1996年の新聞記事

  最終更新日 平成13年5月3日
それぞれの記事は引用です。

『くめ・クオリティ、高級納豆を来春生産―輸入大豆使いコスト抑制。』
1996/12/23 日経産業新聞
 
 【水戸】納豆メーカーのくめ・クオリティ・プロダクツ(茨
城県金砂郷町、石塚昇一郎社長)は来春、輸入大豆を使った高
級納豆「水戸伝説」の生産を始める。「量産を志向せず、苦み
の除去や強い糸引きなど高品質を追求」(研究室)し、量販店
や百貨店、コンビニへの販路拡大を目指す。パンに乗せて食べ
る納豆「まぜてーら・のせてーら」は生産を中止した。
 水戸伝説の原料は国産の納豆小粒を米アーカンソー州の農場
で契約栽培した「マドンナ大豆」。米国で栽培、輸入すること
で、製造コストを抑える。小売価格は六十グラム入り一パック
で八十八円を予定。当初は月間六万―七万パックの生産を見込
んでいる。
 まぜてーら・のせてーらは今年三月に試験的に投入した。マ
スコミなどに取り上げられたことや積極的な販促キャンペーン
で、ピーク時には月間約三万個を販売した。夏場以降、売れ行
きが一万個以下に急速に落ち込んだ。同社では「好意的な反応
が多いので、今後もパン食にこだわった商品開発は続ける」と
している。

『秋田の納豆――未来内包した伝統食(知る食ロード)』
1996/12/22 日本経済新聞 朝刊
 
 こんにちは、納豆です。きょうはセールスに参りました。私
のことを関西の人にも知っていただこうと。お正月に焼いたお
もちと食べるとおいしいですよ、あ、奥さん、閉めないで。
え? 納豆なんか嫌いや、とおっしゃる。ええ、ええ、そうお
っしゃる方は多いんです。でも邪険にしないで私の話も聞いて
くださいよ。
× ×
 納豆にも私のような糸引き納豆以外にいろいろあるんです
が、ふつうは日本で独自に生み出された私の方を指します。私
の出身? 秋田です。え? 水戸じゃないのかって? よくぞ
聞いてくださいました。実は水戸が名産地になるのはせいぜい
明治時代。
 で、日本の納豆がどこからきたかについてはいろんな説があ
るけど、本当のところはよくわかってないんです。でもいくつ
もの納豆伝説に共通して出てくる人物がいます。その名も八幡
太郎義家。平安後期に陸奥の国の反乱や内紛なんかを平定し
て、武勲をたてた。ええ、源義家。あの頼朝さんのひいひいお
じいちゃん。
 その義家さんが奥州遠征の折、煮豆をワラにつめて馬の背中
にくくりつけた。腹が減ったんで開けてみると、なんと豆が変
色している。つまむと糸を引く。気持ち悪い。だけどもったい
ない。そこで恐る恐る口にしてみたところ、これがなんとも風
味があってただの煮豆よりうまい。ワラの中の納豆菌の働きで
馬の体温に温められた大豆が発酵したわけですな。保存も利く
し、戦時の兵糧にと思案して製法をあみだしたって話。似たよ
うな伝説が岩手の平泉や茨城の常陸など方々に残っている。私
はその伝説の地の一つ、秋田の仙北郡の出身なんです。
 うちはちっぽけな個人商店なんですが、同郷の仙南村にはヤ
マダフーズっていう全国有数の納豆メーカーがあるんです。こ
の間ここの研究室にお邪魔したら、驚きましたね。こんな小さ
な村で最先端の研究をしているんです。なんでも千から二千種
類の納豆菌を保存しているとか。
 そこの関口久美子さんていう研究員に聞いたんです。ずっと
納豆ばかりの研究は飽きないかって。久美子姉さん言いました
ね、「うちの社長は納豆が地球を救うと信じている」って。
「その考えに共感して研究を続けている」ってね。いい話でしょ?
 え? 宇宙戦艦ヤマトじゃあるまいし、納豆が地球を救うわ
けないって? 私も詳しいことはわかりませんが、世界中どこ
でも栽培できる大豆は動物に依存しないですむ貴重なたんぱく
源だそうですよ。私を含む発酵大豆をテーマにした国際会議も
あるくらいです。秋田でも開催しまして、大盛況でした。
 大豆が私に変身すると、栄養価が高くなる。私の中のナット
ウキナーゼって酵素は血栓を溶かしちゃうし、骨粗しょう症の
予防になるビタミンK2は私以外の食品にはほとんど含まれて
いない。それとレシチンって物質は脳を活性化する。安いし健
康にもいいし、頭もよくなっちゃう。こんな食べ物そうはあり
ませんよ。ええ。
 え? それでも、においがきつうてあかん? 本人を前にし
て、何と率直な……。そんな奥さまのために、特別に納豆料理
のレシピ集をお持ちしております。秋田で四十年も料理教室を
やってらっしゃる岸和子先生が考えてくださったんです。お酒
に合う白菜の納豆あえ、野菜やキノコがたっぷり入った熱々の
納豆汁、明太とろろをかけた納豆飯、ドライ納豆カレー。どれ
も納豆のいい風味だけを生かした料理ばかり。納豆はわき役に
徹しているから、これなら苦手な人でも大丈夫。温めたカマン
ベールチーズに納豆を混ぜただけのおつまみもおすすめです。
 どうです、この私が十個入ったパックが、たったの千円。今
なら特別キャンペーン中につき、同じ値段で私がもう十個……。
 え? いらへん? そこをなんとか。え? そんなに粘る
な? 粘るなったってあなた…… 文 富田律之 写真 長田浩

『[永六輔その新世界]「手話は気が散る」こともある/東京』
1996/12/21 毎日新聞 地方版
 
◇喰わず嫌いで、終わらずに
 今日は番組を通して納豆の話ばかりの放送である。スタッ
フ全員で、いろいろな納豆を喰(た)べ較べ、最も点の高かっ
た青梅の藁包(わらづと)納豆に深谷の葱(ねぎ)、野田の醤
油(しょうゆ)を添えて、リスナーにお届けするという企画だ。
 勿論、そのリスナーからのお奨めの納豆、そして喰べ方も御
紹介するので、納豆好きにはたまらないが、納豆嫌いには、ま
るで聞いて貰えそうもない。
 企画によっては、番組を離れるリスナーがいるという例になる。
 これは納豆に限らない。 毎日新聞紙上に、手話を気が散る
と発言した法政大学、田嶋陽子教授のことが話題になっていた。
 手話嫌いになる多くの人は不運なことに、下手な、目立つだ
けの手話通訳者とぶつかってしまうのが原因である。
 そして、そういう通訳者が増えているのだ。
 僕は番組でこれをとりあげ、田嶋教授を弁護した。NHKの手
話ニュースを担当している僕が、手話は気が散ると言ったのだ。
 これは大切なことで、手話は正義の味方ではなくて、聞こえ
ない人達の味方なのである。
 手話通訳者の中には、自分は立派なボランティアだと自信を
持っている人がいて「通訳させていただく」という心配りに欠
けている態度をよく見かける。
 田嶋教授はきっと、そのタイプの通訳にぶつかってしまったのだ。
 これは話をする側にも、聞こえる聴衆にも、気が散るのは当然だ。
 僕の場合はいつでも手話通訳者と、どういう形で進行するか
を相談する。
 こちらに手話のキャリアがあるから話は簡単につくのだが、
技術にあわせ、舞台にあわせて場所を決めるので、トラブルが
起きたことは無い。
 しかし、慣れていない講師にとっては、打ち合わせ以前の問
題であり、手話通訳者はそのことを心得て対応するべきである。
今回の田嶋教授の場合は両方が不慣れだったことが問題で、
教授が一方的に批判される筋合いのものではないのだ。
 納豆だって、喰わず嫌いのままで終わらずに、喰べてみてほ
しいものだ。
 慣れてみると、いろいろな喰べ方も楽しめる。
 田嶋教授も、いろいろな手話通訳者とつきあう間に、気が散
らない人と出逢うチャンスがあると思う。
 その内、手話に興味を持っていただけると、教室の授業にも
役立つ筈である。
 ◇情報のあて先 はがきかファクスで〒100―51毎日新
聞社会部都内版「永六輔その新世界」係(住所不要、ファクス
は03・3212・0636)。

『「納豆賛歌」で表彰、納豆に花壇のパセリ刻みをり、茨城』
1996/12/21 日本農業新聞
 
 【茨城・常陸】全国で初めてという第一回「私がうたう納豆
賛歌」を公募した山方町の納豆メーカー、丸真食品(三次キノ
社長)はこのほど、同町のケビン村で納豆賛歌(俳句、短歌の
二部門)の入選者表彰式を行った。
 創業四十五周年を迎えた同社の三次真一郎専務らが「納豆を
地域の食文化の面からとらえよう」と、納豆をテーマにした納
豆賛歌の俳句、短歌を募集した。
 この試みは大きな反響を呼び、全国から予想を超える約九千
点の俳句、短歌が寄せられた。同社では作品の中から、俳句十
句、短歌十首の最優秀作を含め約四百点を収録した単行本を出
版する予定。
 最優秀作品の主なものは次の通り。
 ◇俳句の部
 納豆に花壇のパセリ刻みをり
(結城市・小林キヨ子)
 納豆の糸柔らかにおんな梅雨
(滋賀県・中居和平)
 納豆も入れられており梅便り
(北海道・伏見豊彦)
 ◇短歌の部
 九十を過ぎたる母は今朝もまた
 うなづき乍ら納豆すする
(十王町・橋本仁)
 寒き海にギリヤークの血が疼くといふ
 千島の友と納豆を喰ふ
(東京・上紀男)
 生えそろう乳歯ほころぶ口元に
 そろそろ運ぶ納豆のさじ
(阜県・矢部容子)

『くめ・クオリティ、高級納豆の工場建設、茨城に―製法紹介の施設も。』
1996/12/20 日経産業新聞
 
 【水戸】納豆メーカーのくめ・クオリティ・プロダクツ(茨
城県金砂郷町、石塚昇一郎社長)は、高級納豆の生産に特化し
た新工場「ハイクオリティ工場」を地元に建設する。納豆の製
法や新メニューを紹介する施設を併設して一般に開放し、観光
客誘致や地域活性化につなげる。工場は平屋建てで、床面積は
約千六百平方メートル。洗豆、浸し漬けから発酵、パック詰
め、出荷まで一貫して取り扱う。工場では窓をなくし、菌や虫
の混入を完全に防ぐ。総工費は六億円。来年三月中旬の完成を
予定。
 新工場には本社工場から高級納豆「丹精」の生産を移管する
ほか、原料の大豆や製法にこだわった新商品を生産する。日産
十万パックから始め、将来は十五万―十八万パックまで拡大す
る。従事者は二十五人程度を予定。工場には見学者用通路を設
け、ガラス越しに作業風景が見学できるように配慮。バス専用
駐車場も備える。

『納豆売り上げ増整腸・抗菌作用が人気』
1996/12/20 日本農業新聞
 
 健康食品として静かなブームを呼んでいる納豆が売り上げを
伸ばしている。専業メーカーの丸真食品(本社=茨城県山方
町)のように「売り上げは昨年の二倍以上になりそう。従業員
が深夜まで働いても追い付かない」などの声も聞かれるほど
で、今年度の全国の売上高は前年度比一割増の約千六百十億円
(全国納豆協同組合連合会)が見込まれている。
 「水戸といえば納豆」――。こう言われるほど、水戸を中心
とする茨城県は納豆の主産地。全国に約四百社ある納豆会社の
うち同県内にあるのは三十八社に過ぎないが、売上高では全国
の六割弱を占める。同業界最大手のタカノフーズ(本社=茨城
県小川町)は「ミニカップをはじめ、今年は全体的に売り上げ
が伸びている」と言う。また、水戸市内の京成百貨店によれば
「今冬のお歳暮用の売れ行きは確実に前年を上回る勢い」だ。
 こうした人気の背景には、納豆が整腸作用を持ち、骨粗しょ
う症予防の効果もある食品として有名になってきたほか、今年
は病原性大腸菌O(オー)157に対する抗菌作用が高く評価
されたことが大きかった。そんな追い風要因もあって、十月以
降の売り上げは前年比約二〜三割増と急伸している
 全国納豆協同組合連合会の高星進一会長はこうした動きにつ
いて「この状況はただのブーム」と冷静に分析する一方で、
「来年以降もこの伸びを持続させるようPRなどに努めたい」
と話している。

『食5、「納豆」農家と契約、大豆厳選』
1996/12/20 日本農業新聞
 
 納豆の命は、原料大豆と水。栃木県河内町のあづま食品(
株)の工場は、日光水系の地下水が豊富な所に立地。原料は、
地元特産の「地塚大豆」を使い、売り上げを伸ばしている。
 同社が、この大豆にこだわった納豆を本格的に造り始めたの
は八年前。当時、米国から納豆用の極小粒大豆が、日本の三分
の一から四分の一の価格で輸入され始め、他のメーカーが米国
小粒に流れ始めた中のことだった。今では、同社の黒崎信也社
長も「多少割高でもこの国産大豆を使った製品で、他社と区別
化していく」方針をとっている。
 「地塚大豆」は、茨城県北の山間部で古くから作られ、その
生産量はざっと二千トン。このうちの約七割を、あづま食品が
使う。
 個食化で小量パック化、小粒大豆使用が、最近の消費傾向の
納豆。同社が、この地域の大豆にこだわるのは、粒の小ささと
糖度が高い点だ。粒の大きさは納豆向きの「小粒」、五・五ミ
リ以下の「極小」に、ほとんど入る。
 「地塚大豆」は文字通り地をはうように背丈が低い。山間部
で高齢者が多い地区。収穫は一本一本抜き、ビニールハウス内
で乾燥、脱穀し、さらに豆を天日で干すことで糖度が高まる。
オリゴ糖の含有量は、国産一般大豆の二倍になる。
 この国産大豆を使った製品は「国産地塚大豆使用」を明示、
同社の他製品とも区別化している。地塚大豆ものの店頭価格
は、二パックで百四十八円と、一般の大豆使用もの三パック
(一パック五十グラム)百四十八円に比べ、ざっと一・五倍に
なる。同社が今年から始めた米国ミネソタ州産有機大豆を使っ
た製品(三パック、百六十八円)に比べても割高である。
 「多少高くても、どうしても国産大豆を使った納豆という固
定客がいる」と、あづま食品の柳井彰製造部長。地塚大豆を使
った納豆は、全国の量販店や百貨店などで販売されている。昔
から納豆は健康によいと伝えられているが、納豆菌の酵素が血
栓を溶かす機能を持つことが科学的に裏付けられた四年ほど前
から、「店頭だけでなく、業務用にも売れてきた」(柳井部
長)という。
 同社は、地塚大豆を、茨城県北地方の農家と契約栽培してい
る。水府村の白石文三さん(七二)は「小麦や葉タバコとの輪
作に大事な作物。値段もまあまあで、これからも地塚大豆を作
っていきたい」としている。
 柳井部長は「使う側にとっては割高でも、農家の収入となる
とそれほどでもない。地塚大豆のような特産大豆を残すために
も、大豆交付金制度などをもっと充実していくべきではない
か」と、地塚大豆が高齢化などで消えて行くかもしれないこと
に、漠然とした不安を感じている。
<メモ>
 おかめ納豆のタカノフーズ(株)(茨城県小川町)は、北海
道産の小粒大豆(鈴丸)を一〇〇%使った製品「北海道丸大
豆」を販売、「消費者のこだわりニーズにこたえていくため
に、国産原料を確保するのが大変」な状況。水戸納豆製造(
株)も県産の「地塚大豆」を使う。日出納豆製造所(東京・世
田谷区)は、北海道産の「鈴丸」「鈴姫」を使っているが、国
産使用を明示していないこともあり、国産大豆の割高さが苦に
なっているという。

『まるか食品、「ペヤング納豆麺うどん」発売1カ月で好回転』
1996/12/20 日本食糧新聞
 
 まるか食品(株)(群馬県伊勢崎市、0270・32・81
81)は11月中旬から「ペヤング納豆麺“うどん”」を関
東、東北、新潟など関東を中心に発売し約一ヵ月が経過した
が、従来にない商品とあって、量販店での商品回転も速く、人
気商材となっており、同社も拡販に努力している。
 ペヤング納豆麺は、タカノフーズ(株)の「おかめ納豆」の
フリーズドライを使用した「みそ味」「しょうゆ味」の二品。
 既存の和風カップにはない、ヘルシー食品、健康食品をコン
セプトにアレンジした新和風メニューのカップうどん。納豆麺
という親しみやすいネーミングとシンプルなパッケージが新鮮
なインパクトを与えている。また、他のメニューとの食べ合わ
せも考慮し、弁当、おにぎりなどにも合う。
 麺は、同社独自の製造技術で、ソフトでなめらかな弾力のあ
る麺に仕上げ、口当たりと歯切れの良さは、油揚げ麺の良さを
引き出す。かやくは、納豆菌が生きたまま使用できるように特
殊なフリーズドライ製法で仕上げた納豆を豊富に使用し、ま
た、納豆、うどんと相性の良いネギ(フリーズドライ製法)を
多く使い、さらに、ワカメを使用し、彩りとボリューム感を引
き立てている。
 スープは、しょうゆ味が、ビーフエキスをベースに和風だし
(カツオ、煮干し、昆布)を豊富に加え、醤油味に仕立てた。
 みそ味は、ポークエキスをベースに和風だし(カツオ、煮干
し、昆布)を豊富に加え、味噌味に仕立てた。
 しょうゆ味は一カップ八五g(麺七〇g)一二×二、一個卸
一二四円、小売一五五円。みそ味は一カップ八七g(麺七〇
g)一二×二、一個卸一二四円、小売一五五円。

『くめ・クオリティ・プロダクツ、高級納豆の新工場建設―来年3月メド完成。』
1996/12/17 日本経済新聞 地方経済面
 
 納豆メーカーのくめ・クオリティ・プロダクツ(茨城県金砂
郷町、石塚昇一郎社長)は高級納豆の生産に特化した新工場
「ハイクオリティ工場」を建設する。納豆の製法や新メニュー
を紹介する施設を併設して一般に開放し、金砂郷町への観光客
誘致や地域活性化につなげる。
 金砂郷町高柿に昨年建設した研究施設「クオリティセンタ
ー」を含む約一万平方メートルの敷地に建設する。総工費は六
億円。完成は来年三月中旬の予定。
 工場は平屋建てで、床面積は約千六百平方メートル。洗豆・
浸し漬けから発酵、パック詰め、出荷まで一貫して取り扱う。
工場では窓をなくし、菌や虫の混入を完全にシャットアウトす
る。
 新工場には本社工場から高級納豆「丹精」の生産を移管する
ほか、原料の大豆や製法にこだわった新商品を生産する。日産
十万パックから始め、将来は十五万―十八万パックまで生産量
を拡大する。勤務人員は二十五人程度を予定。
 工場には見学者用通路を設け、ガラス越しに作業風景が見学
できるように配慮。バス専用駐車場も備える。中央部の約千八
百平方メートルの敷地は「クオリティガーデン」として整備
し、地域の人々に開放する。
 ガーデン内には、情報提供の場として平屋建てのテラスを建
設。納豆を使った健康食品や新メニューを研究する「応用開発
室」を配置するほか、納豆の即売場や納豆の製法をビデオで紹
介するコーナーも設ける。

『くめ・クオリティ・プロダクツ、「パンに載せる納豆」生産中止―売れ行きが急減。』
1996/12/17 日本経済新聞 地方経済面
 
 くめ・クオリティ・プロダクツは、新工場で来春から輸入大
豆を使った高級納豆「水戸伝説」の生産を始める。「量産を志
向せず、苦みの除去や強い糸引きなど高品質を追求」(研究
室)し、量販店や百貨店、コンビニへの販路拡大を目指す。
 原料には国産の納豆小粒を米アーカンソー州の農場で契約栽
培した「マドンナ大豆」を輸入し、国産大豆を使用した「丹
精」よりコストを抑える。小売価格は六十グラム入り一パック
で八十八円を予定。当初は月間六万―七万パックの生産を見込
んでいる。
 一方、今年三月に試験的に投入したパンに載せて食べる納豆
「まぜてーら・のせてーら」は十一月で生産を中止した。マス
コミに取り上げられたことや積極的な販促キャンペーンでピー
ク時には月間約三万個の売り上げを達成したが、夏場以降、一
万個以下に急速に落ち込んだ。
 同社では「“納豆にはごはん”という固定観念はまだ強く、
やや時期尚早だった」と分析する一方、「アンケートでは好意
的な反応が七割を占めたし、以前から納豆をパンに載せて食べ
ている人が少なくないこともわかった。潜在的な市場はあるは
ずで、今後もパン食にこだわった商品開発は続ける」としてい
る。

『手作り納豆 農業体験グループが挑戦「わら」に豆入れ発酵させる』
1996/12/15 東京読売新聞 朝刊
 
 健康食の納豆は朝食の強い味方だ。週末に農業体験している
サラリーマンらのグループがこのほど、有機栽培で育てた大豆
をわらで包む、昔ながらの納豆作りに挑戦した。手作り納豆の
楽しさ、おいしさをあなたの家庭でも工夫して味わってみては
いかが。
 納豆作りに参加したのは、「土日農業研究会」会員のサラリ
ーマンやその家族十六人。土曜、日曜日に茨城県八郷町の農地
を借りて野菜などを栽培している。
 同町で農業を営む谷田部藤一郎さん宅の庭の隅には、“つつ
こ”が山積みされていた。長さ約六十センチのわらを男性の腕
ほどの太さに束ね、両端をわらで縛ったものだ。
 会員たちが五時間ほど前から火にかけてある大きななべを囲
んだ。なべの中では、会員が八月に種子をまき、十月に収穫し
た小粒品種の大豆が黄褐色に光りながら煮えている。
 「自分たちで育てた大豆で納豆を作りたい、そんな会員の声
から約九か月。この日を楽しみにしていた」と会長の宮崎隆典
さんは話す。
 「よぉーし、始めっかァ」。指導者の谷田部さんの声を合図
に豆をざるに上げ、つつこを持つ。「わらには自然の納豆菌が
付いているから、豆を入れて発酵させれば菌が自然に増殖して
納豆が出来るんだ」と解説する。小舟のようにしならせたつつ
こに茶わんで豆を入れ、包み込むようにしてつつこの真ん中を
わらで結ぶ。
 流れ作業であっという間に約百八十本の山が出来た。一本に
は四人分、約二百グラムが入っている。豆の煮汁をひしゃくで
かけてわらを湿らせれば出来上がり。三十五度の室に三十六時
間ほど寝かせれば納豆が出来上がる。
 ちなみに、手作り納豆の味は――。谷田部さんがあらかじめ
別に用意した納豆を食べてみた。口にわらの香りが広がる。軟
らかく甘みさえ感じる。実は塩が一つまみ入っているという。
「塩を入れると糸の引きが強くなる。香りも失われず手作り納
豆独特の味が出る」と谷田部さん。
 この日は一家族二本以上のつつこを持ち帰ることにした。
「大切に温めて試食したのと同じ味を作りたい」と千葉から参
加した会社員。
 ◆家庭でも市販の納豆混ぜ   
 谷田部さんは「市販の納豆の菌を使えば家庭でも作れるよ」
という。大豆は直径五ミリ程度の小粒を選び、たっぷりの湯で
五―六時間弱火で煮る。豆は水を吸うと二倍の重さになるので
一食分二十五グラムほどを目安に人数分を煮る。
 ざる上げした豆に市販の納豆一パックを混ぜ合わせ、容器に
入れてラップをかける。「納豆菌は生き物だから必ずラップに
空気穴を開けること。乾燥も大敵なので注意する」
 容器は毛布などに包んで中温程度のホットカーペットや湯た
んぽの上に置くとよい。こたつの中でもいいが乾燥してしまい
がちだ。
 発酵時間は三十五度で三十六時間程度だが、温度が低めなら
発酵時間は長くして。出来上がりの目安は、はしで取って糸を
引いている状態だ。
 わらがあれば菓子箱などに敷き、市販の納豆と混ぜた豆を入
れて発酵させればわらの香りがする納豆に。容器を密閉して冷
凍しておけば二か月程度保存できる。
 保温の仕方などで多少味に違いの出る手作り納豆、手間を掛
けた分だけ愛着もわき、おいしく食べられそうだ。

『【料理レシピ】手早くできる 春菊の納豆あえ』
1996/12/14 産経新聞 朝刊
 
《作り方》
(1) 春菊は根元を切り落として塩少量を加えた熱湯でさっ
とゆで、冷水にとって水気を絞り、4センチ長さに切る。
(2) (1)にしょうゆ小さじ1をふり混ぜ、軽く絞る。
(3) エノキダケは石づきを切り落とし、熱湯でさっとゆで
て水気をきる。
(4) (2)(3)と納豆、しょうゆ大さじ1を混ぜ合わ
せ、器に盛る。
 【一口メモ】
◇好みで練りガラシを加えても。
◇酒のさかなに向く一品だが、酒蒸しの鶏ささ身、刺し身用の
イカ、マグロの赤身などをプラスしてボリュームアップする
と、ご飯のおかずにもいい。
◇春菊に限らず、青菜ならなんでもOK。また、万能ネギでも
いい。
《材料メモ》
春菊……………1/2束
エノキダケ……1袋
納豆(小粒・50グラム)……1パック
塩、しょうゆ

『東工大、枯草菌利用の植物病抑制農薬を開発。培養しやすく高い安全性』
1996/12/13 日刊工業新聞
 
東京工業大学資源化学研究所の正田誠教授らの研究グループ
は、枯草菌を用いた微生物農薬の開発にめどをつけた。たい肥
から得た枯草菌の一種を用いて農作物などの病気を予防する。
この菌は二種類の抗菌活性物質を生産する働きがあり、植物が
土壌中の病原菌から感染、病気になるのを防ぐ。
納豆菌の仲間で、培養しやすく、安全性も高いのが特徴。複数
の実験を繰り返すことで、効果的に植物病を抑制することを確
かめ、微生物農薬応用への確証を得た。この枯草菌は、殺菌作
用と殺菌の働きを助ける作用の二つのたんぱく質を生産する。
栄養豊かな環境では土壌中で胞子を形成して眠っているが、病
原菌などほかの細菌が活性化すると正常な細胞に戻り、抗菌活
性物質をつくる。この抗菌活性物質は研究グループが確認した
だけでもバクテリアやカビなどから感染する二十八種類の植物
病に効果があるという。
肥料などに混ぜて土壌に接種するなどの方法が検討されてい
る。研究グループでは今まで滅菌した土壌で植物病を抑制する
ことを確認したが、滅菌しない土壌でも実験した。苗立枯病を
引き起こす病原菌の入った土壌に、この枯草菌を接種し、二週
間、ポットでトマトを育成した。
枯草菌の接種は(1)菌と抗菌活性物質が入った培養液(2)
菌の細胞だけで抗菌活性物質を取り除いた菌体懸濁液(3)抗
菌物質だけの培養除菌液―と三つの方法で行った。いずれの方
法でもトマトの苗立枯病は抑制され、健全に育成したという。
土壌中には乾いた土換算で一g当たり一億―十億個の枯草菌が
胞子として存在し、二種類の抗菌活性物質も検出された。土壌
中の抗菌活性物質の濃度変化を調べたところ、約十日間で土壌
から消え、土壌への残留性は小さいこともわかった。また、こ
の枯草菌の遺伝子の一部を破壊し、抗菌活性物質をつくれない
状態でも実験した。
この結果、植物病は発生し、菌が生産する抗菌活性物質に効果
があることを確かめた。

『中国は納豆の潜在市場?、好き32%、嫌い19%―常磐大、上海で試食アンケート。』
1996/12/10 日経産業新聞
 
 巨大市場・中国で納豆の販路開拓の可能性あり――。常磐大
学国際学部(水戸市)の「アジアの納豆企画グループ」(加藤
清昭教授)は中国・上海で実施した試食アンケートの結果をま
とめ、納豆メーカーや県内スーパーなどを招き報告会を開いた。
 調査は九月上旬、上海第一ヤオハンのレストラン街で、持参
した県産の納豆で実施。現地の消費者二百九十四人から回答を
得た。
 「好き」と答えた人は全体の三二%に上り、「嫌い」の一
九%を上回った。「また買いたい」と答えた人も全体の四割
弱。「中国で売れると思うか」との問いにも、二割強の人が
「売れる」と答えた。
 調査場所が日系高級百貨店だったことや、無料配布した点な
どを割り引いて考える必要があるが、日本の納豆が中国でも一
定限度受け入れられる可能性を示したと言えそうだ。
 報告を受けた産業界からは、「納豆好きな中国人が意外に多
いと驚いた」(納豆メーカー最大手のタカノフーズ)との声が
続出。「中国で納豆の現地生産が始まれば、輸入も考えられ
る」(カスミ)と、気の早い意見も出ていた。 (水戸)

『【料理レシピ】納豆を加えて 和風マセドアンサラダ』
1996/12/10 産経新聞 朝刊
 
《作り方》
(1) 大根とニンジンは1センチ角に切り、熱湯でゆでて水
気をきる。
(2) 長イモは皮をむいて1センチ角に切り、酢水にさらし
て水気をきる。
(3) 三ツ葉は1センチ長さに切る。
(4) 納豆は水洗いして水気をきる。
(5) (1)(2)をだし汁大さじ1、薄口しょうゆ大さじ
1/2であえてしばらくおき、汁気をきる。
(6) ボウルにだし汁大さじ2、薄口しょうゆ大さじ1、練
りガラシ小さじ1、塩少量を合わせ混ぜ、(3)(4)(5)
を軽くあえる。
(7) 器に(6)を盛る。
 【一口メモ】
◇シメジや生シイタケをさっと薄味で煮て加えたり、長ネギを
ゆでて加えても。 《材料メモ》
大根……………5センチ
ニンジン………1/4本
長イモ…………5センチ
三ツ葉…………1束
納豆(100グラム)…………1パック
酢、だし汁、薄口しょうゆ、練りガラシ、塩

『中国は納豆の巨大市場?、常磐大、上海でアンケート―「好き」と回答32%。』
1996/12/06 日本経済新聞 地方経済面
 
 巨大市場・中国で納豆の販路開拓の可能性あり――。常磐大
学国際学部(水戸市)の「アジアの納豆企画グループ」(加藤
清昭教授)は中国・上海で実施した試食アンケート調査結果を
まとめ、納豆メーカーや県内スーパーなどを招き報告会を開いた。
 調査は九月上旬、上海第一ヤオハンのレストラン街で県産納
豆を無料配布して実施。現地の消費者二百九十四人から回答を
得た。
 「好き」と答えた人は全体の三二%に上り、「嫌い」の一
九%を上回った。「また買いたい」と答えた人も全体の四割
弱。「中国で売れると思うか」との問いにも、二割強の人が
「売れる」と答えた。
 調査場所が日系高級百貨店だったことや無料配布した点など
を割り引いて考える必要があるが、日本の納豆が中国でも一定
程度受け入れられる可能性を示したと言えそうだ。
 報告を受けた産業界からは、「納豆好きな中国人が意外に多
いと驚いた」(納豆メーカー最大手のタカノフーズ)との声が
続出。「中国で納豆の現地生産が始まれば、輸入も考えられ
る」(カスミ)と、気の早い意見も出ていた。

『旭松食品、納豆を第3の柱に―新製品を全国展開、生産増強へ9億円投資。』
1996/12/06 日経金融新聞
 
 高野豆腐最大手の旭松食品(2911)が納豆販売に本腰を
入れ始めた。今年三月に関東で地域限定販売した氷温熟成納豆
「納豆いち・完熟超小粒」が好評で、この新製品を順次、全国
に広げる。発売に伴う広告宣伝費、生産設備増強の投資が膨ら
んで九七年三月期は経常利益が二七%減少するが、九八年三月
期は納豆の売り上げ増で再び利益増をめざす。
 今期の納豆部門の売り上げは五十一億円前後と前期より四
〇%強増え、売上比率で高野豆腐、加工食品とほぼ並ぶ。「健
康食品ブームに乗って、納豆の需要は右肩上がりで伸びてい
る。これまでの納豆と作り方も味も違う新製品をタイミングよ
く発売できた」と、木下晃一社長は顔をほころばせる。
 同社は高野豆腐メーカーとしてスタート、第二の収益の柱と
してカップみそ汁や袋入りの「生みそずい」、おかゆなど加工
食品部門を持つ。しかし今後も大きな需要拡大が見込めない高
野豆腐と、競争が激化する一方の加工食品だけでは収益の先行
きは厳しい。
 納豆部門の拡大のため生産設備増強に今期九億円弱を投じ
る。現在、納豆はフル稼働の状態が続いているが、この増強で
七十億円前後の売り上げまで引き上げる。それでも不足する場
合は、新たに工場用地を取得し、新工場を建設して納豆を拡大
していく。
 こうした一方で九五年に主力の長野・飯田工場の隣接地に物
流センターを建設、併せて「ロジスティクス部」を設立し、物
流コストの削減に着手した。受注業務の集約や販売情報に基づ
いた生産体制に切り替えたことで、年間約一億三千万円のコス
ト削減効果が出たという。実際、前期の棚卸し資産回転日数は
十九・七五日と九五年三月期の二十・七一日より改善した。

『茨城産の納豆、「発祥の地」中国で好評−−水戸で報告会/茨城』
1996/12/06 毎日新聞 地方版
 
 水戸市の常磐大学の教授らが今年9月、「納豆発祥の地」と
いわれる中国・雲南省などで実施した茨城産納豆の市場調査報
告会や、メーカー、商社関係者らとの意見交換が4日夕、水戸
市内で行われた。主なテーマは「日本の納豆が中国で売れる
か」で、同国都市部を中心に予想外の好評を得たとの報告に、
産業界からは「生鮮食料品である納豆は空輸しなければならな
い。単価の安いものを空輸すると値段が高くなるので、現地生
産すべきだ」など中国進出に前向きの意見も出された。
 報告を行った加藤清昭同大教授や同大学生5人は、上海など
での試食会の結果を紹介。「納豆が好き」と答えた人が38%
と「嫌い」の22%を上回り、「どちらともいえない」と答え
た40%のうちの3割も「また買ってみたい」などと回答した
ことから、茨城産納豆が関心を持たれると強調。「納豆の粘り
が嫌い」(41%)との側面はあるものの、「早く中国進出を
しなければ、みすみす巨大市場を失うことになる」(加藤教
授)と結論付けた。

『丸美屋、97年6月操業。南関工場を増設』
1996/12/05 日刊工業新聞
 
【熊本】丸美屋(熊本市御領町188の1、社長上村弥継氏、
電01996・389・1300)は、納豆を増産するため南関工
場(熊本県南関町)を増設する。五日、南関町と立地協定に調
印する。
同社は、主力商品の納豆が健康食品として見直され急成長して
いることから、九七年二月期の売り上げを前年度比一五%増の
三十八億円と予想。今後も売り上げ増が期待できることから工
場増設に踏み切った。新工場は、建築面積が二千五百十四平方
メートル、投資金額が八億八百万円。
九七年一月に着工し同年六月から操業開始の予定。新工場の初
年度出荷額は八億円を見込んでいる。同社の東健常務は「納豆
の売り上げはここ数年一〇%の伸びを示していたが、O157
騒ぎがあった夏以降、前年同月比三〇%増が続いている」と話
している。

『小杉食品、納豆ブームで順風満帆 「有機・極小粒」が著増』
1996/12/04 日本食糧新聞
 
 【名古屋】納豆の(株)小杉食品(三重県桑名市、059
4・22・6005)は、このところの健康食品「納豆」ブー
ムで業績を順調に伸ばしている。例年夏期は低迷するものであ
ったが、今年はO157問題などもあってか逆に数字を伸ば
し、現在一〜一・五割増の生産体制を敷いている。
 その中でとりわけ伸びが著しいのが「有機栽培・極小粒納
豆」(写真)。厳選した有機栽培の大豆で、しかも極めつきの
小粒で食べやすさも抜群という商品である。当然のことながら
「タレ」「からし」に合成保存料、合成着色料は使用していな
い。
 同社の小杉力会長は「マスコミが納豆の健康性について取り
上げ、ブームに火をつけた。納豆は自然食品の典型であり、伝
統食品である。もっと納豆のおいしさや健康性を広げていきた
い」と語っている。

『第17回日本臨床薬理学会』
1996/12/01 MEDIAPEX
 
ワルファリンの服薬説明の状況/医薬品情報の提供/一般演題
より
 
 抗血栓症薬ワルファリンによる治療では、血液凝固能検査に
よる治療域コントロール、ビタミンK系の医薬品、納豆や緑黄
色野菜などビタミンKを多量に含む食品との相互作用など、病
状のコントロールのために多くの注意を必要としている。
 順天堂大浦安病院薬剤部の中川理恵氏は、医療現場における
ワルファリンの服薬説明の現状に関する調査結果を報告した。
病院内外での医療スタッフ間の連携、役割分担が不十分な状況
が示唆され、今後は説明用のビデオなどの資材利用を含めて、
服薬指導の徹底をはかる必要が認められたという。
 調査は、95年10月に設立された研究会によって実施され
た。大学病院の医師、薬剤師、看護婦に加え、医薬分業の普及
を考慮して薬局薬剤師も研究会に参加している。1996年4月に
第三者機関に委託して、郵送調査法で実施された。内容は、情
報提供での連携、役割分担などとした。
 対象は、循環器内科・外科、一般内科、老人科、整形外科の
勤務医、一般内科と整形外科の開業医、循環器内科・外科の看
護婦、病院および薬局の薬剤師の総計5,700人。
 循環器系、内科のワルファリンを処方する診療科とともに、
ワルファリンと併用禁忌の骨粗鬆症治療用ビタミンK製剤を使
用する整形外科や老人科を対象に選んだ。
 アンケートの回答率は14.2%で、統計処理が可能なレベ
ルに達したという。循環器外科医と薬剤師で回答率が高く、開
業医は低かった。患者1人あたりの服薬説明にかける時間は、
看護婦が平均12.9分で、最も情報提供に時間を費やしてい
た。
 病院内での服薬説明実施者については、「医師が行ってい
る」との認識が各職種で一致して高かった。しかし、看護婦の
90%以上が「看護婦が説明している」と自覚していたにもか
かわらず、他職種の医師、薬剤師の認識は低かったという。ま
た薬剤師でも、同様の傾向がみられた。
 院内での連絡や申し合わせについては、医師、薬剤師の5
0%以上が「行っていない」と回答してる。看護婦では、「行
っていない」は約30%にとどまった。また連絡先には、検査
技師や栄養士も含まれていた。
 院外施設への連絡については、大部分が患者自身による各施
設への申し出に頼っていた。

『抗生物質、磁場作用で生産向上、東工大――細菌の能力を活性化。』
1996/11/30 日本経済新聞 朝刊
 
 東京工業大学資源化学研究所の正田誠教授の研究グループは
抗生物質を生産する細菌を強い磁場の中に置くことで、生産性
を約三〇%高めることに成功した。細菌の物質生産能力を磁場
の作用で向上させたのは初めて。将来、医薬品の生産コストの
低減に貢献しそうだ。
 研究グループは物質生産能力に優れる枯草菌(納豆菌の仲
間)という細菌に着目。生分解性の界面活性剤、サーファクチ
ン(抗生物質の一種)を生産するように遺伝子操作を施した上
で、五・二〓(テスラは磁場の単位、一〓は地磁気の約二万
倍)から六・一〓の間を上下する変動磁場の中に置いた。
 すると変動磁場下の枯草菌の物質生産量は、地磁気しか受け
ない通常の枯草菌と比べ増加。実験開始から七十二時間後、サ
ーファクチンの生産量は約一・三倍の水準に達した。
 大腸菌や枯草菌などの細菌は増殖停止の直前から死滅すると
きにかけて物質を生産することが知られている。抗生物質の生
産量が増えた理由について正田教授は「変動磁場の影響で死滅
の時期が近づいた細菌が死ににくくなったせいではないか」と
の仮説をたてている。

『転作大豆を振興、生産から販売を一貫、茨城・JAやさと』
1996/11/30 日本農業新聞
 
 【茨城・やさと】水田再編確立対策事業の一環として生産の
盛んな大豆。JAやさとでは、受託刈り取りを始めるなどより
一層の普及を図っている。
 大豆生産は八郷町が転作奨励品種として力を入れており、同
JAは生産・加工・販売と一貫した体制をとっている。
 なかでも平成元年から始めた納豆の製造販売はまれな事業だ
ったが、現在ではJAの柱となりつつある。納豆は年間二百万
パック製造され、七割を生協へ出荷、健康食品ブームとともに
生産が拡大している。
 また、納豆販売金の中から一パック五円を「納豆基金」に積
み立て、それによって大豆種子の無料配布、脱粒機・選別機の
無料貸し出している。
 さらに今年から、コンバインの購入によって受託刈り取りを
行い、刈り取り、脱粒の手間を省いて労力を軽減し、生産の普
及を図った。
 販売強化では対外対策室を設置し、販売先の拡大などを進め
ている。
 このように今後に向けた畑作振興の基礎つくりは、生産者か
らの大きな期待がかけられている。

『納豆関連機械資材展示会開く「こだわり納豆」づくり目指す』
1996/11/29 日本食糧新聞
 
 ’1996全国納豆関連機械資材展示会が13日、東京都立産業
貿易センター台東館で開催された(主催=納親会、後援=全国
納豆協同組合連合会)。今回のメーン・テーマは、「こだわり
納豆を目指して!!」。
 同展示会は三年に一度開催されていたが、今回は四年ぶりの
開催。納豆の消費は確実に伸び、市場は増大しているが、大型
小売店、量販店、CVSでは大手メーカー各社が寡占化、激し
い納入合戦が展開されている。
 一方、中小メーカーは大手とはっきり差別化した個性ある商
品の開発と独自の販売ルートを確立することが急務となってい
るが、供給体制の完備と経営の効率化を図るため自動化・省力
化に対応できる最新機械の導入には大手、中小メーカーとも各
社が関心を高めている。
 今回展示された機械は、包装機、充填機、選別機、各種制御
装置、小袋投入機など。実演も行われ、特に段ボール箱入れロ
ボットを接続した包装機、万能型高速充填機、洗穀機、石抜
機、高速小袋自動投入機などに人気が集まっていた。また原料
大豆、たれ、辛子、容器などの資材も各社がブースの中に展
示、会場なかほどには一部のメーカーがすでに導入している納
豆用自動販売機が設置され、業界新時代の到来を象徴していた。
 出展メーカー二五社は次の通り。
 野村総合商事(株)、ちば醤油(株)、ユニ・フード(株
)、全容器(株)、朋和商事(株)、シンコーフーズ(株)、
富士商事(株)、三交商事(株)、チヨダ(株)、エム・エ
ス・ジー(株)、互明商事(株)、サカイスパイス工業(株
)、(有)アレス容器、和光食糧(株)、マルエス工業(株
)、鈴与工業(株)、(有)みわ精機、(株)旭金属、(株)
中川機械製作所、原田産業(株)、高野ベアリング(株)、
(株)岩崎製作所、正和工業(株)、(株)三橋製作所、(
株)木田製作所。

『毛利食品、納豆+マグロ角煮、おつまみの新製品投入。』
1996/11/28 日本経済新聞 地方経済面
 
 豆製品メーカー大手の毛利食品(宇都宮市、毛利貞夫社長)
はおつまみの新製品「まぐろ納豆」と「うまかっぺ」を発売し
た。全国のスーパー、コンビニエンスストアなどで販売、年間
売り上げ目標三億六千万円(小売りベース)を見込む。
 まぐろ納豆は希望小売価格五百円。内容量は百二十グラム。
辛子味のドライ納豆とマグロの角煮を組み合わせた。たんぱく
質、鉄分、カルシウムなどに加えて、ガン予防になるといわれ
るDHA(ドコサヘキサエン酸)を含んでいる。
 うまかっぺは希望小売価格五百円。内容量は二百九十グラ
ム。バターピーナツ、ピスタチオ、甘納豆、ヨーグルトレーズ
ンなど八種類の袋が入っている。おつまみとしてだけではな
く、子供のおやつとしても売り込んでいく。

『動くCVS商品 有機・無添加の商品開発進む、「健康・環境」色強める』
1996/11/25 日本食糧新聞
 
 CVSチェーンの店頭では、栄養補助食品の次は、有機農産
物、添加物を使用しない食品が注目されてきた。am/pmは
早くから添加物・合成着色料を使わない冷凍の弁当・惣菜、ド
ライ食品の開発に取り組んできたが、最近では他のCVSチェ
ーンでも有機栽培大豆使用の納豆、天然にがり一〇〇%・消泡
剤無添加の豆腐が登場している。
 国分グローサーズチェーンは、丸大豆、丹沢山渓天然水、天
然にがりを使用した豆腐(絹こし八八円、木綿こし九五円、各
三〇〇g)を10月中旬に発売した。従来品をリニューアルし
たもので、発売以来豆腐全体の売上げを五〇%引き上げ、売れ
筋の第一位を占めている。中国産有機栽培大豆で作った納豆
(超小粒、引き割各五〇g×二、一一〇円、極小粒三〇g×
三、一五〇円)も取扱いを始めた。これも納豆全体の売上げア
ップに貢献している。豆腐はマルカ食品、納豆はヤマダフーズ
の商品。
 スリーエフも天然にがり、消泡剤無添加、豆乳濃度を高くし
た豆腐(絹こし、三〇〇g、八八円、二〇〇g、五八円)を発
売した。製造はホーム食品。
 スリーエフでは品質第一に商品の見直しを進めており、豆腐
もその一環。国分グローサリーチェーンはこれらを揚げ出し豆
腐、納豆巻に加工し、付加価値の高い商品開発を進めている。
 am/pmは、添加物、合成着色料を使わない、ゴミを出さ
ないなど健康、環境に配慮した商品を「あんしん二重丸」の統
一ブランドで開発している。今年の第三弾として11月中旬
に、食品・非食品五〇品目を新発売した。冷凍状態で流通する
「とれたて弁当」は、レンジアップの出来立て感と健康志向が
支持され順調な売れ行きをみせている。
 CVS客といえば、質よりも量と安さが優先していた。しか
し、健康・環境への関心が高まるに従い、商品選択の基準も変
化してきた。今後の高齢者の増加に対応する意味でも、健康・
環境は欠かせないキーワードになっている。

『くき食品、抗菌納豆活用し加工食品に進出―ギョーザやうどん、シリーズで商品化。』
1996/11/19 日経産業新聞
 
 くき食品(福岡県若宮町、斎藤陽彦社長)は抗菌物質を増や
した自社製の納豆を使い、加工食品事業に進出する。第一弾と
して、具に納豆を混ぜたギョーザを発売した。来月には納豆う
どんを投入する。来年以降、納豆ジュースや納豆がゆなども順
次、商品化する。食中毒騒動のなか、健康食品としての納豆が
注目されている。同社は納豆を使った加工食品により事業拡大
を狙う。
 納豆を使った加工食品は「食育革命」のブランド名でシリー
ズ化する。発売したのは「抗菌・納豆入りギョーザ」=写真。
豚肉やタマネギ、ニンニク、ショウガなどの具に、自社製納豆
を加えた生ギョーザ。二十個入りで三百円。全国の量販店など
で販売、月間一万パックの販売を目指す。
 来月発売する納豆うどんは、うどん粉に納豆を加えて仕上げ
た乾めん。お湯を通しても簡単にちぎれず、コシのある味わい
を実現したという。さらに今後、具材の鮮度を保ちやすいフリ
ーズドライ技術などを活用し、インスタントタイプの納豆がゆ
や納豆ジュースなども商品化する。
 食品や飲料の材料として使う納豆は、同社が今年八月に開
発・発売した「抗菌納豆」。納豆のネバリ中に含まれる物質で
抗菌作用があるとされるジピコリン酸を、同社の独自技術を使
って通常の納豆の五倍に増やした。今夏の病原性大腸菌O(オ
ー)157事件などの際には納豆の抗菌作用が注目されるな
ど、健康食品として関心が高まっている。納豆を使った加工食
品のシリーズ化によって、二〇〇〇年には売上高を五十億円に
する考えだ。

『本棚、「まめに納豆クッキング」石塚昇一郎・著』
1996/11/19 日本農業新聞
 
 「遊び尽くし」シリーズの一巻。納豆の薬効や食べ方が見直
されている。納豆のあのネバネバには、血栓を溶かす働きのあ
るナットウキナーゼが含まれ、成人病やぼけを予防する効果が
認められている。
 本書は、驚異的とも言える栄養と薬効をもつ納豆をおいし
く、楽しく、健康に食べるための調理法を詳しく紹介。薬味で
味わったり、あえたり揚げたり、焼いたり、いためたりする自
由奔放な納豆クッキングの数々だ。
 (創森社=〒162 東京都新宿区下宮比町二ノ二八ノ六一
二、A5判、千百十二ページ千二百円)

『決算から――旭松食品、9月中間、増収減益。』
1996/11/15 日本経済新聞 地方経済面
 
 旭松食品 九六年九月中間期は売上高七十九億二千九百万円
(前年同期比一二・四%増)、経常利益一億六千三百万円(四
〇・三%減)の増収減益となった。納豆、凍豆腐などの販売が
好調だった半面、広告宣伝費の増加、設備投資の償却負担など
が減益の主因となった。
 九七年三月期は売上高百六十八億円、経常利益五億三千万円
を見込む。

『故郷の博物館「納豆博物館」茨城小川町』
1996/11/13 日本農業新聞
 
 納豆は日本を代表する食べ物として広く親しまれている。茨
城県小川町にある「納豆博物館」は、納豆のすべてを情報発信
する全国初の珍しい納豆専門博物館だ。
 同館は、納豆を製造販売する潟^カノフーズが工場敷地内の
研究所一階に設けたもので、健康食品である納豆の素晴らしさ
をアピールし、世界でも類を見ないユニークな博物館として今
年五月にオープンした。
 納豆は最近の健康食品ブームで一躍脚光を浴び、消費は年々
伸びている。納豆オムレツやスパゲティなど料理の種類も豊富
になってきた。そんなブームを反映してか、同博物館への関心
も高まっている。
 館内は清潔感があふれる造り。主に“納豆の歴史と文化”を
紹介。納豆の起源は、平安中期の東北地方で起こった戦乱の
中、兵士が飢えのあまり発酵した煮豆を食べたのが始まりとい
われる。
 江戸納豆絵巻のコーナーはミニシアターとなっている。から
くり人形がちょこちょこと体を動かしながら当時食べていた納
豆の話を、面白おかしく語ってくれる。家庭でも簡単に試せる
納豆のつくり方や効用、世界の大豆発酵食品紹介などをパネル
やイラストで分かりやすく紹介したコーナーもある。
 展示中央にはコンピューターを導入した情報室もあり、どれ
だけ納豆について理解できたかをテストしてくれる。「納豆を
学ぶことで、少しでも皆さんの健康に役立てたら」と同館。電
話で予約をすれば工場見学もできる。
 納豆博物館へはJR常磐線で石岡駅下車。鹿島鉄道に乗り換
え、常陸小川駅下車、車で約10分。入館は無料。団体の場合
はフリーダイヤル0120―58―7010へ事前連絡が必
要。休館日は年末年始。
美術分野に助成、ポーラ財団
 今年設立されたポーラ美術振興財団が、第一回の美術分野助
成事業の対象を募集している。対象となるのは、若手芸術家の
海外研修(十人、各三百四十万円)、美術館職員の調査研究
(十件、各二百万円)、美術に関する国際交流(十二件、各二
百万円)――の三分野。応募期間は十一月三十日まで。
 問い合わせは、ポーラ美術振興財団=〒107 東京都港区
赤坂二ノ一一ノ一、宮原ビル七階 電話03(3505)33
21へ。

『からし特集 業務用=ミニパック順調、加熱メニュー訴求力高まり健闘』
1996/11/13 日本食糧新聞
 
 業務用(加工用を含む)も、納豆用を主体としたミニパック
などを中心に、今のところ健闘している。ただ、消費構造から
みれば「もはや限界」という、家庭用と同じ悩みを抱え、厳し
い状況が続くのは間違いないところ。しかも原料コストが毎年
のように上昇していることも、メーカーにとっては頭の痛いと
ころだ。
 かねてより、その食効が喧伝されていた納豆は、昨年、再び
スポットを浴び、一時の低迷を完全に脱した。いわく、骨粗鬆
症予防、血栓予防効果等々がそれで、味噌、豆腐など他の大豆
原料食品とともに、日本食の代表の座を不動にしている。関西
など“未開地”での消費も拡大し、それに添付されるミニパッ
クのからしも、順調な伸びをみせている。また、持ち帰りのシ
ューマイなどの添付用も、加熱メニューが支持されてか健闘。
さらに、秋口から約半年間にわたり、コンビニエンスストアな
どで展開する持ち帰り用のおでんの添付用も、今シーズンは期
待できそう。O157の影響もあってか、加熱メニューの訴求
力が高まったうえ、今秋は残暑も少なく冬も寒そうな気配。一
部有力チェーンでは、早くもおでんのテレビCFを流すなど
“本番”突入を思わせる環境となっている。
 また、マスタード関係も健闘している。ホットドッグ用やド
レッシングの原料など、飲食店向けが底固い動きを示し、一方
でサンドイッチなどの店売りが増えたためか、製パン用向けが
好調。ただ、業務用全般では、おでん屋、居酒屋関係、とんか
つ、中華料理店、洋食系のマスタードなど、使う業態(料理)
が限られ、一時より明るさがみえたとはいえ、外食全体に盛り
上がりに欠けるなど、厳しい状況に変わりはない。
 加工用は、夏から秋にかけナスのからし漬用途などもある
が、年間を通じて安定し、ウエートの高いのがわさびやマヨネ
ーズの原料用だ。ただ、この分野は商品そのものの消費が伸悩
みの状態。付加価値戦略の一環か、からし精油の利用もジワジ
ワと増えるなど、からしメーカーにとっては逆風も吹いている。
 さらに、今回はO157騒動で、さしみ盛合せや寿司の売行
きが激減。それに連動して、わさびの需要も減少した。わさび
メーカーの在庫の違いなど、それが即加工用原料からしの動き
に連動するわけではないが、いずれは何らかの影響が出るもの
とみられる。
 国内のからしメーカーは、主に関東以西に散在。その中で埼
玉のサカイスパイスとチヨダ、中部の美ノ久が専業の“御三
家”といえる。サカイスパイスでは、今年からカナダ工場の半
製品(ケーキ状)を輸入しているが、年内にも粉末製品の輸入
を開始。また、美ノ久は今年、東京に正式に出先を開設し大消
費地への販促を強化。チヨダでは、その伝統と技術を生かし粉
末からマスタードまで、マイブランドを強化するとともに、有
力CVSとの結びつきも一段と強化。OEMを含めて“チヨダ
からし”の伝統を守っている。
 このほか、首都圏では総合香辛料・スープメーカーとして知
られる平和食品が、シューマイなどのミニパックを主力に展
開。業務用全般や産業・学校などの給食向けの食材メーカーと
して知られるテーオー食品や交易食品(横浜)が、「フレッシ
ュパック」(テーオー食品)などのチューブ製品を主体に浸
透。千葉のユニ・フード、東京辛子粉、タレや調味料などの小
袋充填専業のアミュード(埼玉)などが目につくところだ。

『◆からし特集 本格需要期へ販促強化、マスタードは狂牛病とO−157で低迷』
1996/11/13 日本食糧新聞
 
 前年の好調を持続する形で、今年のからし(マスタードを含
む)市場は、全体では堅調に推移している。ただ、種類別にみ
るとからしは順調に伸びたものの、いわゆるマスタードはやや
低迷と、明暗を分けている。これは、春先の狂牛病騒動と、夏
場以降の病原性大腸菌O157の集団発生による影響で、それ
ぞれの用途の違いが顕在化した形だ。加工、業務用では納豆用
のミニパックが相変わらず順調だが、O157の影響でわさび
の需要が大幅に減少したため、その原料向けのからしにも、ジ
ワジワと影響が出てくるとみられる。
 一方、一〇〇%海外に依存する原料面は、供給国カナダの相
場アップで、今春契約時(組合共同購入分)すでに前年比二
〇%アップ。現在のスポットは、それを上回り、とくにイエロ
ー種は暴騰。日本の主力のオリエンタル種は、安定しているも
のの「農家の売りおしみ」が続く状態。いずれにしろ円相場も
からみ原料の高値安定は確実となっている。

『元気インタビュー 岩田醸造相談役・岩田 政勝氏 秘訣は納豆・漬物・・・好奇心』
1996/11/10 百歳元気新聞
 
 北海道で有数の味噌・醤油工場である岩田醸造の相談役・岩
田政勝氏は、北海道味噌醤油工業組合連合会の会長を永年勤め
た、道内食品業界の重鎮。いまも毎日出社して、新時代に役立
つ人材の養成に力を注ぐ。若い頃ホッケーで鍛えたその心身
は、九六年間使っているとは思えぬほど壮健そのもの。さてそ
の秘訣とは?
 ●郷土愛ひしひし
 岩田家はもと金沢・前田藩の武士の一族。岩田氏の父らは明
治維新後、屯田兵として来道した。
 「当時は一面原始林。昼なお暗きの言葉どおり、熊笹が人の
背より高く生える密林です。夜になるといろんな動物の声が
し、隣の家へ行くには昼間でも握り飯を用意して出かけたとい
う。ぼくが生まれた頃には畑も下水もあった。必死に開墾した
んでしょうね」。
 岩田氏の口調には強い愛郷心があふれている。同社ではPR
誌『紅』を昭和31年から隔月間発行、全国に無料配布してお
り、郷土愛がひしひしと感じられると、読者から好評を博して
いる。
 ●いまも毎朝体操
 岩田氏は慶応大学時代は体育会ホッケー部に所属、その他ラ
グビーもこなすバリバリのスポーツマン。いまも毎朝一時間ほ
どのマッサージ体操を欠かさない。
 「ホッケー部というのは、ぼくらの始めた頃は日本の大学で
はまだどこにもなくて、相手というと横浜や神戸の外人。ラグ
ビーも、同じイギリスのスポーツとして日本に入って間もなく
で、体育会の他の部の連中とやりましたね。サラリーマンにな
ってからも、ゴルフはしないがラグビーはよくやりました」。
 大学卒業後、東邦電力に入社、家業を継ぐまで丸七年勤務し
た。持ち前のガッツと根性は仕事面でも発揮し、転勤先の福岡
では、自ら志願しチンチン電車の車掌として勤務したことも。
 「福岡ではほんと愉快にやりましたよ。北海道出かと珍しが
られてね。日曜日は必ず仲間とラグビー。ラグビーやって、中
州の川っぷちのビアホールで一、二杯ひっかけるのが毎週お決
まりのコースでネ」。
 ●三食に発酵食品
 朝ご飯のメニューは『納豆・大根おろし・生野菜サラダ・ご
はん・味噌汁、漬物』と決まっている。
 一日三食腹八分目、好き嫌いはないが、肉類は少なめ、絶対
に欠かさないのが納豆。
 「少年時代は嫌いでね。食べられるようになったのは実は五
〇歳過ぎ。重度のパラチフスが納豆を食べて完治したんです。
医者もびっくりしてました。『納豆は胃腸の雑菌を成敗する』
は本当でした。以来毎日、納豆をよくかき混ぜて、大根おろし
と半熟卵の黄身を乗せて食べます」。
 もう一つ、お腹の健康を保つための氏のこだわりの食品が漬
物。酵素を補うにはとくに奈良漬がいいという。「それも粕の
カスでは困ります(笑)。一番絞りの本当にいい酒の粕でつけ
た奈良漬は酵素の働きが違う。小さいのを一切れ食べるだけで
も効果はてきめん。発酵するからガスができる。それが音もな
しに出るんです。そのガスがにおうようなときは発酵状態がよ
くないとき。完全に発酵してきたガスなら全然においません。
今日のは酵素が相当効いたなというのがわかる。あれは面白
い。むしろそれが楽しみでね」。
 発酵食品をとりいれた腸内活性が健康の秘訣のよう。
 「なぜそんなに粕にとらわれたかというと、いくら何でも朝
から酒を飲むわけにはいかないから(笑)。酒は好きだからい
までも晩酌をしますが量はほんの少し。ただし相手があって飲
むときには、ぼくは全然こだわりません。話をしながら飲むん
ですから、ビールでも日本酒でも適当に飲めばいいんです。ワ
インなども最近味を覚えてきたんですよ。あれも酵素が十分働
くし、産地とか、発酵状態とか、研究し出したら面白いだろう
と思います」。
 新しいものへの好奇心とチャレンジ精神。このやわらかさも
若さの秘訣かもしれない。
 ●命は預かりもの
 命の根源は何だろう、とこの頃よく考えるという。
 「すべての生き物は、もとをたどれば一つの同じ細胞核であ
ったはず。でもその正体は、どんなに科学が進んでも人間には
わかりません。不思議ですね。人間の力では到底できないもの
が、現にでき上がっている。そう考えると、命は自分のもので
はなくて一時期の預かりものにすぎない。それをドウノコウノ
と。世界にはいろんな民族がいて、アイヌを異民族だといった
り、宗教で争ったり、そんなケチくさいことにとらわれては駄
目だ。同じ人間なんだ。人間は本当はどういう具合に命がつな
がっているかわからないんだ」。
 「だからぼくは近頃は、いろんなものを集めたりするような
ことは…、たとえば俺のだの、おまえのだのととらわれた考え
方はしたくない。自分のものは自分の命で終わる、と思ってい
ればいい。放っておけば、弱肉強食でけんかが始まるだろう。
でも所有権がどうのこうのなんて、それは人間の小細工にすぎ
ない。本当に人間なんて情けない存在、小さな存在なんです」。
 「威張るな。威張るな。こういうのが私の人生観です。いた
だいている命なんだから、お返しするというような考え方で
『いつでもどうぞ、長い間お世話になりました。ありがとうご
ざいました』とみんなにお礼をいいながらぼくは死んでいきた
い」と豪快に笑った。
岩田政勝(いわたまさかつ)=明治33年10月16日生ま
れ。大正14年慶応義塾大学経済学部卒業後、東邦電力入社、
家業従事のため昭和7年退社し、一〇ヵ月の欧米視察後、岩田
合名会社に入社、昭和11年代表者となる。昭和27年、岩田
醸造株式会社と法人化し、取締役社長となる。現在は取締役相
談役。北海道味噌醤油工業協同組合顧問、江別地方食品衛生協
会会長、北海道体育協会顧問、日本ホッケー協会顧問、北海道
ホッケー協会会長などを務める。藍綬褒章、勲五等双光旭日
章、北海道スポーツ賞、文部大臣表彰など多くの表彰歴も。

『あづま食品、納豆で無農薬国際認定――タレなども無添加。』
1996/11/09 日経流通新聞
 
 【宇都宮】大手納豆メーカーのあづま食品(栃木県河内町、
黒崎信也社長)は米国の大豆生産農家と提携、納豆メーカーと
して初めて無農薬作物の国際認定機関OCIA(有機農作物改
良協会、本部・米オハイオ州)の認定を受けた商品を十二月か
ら発売する。首都圏を中心に無農薬食品の需要が高まっている
ため、商品の特性を積極的に打ち出していく。
 新商品はからし、タレも無添加、無着色とする。希望小売価
格は五〇グラム三パック入りで百六十八円と、既存商品に比べ
て十円高く設定する。
 栃木工場(河内町)、三重工場(藤原町)も、熱湯処理工程
などの水準の高さが評価され、このほどOCIA認定工場とな
ったため、新商品にはOCIAの認定証を付け、消費者にアピ
ールする。
 同社はOCIA認定の米アーカンソー州の農家と提携、八年
間にわたり、納豆の原料に適した大豆の栽培に取り組んできた。
 昨年、日本産と同等の品質の大豆の栽培に成功、年間二千ト
ンの無農薬の有機栽培大豆を確保した。来年以降は、作付面積
をさらに増やし、年間四千トン以上を確保する計画。
 二年後をめどに無農薬有機栽培の大豆を使用した納豆の比率
を現在の二〇%から五〇%に高める。これまで米ミネソタ州で
生産した無農薬有機大豆を使用していたが、数量に限りがあ
り、国内での生産農家も少ないため、全数量の二〇%程度にと
どまっていた。

『日本生物科学研究所、大分の「九州工場」を完成。健康飲料を生産』
1996/11/08 日刊工業新聞
 
【大分】日本生物科学研究所(大阪府高槻市唐崎中4の10の
11、代表取締役東健一郎氏、電0726・77・5831)
は、大分県安岐町塩屋2022に建設中だった九州工場を完成
七日、関係者を招いて工場披露を行った。同社は、納豆菌・乳
酸菌を植物発酵液で長期間培養・熟成させたエキスを含んだ健
康飲料のメーカー。
これまで京都工場(京都府・久御山町)でしていた健康飲料を
九州工場に移管、京都工場は需要が伸びている納豆菌の健康飲
料の生産に専念する。九州工場は、敷地約九千平方メートル
に、一部二階建ての建屋約二千平方メートル。土地代を含む投
資額は約六億五千万円。
年産四億円を見込み、四―五年後には工場拡張を行い、年産を
十億円とする。

『[一村逸品]「大豆の衣づけ」京都府美山町』
1996/11/08 日本農業新聞
 
 「大豆の衣づけ」は、かやぶき屋根の民家が紅葉に包まれ、
年間で最も美しい京都府美山町の逸品。町内の主婦六人で構成
する宮脇豆菓子グループの手作り品だ。
 同グループの納豆作りの名人、中島ハナさんが、子供のおや
つにと工夫した豆菓子が、美山町ふるさと食品開発コンクール
に入賞。さらに、京都府ふるさと食品開発コンクールで奨励賞
を受賞したのを契機に、平成五年度に商品化した。自ら育てた
大粒の大豆に五色の砂糖をまぶし、京都らしい上品な味に仕上
げている。  
 大豆を一昼夜、水につけ乾かした後、油で揚げて衣をつけ
る。すべて自家製大豆を利用するため、生産量は限られてい
る。年間七百〜千袋の限定販売。一袋百グラム、三百円。町内
のイベントや、町外への物産展などにはJA京都美山町を通じ
て出品している。
 このほか、美山ふるさと館など、町内の観光拠点にも納入し
ている。美山町役場では「規模は小さいが、地域のきずなを深
め、活性化の一助になっている」と話している。
 問い合わせは、宮脇豆グループ、(電)0771(75)1
503。

『胃心伝真=不十分な栄養表示』
1996/11/08 日本食糧新聞
 
 健康志向が高まっている。長寿社会の到来で、健康維持のた
めの食生活のあり方に関心が高まっており、今年の歳暮ギフト
商戦でも、健康志向をアピールした商品が人気を集めることが
予想されている。また、相次ぐ一連の食中毒事故があって、そ
の殺菌や抑制作用が認められた緑茶、酢などが見直されそう
だ。いわゆる日本の伝統的な食品にスポットライトが当てられ
ている。納豆、黒酢の効用がその代表▼その一方で加工食品の
栄養表示法が改められ、ビタミン類を強化した食品の表示が進
められている。ところが、この栄養表示法、消費者には分かり
にくい。たとえば「ビタミン一ミリグラム」とか「カルシウム
三〇ミリグラム」とパッケージに表示されていても、ピンとこ
ない。つまり、消費者が一日に摂取すべき理想的な量が示され
ていないことが問題。その点、米国では消費者サイドに立った
対応をしている。たとえば「このハンバーガーを食べると、あ
なたの一日に必要な脂肪の八〇%を摂取することになります」
と情報を提供しなければならないようになっている▼食に対す
る健康志向が強まる中で、日本の栄養表示法は遅れているとい
わざるを得ない。再度の見直しを求めたい。

『キムチ漬け・白菜添え、納豆――ヤマダフーズ(ニューフェース)』
1996/11/07 日本経済新聞 朝刊
 
 ◇納豆◇ヤマダフーズ(0298・75・2111)の「骨
コツ納豆」と「キムチ納豆」
 《ポイント》「骨コツ納豆」は細かく砕いたサケの中骨入り
で、カルシウム含有量を増やした。納豆中のビタミンK2がカ
ルシウムの吸収を助けるという。「キムチ納豆」は納豆をキム
チ漬けにし、刻んだ白菜を加えた。
 《価格・発売時期》「骨コツ納豆」は三十グラム入り三カッ
プで百四十八円。北海道と九州を除くジャスコで販売中。「キ
ムチ納豆」は三十グラム入りスティック三本で百三十八円。東
北の一部で販売中。いずれも順次、全国に拡大する。

『あづま食品、初の国際認定納豆――「無農薬」で消費拡大狙う。』
1996/11/06 日本経済新聞 地方経済面
 
 大手納豆メーカーのあづま食品(栃木県河内町、黒崎信也社
長)は、米国の大豆生産農家と提携、納豆メーカーとしては初
めて国際的な農作物認定機関であるOCIA(有機農作物改良
協会、本部米国オハイオ州)の認定を受けた新商品を十二月に
発売する。首都圏を中心に無農薬食品の需要が高まっているな
か、商品特性を消費者にアピールしていく。
 新商品ではカラシ・タレも無添加、無着色とする。希望小売
価格は五〇グラム三パック入りで百六十八円と、無農薬の有機
栽培大豆を使った既存の商品より十円高く設定する。
 栃木(河内町)、三重(藤原町)の二工場も、熱湯処理工程
などが評価されてOCIA認定工場となったため、新商品には
認定証を付けて消費者に訴える。
 同社の取引先は首都圏の大手コンビニエンスストア、関西の
大手スーパーなど食品の安全性に対する消費者の関心の高い地
域に集中している。
 あづま食品はOCIA認定の米アーカンソー州の農家と提
携、八年間にわたり、納豆に適した大豆の栽培に取り組んでき
た。昨年、日本産と同等の品質の大豆の栽培に成功、年間二千
トンの無農薬有機栽培大豆を確保。来年以降は作付面積をさら
に増やし、年間四千トン以上を確保する。
 新商品の投入により、二年後をめどに無農薬有機栽培の大豆
を使用した納豆の比率を現在の二〇%から五〇%に高める。こ
れまでは米・ミネソタ州で生産した無農薬有機大豆を使用して
いたが、数量に限りがあり、国内での生産農家も少ないため、
全数量の二〇%程度にとどまっていた。

『ヤマダフーズ、高カルシウムの納豆、キムチ味も商品化―健康志向に対応。』
1996/11/01 日経産業新聞
 
 納豆大手のヤマダフーズ(秋田県仙南村、山田清繁社長)は
砕いた魚の骨を加えてカルシウムの含有量を増やした「骨コツ
納豆」とキムチ味を付けた「キムチ納豆」を商品化した。健康
志向の高まりに対応するもので、同社としてはミネラル入り
「昆布納豆」、血栓溶解酵素ナットウキナーゼを増やした「今
晩どうぞ」などに続く商品。全国のスーパー向けに販売攻勢を
かける。
 納豆はもともと三十グラム当たり九十ミリグラム前後のカル
シウムを含んでいる。「骨コツ納豆」はサケの中骨を砕いて添
加することで含有量を二百七ミリグラムに増やした。
カルシウム代謝に重要な役割を果たすビタミンK2が納豆中に
存在しているため、「カルシウムとビタミンK2の相乗効果が
ある」(同社)と見ている。
 三十グラム入り三カップで希望小売価格は百四十八円。北海
道と九州を除き、大手スーパーのジャスコで試験販売を始め
た。他のスーパーへの納入交渉も進めており、十二月をメドに
全国販売を目指す。現在の生産量は新設した茨城工場(茨城県
牛久市)と秋田本社工場で一日に二百―三百ケース(一ケース
は八パック)だが、受注拡大に合わせ増産する。
 「キムチ納豆」は健康食に関心を持ちながら納豆が食べられ
なかった消費者層にも広く売り込む。大豆そのものをキムチ漬
けにした商品で、刻んだ白菜も入っている。アルミ蒸着フィル
ムでスティック状に密封してあり、押し出すだけでそのまま食
べられる。
 三十グラム入りスティック三本で希望小売価格は百三十八
円。六日から東北地区の一部スーパーで試験販売を始め、その
後、全国に拡大する。「うまみのある辛さが納豆のイメージを
変えるはず」と期待している。

『[列島ニュースレター]茨城「本場」でも、茨城産納豆が好評/愛知』
1996/10/29 毎日新聞 地方版
 
 【茨城】水戸市の常磐大の教授らが、「納豆発祥の地」とい
われる中国・雲南省などで行った茨城産納豆の“市場調査”の
中間報告がまとまった。地域により異なるものの、予想外に好
まれることが分かった。
 調査は上海、同省昆明、同景洪で実施。「6〜7割は吐き出
す」との予想を覆し、上海では調査に応じた市民300人のう
ち、約4割が「好き」と回答した。半面、雲南省では好き、嫌
いが各約3割と上海ほどの人気はなかった。調査に加わった加
藤清昭・同大教授は「日本の納豆が中国に受け入れられる素地
は十分ある。骨粗しょう症の予防などに役立つ効能が知られれ
ば、消費が拡大するだろう」と分析している。

『11月13日、4年振り納豆関連機械資材展示会』
1996/10/28 日本食糧新聞
 
 「’1996全国納豆関連機械資材展示会」が11月13日、東
京都立産業貿易センター台東館で開催される。
 テーマは「こだわり納豆をめざして」。納豆業界では大手の
寡占化が進んでいるが、今回の展示会は主に中小の納豆メーカ
ーを対象に業界関係者以外にも幅広く納豆に関心を持つ人たち
にアピール、業界のさらなる活性化を図っていくという。参加
企業は納豆の機械・資材関係二四社。
 同展示会は三年に一度開催されていたが、今回の開催は四年
ぶり。開催時間は午前10時〜午後5時。主催は納親会。問い
合わせは、野村総合商事(株)(埼玉県越谷市、0489・7
4・7383)野村栄司同社代表取締役(納親会副会長)ま
で。

『アジアの納豆を学園祭でPR、茨城』
1996/10/27 日本農業新聞
 
 納豆をテーマにしたフェスティバルが二十六日、茨城県の常
磐大学(水戸市)で開かれた。学園祭の一つとして学生有志が
取り組んだもので、アジア各国の納豆の展示・即売などが行わ
れた。
 地元の水戸市は「水戸納豆」で有名。家計の年間支出額は全
国一で製造メーカーも多い。フェスティバルは水戸納豆のほ
か、インドネシアのテンペなどが並んだ。このほか納豆のルー
ツ、料理、製造方法などを紹介するパネルなどを展示。多くの
市民でにぎわった。
 学園祭は「アジア」をテーマにしている。
 納豆は中国の雲南省やタイ北部の山岳民族でも製造されてお
り、日本と似かよった文化圏を持つことから「照葉樹文化圏」
として六十年代以降、注目されている。

『納豆――「抗菌性」説で脚光、O157影響、売れ行き伸びる(売れ)』
1996/10/26 日経流通新聞
 
 日本が生んだ最高の健康食品といわれる納豆の売れ行きが勢
いを増している。全国を不安に陥れた病原性大腸菌O(オー)
157の“退治”に納豆が効くとの報道もあって、売れ行きに
弾みがついた形。特に夏以降、メーカー各社の出荷ペースは順
調で、中には二ケタの伸びを示すところもあり、業界全体では
「前年比七―八%増は堅い」(黒田敏昭全国納豆協同組合連合
会専務理事)と自信満々だ。
 納豆は関東を中心に東日本での消費が多く、西日本ではあま
り食べない“東高西低”型の食品だったが、学校給食での採用
や、骨粗しょう症予防に有効との説が広まったため、今では東
西の差がかなり接近してきた。今回のO157の発症率が西日
本で高いのを見て、納豆の抗菌作用の有効性を裏付ける資料の
一つになりそうと、“納豆博士”の異名を取る須見洋行倉敷芸
術科大学教授は説明している。
 西日本の追い上げが急といっても、まだ東日本とは大幅な差
がある。総務庁の家計調査による平成七年の一世帯当たり年間
消費金額を見ると、最高は茨城県の六千七百円に対し、近畿、
四国各県は千―二千円台である。メーカー各社は西日本でもっ
と食べてもらおうと、商品開発や売り込みに躍起である。
 納豆メーカーは全国で約四百五十社。上位二十社で約六〇%
のシェアと推定されている。各メーカーが強調しているのは、
伝統的な健康食品というイメージだけでなく、「安くて、おい
しく、安全な食べ物」の再認識という。確かにここ数年、価格
は安定しており、食味や安全にこだわるメーカーが増えている。
 タカノフーズ(茨城県水戸市)では主力商品「おかめ納豆極
小粒ミニ3パック=五十グラム三個」(希望小売値百五十八
円)を、さらに品質向上した「完熟極小粒水戸一番=同」(百
六十八円)を売れ筋の柱にしたいとしている。原料大豆を完熟
極小にこだわり、低温完熟発酵でおいしさを追求している。
 原料大豆の多くは米国産だが、国産大豆の良さを引き出す
「北海道丸大豆=四十五グラム三個」(百八十八円)もよく売
れている。このほか有機肥料で栽培された有機丸大豆使用や麦
入りなどもある。主力商品にしようとしている「水戸一番」の
容器は深底で混ぜやすく、ふたもトップシールで開けやすいな
ど、扱いやすさにも気を遣っている。
 あづま食品(栃木県河内町)でも有機小粒大豆にこだわり続
けて十二年になる。「有機無農薬大豆一〇〇%極小粒納豆=五
十グラム三個」(百五十八円)をはじめ、「極小粒国産大豆地
塚大豆使用=四十五グラム三個」(百九十八円)、「極小粒、
しそ海苔納豆=五十グラム二個」(百十八円)などがある。
 米国産大豆でも茨城産地塚大豆を親に、米国産極小大豆を交
配した同社オリジナル大豆を使用している。この大豆は低脂肪
で糖分が豊富なため、納豆の原料として優れているという。ポ
ストハーベスト(収穫後の農薬使用)もない。
 朝日食品(千葉県佐原市)の売れ筋は「有機栽培無農薬大豆
=五十グラム三個」(百五十八円)と「水戸のモーニングさん
=四十グラム入りカップ三個」(百六十八円)。各社とも原料
大豆で差別化を図ろうと、原料大豆の安定確保に懸命だ。

『納豆菌利用した脱臭液、協栄ケミカル(新製品)』
1996/10/26 日経流通新聞
 
納豆菌利用した脱臭液
 納豆菌を使用し、洗面所や浴室などの排水管の悪臭、ぬめ
りを取り除く脱臭液「お願いだからほっといて!」。明治製菓
が開発した納豆菌の一種(BN菌)を使い、この菌が悪臭の
元を二酸化炭素や水などに分解する。
 アルコール液の中に活動休止状態で納豆菌が入っている。排
水管に流すと、アルコールが水によって揮発し、納豆菌が活動
を始める。250ミリリットル入り、800円。11月1日発売。
 発売元は協栄ケミカル(東京都渋谷区、TEL03・546
7・4821)。

『納豆の糸成分で砂漠緑化―九大助教授ら、高い吸水力ねばり強く研究。』
1996/10/26 日本経済新聞 西部夕刊
 
 納豆の糸の成分、グルタミン酸を利用して高性能の吸水性の
樹脂を作り、砂漠を緑化しようという計画が、九州大農学部の
原敏夫助教授(遺伝子資源学)を中心に進んでいる。通産省の
外郭団体「新エネルギー・産業技術総合開発機構」(NED
O)が国家プロジェクトの事前調査対象の一つに選定。三十一
日に第一回の調査委員会が開かれる。
 納豆の糸はアミノ酸の一種のグルタミン酸が多数つながった
構造。放射線を当てると分子間の結合が増え、吸水力が高まる
性質を持つ。
 原助教授は納豆菌にグルタミン酸の重合体を作らせ、放射線
のガンマ線を照射、五千倍の重さの水を吸水する樹脂を作るこ
とに成功した。これは市販の紙おむつに使用されている吸水性
樹脂の約四・五倍の性能。
 今回開発した樹脂は、水を吸うと保水力の強い凝固体状にな
り、日光を浴びても水分はなかなか蒸発しない。また納豆の糸
成分のため、環境中で微生物により分解される。
 原助教授はこれらの特徴に着目し、砂漠に埋めて緑化に利用
するようNEDOに提案。このほど事前調査の対象に選定さ
れ、調査費として三百万円の予算がついた。本年度内に三回、
砂漠の緑化や高分子の専門家、プラスチックメーカーなどが集
まって、実現に向けた会合が持たれる。
 原助教授は「食糧の安定的供給のために砂漠を緑化する保水
剤としてこの吸水樹脂は有用。コスト面などクリアしなければ
いけない点はいくつかあるが、ぜひ実現させたい」と話している。

『1996優秀先端事業所賞――国内、ヤマダフーズ茨城工場。』
1996/10/24 日経産業新聞
 
 生産の自動化・省力化を徹底追求した納豆工場。秋田県に本
社を置く同社が東京進出を本格化するために二十五億円を投
じ、九六年六月に稼働した。
 特に、大豆を煮る連続蒸煮工程、納豆を発酵させる立体自動
回転発酵工程は独自技術により自動化を達成。ともに業界初と
いう。五十グラム入り換算で日産六十万個を生産するのに秋田
本社では百六十人必要だったが、茨城工場は半分の八十人ですむ。
 また納豆の品質を追求するために「おいしさの数値化」を導
入した。原料大豆はたんぱく質、脂質などの成分の含有量を測
定。途中の蒸煮大豆も分光光度計で色合いを調べ、最終製品は
糸引き度合いやアミノ酸量を測定して数値によって品質を管理
している。
 秋田から進出した同社は地域に溶け込みやすいように工場ら
しくない外観にしたり、見学しやすい設計にするなど「ファク
トリーパーク」を目指している。

『岡山大教授ら、乳酸菌でO157抑制―シャーレ実験で確認。』
1996/10/18 日本経済新聞 夕刊
 
 大豆から作られ納豆に似たマレーシアの食品「テンペ」に含
まれる乳酸菌が出す成分が、病原性大腸菌O157の増殖を抑
える抗菌作用を持つことが、田中英彦岡山大農学部教授(応用
遺伝子化学)らの研究で、十八日までに分かった。
 岡山大出身で、マレーシア厚生省で技術指導をしている大平
猪一朗さん(60)が約十年前にテンペの乳酸菌を持ち帰り、
田中教授と共同研究を開始。二年前、院内感染が問題になって
いるメチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)への抗菌効果
を確認したことをヒントに、O157への効果を実験した。
 乳酸菌が出す成分を抽出、〇・七五ミリグラムから二四ミリ
グラムまでの六段階に量を分けて染み込ませたろ紙をO157
が入ったシャーレに入れた。四十八時間後には、三ミリグラム
以上の乳酸菌成分を含むろ紙の周囲で菌の増殖が抑えられ、二
四ミリグラムのろ紙は周囲約一センチまで抗菌作用があった。

『常磐大学、企画グループが調査、学園祭で試食・販売―アジアの納豆、一堂に。』
1996/10/13 日経産業新聞
 
 アジアの納豆を試食して下さい――。常磐大学(水戸市)国
際学部のアジアの納豆企画グループ(加藤清昭教授)は、今月
二十六、二十七日の学園祭「ときわ祭」で「アジアの納豆大フ
ェスティバル」を開く。中国・雲南省やビルマ、タイなどアジ
ア各国の納豆のほか、日本全国のユニークな納豆を展示し、そ
の場で試食や販売も予定している。
 同グループは先月、納豆のルーツを探る目的で中国・上海や
雲南省昆明を訪問した。上海では、日本から持ち込んだ納豆を
使って現地の消費者を対象に試食アンケートを実施した。「ア
ジアの納豆大フェスティバル」ではこうした調査結果も発表する。
 また、同グループが雲南から持ち帰った現地産の納豆や、ビ
ルマ、タイなどアジア各国の納豆を展示、来訪者に試食しても
らう。日本各地からも原料や製法などで通常の納豆とは一風変
わった“変わりだね納豆”や“こだわり納豆”を集め、展示即
売するという。
 同グループでは「多種多様な納豆を展示するため、全国各地
の納豆メーカーに出展協力をお願いしたい」(加藤教授)とし
ている。連絡先は常磐大学アジアの納豆企画グループ(029
2・32・2769)まで。

『だから素敵!あの人のヘルシートーク これがバーバラ流ヘルシーメニュー』
1996/10/10 百歳元気新聞
 
 コラーゲンたっぷりの「シワ鶏スープ」と「パワー佃煮あ
え」が基本のメニュー。作り方は意外に簡単。
 「シワ鶏スープ」は鍋に水を入れ酢を垂らし手羽先四〜五本
を水からゆっくり四〇〜五〇分煮る。昆布茶や麦みそで味を整
える。ネギ、ワカメ、豆腐を加えてもよい。「パワー佃煮あ
え」は黒みつと酢を同量混ぜ合せ、カツオブシ、ゴマ、ちりめ
んじゃこを一晩つけた「パワー佃煮」に挽き割り納豆を混ぜ、
豆腐と和える。
 ▽大棗梅肉プラスは東洋産業(株)(0559・77・8811)

『食中毒にも納豆が効く? 緊急公開セミナーでアピール』
1996/10/10 百歳元気新聞
 
 この夏ほど食べ物に気をつかった年がかつてあっただろう
か。日本中が振り回された病原性大腸菌O157事件。原因が
特定できないまま、秋になり一応沈静化されたが、いまなお発
症者が出ている状況だ。
 その状況を受け日本工業技術振興協会が「納豆のもつ機能に
ついて」の緊急公開セミナーを先月初旬に開催した。
 今回のセミナーでは、九州大学農学部遺伝子資源研究センタ
ー・原敏夫助教授が「納豆は地球を救う」、東京工業大学資源
循環研究施設長・正田誠教授が「枯草菌・納豆菌の抗菌作用に
ついて」、倉敷芸術大学機能物質科学科・須見洋行教授が「O
157に対する納豆の効果」‐‐をそれぞれ講演、質疑応答が
行われた。
 とくに「納豆博士」に異名を持つ須見教授は赤痢、チフスな
どの法定伝染病に対し伝統食品である納豆が昔から一種の薬と
して使用されていた事実を報告。さらにO157を含めた食中
毒菌に対する納豆菌の抗菌作用を紹介した。
 納豆中の有効成分とその利用法、また腸内病原菌の原育を抑
制する作用がありブドウ球菌、赤痢、チフス菌、そしてO15
7に対しての効果を確認したことを報告した。
 食中毒の最も危険な季節は過ぎ去ったが、引き続き研究が進
むことが望まれる。

『CGC、オーガニックなど健康・本物商品を強化』
1996/10/07 日本食糧新聞
 
 CGCグループ(本部=(株)シジシージャパン、東京都新
宿区、03・3207・0637)は、消費者の健康、高品
質・本物志向に対応した商品分野の強化を狙い「オーガニック
商品」「生鮮AAグレード」の充実を図る。
 オーガニック商品は、6月から米国産有機栽培丸大豆一〇
〇%使用のCGCブランドの納豆、味噌、ニュージーランド産
キウィ、アメリカ産ブロッコリーとレモンの青果の取扱いを始
めた。今後は米国で認定された有機栽培原料使用のパスタ、ジ
ャム、トマト加工品、コーヒーなどの加工食品やカボチャ、レ
タス、ニンジンなどの青果を輸入する計画。来年3月にはジャ
ムの開発輸入が決まっている。
 安全・健康志向商品の一環として、ビタミン剤四種類を11
月から発売する。米国で製品化したものを直輸入し、東日本広
域センター経由で各店配送する。ビタミンB複合、同C二五〇
ミリグラム、同E一〇〇ミリグラム、カルシウム二〇〇ミリグ
ラム、各四八〇円。六〇〜一二〇錠の短期間で飲み切れるサイズ。
 生鮮AAグレード商品は「宮崎・鹿児島黒毛和牛」「ロシア
産タラバガニ」「カッパリバー産紅鮭」「朝どり巨峰」「福島
白河トマト」など。朝どり巨峰は長野県上田市の有機による土
づくりをしている農家と契約した。黒毛和牛は三等級以上のグ
レード指定および肥育農家を選定した。いずれも産地、生産方
法、品質が本部の基準に合った高品質商品。黒毛和牛の取扱い
は現在月間一〇〇頭。来年度は一五〇頭を計画している。タラ
バガニは九六年度通期で三四〇t(七億四〇〇〇万円)、紅鮭
は四九〇t(六億四〇〇〇万円)の取扱いを見込む。
 生鮮強化の一環として生鮮広域センターの機能向上、産地表
示の明確化、日付・安全・衛生管理を推進していく。
 同グループのメンバー企業は二五七社、三一三三店、合計年
商三兆〇一八五億円、本部取扱い高四三三五億円。本部取扱い
高のうち約三〇%を生鮮三品が占める。

『茨城産納豆、中国は次の市場に有望「4割が好き」−常磐大学教授ら調査/茨城』
1996/10/05 毎日新聞 地方版
 
 ◇「4割が好き」意外と好評−−常磐大学教授ら6人、味覚
調査中間報告
 水戸市の常磐大の教授や学生ら6人が先月、「納豆発祥の
地」といわれる中国・雲南省などで17日間にわたって行った
茨城産納豆の“市場調査”の中間報告がまとまった。地域によ
って異なるものの、予想外に好まれることが分かり、調査に加
わった加藤清昭同大教授は「日本の納豆が中国に受け入れられ
る素地は十分ある。生理活性機能や骨粗しょう症の予防などに
役立つ効能が知られれば、消費が拡大するだろう」と分析して
いる。【高山純二】
 調査は、「県産納豆は既に国内市場の65%を占めている。
次の市場は中国ではないか」などの想定に基づく。水戸産の納
豆3銘柄の約1000パックを持ち込んで、中国の上海、同
省・昆明、同景洪の3カ所で実施した。
 同教授らによると、中国の納豆「トウシ」は日本のような食
べ方はされず、野菜いためなどの味付けに使う調味料的な存
在。それだけに、日本の納豆が受け入れられるかについては見
当がつかず、「6〜7割は吐き出すか、一口食べたらすぐに立
ち去る」などが当初の予想だった。しかし、温かいご飯ととも
に出した上海での調査では、アンケートに応じた市民300人
のうち、約4割が「納豆が好き」と回答、嫌いが2割との結果
が出た。
 半面、納豆生産のルーツとされる雲南省では、好き、嫌いが
それぞれ約3割と、上海ほどの人気は得られなかった。同教授
はこの数値の違いについて「上海のような大都市は受容性が高
く、異なる味も受け入れられたが、昆明、景洪のような伝統的
に塩やトウガラシをたくさん使用する場所は、日本の納豆が甘
く感じられたようだ」としている。
 上海での試食会では「納豆の工場を造りたい」との食品会社
幹部からの相談や、昆明でも「売ってみたいのでどこで買えば
いいのか」との問い合わせが早くも寄せられたという。中国で
は日系スーパーによる納豆の生産工場の建設計画も浮上してい
ることから、同教授は、潜在的な大市場としての同国に注目す
るよう茨城の納豆メーカーに勧めている。
 調査旅行の最終報告は、今月26〜27日の同大学園祭「と
きわ祭 アジアを味見する」で発表される。また、雲南やミャ
ンマー(ビルマ)、タイ、インドネシアの“納豆”の試食コー
ナーも設ける予定だ。

『抗菌物質多く含ませた納豆、くき食品(新製品)』
1996/10/01 日経流通新聞
 
 抗菌物質のジピコリン酸を多く含む納豆「抗菌納豆」。ジピ
コリン酸は納豆の粘り気の中に含まれている物質で、病原性大
腸菌の抑制に効果的と注目されている。
 この納豆は発酵時の時間や温度を工夫し、一般の納豆の四―
五倍のジピコリン酸を含ませた。豆は軟らかめで粘り気の多い
のが特徴。
 カツオ節エキスを使用したあっさり味のしょうゆたれ付き。
五十グラム×四パック入り、百四十八―百五十八円。
 発売元はくき食品(福岡県若宮町、TEL0120・11・
6889)。

『くき食品社長斉藤陽彦氏――納豆普及に意欲(談話室)』
1996/09/25 日経産業新聞
 
 ▽…「朝、昼、晩と納豆を食べてもらえるようにしたい」。
専門メーカーのくき食品(福岡県若宮町)の斉藤陽彦社長は納
豆の普及に意欲を見せる。同社は抗菌物質を増やした納豆を今
月から発売したのに続き、納豆を使った加工食品やジュースの
商品化も検討しているという。
 ▽…斉藤さんによると、納豆のネバリに含まれる抗菌物質
に、人間の体内で有害な細菌類を死滅させる効果があり、「毎
日食べるだけで予防になる」。病原性大腸菌O(オー)157
問題の深刻化などから消費者の納豆に対する関心も高まってお
り、「手ごろな健康食品として見直してもらえれば……」と期
待している。

『食品メーカー、食品の機能研究活発化―「O157」で注目集める。』
1996/09/18 日経産業新聞
 
 乳酸菌による老化抑制、納豆の病原性大腸菌O(オー)15
7に対する抗菌作用など、食品と人体の関係についての研究報
告が一般にも話題を集めている。食中毒など最近の事件が引き
金になっているが、高齢化による成人病の増加やアレルギー症
状に対して消費者の健康意識が高まっているのも一因だ。食品
の栄養、機能の見直し機運が強まる中、食品メーカーの研究活
動にスポットを当てた。
 今月初め、倉敷芸術科学大学の須見洋行教授は都内で「納豆
菌がO157の増殖を抑制する効果を確認した」と発表した。
増殖を抑えるメカニズムは明確になっていないものの、一般の
関心は高い。くき食品(福岡県、斉藤陽彦社長)が八月、抗菌
作用を持つといわれるジコピリン酸を通常の四、五倍含む納豆
を発売したところ、すぐさま話題になった。
 納豆については血圧降下や骨粗しょう症の予防などの研究も
進められている。全国納豆協同組合連合会(東京、高星進一会
長)はこれらの研究を推進するため昨年、社団法人日本工業技
術振興協会(同、田島清会長)と協力して天然物・生理機能素
材研究委員会を設置した。

『納豆消費額伸び〜る、1―5月、9%増、年間では最高も―業界団体調べ。』
1996/09/16 日経産業新聞
 
 健康志向の高まりに伴う日本食の見直し人気から、納豆の消
費が順調に伸びている。全国納豆協同組合連合会の調べでは、
今年一―五月の全国一世帯当たりの消費額は千四百十二円と、
前年同期に比べ九%増加した。業界では、今年の年間生産、消
費量は前年比で七―八%増え、過去最高の二十二万―二十三万
トンに達すると予想している。
 納豆の消費は、冷害と輸入米急増による「コメ騒動」と猛暑
が重なった九四年に初めて前年比マイナスに転じたが、その後
は順調に回復。特に今年は日本中をパニックに陥れた病原性大
腸菌O(オー)157に関連し、「納豆の多消費地ほど発病率
が低かった」との研究発表もあり、これも消費増を後押しする
見込み。
 総務庁の家計調査によると、納豆の一世帯当たり年間消費額
(九五年)は平均三千百三十二円。大阪府が千四百四十二円、
岡山県が千二百八十六円と全国平均の半分以下なのに対し、東
北、関東の各県では四千円、五千円台と多い。
(詳細は日経産業消費研究所発行の16日付「ウイークリー日
経商品情報・食品版」参照)

『「地方情報フラッシュ」農産物でアイス県内外にファン、広島』
1996/09/16 日本農業新聞
 
 広島市安佐南区祇園の有限会社アイスクリーム開発研究所
「パステル」は、カボチャ、納豆、ゴマ、サツマイモなどを使
ったアイスクリームを作っている。県内外からファンが訪れ、
全国のフアン約五百人に宅配便で発送するまでになった。自然
のおいしさを追究し、素材探求は欠かさない。(11日、中国版)

『納豆はO157を退治?須見洋行・倉敷芸術科学大教授が抗菌効果に着目』
1996/09/12 東京読売新聞 朝刊
 
 納豆はO(オー)157を“退治”する? 大規模な食中毒
被害を引き起こしているこの病原性大腸菌の発育を納豆菌が抑
制するという説が注目を浴びている。
 このほど東京都内で開かれた、日本工業技術振興協会の天然
物・生理機能素材研究委員会の緊急公開セミナーで、“納豆博
士”の異名を取る、須見洋行・倉敷芸術科学大学教授が発表し
た。「あくまで研究室での実験結果にすぎず、発育を抑える詳
しい原理などは分かっていない」という条件付きながら、須見
教授は「納豆菌にはもともと、様々な菌の生育を阻害する抗菌
効果があり、O157に対しても同様に効果があるというこ
と」と、話している。
 須見教授によると、納豆菌に抗菌効果があることは古くから
知られ、戦前には赤痢やパラチフスに対する海軍の研究も行わ
れていた。最近でも、O157と同じ病原性大腸菌であるO1
11やO144に対して、菌の発育を阻害する効果があること
がすでに確認されている。
 実験では、体内で生息できると見られる濃度の納豆菌を、O
157と混合培養にしたところ、明らかにO157の生育が阻
害されるとの結果が出た。
 須見教授は、「臨床的には、食中毒にかかった人が納豆菌を
とれば良いと断言するのは非常に難しい。実際に食べてみて体
の中でどれぐらい効果があるかは簡単には結論が出せない」と
断ったうえで、「納豆菌に含まれているジピコリン酸などの抗
菌物質が、最初に細菌が体内に入ってきた段階で増殖を抑える
予防効果はあるのでは」と見ている。

『工業技術振興協、O−157で緊急公開セミナー「納豆のもつ機能」開く』
1996/09/11 日本食糧新聞
 
 集団食中毒を大発生させ、国民をパニックに陥れ、今夏食品
業界を震撼させた「病原性大腸菌O157」騒動は沈静化され
つつあるが、この騒動を受け4日、(社)日本工業技術振興協
会 天然物・生理機能素材研究委員会主催で「緊急公開セミナ
ー・納豆のもつ機能について」が東京・千代田区の日本化学会
化学会館で開催された(後援・全国納豆協同組合連合会)。
 日本の伝統食品納豆はその効用が近年とみに注目され、多く
の研究者によって(臨床)医学的に、また科学的にその謎が解
明されつつある。単に栄養価に優れた食品としての評価にとど
まらず、より積極的に各種成人病を予防できる機能性食品とし
て、さらに将来の新しい医薬品や納豆繊維のような新素材開発
の可能性に大きな期待がますます高まっている。
 今回のセミナーでは九州大学農学部遺伝子資源研究センター
原敏夫助教授が「納豆は地球を救う」、東京工業大学資源循環
研究施設長正田誠教授が「枯草菌・納豆菌の抗菌作用につい
て」、倉敷芸術科学大学機能物質科学科須見洋行教授が「O1
57(病原性大腸菌)に対する納豆の効果」を講演、質疑応答
が行われた。
 特に須見教授の講演では同氏が「納豆博士」の異名を取るほ
ど長年納豆の効能の研究を続けていることとO157の問題を
取り上げていることで聴講者の注目を集めた。同氏は赤痢、チ
フスなどの法定伝染病に対し昔から伝統的発酵食品である納豆
が一種の薬として使われ、特に戦前の海軍を中心とした研究は
海外での抗生物質に先立つもので臨床報告も枚挙にいとまがな
いとし、O157を含めた食中毒菌に対する納豆菌の抗菌作
用、納豆中の有効成分とその利用方法などを紹介、納豆菌には
腸内病原菌の発育を抑制する作用があり、ブドウ球菌、赤痢、
チフス菌等のほか、今回初めてO157への効果を確認したこ
とを報告した。
 ただし納豆メーカーなど聴講者からは納豆製造工程における
大腸菌混入対策の苦慮などの体験から納豆菌が大腸菌殺菌作用
を持つものではないことを指摘、同教授も抗菌作用については
O157に対する発育阻害作用と強調し直すなど研究者とメー
カーとの間にこの問題に対する見解の相違をうかがわせる場面
もあった。O157は法定伝染病に指定され臨床実験はより困
難な状況にあるが納豆菌のO157に対する抗菌作用について
はさらに今後の検証が必要だといえよう。

『ヤマダフーズ食品開発研究所門脇博之氏―納豆菌のナゾに迫る(創造・人・ファイル)』
1996/09/09 日経産業新聞
 
 納豆は身近な食品だが、製造に必要な納豆菌の生態は意外な
ほど分かっていない。なぜ発酵の過程で糸を引くのか、多様な
性質を持った菌を体系的に分類できるのか――。大手納豆メー
カー、ヤマダフーズ(秋田県仙南村)の研究者として、数々の
ナゾ解きに挑戦している。
 納豆業界は宮城野納豆製造所(仙台市)など国内に三社しか
ない菌メーカーから菌を購入し、納豆を生産してきた。社長の
山田清繁は菌の確保を他社に全面的に依存していることに不安
を感じ、八八年、門脇に独自の菌開発を命じた。
 悪戦苦闘の日々が始まった。まず、自然界から菌を採取・分
離する作業を開始。納豆菌は植物に付着しているため、全国各
地からワラを集め、洗い流してはその液を培養する作業を繰り
返した。遠く東南アジアにも足を延ばした。それでもなかなか
優秀な菌が見つからず、雑草や木の葉などにも探求の手を広げ
たという。こうした過程で一つまた一つと菌を集めていった。
 しかし、菌が見つかっても大量培養できなければ納豆生産に
使えない。納豆菌は性質が変わりやすく、糸引き性などを一定
に維持するのが最大のノウハウとなる。
 再び苦労が始まった。文献探しから手を着けたが、具体的な
記述はどこにもない。微生物学専攻の大学教授に尋ねても、決
め手になる情報は得られなかった。菌メーカー三社はノウハウ
を門外不出にして、教えてくれない。
 八方ふさがりの中で、「もう一度、出発点に戻ろう」と決
意。それまでに収集したデータを詳細に見直した。開発を命じ
られてから五年後の九三年、「過去のデータの中から培養法の
コツを発見した」。実験で確認できた時には「跳び上がるほど
うれしかった」と振り返る。
 自然界から集め、食品開発研究所内に保存する納豆菌は約五
百種類にもなる。糸引きの強弱、においの強弱など様々だ。糸
引きの少ない納豆や、健康によいとされる酵素ナットウキナー
ゼが多い納豆など、戦略商品が次々に生まれている。
 「大豆以外の豆を使った納豆、においを極端に強めた愛好家
向けの納豆など、今後もざん新な商品を送り出していきたい」
と夢を膨らませる。 =敬称略

『O157抑える効果、抗菌納豆が人気、福岡の食品会社』
1996/09/08 日本農業新聞
 
 病原性大腸菌O(オー)157の発育を抑制する効果がある
という「抗菌納豆」を、福岡県若宮町の鰍ュき食品が七日から
本格的に売り出した。納豆の中に含まれるジコペリン酸がO1
57を抑制するという研究成果を受けて、従来の製品よりジコ
ペリン酸の含量を五倍に増やした新商品を開発。九州では既に
八月から発売して注目されていたが、七日からは「抗菌納豆」
の名前で全国発売した。宅配も含めて、これまでの十倍の販売
を見込んでいる。
 抗菌作用のあるというジコペリン酸は、納豆の糸を引く粘り
に含まれている成分。くき食品はジコペリン酸の含量が五倍の
製品を開発。八月から九州の一部で店頭に抑制効果の説明書を
置いてPRしたところ、消費者や小売店からの注文や問い合わ
せが相次いだ。
 ジコペリン酸の抑制効果を確認した倉敷芸術科学大学の須見
洋行教授が、四日に研究成果を発表、合わせて「抗菌納豆」と
ネーミングも新たにして発売した。
 納豆にはジコペリン酸が含まれているが、含量を五倍にする
ため従来より長時間、低温で発酵させる。製造の手間はかかる
が「今までの製品と同じ価格で」(齊藤陽彦社長)というのが
同社の針。九州では一パック(五十グラム入り四食)百四十八
円で販売している。
 卸業者を通した販売のほか、宅配便での注文も受けている。
九州の消費者からは、宅配便での直接注文も増えているとい
う。宅配は送料込みで九州は一ケース(四十食入り)千五百
円、九州以外は千八百円。
 「抗菌納豆」は八月までは一日約一万パックの製造だった
が、九月からは一日十万パックと十倍の生産を目指す。フル操
業のために人員も増やす計画だ。齊藤社長は「納豆をもっと食
べてもらい、国産大豆の利用を増やしたい」とも話す。
 抗菌作用は須見教授が、東京都内で開かれた納豆業界のセミ
ナーで発表して関心を呼んだ。須見教授は食中毒菌に対する抗
菌作用を検証する中で、O157への効果も調べた。納豆菌に
はO157の発育を抑制する効果があり、ジコペリン酸が有効
だという成果を報告した。
 鰍ュき食品=福岡県鞍手郡若宮町沼口字丸山一四一三 (
電)09495(2)3832。

『納豆菌、O157に増殖抑制効果――倉敷芸科大教授が確認。』
1996/09/06 日経産業新聞
 
 納豆、納豆菌の機能性研究で知られる須見洋行・倉敷芸術科
学大学教授は都内で講演し、納豆菌の病原性大腸菌O(オー)
157に対する増殖抑制効果を確認したと発表した。須見教授
は「納豆菌は人間の腸内にもかなり長くとどまることが分かっ
ており、中毒予防などに有効かもしれない」と語っている。
 実験ではO157だけを植え付けた培養容器と納豆菌を混ぜ
て植え付けた容器を用意し、両者を比較した。O157を単独
培養した容器は当初存在した十の九乗個の生菌が七日後になっ
ても十の七乗個程度生き残った。一方、納豆菌と混合して培養
した容器はO157が急激に死滅していったという。
 抑制作用のメカニズムは「明らかになっていない」としてい
るが、須見氏は「納豆の粘りの中に存在するジピコリン酸の抗
菌力が作用しているのではないか」と見ている。どのくらいの
分量の納豆を食べれば効果があるかについては「O157が指
定伝染病になり、実験・研究が難しくなって、結論は出ていな
い」という。
 須見氏は四五年奈良県生まれ。徳島大学医学部卒。生理学、
食品機能学を専攻している。

『くき食品、抗菌納豆を宅配で販売、関東など3地区。』
1996/09/05 日経産業新聞
 
 納豆メーカーのくき食品(福岡県若宮町、斉藤陽彦社長、0
9495・2・3832)は五日、抗菌納豆「水戸納豆ミニ
4」を発売する。細菌類の繁殖を抑制する物質であるジピコリ
ン酸の含有量を従来品の五倍に増やし、抗菌機能を強化したと
いう。発売地域は関東、関西、九州の三地区。電話で受注し宅
配便で翌日配送する。価格は五十グラム入り四十個セットで千
八百円(送料込み)。
 ジピコリン酸は納豆のネバリの中に含まれる。同社による
と、「水戸納豆ミニ4」ではジピコリン酸の含有量を大幅に増
やしたため、体内で大腸菌類の有害な細菌を死滅させるなどの
効果が期待できるという。

『「納豆にO157抑制効果」、須見・倉敷芸術科学大教授発表』
1996/09/05 西日本新聞朝刊
 
 「納豆には病原性大腸菌O157を抑制する効果がある」
と、須見洋行・倉敷芸術科学大学教授が四日、都内で開かれた
納豆業界のセミナーで発表した。納豆菌の中にあるジピコリン
酸が有効成分とみられており、納豆メーカー「くき食品」(福
岡県若宮町)は、同教授の協力を得てジピコリン酸を通常より
増やした新商品を開発、五日から売り出す。
 須見教授は全国的に患者が急増した七月に実験に着手。一日
八十グラム(一パック四十―五十グラム)を摂取したのに相当
する納豆成分をO157に添加し、生育状況を調べた。その結
果、通常なら増殖していくO157が二日目に半減、四日目に
は完全に死滅したという。同教授は「有効成分は、糸を引くね
ばりの部分に含まれるジピコリン酸とみられる」としている。
ただ、臨床データはなく、効き目には個人差があるとみてい
る。
 くき食品は同教授からアドバイスを受けて製品化に取り組
み、発酵時間を従来製品の三・五倍にするなどの処理で、通常
より五倍のジピコリン酸を含んだ「抗菌納豆」を開発した。一
日十万パックを製造、九州を中心に販売し、月間一億円の売り
上げを目指す。
 納豆の抗菌効果は歴史的にも注目され、抗生物質が普及して
いなかった戦前には、海軍が赤痢やチフスへの特効薬として研
究した経緯もあるという。

『消費増える大豆加工品―盛岡、豆腐でトップ(リサーチ&ランキング)』
1996/09/01 日本経済新聞 朝刊
 
 日本豆腐協会によると豆腐の消費が最も多いのは十二月だ
が、最近は夏場でも食べる人が増えている。
 「畑の肉」と呼ばれる大豆。豆腐、油揚げ・がんもどき、納
豆など大豆加工品の一世帯当たり年間支出額を地域別でみると
東北、関東での消費量が関西、九州より多い。
 都道府県庁所在地別で最も多いのは盛岡市。豆腐の世帯当た
り年間購入量が全国でトップで、納豆や油揚げ・がんもどきの
消費量も比較的多い。岩手県がかつて大豆の産地だったのに加
え、「魚が手に入りにくかったころ豆腐が貴重なたんぱく源だ
った伝統がいまも残っているのでは」(地元の豆腐製造業者)
という。少し硬めの木綿豆腐が主流で、煮込み料理や汁物に使
う。値段も首都圏に比べ三分の二以下とか。
 二位の福井はがんもどき・油揚げの世帯当たり年間支出額が
全国平均のほぼ倍額。特にがんもどきの消費が多い。福井県豆
腐油揚商工組合は「寺が多く、精進料理の影響を受け具の入っ
たがんもどきをよく食べる」と話す。ニンジンやゴボウ、ヒジ
キなどいろんな具が入る。六位の水戸は納豆の消費量が全国で
トップ。「水戸納豆」をはじめ納豆の主産地で有名だ。
 関西の納豆消費は関東の半分以下だが「健康食品として納豆
を食べる人が最近増えている」(全国納豆協同組合連合会)。
 豆腐の年間消費量は全国で約百五十万トン。「関東は木綿と
絹ごしの割合は六対四程度。大阪も木綿豆腐が主流だが、京都
から北陸にかけては絹ごし豆腐が多くなる」(日本豆腐協会)。
 油揚げ・がんもどきの消費も冬場がピークだが、今年の夏は
病原性大腸菌「O157」の影響で売り上げが伸びているとい
う。 (日経産業消費研究所)

『納豆はどこで生まれたの?―常磐大学の教授ら中国へ調査旅行、学園祭で結果発表。』
1996/08/31 日本経済新聞 地方経済面
 
 茨城名産の納豆はどこで生まれたのか――。常磐大学(水戸
市、諸沢英道学長)の教授と学生らが、“納豆文化”の源流を
探ろうと中国・雲南省などに近く調査旅行をする。県内の納豆
メーカーも協力、日本から持ち込んだ製品を中国の人たちに試
食してもらってアンケートを実施するなど市場調査もする計画だ。
 調査旅行を企画したのは国際学部の加藤清昭教授。中国の山
岳地帯やネパールには日本の納豆と良く似た発酵大豆食品を食
べる伝統があり、現地を訪ねて発酵大豆の食文化を学ぶことにした。
 同学部の学生五人のほか一般市民も二人加わって、九月二日
に日本を出発。上海経由で雲南省の省都・昆明などを訪問する。
 上海では日系百貨店のヤオハンの店頭で茨城産の納豆を試食
してもらい、好き嫌いや、いくらくらいなら購入するかなどの
アンケートを取る。地元のメーカーが協力し、一千パックの製
品を提供するという。一連の調査結果は「アジアを味見する」
というテーマで開く秋の学園祭で発表する予定。
 加藤教授は「約一千億円の国内納豆出荷額のうち茨城は六
五%を占めているが、中国での市場調査は今後の海外展開のヒ
ントになるのでは」と話している。

『せんだい企業小史、高橋食品工業=仙台市若林区若林4丁目1の4=』
1996/08/30 河北新報 朝刊
 
せんだい企業小史/高橋食品工業=仙台市若林区若林4丁目1
の4=
 
納豆の普及に力注ぐ
 創業者で初代社長の高橋三雄次氏(1996)は、納豆を工業的
に大量生産するノウハウを全国に広めた先駆者の1人。東北有
数の納豆製造販売会社である社の歴史は、そのまま納豆近代化
の歴史でもある。
 三雄次氏は郷里の新庄市で当時一般的だった「わら納豆」で
はなく、納豆菌を使った近代納豆の製造法を修得。昭和4年、
仙台に進出した。
 当初は地元出身力士にちなみ「谷風納豆」と称し、その後
「仙台納豆」に改称。同時に、バナナの色付けやコンニャク製
造に乗り出し、会社の基盤を確立した。35年から13年間に
わたり全国納豆協同組合連合会会長を務め、納豆の普及にも力
を注いだ。
 56年には豆腐製造にも進出。当時、1丁50円の豆腐を、
国産大豆を原料に高級品として100円で販売したところ人気
を集め、現在では納豆と並ぶ収益の柱に育っている。
 さらに62年には、生ごみ焼却炉も開発。その後も外食、運
送、植林と幅広い事業に参入している。伝統食品を扱う「しに
せ」でありながら、その歩みには「絶えざるフロンティア精神
が発揮されてきた」(高橋信次専務)と言える。
 トレードマークのカメは屋号の「丸亀」から採った。現在の
3代目社長高橋雅樹氏(47)は宮城県食品工業協議会副会
長、仙台商工会議所議員。
<メモ>従業員は、子会社7社を含めグループで約500人。
本社工場と東京に営業所。子会社の弁当持ち帰り店が宮城、福
島両県内に計90店舗。外食店が仙台と東京に計6店舗。グル
ープの総資本金は1億3300万円、平成7年度の総売上額は
72億円。022(286)7100。

『今度は「素肌機能液」開発、宮城・河南町の伊藤さん』
1996/08/30 河北新報 朝刊
 
今度は「素肌機能液」開発/宮城・河南町の伊藤さん/「肌が
つるつるに」と好評
納豆菌など添加/全国から反響も/育毛剤「ササトニック」か
ら13年…
 かつてササニシキの根を使って育毛剤を開発した宮城県河南
町の米穀集荷業、伊藤敬さん(68)が、今度は納豆菌を混ぜ
た乳液を製造、全国各地から問い合わせが相次いでいる。すべ
すべ感が長く続き、材料が天然素材のために顔を含めて全身に
使用できるのが特徴だ。
 伊藤さんは昭和58年に、ササニシキの突然変異種であるミ
ニササニシキの根を使った育毛剤「ササトニック」を開発。大
手化粧品メーカーが商品化するなど、全国的なブームになった。
 今回の「素肌機能液」は、ササトニックに納豆菌とヒマワリ
の種のエキスを加えたもの。適量を手に取りマッサージするよ
うにすりこみ、後はお湯で洗い流すだけ。乾燥するとクリーム
を塗ったようにしっとりとする。
 伊藤さんは「納豆のにおいをとるのに3、4年かかった。納
豆菌もいろいろ試したが、いまは市販の納豆を材料にしてい
る」という。6月末に製品化してから、東京、兵庫、大阪など
から問い合わせが相次ぎ、発送作業に追われた。 髪の毛を気
にする多くの男性に愛用されたササトニックは、その科学的根
拠は分からなかった。この機能液も「どういう訳でこうなるの
か分からない」(伊藤さん)が、使用者からは「手荒れがよく
なった」「肌が若返った」などと好評だという。
 問い合わせは伊藤さん0225(74)2006へ。

『タカノフーズ専務梶本幸男氏――納豆、関西で伸びる(談話室)』
1996/08/27 日経産業新聞
 
 ▽…「水戸は全国有数の納豆消費量を誇るが、一世帯当たり
の購入額は年間七千円ほどしかない。水戸でこの程度だから全
国の消費はまだまだ伸びる」。納豆最大手、タカノフーズ(茨
城県小川町)の梶本幸男専務は市場規模の着実な拡大を期待し
ている。
 ▽…「水戸の住民は週に四、五回食べる人が多いが、全国平
均ではよく食べる人で週に二、三回が限度」と見る。同社は二
十年間で約二十五倍の急成長を遂げてきた。それだけに「今後
は消費の少ない関西中心にもっと伸びるはず」と先行きに自信
を持っている。

『第5部成長企業の秘けつを探る(6)旭松食品―納豆、味で関東攻略(食を創る)』
1996/08/23 日経産業新聞
 
 納豆では異例の上位進出――。今春、NEEDS―SCAN
(日本経済新聞社のPOS情報サービス)の新製品だけの売れ
行きランキングで旭松食品の「納豆いち完熟超小粒」が食品部
門の四位となった。もともと凍り豆腐(高野豆腐)専業だった
同社はユニークな製品開発で即席みそ汁や納豆などの市場に新
規参入、「大豆を原料とした食品」をキーワードに多角化を進
めている。
 「納豆いち完熟超小粒」は関東地区限定で三月に発売した。
「ようやく念願の関東市場への進出を果たせた」(木下晃一社
長)。納豆の本場である関東でヒットを飛ばし、同社長は新規
事業への手ごたえをつかんだ様子だ。
 大阪市に本社を置き、凍り豆腐が主力の同社が納豆市場参入
を打ち出したのは八四年。二年間をかけて数万種類ある納豆菌
の中から、においの少ない菌を独自で探し出し、まず地元の関
西で商品化した。
 「におい控えめ」が受けて、関西ではシェア三〇%を押さえ
たものの、本場の水戸納豆が市場を席けんする関東では「とて
も太刀打ちできなかった」(木下社長)。しかし、「地道な製
品開発」がついに関東の壁を撃ち破った。
 完熟超小粒では、氷温熟成と呼ぶ独自の技術を採用、うまみ
の素となるアミノ酸を従来製品の二倍に増やした。この味の向
上が納豆にうるさい関東の消費者を動かした。
 今後、関東での勢いに乗って、納豆の年間売り上げを現在の
三十六億円前後から三年後に七十億円に拡大する計画だ。
 同社が新規事業の立ち上げに腐心したのは、納豆だけではない。
 “凍り豆腐一筋”からの脱却を始めたのは約二十年前。ま
ず、生豆腐市場への参入を試みたが、零細企業の経営を圧迫す
るとして農林省から「待った」がかかった。生豆腐をあきら
め、その代わりにと考えたのがみそ汁だった。
 第一弾となったのは業界で初めて練りみそを使った即席みそ
汁「生みそずい」。八一年に発売し、当初は専業メーカーから
「あれはみそ汁じゃない、とけなされた」(木下社長)。
 ところが、練りみそとフリーズドライの具の組み合わせが
「簡単で本格的」と若者を中心に人気を集めた。さらに、勢力
を拡大しつつあったコンビニエンスストア用に、他社に先駆け
てカップ入り製品を開発。即席みそ汁市場での地位を固めた。
 「当社の商品は、市場で後発のものばかり」と木下社長は謙
そんする。現在、五〇%以上のシェアを握る凍り豆腐も、五〇
年の発売当初はライバル会社に技術指導を仰いだこともある。
トップメーカーとなったのは、現在主流のソフトタイプの凍り
豆腐を開発、さらに湯戻し不要の商品を市場に投入したためだ。
 ただ、商品開発の基本は「人まねをしないこと」と木下社長
は説明する。時代に合わせて独自の商品を開発、提案していく
ことが、後発の不利をカバーして新規需要を開拓していく秘け
つだという。
 今後、病院給食や高齢者向けの食事など、全く未知の市場へ
の進出も検討している。若者を中心とするコメ離れなど、“
食”に対する消費者のし好が変化の兆しを見せている。大豆関
連で培った商品開発力を武器にすそ野を着実に広げる同社は、
ライバル各社にとって目の離せない存在だ。 (東昌樹)
 飯塚嵩・菱食専務の話 業界では二十一世紀は「大豆の時
代」と言われるほど、大豆の価値が見直されている。その中で
旭松食品は創業以来、大豆食品にこだわり続け、数々のヒット
商品を食卓に提供してきた。特に、においを控えた「納豆い
ち」の発売は納豆嫌いの関西の食文化を変えた画期的な出来事
といえる。
 本当に良いもの以外は発売しない「品質第一」の経営理念は
木下社長の性格そのもの。常に「本物志向」「味と健康」を商
品開発のコンセプトとしている企業姿勢に、一消費者としても
大いに期待している。

『朝日食品取締役茂木勝男氏――女性意識し納豆開発(談話室)』
1996/08/22 日経産業新聞
 
 ▽…「男性の中には納豆はどの商品もあまり違わないと思っ
ている人がいるようだ。しかし、店頭で実際に購入する女性た
ちは商品ごとの違いを認識している」。納豆大手、朝日食品
(千葉県佐原市)の茂木勝男取締役は女性を意識した商品開発
の重要性を訴えている。
 ▽…同社が八十人を対象に実施したアンケートでは、回答者
の七割がメーカーによって味が違うと答え、三割強が好きな商
品がなかったら買わずに帰ると答えているという。「ヒット商
品を生むためには女性消費者のし好を徹底的に分析しなければ
ならない」と気を引き締めていた。

『第5部成長企業の秘けつを探る(4)ヤマダフーズ―納豆菌を独自培養(食を創る)』
1996/08/20 日経産業新聞
 
 ヤマダフーズ(秋田県仙南村)が納豆業界に旋風を巻き起こ
している。独自開発した納豆菌をもとに「糸引きしない納豆」
などユニークな商品を続々送り出す一方、今年六月には二十五
億円を投じて大手メーカーのひしめく茨城県に新工場を完成、
大市場の関東に生産拠点を確保した。
 納豆メーカーの多くは、生産の要(かなめ)となる納豆菌の
供給を全面的に菌メーカーに依存している。菌メーカーは国内
に三社しかなく、家内工業で細々と生産を続けている。三社の
中でもシェア九割以上を握る宮城野納豆製造所(仙台市、三浦
一夫社長)の菌は「三浦菌」と呼ばれ、発酵温度の上昇が穏や
かで管理しやすいため、ほとんどの大手が採用している。
 かつてのヤマダフーズも例外ではなかった。三浦菌などを使
って納豆を量産し、秋田県内から東北全県へ、さらに関東へと
販路を広げてきた。しかし、生産を伸ばしながらも山田清繁社
長は「宮城野納豆製造所をはじめとする菌の供給者にもしもの
事故が起きて菌供給が止まったらお手上げだ」と不安を抱いて
いたという。「同じ菌を使っている限り、金太郎あめのように
他社と同じ商品しか作れない」という事業上の行き詰まり感も
あった。
 そんな思いから山田社長は八六年、食品開発研究所を開設し
た。菌メーカー三社は培養技術を門外不出のノウハウとして守
っている。菌メーカーから協力が得られないため、独力で培養
技術を開発するしかなかった。同研究所の門脇博之係長は「文
献さえなく、手探りの研究活動だった」と振り返る。
 枯れ草などに付着している菌の分離、培養技術の工夫と、苦
労が続いた。八年間の悪戦苦闘を経て、ようやく大量培養のノ
ウハウが確立したのだという。
 現在、ヤマダが保有する菌は約五百種類に上る。糸の引き方
やにおいの強弱、出来た納豆の硬軟、含まれる酵素やビタミン
の多寡など実に様々な性質を持った菌群だ。東南アジアから持
ち帰った菌の中には、出来た納豆が鮮やかな桃色に染まる珍し
い菌もある。この中から四十三種類を選び、いつでも納豆を量
産できる体制を組んだ。
 九五年から独自菌を使った新商品を続々と発売し始めた。糸
引きのほとんどない菌で作った「サラダに納豆」、糸引きの弱
い菌で作った「手巻きひきわり」、においが弱く豆が軟らかく
なる菌で作った「Myなっとう」など、これまで市場に存在し
なかった目新しい商品が並ぶ。
 今年七月には、においが弱くうまみ成分の多い菌で作った
「水戸の朝一番」「水戸からうれしい・ひきわり」の二つを商
品化した。研究所でサンプルを生産中だが、「各地のスーパー
などから続々と引き合いが来ている」という。いずれは完成し
た茨城工場で量産する予定だ。
 納豆に含まれる酵素のナットウキナーゼ、プロテアーゼ、ア
ミラーゼやビタミンK2など、健康に良いとされる各種成分を
多量に産出する菌も分離・培養している。今後は健康志向の強
い消費者に狙いを絞った戦略的な新商品が続々と登場しそうだ。
 年商四十億円の企業が二十五億円の投資――。茨城工場の完
成で飛躍的発展の舞台は整った。「おかめ納豆」ブランドのタ
カノフーズ(茨城県小川町)が圧倒的なシェアを握る首都圏で
攻勢をかける。さらに、関東、東北以外でも北海道、大阪、九
州に協力工場を確保し、各工場に納豆菌を供給して生産・販売
を開始する。
 生産量で見た同社の業界内順位は現在五位前後だが、三浦菌
を使った他社がほとんど差のない商品を提供しているなかで、
ヤマダのユニークな商品は光る。今後、全国区でも「大化け」
する可能性はありそうだ。 (平井哲)
 梶本幸男・タカノフーズ専務 ヤマダフーズが茨城県に建設
した新工場は地元でも話題になっている。テレビで拝見した外
観はざん新で、流通業界などへのアピール度も強いのではない
かと推察する。
 当社も納豆菌研究に力を注いでいるが、ヤマダさんは単なる
研究ではなく、独自菌開発に取り組んでおられるようだ。しか
し、菌開発がどれだけ消費者を引き付ける力を持つかは未知数
で、結果を注目している。個人的な見解だが、私は菌の種類よ
り、風味がよくなったという結果を訴えた方が得策ではないか
と思っている。

『[ふるさとファイル]茨城 中国に納豆文化調査ツアー』
1996/08/20 毎日新聞 朝刊
 
 常磐大学の教授らが納豆発祥の地とされる中国雲南省などで
納豆文化調査をするツアーを企画、一般市民にも参加を呼び掛
けている。加藤清昭教授によると、大豆の発酵食品はワインと
並び世界最古のものとされ、特にネパール、日本、雲南省を結
ぶ納豆トライアングルでは共通の食文化に。現地では民家を訪
ねたり、食品市場を視察。上海では日本の納豆の数銘柄を無料
で配り、市場テストにも挑戦する。(9日・茨城版)

『[ひとプラザ]中国で納豆のルーツ調査へ 加藤清昭・常磐大学国際学部教授』
1996/08/18 東京読売新聞 朝刊
 
 世界各地の農作物品種や食品の研究に取り組んでいる加藤清
昭・常磐大学国際学部教授の最近のテーマは地元、水戸名産の
納豆だ。「日本のものとは味も外見も全く異なる大豆の発酵食
品がアジア各地に存在していて、とても面白い」という。
 現在、中国南部・雲南省などに、納豆のルーツと関連食品の
現状を調べる研究旅行を計画している。中国はこうした大豆発
酵食品の発祥地の一つだが、「今後、水戸納豆の潜在的な巨大
市場となる可能性もある」。

『成瀬発酵化学研究所社長成瀬済氏――手作り納豆簡単に(談話室)』
1996/08/16 日経産業新聞
 
 ▽…「納豆は簡単に手作りできる」――。納豆菌メーカー、
成瀬発酵化学研究所の成瀬済社長は自家製納豆が作れる「粉末
納豆菌」の拡販に懸命だ。この商品は一袋六百円。「上手に使
えば百グラム入り納豆に換算して約千二百個が作れる」と説明
する。
 ▽…大手メーカーの商品が大量販売されている国内で、手作
りするのはよほどの愛好家に限られる。拡販の一案として、日
本人海外生活者に売り込むことを思い付いた。「海外赴任して
いる人、その人に土産を持参する人に、口コミで広がるように
したい」と宣伝方法をあれこれ思案している。

『納豆―店頭コーナー最下段を確保、タカノフーズが圧倒(店頭情報UP&DOWN)』
1996/08/15 日経産業新聞
 
 納豆業界は最大手のタカノフーズ(茨城県小川町)が圧倒的
な強さを誇る。NEEDS―SCAN分析では三割強のシェア
を確保し、二位以下を寄せ付けない。タカノは各地にスーパー
が続々と開店した六〇年代後半から七〇年代にかけて量産体制
をいち早く整備し、売り場を押さえた。二位以下の各社は新商
品開発、営業力強化などでシェア拡大に努めているが、タカノ
の牙(が)城はまだ揺らいでいない。
 各社が虎視眈々(こしたんたん)と狙うのは量販店の納豆売
り場にある最下段の棚だという。くめ・クオリティ・プロダク
ツ(茨城県金砂郷町)経営本部の山崎一浩係長は、「最下段さ
え確保できれば、そのコーナーの売り上げを四〇―五〇%押さ
えることが可能だ」と指摘する。
 最下段は最も目につきやすい。目玉商品は例外なくここに陳
列される。現状ではタカノの商品群がこの場所を占める機会が
最も多い。
 各社営業マンが量販店の購買担当者を訪問し、最下段への陳
列を働き掛けても「タカノさんと同じ商品なら置けない」と拒
否されるケースがほとんどだという。
 その結果、シェアは固定したまま動かない。六月から七月に
かけては、くめ・クオリティ・プロダクツと旭松食品が三位と
四位で順位を交代したが、特に目新しい材料はなく、店の特売
による販売増が影響しただけのようだ。
 納豆はどれも味わいにそれほど違いがなく、消費者は一番目
立つ商品を買い物かごに入れる。量産で先行し、シェアを押さ
えたタカノの強さは納豆という商品の同質さが支えになったと
も言える。
 しかし、メーカー間の序列を崩そうとする動きも目立ち始め
ている。その一つが徹底的に手軽さを追求した商品だ。朝日食
品(千葉県佐原市)はタレと刻みネギ、辛子をワンカップに収
め、ふたを開けて納豆にかけるだけで味付けできる「水戸のモ
ーニングさん」を拡販している。アイデアが受けて、同社の売
り上げ増を支えているという。
 ヤマダフーズ(秋田県仙南村)は自社開発した新種の納豆菌
を使用し、納豆特有のにおいを抑えた新商品を全国的に売り込
もうとしている。商品名は「水戸の朝一番こつぶ」と「水戸か
らうれしいひきわり」の二種類。各地の量販店からサンプル品
を求める依頼が続々と届いているという。
 朝日やヤマダの試みは新市場を開こうとする挑戦でもある。
試行錯誤の結果、未契約だった量販店への納入を果たし、あこ
がれの最下段の棚を確保することができるかどうか。各社の挑
戦の中に、現状打破の決め手が隠されているかもしれない。 
(平井哲) =毎週木曜日に掲載

『教育用CD―ROMアイシーシーが開発、これでワタシも納豆通。』
1996/08/13 日本経済新聞 地方経済面
 
 アイシーシー(茨城県日立市、大島俊彦社長)は、常磐大学
人間科学部の小柳和喜雄専任講師と共同で、教育用CD―RO
M(コンパクトディスクを利用した読み出し専用メモリー)ソ
フト「なっとうたんけんたい」=写真=を開発した。
 ソフトは、納豆に関する様々な知識をクイズ形式で学んでい
くという内容。
 (1)納豆の歴史(2)納豆菌のはたらき(3)納豆の製造
工程(4)納豆調理法やその他の知識――という四つのステー
ジをクリアしたうえで、全体の知識を再確認する決戦クイズに挑む。
 学習者の参加意識を高めるため、ドラマの演出効果を教育現
場に応用する「ドラマ理論」を採用。
 納豆の調理法を学びに来た宇宙人や小学生と一緒に探検する
というストーリーを設定し、水戸市内の小学校で教材として使
用したところ、「クイズに答えるために、生徒が協力して図書
館で資料を検索したり、自分から納豆工場まで製造工程の見学
に出かけるなど、積極的な反応が見られた」(小柳氏)という。
 アイシーシーでは、「なっとうたんけんたい」を開発する過
程で得た理論的ノウハウを、今後本格参入するマルチメディア
ソフトの開発に生かす考え。

『常磐大学教授ら、“納豆文化”のルーツを探る−中国・雲南省へ調査ツアー/茨城』
1996/08/09 毎日新聞 地方版
 
 ◇加藤清昭・常磐大学の教授らのグループ
 ◇県産の数銘柄を持参、市場テストにも挑戦
 ◇一般参加も呼び掛け
 水戸市の常磐大学の教授らが、納豆発祥の地とされる中国・
雲南省などで“納豆文化”を調査するツアーを企画、一般市民
にも参加を呼び掛けている。中国の上海では、日本の納豆が売
れるかどうかの市場テストにも挑戦。一連の調査結果を、「ア
ジアを味見する」とのテーマで催される今秋の学園祭で発表す
る予定だ。
 ツアーのコーディネーターを務める加藤清昭・同大教授によ
ると、大豆の発酵食品はワインと並び世界最古のものとされ、
特にネパール、日本、雲南省を結ぶ“納豆トライアングル”で
は共通の食文化となっている。中国では、握りこぶし大の団子
にして保存した納豆を加熱し、スープで飲むのが一般的だが、
インドネシアでは白かびで発酵させた大豆の食品「テンペ」
を、油で揚げて食べるなどの食習慣がある。
 ツアーは、9月8日から15日までの8日間。学生も参加
し、日本と似た食べ物がある雲南省西双版納の民家を訪ねた
り、昆明で米の原種や大豆栽培地、食品市場を視察する。約3
日間滞在する上海では、日系百貨店「ヤオハン(上海第一八百
伴百貨)」店頭で、日本から空輸した納豆の数銘柄を無料で配
り、アンケートを行う計画。
 上海での市場調査は「県産納豆は、既に国内の納豆市場の約
65%を占めている。次の市場は中国ではないか」との想定か
ら実施するもの。加藤教授は「似たような文化を持つ民族だ
し、中国人留学生は納豆を食べる。調査は成功するだろう」と
期待している。
 旅行代金は1人23万4500円。募集人員は20人。締め
切りは20日。問い合わせや参加希望者は、電話0298・5
2・1300(全国発酵大豆研究会つくば事務局)。【橋本明子】

『[くらしノート]納豆の冷凍』
1996/08/07 毎日新聞 朝刊
 
 たんぱく質や各種ビタミンの豊富な納豆が注目されていま
す。納豆は納豆菌を使って大豆を発酵させたもの。納豆菌が納
豆で生きて発酵を続けているのです。10度以下で保存した場
合、糸の引きぐあいやにおいがもっとも納豆らしく食べられる
賞味期間は7〜10日間。そして賞味期限を過ぎるころには発
酵が進み、豆の色もアメ色に変わりアンモニア臭が強くなり、
雑菌も繁殖したりして食べられなくなります。でも納豆は水分
が少なく冷凍に最適。冷凍することによって発酵をその時点で
ストップさせ保存期間を長くすることができます。多めに納豆
を買った時はすぐに冷凍を。(Y)

『くき食品、抗菌性高い納豆開発、O157にも有効か。』
1996/08/06 日経産業新聞
 
 くき食品(福岡県若宮町、斎藤陽彦社長)は、大腸菌の繁殖
を抑えると言われる納豆菌が生成するジピコリン酸が通常の四
―五倍含まれている納豆を開発、五日発売した。
 納豆の発酵時間を長くするなどしてジピコリン酸を繁殖さ
せ、納豆の容量の最高一%まで増やすことに成功したという。
 食品の体内への影響を研究している循環生理学の須見洋行・
倉敷芸術科学大学教授は発表の会見に同席し、「病原性大腸菌
に対する納豆の抗菌作用は立証されている。O(オー)157
に対する具体的臨床例はまだないが、抗菌作用の可能性が高
い」と述べた。 (福岡)

『[きょうの夕食]納豆とオクラのスパゲティ』
1996/08/05 東京読売新聞 朝刊
 
◇材料=4人分
スパゲティ400g
ひき割り納豆   2パック(160g)
ミョウガ      4個
オクラ       8個
梅干し       2個
………………………………
【カロリー・塩分=1人分】570kcal/3.1g
 和風味のスパゲティに美しい緑色のアボカドのサラダを添え
ます。納豆の粘りを出したい時はよく混ぜてからしょうゆを加
え、粘りが不要の時は先にしょうゆを入れてから混ぜます。
【作り方】《1》なべに約4リットルの熱湯を沸かし、塩大
さじ2杯を加えてスパゲティを入れ、袋の表示時間を参考にし
てゆでる《2》納豆にしょうゆ大さじ1杯、練りガラシ小さじ
1杯を混ぜる《3》オクラは塩少々でもんでさっとゆで、へた
を除いて1〜2ミリ厚さの小口切りにする。ミョウガは薄い小
口切りにして水にさらし水気をきる《4》梅干しは種を除き、
みじん切りにする《5》スパゲティがゆで上がったら、ざるで
水気をきる。ボウルに入れ、サラダ油大さじ3杯、しょうゆ同
1杯、梅干しを混ぜる《6》皿にスパゲティを盛りつけ、納
豆、オクラ、ミョウガをのせる。

『くき食品、抗菌性高い納豆を発売。』
1996/08/03 日本経済新聞 地方経済面
 
 くき食品(福岡県若宮町、斎藤陽彦社長)は二日、大腸菌の
繁殖を抑えるといわれる、ナットウ菌が生成するジピコリン酸
が通常の四―五倍含まれているという納豆を五日に発売すると
発表した。納豆の発酵時間を長くするなどしてジピコリン酸を
繁殖させ、納豆の容量の最高一%まで増やすことに成功したという。
 食品の体内への影響を研究している循環生理学の須見洋行・
倉敷芸術科学大学教授は同社の発表会見に同席し、「病原性大
腸菌に対する納豆の抗菌作用は立証されている。O(オー)1
57に対する具体的臨床例はまだないが、抗菌作用の可能性が
高い」と述べた。

『[くらし発見]広がる納豆の研究−茨城に博物館や展示館』
1996/07/31 毎日新聞 朝刊
 
 ◇平安時代「なんと美味なる…」がなまって…
 博物館や展示館、納豆を利用したアイデア品、納豆の粘りが
嫌いな人にも食べやすい料理など納豆のあれこれを紹介する。
 ★納豆博物館=納豆をテーマにした本格的な博物館が茨城県
小川町に完成、今年5月にオープンした。納豆製造の最大手、
タカノフーズが食文化研究家・永山久夫さんの監修で同社工場
の並びに建設したもので、納豆情報の発信基地を目指す。
 納豆の起源、名称のいわれ、成分、日本全国の手作り納豆の
数々、家庭での納豆の作り方、世界の大豆発酵食品などをイラ
ストや表、写真などで解説している。また、画像で学ぶ納豆ク
イズや、からくり人形の動きと語りで知る江戸納豆絵巻など、
納豆に関する知識も分かりやすく紹介した。
 納豆が広まったのは平安時代だといわれている。1051
(永承6)年に東北で安倍一族が反乱を起こした際に鎮圧にあ
たったのが源頼義と義家親子。発酵した煮豆を軍馬が食べるの
を見て、兵士が長い戦乱による飢えのあまり食べてみたのが始
まりとされる。義家も食べてみたところ、とてもおいしかった
ことから「なんと美味なる豆かな」と言い、その「なんと」と
「豆」がなまって「納豆」になったのだとか(異説もある)。
 すでに1日平均50人の来館者が訪れている。ちなみに来館
者の質問で多いのが納豆の賞味期限だという。同博物館のサブ
マネジャー、飯田聡也さんは「製造から要冷蔵で1週間。冷凍
庫ならば1カ月くらいもちます。ただし解凍したらすぐに食べ
てください。常温で放置しておくと納豆菌の活動が激しくな
り、最終的には大豆が溶けてしまいます」と説明する。
 入館無料。年末年始を除いて無休。午前9時から午後4時
(正午から午後1時まで昼休み)まで開館している。団体の場
合は事前に連絡を。問い合わせは同博物館(フリーダイヤル0
120・58・7010)。
 ★納豆展示館=納豆製造の老舗「笹沼五郎商店」(水戸市三
の丸)の2階に今年3月オープンした。規模的には広さ60平
方メートルと資料室的だが、納豆の歴史の紹介や、納豆作りに
関する道具なども置いてある。年中無休。無料で一般公開(午
前8時〜午後6時)している。
 ◇アイデア品
 ★納豆酒=清酒をベースにしたリキュール。川鶴酒造(香川
県観音寺市)が開発、「美健酔」(500ミリリットル、75
0円)と銘打って今年4月から販売している。納豆のねばねば
した糸を溶かし込んでペパーミントやアニスといった5種類の
スパイスを入れ納豆のニオイをとった。色はこはく色で、香り
は薬味のよう。
 ★納豆ドリンク=現在数社で研究中。ヤマダフーズ(秋田県
仙南町)では数多い納豆の機能性をすべて網羅するか、用途を
限定するか、検討中だが、来年中には発売する予定だ。「納豆
のニオイや粘りが嫌いな人にも好まれるように飲みやすくして
いますが、ある程度風味も残さないと単なる普通のジュースに
なってしまいますから」と同社食品開発研究所。
…………………………………………………………………………
 ◇納豆料理
 手軽にできて味わい深い2品。
 ★納豆そうめん
 《材料》(3〜4人分)
▽納豆(約50グラム。大粒、小粒でも可) 1パック
▽かまぼこ                1/2本
▽タクアン               1/4切れ
▽しば漬け                10切れ
▽青じそ                 5〜6枚
▽卵黄                 1人に1個
▽そうめん              400グラム
▽そうめんつゆ                適量
 《作り方》
 [1]納豆を包丁でたたいて細かくする。
 [2]かまぼこ、タクアン、しば漬けを粗みじん切りに、青
じそは千切りにする。
 [3]そうめんをゆでて水をかけて冷たくしてから皿にの
せ、その上に(1)と(2)を盛り付ける(冷やし中華と同じ
感覚で)。
 [4]卵黄を真ん中にのせ、そうめんつゆを好みに応じてか
けて出来上がり。他にありあわせの好きなものを自由にのせて
もいい。かき混ぜて食べるとあっさりしていておいしい。
 ★納豆とニラのチャーハン
 《材料》(1人分)
▽納豆                    1パック
▽ニラ
▽卵                       1個
▽ベーコン           10センチくらいを2枚
▽ニンニク、塩、コショウ、しょうゆ、サラダ油それぞれ適量
▽冷や飯                     1杯
 《作り方》
 [1]卵は溶き卵にしておく。熱した中華鍋にサラダ油を入
れ、油の温度が上がったら溶き卵を入れてかき混ぜいり卵を作
っておく。
 [2]ニンニクをみじん切りにしてサラダ油で炒める。
 [3]ベーコンとニラの小口切りを(2)に加えて炒める。
 [4](3)を塩、コショウで味を調え、冷や飯を加えて炒
める。
 [5](4)に納豆を入れ手早く炒める。
 [6](5)に(1)を加えてかき混ぜ、隠し味でしょうゆ
を少量入れてさっと炒める。粘りけが苦手の人には食べやすく
なる。

『[くらし発見]納豆 食べると、骨折しにくい?−「効用」論文次々、消費も上向き』
1996/07/31 毎日新聞 朝刊
 
 においと粘りが嫌い。いやあの香りが何とも言えないから好
きなんだ、と真っ二つに好き嫌いが分かれる納豆。健康食ブー
ムを反映してか、ますます納豆が注目されている。納豆成分の
効果を示す研究論文が相次いで発表されたり、消費量、売り上
げとも伸びている。【樽味典明】
 ★豊富なたんぱく質、ビタミン類
 大豆を納豆菌で発酵させたのが納豆。豊富なたんぱく質を含
んでいる。納豆菌は各種ビタミン(B1、B2、Kなど)を作
り出し、細菌を殺す性質も高いといわれている。また、血栓を
溶かす酵素「ナットウキナーゼ」やコレステロールを減らす働
きをする成分なども含まれている。
 血圧を下げる効果もあるようだ。宮崎医科大学の丸山真杉教
授(生理学)と倉敷芸術科学大学の須見洋行教授(機能物質化
学)の研究によると、血圧の高い5人の成人に納豆の粉末(納
豆として200グラム相当)を4日間毎日飲んでもらったとこ
ろ、最高血圧と最低血圧がいずれも5人のうち4人が下がった。
 ★血圧下げる効果?
 平均値は最高血圧が173・8プラスマイナス20・5ミリ
Hgから154・8プラスマイナス12・6ミリHgに、最低
血圧が101・0プラスマイナス11・4ミリHgから91・
2プラスマイナス6・6ミリHgに変化した。丸山さんは「納
豆は高血圧によい食物である可能性がある。しかし、もっと断
定的に言うためにはさらに研究が必要だ」と話す。
 都道府県別の1世帯当たりの納豆の年間消費金額と骨折率を
対比するという興味深い分析をしたのは東京大学医学部老年病
学の細井孝之講師。
 ★京都、大阪、兵庫は
 骨折率は大腿骨頚部(だいたいこつけいぶ)骨折全国頻度調
査<厚生省骨粗鬆症(こつそしょうしょう)の予防に関する総
合研究班>に基づいている。同調査は病院などの協力を得て実
施されたもので、男性の骨折発生患者は東北地方に少なく、近
畿や中国、四国、南九州に多い傾向があった。特に京都、大
阪、兵庫に目立った。女性でも東北、北海道、関東の茨城、栃
木、群馬などに少なく、やはり近畿、特に京都、大阪、兵庫に
多かった。
 これに都道府県別1世帯当たりの納豆の年間消費金額を照ら
し合わせたところ、納豆をよく買っている、つまりよく食べて
いる都道府県と骨折率が少ない都道府県とが一致した。ちなみ
に調査の対象となった1992年の納豆の1世帯当たり年間消
費金額は東北地方が4000〜7000円なのに対して、近畿
は1000〜2000円だった。
 細井さんは「骨折には他の要因や個人差もあるので、納豆を
食べているから骨折しにくいとは言えないが、ビタミンK2の
中で人体に含まれるMK7という成分は納豆に多く、骨折しな
い人の方がMK7の濃度が高い」と説明する。細井さんは納豆
を食べる人と食べない人に分けて1年間を通じた調査を間もな
く実施する予定だ。
 ★成人病効果、立証へ
 社団法人日本工業技術振興協会の中に1990年に発足した
「天然物・生理機能素材研究委員会」が一昨年から活発に納豆
の研究をしている。成人病に対する納豆成分の予防的効果を科
学的に立証しようというもので、専門分野の研究者がさまざま
な角度から取り組んでいる。論文集「納豆の機能成分、及び治
療、予防に関する研究(1)」が1冊にまとまった。1部30
00円。問い合わせは同協会(03・3238・5300)。
 ◇伝統、工夫、健康志向――豊富に
 最近は納豆の種類も豊富になってきた。東武百貨店(東京都
豊島区)食品売り場の「諸国名産ひとあじや」では納豆コーナ
ーに14種類置いている。同百貨店食品統括担当の板谷久子さ
んが生産地を巡り食味を重ね、厳選したものばかりだ。
 納豆は全般的に小粒志向にはなっているが、売り場の一番人
気は大粒の「芝崎納豆」(東京産)。粘りも強く歯応えもあ
る。「大豆のうまさをうまく引き出しています」と板谷さん。
 「味付大力納豆」「辛味納豆」(ともに新潟産)は若い人に
評判がいいという。「味付大力納豆」はこうじ、塩、みりんな
どで調味済みで、甘く軟らかい。もみのりと合わせてお茶漬け
にしても美味。「辛味納豆」はだしコンブ、白ごま、トウガラ
シが入っている。年配の女性を中心に1日に10個は出ている
のが「湘南のわかめ納豆」(神奈川産)。磯の香りのするワカ
メが入っている。このほか、梅ドレッシングが付いた「夏なっ
とう」、有機栽培大豆を100%使用し、炭火造りの製法を取
り入れた「有機栽培小粒」(いずれも東京産)が注目されてい
るという。
 板谷さんは「健康志向の表れでしょうか、売り上げは昨年に
比べて20〜30%の伸びです。最近の若い女性は固定観念が
ありませんから、納豆にチーズを入れたり、ドレッシングをか
けたり、といろいろな食べ方をしているようです」と話す。
 一方、関西では納豆があまり好まれないといわれるが、大丸
心斎橋店(大阪市中央区)では「石室炭火造り黒豆納豆」(茨
城産)が人気だ。黒大豆は高たんぱく、低脂肪、高糖質で、ふ
っくらとしたなめらかな納豆になるという。有機栽培大豆を使
った納豆もよく売れている。
 「夕方には売り切れてしまってお客様に迷惑をかけていたの
で増やしました」と同百貨店広報担当の向垣内由美さん。昨年
に比べて売り上げは2割増。増加の理由はやはり健康志向の表
れだという。

『ヤマダフーズ、茨城の納豆工場を完成。日産能力60万個』
1996/07/31 日刊工業新聞
 
【秋田】納豆メーカー大手のヤマダフーズ(秋田県仙北郡仙南
村野荒町字街道の上279、社長山田清繁氏、電0182・3
7・2246)は、茨城工場(茨城県牛久市奥原町字塙台17
53、電0298・75・2111=写真)を完成、操業を開
始した。
新工場は同社としては県外では初めての製造拠点で、日産能力
六十万個(五十g換算)と国内でも有数の規模を持ち、首都圏
でのシェア拡大を目指す。同社はこれまで、仙南村の本社工場
から約十二時間かけて首都圏に出荷していた。
このため店頭に並ぶ商品は製造日の翌日となり、販売量を拡大
するには大きなハンディとなっていたことから、約二十五億円
を投じて九五年七月、茨城工場の建設に着手した。敷地約五万
三千五百平方メートル、建物は鉄骨造り、延べ面積九千四百平
方メートル。
原料大豆の荷受けから製品完成まで、百七十メートルの直線ラ
インで生産効率の向上を図っているほか、独自に開発した業界
初の立体自動連続発酵プラントや、コンピューター制御による
大型の立体自動冷蔵庫などを導入。包装、ラベリング、箱詰め
工程などにロボットなどの自動化機械も導入した。
同工場では量販店向けの粒および挽(ひ)き割り納豆、業務用
は手巻き寿司などに用いられる挽き割り納豆を中心に生産し、
首都圏でのシェア拡大を図る。

『自転車銅の十文字選手、好物納豆で調整―両親、願いかない「感無量」。』
1996/07/25 日本経済新聞 夕刊
 
 【アトランタ24日=小仲秀幸】「夢のようです。表彰台の
息子を見て、感無量でした」――。千葉県関宿町から応援に駆
け付けた父、吉美さん(49)と母の礼子さん(47)は、同
行の後援会メンバーら七人とともに手を取り合い、自転車の十
文字貴信選手(20)が銅メダルを獲得した喜びを分かち合った。
 「自己ベストを出せばいいと思った」と吉美さん。「アトラ
ンタへたつ前日、家の裏の神社にメダルがとれるよう願をかけ
た」という礼子さん。後半には強豪が控えていたため「あきら
めに似た気持ちもあった」が、二人の願いは目の前で実現した。
 同選手は昨年四月にデビューしたばかりのホープ。「レース
のことを考えると緊張するので、イメージしないようにした」
(同選手)という。トレーニングの一方、大好物の納豆をアト
ランタ市内で入手してコンディションを調整しながら試合に臨んだ。
 「出る前は賞金が第一だったが、出場が決まってからは小学
生まで応援してくれ、お金のことは忘れた。競輪選手としても
五輪三位はうれしい」と同選手。「メダルが競輪のイメージ向
上につながったと思う」とプロとしての横顔も見せた。

『におい抑えた納豆、ヤマダフーズ月末から販売。』
1996/07/17 日本経済新聞 朝刊
 
 納豆製造大手のヤマダフーズ(秋田県仙南村、山田清繁社
長)は独自に培養技術を確立した新種の納豆菌を使い、納豆特
有のにおいを抑えた新商品を開発、七月末から全国で発売す
る。納豆業界では宮城野納豆製造所(仙台市、三浦一夫社長)
など国内に三社しかない納豆菌メーカーから菌を購入するのが
一般的だが、ヤマダは独自開発の菌により他社商品にない味わ
いを実現したという。
 新商品は「おはよう納豆水戸の朝一番こつぶ」と「おはよう
納豆水戸がうれしいひきわり」の二種類。オープン価格で、大
手スーパーを中心に供給する。

『ジャスコ・野田店で納豆人気コンテスト 1位は旭松ひきわり納豆』
1996/07/17 日本食糧新聞
 
 ジャスコ野田店では、7月10日納豆の日にちなみ、6月2
4日から実施していた「おいしなっとうコンテスト」の結果を
発表、「ベストオブ納豆」は、旭松食品「なっとういち、ひき
わり納豆」が選出された。
 同店では、自店で販売している納豆の中から、一番おいしい
と思う納豆の品名を投票、最も人気ある納豆に投票した方から
抽選で六〇名に、ジャスコの商品券を進呈するというコンテス
ト。タイトルは神戸弁で「おいしくなっている」を「おいしな
っとう」ということから、もじって「おいしなっとうコンテス
ト」としたもので、同社では初めての試み。ノミネートしたの
は一三種類、応募総数一六九二原で人気順位は次の通り。
 ▽一位 旭松なっとういちひきわり納豆=四三六票▽二位朝
日水戸小粒納豆=二一八票▽三位タカノフーズおかめ極小粒カ
ップ3=一九三票▽四位朝日水戸の田舎炭造納豆▽五位ヤマダ
フーズ有機百倍納豆▽六位あづま大粒鶴の子納豆▽七位あづま
有機極小粒納豆▽八位タカノフーズおかめ極小粒ミニ2▽九位
タカノフーズ完熟丸大豆おかめなっとう水戸一番▽一〇位くめ
プチカップ4納豆▽一一位くめ丹精▽一二位タカノフーズおか
め北海道丸大豆カップ3▽一三位くめマゼテーラノセテーラ納豆。
 抽選による商品券当選者は、西淀川区元山和子さんはじめ一
〇名に三〇〇〇円券、福島区宮木てる暎さんはじめ五〇名に一
〇〇〇円券を進呈した。
 「納豆の日」の記念日は、関西納豆工業協同組合により、体
力が消耗する夏場に、健康を保ち、夏バテを防ぐ健康食品とし
て納豆をアッピールするため、そして7と10でナットウとい
う語呂合わせから八二年(昭和57年)から7月10日に設定
されている。

『凍結乾燥食品特集 新製品の開発・提案へ アウトドア需要も広がる』
1996/07/15 日本食糧新聞
 
 加工食品を形成する一つの素材として発展・拡大してきたフ
リーズドライ製品も、オールFDによる製品、つまり「成型加
工製品」への広がりを見せている。夏休みをひかえている今、
アウトドア用品と一緒に、納豆やサラダ用野菜、さらには、ひ
じきの煮物や雑炊、八宝菜等のメニュー化された製品が並ぶ。
 特殊ルートだが、夏のアウトドア用のトレンド商品になって
いる。熱湯僅か一分間で完全にもとに戻る利点がFD製品の特
徴だが、そこに若者は利用価値を見出して買い込む構図が今後
のFD製品の新規拡大と限りない製品開発を象徴しているよう
に見られる。
 いずれにしても、若者のFD製品の利用は、表面的な動向か
も知れないが、こうしてFD素材を取り込んだ「新・食品」が
開発される。同時にFD業界側からの開発提案、そして独自の
新開発が行われて、否が応でも「FD製品」は、一般市販品、
業務・加工品の両極で急速展開を見せていこう。

『ヤマダフーズ、納豆の生産拠点を拡大――協力工場、北海道・大阪・九州に。』
1996/07/12 日経産業新聞
 
 納豆大手のヤマダフーズ(秋田県仙南村、山田清繁社長)は
北海道、大阪、九州に協力工場を確保し、現地の大手スーパー
向けに納豆製品の販売を開始した。従来は東北と関東地区で販
売量のほぼ全量を占めていたが、需要の少なかった地域への進
出で売り上げ拡大を目指す。協力工場には独自に培養技術を開
発した納豆菌を提供、質の高い商品で販売攻勢をかけるという。
 同社は秋田県仙南村の本社工場のほか、六月末に茨城工場が
稼働した。新工場が軌道に乗れば、関東地区には茨城工場、東
北地区には本社工場がそれぞれ自社で供給する体制とする。
 その他の地域については現地の納豆メーカーとの契約で協力
工場を確保する方針だ。このほど生産を開始した協力工場は札
幌市一社、大阪市一社、鹿児島市と大分市の各一社の合計四
社。四社に対してはヤマダフーズが独自に培養技術を開発した
納豆菌と製造装置一式を提供、直営工場と同等の商品を生産で
きる体制を完成した。
 協力工場は当面、主要取引先であるジャスコなど大手スーパ
ーの店舗向けにプライベートブランド(PB=自主企画)商品
を販売する。売れ行きを見て、糸引き量やにおいが少なかった
り、血栓溶解作用のある酵素を多量に含む競争力のある自社ブ
ランド商品の生産も委託する方針だ。
 協力工場の組織として「ヤマダ達磨(だるま)会」を発足。
全国各地に積極的に会員企業を増やし、自社ブランドの「おは
よう納豆」を全国市場に浸透させる。
 同社は九六年八月期の売上高見込み約四十億円のうち、東北
約六〇%、関東約四〇%だった。

『ヤマダフーズ協力工場確保、札幌・大阪・九州に―量販店へ納豆供給。』
1996/07/12 日本経済新聞 地方経済面
 
 納豆大手のヤマダフーズ(秋田県仙南村、山田清繁社長)は
北海道、大阪、九州に協力工場を確保し、現地の大手スーパー
向けに納豆製品の販売を開始した。従来は東北と関東地区で販
売量のほぼ全量を占めていたが、需要の少なかった地域への進
出で売り上げ拡大を目指す。協力工場には独自に培養技術を開
発した納豆菌を提供、質の高い商品で販売攻勢をかけるという。
 同社は秋田県仙南村の本社工場のほか、六月末に茨城工場を
稼働させた。新工場が軌道に乗れば、関東地区には茨城工場、
東北地区には本社工場がそれぞれ自社で供給する体制にする。
 その他の地域については現地の納豆メーカーとの契約で協力
工場を確保する方針だ。このほど生産を開始した協力工場は札
幌市一社、大阪市一社、鹿児島市と大分市の各一社の合計四
社。四社に対してはヤマダフーズが独自に培養技術を開発した
納豆菌と製造装置一式を提供、直営工場と同等の商品を生産で
きる体制を完成した。
 協力工場は当面、主要取引先であるジャスコなど大手スーパ
ーの店舗向けにプライベートブランド(PB=自主企画)商品
を販売する。売れ行きを見て、糸引き量やにおいが少なかった
り、血栓溶解作用のある酵素を多量に含む競争力のある自社ブ
ランド商品の生産も委託する方針だ。
 協力工場の組織として「ヤマダ達磨(だるま)会」を発足。
全国各地に積極的に会員企業を増やす。
 同社の九六年八月期の売上高見込み約四十億円のうち、東北
が約六〇%、関東が約四〇%。

『円安、穀物高騰が直撃、食品業界、値上げの動き』
1996/07/12 日本農業新聞
 
<しょうゆみそ、納豆>
 中国産大豆を使うみそ業界。相場高騰で四―六月積みの中国
大豆プレミアム(割増金)は過去最高の百ドル。七月下旬から
始まる八ー十月積み交渉も百ドル台の攻防になると見られ、円
安も重なる。日本味噌滑竕i辰尾専務は「今の段階でも値上げ
をしたいが難しい。これ以上、大豆市況が上がったり、円安が
進むと、値上げの可能性がある」と言う。小麦、大豆、塩を主
原料にする、しょうゆの値上げメーカーは出ていないものの
「いずれ値上げするところが出てくるだろう」(佐藤耕一日本
醤油協会常務)。
 大豆高で一丁一円五十銭から二円のコストアップに見舞われ
ている豆腐業界も、「スーパーの特売などが抑制されてきてい
る」(木嶋弘倫日本豆腐協会専務)と言う。
 「青池聡・ホーネンコーポレーション常務」
 製油メーカーにとって、為替と原料の価格はコストの一番大
きな問題だ。
 為替はドルに対し一年前に比べて約二〇%円安になり、大豆
市況が約四〇%値上がりしている。この結果、原料コストは日
本円に換算すると、一年前に比べ約五〇%値上がりしたことに
なる。この間、油の価格はあまり上がっていない。円安は我々
にとって歓迎できることではない。
 無論、我々も営利企業なので、コスト削減などの企業努力は
常にしている。しかし、一年間で五割も原料価格が上昇したの
では企業努力を超えてしまう。お客様には申しわけないが、商
品の安定供給をするためには、値上げせざるを得ない。ようや
く、ユーザーも少しずつ理解を示し始めて価格を引き上げるこ
とができるようになった。
 七―九月の業務用大豆油の価格は一缶(十六・五キロ)当た
り、四―六月の二千七百円から、百円値上げし、二千八百円に
なる。しかし、これでもまだ原料コストを吸収できるだけの価
格にはなっていない。本来なら、さらに二百円値上げして一缶
三千円台にする必要がある。
 原料の大豆市況の値上がりは、中国が油や大豆かすを大量に
輸入してきたことが影響している。これから世界の油の需要
は、アジアの経済発展などで拡大するだろう。そして、その需
要増は今年一年で終わるはずはない。日本は原料大豆の輸入国
であり、原料の安定的確保は製油業界にとって大変なことだ。
次の世紀へ向け、大豆の単収を上げるために、日本の農業技術
の援助や耕作地の拡大なども考えるべきだ。
 「鈴木博・農林中金総合研究所調査第二部副部長」
 円安傾向が続いている要因は二つある。日米の金利差(公定
歩合は日本〇・五%、米国五・〇%)と、日本の貿易黒字の減
少で、こうした傾向は昨年秋以来、基本的に変わっていない。
 景気の好調な米国が八月にも金利を引き上げ、日米の金利差
が一層広がるとの見方が広まったために、金利の高いドルを買
う動きが活発になってきている。貿易黒字の減り方は緩やかに
なるだろうが、円安傾向は今後も続き、年度内に一ドル=一一
五円程度まで進むだろう。
 日本銀行は低金利政策を見直すだろうが、年内の公定歩合引
き上げはないと見ている。消費税の引き上げなどで、来年度か
ら物価は一%程度上がる。物価の上昇も考慮し、来年度には公
定歩合を〇・五%引き上げるだろう。そうなれば一ドル=一一
〇円前後で落ち着いて推移するのではないか。
 日本農業にとって円安は、原料の多くを輸入に頼っているた
め、生産資材の値上がりというデメリットがある。だが、農産
物・食料品の輸入価格も上がる。内外価格差が縮まることで、
国際競争力が改善されるメリットの方が大きい。輸出産業を中
心に景気が回復しているので、消費者の購買力は上向いてい
る。これも国内農業には追い風だ。
 国内農産物の輸出も、円安で一時的には好調になるだろう。
しかし、為替相場に頼っていては、安定的な輸出は難しい。日
本の経済力を総合的に判断すると、適正な円相場は一ドル=一
一〇円程度。日本農業は一ドル=一一〇円で経営が成り立つよ
う、経営改善を進める必要がある。

『【料理レシピ】チーズも一緒に 納豆春巻き』
1996/07/11 産経新聞 朝刊
 
《作り方》
(1) 万能ネギは1センチ長さの小口切りにする。
(2) プロセスチーズは2センチ長さの細切りにする。
(3) ボウルに納豆と(1)(2)、しょうゆ大さじ1、
酒、トウバンジャン各小さじ1を合わせ混ぜる。
(4) 小麦粉大さじ1を水大さじ1・1/2で溶く。
(5) 春巻きの皮に(3)をのせて巻き、巻き終わりに(
4)を塗って止める。同様にして8個作る。
(6) (5)を170度の油で色よく揚げる。
(7) 器に(6)を盛り、香菜などを添える。
 【一口メモ】
◇チーズが溶け出てこないように、巻き終わりをしっかり止め
る。
◇カラシじょうゆを添えてもいい。
◇ギョーザの皮で包み、おつまみ風にしても。
◇ピーマンや長ネギを加えてもよく合う。
《材料メモ》
納豆(100グラム・ひきわり)…………1パック
万能ネギ………1束
プロセスチーズ(スライス)………4枚
春巻きの皮……8枚
しょうゆ、酒、トウバンジャン、小麦粉、揚げ油

『河北抄、納豆の話の続き。納豆には、いろんな効能があるらしい。』
1996/07/11 河北新報 夕刊
 
河北抄
 納豆の話の続き。納豆には、いろんな効能があるらしい。
 まず、ナットウキナーゼという血栓溶解酵素が含まれてい
る。心筋梗塞(こうそく)や脳梗塞といった血栓性疾患の予防
効果が高いそうだ。
 最近話題になる骨粗しょう症にも、納豆は効果があるとい
う。日本人は一般にカルシウム不足だが、骨粗しょう症によっ
て発生しやすい大腿(だいたい)部骨折は、カルシウムが十分
な欧米人より少ないそうだ。納豆を食べると、カルシウムの吸
収が良くなるからだという。
 事実、納豆好きの東北人は、納豆嫌いの関西人より大腿部骨
折が少ないとの研究報告もある。できれば2日に1回食べると
いいそうだ。朝よりも夜に食べた方が効果的らしい。
 納豆は健康に良いだけではない。砂漠での作物栽培にも役立
つ。あのネバネバを特殊処理すると、紙おむつの4倍以上の吸
水力を持つようになるからだ。水分が蒸発しにくいため、砂漠
に埋めると植物の栽培が可能になるという。
 納豆屋さんの宣伝みたいになったけど、仙台は近代納豆のふ
るさとだ。多少の身びいきはお見逃しを。

『河北抄』
1996/07/10 河北新報 夕刊
 
 「これです」。机に、小さなガラス瓶が置かれた。やや白濁
した液体が、250cc入っている。納豆菌だ。「1ccに1
億個以上含まれ、1瓶で100グラム入りの納豆が5万パック
作れます」。語るのは三浦一夫さん。仙台市の宮城野納豆製造
所の社長さんだ。
 かつて納豆は、ワラづとで作られた。雑菌や回虫の卵が交じ
るのが悩みの種。ワラを使わない納豆を開発したのが、三浦さ
んの父親二郎さんだ。純粋な納豆菌を使って大正10年、日本
で初めて、工場での納豆生産に成功した。仙台は、近代納豆の
ふるさとである。
 いや、仙台は今も、全国の納豆のふるさとだ。一夫さんの工
場で生産する納豆菌が、日本の納豆の9割以上に使われてい
る。「納豆菌は、実に微妙なものです。培養の仕方によって、
性質が違ってくる。大事なのは経験と、全国の納豆屋さんから
の報告。簡単には培養できません」
 きょう7月10日は、ごろ合わせで「納豆の日」だそうだ。
納豆は今、健康維持や地球環境の面からも見直されている。あ
すはそんな話を紹介しよう。納豆だけに、話も糸を引きます。

『キャンプ上手になるために・・・料理時間やりくりのすすめ』
1996/07/10 百歳元気新聞
 
 缶詰やレトルト食品の簡易食材を生鮮の野菜・肉・魚にミッ
クスさせ、豪華なメニューをお手軽に作るのは、現在どこの家
庭でも取り入れているワザ。「生の材料しか使わない!」とこ
だわらず、ぜひ野外でも活用したい。
 ここでは一般のスーパーであまり見られない商品群を紹介し
たい。
 ひきわり納豆・キンピラ・野菜ミックス・牛肉・鮭の切身。
 これらの素材がすべてフリーズドライ化されているのをご存
知だろうか。信じがたいことに、素材だけでなくこの他、すき
焼き・八宝菜・ビビンバ・雑炊などの出来上がりメニューも
軽々としたパッケージに包まれ、山道具店で販売されている。
 これらフリーズドライ食品の特徴は「軽い」「手軽」という
ことに加えて、水分を抜く工程で熱をかけていないので素材の
栄養価がかなりのレベルでキープされていること。「ビタミン
など生のものをボイルしたての程度には確保されています」
(日本ジフィー食品(株))と、意外とヘルシーメニューの味
方なのだ。

『ヤマダフーズ、茨城工場が完成―連続発酵プラント設置。』
1996/07/10 日経産業新聞
 
 【秋田】大手納豆メーカーのヤマダフーズ(秋田県仙南村、
山田清繁社長)は茨城県牛久市に茨城工場を完成、稼働を始め
た。生産能力の日産五十グラム換算六十万個は国内でも有数
で、業界で初めてという連続発酵プラントを独自に開発、設置
した。また、納豆の歴史をパネル展示する一方、秋田県の特産
品を直売するコーナーを設けた。
 茨城工場は同社の初の県外製造拠点で、本社工場に次ぐ二番
目の工場となる。首都圏への配送効率を高めるのがねらいで、
本社工場から配送している時間が大幅に短縮されるため、首都
圏のスーパーやコンビニが進めている多頻度納入に的確に対応
できるという。
 約六万平方メートルの敷地に原料大豆の洗浄から蒸煮、発
酵、容器詰めの連続処理ができる工場を建設した。投資総額は
二十五億円で、工場の周囲にはフランス・ベルサイユ宮殿の庭
を模した庭園を配して工場と緑を一体にした「ファクトリー・
パーク」とした。
 工場内に縄文時代からの納豆の歴史をパネル展示する一方、
成分表示、原料大豆の産地ごとの実物展示、包装容器のデザイ
ンの変遷が分かるようにこれまでの容器を展示、納豆博物館の
機能を持たせた。
 秋田県の特産品直売コーナーでは杉加工品の曲げわっぱやき
りたんぽ、農産加工品などを見学者向けに販売している。

『きょう7月10日は「納豆の日」、宮城県内14業者、老人ホームへ贈る』
1996/07/10 河北新報 朝刊
 
きょう7月10日は「納豆の日」/宮城県内14業者、老人ホ
ームへ贈る
たくさん食べてね
 7月10日の「納豆の日」にちなみ、宮城県納豆事業協同組
合(高橋雄太郎理事長)加盟のメーカー14社が、県内の老人
福祉施設に納豆5000パックを贈ることになり9日、高橋理
事長が仙台市青葉区本町の宮城県社会福祉協議会を訪れ、目録
を手渡した。県内の養護、特別養護、軽費などの各種老人ホー
ム78カ所が対象。100グラム入りのパックが人数分、各メ
ーカーから施設に届けられる。
 「納豆の日」は「なっ(七)とう(十)」の数字読みから、
全国納豆協同組合連合会が定めた記念日で、消費拡大のため、
毎年さまざまなPR行事を行っている。老人ホームへの納豆の
寄贈は今年で3回目。
 高橋理事長は「カルシウムを体内に吸収しやすい酵素を持つ
納豆は、骨粗しょう症の予防に最適。お年寄りにたくさん食べ
てほしい」と話していた。

『ヤマダフーズ、茨城工場が完工 納豆業界のイメージ一新』
1996/07/08 日本食糧新聞
 
 (株)ヤマダフーズ(本社=秋田県仙北郡、0182・3
7・2246、山田清繁社長)は6月28日、茨城工場完工を
記念して、関係者を招待、工場案内と落成披露式を行った。
 同社は挽き割納豆で有名な納豆メーカー大手。特に秋田県で
は圧倒的なシェアを誇り、優れた商品開発力は全国的にも定評
があるが、輸送距離の長さが常にネックとなり東北地方の雄と
してとどまることを余儀なくされていた。今回、納豆の本場で
もある茨城の地に自社工場を完工したことは、関東を中心に全
国供給の基盤が整ったことともいえ、かねての念願がかなった
ことになる。
 新工場は敷地面積約六万平方メートル、建設延面積約九〇〇
〇平方メートル、納豆工場のイメージを一新させるベルサイユ
宮殿を模した庭園と外観。このたび完成した第一期工事では日
産三〇万個(使用原材料大豆換算六〇キログラム入り、三〇〇
俵)、敷地確保済将来計画として第二期工事で日産二〇万個、
第三期工事で二〇万個の高い生産能力を持ち、同時に、徹底的
に安全性を追求したシステムを完備、現在の生産技術の粋を集
めた業界最先端の最新鋭工場となっている。
 また、単なる生産工場ではなく、健康を増進する機能食品と
して最近とくに注目されている納豆の優れた食品特性を幅広く
認識できるよう「ファクトリーパーク」のコンセプトを取り入
れ、原料大豆から始まり納豆に関するあらゆる情報の発信基
地、納豆博物館としての機能を持ち、工場内には「納豆ギャラ
リー」コーナーを設けるなど、いろいろユニークな特徴が見ら
れ、見学に訪れた関係者からは、一様に驚嘆の声が聞かれた。
 午後からは筑波第一ホテルで落成披露式が行われ、あいさつ
に立った山田社長は関係者に感謝の辞をのべ、新工場が茨城の
地域振興に貢献し、納豆業界の更なる発展の一翼を担っていく
と決意を表わした。
 (株)ヤマダフーズ茨城工場所在地=茨城県牛久市奥原町塙
台一七五三番地、電話0298・75・2111、FAX02
98・30・9111。

『ヤマダフーズ社長山田清繁氏――納豆工場の見学歓迎(談話室)』
1996/07/04 日経産業新聞
 
 ▽…「納豆工場に初の見学者コースを設けた。たくさんの人
が見に来てくれるだろう」。納豆大手ヤマダフーズ(秋田県仙
南村)の山田清繁社長は茨城県牛久市に稼働した新工場に満足
そうだ。納豆の歴史や地域文化とのかかわりを紹介する展示コ
ーナーもあり、映画も上映する。
 ▽…関東に出荷を始めてから二十三年間、毎日商品をトラッ
クに満載し、秋田から約六百キロメートルの道のりを運んだと
いう。「工場完成で長距離輸送が不要になるだけでなく、文化
振興にも一役買える」と今後に期待をかけている。

『ヤマダフーズ、茨城・牛久に納豆工場――ミニ博物館も併設。』
1996/07/03 日本経済新聞 地方経済面
 
 納豆の本場、茨城県に秋田県の企業が殴り込み――。大手納
豆メーカーのヤマダフーズ(秋田県仙南村、山田清繁社長)は
茨城県牛久市に新工場=写真=を建設、稼働を始めた。日産能
力六十万個(五十グラム換算)という国内有数で、本場の茨城
県でも最新鋭の工場となる。敷地内には納豆の歴史を紹介する
「ミニ博物館」を開設したほか、特産品の販売コーナーを設置
し、ちゃっかり秋田をPRしている。
 同工場は同社初の県外製造拠点。約二十五億円を投じて建設
したもので、敷地面積は約六万平方メートル。独自開発した連
続発酵プラントを設置し、原料大豆の洗浄から蒸煮、発酵、容
器詰めの連続処理できるようにした。
 周囲にフランス・ベルサイユ宮殿を模した庭園を整備したほ
か、工場内には縄文時代からの納豆の歴史や成分表示、原料大
豆の産地ごとの実物などを展示したミニ納豆博物館を開設。
 さらに県の特産品直売コーナーでは杉加工品の曲げわっぱや
きりたんぽ、農産加工品などを見学者向けに販売している。

『牛久市に納豆工場、関東での販路拡大図る、ヤマダフーズ』
1996/07/02 日本農業新聞
 
 【茨城・常陸】納豆製造メーカーの(株)ヤマダフーズ(本
社・秋田県仙南村)が牛久市奥原町塙台に建設していた茨城工
場が完成し六月二十八日、工場案内と完工披露式が行われた。
 同社は秋田県に本社と工場を持ち、主に東北地方を拠点に生
産販売しており、東京営業所を開設してから関東方面への販路
を拡大してきたが、今回、茨城県内に初の工場進出で、さらに
市場拡大を図る。
 新工場は、六万平方メートルの敷地に、鉄筋造り四階建て、
建築延床面積約九千平方メートル。最新のロボットや技術の生
産ラインを備えた業界最先端の工場。生産能力は、日産三十万
個(使用原材料大豆換算六十キロ入り三百俵)で、本格的に生
産稼働した。将来は第二、第三期と拡張工事により日産計七十
万個を生産する計画。
 ファクトリーパークのコンセプトを取り入れた工場内に「納
豆ギャラリー」を併設し、秋田の伝統的な納豆製法を再現する
雪むろやかまどを展示。納豆に関する知識などをパネルやビデ
オで紹介するほか、売店も設けている。問い合わせは同社茨城
工場総務部、(電)0298(75)2111へ。

『日本最大規模の納豆工場が完成−牛久/茨城』
1996/07/01 毎日新聞 地方版
 
 牛久市奥原町に、日本最大規模の納豆工場が完成した。納豆
メーカー大手の「ヤマダ・フーズ」(本社・秋田県仙南村、山
田清繁社長)が建設を進めていたもので、28日に落成披露式
が行われた。
 同社は6万平方メートルの広大な敷地に最新技術を駆使した
ロボット設備を導入。新工場は日産30万個の生産能力を持つ
が、今後さらに拡張し、日産70万個の生産を目指すという。
工場内の「納豆ギャラリー」では、日本の納豆だけでなく、東
アジア各地域の発酵大豆食品を展示し、解説を加えている。
 同社は秋田県で「納豆シンポジウム」を開くなどして、納豆
が骨粗しょう症の予防に役立つことなどをアピールしてきた。
茨城進出にあたっては「水戸納豆に対抗するだけでなく、納豆
が健康食品として見直されるよう活動したい」としている。

『納豆のヤマダフーズ、茨城・牛久市に首都圏向け工場。』
1996/06/29 日本経済新聞 地方経済面
 
 納豆メーカーのヤマダフーズ(秋田県仙南村、山田清繁社
長)が茨城県牛久市に建設していた茨城工場が完成し、二十八
日、関係者に公開した。本社工場に次ぐ二番目の拠点で、製品
は主に首都圏に供給する。
 新工場は牛久市の南奥原工業団地に隣接、敷地面積約六万平
方メートル。一期工事として日産三十万個(一個百グラム換
算)の設備を整えた。投資額は約二十五億円。将来は日産七十
万個規模にまで増設する計画で、東日本だけでなく近畿圏など
へも販売攻勢をかける。

『秋田の納豆メーカー、本場茨城に工場、ヤマダフーズ』
1996/06/29 日本農業新聞
 
 秋田県の納豆メーカー潟с}ダフーズが、納豆の本場、茨城
県内に建設していた茨城工場(牛久市奥原町)が二十八日完成
した。同工場は業界でも屈指の最新設備を備え、全国展開への
足掛かりとするもので、本格稼働すれば日産三十万個の納豆を
生産する。
 同フーズは、最先端のバイテク技術で独自の自社菌を開発、
何十種類もの自社菌を保有する納豆メーカーとして知られている。
 同工場の工程はすべて自動化。特に、発酵室は業界初の立体
自動回転室で、一室に約三万個(一個百グラム)の納豆の仕込
みが可能だ。約十七〜二十四時間で発酵、ムラのない納豆にな
る。また、箱詰めされた納豆は、ロボットでカーゴに自動的に
積み重ね立体冷蔵庫に収納される。
 生産能力は本格稼働すれば、日産三十万個(通常の百グラム
入りに換算)、使用原材料は大豆換算六十キロ入り三百俵にも
なる。今後、第三期工事が完了する約七年後には日産百万個の
生産を計画している。
 同工場で製造する納豆には「水戸の朝一番おはよう納豆」と
いうキャッチフレーズを付け出荷する。

『不正表示問題で生協に注意文書、青森県・行政処分せず』
1996/06/27 河北新報 朝刊
 
不正表示問題で生協に注意文書/青森県・行政処分せず
 青森市の生協コープあおもりが、輸入大豆を使った納豆や豆
腐を「青森県産大豆使用」として販売していた問題で、県生活
福祉部は26日までに注意の文書を同生協に送付した。
 文書は問題の納豆などについて「景品表示法に違反するおそ
れがある」として、「同様のことを行わないように注意する」
と再発防止を促している。
 県県民生活課は「商品を店頭から撤去するなど、生協が自主
的に改善に動いているので、行政処分ではなく注意にとどめ
た」と話している。

『ヤマダフーズ、納豆菌から健康飲料、ビタミン・酵素たっぷり―来年メド商品化。』
1996/06/24 日経産業新聞
 
 納豆大手のヤマダフーズ(秋田県仙南村、山田清繁社長)は
納豆菌を利用したバイオテクノロジーで各種の健康飲料原料を
量産する技術を開発、九七年をメドに健康飲料を商品化する。
健康増進に有効とされる各種のビタミン、酵素類を豊富に含
み、国内外への市場拡大を見込んでいる。販売ルートを持たな
いため、今後、大手飲料会社との販売提携を検討する。
 国内外から収集した納豆菌四十種類以上の大量培養技術をす
でに確立しており、各種の菌が産出するビタミン、酵素類の量
を微妙に調整した抽出液を製造できる。茨城県牛久市に月末完
工する新工場か、秋田の本社工場で生産する。
 量産にはバイオリアクター(生物反応器)を利用する。各種
の納豆菌を植え付けたセラミックス製培地の上に、菌の種類ご
とに温度、酸素量などを調節した栄養液を少しずつ滴下し、菌
の産出物を含んだ液を回収、精製して原液を作る。
 血栓溶解作用の認められた酵素のナットウキナーゼ、骨粗し
ょう症予防に役立つとの研究があるビタミンK2、整腸作用の
認められる酵素のプロテアーゼ、アミラーゼなどを、それぞれ
単体でも数種類でも含有量を自由に調整した原液が製造できる
という。菌の種類と培養条件を変えることで、成分調整が可能
になった。
 原液は「少し納豆のにおいがするが、ぬるぬるしたり、粘っ
たりはしない」(山田社長)。レモン汁などで味付けした製品
の試飲会を仙台市で開いたところ、消費者の反応が極めて良好
だったという。

『旭松食品が計画、納豆の売上高倍増。』
1996/06/19 日経金融新聞
 
 旭松食品(2911)は、納豆部門の売上高を九八年三月期
までに現在のほぼ二倍の七十億円に拡大する計画だ。関東市場
への進出を狙って三月に発売した新製品が順調に立ち上がった
ため、強気の戦略に出る。増産投資に伴うコストや宣伝費など
が負担で同部門はまだ赤字だが、九八年三月期には収支トント
ン以上に浮上させ、将来は収益の柱にする考え。
 同部門の前期の売り上げは約三十五億円(売上比率二四%)
だったが、今期は四十三億円強(同二七%)に拡大する見込
み。三月発売の「納豆いち 完熟超小粒」が徐々に販売エリア
を拡大、今秋から関西で発売することも検討している。兵庫の
小野工場、茨城・友部工場なども順次増産体制を整えており、
今期は約五億円を投じて包装のラインも更新した。九八年三月
期には償却も峠を越え、七十億円の売り上げなら採算は確保で
きるとみている。

『タカノフーズ本社工場内に「納豆博物館」オープン茨城県の名所に』
1996/06/17 日本食糧新聞
 
 納豆メーカーの最大手、タカノフーズ(株)(水戸本社=茨
城県東茨城郡、0299・58・5101、高野英一社長)は
5月30日、本社・工場敷地内の茨城県東茨城郡小川町に納豆
博物館をオープンした。茨城県は古くから「水戸納豆」の名称
で有名な納豆製造の本場。
 オープンした納豆博物館は従来なかった納豆のシンボライズ
の出現で、同県の新名所の誕生ともいえる。
 同社では納豆博物館を健康食納豆の一層のアピールを図り、
そのすばらしさの情報を発信する初の納豆専門博物館と位置付
け、「納豆の歴史と文化」を基軸とし、納豆誕生の秘密や起
源、などパネルやミニシアターを使って説明、あわせて納豆の
発酵法、製造法についても詳細な解説を行っている。
 他に全国の名物納豆の紹介など子供から大人まで楽しめる内
容で同社が従来から行っていた工場見学のコースと併せて、観
覧するとさらに興味深い。
 住所は茨城県東茨城郡小川町野田字大沼頭一五四二、JR常
磐線石岡駅から鹿島鉄道に乗換え、常陸小川駅下車、タクシー
で一〇分。開館時間は午前9時から午後4時(ただし正午から
午後1時は閉館、12月31日〜1月3日は休館)入館無料だ
が、団体での観覧希望の場合は事前連絡要。
 問合わせは電話(フリーダイヤル)0120・58・701
0、FAX0299・58・4104。食文化研究所所長永山
久夫氏が監修、設計は博報堂、施工は博報堂と鈴木良工務店。

『[きょうの夕食]納豆の包み揚げ』
1996/06/16 東京読売新聞 朝刊
 
◇材料=4人分
納豆150g
プロセスチーズ   40g
万能ネギ      2本
ワンタンの皮    20枚
練りガラシ     適量
………………………………
【カロリー・塩分=1人分】
225kcal/0.3g
 チーズの代わりにチリメンジャコ、サクラエビを混ぜてもよ
いでしょう。
【作り方】《1》チーズは5ミリ角、万能ネギは小口切りに
して納豆に加え、粘りがでるまでよく混ぜる《2》ワンタンの
皮を並べ、〈1〉を等分に乗せて三角形に折り、硬めに溶いた
水溶きかたくり粉(かたくり粉小さじ1杯半、水同1杯)を合
わせ目に塗ってとめる《3》揚げ油を180度に熱し、〈2〉
を入れてカラリときつね色に1分くらい揚げる《4》揚げたて
の熱々にカラシじょうゆを添えて。

『発売直後から輸入大豆使用、「コープあおもり」納豆不正表示問題』
1996/06/15 河北新報 朝刊
 
発売直後から輸入大豆使用/「コープあおもり」納豆不正表示
問題
 青森市の生協コープあおもりが、「青森県産大豆使用」とい
う表示内容と原料が違う納豆や豆腐を販売していた問題で、納
豆の原料は平成6年3月の発売開始直後から全量輸入大豆が使
われていたことが、同生協が14日までにまとめた調査結果で
分かった。
 調査結果によると、生協のオリジナル製品である「コープル
ちゃん納豆」は、最初の仕入れだけ国産大豆を使い、2回目の
仕入れからは輸入大豆だけで製造していた。平成2年11月か
ら発売された生揚げと焼き豆腐も、県産大豆を使っていたのは
発売から4カ月間だけで、その後は輸入大豆や国産と輸入のブ
レンド品を使っていた。
 また、生協の委託で納豆などを製造していた三ツ和食品(本
社八戸市、福士二郎社長)は、14日付の地元新聞に「輸入大
豆の使用は製造現場の独断で行った」とするおわびの広告を掲
載した。

『お箸で治す現代病 骨粗しょう症、緑茶や納豆を多く摂る地域には少ない』
1996/06/10 百歳元気新聞
 
 「ワタシ88。アナタは?」「へへーん、135よ」「すご
ーいっ!」。バストサイズではない。今、女性が体重の次に気
にする数字は骨密度なのだ。誰しも歳をとれば背骨は曲がるし
腰は痛む。しかし人生八〇年の時代となっても骨の寿命は五〇
年のまま。つまり、骨の危険な状態が三〇年間延長されてしま
ったのだ。骨粗しょう症の恐ろしさとともに日本人のカルシウ
ム不足が伝えられ「とにかく女ならとりあえずカルシウムを」
とばかりに旋風が吹き荒れている。しかし、カルシウムさえと
っていればOKかといえば決してそうとばかりはいえないようだ。
 骨粗しょう症がなぜそんなに問題となっているのか、これは
老人が寝たきりになってしまう原因の率をみればナットクす
る。一位脳卒中二位が骨粗しょう症による大腿骨頸部骨折。男
女あわせて一〇〇万人といわれる骨粗しょう症のうち年間一八
万人が骨折をしているという。普通骨は非常に強いもので、一
番強いスネの骨を折るのにはなんと九六キログラムの力がい
る。次に強い大腿骨では二七七キログラムの力でやっと折れる
のだが、骨粗しょう症ではこうした力が四分の一くらいまで弱
まる。健康な状態なら小錦が乗ってやっと折れるぐらいの骨
が、自分の体重程度で簡単に折れてしまうのだ。
 さて、それでその大腿骨の骨折の起こる率についてだが、昔
から牛乳やチーズを食べる習慣があり、一日に一二〇〇ミリグ
ラム(日本人の目標量の二倍)ものカルシウムを摂取するスウ
ェーデンで不思議なことに、日本の倍だという。このわけは日
本人と欧米人との骨格の違いにある。股関節のつなぎめの骨
が、日本人に比べ長いため折れやすいのだ。
 また、大蔵省東京病院折茂肇院長は「緑茶や納豆を多く摂る
地域に大腿骨頚部骨折が少ないというデータが出ています。日
本人には日本人にあった食習慣を守ることがいかに大切かとい
うことがわかります」と語る。
 よく『カルシウム貯金は若いうち』といわれるが、いくつに
なってもカルシウム摂取を心掛け、骨がスカスカになるのを少
しでも遅らせることが大切だ。しかし、もはや大きく貯えるに
は至らないので、三〇歳を過ぎたら自分にはどれだけ財産があ
り、それをどう使っていけば長持ちするかを考えていく。
 骨粗しょう症でとくに骨折しやすいのは手首の骨、肩のつけ
根、腿のつけ根。よろけたり転んだりして手をついたり足をひ
ねったりしたときに折れやすいので、家の中の段差をなくし滑
り止めや手すりをつけたりする工夫が有効。
 また食生活では、リン・ナトリウムを多く含むインスタント
食品やスナック菓子、喫煙、飲酒、カフェイン、ストレスなど
カルシウム摂取を邪魔するものを取り入れないようにするなど
して、骨折を避ける暮らしを心がけたい。

『納豆のすべて紹介、「博物館」が開館、茨城・小川町』
1996/06/04 日本農業新聞
 
 【茨城・常陸】納豆のメッカといえば水戸、茨城は全国生産
量六割のシェアを誇る。この納豆を紹介するユニークな「納豆
博物館」が五月三十日、小川町野田のタカノフーズ叶戸本社
工場敷地内に開館した。
 納豆業界トップのタカノフーズ梶i高野英一社長)が、健康
食納豆についての関心と理解を深めてもらおうと、鉄骨造り三
階建て、延べ床面積千八百平方メートルの研究所一階に、約百
八十平方メートルの納豆博物館と二百人収容のゲストホールが
併設された。
 館内には、納豆誕生の秘密や起源から製造方法、手作り納豆
のいろいろ、納豆の効用、納豆の容器の変遷、納豆と日本人と
のかかわり、日本全国歴史・伝説・名物納豆マップ、世界の大
豆発酵食品紹介などをイラストやパネル、現物模型で展示している。
 また、納豆の未来と科学(納豆は地球の健康食)、からくり
人形の動きと語りで紹介する江戸納豆絵巻(ミニシアター)、
コンピューターシステムを導入しQ&A方式による納豆情報室
で納豆あれこれ雑学を勉強できる。
 同博物館は、食文化史研究家の永山久夫氏の監修、博報堂の
企画設計などにより、納豆の素晴らしさを情報発信する従来に
ない納豆門博物館として、工場見学と併せての来館を待っている。
 開館時間は午前九時から午後四時まで、年末年始を除き年中
無休で入館無料。団体観覧は事前連絡を。問い合わせは同社総
務課、(電)(フリーダイヤル)0120(58)7010へ。

『マルキン食品八十年史』
1996/06/03 日本食糧新聞
 
 【福岡】納豆製造のマルキン食品(株)(本社=熊本市、0
1996・325・3232)は、平成7年に創立八〇周年を迎え
たのを機に、これを記念し「マルキン食品八十年史」を上梓した。
 同誌は第一章作力の時代、第二章復興の時代、第三章躍進の
時代、第四章充実の時代の四章に分かれ、創業者吉良彦太郎氏
の生い立ちから飽託郡本荘村に吉良製粉所を創設、納豆製造、
コンニャク製造、豆腐製造などの事業を拡大していった歴史や
その背景、数々の苦難、試練をなめながら現在に至った同社の
足跡が記されている。

『納豆で砂漠緑化、ネバネバから超高吸水性材、九州大学開発』
1996/05/05 日本農業新聞
 
 納豆の“ネバネバ”から特殊な方法で作り出した綿状物質
「超高吸水性ポリマー(重合体)」を活用し、砂漠での作物栽
培を可能にする壮大な環境リサイクルシステムを、九州大学農
学部の原敏夫助教授らの研究グループが考案した。
 原助教授は、納豆の糸は納豆菌の核外遺伝子「プラスミド」
の働きでできることを発見するなど、“納豆博士”の異名を持
つ研究者。
 考案した綿状物質は、納豆の粘り気(γポリグルタミン酸)
を洗浄した液をエタノールなどで精製してできる粉末に、ガン
マ線を照射して作る。
 この物質には驚異的な吸水能力があり、一グラムで四千五百
倍の四・五キロの水分を吸収できる。市販の紙おむつや生理用
品の最高約千倍の吸水能力をはるかに上回るという。
 同助教授らは、さらにこの綿状物質に水を含ませ、稲や麦、
大豆などの種子を包んだ「シード・ゲル」と呼ばれるゼリー状
の凝固材を開発。大きさはパチンコ玉大程度だが、乾燥地の土
中に埋めれば、水分が蒸発しにくいため、植物の栽培が可能に
なるという。
 シード・ゲルは土中の微生物により最終的に水と炭酸ガスに
分解されるため環境を汚さない。
 また、粘りを取った後の納豆は、加工して機能性たんぱく質
食品としても利用でき、“一石三鳥”の効果がある。
 同助教授は「ポリマーを作るのにコバルト60の照射はコス
トが高くつき、今後、手軽な物質に置き換えてコスト低減を図
る必要がある。二十一世紀は『環境と食糧』が課題。納豆を通
して地球環境問題の克服に貢献したい」と話しており、今年十
一月には、インドネシアで開かれる「グリーン・ポリマー国際
ワークショップ」で「納豆が地球を救う」とアピールする。

『納豆のこともっと知って、茨城にミニ博物館オープンへ』
1996/05/04 日本農業新聞
 
 茨城県名産の納豆の歴史や作り方などを紹介した小さな博物
館が同県小川町野田の納豆製造会社「タカノフーズ」(高野英
一社長)の敷地内に五月三十日オープンする。納豆を紹介した
本格的施設は全国で初。
 博物館は、同社が新築した納豆研究所の一階を使い、面積は
約百八十平方メートル。平安時代の武将、源義家が東北遠征し
た際、乗っていた馬の体温でわらに包まれた煮豆が納豆に変化
したという伝説や納豆製造のメカニズムなどをパネルで説明。
工場内での製造風景などをビデオなどで見せる。

『納豆資料館オープン、道具類の展示や関連資料など、水戸』
1996/04/05 日本農業新聞
 
 【茨城・常陸】水戸といえば梅と納豆と水戸黄門があまりに
も有名だが、水戸市内に初の「納豆資料館」がオープンし、見
学者を受け入れている。
 納豆資料館を造ったのは、水戸の観光みやげ“わらづと納
豆”で知られる天狗納豆総本家・笹沼五郎商店(水戸市三の丸
三丁目)社長の笹沼隆史さん。自社社屋二階の一室約六十平方
メートルを資料館として開設した。
 フロアには、大正から昭和初期にかけて納豆づくりに使われ
た蒸しがまとせいろ、たるの納豆菌かくはん器、わらづと納豆
を発酵させる室(むろ)などの道具類を実物や模型で展示。
 周囲の壁面には水戸地方の納豆の成り立ち、納豆年表、昔の
納豆の作り方、ヘルシー食品としての納豆の効能、全国の納豆
食分布図、納豆の食べ方いろいろ、納豆に関する俳句やことわ
ざなどをパネルや写真で展示紹介している。
 現在の小粒大豆による水戸納豆を商品として最初に製造した
のが、三代前の笹沼清左衛門。明治二十二年、鉄道・水戸線開
通の年に天狗納豆と名付け、水戸駅前で納豆売りの少年たちが
売り出し、水戸の土産として観光客の好評を得て東京や全国に
広く知れわたった。
 笹沼さんは「水の納豆はどういうものか、どのように作られ
てきたか、成り立ちや風土的なものを形として後世に残せるよ
うに資料館を造った」と話している。
 場所はJR水戸駅北口から徒歩約五分。見学の申し込みは
(電)029(225)2121へ。

『有機大豆で納豆、生産者と消費者が共同開発、千葉』
1996/04/03 日本農業新聞
 
 千葉県内の生産者と消費者が共同開発した「ちばDEVAN
DA(デバンダ)納豆」が商品化された。国産大豆の自給を高
めようと、両者が作付けを呼びかけてきたものが、商品の納豆
にまで発展した。初めての取り組みだったが、一万四千パック
の納豆が消費者の手元に届けられた。
 地域ネットワーク「ちばDEVANDA」では、九四年から
県内の生産者による「穀物自給推進運動」の一環として、大豆
栽培を推進してきた。九五年には、賛同した百八十五人の生産
者が、八百三十五アールに作付けし、消費者も庭やベランダ、
市民農園などで大豆を栽培し、ともに自給に取り組んでいる。
 「DEVANDA納豆」はこうした運動の成果を、目に見え
るものにしようと誕生した。原料の大豆は、JA山武郡市睦岡
支所の有機部会が提供。九百十五キロの有機・無農薬栽培した
大豆が集まった。生産者からの買い取り価格は六十キロ当たり
二万三千円だった。
 販売は、大地を守る会、らでぃっしゅぼーや、生活クラブ生
協・千葉の三団体の統一商品として、先月末に一斉販売した。
価格は一パック(八十グラム入り)百三十円と、通常扱いの国
産納豆と同価格。大地を守る会の場、予約で既に通常品を大き
く上回る注文があり、五千五百パックが消費者に配送された。
 大地を守る会の松倉一芳さんは「大豆を作付けしようという
運動を何かシンボル的なものにできないかと、生産者と話し合
い、納豆にたどりついた」と話す。消費者の反響も高く、穀物
の自給運動に対する支援が広まっているとみる。
 「ちばDEVANDA」が取り組む、国産自給推進運動の第
一号の開発商品になるが、今後は、麦類についても具体化させ
る計画。
 DEVANDAとは、「環境を大切にした、いきいきとした
農林水産業を実現するために行動するネットワーク」の頭文字
をとった。「ちばDEVANDA」は、千葉県のグループ。

『中埜酢店、業務用の重点施策は常・低温商品の拡販』
1996/03/15 日本食糧新聞
 
 (株)中埜酢店(本社=愛知県半田市、0569・24・5
087)は、九六年度業務用分野の重点施策として(1)常温
重点商品の拡販(2)低温商品への積極的取組み(3)ソフト
サービスの充実(4)新製品開発を積極的に進める。
 常温重点商品は食酢、ドレッシング、つゆ・たれ、レトルト
食品など。情報提供、販売企画提案、リニューアルで商品力を
高める。
 低温商品は冷凍のいなり寿司、太巻きなど寿司グループと納
豆など惣菜グループの拡販を目指す。
 取引先をバックアップするソフトサービスは(1)メニュー
検索システム、市場動向調査などの各種データサービスの充実
(2)試食、プレゼンテーションでの提案(3)メニュー開
発、コスト低減システム、衛生管理などのテクニカルサービス
の実施(4)新たに冷凍商品を加えたサンプルシステムの充実
を図る。
 この春の新製品はドレッシング、惣菜のたれ、焼しゃぶのた
れ、ミリカ冷凍食品シリーズの竹皮ちまき、しゃり玉、焼おむ
すびなど四〇品目以上を発売、既存商品のラインアップを充実
した。
 大阪、東京で開催した業務用ミツカン会で今年度の方針を発
表したもの。

『納豆業界が鑑評・研修会 「ご飯と一緒が有効」報告』
1996/03/10 百歳元気新聞
 
 骨粗しょう症に効く栄養素、ビタミンKを豊富に含むことが
知られ、現在注目を集めている納豆だが、そのメーカーの全国
組織全国納豆協同組合連合会(東京都台東区、03・383
2・0709)青年同友会による納豆鑑評会と研修会が2月2
0日、21日に行われた。鑑評会では一社につき一品が出品さ
れ、一二人の審査員が試食、納豆としての品質を総合的に評価
し一位〜五位まで選出、一〜三位の農林水産省食品流通局局長
賞に(有)だいもんじ食品、タカノフーズ(株)、(有)小岩
久三郎商店、四位の全国納豆協同組合連合会会長賞に(株)朝
一番、五位の納親会会長賞に高橋食品工業(株)が選ばれ表彰
された。
 21日の研修会では講演が行われ、東京都立食品技術センタ
ーの細井知弘氏による「納豆菌の機能摂取による腸内細菌叢の
変動について」では、納豆菌が腸内でどのような働きを起こす
かを実験データをもとに解説、とくに糖が納豆菌の繁殖に有用
であることから納豆はごはんと一緒に食べるのがいいことが強
調された。
 また、同センター広瀬理恵子氏は、納豆の賞味期限について
従来より判断基準となっているアンモニア窒素含量の成分変化
が確かに有効であることを報告した。
 最後に同センター所長斎尾恭子氏は「大豆のはなし」とし
て、大豆の生産、消費についての現状と大豆組織の解説を行なった。

『全国納豆協同組合連合会、納豆鑑評会開く 青年同友会研修も』
1996/03/01 日本食糧新聞
 
 全国納豆協同組合連合会青年同友会(東京都台東区、03・
3832・0709)主催による平成7年度全国納豆鑑評会と
青年同友会研修会(共催納親会)が2月20日、21日に開催
された。鑑評会は20日、南青山会館で行われ五〇社が出品
(一社一品)。一二人の審査員が試食、審査した。
 研修会は21日、ウエスティンホテル東京で行われ、富岡守
全納連青年同友会委員長、高星進一全納連会長両氏による開会
あいさつのあと四人の講師が講演、内容は次の通り。
 「物あまり時代の商品開発」日本チェーンストア協会常務理
事・白石吉平氏、「納豆菌の機能性」東京都立食品技術センタ
ー・細井知弘氏、「納豆保存中の品質変化」東京都立食品技術
センター・広瀬理恵子氏、「大豆のはなし」東京都立食品技術
センター所長・斎尾恭子氏。
 つづいて平成7年度全国納豆鑑評会の表彰式が行われ、一位
〜三位の農林水産省食品流通局長賞に(有)だいもんじ食品、
タカノフーズ(株)、(有)小岩久三郎商店が選ばれ、四位の
全国納豆協同組合連合会会長賞に(株)朝一番、五位の納親会
会長賞に、高橋食品工業(株)が選ばれ表彰された。

『高橋食品工業―ゴミ処理機、新たな柱に(出番ですよ東北の中堅企業)』
1996/02/24 日本経済新聞 地方経済面
 
 東北では有数の納豆の製造販売会社で、創業は一九二九年。
創業者の高橋三雄次氏が郷里の山形県新庄市で取り組んでいた
豆腐製造業から独立し、仙台に進出した。
 戦後は納豆に続いて、モヤシ、コンニャク、冷菓の製造販売
も開始。現社長の高橋氏が専務時代の一九八一年に豆腐部門に
進出、現在は同社の中心商品に育っている。
 だが、豆腐部門の拡大とともに浮上してきたのが、豆腐の搾
りかすである「おから」の処理問題。おからは含水量が多いこ
とから乾燥しにくく、埋めてもメタンガスが発生するなど豆腐
メーカーは処理に頭を痛めていた。そこで高橋社長は、おから
処理がビジネスにならないかと考えた。
 当初はおからの発酵処理や、せんべい、コロッケ、ハンバー
グなどの食物への利用を研究したが、いずれもうまくいかな
い。肥料化できないかと試したが、十円で販売する肥料をつく
るのに二十円のコストがかかってしまった。困った揚げ句に、
宮城県工業技術センターに相談を持ち掛け、東北大学などと共
同で生ゴミ焼却装置の開発を始めた。
 高橋社長は八七年に高橋食品工業の環境関連部門を分離独立
させて「アール・ビー」を設立。一年をかけて八九年に一号機
を完成させた。
 乾燥機とボイラーを組み合わせ、おからの水分をまず除去し
てから焼却するのが特徴で、腐敗臭もなく衛生的に処理でき
る。焼却熱エネルギーは製造ラインの蒸気として回収。排ガス
を乾燥熱として利用し、ばい煙を除去してから排出する。
 おからだけでなく、野菜くずなど食品製造に伴うゴミ処理に
も使えるよう改良。九五年には国際特許を取得した。
 全国各地の機械メーカーに販売委託する計画で、九六年から
協力工場三社での生産体制をスタートさせている。今後はアジ
アを中心に海外での販売拡大も目指す考えで、韓国や香港から
の引き合いもあるという。

『ヤマダフーズ―茨城に新工場、納豆を増産(出番ですよ東北の中堅企業)』
1996/02/17 日本経済新聞 地方経済面
 
 秋田県を拠点に北海道から関西までに販売網を持つ全国有数
の納豆メーカー。電算機による生産管理体制の確立、徹底した
品質管理、積極的な商品開発を進めている。工場を消費者に開
放するなどファン拡大にも意欲的だ。本場、茨城県牛久市に関
東工場を建設中で、新工場を拠点に一段の飛躍を目指す。
 一九五四年(昭和二十九年)に山田清繁社長の父親、清助氏
により「金沢納豆製造所」として創業。七一年に現在の本社工
場所在地に工場を新築して移転、秋田県全域に販路を広げた。
八六年にはCIを導入して現在の「ヤマダフーズ」となった。
 八六年にはバイオテクノロジーを応用し、新しい納豆菌や大
豆タンパクを使った商品の開発を進める食品研究所を設立。菌
メーカーに頼らず独自の納豆菌を抽出、大量培養し、糸を引か
ない納豆やレシチンを強化した納豆などの商品化に成功してい
る。九五年には自社開発の新種納豆菌を使った野菜サラダと手
巻きすし用の製品を発売。用途提案型製品の第一弾と位置付け
た。今後、この分野を強化する考えだ。
 三月に完了する関東工場の一期工事分は、本社工場と同じ日
産三十万個(一個百グラム換算)の生産能力を備える。本社工
場で培った生産技術を集大成し、品質のむらをなくす自動発酵
装置や立体自動倉庫などを導入した近代工場となる。二期、三
期工事をにらんで資金調達のため、株式の店頭公開の準備も進
めている。

『「いばらき大ふるさと博」、21日まで水戸で』
1996/02/17 日本農業新聞
 
 【茨城・常陸】郷土の物産・料理などを広く県民に紹介し、
県産品の販路拡大と観光客の増加を図る「第十三回いばらき大
ふるさと博」(茨城県・県観光協会など主催)が十六日、水戸
市泉町の水戸京成百貨店八階催事場で開会した。
 恒例のイベント「ふるさと物産展」では、県内で生産される
干し芋やゆばなどの農産品、清酒、みそ、納豆、銘茶、ハム、
つくだ煮、漬物などの食品(三十五社)。それにキリげたや結
城つむぎ、淡水真珠、竹人形など工芸品(二十三社)の展示・
即売および実演が行われている。
 「いばらき郷土料理展示会」では、県内の旅館・ホテルなど
で包丁を握っている調理人が調理した会席料理や家庭料理(十
九品目)を展示するほか、名物あんこうのつるし切り(十六〜
十七日の二日間)、おでん試食会も行っている。
 そのほか、観光PRコーナーを設け、市町村のキャンペーン
ガールによる観光地案内およびイベントの紹介や観光施設の入
場券が当たる抽選会など盛りだくさんの内容。会場は訪れる買
い物客でにぎわっている。会期は二十一日まで。

『中国産大豆の4―6月輸入割増金、50%引き上げで決着―製品価格押し上げも。』
1996/02/16 日本経済新聞 朝刊
 
 みそ原料などに使う中国産大豆の四―六月積み輸入プレミア
ム(割増金)をめぐる日本商社と中国糧油食品進出口総公司と
の値決め交渉が前期比約五〇%の大幅引き上げで決着した。新
プレミアムは一トン当たり一〇〇ドルで、過去最高の水準とな
る。天候不順による九五年産の不作で中国側の輸出余力が大き
く低下しており、糧油総公司の提示値を全面的に受け入れた。
今後、みそや納豆の生産コストを押し上げるのは必至だ。
 今回の交渉で、輸出窓口の糧油総公司は「国内の大豆価格が
急騰しているため、プレミアムを大幅に引き上げないと生産農
家は輸出に応じない」と説明し、前期(一―二月積み)に比べ
三三ドルの値上げを提示。ニチメン、三菱商事、太洋物産など
の輸入商社も「みそ業界への安定供給が先決」(ニチメン農産
品部)と判断、糧油総公司の提示値で計四万六千トンを買い付けた。
 中国産大豆の輸入価格は需要家の指定した時期にプレミアム
を国際指標となる米国・シカゴ商品取引所の先物相場に上乗せ
して確定する仕組み。現時点の相場で計算すると、一トン三七
〇ドル(大連港FOB=本船渡し)前後となる。
 九五年産の中国の大豆生産量は前年比九%減の千四百五十万
トンに落ち込み、同国内の需給がひっ迫。取引価格も一トン三
九〇ドルに達している。このため、中国政府は輸出許可証(E
L)の発給に消極的で、これまでのところ七月積み以降のEL
発給の見通しは立っていない。
 日本側とのプレミアム交渉も通常なら半年ごとに行われる
が、最近はELの発給を待って細切れに実施する異例の事態が
続いており、三月積みの交渉は見送られた。
 中国産大豆の国内需要は年間約十八万トン。九五年産は二月
積みまでに計十一万トンを手当てしたため、七―九月積みでは
約二万四千トンが必要とみられる。五月にもそのプレミアム交
渉が始まる見通しだが、市場では「さらに引き上げられそう」
との観測が支配的だ。

『農業入門講座5コース、3月〜12月、福井・南越普及センター』
1996/02/11 日本農業新聞
 
 〈くるりん納豆飯=ばん〉四人分で、青ジソ八枚を千切りに
する。ラディッシュ四個を輪切りにする。白ゴマ大さじ二を香
り良くいり、切りゴマにする。チャーシュー百グラムを一セン
チのさいの目切りにする。以上のものを、ご飯三カップに加
え、納豆百グラム、市販のだししょうゆ小さじ二、マヨネーズ
大さじ三とともに、混ぜ合わせる。それを器に盛り、真ん中
に、サニーレタス二分の一個を洗い、適当な大きさに手でちぎ
ったものをあしらい、包んで食べる。ぼうっとしがちな朝、脳
細胞の働きを活発にするレシチンを含む納豆を使い、十五分ほ
どでできる。野菜や豆、たんぱく質、炭水化物が、一品でとれ
るよう工夫されている。
 (富山県黒部市古御堂・伊東栄美さんの作品)

『エッ! ホント 納豆と豆腐は漢字違いか?』
1996/02/10 百歳元気新聞
 
 「豆腐」と「納豆」の不思議な関係を紹介しよう。この両者
とも日本古来からある食品と思われがちだが、実際には中国か
らの輸入品である。もちろん別ルートで輸入されたが時は同じ
奈良時代。そして原料も同じ大豆を使用、というように共通点
が多い。改めて二つの食品の漢字を見てみると、アレ?…豆が
腐ると書く豆腐。しかし現実は豆が腐っているのは納豆である。
 また豆を納めると書く納豆。これも現実と照らし合すと豆が
箱に納まっているのは豆腐である。もしや漢字を間違えたまま
輸入されたのでは?……興味深いので調べてみた。
 それで分かったことには、豆腐のルーツは「乳腐」という乳
加工品にあった。しかし中国では牧畜をあまり行なわなかった
ため原料の乳に不自由し、大豆を乳の代用品として使用した。
ここで豆腐の誕生となる。語源は「乳腐」の「乳」が原料の変
更に伴い「豆」に変更されただけで「豆腐」となったというわけだ。
 一方納豆は、塩辛納豆がはじまりとされ寺納豆、唐納豆と言
われ禅宗寺院の精進の菜として珍重された。現在私たちの食生
活で親しまれている糸引き納豆はわが国独自のものだとされる
が、その起源は不明である。語源は僧家の庖厨(ほうちゅう)
を納所(なっしょ)と呼び、その納所で作られた「納所豆」の
意味だとされる。
 豆腐と納豆、漢字を間違えたまま輸入されたという説は信ぴ
ょう性に欠けるようだ。

『今また注目 納豆を食べよう 無臭、栄養添加など新顔も続々』
1996/02/10 百歳元気新聞
 
 納豆は日本人にとって最も身近な伝統ある自然食品であり、
古くから高たんぱく食品として知られている。また脳卒中、心
筋梗塞、老化予防に効果がある優れた健康食品だ。
 今日納豆と呼んでいるのは一般的には糸引き納豆のことで、
原料大豆を蒸煮し、八〇〜九〇℃まで冷却。その後、納豆菌を
接種し、約四〇℃に保持発酵(一六〜一八時間)させてつく
る。納豆菌の胞子は耐熱性が強いため、高温となる製造過程の
中でも死滅しない(一般微生物は死滅する)。
●豊富なたんぱく質
 納豆の栄養については、まず原料である大豆そのものが良質
のたんぱく質を豊富に含むことから栄養価が高い。坑がん作用
を持つといわれるセレンも含んでいる。また、ゆでた大豆に比
べて六倍以上のビタミンB( 2)や、大豆に含まれていない
ビタミンB( 12)も納豆は含有している。さらに、最近骨
粗鬆症の予防に効果があることが発表されたビタミンKも含
む。他にもビタミンEや鉄分など多様な栄養分を含んでいる。
 一方、肉類に多く含まれているコレステロールは納豆には含
まれておらず、食物繊維が多く、大豆のたんぱく質や脂肪が納
豆菌によって分解されているため消化吸収率もよい。
 このように納豆は身体にいいのだが、独得の臭い(発酵臭)
があるためうけつけない人もいる。外国人は納豆の有益性を認
めてもいざ食べるとなると拒否反応を起こす人が多い。日本人
でも関西地方を中心に納豆を食べる習慣がなかったこともあ
り、納豆の臭いに抵抗を持つ人がいる。このためメーカーも無
臭納豆の製品化を実現し普及に力を入れてきたが、現在でも人
気のある食品とは言い難く、納豆を食べることは習慣化されて
いない。
 近年、納豆が注目されたのは、須見洋行倉敷芸科大教授が昭
和63年に「血栓溶解酵素ナットウキナーゼ」を発表し、脳卒
中や心筋梗塞の予防・治療に効果があることが報道されたこと
による。この結果、納豆の人気が高まり消費も大きく伸びた。
急速に関西に普及しだしたのもこの頃である。
 また昨年は納豆に多く含まれているビタミンKに骨粗鬆症の
予防効果があることが発表され、再び注目された。こうした現
象によってか、今日、とくに病院や老人ホームが積極的に納豆
を献立に取り入れている。
●熱いご飯に、が一番
 一方、メーカーもオーソドックスな納豆以外に、工夫をこら
した商品を開発、販売している。
 前述した無臭納豆以外にも、カルシウム、鉄分、DHAなど
を添加したものや有機栽培、無農薬大豆も使用したものなど、
やはりヘルシーさをアピールした開発が多いようだが、他にも
乾燥加工した納豆やスティック、チューブに入れたペースト状
のもの(手巻ずしのネタやピザなどに手軽に使うことができ
る)、納豆ドリンクなど変わった製品もある。こうした製品を
料理に活用すれば、納豆の苦手な人も食べやすくなるだろう。
 とはいっても、やはり納豆は生のものを熱いご飯といっしょ
に食べるのが栄養上最も望ましい。戦後食事の洋風化が進み朝
食で納豆を食べる機会は少なくなったが、食生活を見直すうえ
で納豆が重要な食品であることには間違いない。
 ワーフェリン服用中はご注意を! 
 ワーフェリンはビタミンKのはたらきを抑え、血液が凝固す
るのを防ぐ薬で脳塞栓や心筋梗塞の予防薬として投与される。
 ビタミンKを多くとればとるほど薬の効果が弱まってしまう
ので、納豆菌によってビタミンK( 2)が多量に合成される
納豆はワーフェリンを投与されている人に限っては食べない方
が無難だ。

『製造年月日併記義務付け、牛乳・豆腐・納豆など対象―都、5月メド条例改正。』
1996/02/08 日経流通新聞
 
 東京都は五月をメドに、牛乳、豆腐、納豆など時間の経過に
伴う鮮度劣化の激しい日配品の食品、飲料などには「期限表
示」と同時に製造年月日を併記するように都条例を改正する方
針だ。十四日に開く消費生活対策審議会に諮り、対象商品など
の具体的な作業に入る。厚生省、農水省は期限表示の一本化を
推進しているが、都では「製造年月日は消費者にとって商品選
択の参考になる」(適正表示課)とみている。
 加工食品などのパッケージに印刷する日付表示は九五年四月
の食品衛生法施行諸規則改正で、製造年月日表示から、いつま
で安心して食べることができるかを示す期限表示に変更となっ
た。九七年三月までは移行期間として製造年月日表示でも代用
できるが、最近では大半の商品が、賞味期限、品質保持期限な
どの期限表示に変わっている。
 都は日配品のように製造してからおおむね五日以内に消費す
る商品について製造年月日表示を残すように求める声が多いた
め期限表示との併記を義務付ける。
 対象商品は消費生活対策審議会で消費者団体や業界団体など
からも意見を聞き、選定する考え。
 日付表示を巡っては、東京都議会が十二月に「飲用乳製品へ
製造年月日の併記を認めてほしい」とする決議をして首相など
に意見書を提出。メーカー主導による期限表示への一本化をけ
ん制している。

『[くらし便利帳]糸を引かない納豆 害もないが味もない/茨城』
1996/02/02 毎日新聞 地方版
 
 問 納豆を食べようとしたら、あまり糸が引かないものや、
白色のカビ状のものが付着しているものがありました。また、
しばらく冷蔵保存しておくとアンモニアのようなにおいがする
ものや、褐色になるものがありました。なぜでしょうか? 食
べても大丈夫ですか?
 答 納豆は、納豆菌を蒸した大豆に増殖させて作る食品で
す。納豆菌は発育すると粘質物を生成しますが、糸を引かない
ということは発酵温度が低いため納豆菌が発育してないことを
意味します。同時に、低い温度でも増殖する雑菌が侵入して、
納豆菌の代わりに幅を利かせている可能性もあります。雑菌の
汚染がある場合は酸臭を生じますが、酸臭がなくても用心のた
め食べないほうが良いでしょう。
 白色のカビ状のものはチロシンの結晶です。チロシンは白色
結晶性の物質で、たんぱく質の分解によって生じたアミノ酸の
一種なので食べても無害です。水に溶けにくいので、表面が乾
燥すると発生しやすく、冷蔵した場合、特に早く出る傾向があ
ります。また、褐色になるものは、このチロシンが保存中に糖
と反応し、この時に生じる物質によって変色するためです。
 アンモニア臭は納豆菌によって発生します。熟成終了後、十
二―十六時間くらいするとアンモニアが増え始めます。これは
品質低下により発生します。食べても害はありませんがおいし
くはありません。
 納豆はアルカリ性食品で、たんぱく質や食物繊維のほかに、
納豆菌が合成するビタミンB2が豊富に含まれています。ま
た、消化しやすく、腸内で有害菌の繁殖を防ぐ作用がありま
す。手軽で体に良いので朝食には欠かすことのできない食品で
はないでしょうか。
(県消費生活センター)

『【談話室】思い込み捨て好奇心で前進』
1996/02/02 産経新聞 朝刊
 
 野田晴美 32
 (兵庫県明石市)
 納豆が食べられるようになった。栄養価は高いが、子供のこ
ろから「納豆は関東の食べ物で、ウチら関西人にはダメ」と、
思い込んでいたのだけれど…食べてみると、アラ、おいしい。
 この思い込みは、考えてみれば結構多いのではないだろう
か。思い込んだら、他人に「こうした方がいいよ」と言われて
も耳を貸さず、自分の殻(から)に閉じ込もる人も多い。で
も、私の納豆ではないが「ちょっと試してみるか」の好奇心
が、新しい発見、経験につながることがわかった。長い人生
で、この好奇心、柔軟性を失うと、その人の時間は、そこで止
まってしまうのではないか。
 いま、私は七ヵ月の赤ちゃんを育てているが、赤ちゃんは好
奇心だけで動いているようだ。目新しいものに目を輝かせて、
ハイハイで突進していく。
 そんな赤ちゃんを見ていて、思い込みを捨て好奇心を持ち、
自分と違う意見、評価にも耳を傾ける柔軟性が、人生を輝かす
原動力と思った。(主婦)

『奈良先端大、枯草菌の遺伝子解析――来年7月終了見込む。』
1996/01/29 日経産業新聞
 
 奈良先端科学技術大学院大学の小笠原直毅教授は、納豆の生
産などに使われる枯草菌の全遺伝子(ゲノム)の塩基配列の解
析が九七年七月に終了するという見通しを明らかにした。人間
のゲノム解析計画に先駆けて、遺伝子同士の相互関係の解明と
いう第二ステージに研究の主力が移る。
 枯草菌の遺伝子解析は欧州と日本とが共同で進めており、小
笠原教授はメンバーの一人。各国の研究機関の解析作業の進行
状況を調べたところ、九七年七月までに四百二十万すべてのデ
オキシリボ核酸(DNA)塩基対の情報が解読できるという見
通しを得た。
 枯草菌も人間の細胞も、遺伝子を複写し細胞を分裂して増殖
する仕組みは基本的に同じ。枯草菌は栄養環境が悪化すると胞
子を作る能力を備えており、遺伝子の働きの解明は人間の細胞
がそれぞれの器官などに分かれる「分化」の研究に役立つと考
えられている。
 研究グループは枯草菌全遺伝子の構造解明にメドをつけたの
を受け、次の段階として各遺伝子の相互作用による機能発揮の
解明に入る。その結果は、枯草菌を使う生理活性物質生産のほ
か、人間の遺伝子の相互作用を研究する際の羅針盤になると、
ヒトゲノム解析計画を進める松原謙一大阪大学細胞生体工学セ
ンター教授は話している。

『農産物の需要と生産の長期見通し 農水省(3) 大豆蛋白』
1996/01/29 日本食糧新聞
 
 大豆は、豆腐・油揚げ、納豆などの食用需要が近年横ばい傾
向で推移しており、今後もこの傾向が続くとして、一人当たり
食用消費量は平成4年度(六・七キログラム)とほぼ横ばいの
六・四キログラム程度と見通される。
 製油用などの加工用についても横ばいで推移するとして、総
需要量は4年度(四二八万t)と横ばいの四八三万tと見通した。
 生産の見通しは国産大豆は、輸入大豆に比べて、タンパク質
含有量が多いことから豆腐、納豆、煮豆などの食品用に優れた
適性を有している。また、国産大豆使用を明示することにより
差別化を図っている商品もある。しかし、作付面積の減少、単
収の伸び悩みにより生産量は減少傾向で推移している。また、
生産単位が零細で、集出荷ロットが小さく、このような数量・
品質両面にわたる供給面での不安定性から、実需者の国産大豆
離れの動きがある。このため、生産サイドと需要サイドとの連
携を強化しつつ、食品加工用原料として品質・供給量の安定化
を図ることが重要としている。団地化・組織化による生産単位
の拡大、単収の向上、高生産性技術の普及による大幅なコスト
ダウンを進める必要があるとともに、水田における麦・大豆作
付体系や畑作における合理的な輪作体系の定着を通じた主産地
形成により供給の安定を確保する必要がある。
 このような生産構造が実現し、国産大豆の品質面での優位性
を前面に打ち出した生産が図られることを前提に二六万tへの
生産の拡大を見込んでいる。
 一〇a当たり収量は生産集中、良質・多収品種の開発・普及
などから4年産(平年収量一七八キログラム)に比べ三割強増
の二三九キログラム程度と見込み、作付面積は横ばいの一一万
ヘクタールを見込んでいる。
 油脂の一人当たりの消費量は健康志向の高まりなどからほぼ
横ばいで推移している。5年度は増加したが、未曾有のコメの
不作からパン類の消費が増加したことに伴うもので、今後も消
費量は横ばい傾向で推移し、4年度(一四・二キログラム)と
同水準の一四キログラム程度と見通し総需要量は4年度(二七
四万t)に比べ微増の二八一万t程度と見ている。
 国内産原料による生産量は、米ぬか油、魚油は減少するもの
の、牛脂、豚脂は増加するとみられることから、4年度(五二
万t)とほぼ横ばいの五〇万t程度と見込んでいる。

『【料理レシピ】体がしんから温まる 納豆汁』
1996/01/26 産経新聞 朝刊
 
《作り方》
(1) 木綿豆腐はセンチ角に切る。
(2) こんにゃくは1センチ角に切り、熱湯でさっとゆでる。
(3) ニンジンはイチョウ切りにする。
(4) 長ネギは小口切りにする。
(5) なべに表面を軽くふいた昆布と水3・1/2カップを
入れて弱火にかける。気泡がでてきたら昆布を取り出し、削り
節を加えて一煮立ちさせ、火から下ろして1〜2分おき、こ
す。
(6) (5)に(2)(3)と酒大さじ1/2を入れて2〜
3分煮、(1)と、(4)の2/3量を加える。みそ大さじ3
を少しずつ溶き入れ、仕上げに納豆を加え混ぜる。
(7) 器に(6)を盛り、残りの(4)をのせる。
《材料メモ》
納豆(100グラム・ひきわり)…………1パック
木綿豆腐………1/4丁
こんにゃく……1/4枚
ニンジン………1/4本
長ネギ…………1/2本
昆布……………5センチ
削り節…………1・1/4カップ
酒、みそ

『矢口納豆製造所(浦和市)大豆厳選、“本モノ”アピール(繁盛店)』
1996/01/25 日経流通新聞
 
 「なっとう、なっとう」の昔懐かしい売り声が聞こえてくる
と、やがて白いミニバンがやってきて「がんこおやじ納豆」移
動販売店が店開きする。売り手は二十代の若者だ。「納豆売り
はおじさん」と連想してしまう買い手は、若い売り手の登場に
ただならぬ様子を感じ取る。しかし、この納豆が昔の製法をか
たくなに守ってきた本モノと知るや、買い手たちは若さには知
性や品性が裏打ちされていることがわかり、すっかりファンに
変身してしまう。
 埼玉県南部や東京都の一部で人気が高まっているこの車は今
では、十六台がフルに動き回っている。本格的に始めて四年程
度しかたっていないのだから急成長中のビジネスといえる。
 発想の原点は経営者(矢口文雄氏)の義弟である関雅之専務
が、「こんな良い商品を埋もれさせる手はない」と本業の保険
業のあい間をぬって直販してみた体験から。売れたのである。
アルバイトでもよく売れた。大豆を厳選し、昔からの炭火手造
り製法を守って作った“本モノ”はみんなが待ち望んでいたも
のだという事実を肌で知ったわけだ。その事実がまた若者のハ
ートを刺激した。手製のチラシでこの納豆の意味を主体的に訴
えはじめた。
 そうやって機械製造による大量生産大量販売型の納豆との根
本的な違いがわかる売り手と買い手が誇らしく結びついていった。
(桑原経営研究所 桑原 才介)

『【おいしいエッセー】作家 藤堂志津子さん 出会いの妙味』
1996/01/22 産経新聞 朝刊
 
 おそらく性格的なかたよりがあるのだろう。私はあるひとつ
の食べものが気に入ると、そればかりをずっと思いつめる傾向
がある。
 数年前まではそうだった。一時期は納豆のことで頭がいっぱ
いだった。ある期間は、某食品会社のスモークサーモンを追い
つづけた。別の季節には煮豆に執念を燃やした。
 これが食べもののこと以外にも傾ける情熱ならいいのだが、
残念な話、そうはならない。飽きっぽくて必ず途中で投げやり
になる。根気がない。いちばん長くつづいているのが、唯一、
書くことかもしれないと大げさではなく本当にそう思う。そし
て、その反動みたいに、気に入った食べものに出会うと、しん
そこから惚(ほ)れこむ。
 しかも、それが食べたくて、食べたくて、頭からはなれなく
なる。中毒状態におちいる。
 あるとき、私はひらめいた。我慢することはない、気に入っ
たそれを、とことん飽きるまで食べつづけてみればいいのだ、と。
 実行に移した。
 くる日もくる日も気に入りのそれを「おいしい、おいしい」
と食べ、やがてまる一カ月がすぎると、さすがに飽きてきた。
一日一回ではなく、二回も三回も食べつづけた揚げ句である。
思いつめる、という熱病状態から、ようやく解放された。
 以来、気に入った食べものに出会うたび、それを思いつめる
自分がイヤで、なるべく集中して、それを食べるようにしている。
 そのせいか、最近の私は思いつめ、思いこがれる食べもの
は、ほとんどなくなった。しかし、またいつかそういう宿命的
なめぐりあいを期待する気持ちもなくもない。何かに熱中して
夢中になる妙味とでもいうのだろうか。それにしても、この
話、こうして書きながら、恋愛に似ていると、いま気づいた。

『[みんな集合]うちのネコは納豆好き=渡辺恵子さん(日曜くらぶ)』
1996/01/21 毎日新聞 朝刊
 
 うちのネコは何と納豆を食べます。納豆のパックを開けると
飛んで来てイスに座ります。食べ終わった、空のパックをやる
と喜んでなめます。しょっぱいので体に悪いんではないかと
少々心配ですが、あのねばねばさがたまらないのでしょうか。
(埼玉県大井町・15歳)

『[新むらおこし]四季の会、宮城県志波姫町』
1996/01/20 日本農業新聞
 
 転作で導入された大豆を中心に納豆、豆腐など農産加工に張
り切っているのが、宮城県栗原郡志波姫町の「四季の会」の
面々。婦人パワーでのむら興しが特産品を作り、町に活気を与
えている。
 四季の会は、四季折々の味を「ふるさとの味」として地場産
の特産品を作ろうと、昭和六十三年に九人で結成した農産加工
グループ。
 当時は転作の強化が進み、対応に苦慮していた町が、新たな
取り組みとして転作作物に大豆を取り上げ、奨励したことか
ら、それを利用してのみそ造りに着目した。「地場の大豆を使
って、地域の味を作れたら」と早速、農産加工を通じた地場産
品の研究開発に乗り出した。
 平成元年に最初に取り組んだのが「姫っこ味噌(みそ)」。
町や地域農業改良普及センターなどの指導で始まり、苦労を重
ねて完成にこぎつけた。「姫っこ味噌」は、地場産大豆に加
え、志波姫の一等米を使っており、いずれも地域の顔。それら
を使っての味の良さが自慢だ。今では軌道に乗り、県外からの
注文も殺到して町特産品の顔になっている。
 現在は納豆はもとより、特産品としての販売許可を取得し、
本格的に取り組んでいる。さらに「姫っこ味噌」のほか、やた
らっこ漬」「水車漬」などの漬物の分野まで販路を拡大。一昨
年には、日ごろの会員の努力が実を結び、宮城県農産加工コン
クールの味噌部門で「姫っこ味噌」が優秀賞に輝き、品質の高
さを実証した。
 会員の九人は農家の台所を切り盛りする主婦ばかり。一日の
農作業を終えてから加工室へと足を運び、田舎の味にこだわり
ながら、週二回の仕込みや出荷作業に汗を流す。
 「姫っこ味噌」は県外でも人気が高く、申し込みが多い。千
田みつ子会長は「注文が多く、うれしい悲鳴です。スタートし
た当時を思い出すと、よくやってこられたと思っています。今
後も会員相互の研さんを深め、志波姫の特産として喜んでいた
だけるようなものを作っていきたい」と今後の抱負を語ってい
る。(宮城・志波姫)
<メモ>
 志波姫町は仙台から六十数キロの距離にあり、米と肉牛の盛
んな地域。栗駒山の登山口でもある。最寄りの新幹線の栗駒高
原駅の前には、日本一大きい水車が造られており、観光客の目
を奪っている。

『科技庁資源調査会、「四訂食品成分表」にビタミンKなど追加』
1996/01/10 百歳元気新聞
 
 科学技術庁の資源調査会はこのほど、学校・病院などで栄養
管理の基礎資料として使われている「四訂日本食品標準成分
表」に新たにビタミンK、B( 6)、B( 12)、が付け
加えられたことを発表した。
 ビタミンKは最近、骨粗しょう症との関連が指摘されている
が、抹茶、せん茶、ほしのり、乾燥わかめ、糸引き納豆やキャ
ベツに多く含まれていることがわかっている。
 ビタミンB( 6)は、欠乏すると皮膚炎などを起こすが、
ニワトリの胸肉(皮なし)やギンナン、みなみまぐろ、かつお
やにんにくなどに多く含まれている。欠乏すると貧血、神経障
害を引きおこすビタミンB( 12)はほしのり・しじみ(
生)、あさり(生)、すじこ、牛の肝臓などに多く含まれている。
 成分表は昭和26年に作られ、その後、改定や品目の追加に
より、現在使われているのは昭和57年に作られた「四訂版
」。現在全面改定作業が進められている。

『お箸で治す現代病 「血栓傷害」 強い味方 納豆』
1996/01/10 百歳元気新聞
 
●やわらかくきれいな血管何本残ってますか?
 動脈硬化とは、血管がもろく硬くなり、血液の流れがさまた
げられる状態のことで、次の三タイプがある。
 一つは比較的太い動脈にみられる粥(じゅく)状硬化。心臓
の冠状動脈や大動脈に起こる。
 二つめは血管の中膜が石灰化する中膜硬化で、大動脈、手足
の動脈にみられる。
 そして三つめは脳や腎臓などの比較的細い動脈の壁が肥厚
し、血液の流れが悪くなる細動脈硬化だ。
 天寿を全うする人はみんな若々しい血管をもっているといわ
れる。血管の若さには大きな個人差があるが、一般に年ととも
に老化し、さまざまな成人病の原因となる。
 六〇兆あるという体細胞の隅々に栄養を運んでいるのが血
液。しかし必要以上の栄養は脂肪の固まりとなって血管内に沈
着する(粥状血栓)。それにより血の流れが悪くなると、酸素
がゆきわたりにくくなりボケの原因となる。果てには血管がつ
まり、脳梗塞や心筋梗塞を引き起こす。
 しかし血栓はまったくの悪者ではなく、もともとは体の防御
作用の一つ。血管が傷つくと『固める酸素』が血栓をつくって
出血を食い止める。その間に傷ついた血管を修復し、それが終
わると『溶かす酵素』が速やかに血栓を溶かす。しかし身体の
バランスが崩れて、固める酵素と溶かす酵素の使い分けが効か
なくなると、前述のような血管のつまりが生じてしまう。
●つまった血管に納豆の酵素パワーが効く
 心筋梗塞には血の固まりを溶かす酵素を大量に注射する治療
法がある。何と一〇〇g(一パック)の納豆にはこの注射の五
分の四に匹敵する血栓溶解酵素が含まれているという。
 この強力な酵素、ナットウキナーゼの発見者であり名付け親
の須見洋行教授は「人工的につくった血栓の上に納豆をのせ体
温と同じ三七度に保って放置したところ血栓が溶けていった。
血栓も納豆も同じネバネバしたもの、それなら同じ力を持って
いるのでは?という偶然の発見でした」と語る。
●生食できるのは納豆だけ
 納豆がすごいのは、その酵素が天然の形で存在すること。食
べ物のなかにはさまざまな酵素を含むものがあるが、これだけ
強烈な酵素成分を持ちながらナマで食べられるのは世界でも他
に例をみない。
 たとえばパイナップルを食べすぎると口が痛くなる。それが
酵素のしわざだが、それでも納豆に比べればほんの微量しか含
まれていない。
 ところが、缶詰のパイナップルになると全然平気。殺菌のた
めの高熱加工をしたときに酵素も死んでしまうからである。酵
素の適温は三七〜四〇度。アツアツご飯の上にのせるのが酵素
の働きに最も有効な調理法だという。
●急浮上! ビタミンK
 昨年末、学校や病院などで栄養管理の基礎資料として活用さ
れている『四訂日本食品標準成分表』に新たにビタミンKが付
け加えられた。そのビタミンKを多量に含むのが他でもない納
豆であり、これが世間を騒がす骨粗しょう症に効く栄養素だと
いうからさあ大変。冷凍庫を納豆だらけにした人もいるとか。
 米不足によるご飯離れで消費量の停滞した納豆だが、無臭納
豆や鉄分強化納豆、無農薬大豆使用の高品質納豆など種類も増
え、安くて安全な健康食品との見直しで病院食などにもどんど
ん取り入れられている。
●納豆の上手な食べ方、つきあい方
 確かにあらゆる臨床データが納豆の効果を示しているが、ナ
ットウキナーゼが血栓にどういうメカニズムで作用するのかは
いまだ解明中。また納豆の原料の大豆にはプリン体という成分
が含まれているため、とりすぎると尿酸が増えて痛風になる可
能性もあるという。
 「身体に良い機能性食品というと、良い成分のみを抽出して
薬として商品化したらどうかとか、やみくもにたくさん食べま
くる例とかが出ます。が、身体に良い食品というのは、一日の
うちの一食に取り入れることによって他の食品とのトータルバ
ランスを良くするもの。何グラム摂取すればよいかではなく
て、おいしく食べてこそ食品は薬を上回るんです」と須見教授。

『【料理レシピ】納豆入りがんもどき』
1996/01/05 産経新聞 朝刊
 
《作り方》
(1) 木綿豆腐は重しをして水気をきる。
(2) ヤマトイモは皮をむいて酢水にさらし、水気をおさえ
てすり鉢ですりおろす。
(3) 納豆にしょうゆ小さじ1/2、練りガラシ小さじ1/
3を加え混ぜる。
(4) (2)に(1)を加えてすり合わせ、(3)と塩少
量、かたくり粉大さじ1を加え混ぜる。
(5) サヤインゲンは半分に切る。
(6) 油を160度に熱して(5)を素揚げにする。
(7) 油の温度を170度に上げ、(4)をすくい入れて色
よく揚げる。
(8) 器に(6)(7)を盛り、カラシじょうゆを添える。
 【一口メモ】
◇ときどき裏返しながら、こんがりと色づくまで揚げる。
《材料メモ》
木綿豆腐………1丁
ヤマトイモ……100グラム
納豆(50グラム・ひきわり)……………1パック
サヤインゲン…10本
酢、しょうゆ、練りガラシ、かたくり粉、塩、揚げ油

新聞記事一覧へ戻る。