ホテルで平成10年「全国納豆鑑評会」を開催した。
 鑑評会のもようはテレビ放映され、最近では納豆が高い栄養
価に加えて、病原性大腸菌O157に対する抗菌作用、脳卒
中・心筋梗塞、骨粗鬆症に対する予防効果など、健康食品とし
ての効用が認められ、国民の健康志向の高まりととともに順調
に消費量を伸ばしていることに関心を持つ視聴者も多かったよ
うだ。
 全納連は、納豆の製造技術の改善を図り、品質向上を目指し
食文化の一層の進展を期待、また国民の健康増進、日本型食生
活への改善に寄与する目的で全国納豆鑑評会を開催、今回で三
回目を迎えた。これまで納豆をあまり食べないといわれた関西
地区での消費量がここ数年急増、平成8年度は兵庫県五一%
増、奈良県三七%増と全国平均の前年比一四・七%増を大幅に
上回る伸長率を示している。これは、納豆の栄養価・効用が広
く知られたこと、製造技術の進歩により匂いを抑えた製品の開
発が進められたことなどが、関西地区の消費者に受け入れられ
たためと思われる。
 全納連は、関西地区の食べず嫌いの人達にも納豆を見直して
もらおうと兵庫県神戸市を会場に決定、関西で比較的なじみの
薄い健康食品・納豆の鑑評会開催で宣伝・消費拡大につながれ
ばと期待して開催した。
 鑑評会は、審査、須見洋行倉敷芸術科学大学機能物質化学科
教授による納豆の効用についての解説、審査結果発表などが一
般公開された。
 出品数は一〇六点で、学識経験者・業界代表者からなる審査
員が外観・香り・食感・味などを総合的に評価・選考した。最
優秀賞「農林水産省食品流通局長賞」には(株)大力納豆(新
潟県)「小出っ子」、日向醗酵食品(株)(北海道)「十勝づ
くし」が、同「厚生省衛生局長賞」にはマルカワ食品(株)
(北海道)「北海道昆布納豆」、(株)高橋商店(新潟県)
「袖振納豆」が選ばれた。優秀賞「全国納豆協同組合連合会長
賞」には(有)長瀞納豆(山形県)「長瀞納豆」、同「納親会
会長賞」にはみやこ納豆本舗(兵庫県)「手造りみやこ納豆」
が選ばれた。
 全納連は、加工技術の向上を目指し、おいしい納豆を消費者
に提供するため青年同友会(井川敏久委員長)を中心にこれか
らも鑑評会を開催する。各地区の組合との交流を深める目的も
あり来年は新潟での開催を予定、日本海側の消費増も期待して
いるようだ。
 

『納豆特集 北海道地区=九州系のシェ拡大に対抗』
98/04/08 日本食糧新聞
 
 【札幌】道内における納豆の市場動向は、植物タンパクの機
能性食品・納豆の再認知、健康増進、病気予防などの効果から
ヘルシーイメージが浸透、ここ数年からみても販売数量がピー
クを迎えているもようだ。一方、今年に入り道内経済環境がま
すます悪化し「ここにきて、ディスカウントストアによる単価
ダウン、販売数量のダウン」(オシキリ食品)とされ、ことし
は消費停滞・消費者買い控えなど環境悪化が懸念されている。
 道内では、比較的地元企業色も強いが、ここにきて本州系の
シェア拡大傾向が顕著で、各社、十勝産大豆や有機大豆など原
料こだわり、炭火など付加価値商品での訴求強化が目立っている。
 道内納豆市場規模は八三億円前後とされ、地元の味車、オシ
キリ食品、マルカワ食品、関東食品、坂田発酵食品、ヒナタ食
品をはじめ、道外のタカノフーズ、朝日食品、くめクオリティ
プロダクツ、骨ホネ納豆のヤマダフーズ、さらに生協など、各
小売業のPB商品で売場構成されている。
 味車は、小粒の「本鰹朝一番」「朝一番」「豊熱」「有機栽
培2段」「同3連」を軸に展開、昨年は三%増で推移。販売状
況については「昨年ほどの伸びはなくなった。納豆ブームは落
ち着いた感がある」とし、今年は「低価格による競争は避け、
付加価値商品による差別化競争としたい」との考え。
 オシキリ食品は、販売構成二〇%の「炭火納豆」、同一七%
の「十勝納豆」をはじめ、「ひきわり3P納豆」「ポン納豆」
「にこにこ納豆」がメーン。年明けからの出足は前年をダウン
しており、消費低迷による影響を懸念する。
 同社は、アメリカ産、中国産の有機栽培大豆のほか、今後、
OCIA大豆を使用した納豆開発に意欲をみせる。
 マルカワ食品は、前年比六%増の状況。販売構成二七%を占
める「ミニダブル納豆」(中粒)、一三%の「備長炭納豆カッ
プ三連」(小粒)、九%の「ひきわりペア納豆」「すずらん納
豆」(道産大粒)、「ちびまる納豆5ヶ入り」(中粒)を軸に
展開。4月1日には「北海道昆布納豆」(道産小粒)を新発売
した。今年の見通しは「今後、コストからではなく、消費者の
満足度を基準にした価格設定可能な商品開発が求められる」と
強調する。
 関東食品は、前年比六%増で推移。主力商品は、販売構成二
五%の「くろ豆納豆」、二五%の「つるの子納豆」(大粒)、
一〇%の「幻の納豆」(大粒)、「えぞ小粒納豆」「めかぶ納
豆」(小粒)を主力とする。4月には、「トヨムスメ大粒」
「スズマル小粒」を新発売する予定。今年は「市場活性化につ
ながる新製品の提案と、国産の本物に打ち込む」との考え。
「当社は道産大豆専門メーカーとして、今後も“北海道特産”
に注力していく」とこだわりをみせる。
 

『納豆特集 関西地区=毎日食べるが13%、納豆市場まだまだ好調』
98/04/08 日本食糧新聞
 
 【大阪】健康志向の高まりや、臭いを押さえた食べやすい納
豆の開発が進んだことで、近年、関西地区の納豆消費量は大き
く拡大したが、ひと頃より伸び率が鈍化したとの声も聞かれ
る。しかし、大手スーパーのイズミヤの例でみると、平成9年
度通期(平成9年3月〜10年2月)では、前年比一〇%増の
七億七〇〇〇万円の売上げを示すなど、関西の納豆市場はまだ
まだ好調といえる。
 関西地域の消費者の具体的な購買動向などを探るため、3月
にアンケート調査を実施した(対象者は日本食糧新聞大阪支社
ふれあいクッキング事業部が、各地区のスーパー、生協で開い
ている料理講習会の参加者一二一人。四〇〜五〇代の主婦が中
心)。
 アンケートの結果をみると、納豆の食べる頻度では週に二〜
三回二八%、一回二六%、たまに二六%、毎日一三%、まった
く食べない七%と、週に一〜三回までが半数を占める。
 
 しかし、納豆の購入頻度の変化を問うと、変化なし五四%、
増えた四三%、減った三%と、ここ二〜三年で約半数弱の家庭
で購入頻度が増加していることがわかる。
 購入場所としてはスーパーが九四%と、一般小売店四%、C
VS二%を大きく引き離して圧倒的。
 納豆を選ぶときに重視する点では、大粒・超小粒・ひきわり
などの豆の形態が五二%、メーカー名一七%、ブランド一二
%、価格一一%、トレイやカップなどの包装形態八%となり、
豆の形態で商品を選択するケースが約半数となっている。
 一方、スーパーの販売動向をみると、イズミヤではメーカー
別売上げシェアで、一位旭松食品三五%、二位花園食品(P
B)が二〇%、三位タカノフーズ一九%と地元の旭松の人気が
高い。
 商品別では、一位旭松の「においひかえめなっとういち」が
一億八〇〇〇万円で前年比一九%増の伸び。二位はタカノの
「おかめ超小粒カップ三」が九九五〇億円で一〇%減。三位は
朝日食品の「水戸いなか炭火造り納豆」が五四〇〇万円で一
三%減となったほか、売上高は二〇六五万円だが、旭松の「氷
温熟成完熟超小粒なっとういち」が前年比一〇〇%伸長し好
調。納豆担当バイヤーによると「旨みが強く、容器も優れてい
るなど、今後期待できる商品」とし「パイは小さいが、フジッ
コの黒豆納豆の評判もよく、黒豆の煮豆で有名なメーカーだけ
に、消費者に容易に受け入れられたのでは」とするなど、地元
メーカーの健闘が目立つ。
 また「有機無農薬大豆使用や離乳食用の挽き割り納豆など、
消費者ニーズに対応した新しい商品が期待される。旭松のドラ
イ納豆関連商材三品のテスト販売を1日から始めたが、今後の
動向を注目している」とし、こうした商品が今後の成長の鍵を
握るとみている。
 

『納豆特集 関西地区=高橋食品工業、京都色を前面に』
98/04/08 日本食糧新聞
 
 「鶴の子納豆本舗」の商標登録で、大手量販店を中心に全国
展開している、納豆専業メーカー高橋食品工業(075・62
1・3931)は、年間売上高約六億円、1月の上期決算で前
年比一〇%増と、好調に推移している。
 同社商品は「京都色」を前面に、原料にこだわった差別化商
品を中心に展開しているが、昨年秋そうした同社の姿勢を明確
化する商品として、「京納豆」シリーズを新発売した。同シリ
ーズは消費者の支持を得て、売上げ拡大に大きく寄与したこと
から、今春さらに強化商品として「無農薬有機超小粒・健康」
(四〇g×二、メーカー希望小売価格一三八円)、「紀州名産
梅肉付・梅味」「北海道利尻昆布たれ・昆布味」(二品とも四
〇g×二、同一四八円)、「小粒大豆納豆・京こつぶ」(五〇
g×三、同一二八円)、また、こだわり品として「幻の大鶴大
豆納豆・献上」「国産黒豆大豆納豆・献上」(二品とも八〇g
入り、同三五〇円)の六アイテムをラインアップ、1日から市
場に投入した。
 高橋孝幸社長は「最近、関西の納豆市場は大きく拡大した
が、今後、さらに成長させるため、貢献していきたいと思って
いる。例えば、納豆売場といえば、価格訴求商品が下段に並べ
られているだけの、どこも特色がないのが現状だが、われわれ
はストーリー性のある売場展開をしていきたい。『京納豆』シ
リーズはそうした売場展開をもくろんだ商品で、パッケージデ
ザインなどにも工夫を凝らしている。独自の販促物なども用意
しており、納豆におけるビジュアルマーチャンダイジングを展
開するのが夢である」と語っている。
 

『納豆特集 関西地区=フジッコ、ヘルシー切り口に好評の「黒豆納豆」』
98/04/08 日本食糧新聞
 
 フジッコ(株)(神戸市中央区、078・303・536
1)は、大豆・昆布製品を中心に、ヘルシーを切り口にした商
品開発を行っているが、納豆は企業理念に合う商品として注力
し、今後の成長分野として位置づけている。
 今期の決算でも、納豆単体で売上高約七億円、前年比二八%
増と、業績も順調に推移。
 同社の納豆部門の基本方針は「差別化できる納豆を消費者に
提供する」こと。そうした理念を裏付ける商品として、昨年秋
「黒豆納豆」を新発売したが、黒豆がマスコミなどで取り上げ
られ、人気が高まったこともあり、五〇g二パック入りでメー
カー希望小売価格一九〇円と手頃な価格設定と相まって、発売
後半年間で約二億円の売上げを見せた。
 こうした高付加価値納豆のラインアップとして、今春、契約
栽培の有機無農薬の北海道産「夕鶴大豆」を使用した「有機無
農薬大粒納豆」(五〇g×二、メーカー希望小売価格一七〇
円)のテスト販売を開始する(10日から、エリアは関東地区
中心)。
 「夕鶴大豆」のおいしさを生かしたこだわりの商品で、パッ
ケージも「黒豆納豆」同様、黒を基調にした高級感のあるもの
を採用している。
 今回のテスト販売の売行き状況をにらんで、原料の契約量を
定めて、今後、全国に向けて本格的に販売していく。
 同社は「有機無農薬」商品を、三年前から、煮豆や大豆の水
煮などでシリーズ展開しているが、同品もシリーズの強力な一
アイテムに育てていきたいとしている。
 

『納豆特集  関西地区=旭松食品、人気高い「氷温熟成製法」』
98/04/08 日本食糧新聞
 
 「納豆嫌いの関西人の食文化を変えた」といわれる「におい
ひかえめなっとういち」が、関西納豆市場で大きなシェアを占
めている。
 また、関東地区をターゲットにして開発した「氷温熟成完熟
超小粒なっとういち」が、生産設備を強化して、同地区で大き
く売上げを伸長。
 旭松食品(株)(大阪市淀川区、06・306・4121)
の納豆部門は、今期決算(9月)で目標の七〇億円を達成し、
前年比四〇%増以上の伸長をみせている。
 2月にテレビの人気番組で、「氷温熟成製法」の納豆は、ビ
タミンKが通常の納豆の約一・五倍、抗菌物質のジピコロン酸
が約二倍含まれ、旨み成分も多いと報道があったことなども、
同品の売上げ拡大の追い風となっている。
 凍り豆腐、即席味噌汁を抜いて、同社の三本柱の中でもっと
も大きな売上げ構成比を占めるようになった納豆部門だが、今
後さらに売上げの拡大を図るため、さまざまな取組みを行って
いる。
 そうした動きの中で、同社は4月から、納豆の用途別商品と
して、フリーズドライ製法の納豆を使った「完熟ひきわり納豆
いち・納豆チャーハンの素」「同納豆カレーの素」「同納豆茶
漬け」(三品とも個別包装二袋入り、メーカー希望小売価格一
二八円)のテスト販売を開始した。
 消費者に納豆に親しんでもらい、さらに納豆の需要の裾野を
広げるため、関連商材の拡充を狙いとするものだが、「興味あ
る商品」と、バイヤーたちの評判もよい。
 ドライグロサリーの売場ではなく、納豆売場で展開し、チル
ドの商流に乗せていく同三品の、今後の動向が注目される。
 

『納豆特集  静岡地区=地元勢の奮闘目立つ』
98/04/08 日本食糧新聞
 
 【静岡】一食五〇円程度で買うことのできるタンパク源豊富
な納豆が注目され、静岡県内でも順調な売行きをみせている。
 県内の量販店に納豆の売行き状況について取材したところ、
ほとんどの店でよく売れているといっており、特にここ二、三
年の伸びが大きいという。
 テレビで取りあげられたことと、健康志向ブームがうまく重
なって消費者の購買意欲に結びついたと思われる。
 一昔のように、ただご飯の上にのせて食べるというスタイル
の他に、多種のメニュー提案を展開した結果、さまざまな食べ
方がでてきた。
 すしに使うのはもちろんのこと、炒飯・お好み焼き・ピザに
入れたり、天ぷら、サラダ、パンの上にのせて食したり、と若
い人に敬遠されがちだった納豆もこれからますます需要が高く
なるだろう。
 県内の東部地区では小林食品、学校給食にも入れているまる
たや、中部地区では国産原料・無添加にこだわる冨良食品、西
部地区では丸紅などの地元のメーカーが奮闘している。
 各量販店に対しての質問は、店頭で売れているメーカー順と
売場の動向を聞いてみた。
 ▽キミサワ香貫店(沼津市下香貫)=(1)PB(三P)一
三八円。アズマ、タカノフーズ。ぼつぼつの売れ具合。
 ▽スーパーひのや三園店(沼津市三園町)= (1)タカノ
フーズ・五〇g三P一五八円。三〇g三P一四八円(2)オオ
ヤマ(パンタス)(3)白雪。テレビで放映された後はよく売
れる。
 ▽ポップマート西間門店(沼津市西間門)=(1)タカノフ
ーズ・三P一四八円(2)まるたや・小粒三P一〇〇円(3)
小林食品(4)オオヤマ(パンタス)。給料日の一週間前にな
るとよく売れる。
 ▽スーパー熱海総食(熱海市咲見町)=(1)朝日食品・三
P(2)まるたや・小粒三P一四八円。よく売れている(一ヵ
月に三〇パック入り八〇ケース)。
 ▽スーパーナガヤ(伊東市竹の内)=まるさ食品、タカノフ
ーズ、朝日食品、あずま食品の四社を扱っているが、平均して
同じように売れている。
 ▽御殿場農協Aコープ(御殿場市ぐみ沢)=塚本商店のみの
取扱い。三〇g三P一三八円(ロングランで一〇〇円)。年が
明けてから順調に売れている。
 ▽スーパーアンドウ(静岡市池田)=(1)朝日食品・有機
小粒三P一二八円。他はタカノフーズ、はごろも、オハヨー。
 ▽スーパーもちづき(静岡市松富)=(1)朝日食品・三P
九八円(2)紀文・三P九八円。コンスタントに売れている。
 ▽フードランド(静岡市大和)=(1)朝日食品・小粒三P
一一八円(2)タカギ(末広)七八円。他にタカノフーズ、あ
ずま食品。よく売れている。
 ▽しずてつストア(静岡市鷹匠)=(1)タカノフーズ・小
粒三P一六八円、一五八円(2)朝日食品・モーニングカップ
三P一五八円(3)あずま食品・五〇g三P一五八円。他くめ
納豆、冨良食品(三P九八円)、フジッコ。順調に売れている。
 ▽スーパーサンエー吉川店(清水市吉川)=(1)タカノフ
ーズ・五〇g三P一五八円、三〇g三P一四八円(2)朝日食
品。他にヤマダフーズ、フジマキ。年が明けてからよく売れている。
 ▽スーパーオザワ(静岡市中田)=(1)朝日食品・三P一
二八円、二P九八円(2)タカギ。昨年に比べて一・五倍くら
いの売行き。
 ▽シズオカヤ城北店(静岡市北安東)=(1)旭松食品・ひ
きわり納豆三P一五八円(2)朝日食品・モーニングカップ二
P一一八円(3)タカノフーズ(4)あずま食品。順調に売れ
ている。
 ▽スーパーおさだ(静岡市向敷地)=朝日食品・五〇g三P
一五八円。静岡納豆。コンスタントに売れている。
 ▽スーパーウオチョー安西店(静岡市土太夫町)=(1)タ
カノフーズ・三P一五八円(2)くめ納豆・三P一五五円(
3)冨良食品・三P一一八円。目立った動きはない。
 ▽スーパーいしはら(浜松市上島)=朝日食品・有機五〇g
三P一六八円(特売一〇〇円)、タカノフーズ・三P一四八円
(特売一〇〇円)。両社同じくらいの売行き。以前は朝日の方
が売れていたが、タカノフーズが納豆特有の匂いを押さえてか
らは同じくらいの売行き。
 ▽遠鉄ストア(浜松市西浅田)=(1)朝日食品・有機カッ
プ三P(2)タカノフーズ(3)くめ納豆(4)あずま食品。
悪くはない、どちらかといえばいいほうだ。
 ▽主婦の店(浜松市富塚町)=(1)朝日食品・有機三P一
六八円(2)タカノフーズ・カップ三P一四八円(3)フジッ
コ(4)あずま食品。ここ二、三年好調。
 ▽松菱マート(浜松市飯田町)=(1)朝日食品・有機三P
一五八円(特売一〇〇円)(2)丸紅(3)タカノフーズ・三
P(4)くめ納豆(5)旭松食品。二、三年前から、テレビの
影響かよく売れるようになった。
 ▽スーパーオカノ磐田店(磐田市二ノ宮)=(1)朝日食
品・小粒三P一〇〇円(2)冨良食品。他にタカノフーズ、く
め納豆、コジマ、オオサト。よく売れている。
 ▽スーパーつるみ(袋井市川井)=(1)タカノフーズ・小
粒三P一四八円(特売一〇〇円)(2)朝日食品・三P一六八
円(2)あずま食品・三P一五八〜一六八円。メディアでPR
してくれた時は非常によく売れる。日配の割合が五%なのでい
い数字だと思う。
 

『納豆特集 中部地区=苦戦強いられる中小筋』
98/04/08 日本食糧新聞
 
 【名古屋】中部の納豆業界が東西と同様、地殻変動をおこ
し、早くもかれこれ一〇年。それまで地場メーカー主体だった
市場が、装置産業化した大手メーカーの参入により、一気に変
動した。その間、需要はヘルシー志向を背景にして、その年々
により多少の差異はあるものの、基調として順調に市場を拡大
してきている。
 そして、メーカーの企業間格差は歴然となり、大手の躍進に
比べ、中小筋は必然的に競争に後れをとることが避けられず、
今日に至っている。
 その間、好調な需要があるにせよ、それをはるかに超えた設
備投資も一部筋にみられ、姿を消したり再編され、新しい形の
中での出発など、企業間の競争が一層激変の度を加えているの
は記憶に新しい。
 市場規模の推移をこの一〇年でとらえると、昭和62年に二
桁アップを達成、市場を不動のものにした。これは冒頭に述べ
た地殻変動により、大手が全国市場に進出、活発な販売を展開
した結果による。
 その後は、さすがにそれまでの右肩上がりは難しくなり、平
成3年には珍しく販売量で一〇〇%を切り、同6年にはコメ不
足による米飯離れで苦しさを味わっている。
 最近では、一昨年のO157の発生が逆にフォローとなり、
数字を押し上げたが、流れとしては昨年10月からトーンダウ
ンといった状態といえよう。
 そうした中、中部でのシェア争いが一層激化している。登場
しているブランドは、大手ではおかめ、朝日、あづま、なっと
ういち、くめなど、地場では丸愛、小杉といったところだが、
シェア争いは非常に流動的で、「上位の三、四社はどこがトッ
プになってもおかしくない」状況という。
 その中で、このところは中埜酢店グループとなった朝日食品
の新製品宣伝が目立ち、店頭でのフェースを広げているとい
う。ちょっとしたことでも、微妙なアクションが起こってお
り、「上位争いの混戦ぶり」を表している。
 製品タイプでは「有機大豆」製品が注目されており、順調に
売上げを伸ばしている。
 

『納豆特集  中部地区=昭和・前田日配品課課長に聞く』
98/04/08 日本食糧新聞
 
 【名古屋】納豆の販売でも全国有数の大手卸として知られる
(株)昭和の前田勝宏加工食品部日配課課長に最近の状況を聞
いた。
 ○…最近の納豆の販売動向については、昨年9月までは好調
だったが、10月以降は余りよくなかった。その前の年がよす
ぎたこともあるが、10月および11月は全メーカー品とも不
振だった。
 というのは、昨年の同期は、納豆のO157に対する抗菌効
果などが喧伝されて、爆発的に売れている。とはいっても、そ
の前年実績を割るまでにはいっていない。思ったほど出なかっ
たということだ。
 ○…その後、今年に入って2月、3月は元に戻り、思ったよ
うな数字が出ている。当社は3月期決算だが、決算特売という
こともあり、通期でも一〇%増はいくと思う。前年度も二桁ア
ップしており、評価していいのではないか。納豆はここ二〜三
年来も、“元気印”で来ているといえる。
 ○…形態についてだが、小粒、大粒の中で、売場からいく
と、大粒は一アイテム程度。あとは小粒とひきわりだ。ひきわ
りは手巻きずしなどに使われ、結構出ている。容器について
は、トレー、発泡スチロール容器が多く、それも二段が圧倒的
に多い。三段だと定番に置きにくい。カップは定番としては、
一アイテムないし二アイテムだ。特売では定番と異なり、三段
とかカップが多い。
 ○…価格問題だが、現状はそれほど崩れていない。新年度の
テーマは定番の売価アップを考えている。売場をみてもらえれ
ば分かるが、圧倒的に一五八円、一四八円が多い。それを何と
か二〇〇円まで上げたい。そうした中での現在の消費状況だ
が、本当に価値がある商品なら、ちゃんと店頭に置いてくれ
る。新年度についても、引続き二桁アップを目標にして、一層
の底上げを果たしたい。
 

『納豆特集 九州地区=福岡地区で高い伸び、30〜50gパック中心』
98/04/08 日本食糧新聞
 
 【福岡】蛋白源として優秀な植物蛋白の代表格である大豆
は、その効用が広く認められ、健康志向の強い食品業界にあっ
て、この関連商品は近年、等しく脚光を浴びている。
 納豆も例外でなく、年率二桁以上の規模成長が続いており、
一時の高成長こそなくなったものの、順調に拡大基調は続いて
いる。納豆は、関東を中心に東日本地区で発達し、西日本地区
では縁の薄い食品であったが、近年のチルド物流の整備に伴
い、次第に店頭にも並ぶようになったのが一〇年前。
 最近では全店、定番商品としての地位を確立し、西日本地区
でも消費量が増している。
 だが、九州地区では熊本だけは例外で、関東地区と同量の消
費がある。
 そもそも、納豆は肥後熊本の領主、加藤清正公が朝鮮出兵の
折りに、馬のえさとして積んだ大豆がワラの持っている納豆菌
によって発酵してできたといわれ、歴史は文禄元年にさかのぼる。
 熊本では一人当たりの消費量は福岡の二倍はあるとされ、毎
日の食卓に上がる。熊本では、昔は家庭で納豆を造るのが普通
で、生活に密接に結びついていたが、もちをつく家庭が少なく
なったように、納豆も店頭で購入するようになっている。
 商品傾向は一〇年前は一〇〇gが八割を占めていたのが、個
食化傾向やそのまま廃棄できる簡便性が受けて、今では三〇〜
五〇gの個食パックが大半を占め、これに応じて、納豆も小
粒・中粒が消費の中心となっている。
 最近では有機栽培の大豆を使用するこだわり納豆が高い伸び
を示している。地域的には九州全体では人口の集積する福岡地
区での伸びが高く、熊本では安定した消費量となっている。
 

『納豆特集  九州地区=マルキン食品、オーガニック大豆契約栽培農場持つ』
98/04/08 日本食糧新聞
 
 マルキン食品(株)(本社=熊本市、096・359・11
55)は、アメリカ・オハイオ州にオーガニック大豆の契約栽
培農場を持っている。これらを原料に、納豆、豆腐など差別化
商品の開発を進めている。
 2月から3月にかけて、次々とオーガニック商品を新発売し
た。「有機栽培納豆」「無農薬一〇〇%カップ2」で、いずれ
も米国有機栽培大豆基準証明書付。タレも無添加とした。
 そのほか、豆腐では有機栽培無農薬大豆の「元気とうふ湯豆
腐」。これは豆腐を器に移し換え、水を張り、電子レンジで温
めると熱々の滑らかな湯豆腐ができ上がり、添付のゆず風味の
特製たれで、簡単に食べられる。
 九州産大豆一〇〇%使用した「元気とうふ」や「豆腐御前」
も原料にこだわりを持って開発した商品で、完成品としての商
品もグレードが上がっている。
 同社は毎年、新商品を二〇アイテム弱発売しているが、いず
れも開発に流れる基本姿勢は業界の最高品質の商品を送りだ
し、業界全体のレベルアップに努めている。
 

『納豆特集 業界のカテゴリーキラー、ヤマダフーズ・山田社長に聞く』
98/04/08 日本食糧新聞
 
 納豆の消費量は爆発的に伸びた一昨年に比べれば昨年10月
に前年同月比で伸びが落ちたものの、結局平成9年は一七六三
億円市場に成長、前年比で一〇%増と伸長している。すでに下
段を中心に大手メーカー間で熾烈な納入合戦が展開、棚割決定
後、消費者から厳しい判定が下される時期に突入している。
 納豆メーカーの大手(株)ヤマダフーズ(本社=秋田県仙北
郡、0182・37・2246)は、年商約四五億円、地元秋
田をはじめ東北では圧倒的なシェアを持つトップメーカーだ
が、一昨年、全国販売の一大拠点として、茨城県牛久市に自社
工場を完工、最近まで試験的な生産・販売を繰り返してきた
が、このほど関東地区を中心に全国営業を展開する準備が整った。
 山田社長は前全国納豆協同組合連合会(事務局=東京都台東
区、高星進一会長)副会長の要職を永年務め、納豆の徹底研究
から普及、消費拡大に全力を傾注、納豆業界に対する貢献度も
高く評価され、特に科学的見地から納豆菌、原料大豆、製造設
備(機械)の研究からマーケティング、宣伝まで含め、納豆へ
の思い入れが人一倍なのは、自他ともに認めるところ。
 また納豆ドリンクの開発・商品化など既成観念にとらわれず
打破していく姿勢は、まさしく業界のカテゴリーキラーであ
り、風雲児。例えれば、納豆発祥伝説の一つ、後三年の役、最
終戦の金沢の柵に近い秋田県仙北郡(まさに同社の地元)で納
豆を発見、戦中食とし、九州まで転戦、その間、納豆も広めた
といわれるのが八幡太郎義家で、納豆伝説の地に納豆発祥の碑
を建立した。
 その山田社長が、茨城工場での生産が軌道に乗り、供給体制
が完備した今、新製品の自信作「徳川慶喜納豆」をはじめ数多
くの納豆関連商品(本紙一部既報)を手に自ら、本格的な全国
営業に乗り出す。
 その主力商品である「徳川慶喜納豆」を中心に、今後の経営
方針、有機・減農薬、遺伝子組み換え農産物に関する国際的問
題や国産の原料大豆事情、即席カップみそ汁など他の納豆関連
商品について、インタビューした。
 ‐‐昨年11月、アメリカの契約農場を中心に原料大豆の視
察に行かれたそうですがどんな状況でしたか。
 山田 北米・カナダで有機契約栽培の大豆の今年(九七年)
の作柄について調べました。その時、米・カナダでは、政府が
遺伝子組み換え種子を認め家畜への飼料、人間食用として認可
していることがわかった。私が目にした米国消費者のアンケー
トによると、圧倒的多数がバイオテクノロジーによる食品に対
してラベル表示を希望しているようだが、表示は義務付けられ
ていない。カナダでは既に問題が起き、承認されていない遺伝
子が何らかの手違いで混入した、遺伝子交換「カノーラ(ナタ
ネ)」六万袋が回収されたそうです。欧州連合(EU)では騒
然として各国で激しい抗議が起きている、などのGMO(遺伝
子組み換え)に関する情報を消費者に提供していたのが大きな
印象です。
 ‐‐遺伝子組み換え大豆の使用状況は。
 山田 私の回った北米においては、すでに飼料、搾油用とし
て、九七年産に二五〜三〇%はブレンドされていると聞きまし
たが、消費者の立場から、政府は遺伝子組み換えに関する情報
をタイムリーに開示して、国民の知る権利の中で個人個人が選
択していけるよう私は願っています。
 ‐‐遺伝子組み換えについてそうとうご関心をもって情報を
収集されているようですね。
 山田 バイオテクノロジーの一つである遺伝子組み換え作物
は、最近の技術ではこれまでできなかった種の壁を越えること
ができます。動物と植物間でも遺伝子組み換えはでき、自然界
では起きないことが可能になってきた。しかし、栄養成分の変
化、急性毒性、アレルギー誘発性など、遺伝子組み換え農作物
について予期しない生物学的性質が生じ、人類や生態系に被害
をもたらすと危惧する声があるのも事実です。
 消費者団体は、「遺伝子組み換え食品」と表示すべきであ
る、と表示義務を求めているが、厚生省は安全性の評価は適切
であり問題ない、と議論が分かれている現状にありますね。
 しかし、二一世紀の人口は一〇〇億人になると推定され耕地
面積の減少、異常気象などの要因もあり、食糧不足の危機も考
えられ、人類を救う重要なテクノロジーであることは否定でき
ないと私は考えています。
 今日すでに市場に出回っている遺伝子組換え農産物は、ウイ
ルス病に強くて日持ちのよいトマト、同じくウイルス耐性の
稲、ペチュニア、メロン、日持ちのよいカーネーション、除草
剤耐性、また害虫に強い大豆、ナタネ、トウモロコシ。一九九
三年経済協力開発機構(OECD)での合意に基づき、利用に
関する安全性評価指針が定められたましたが、その基本的な考
え方は「実質的同等性」、つまり導入する遺伝子が生産するタ
ンパク質の安全性を確認し、また組み換え農産物と元の農産物
と比較し、さまざまな性質に変化がなければ、安全性について
元の農産物と同等であると認められるということです。
 ‐‐日本の状況はどうでしょう。
 山田 科学技術庁、農水省、厚生省がそれぞれ指針を定めて
います。
 ‐‐有機農産物の国際基準にもご関心があるそうですが。
 山田 将来的に原料政策がどうあるべきかが重要なポイント
です。消費者トレンドは当然、農薬や抗生物質で汚染されてい
ない安全な食品を食べたいということでしょう。
 国内外の有機表示の農産物が店頭にならび売場面積がここ数
年、確実に拡大されてきた現状ですが、「自然食品」「省農
薬」などさまざまな表示で売られる農産物は本当に安全なの
か、消費者の疑問に答えるため農水省は、一九九二年4月に有
機農産物ガイドラインを制定しました。しかし、これは安全な
農業をどう位置付け、どのように育てるか基本的な政策がない
ままに表示行政が先走り、違反者の取締機関もない不備が指摘
されています。
 ‐‐欧米の状況はいかがです。
 山田 “有機”推進を農政の主要な柱に位置付け法律を作
り、種子から土づくり、輪作まで総合的な育成、違反した場合
は罰金まで定められており、表示はその一環に過ぎない。世界
中で有機農産品に対する需要が高まってきていることが国際間
取引に拍車をかけている。欧州連合、アルゼンチン、オースト
ラリア、オランダなど多くの国が統一基準作成を実行に移して
いるようです。
 ‐‐二一世紀は、食品業界も消費者起点から産地起点の時代
へ突入しそうですね。
 山田 有機農産物の第三者的認証機関で有名なOCIAもI
FOAMから脱退し、OCIAの権威も失墜したとの声もあ
り、承認を得てない。米国には現在、民間で三三、各州で一一
認証団体があり、これらの団体の努力によりオーガニック食品
の地位が向上し社会的認知度が高まってきた。しかし、民間の
認証団体は基準がバラバラなため国が統一基準を作ろうという
動きがあり、作成は完了したが、まだ施行に至っていないよう
です。
 バージニア政府農業局高官の情報によると九八年中には、施
行が予定されるとのこと。米国は民間の団体に委ねており非常
に混乱しているようです。OCIAの認定工場であっても、互
換性がないので、国際的な統一基準を作る必要性があると考え
ています。
 ‐‐その国際的統一基準に関しては。
 山田 有機農産品の国際的コミュニティーは、IFOAM
(インターナショナル・フィデレイション・オブ・オーガニッ
ク・アグリカルチャー・ムーブメンツ=オーガニック農業運動
国際連盟)とFAO(国連食糧農業機関)やWHO(世界保健
機関)で世界の共通基準を作成する努力が評価されています。
 世界共通の有機農産物の基準は、土壌肥沃度増進のため一切
の化学肥料を使用せず、殺虫剤、除草剤は成長期だけでなく、
種子や苗木にも使用しないこと。また貯蔵過程で、防腐剤や合
成保存料、殺虫剤を使用しないなど詳細な基準を設定、この基
準を三年以上続けたものでないと認定を受けられない。このよ
うなプロセスのもとに安全な農産物を生産、流通、加工させ、
消費者が安心できる食品が日本のみならず世界の食卓に並ぶよ
う一日も早く世界統一基準ができることを願ってやまないですね。
 ‐‐一昨年、完工した貴社の茨城工場が本格稼働し、全国営
業を本格的に展開するということですが、具体的に戦略をお話
下さい。
 山田 新製品「徳川慶喜納豆」を今年度の営業推進の最大の
武器と位置づけております。下段向け商品ですが、差別化を図
っており、茨城工場で主に生産しますが、秋田の自社工場はも
とより、全国の拠点にある提携工場でも生産、全国への供給体
制は、下段向け商品であるだけに万全の構えをとっております。 
 ‐‐経営方針としては。
 山田 一言でいうと、企画提案営業です。既成の製品を売り
込むのではなく、刻々と変化する消費者ニーズを捉え、量販店
はどんな商品を求めているのか、時代背景のトレンドはなに
か、徹底的に情報を収集し、問屋、小売さんに逆提案する商品
を提供する。そのための開発・販売に対応する機動力を特に茨
城工場では持っています。なかったら作るということで、売れ
筋商品に仕上げ、流通業者、メーカー、消費者の意見と三者一
体となって取組んでいきます。
 ひところの価格破壊の風潮とは別次元で、日本経済が不況の
真っただ中にある今、やはり低価格商品が売れる時代だと考
え、今年度の経営方針の主柱にしています。時代背景に即した
商品のシフトが必要だと思い、とりあえずは下段、すなわち低
成長下の時代ですから安い商品に絞り他社との差別化を図った
もの、その自信作が「徳川慶喜納豆」です。
 ‐‐その特徴を教えて下さい。
 山田 納豆の本場、水戸の味の伝統を再現、ということで、
まず原料大豆に関しては茨城県利根川流域納豆の加工適性にあ
った粒で良質な大豆を栽培し、その大豆で作った納豆が水戸の
特産品として全国にその名声を高めていきました。地塚大豆と
いって在来種の大豆を品種改良した小粒タイプで白目で脂肪分
が少なく、炭水化物の含有量が多く、納豆の加工適性ナンバー
ワンといえましょう。この地塚大豆を北米に持っていき、大学
の農学部や種子の会社と提携、さらにゾーニング(地域)に合
うよう品種改良しました。現地の農家との契約栽培により安く
ておいしくて食べやすい大豆を原料として確保、自然界の枯れ
草に付着している枯れ草菌の変異株を選抜、スクリーニングを
して匂い控えめ、味わいまろやか、食べた後に口の中に匂いが
残りません。試食セールなどで比べていただければ納得してい
ただけます。
 ‐‐納豆の原点を感じさせる商品ですね。
 山田 江戸の末期一八六六年から一八六七年頃、すでに商売
として納豆を造り「ナットーナットーナットー」と呼んで朝、
売り歩いたといわれています。当時の製法は稲藁に付着してい
る自然界にある納豆菌に頼り、藁ヅトに煮豆を入れてムシロに
包んで自然発酵させる製法でしたが、現在の進んだバイオテク
ノロジーの技術でこれを再現してみました。稲藁に付着してい
る納豆菌数は一g当たりの表面積に対して三〇〇匹くらいしか
いません、つまり純粋培養した納豆菌を通常は八〇〇から一〇
〇〇匹摂取しますが、この幻の納豆を再現するため、当社では
三〇〇匹くらいにして低温長時間での天然発酵製法をコンピュ
ータで科学的な微生物制御技術で再現に成功、匂い控えめ、味
わいまろやかな幻の納豆ができ上がったわけです。
 ‐‐他の特徴としては。
 山田 水戸といえば梅といわれます。この梅を使って納豆の
風味をより一層引き立て、さわやかなおいしさで新鮮な味をご
提案できます。またこだわり極小粒大豆を使用、独自の発酵法
でゆっくり長期熟成させタレ・カラシとさらに梅エキスを別添
にし、匂い控えめ、味わいまろやかにグレードアップ。お求め
安い価格に設定してあります。また消費者キャンペーン(本紙
既報)も実施いたします。納豆関連食品では即席納豆汁「まろ
やかひきわり」、即席カップみそ汁「納豆やさんの納豆汁」、
ふりかけ「まろやかひきわり」、フリーズドライ「かんたん納
豆料理のもと」といったアイテムを多様化する消費者ニーズに
対応していく考えです。
 ‐‐最後に、今後、納豆業界の貴社の姿勢について一言。
 山田 「納豆は地球を救う」‐‐私がかねがね口にしていま
すが、この一言に集約されますね。日本が世界に誇る伝統自然
食品「納豆」の効用を今日の科学技術によりあらゆる角度から
分析、そのデータを裏付けに現代の消費者ニーズにあった商品
を各メーカーが開発・販売されているわけですが、納豆は日本
人だけでなく海外の消費者にも受け入れられ普及され浸透する
ことを願ってやまないわけです。納豆は地球を救う、この信念
のもとにこれからも取組んでいきたいと思います。
 ‐‐ありがとうございました。
 

『減速化の納豆市場、昨年は2桁増 健康食の認知定着』
98/04/06 日本食糧新聞
 
 納豆市場は昨年10月に前年同月比でマイナスを記録、減速
化の兆しを見せ、一部の大手関係者は危機感を持っていたが、
平成9年の規模が、一七六三億円、対前年比一〇%増と二桁増
の成長を遂げたことが、全国納豆協同組合連合会(東京都台東
区、03・3832・0709)の集計で分かった。
 この数字は、同連合会が、総務庁の家計調査による平均一世
帯当たりの納豆消費金額に基づいて集計したもので、業界の市
場規模をとらえる基準となる数字となっている。
 背景として、全納連を中心とした業界挙げてのPRで、より
健康食品として認知度が高まったこと、最大手のタカノフー
ズ、旭松食品による大々的なテレビCMのほか、大手各社によ
る消費者キャンペーンなどの販促が功を奏し、また中小メーカ
ーの特徴を持った上段向け商品が、より消費者の支持を受けた
ことが考えられる。
 

『うまいぞ地の野菜(3)静岡ミニ情報 お寺から世に出た浜納豆』
98/04/06 日食外食レストラン新聞
 
 遠州名物に浜納豆がある。香煎をまぶした蒸し大豆に麹菌を
培養して豆麹を作り、これにサンショウやショウガの千切りを
加え、塩水に四〇〜五〇日漬け熟成した後、天日に干して仕上
げたものだ。
 もともとは中国(唐)から伝来した塩鼓(唐納豆)を起源と
する。唐納豆は、味噌の類で坐禅納豆、黒豆坐禅、坐禅豆とも
称せられ、主として寺院において製造された。
 庭園で名高い真言宗の名刹、三ヶ日町の「大福寺」で代々の
住職により受け継がれてきた「大福時納豆」もその一つ。 
 このほか遠江の金剛寺、浜松の法林寺などがあり、文献で
は、足利将軍に献上したという記録も残っている。
 京都・大徳寺の大徳寺納豆もこの流れをくんでいるが、こう
して伝えられてきた納豆は、江戸時代には浜名納豆、明治以降
は浜納豆と呼ばれ、浜松の名産品として知られるようになって
きた。
 地元の家庭でも手作りされ、お茶受け、お茶漬けにと親しま
れている。
 

『丸美屋食品工業、FD製法で「有機無農薬栽培大豆使用納豆ふりかけ」発売』
98/04/01 日本食糧新聞
 
 丸美屋食品工業(株)(東京都杉並区、03・3332・8
115)は4月3日から、「納豆ふりかけ」「お茶ふりかけ
〈梅味〉」を全国で発売する。それぞれ無農薬栽培の納豆、茶
葉を素材に使用、強い健康イメージを訴求する。小袋分包タイ
プなので弁当向けなどに利便性が高い。発売地区は全国。
 「納豆ふりかけ」は、有機大豆で作った納豆をFD(フリー
ズドライ)製法で仕上げた。内容量に占めるFD納豆の比率を
四〇%と高くし、健康感だけでなく本物感も重視。
 納豆と相性の良い「おかか」もバランス良くブレンド。彩り
にも配慮し、FDのネギも加えてある。それぞれの素材を生か
すため、全体的にあっさりとした薄めの味付けとした。
 ご飯にふりかけるだけでなく、チャーハンやパスタ、ソバの
薬味など、消費者の好みで使い分けできるのもポイントだ。
 「お茶ふりかけ〈梅味〉」はカテキンを豊富に含む国産の有
機栽培茶葉をベースに、良質の梅と有機栽培のごまも加えた。
茶葉の形状を残すなど、素材感にも配慮した。
 茶葉の程よい渋みと梅のさわやかな酸味は、ご飯との相性が
良い。ふりかけだけでなく、お茶漬けにしても楽しめる。
 ▽納豆ふりかけ=内容量一八g(四・五g×四袋)、荷姿一
〇袋×六B/L、小売価格一三〇円▽お茶ふりかけ=内容量一
二g(三g×四袋)、荷姿一〇袋×六B/L、小売価格一三〇円
 

『インドネシア生まれの大豆発酵食品「テンペ」、佐賀県白石町』
98/03/30 日本農業新聞
 
 水田転作で大豆が増えている佐賀県白石町では、インドネシ
アの大豆発酵食品「テンペ」を特産品として作り、消費拡大を
図っている。農家や主婦、JA、漁協関係者らでつくる白石町
ふるさと産品普及の会が三年前から製造、販売量は昨年度まで
に八倍に伸びた。保育園や学校給食でも利用してもらい、地域
にテンペを広げている。
 テンペは「インドネシアの納豆」と呼ばれる。煮大豆をテン
ペ菌(リゾーブス菌)で発酵させた食品で、菌で白く固まった
形をしている。日本の納豆のように粘りやにおいはないが、発
酵によってビタミン類やアミノ酸が豊富。白石産大豆一〇〇%
の「しろいしテンペ」を日本食品分析センターで調べてもらっ
たところ、煮大豆に比べて鉄分やカルシウムは二倍、ビタミン
B1は一・五倍、ビタミンB2は二・五倍と栄養価は高い。
 テンペ作りは、一九九四年度から、転作大豆の消費拡大と特
産品開発を目的に始め、大学研究者やJA白石地区の農産物加
工担当者らの指導を受けて商品化した。普及の会には町も助
成、十五人の会員が注文に応じて月に三、四回製造している。
 一年目は町民と保育園に百キロを販売。二年目は百六十キ
ロ、昨年度は八百五十キロと年々増えた。昨年度は学校用が二
百三十キロ、保育園用が九十四キロを占め、一般消費者の需要
に加えて給食用の利用が伸びている。本年度も昨年度並みの販
売量になりそう。
 冷凍した二百グラム入りパックが百五十円(税込み)。給食
用など大口需要向けには二キロ単位で販売する。業者に委託加
工してもらいテンペの豆菓子(三十グラム五十円、百グラム百
五十円)も販売。販売を担当する同町農林水産課は「おろしあ
え、チャーハン。おこわ、かき揚げも人気がある。さまざまな
料理に使えるので、さらに消費拡大を図りたい」と売り込みに
力を入れている。
 

『ふりかけ市場 今春は「納豆」で勝負、納豆メーカーなども導入』
98/03/27 日本食糧新聞
 
 この春のふりかけ商戦は、「納豆」がキーワードになりそう
だ。市場の二大メーカーである永谷園、丸美屋をはじめ、中堅
クラスや納豆専業メーカーなどが相次いで納豆ふりかけの導入
を進めている。健康食品としての需要が高まり、順調に成長を
続ける納豆市場に着目した。従来の緑黄色野菜や海藻、小魚素
材の商品に加え、新ジャンルの健康ふりかけ育成に取り組む。
 永谷園は10日から「納豆さまさま」を東北地区で発売し
た。素材や味付けで際立った特徴はうたわないが、「“納豆”
のコンセプトでストレートに勝負する。食べてもらえば分かる
味」と自信をのぞかせる。四袋入りで一三〇円の価格力も強い
セールスポイントだ。4月3日から関東地区でも発売、順次全
国展開する。
 丸美屋は4月3日から「納豆ふりかけ」を全国発売する。素
材に無農薬栽培の大豆で作った納豆を使用、他社商品を大きく
しのぐ健康感を打ち出した。容量に占めるFD(フリーズドラ
イ)納豆の比率も四〇%と高い。この商品も四袋入りで一三〇
円と価格力がある。
 「緑黄野菜ふりかけ」で健康ふりかけのトレンドを作った大
森屋は「ふりかける納豆」を2月から出した。北海道産の納豆
にからし、ネギを加えたリアルな商品設計が特徴。三袋入りで
一七〇円、FD納豆の比率は四五%と高い。
 ニチフリは1月から従来品を「納豆ふりかけ・三袋入り」に
改定。FD納豆と鰹節、醤油、皮むきごまを素材に使い、風味
を特徴づけた。小売価格一六〇円。
 ニコニコのりも昨年9月から「納豆ふりかけ」を発売。納豆
独特のにおいや粘りが苦手な消費者にも配慮し、独自の製法で
抑えた。唯一、大袋タイプ(三〇g、二〇〇円)なのも、ポイ
ント。
 納豆専業メーカーでは最大手のタカノフーズが「なっとうふ
りかけ」を昨秋から導入、「おかめ納豆」ブランドでふりかけ
市場でも健闘している。納豆菌や酵素を商品に生かした本格感
を特徴とし、品質維持のため通常の納豆と同じチルド売場で展
開している。三袋入りで一六八円の価格設定。
 納豆市場は年間一六〇〇億円規模、過去二年間は年率二桁の
勢いで伸びた(本紙推定)。高タンパクだがコレステロールは
ゼロ、食物繊維やビタミン類を豊富に含む‐‐などの健康面が
消費者に見直され始めたほか、従来は食習慣のなかった西日本
地区の消費が急速に増えたためとされる。
 「納豆ふりかけ」は、成長分野をとらえたタイムリーな商品
展開といえる。ただ、これだけ同じコンセプトの商品が揃え
ば、量販店が取扱いを絞り込むのは必至。メーカー間の棚取り
合戦は熾烈なものとなりそうだ。
 

『九州版 マルキン食品、納豆・豆腐などオーガニック商品発売』
98/03/27 日本食糧新聞
 
 マルキン食品(株)(本社=熊本市、096・359・11
55)は、アメリカ・オハイオ州にオーガニック大豆の契約栽
培農場を持っているが、これらを原料に、納豆、豆腐など五品
を開発した。
 2月から3月にかけて、次々とオーガニック商品として発売
したもので、納豆は「有機栽培納豆」「無農薬一〇〇%カップ
2」。いずれも米国有機栽培大豆基準証明書付で、タレも無添
加とした。
 そのほか、豆腐では有機栽培無農薬大豆の「元気とうふ湯豆
腐」。これは豆腐を器に移し換え、水を張り、電子レンジで温
めると熱々の滑らかな湯豆腐ができ上がり、添付のゆず風味の
特製タレで、簡単に食べられる。
 九州産大豆一〇〇%にこだわった「元気とうふ」や「豆腐御
前」もグレードの高い商品として発売した。
 同社は毎年、新商品を二〇アイテム弱発売しているが、いず
れも開発に流れる基本姿勢は業界の最高品質の商品を送りだ
し、業界全体のレベルアップに努めている。
 

『[続頑張れ国産大豆]上、拡大のチャンス、納豆生産と二人三脚』
98/03/24 日本農業新聞
 
 米の転作強化で、大豆生産が増える。納豆、豆腐、煮豆メー
カーなどの需要者は、転作が増減する度に量の確保や価格の乱
高下に振り回されてきた。国産大豆の見直し機運が高まる中、
今年産の増産を機に需要者は安定した関係を求めている。既
に、こうした協調体制に取り組んできた先進事例を追った。
倍増でも「歓迎」
 「転作大豆が二倍に増えても大丈夫。むしろ、納豆生産拡大
のチャンスで、歓迎したいほどだ」。宮城県のJA角田市納豆
センターの佐藤武雄所長は力強く言い切る。八年前に始まった
納豆生産事業が軌道に乗った。その自信に裏打ちされた言葉だ。
 県南部のJA角田市が、納豆センターを発足させたのは一九
九〇年末。「米以上の収入」「二割を超える転作時代を迎え
た」との判断で納豆生産を始めた。
 原料大豆は、納豆用小粒の「コスズ」。センターができる二
年前から試験栽培を始めた。「大粒の方が収量も良くて作りや
すいが、納豆には向かない」と、あえて小粒の「コスズ」に挑
戦した。
 同時に、製品の販路確保も手がけた。肉や卵で取引関係があ
ったみやぎ生協と交渉した結果、「農薬を極力抑えた大豆の納
豆な取引しましょう」と合意した。同生協が示した条件は、通
常三、四回行われる除草剤の散布をしない、殺虫殺菌剤は一回
だけという厳しい内容だった。
 生産者の減農薬栽培努力に対し生協も加算金を認めた。納豆
百グラム一パックにつき二円を生協が負担することになった。
同様に納豆センターも一円負担した。大豆一俵(六十キロ)で
百グラムの納豆が千パックできるから、生産者は一俵三千円の
加算金でスタートできた。こうした、厳しい栽培条件や販路確
保も整って、角田市管内の大豆生産が始まった。
 納豆センターの販売額は一億五千万円。原料は、一日に十三
〜十四俵、年間二千三百俵使う。同管内の十アール収量は、
「コスズ」で百五十キロ。百二十ヘクタールで需要をまかなっ
てきた。
 生産は二十三の小粒大豆生産組合が担ってきた。九三年の大
冷害時、「コスズ」を岩手県産に頼ったことはあったが、それ
以外は管内の原料を使ってきた。生産組合あっての納豆センタ
ー、センターあっての生産組合、という二人三脚体制が続いて
きた。
農機さらに充実
 販売代金は一俵一万九千円。内訳は交付金制度の「コスズ」
基準額一万五千円に納豆小粒四千円。さらに、加算金も当初よ
り二千円増えて五千円となっているため生産者の手取り額は二
万四千円となる。
 同管内の今年の転作面積は、前年より三百六十ヘクタール増
えて千ヘクタール。主力転作物の大豆も三百ヘクタールと倍増
する見込みだ。大豆がなければ転作増を消化できない。そのた
め同JAは今の三台のコンバインをさらに二台追加、その他の
機械も整備する計画だ。
 納豆センターは、「コスズ」が三百ヘクタールに増えること
を歓迎する。九八年産が倍増しても、実際に出回る一年半後ま
でに、生産ラインの拡大を準備、販路もみやぎ生協などの共同
仕入れグループのサンネットに広げる計画。五年間で黒字収支
に転換できた成果があるからだ。
 八年間の実績が、積極的な地場の大豆生産を支えている。
 

『永谷園、値頃感4袋入り「ふりかけ・納豆さまさま」発売』
98/03/23 日本食糧新聞
 
 (株)永谷園(東京都港区、03・3432・2511)は
10日から、健康食品として見直され始めている納豆を素材に
使ったふりかけ「ふりかけ・納豆さまさま」を発売した。初年
度売上げ目標は四億円。
 小売価格一三〇円で四袋入りと値頃感を強めた。ユニークな
ネーミング、インパクトの強いパッケージで消費者の認知度を
高める狙いだ。
 納豆は高タンパクであるが、コレステロールはゼロ。そのう
え、ビタミン類、食物繊維、鉄分などを多く含むなど、栄養の
バランスに優れる。永谷園はトップブランドのノウハウを生か
し、新しい健康ふりかけのジャンルを構築する考え。
 商品内容は次の通り。
 「ふりかけ・納豆さまさま」▽内容量=一四・四g(三・六
g×四袋)▽標準小売価格=一三〇円▽荷姿=一個×一〇P×
六B▽発売地区=東北から順次全国
 

『オーガニック認証制度の行方(6) 検査官(2)米国FVOも養成』
98/03/18 日本食糧新聞
 
 認証団体が独自に検査官を養成する動きがもうひとつある。
昨年11月に日本事務所を開設したばかりのアメリカの認証団
体FVO(ファーム・ヴェリファイド・オーガニック、日本事
務所・横浜市、045・339・1100)である。
☆波紋を呼ぶOCIA
 現在、日本で出回っているオーガニック認証食品で最も多い
のは、アメリカのOCIA(オーガニック農作物改良協会)の
認証品ではないだろうか。味噌や納豆など大豆製品の認証が目
立つが、日本に事務所を設置していない。昨年、日商岩井との
間でOCIAジャパン設立の話が行われていたが、実現には至
らなかった。
 余談だが、四万の会員を擁する世界一の認証団体であるOC
IAも二年前に起こった会員企業の不正表示事件以来明るい話
題がない。今年1月にはついにIFOAM(国際オーガニック
農業運動連盟)認定機関としての認可の停止とその認可プログ
ラムの運営を行っているIOAS(国際オーガニック認可サー
ビス)からの脱退を表明、波紋を呼んでいる
 日本に最初に事務所を設置したのはQAI(クオリティー・
アシュアランス・インターナショナル)で、一部果汁が出回っ
ている。FVOは二番目である。
 FVO(本部・ノースダコタ州メディナ)はアメリカの五大
認証団体の一つで、ドイツ、オーストラリア、ブラジル、イン
ドなどにも事務所を設けている。OCIAなどと違って、会員
制をとらず、個人農場の認証業務が半分を占めているのが特徴
である。日本事務所長の塙章氏によれば、開設に当たって本部
と個人農場のサポートを基本的に確認したということである。
☆生産者検査官を歓迎
 そのFVO日本事務所が3月16〜17日に東京・渋谷のフ
ォーラム8で、専属検査官の養成講座を開催する。募集人員は
三〇人だが、JOIAの六日間に対してわずか二日間と短いの
は検査官としての基礎知識とFVO検査官マニュアルに即した
検査手順の研修を行うだけで、農場や工場の研修を予定してい
ないためである。
 もちろんこの講座終了後、数回にわたって実地検査を経験し
た後に専属検査官となる。
 FVOは検査官に認証の推薦を求めていない。認証プログラ
ムに基づく検査(チェック)だけを求めているから、養成講座
では基礎知識と検査実施の手順修得で十分と考えている。
 検査官は検査の前後各一年、申請者と接触しないこと、有償
でのコンサルティングをしてはならないことなどはIOIAの
考えと同じだが、塙氏は「(検査官には)認証を受けている生
産者になってもらうのが一番」と考えている。有機農業に対す
る知識、経験が豊富なうえに、検査コストの低減と有機農家の
収入増につながるからである。
☆認証普及へ費用軽減
 認証制度の普及にとって、認証コストの低減は大きな課題で
ある。JONAの場合は年会費一万円+検査官費用+認証料
(マーク使用料)〇・五%が基本になる。検査は通常日本オー
ガニック検査官協会に委託しており、一件五万円である。
 有機中央会の場合、年会費は一地域一万円+一人三〇〇〇円
で、指導検査官は日当制で一人一万円、二人分で二万円とな
る。本部から派遣する検査官の費用は本部負担となる。それに
検査官の交通費(実費)が加算されるが、認証手数料はとらな
い。検査官に宿泊が必要な場合は宿泊費の負担も必要となる
が、圃場に最も近い検査官を派遣するようにしているのも認証
コストをできるだけ引き下げようとの考えからである。
 FVO日本事務所の場合、審査はすべてアメリカの本部が行
うが、申請料、審査料合わせて二万〜三万円、専属検査官は有
機中央会同様日当制で、年間を通して仕事を保証する方式であ
る。専属検査官の養成も「検査費用の引き下げが狙い」(塙事
務所長)で、認証コストは農家の場合六万円くらいで済むので
はないかとみている。
 オーガニックは「認証」という新しい概念を持ち込んできた
が、とくに生産者にとってそのコスト負担が普及の障害となら
ない工夫が必要である。(藤浪)
 

『くめ・クオリティプロダクツ、モルバパウダー付き「健幸モルバ納豆」発売』
98/03/18 日本食糧新聞
 
 くめ・クオリティプロダクツ(株)(経営本部=東京都中央
区、03・5524・7130)は、「健幸モルバ納豆」を上
旬から全国で新発売した。
 新製品は、伝統食品「納豆」と北大西洋の深海に棲むタラ
(モルバ・ガディディアの内臓自己分解物)から取り出した栄
養補助食品「モルバ」の効能を併せ持った健康食品で、「脳内
革命」で有名な春山茂雄氏の「健幸革命」の中にも取り上げら
れている。
 モルバには各種アミノ酸やDHA、EPAなどの成分を含
み、これを摂取すると脳波がアルファ波になり、脳内モルヒネ
が出やすくなり、「記憶力増強」「肥満防止」など効果があ
り、たれ、辛子はもちろん、モルバパウダー(大海のbrai
n POWER)を添付している。
 また同社では、今後「健幸」をテーマに、製品のシリーズ化
を進めるという。
 商品形態はトレー一段ピロー包装、商品サイズ縦一三〇ミリ
メートル×横一〇〇ミリメートル×高三〇ミリメートル。内容
量六〇g×一、賞味期限は製造日から八日間。希望小売価格二
〇〇円。販売ルートは通販、量販店など。
 

『ヤマダフーズ、「納豆屋さんの納豆汁」発売、独自のFD製法で』
98/03/09 日本食糧新聞
 
 (株)ヤマダフーズ(秋田県仙北郡、0182・37・22
46)は、即席味噌汁「納豆屋さんの納豆汁」を3月1日から
全国で発売した。
 常に安定で高品質のひきわりを製造できるノウハウを持つ同
社が、独自の発酵法を採用、自社開発菌により仕上げたひきわ
り納豆を使用、納豆の風味をそこなわずフリーズドライさせる
ため独自のFD製法で、そのおいしさをそのまま封じ込めてある。
 具は、油揚げ、豆腐、ネギ、ワラビ、ゴボウ、ナラ茸などボ
リューム満点、具だくさんの納豆汁。
 またカップとスプーンがセットになっており、お湯を注ぐだ
けで忙しい時でも簡単に本格的な納豆汁を楽しめ、ハイキング
などにもピッタリ。
 時間をかけてじっくり開発したこだわりの味を持つと同社で
は自信作だという。
 内容量は二八・九g(二〇〇ミリリットル一人前)、入り数
一二、賞味期限六ヵ月(常温保存)。販売ルートは大手量販
店、大型小売店など。
 

『納豆大豆、偉大な力に注目、活性酸素抑制し体守る』
98/03/06 日本農業新聞
 
 動脈硬化や、皮膚の老化、がんの原因など現代病の九〇%に
かかわるといわれる活性酸素を大豆や納豆が抑制するという研
究がこのほど発表され、注目を集めている。活性酸素を抑制す
るという発表がされたのは初めてのことだ。納豆・大豆に秘め
られた力が徐々に明かされてきている。
 活性酸素は、本来、悪玉菌やウイルスが体に入るとそれを強
い酸化力によって殺菌しようと働くもの。だが、悪玉菌などの
侵入が多かったり、強かったりすると活性酸素が過剰に作りだ
されて、体に必要な善玉菌も、傷つけてしまう危険性を持って
いるといわれる。
 その結果、糖尿病、アトピー性皮膚炎、白内障、肝炎、痛風
からシミ、しわなどの老化に至るまで、活性酸素がかかわって
いるといわれている。金澤武道東北食効科学研究所長は、活性
酸素により引き起こされる動脈硬化を大豆の成分が抑制すると
いう。
 動脈硬化は、血管が狭くなって起こる。その理由として、一
つはコレステロールの増加、もう一つは、コレステロールを運
ぶLDL(低比重リポたんぱく=たんぱく質と脂質を併せ持っ
た物質)が活性酸素によって酸化されることだとしている。金
澤所長は、「LLの酸化は、大豆や納豆で防ぐことができる」
という実験結果を得た。
 毎日、百グラムの納豆を三週間食べ続けた人のLDLを取り
出して、活性酸素を加えたところ、有意的に酸化が遅かったと
いう。
 「これからも大豆の中のどの物質が影響を及ぼすのかをさら
に研究を進めていきたい」とまとめた。
 須見洋行倉敷芸術科学大学教授は、納豆の中に、活性酸素を
消去する物質が多く含まれることを見つけた。「特にSOD
(スーパーオキシドジスムターゼ)酵素は、納豆そのままの形
でも市販されているSOD剤以上に強い」という。
 SODは、活性酸素を分解して安全なものに変える酵素。同
じく良質の酵素であるカタラーゼも多く含まれる。「ほかの大
豆食品のみそやしょうゆ、豆乳と比べてもずばぬけている」
 活性酸素が大いに関係するという、ストレス性の胃かいよう
にSODが効果を発揮した。「ストレス性の胃かいようにした
ネズミに投与したところ、症状を抑えた」
 トリハロメタンやダイオキシンを投与すると肝臓がえ死する
が、これにも納豆が効果があるということも分かりかけてきて
いるという。「これからは、老化や糖尿病、そして発がんとの
関係を中心に研究を続けたい」としている。
 

『納豆・大豆抗酸化作用の公開セミナーが盛況』
98/03/06 日本食糧新聞
 
 (社)日本工業技術振興協会天然物生理機能素材研究委員会
(東京都千代田区、03・3238・5300)主催の公開セ
ミナー「納豆・大豆の抗酸化作用について」(後援=全国納豆
協同組合連合会)が2月26日、東京・青山のアイビーホール
青学会館で開催された。
 同協会、全納連は数年前から自然食品「納豆」のセミナーを
行い健康食品「納豆」の宣伝に力を注いできたが、メーカーの
努力もあり急速に消費を伸ばし、現在の市場規模は一六五〇億
円。こうした状況で同協会のセミナ‐に関心を示す参加者が
年々増加している。
 今回のテーマ「納豆・大豆の抗酸化作用」は活性酸素を取り
上げた内容が中心で、かなり科学的に専門性の高い内容であっ
た。総合討論では講演者同士も含め質問が続出、最後に全納
連・高星進一会長のあいさつで閉会した。
 〈講演者・演題〉▽金澤武道弘前大学医学部第二生理学教室
助教授「大豆成分と抗酸化能」▽土岐尚親日本臨床皮膚科学医
学会理事(広島県土岐皮膚科病院長)「皮膚疾患、老化と活性
酸素」▽須見洋行天然物生理機能素材研究委員会委員長(倉敷
芸術科学大学教授)「納豆の強力な活性酸素消去系、SOD」
▽大久保一良東北大学大学院農学研究科教授「大豆および大豆
食品の活性酸素消去能」
 

『朝日食品が「金のつぶ」発売を記念し、金のハローキティグッズを進呈』
98/03/06 日本食糧新聞
 
 朝日食品(株)(本部=千葉県佐原市、0487・57・2
002)は、3月2日から5月31日まで納豆の新ブランド
「金のつぶ」の発売を記念して消費者プレミアムキャンペーン
「金のハローキティグッズ」プレゼントを全国で実施している。
 内容は、金メッキ使用のハローキティのワンポイントがつい
たグッズで、Aコース=小銭入れ、Bコース=ダイアリー、C
コース=ポーチなど「金のハローキティグッズ」を抽選で総計
六〇〇〇人にプレゼント。
 対象商品は「金のつぶ」シリーズ全品、「水戸こつぶ」シリ
ーズ全品、「有機無農薬大豆3P」「水戸のモーニングさんC
3」、「水戸の田舎炭造C3」。
 応募方法は、商品についている「金のつぶマーク」を切り取
り、一枚を官製ハガキまたは店頭応募ハガキ(五〇円切手を貼
る)にセロテープで貼り、希望コース、住所・氏名・年齢・電
話番号を明記の上、〒103‐8636、東京日本橋郵便局私
書箱271号「金のハローキティグッズプレゼント」係。
 締切りは第一回目3月31日(各コース六〇〇人)、二回目
4月30日(同七〇〇人)、三回目5月31日(同七〇〇人)
の三回。
 当選発表は賞品の発送をもって替える。
 

『ヤマダフーズが1万人に当たる「健康・ハッピー家族キャンペーン」』
98/03/06 日本食糧新聞
 
 納豆メーカーの大手、(株)ヤマダフーズ(秋田県仙北郡、
0182・37・2246、山田清繁社長)は、3月から11
月まで、総計一万人に当たる「健康・ハッピー家族キャンペー
ン」を全国で実施している。
 対象商品と主な景品は、(1)おはようグッズプレゼント
(トリプルチャンス・三コース)として「徳川慶喜納豆」で備
炭入りまくらなど、合計六〇〇人に(2)秋田産「あきたこま
ち」プレゼント(ダブルチャンス)として「ひきわりマイルド
3P」「同2P」「照井さんの豆」「伊藤さんの豆」では、あ
きたこまち五キログラムを合計六〇〇人に(3)茨城工場竣工
一周年記念ワールドプレゼント(シングルチャンス)として
「骨コツ納豆」「今夜は納豆」「フレッシュパック」では世界
のお花畑、納豆クッキングBOOKを合計八八〇〇人に、とな
っている。
 期間は、(1)は3月から11月(三ヵ月毎、三回抽選)
(2)は3月から8月(同、二回)(3)は3月から10月
(同、二回)。
 応募方法は、店頭の応募ハガキまたは官製ハガキに、対象商
品についている応募券(おはよう娘のマーク)を切り取り、八
枚一口をセロテープなどで貼り、コース(徳川慶喜納豆買いあ
げの人)一つ選び、住所・氏名・年齢・性別・電話番号・購入
店名を明記の上、〒300‐0551茨城県牛久市奥原町字塙
台一七五三番地、同社、健康・ハッピー家族キャンペーン「グ
ッズプレゼント」係に送る。各コースとも期間終了後一五日間
受付け、発表は賞品の発送をもって代える。
 同社では、主として女性、特に主婦層を対象に、このキャン
ペーンによって、戦略商品「徳川慶喜納豆」の新商品拡販を軸
に、既存商品の相乗的拡販にもつなげ、全商品の活性化を図
る、と意欲的だ。
 なお詳しい問い合わせは同社茨城工場(電話0298・7
5・2111)まで。
 

『ヤマダフーズ、「徳川慶喜納豆」発売、極小大豆を低温発酵』
98/03/06 日本食糧新聞
 
 (株)ヤマダフーズ(秋田県仙北郡、0182・37・22
46)は、「徳川慶喜納豆」「ひきわりマイルドミニ2」を3
月1日から全国で一斉に新発売した。
 「徳川慶喜納豆」は、極小粒大豆を使用、江戸時代にわらで
売られていた納豆製法を現代に再現、低温でじっくりと時間を
かけて発酵させる低温長期熟成製法でまろゆかな味わいを実現
した。また、こだわって開発した特製梅しそたれと、納豆専用
のたれ・からし付き。一〇度C以下で保存し賞味期限はD+
9。内容量は五〇g×三、入り数一二、参考売価一五八円。
 「ひきわりマイルドミニ2」は、ひきわり大豆を使用。業界
に先駆けて導入した連続蒸煮缶により、通常四〇分かかるとこ
ろを一二分で素早く蒸し上げるのでうまみ成分を逃がさず、お
いしさを閉じ込めている。また余分な水分をムラなくスムーズ
に取り去り、ふっくらとした仕上がりで、においを控えめにし
た、まろやかな味わい。一〇度C以下の保存で賞味期限はD+
6。参考売価一〇八円、内容量五〇g×二、入り数一二。
 また3月1日から8月31日の期間で合計六〇〇人にあきた
こまち米五キログラムをプレゼントするプレミアム・キャンペ
ーンを実施する。いずれも全国の量販店で販売を展開する。
 

『朝日食品、中埜酢店と共同で納豆新ブランド「金のつぶ」発売』
98/03/04 日本食糧新聞
 
 朝日食品(株)(本部=千葉県佐原市、0478・57・2
002)は、納豆の新ブランド「金のつぶ」シリーズ=写真=
を市場導入、三アイテム六品(一部除く)を新発売した。
 納豆の市場規模は、近年の健康ブームと食品業界を震撼させ
たO157に対する発育阻害作用、抗菌作用など、さまざまな
効用が宣伝され、また各社が特徴(におい控えめなど)を持っ
た多様な商品を開発、従来、食べる習慣がなかった関西地区な
どでも受け入れられ、特にここ一〜二年、消費は二桁前後の伸
びを示し、約一六五〇億円(九七年度推定、小売ベース)の巨
大市場に成長している。
 しかし昨年10月以降はブームに陰りが見え始め、市場拡大
には新たな布石を打たざるを得ない状況にあり、同社では現
在、納豆の製造販売のほか、チルド食品(もずくなどの珍味
類)の販売も行っている。
 新ブランドは、昨年3月同社の経営権を取得した(株)中埜
酢店の研究開発力(食酢の開発を通して培ってきた菌研究・発
酵技術)・マーケティング力(市場分析・消費者調査)と朝日
食品(株)が昭和27年以来蓄積してきた納豆製造技術の融合
により生まれた、素材や製法への独自のこだわりを持つ納豆で
「有機栽培大豆」「活き活き大豆」「ふくまろ」の三アイテム
(六品)。
 いずれも容器にはフタに切り取り線を入れ、簡単に離れるよ
うになっており(カップは除く)、添付の“たれ”にもこだわ
り、「かつお節からとった一番だし」のみ鰹だしに使用、パッ
ケージデザインも、売場で目を引き、買いたくなるように工夫
したという。
 他の特徴として「有機栽培大豆」は、米・アーカンソー州の
農家で契約栽培した有機栽培大豆を一〇〇%使用、参考小売価
格は五〇g×三が一六八円、カップ三〇g×三が一五八円、3
月2日から九州・沖縄を除く全国で発売された。
 「活き活き大豆」は、大豆本来の生命力を十分に生かした味
わいを実現、「ふくまろ」は、大豆のおいしさをたっぷり含ん
だ煮汁と一緒に蒸煮する同社独自の“ふくまろ製法”で製造。
大豆そのものの養分を利用、納豆菌の働きをより活性化させ、
うまみを増加させるとともに、糸がしっかり張ったふっくらま
ろやかな納豆に仕上がっている。
 参考小売価格は、五〇g×三が一五八円で3月2日から、同
×二が一二〇円で3月20日から、いずれも関東・甲信越・東
海・北陸で発売。
 また3月から5月の間、関東・東海地区を中心にTVCMを
集中投下、同期間消費者プレミアムキャンペーン「金のハロー
キティグッズ・プレゼントキャンペーン」も実施。
 

『全国納豆協組連、全日本鑑評会開く』
98/03/04 日本食糧新聞
 
 【大阪】全国納豆協同組合連合会(事務局=東京都台東区、
03・3832・0709)は2月20日、神戸市中央区の新
神戸オリエンタルホテルで「全日本納豆鑑評会」を開催した。
 鑑評会は、納豆の全国規模での消費促進と、製造メーカーの
活性化を目的とするもので、初回を東京、二回目を札幌で開
催。三回目の今回は、最近大きく消費量を伸ばしている関西で
という声が挙がり、神戸での開催となった。
 出品メーカーも年々増えており、今年は全国から一〇六業者
が各社自慢の納豆を一品ずつ出品。専門機関の研究者、大学教
授、業界代表ら二〇人が審査員を務めた。
 選出の基準は味や食感、糸引き、香りなどで、最優秀賞四
品、優秀賞二品が選出された。入賞メーカー、商品は次の通り。
 最優秀賞=▽(株)大力納豆(新潟県)「小出っ子」▽日向
発酵食品(株)(北海道)「十勝づくし」▽マルカワ食品(
株)(北海道)「北海道昆布納豆」▽(株)高橋商店(新潟
県)「袖振納豆」。優秀賞=▽(株)長瀞納豆(山形県)「長
瀞納豆」▽みやこ納豆本舗(兵庫県)「手造りみやこ納豆」
 鑑評会の席で倉敷芸術大学須見洋行教授が、納豆の効能につ
いて「骨を形成するビタミン K2を豊富に含むことや、納豆
菌中のナットウキナーゼによる血栓の溶解作用、O157など
の病原菌に対する抗菌作用などが知られているが、最近、体内
毒素を抑制する抗酸化作用があることがわかり、注目を集めて
いる」などを内容とする講演を行った。
 高星進一同連合会会長が「市場規模は大きくなったものの、
価格面やメーカー間の競争激化などで、厳しい状況にある中小
メーカーの活性化も連合会の目的の一つ。こうしたメーカー
に、われわれは味や原料にこだわった差別化商品の開発を進め
ているが、このほど米国産の有機栽培無農薬大豆を連合会の推
奨大豆として定めた」と話した。次回の開催地については「日
本海側の消費拡大をにらんで、新潟に内定」。また「納豆の品
質向上のために、今後も鑑評会を積極的に実施し、将来は年に
数回開催していきたい」と意欲を見せた。
 

『[血のはなし13、長寿の妙薬、1日1回は魚を野菜、納豆、果物』
98/03/03 日本農業新聞
 
 血が固まる仕組みと、それが血管の中で起こる「血栓」の怖
さは、前回まででだいたい分かっていただけただろうか。
 脳と心臓の血管が詰まる病気で命を落とす人は、がんによる
死亡者数より多い。徐々に血管が詰まって流れを止めるタイプ
のほか、若い世代に増えているのが、血の粘りが増して赤血球
や血小板がくっつき、血栓が突然飛んできて、流れを止めるも
のだという。
 「食品を選択して食べると、長くて二週間もあれば血が固ま
りにくい体に変わる」。神奈川県横浜市で医院を開く山口了三
さん(五二)らは、研究結果から「抗血栓食」を勧める。
 特に血栓を防ぐ効果の高い野菜十六種については既に触れた
が、ニンニク、パセリ、ネギ、シソなど薬味として使われるも
のも多い。山口さんらはそれらの野菜と、魚などそのほかに効
果の高い食品を組み合わせ、「抗血栓食」の献立をつくった
 イワシ、サンマなど青魚に含まれるエイコサペンタエン酸
(EPA)。以前から「血をきれいにする」と注目されてい
る。山口さんらは、漁港のある町二か所で調査をした。
 その結果から出した結論は「動脈硬化イコール血栓症ではな
い。血栓さえできなければ、動脈硬化は怖くない」。魚を多く
食べる人の中にも、動脈硬化の人は多かったからだ。だが、E
PAがたくさん含まれれば、動脈硬化の度合いや年齢にもかか
わらず、血栓ができにくいのだという。
 割り出した数値から、「一日一回は魚を食べてほしい」と呼
びかける。
 ここで問題になるのが、血栓を防ぐ効果の持続時間だ。「魚
の効果が四日間くらいなのに対し、野菜は五、六時間しかもた
ない」と山口さんは指摘する。だから「野菜は毎日、毎食とり
続けること」が必要なのだという。
 ピラジンという香味成分が、血栓を防ぐために働く。日本人
の食卓に古くからのぼり、親しまれてきたほかの食べ物の中に
も、この成分は含まれる。みそ、納豆、しょうゆなど大豆発酵
食品がそれだ。これらに共通する発酵菌が、ピラジンを生み出
す。同じく発酵させて作るチーズも含まれる。
 果物にも、血栓防止の働き手はたくさんいる。メロン(種類
によって効果は違う)、ミカン、スイカ、ハッサク、レモン、
イチゴ、グレープフルーツなどがそう。
 山口さんらの研究グループが、実際に食べて作り出した献立
は、どれも一日千五百キロカロリー前後。ダイエットメニュー
としても通用する。
 「抗血栓食はどの人にも万能というわけでなく、これしか食
べてはいけないというわけでもない。肉を食べてもガーリック
ライスで補うなど、効果の高い食品を工夫をして加えるという
考え方が大切だ」
 

『納豆「国産大豆」表示へ』
98/03/01 日本農業新聞
 
 「納豆は国産大豆使用の方が輸入大豆ものに比べてうまい」
と評価されているが、納豆業界は「国産大豆使用」や「有機栽
培」などの表示をめぐる公正競争規約づくりを進めている。一
定割合以上使った場合にだけ国産大豆使用の表示を認めること
にし、来年四月から実施する考え。
 メーカーは、「国産大豆使用」を表示することで売り上げ増
を狙う。だが、具体的な使用割合が表示されていないことや、
少ない使用割合でも国産大豆使用と表示するケースもある。
 このため全国納豆協同組合連合会は、一定割合以上使った場
合だけ国産大豆使用の表示ができる規約を作る。具体的割合
は、業界内部や公正取引委員会、関係団体などと詰める。検討
している規約は、国産大豆使用のほか、「有機大豆使用」など
有機表示、「名産、特産、本場」など区別化表示でも基準を作る。
 

『納豆は“良薬”老化を抑制、東京でセミナー』
98/02/27 日本農業新聞
 
 納豆を食べ続けると老化を抑えられることが二十六日、東京
都内で開かれた公開セミナー「納豆・大豆の抗酸化作用につい
て」で、明らかになった。動脈硬化や老化にかかわる活性酸素
が、納豆や大豆に含まれる物質で抑制できるという。
 動脈硬化はコレステロールのとり過ぎとLDL(たんぱく質
と脂質を併せ持った物質)が活性酸素で酸化、血管につまるの
が原因。金澤武道・東北食効科学研究所長は「毎日百グラムの
納豆を三週間食べた人はLDLの酸化が抑えられていた。大豆
と納豆の中の物質が酸化を抑える」と発表した。
 

『にちふり食品、北関東・仙台地区に「納豆ふりかけ」発売』
98/02/25 日本食糧新聞
 
 ニチフリ食品(株)は、「納豆ふりかけ」三袋入りを北関東
営業所、仙台営業所管内で1月中旬から新発売した。商品は納
豆をFD化し、ごまは皮むきを使用。
 内容量五gが三袋で標準小売一六〇円、荷姿は一〇×六ボー
ルが一ケース。地域限定で販売、売れ行き状況をみて逐次全国
に発売の予定。
 

『表示より少ない「不良」納豆発覚、青森県の試買検査会』
98/02/24 河北新報 朝刊
 
表示より少ない「不良」納豆発覚/青森県の試買検査会
 県が23日初めて納豆を対象に行った公開試買検査会で、表
示された重量よりも中身が少ない納豆が見つかり、「不良製
品」と判定された。県内では平成8年、原料が輸入大豆なのに
国産大豆使用と表示された納豆を生協が販売していたことが発
覚、納豆の表示に対する消費者の信頼がまた揺らぎそうだ。
 検査会の対象となったのは青森、弘前、三沢の3市のスーパ
ーや生協で販売されている納豆25点。このうち関東地域の業
者が製造した納豆は包装紙に重量を「50グラム」と表示して
いながら、実測重量は47.8グラムしかなかった。計量法が
許容範囲としている4パーセントの誤差を超え、「不良製品」
と判定された。
 県生活文化課は検査会の結果を受け、計量法を所管している
県計量検定所にこの業者に対する調査・指導を依頼する。
 このほか法律の許容範囲内で実測重量が少ない納豆が3点あ
った。一方で「50グラム」の表示に対して15.7グラムも
多く“サービス”している納豆もあり、製品によって表示と重
量の差にばらつきが目立った。
 検査会は青森市の県労働福祉会館で行われ、公正取引委員会
消費者モニターや県の関係課職員など12人が検査した。
 

『[頑張れ国産大豆]〈上〉納豆、水戸納豆製造・高星進一社長』
98/02/24 日本農業新聞
 
 納豆、豆腐、みそなどで国産大豆を使った製品が伸びてい
る。消費はまだ伸びるのか。国内大豆の需要はまだあるのか。
国内産地への注文など、国産大豆を使っている食品業界の代表
者に聞いた。
 ――国産大豆の方がうまい納豆ができるというのは本当か。
 国産大豆の製品の方がうまいとの結果が出ている。中国産の
小粒、中粒、それに米国産小粒と、国産とを比べてみた。国産
の品種は、「鈴の音」「スズマル」「大袖(そで)振」「キタ
ムスメ」「トヨムスメ」。外観、色調、香り、口あたり、うま
み、糸引き具合などで専門家が評価した。その結果、「鈴の
音」を除き国産の方が高い評価だった。「国産の方が納豆らし
い香り、粘りが豊か」「食感がねっとりして良い」などの意見
が多かった。直接消費者にも食べ比べてもらったところ、やは
り、国産の方に軍配が上がった。最近は米国産の有機大豆など
があるが、やはり味は国産大豆納豆が良いようだ。
 ――国産大豆の納豆は売れているのか。
 当社では、国産を使った水戸納豆(九十グラム入り、百五十
円)や、輸入とブレンドしたわらつと入り(七十グラム五本入
り、七百円)などを売っている。土用はわらつとが人気だが、
国産大豆ものも売れてきている。
 納豆も、ここ二、三年、消費者がこだわり品を買うようにな
った。国産大豆製品には、必ずフアンが付く。安物志向ばかり
でない。スーパーマーケットもかつては全国一律で、その土地
の納豆などは扱わなかったが、最近は違ってきた。納豆業界
も、良いものを作り良い客に買ってもらおうと取り組んでいる。
 ――納豆用に国産大豆の需要は伸びるか。
 当社が使う大豆は年間約二百五十トン。うち一割が国産。納
豆用の国産小粒大豆は、まだまだ欲しい。今の状況では、いく
ら生産しても大丈夫だ。納豆用小粒なら、値段も一俵(六十キ
ロ)二万五千円ぐらいまでは買うだろう。
 ――納豆業界が、国産大豆をより多く使おうとしなかったの
はなぜか。
 スーパーの安売りから、どうしてもコストを下げないといけ
ない。だが、最近は、安売りだけではなくなってきた。ただ、
食品に携わる者は、国産大豆製品を一か月売って、後はないの
では話にならない。原料が不安定では、製品として売り出すわ
けにいかない。それより心配するのは、農家の採算が合わない
ことや高齢化で、国産大豆がなくなるのではないかということだ。
 納豆用の大豆は、肥よくでない畑が向いている。田大豆はあ
まり向かない。田では小粒品種を作っても、葉が繁茂し過ぎて
収量が上がらない。これをクリアできれば良いが。品質の悪い
ものはいらない。ただ国産なら中粒、大粒でも使える。最近
は、つまみとしての消費も増えており、その場合は大粒の方が
うまい。
<メ モ>
 大豆の国内需要量は、年間四百六十万〜五百万トン。搾油な
どを除く食品用は八十万トン。国産大豆の生産量は一九九七年
で約十五万トン。自給率は三%(九六年概算)。業界による
と、納豆の年間生産量は約二十二万トンで、原料大豆は約十一
万トンを使う。国産大豆は約六千トン使われていると見られ、
国産原料比率は五・四%に過ぎない。最近、納豆の消費は、健
康食品として伸びている。
 

『納豆大手が九州進出へ(地域経済ヘッドライン)』
98/02/23 日本経済新聞 朝刊
 
 納豆メーカー大手のあづま食品(栃木県河内町)は九州に進
出する。大分県内に協力工場を確保し、三月下旬から出荷を始
める。九州は地場メーカーの強い地域だが、中小規模のところ
が大半のため、参入の余地は大きいと判断した。タレは九州の
消費者の味覚に合わせて甘口の味付けに変える。九州進出を機
に、西日本の販売体制を強化するため、九八年度内に大阪に営
業本部を設置する。
 

『あずま食品、九州に進出――大手スーパーへ納豆販売。』
98/02/20 日本経済新聞 地方経済面
 
 納豆メーカー大手のあづま食品(栃木県河内町、黒崎信也社
長)は九州に進出する。大分県内に協力工場を確保し、三月下
旬から出荷を始める。九州は地場メーカーの強い地域だが、中
小規模のところが大半のため、参入の余地は大きいと判断し
た。九州進出を機に、西日本の販売体制を強化するため九八年
度内に大阪に営業本部を設置する。
 九州全域に店舗を展開する大手スーパーを納入先として確保
した。協力工場の生産能力は日産二万食で、販売が軌道に乗れ
ば、三重工場から製品を輸送することで供給力を拡大する。
 有機栽培の国産大豆を使用した納豆三種類を発売、付加価値
の高い商品で他社商品との違いを打ち出す。タレについては九
州の消費者の味覚に合わせて甘口の味付けに変える。
 
 同社の九八年三月期の売り上げは前期比一〇%増の百億円強
となる見込み。河内町の本社工場では東日本に出荷する日産七
十万食、三重工場では日産五十万食を製造、中部以西に出荷し
ている。
 これまで同社は関西、中四国地方には販売していたが、九州
では販路や生産拠点がなく、味覚も異なるため、手がけていな
かった。
 九州の納豆市場の規模は年間約百五十億円といわれ、全国の
一〇%を占めるが、地場メーカーのシェアが高い。今後は大手
スーパーとのパイプを生かして食い込む考え。大阪に新設する
営業本部を拠点にコンビニ店など他の販路も開拓する。
 

『JA栃木中央会、学給に県産大豆、輸入物との差額を助成』
98/02/18 日本農業新聞
 
 【栃木】JA栃木中央会は、今年四月から学校給食に栃木県
産の大豆を供給していく。十七日のJAグループ栃木農政対策
本部委員会で決まったもので、転作作物として大豆の需要を拡
大するとともに、米飯給食を推進するのが狙い。
 対象は、県内の小・中学校、夜間定時制高校、特殊教育諸学
校。煮豆、納豆、みそに使う輸入物の大豆と県産の大豆の差額
を助成し、輸入大豆に替わって県産大豆を提供していく。事業
費は単年度四百万円で、十数トンを供給する。
 一九九七年産の栃木県産大豆は、作付面積が二千七百三十ヘ
クタール、収穫量は六千三百十トン。九四年産の千六百六十ヘ
クタール、三千二百トンを底に、生産は増加している。
 また、同委員会では、国が値引き措置を段階的に廃止する
中、米飯給食実施校に対し、栃木県とJAグループ栃木が、米
飯学校給食良質米供給事業を継続していくことも確認した。
 

『近畿・中国・四国版 ビジネスフォーカス 旭松食品・木下社長に納豆の取組を聞く』
98/02/18 日本食糧新聞
 
 市場の健康志向を追い風に、順調に売上げを拡大している納
豆業界の中で、旭松食品(株)(大阪市淀川区、06・30
6・4121)の「においひかえめなっとういち」は、納豆を
食べなかった関西人の食文化を変え、近年の納豆ブームの火付
け役になったといわれている。続く「氷温熟成完熟超小粒納豆
いち」で念願の関東地区進出も果たし、先ごろその生産拠点と
して「埼玉工場」を本格稼働させている。その意欲的な取り組
みを中心に木下社長に話をうかがった。
 ‐‐納豆部門が牽引役となり、好業績を上げておられますね。
 木下 今上半期(4〜9月)では、売上げ全体で一二・五%
増の八九億二六〇〇万円。その中で納豆が四一・二%増の三四
億四七〇〇万円でした。
 ‐‐関西人にとって「なっとういち」ブランドはすっかりお
馴染みとなりましたが。
 木下 同品の関西でのシェアは約三〇〜三五%で、トレイ容
器入り納豆では他を圧していると思います。
 ‐‐関東進出のプロセスを教えて下さい。
 木下 納豆を食べ慣れている関東人に合うよう、特化した納
豆をということで調査研究を重ね、「氷温熟成完熟超小粒」を
開発し、関東の大手量販店を中心に積極的な営業活動を展開し
ました。ただ、問題は既存品と比べて一カップにつき約一〇円
もコスト高な点で、赤字のスタートでした。でも、その分販売
は非常に順調で、日経POSデータで、納豆で初めて一位にな
ったこともあり、すぐに関東のほとんどの大手量販店に入りま
した。生産体制と採算面で苦労したのですが、これも昨年11
月の埼玉工場の稼働を機に生産能力が倍になり、見通しがつき
ました。
 低コストで良い製品を大量に提供できるようになり、リージ
ョナルチェーンなどにも店頭配荷率を上げています。残念なが
ら関西地区では「においひかえめ」ブランドが強くて、関東ほ
どの人気は出ていません。
 ‐‐もはや関西だけではなくなりましたね。
 木下 売上げ構成比は、関東、中部、関西で二対一対二くら
いです。この三地域を拠点にしていますが、納豆の消費量の多
い地域として、九州、東北、北海道など、市場はまだまだ残さ
れています。
 ‐‐大手量販店ではPB商品が充実していますが、御社のP
B政策について教えて下さい。
 木下 PB商品の生産の要請はありますが、A社でPBをや
り、それと同じものがB社でナショナルブランドで売られてい
るというのでは、営業面でやりにくい。わが社は基本的にはP
Bを受けないという姿勢を守ったことが、成功を導いたと思っ
ています。
 ‐‐新規に取組みたい分野については。
 木下 納豆に大きな投資をしたばかりですから、当分は納豆
でいきます。市場規模一六〇〇億円の納豆業界の中で、残念な
がら一割にも満たないのがわが社の現状で、シェアを上げるの
が当面の目標です。当社は「納豆事業部」ではなく「チルド事
業部」と呼んでいます。
 納豆を基盤にしてチルド回りをやっていきたいからです。惣
菜なども今後の課題とみています。
 それと、納豆菌の開発から取組んだ実績を生かして、菌の中
のビタミンK2を取り出して製薬会社に提供しています。ま
た、リンゴなどの根腐れ病を防ぐ物質が納豆菌の中にあるの
で、農業試験場と一緒に土壌改良剤の開発を行っております。
こうした取組みは、まだ事業ベースにはなっておりませんが、
将来をにらんでというところです。
 

『香りよく保存も長期、季節限定の納豆を商品化、一関の小岩久三郎商店』
98/02/17 河北新報 朝刊
 
香りよく保存も長期/季節限定の納豆を商品化/一関の小岩久三郎商店
 一関市山目の納豆製造販売「小岩久三郎商店」(小岩養太郎
社長)は、地場産大豆を使った季節限定の納豆「一朝一夕」=
写真=を3月に発売する。太い糸と大豆の香ばしさを持ち、通
常の納豆より保存期間が長い。
 「一朝一夕」の賞味期限は、通常の納豆の保存期間が1週間
なのに対し、「冷蔵して3カ月は大丈夫」(小岩社長)。商品
化試験では1年間保存できた例も。当初は、15日間と表示す
る予定。
 保存期間を長くするこつは温度と時間。蒸す温度を普通の納
豆より高めに設定し、発酵や後発酵の時間も通常の3倍かけ
る。その他の過程は変わらないという。
 大豆は水分の吸収が早い「鞍掛(くらかけ)豆」と呼ばれる
品種。明治時代ごろから西磐井地方や宮城県北で自家用に栽培
され、へん平で粒が大きく、形が馬の鞍掛けに似ている。
 商品化は小岩社長が5年前、一関の青果市場で鞍掛豆の形を
見たのがきっかけ。親類の農家に生産を頼み、約10アールの
畑で有機無農薬で育てた。
 一朝一夕は1袋2パック(1パック50グラム)で180円
を予定。10万袋を同商店と市内の一部量販店で売り出す。
 小岩久三郎商店は創業約70年。主力商品の白糸納豆は、平
成8年の第1回全国納豆鑑評会を含めて2年連続で全国コンク
ールの最優秀賞に輝いた。
 

『中埜酢店グループの連結売上高が97年度1845億円』
98/02/16 日本食糧新聞
 
 (株)中埜酢店(愛知県半田市、0569・24・508
7)は、九七年度(九六年12月〜九七年11月末)グループ
連結売上高一八四五億円(前期比一%増)、国内メーカー部門
連結売上高一一二九億円(同三%増)を達成した。食酢以外の
開発品の構成比は料理酒・本みりん、つゆ、冷凍食品が貢献し
前期比二ポイント増の六八%になった。中期経営計画最終年度
となる九八年度は「多角化」「国際化」をさらに推進する。納
豆新ブランド「金小つぶ」、冷凍食品「タイムディッシュ」を
主力に低温度帯部門の拡充で多角化を推進。海外事業は米国、
タイ、インドネシアの生産・販売体制を強化し利益向上を図る。
 九七年度は多角化の柱として冷蔵・冷凍商品を強化した。朝
日食品(株)を傘下に納め納豆事業に進出。朝日食品は売上高
一〇〇億円を達成した。また、TVディナー型「タイムディッ
シュ」で家庭用冷凍食品事業の基盤を築いた。海外事業は「ナ
カノタイランド」から日本向けはるさめ出荷開始、バンコク・
ジャカルタ地域対象の新商品発売、米国での米酢・すし酢販売
強化に取り組んだ。
 九八年度は、タイムディッシュの全品リニューアルと全国発
売で二八億円の売上げを目指す。朝日食品は新ブランド「金の
つぶ」を3月に発売。これらを主軸に多角化を推進する。米
国、タイ、インドネシアでの海外事業は工場統廃合、ローカル
マーケットへの対応強化で利益向上を狙う。
 酒類卸、(株)ナカノと中泉(株)の合併は、伊藤頴悟ナカ
ノ社長を委員長とする合併経営委員会を発足し準備を始めた。
12月実施の分社型カンパニー制へのグループ再編へも動き出した。
 中期経営計画最終年度、九九年度からの新体制に向け、今期
も増収増益基調を維持する。
 九七年度業績▽中埜酢店グループ連結売上高(朝日食品除
く)一八四五億円(前期比一%増)▽国内メーカー部門連結売
上高(同)一一二九億円(同三%増)▽(株)ナカノ売上高六
五七億円(同二%減)▽朝日食品(株)売上高一〇〇億円(同
九%増)▽主要部門売上高=食酢三六五億円(同二%増)、味
ぽんグループ一四七億円(同増減なし)、しゃぶしゃぶのたれ
三一億円(同一一%減)、ほんてりグループ一一〇億円(同
五%増)、つゆグループ六〇億円(同一一%増)、五目ちらし
グループ三八億円(同一〇%増)、おむすび山三八億円(同
九%減)、業務用開発品一二七億円(同四%増)、冷凍・冷蔵
商品四五億円(同一七%増)
 

『納豆と梅使ったふりかけ、エンザミンセールスプロモーション』
98/02/14 日経流通新聞
 
納豆と梅使ったふりかけ
 納豆と梅の風味が調和した大人向けのふりかけ
「梅納豆ふりかけ」。凍結乾燥して砕いた納豆を使用。さら
に、納豆菌を長期発酵熟成させて抽出したエキスをか粒にして
加え、栄養を強化。
 梅肉を加えたので、納豆特有のにおいが軽減。食べやすくな
った。ノリやゴマを加え、彩りも豊か。30グラム入り、23
0円。姉妹品に納豆のみの「納豆ふりかけ」も。
 発売元はエンザミンセールスプロモーション(大阪市北区、
TEL06・374・1881)。
 

『[むらの元気リポート]土地込生産組合、宮城県米山町』
98/02/14 日本農業新聞
 
地元に密着の活動方針を
 納豆専用大豆「コスズ」にこだわり、栽培とその大豆からつ
くられる独自のブランド「とちごめ納豆」の販売に取り組んで
いるのは、宮城県米山町の「土地込(とちごめ)生産組合」。
組合の活動方針は「地元に密着した農業」。土を耕すように、
子供たちを耕したいのだという。
 「わが町に特産品が欲しいという一心で、四年間無我夢中で
納豆と格闘してきたが、今になって思うと『とちごめ納豆』
は、私たちに人と人とのつながりや自然の大きさ、消費者が求
めているものを教え、地場産農産物への自信も与えてくれた」
とメンバーは話す。
 町内土地込地区の農家五戸で構成される土地込生産組合は、
一九八〇年の設立。設立当初から世代交代を進め、八二年に
は、構成メンバー中二十代が三人という若いメンバー構成とな
った。現在ではその三人が中心となって運営をしており、納豆
販売のほか、受託を含め水稲三十七ヘクタール、麦十八ヘクタ
ール、大豆十二ヘクタールを耕作している。地域振興活動にも
積極的に参画。メンバーたちは組合の仕事の傍ら町農業委員会
会長、東北最大規模の「よねやまチューリップまつり」を主催
する生産組織連絡協議会会長JA青年部長などを務め公私共に
多忙だ。その中で、納豆部門を担当するJA米山町青年部部長
の鹿野耕史さんは、今月六日、東京で行われたJA青年の主張
コンクール全国大会で、「とちごめ納豆物語」と題し主張発表
を行い優秀な成績を収めた。同組合の活動は、すべての面で
「米山町」がべースとなっている。
 コスズ大豆にこだわった「とちごめ納豆」づくり(加工だけ
業者に委託)も、メンバーたちの地元を愛する考えから生まれた。
 「コスズ」は極小粒品種大豆の一種で、小粒大豆とあって何
よりも収穫量が少ない、その中でも納豆に最も適する極小粒は
ほんの一握り。生育も遅いため雑草が生えやすく、選別にもか
なりの手間と時間がかかる。以前は雑草の中から大豆を拾い集
めたり、褐斑(かっぱん)病が多発し、大人一人が一日かけて
も三十キロほどしか選別できなかったりと、悪戦苦闘の連続だ
った。たが、メンバーたちは「苦労のかいはある。コスズは一
度納豆に加工されると、何とも言えない素晴らしい味と香りを
醸しだしてくれる」と話す。
ラベルを一新名前改める
 「とちごめ納豆」のデビューは九五年四月のよねやまチュー
リップまつり。当時チューリップ納豆の名で発売され、期間中
準備した四千個を完売。その後、ラベルのデザインと名前を改
め、現在では町を代表する特産品として直接販売を中心にしな
がら、食料品店三軒、町の農産物直売所「ふる里センターY・
Y」で販売されている。町内の学校給食にも使われており、未
来の農業後継者たちの体づくりの一役を担っている。
 「とちごめ納豆」の問い合わせは、土地込生産組合、(電)
0220(55)2968または、ふる里センターY・Y、
(電)0220(55)2747まで。全国発送も行っている。
 (宮城県通信員・大槻勝利)
 

『[茨城これで勝負]水戸納豆−駅開業を機に広まる/茨城』
98/02/13 毎日新聞 地方版
 
 「茨城? そうですねえ、思い浮かぶのは水戸黄門と納豆ぐ
らい。最近まで『茨城(いばらき)』を『いばらぎ』って読ん
でました」――。昨年春、つくば支局に新人記者として赴任す
る直前の私(神奈川県出身・28歳独身)の茨城県の認知度は
この程度でした。新県民になって、間もなく1年。イメージが
希薄だった県内にも、全国に誇れるさまざまな物産や産業があ
ることが分かってきました。そこで今回から、茨城が「勝負で
きる」自慢の県勢データを紹介していきます。【根本毅】
 まず、なんといっても納豆だろう。県別の生産量データはな
いが、本県が全国一というのは間違いなさそうだ。総務庁の統
計では、都道府県庁所在地の1世帯当たり年間消費額(199
6年)は水戸市が全国一の7481円で、全国平均3421円
の倍以上。平均的な納豆1個の価格は55円程度というから、
約136個分。水戸の家庭では、3日に1個以上食べているこ
とになる。
 1889(明治22)年創業の天狗納豆総本家・笹沼五郎商
店(水戸市)によると、“水戸納豆”が有名になったのは同年
の水戸駅開業がきっかけ。同店が駅前で売り出した納豆が「お
いしい」と評判になり、全国に広まったという。
 関西人には「納豆なんて人間の食うもんやないで」という人
もいるが、最近は近畿地方でも売り上げが伸びている。198
6年の1世帯当たり年間消費額806円が、10年後の96年
は1927円と約2・4倍の伸び。一昨年のO157騒ぎの際
に「納豆菌に抑制効果がある」という研究発表があり、以後爆
発的に売れたとも。茨城でも、昔から「腹が痛くなったら納豆
を食え」と、言う人もいるそうだ。
 

『わが社の自信作・岩手、白糸デラップス納豆=小岩久三郎商店』
98/02/13 河北新報 朝刊
 
わが社の自信作・岩手/白糸デラップス納豆=小岩久三郎商店
 全国の品質鑑評会で2年連続最優秀賞に輝いた。名前は一関
市の名勝・厳美渓の「白糸の滝」にあやかった。大豆は粒が大
きく、油分の少ない中国産。かまで蒸し、液状の納豆菌をかけ
て室(むろ)と冷蔵室でそれぞれ発酵させる。太い糸を放つあ
め色の粒は、かむほどに大豆の濃厚さが際立つ。
 デラップスは「紙容器を使った」との意味。冷蔵が早い上、
他の容器より場所を取らず多く陳列できる半面、品質の安定化
が難しい。温度管理はもちろん、水分を抜くため紙容器の内側
に空ける穴の位置、数、大きさもうまみを引き出す工夫。1袋
100グラム。創業約70年の技術で3度目の日本一を狙う。
<小岩久三郎商店>所在地は一関市山目泥田65。0191
(25)2252。
<ひと言>「安くてこれほど栄養価の高い食品はない。何も付
けずサラダ感覚で食べてほしい」(小岩養太郎代表取締役)
 
 

『稲わらが伝統食支える、茨城「わらつと納豆」に農家一役』
98/02/12 日本農業新聞
 
 稲わらが伝統納豆を支えている。納豆生産の本場、茨城県の
「わらつと納豆」は、観光土産として売れ筋商品。このわら
は、地元の農家が、自然乾燥した稲のわらをすぐり、つとにし
て出荷している。農家は「農閑期に手間賃がとれれば」、納豆
メーカーも「国産わらが無くては、人気のわらつと納豆ができ
ない」と支えあっている。
 水戸市の水戸納豆製造は、県内でも老舗メーカーのひとつ。
県内産の小粒大豆を使うなど、原料大豆にこだわっている。製
品は、高級感のある経木入り、手軽な発泡スチロールの少量パ
ックのほか、おみやげ用に、わらつと入りを作る。わらつと入
りは一日約一万本を生産、七十グラム入り五本を一束にし、市
内の百貨店などで七百円で販売している。土産品として人気が
あり、同社の売り上げの七割を占める。
 つとは、市内の稲作農家、約四十戸から毎年、仕入れる。蒸
気で殺菌したわらつとで納豆菌を付けた煮豆を包み、発酵室に
入れて二十時間。香り豊かな納豆ができる。「農家のわらが無
ければ、人気のわらつと納豆はできない。輸入わらを一時使っ
たこともあったがかび臭くて駄目だった」と高星進一社長。
 一方、水戸市吹町で五十アールの水稲を作る小林儀一さん
(七五)とふじさん(七四)は、一日七百本のわらつとを水戸
納豆に出荷している。わらは、雨が浸み込まないよう根元をビ
ニールで包み、はさ掛けで自然乾燥した「コシヒカリ」のも
の。これをすぐり、軽く一握りに縛る。「二人で、一日作っ
て、五千円位の日当になる。冬は暇だし、手間賃がでればい
い。体の動く限りは続けていきたい」(儀一さん)と、楽しみ
でもある。
 水戸納豆が、わらつと入り納豆を作り始めたのは、一九四五
年ころから。五十年過ぎ、保健所から非衛生的と使用中止を求
められたこともある。
 しかし、「わらつとは、伝統食品でもあり、地域の農業とも
深く結びついている」(高星社長)と説得。蒸気殺菌(八〇
度、五分以上)を入れ、衛生面もクリアしたことで、継続でき
たという。わらつとは、今も年三回、県衛生研究所の定期検査
で、安全を確認している。
 茨城県全体の納豆生産に占めるわらつと納豆の割合のデータ
は無い。ただ、生産量は、一日、五万本程度(年間千五百万
本)で、全生産量の一%程度と業界内で見られている。十アー
ルの水稲からできるわらつとは、六千から一万本のため、県内
全体では、百五十ヘクタールの水稲が、伝統のわらつと納豆を
支えている計算になる。
 

『[きょうの夕食]マグロの納豆あえ』
98/02/10 東京読売新聞 朝刊
 
◇材料4人分
マグロ(刺し身用)200g
納豆        80g
レモン汁    小さじ1杯
ネギ        5cm
110kcal/塩分1.0g(1人分)
 マグロのほか、好みの魚を使ってあえましょう。
 【作り方】《1》マグロは1センチ角に切り、レモン汁、し
ょうゆ小さじ1杯をふる《2》納豆は包丁で粗くたたいて、し
ょうゆ大さじ1杯、酒同1杯、練りガラシ小さじ1杯を加えて
混ぜる《3》ネギはしんを除いて縦の千切りにし、水にさらし
白髪ネギにする《4》〈2〉に〈1〉を加えて混ぜ、器に盛っ
てよく水気を切った白髪ネギを乗せる。
 

『納豆づくりに挑戦、家庭でできる方法紹介、JAぎふ女性部』
98/02/07 日本農業新聞
 
 【岐阜・岐阜市】JAぎふ女性部はこのほど、第五回健康セ
ミナーとして納豆づくり講習会を開いた。手作りみそに続くも
の。納豆づくりは、同セミナーで初の試み。
 講習では大豆のゆで方から始まり、従来のふろ場や電気こた
つを利用した保温法に加え、流行の「保温なべ」を使う方法を
紹介。大がかりな準備の必要もなく、家庭で手軽にできる方法
に、参加者は興味深げに聴き入っていた。また、市販の納豆を
“たね”にしても稲わらを利用すれば、納豆菌の増え方が良い
ことを聞いて、参加者からは「早速、作ってみよう」という声
が上がっていた。
 これまでセミナーでは、実際に体験できる講習を中心に活動
を進めており、米こうじを利用した甘酒・豆腐・オリジナル漬
物づくりなどを実施。講師はベテラン女性部員が務めている。
 

『[さいたま味紀行]日の出納豆製造所“手作り”こその味わい/埼玉』
98/02/05 毎日新聞 地方版
 
◇大宮市宮原町4の280の11
 大豆を一晩水につけ、翌朝水からあげて圧力がまで煮る。納
豆菌をまぶし、さらに一晩かけて発酵させる……。1951年
に創業した「日の出納豆製造所」は、約半世紀を経ようとする
今でも“手作り”にこだわる。一連の手作業を守り続けている
のは、柴田恒三郎さん(76)と妻きぬさん(66)の夫婦だ。
 「おいしい納豆を作るには、第一に豆そのものが重要です」
と柴田さん。豆腐などと違って、納豆は豆の粒そのものが食べ
られる。このため、悪い豆では使い物にならないという。柴田
さん夫婦は、北海道産と中国産の2種類を使用。北海道産は大
粒で柔らかく香りが高いといい、中国産は値段が手ごろで品質
もよいためだ。
 「さらに重要なのが、大豆を発酵させる時の温度調整」と柴
田さんは話す。45度に保った「室(むろ)」で発酵させるの
が基本だが、季節や時間、気温や湿度により、出来上がりには
微妙な差が生じてしまう。このため、柴田さん夫婦は毎晩午前
1時まで眠らず、温度管理に気を配る。
 「納豆は生きている。生き物相手だから、気が抜けません」
と柴田さん。きぬさんは「毎日が『どうしたらいいか』の繰り
返し。その日その日の様子を感じ取って、頭をひねるのが日課
です。決まったノウハウなんて持てません」と話す。
 製造所で使われる大豆は、毎日計約60キロ。この豆から
「特選北海道大豆納豆」(75円)、「水戸納豆」(60円)
など500〜600包みの商品が生まれる。「大豆そのものの
香りがする」「粘りがあって、おいしい」などと昔から人気が
高く、わざわざ買いに来る人が後を絶たないという。「私たち
が作るのは何の特色もない納豆だと思っていましたが、オート
メーションでは出来ない味わいが生まれているのでしょうか」
と柴田さん夫婦は笑う。
 販売はいつでも可。電話048・663・0320。
 

『乾燥納豆をふりかけに、大森屋(新製品)』
98/01/31 日経流通新聞
 
乾燥納豆をふりかけに
 納豆の味わいを生かした、栄養豊富なふりかけ
「大森屋・ふりかける納豆」。
 北海道産の大豆を使用。熟成した納豆を凍結乾燥し、ふりか
けに配合した。納豆の味わいと相性の良いカツオ、卵、ネギ、
ゴマ、刻みのりを加え、からしの風味付き。ごはんにふりかけ
ると生の納豆と変わらない食感と風味が楽しめる。
 茶わん1杯にちょうどよい量を1袋にパックした。3袋170円。
 発売元は大森屋(TEL06・464・1668)。
 

『新たな水戸名物誕生、「納豆せんべい」あとひく風味が自慢』
98/01/31 日本農業新聞
 
 【茨城・常陸】水戸市の製菓メーカーが、名産の水戸納豆と
県産米を使った「水戸納豆せんべい」を販売した。新しい茨城
土産として、観光客や地元でも好評で人気は上昇している。
 開発したのは亀印製菓。亀印商事が販売している。せんべい
の原材料は茨城産米を使用、それに水戸名産の納豆をふんだん
に使い、フリーズドライ製法で、せんべいの表面にまぶして焼
き上げ、小さめの薄焼きタイプの「納豆せんべい」に仕上げた。
 同商事では「せんべいの表面に納豆の粒が見えるところが新
鮮で、パリッとした軽い歯触りと、ほのかな納豆の風味を生か
し、甘口なところが、あとをひく」と話している。
 健康食品として注目されている納豆と、おいしいせんべいが
ドッキングした「亀印水戸納豆せんべい」は、新しいタイプの
土産品。手提げパック詰め(二十枚入り)六百円で販売している。
 問い合わせは亀印商事、(電)029(255)3051へ。
 

『[論説]長い目で国産大豆育てよう』
98/01/28 日本農業新聞
 
 転作作物として大豆が、期待されている。しかし、三年や五
年といった単位で、増減を繰り返したのでは、せっかくの需要
をも失うことになりかねない。消費者の国産大豆志向がはっき
りしてきたこともあり、このチャンスを、長い目で、生産に生
かしていく時だ。
 納豆、豆腐、みそなどに、「国産大豆使用」と表示した製品
が、広くスーパーマーケットに並び、売れている。消費者の国
産大豆志向は一段とはっきりしてきた。
☆心強い消費者志向
 消費者が、国産大豆使用と表示してある製品を選ぶのは、輸
入大豆に対する各種の不安があることもあるが、基本的にはお
いしい、ということだろう。国産大豆を使った製品のほうが、
おいしいという試験結果が、豆腐や納豆で、相次いで発表され
ている。実際、メーカーの話でも「国産大豆の方が、おいしい
物ができる」との見方でほぼ一致している。そして、需要者側
からは「納豆原料にしている地域特産大豆を、何とか残してほ
しい」「豆腐用に、もっと国産大豆を増産してほしい」という
声も、最近、強まってきている。
 一方、九八年産米からの減反の転作作物の柱として、生産者
の期待を集めているのが大豆だ。
 しかし、要者が心配する点のひとつに、国産大豆は生産が年
によつて大きく振れ、価格が大きく動くことがある。最近で
も、一九八七年に二十八万七千トンあった生産量が、大凶作の
後、米増産に向いた九四年には十万トンを切った。その後、や
や生産は回復してきたが依然として不安定である。
 その原因には、天候だけではなく政策的な面など、いろいろ
なことがあるだろう。しかし、せっかくの需要を生産に結び付
けるには、「いったん使っても、次の年になって国産が無いで
は、メーカーとして、製品化に踏み切れない」という需要者の
声を、率直に受け止める必要があろう。間違っていけないの
は、豆腐や納豆、みそなどのメーカーは、国産大豆が無くても
輸入大豆を使えば済むし、コスト的には安くあがるということ
だ。そういう状況のなかで、付加価値商品を作るために、国産
大豆が欲しいという立場にいる。
 大豆の国内需要は約四百九十万トン。油用が中心だが、みそ
や納豆など食用大豆の需要量は約九十二万トン。これに対し
て、国産の生産量は九六年で十四万八千トンに過ぎない。国産
大豆の需要先は、豆腐・油揚げ用が五三%、煮豆・総菜向けが
二○%、納豆向けが一一%、みそ・しょうゆ向けが一一%であ
る。材料の一〇○%が国産大豆という煮豆業界も「国産の豆は
煮崩れしない。何とか価格の乱高下を防いでほしい」と言う。
☆安定生産こそ大事
 転作大豆は、まず、みそなどの自給用、村の特産物用、さら
にメーカーへの原料用など、生産もいろいろな段階がある。食
糧法は、転作がうまくいかないと、米の値段がまた下がるとい
う仕組みになっている。米の値段もあるが、盛り上がってきて
いる国産大豆への需要者の声を大事にしたい。それには長い目
で見て、安定的に供給していく事が何より大事だ。国内のメー
カーは、輸入に比べて国産が多少高くても良い、とまで言って
いるのである。
 

『日本生協連の日本シリーズ、秋から大豆加工品』
98/01/19 日本農業新聞
 
 国産原料の産地・品種までこだわった日本生協連のコープ商
品「日本シリーズ」に、みそ、しょうゆ、納豆の大豆加工品三
品目が秋から加わる。同シリーズは、同連が二年半前に開発し
たもので、ジュースやケチャップなど青果物を原料にした加工
品が中心だったが、今度は遺伝子組み換えで関心が高まってい
る大豆商品の投入だけに、販売動向が注目される。
 コープ商品九千品目のうち、国産原料など産地にこだわった
商品は四百品目。中でも日本シリーズは産地と品種を明確にし
た国産原料一〇〇%と最もこだわった加工食品だ。
 一九九五年秋に、北海道産「向陽2号」のニンジンをベース
に、北海道のカボチャ、愛知のキャベツ、埼玉のブロッコリ
ー、和歌山の梅を原料にした野菜ジュースを皮切りに、ミカ
ン、リンゴ、パインの各ジュース、トマトケチャップ、野菜・
果実ソース、コーンやカボチャのスープなど十品目に拡大した。
 新商品は、北海道豊頃町の「とよまさり」を原料にしたしょ
うゆとみそ、津別町の「スズマル」を使った納豆の三品。原料
大豆はいずれも指定された生産組合が生産する。
 

『自社育成黒大豆で味は太鼓判の納豆、札幌のメーカー』
98/01/16 日本農業新聞
 
 納豆メーカーの関東食品(札幌市)は、自社が育成した黒大
豆を使って、納豆を製造販売している。皮が黒く、中が緑色を
した珍しい豆で、独特の風味、味が特徴だ。生産量が限られ、
まさに「幻の納豆」として、デパートなどを中心に人気を呼ん
でいる。
 この大豆は、本間照藏社長が育成した「ホンマ1号」。緑色
の皮に黒い斑点のある「鞍掛」を改良したものだ。
 この豆から作った納豆は、札幌、東京、名古屋、広島の百貨
店、大手スーパーなどで販売。価格は、輸送費などの関係か
ら、道内向けが八十グラム百八十八円、本州向けが九十グラム
二百五十円。取引先から価格を下げてほしいとの要望がある
が、「これが限界」と本間社長。
 原料価格は一俵(六十キロ)三万円と、通常大豆の六倍。納
豆の値段を六倍にするわけにはいかず、調味料を付けない、パ
ッケージを変えるなどの工夫で価格を抑え、ぎりぎりの採算で
供給している。
 栽培を始めた一九九六年の収穫量は百六十俵、九七年は二百
七十俵にまで増えた。九八年の生産量も、三百俵程度の見込み
だ。量は少ないが、味は確か。「もっと量を扱いたい」との声
も多いが、「契約農家の確保なども難しく、かなか広げられな
い」という現状だ。
 本間社長は、「これは本当においしい豆。製造から十日もた
つと、何も味を付けなくてもおいしいと評判だ」と、太鼓判を
押した。
 

『佐藤、鹿野さん代表に、JA東北・北海道青年協が研修』
98/01/15 日本農業新聞
 
 【福島】JA東北・北海道青年組織協議会は「一九九七年度
東北・北海道地区JA青年組織幹部研修会」で十四日、組織活
動実績発表大会、JA青年の主張発表大会を行い、宮城県JA
古川市青年部清滝支部・佐藤多賀典さんの「地域は舞台だ!小
さなふれあい物語」が組織活動実績発表の部で、宮城県JA米
山町青年部・鹿野耕史さんの「とちごめ納豆物語」がJA青年
の主張発表の部でそれぞれ最優秀賞に輝いた。
 最優秀受賞組織は二月六、七の両日に東京・日比谷公会堂で
開かれる全国大会にブロック代表として出場する。
 また、農業生産基盤を揺るがす構造的な問題が深刻化してる
ことに伴い、東北・北海道のJA青年部が一丸なり、日本農業
の持続的発展と国民食料確保のため全力で取り組む旨、ブッロ
ック研修会では初の特別決議をした。
 各発表大会の優秀賞は次の通り。かっこ内はJA青年部名。
 ◇組織活動実績発表=▽影山智「明日へ向かって」(夕張
市)▽深澤重樹「どうなる西和賀青年部」(西和賀)▽佐藤譲
「新たな農業へテイク・オフ」(秋田しんせい由利町支部)▽
本間泰彦「三川ふれあい農業塾」(庄内たがわ)▽秋山祐伸
「がばれ盟友、がんばれ農業者」(あいづ猪苗代地区)
 ◇JA青年の主張発表大会=▽小島克也「人生の達人になり
たい」(おこっぺ)▽小山内勝「雑草のごとく、しぶとく生き
る」(ひろさき)▽尾川馨「昴のように生きたいけれど」(平
泉)▽高橋豊「若き風は今…」(増田町)▽金野賢「やるべき
こと」(庄内みどり)▽林崎修一「『ようかん』から『デコレ
ーションケーキ』へ」(そうま石神支部)。
 

『砕いた納豆のせ、焼いたせんべい、亀印商事(新製品)』
98/01/13 日経流通新聞
 
 茨城みやげとして開発した「亀印水戸納豆せんべい」。せん
べい生地に、フリーズドライの細かく砕いた納豆をのせて焼き
上げた。直径六センチほどの薄焼きタイプ。砂糖としょうゆで
甘辛く味付けした。
 納豆特有の香りはほとんど感じられないが、口の中で粘りが
少し出る。子供にも食べやすく、栄養豊富。ひもの取っ手が付
いた化粧箱に二十枚入って、六百円。
 発売元は亀印商事(水戸市、TEL029・255・3051)。
 

『納豆はやっぱり国産大豆、味、香り、安全面で高評価、官能試験』
98/01/10 日本農業新聞
 
 国産大粒大豆を使った納豆のほうが、輸入極小大豆を使った
ものよりおいしいという評価が出た。全国納豆協同組合連合会
が官能試験を行ったもの。
 国産をおいしいと答えた人は七六%で輸入極小大豆をおいし
いと答えた人二四%を大きく上回った。国産については味・香
りへの評価のほか、ポストハーベストなどの心配がないなど安
全面での評価も高かった。
 同連合会が設置した国産大豆利用検討委員会が、百四十人を
対象に試食試験をした。使った納豆は、北海動産の大粒大豆
「トヨムスメ」と輸入の極小大豆。
 回答の得られた七十四人の意見をまとめたところ、国産がお
いしいとした人は、全体の七六%に上った。輸入極小大豆派
は、二四%にとどまった。
 国産大豆を使った納豆は、「粒が大き過ぎる」、「ごっつい
感じ」など、否定的な意見もあった。だが、味、香りなどにつ
いては、「甘みがある」、「大豆本来の味がでている」「ずっ
と昔の味がした」「味が濃い」など、高い評価を得た。
 一方、輸入極小大豆を使った納豆は、「国産に比べて納豆の
においがきつい」などの意見もあったが、「ご飯に混ぜた時に
食べやすい」とう評もあった。
 また、国産大豆への評価では、「ポストハーベストの問題が
なく安心」という意見があった。同様に輸入大豆を使ったもの
には「遺伝子操作の大豆輸入の問題で心配」という声が上が
り、安全性が大きな関心事になっていることが明らかになった。
 

『農水省、8年度食料需給表公表 コメ、野菜など減る』
98/01/09 日本食糧新聞
 
 農水省は昨年12月25日、平成8年度(4月〜3月)の食
料需給表を公表した。
 それによると、7年度に比べて消費は小麦、イモ類、豆類、
牛乳・乳製品などが増えたものの、コメ、野菜、果実などが減
少した。
 コメは8年が猛暑の影響が出て、野菜は重量野菜や輸入野菜
の減少による。肉類はO157による牛肉の減少分を鶏・豚が
カバーできなかった。魚介類も〇157の影響で生鮮を中心に
減少した。
 豆類は納豆向けの大豆が伸び、牛乳・乳製品は健康志向を背
景に乳製品の伸びが寄与した。
 食料自給率は熱量ベースでみると四二%と7年度と同じにな
った。主食用の穀物自給率はコメ離れの影響も出て六三%と一
ポイント下がった。
 

『【東京名産ものがたり】芝崎納豆(千代田区)』
98/01/07 産経新聞 朝刊
 
 初もうで客でごったがえす千代田区外神田の神田明神。鳥居
わきに店を構える天野屋の軒先も、この時期は、日中客足が途
絶えることはない。客が買っていく商品の中で、根強い人気を
誇るのが芝崎納豆である。
 江戸の総鎮守・神田明神の門前で売られていることもあっ
て、江戸時代から、名産品として、庶民の間で人気が高かった。
 天野屋の商品パンフレットに記されている店の創業年は弘化
三(一八四六)年。しかし、天野屋の社長、天野博光さん(四
一)によると、明確なことはわかっていないが、江戸初期から
神田明神わきですでに納豆を売っていたという。
 「もともと、天野は丹後(京都府北部)の出身だったんで
す。実は敵討ちのために、江戸に居着くことになったらしいの
です」
 天野さんが伝え聞くところによると、宮津藩につかえていた
天野家の八代目が、江戸藩邸詰めとなった。しかし、この人事
が他の藩士のしっとをかい、八代目は殺されてしまった。その
敵討ちのために、実弟の兵助が江戸に下ったというのである。
 多くの人が出入りする場所にいれば敵討ちの相手が見つかる
かもしれない−。そう思って、当時から大勢の人出でにぎわっ
ていた神田明神の門前で待ち続けたが、ついに見つからず、こ
の場所に住み着いて、いつしか納豆を作って売ることも始めた
という。
 神田明神わきには、芝崎道場という草庵があり、修行者のた
めに、金含豆(こんがんず)という納豆に似た食べ物が出され
ていた。これが芝崎納豆の前身になったと、天野屋では伝えら
れている。
 近年、スーパーなどで市販されている納豆は、小粒が主流だ
が、同店のものは、大粒。その理由について天野さんは「金含
豆も大粒だったと聞いていますし、大豆そのものの味を楽しむ
には大粒が適しています」と話す。
 同店でも三十年ほど前、小粒も売り出したが、客は昔からの
大粒の味が気にいっているためか、さっぱり売れなかった。そ
れ以来、大粒しか置いていない。
 原料は「とよまさり」という品種。小粒のものよりも甘みが
あるのが特徴で、北海道産と群馬県産だけを使っている。
 「四年ほど前、国産大豆が急騰して、仕方なしに日本から運
んだ種でできたカナダ産の同じ品種のものを使って、一回だけ
つくったんです。そしたら、お客さんに『豆変えただろ』と言
われてね」
 以来、大豆の値段が少々上がろうとも、「絶対原料は変えな
いことにしている」と天野さん。熱心なファンの声が、東京名
産・芝崎納豆の品質を支えている。
【芝崎納豆】 社長の天野博光さんによると、芝崎納豆は
「納豆になりきれていないところが魅力」とか。中が完全に柔
らかくないため、豆本来の味が楽しめ、納豆臭が少ないのが特
徴だ。ご飯にかけて食べるのももちろんいいが、大粒のため、
酒のつまみにもよく合う。作り方は大豆を水に一日つけたあ
と、圧力がまで蒸す。熱い大豆に納豆菌をふりかけてパックに
分け、20時間40度の温蔵庫にねかせてできあがり。店の地
下にある天然の土屋(むろ)で作られている。1パック(16
0グラム)300円。
 

『環境科学=納豆で砂漠緑化 粘りの研究が高分子樹脂生む/新年特集』
98/01/03 西日本新聞朝刊
 
●粘りの研究が高分子樹脂生む、原敏夫・九大助教授、「昔の人は偉かった」
 「納豆は地球を救う」の掛け声の下、納豆の糸のネバネバか
ら吸水力の優れた高分子樹脂をつくり出し、砂漠緑化に役立て
ようという研究に、九州大学農学部付属遺伝子資源開発研究セ
ンターの原敏夫助教授(48)が挑んでいる。紙おむつの四―
五倍、一グラム当たり五リットルもの水分を蓄えられるこの樹
脂を砂漠に埋め、植物の“揺りかご”にしようというのだ。こ
の樹脂は地中で分解されるので、環境への悪影響はない。緑に
変わった砂漠で取れた大豆が、人々の胃袋を満たしながら新た
な緑を生み出す―。納豆の糸で結ばれたそんなリサイクルの輪
が完成する日を、原助教授は思い描いている。
 原助教授が納豆の研究を始めたのは約二十年前。納豆菌を研
究しにオーストラリアから来た留学生を受け入れたことがきっ
かけだった。「身近な食品ながらそれまで研究の対象にしてい
なかった納豆に、外国人が着目していたことに発奮したので
す」。以来、納豆の発酵メカニズムの研究や、納豆菌の遺伝子
解明に向けた納豆のルーツ探しを続けてきた。
 タイのトゥアナオ、ネパールのキネマ…。東アジア照葉樹林
文化に連なる納豆の仲間をたどると、ついに西アフリカのダワ
ダワという発酵食品にまでたどりついた。それぞれの風土で培
われた食文化は、そのままバイオテクノロジーの原点だった。
 「研究をすればするほど、昔の人の偉さが分かり始め、現代
の研究者としては複雑な気持ちになった。先人の知恵をただ後
追いするだけではなく、納豆菌を利用して将来に役立てるもの
ができないかと考えたのです」
 そんな中で、アイデアとして生まれたのが、納豆菌の「生分
解性プラスチック」への応用。納豆菌が生成するポリグルタミ
ン酸は、化学反応では生成できない膨大な分子量を持つ。その
特性を利用すれば、従来のプラスチックをはるかに上回る強度
を持ちながら、自然環境の中で分解する新素材をつくり出せる
ことに気づいたのだ。
 開発には三年前から着手。使用後は食べることもでき、捨て
ても自然に分解される食品トレー、生体適合性の高い人工臓
器、日本と朝鮮半島をまたぐような長大橋にも使える強じんな
ロープ…。アイデアは続々と生まれた。
 吸水樹脂もその一つで、水を含むとゼリー状になり乾燥に強
い。植物の種子をこの樹脂でくるんで育て、砂漠の緑化につな
げる。植物性タンパク質に富む大豆を栽培すれば、食糧難に備
えることもできる。
 課題だったコストの削減も順調に進んでいる。「実用化まで
十年はかかるとみていたが、ひょっとすると少し早くなるかも
しれない」と、原助教授の表情は明るい。今後は、ポリグルタ
ミン酸の構造を解明し、大量生産技術を確立することに重点が
置かれる。「手を挙げたわけですから、必ずやり通さなければ
ね」。“粘り腰”の研究は続く。
●わずか1グラムで5リットルの水吸収
 原助教授が開発した吸水樹脂の原料は、納豆の糸の成分であ
るポリグルタミン酸。これを水に溶かして放射線を当てると高
分子の樹脂になる。
 樹脂はポリグルタミン酸が三次元的に結びついた構造で、納
豆の糸と糸とが複雑に絡み合ったようなもの。このすき間にた
っぷりと水分を吸収し、最高で1グラムに5リットルが蓄えら
れる。自然界の材料しか使っていないので、役目を終えれば地
中の微生物が分解。家畜ふん尿や焼酎廃液の処理などにも応用
できる。
 
 課題はコストが高い放射線照射の時間をいかに短くするかだ
ったが、放射線の代わりに電子線を照射するなどコスト削減策
を探し求めた結果、豆腐を固める「にがり」を加えるだけで、
同様の樹脂をつくれることを突き止めた。吸水力は放射線など
を照射したものより落ちるものの、砂漠緑化に必要と考えられ
る保水力はクリア。生成工程も簡略化され、砂漠地帯での生産
を容易にする見通しも立ち始めている。
 

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