1988〜1990年の新聞記事


最終更新日 平成13年5月3日
それぞれの記事は引用です。


『大型コンバインで大豆収穫−群馬県前橋市の増田水田作組合』
1990/11/09 日本農業新聞
 
 群馬県前橋市の木瀬農協管内の増田水田作組合(高山雄一郎
組合長、百十三人)は十月下旬から、大型コンバインによる大
豆の収穫が始まった。一方、木瀬農協(町田甲子男組合長)は
管内の増田・女屋・井各水田作組合から収穫される地元大豆
を使って、「ほのぼの味噌(みそ)」「おなめ」「よっちゃん納
豆」に加工し、それぞれ天然醸造と手づくりがうけて、製品
への引き合いが多くなっている。
 この中の一つの増田水田作組合は前橋農業改良普及所の指導
で、昨年から機械化適性の高い新品種「タチナガハ」を導入
し、大型機械化体系による大豆の省力化・低コスト化を目指し
ている。
 この「タチナガハ」の導入により、大型コンバインなら十ア
ールで十分程度で収穫でき、省力・低コストが可能となった。
 大豆転作の取り組みは、昭和六十二年からブロックローテー
ション方式の集団転作が始まると同時に、組合として導入し、
大豆―麦作体系を定着させた。栽培面積も導入当初の昭和六十
二年は八ヘクタール、六十三年は十二ヘクタール、平成元年は
十四ヘクタールで、今年が十八ヘクタールと年々増反した。
 品種も当初は「エンレイ」を栽培して、バインダーで刈り取
り、脱穀いたが、省力・低コスト化による大型機械化のための
導入の検討が始まり、平成元年には「エンレイ」と「タチナガ
ハ」の割合を五〇%、今年から大型機械化に踏み切り「タチナ
ガハ」に全面的に切り替えた。
 同組合の大豆作導入には(1)徹底した話し合いによる民主
的運営に努める(2)ブロックローテーション方式の推進によ
る生産性の向上(3)大型機械化による省力・低コスト化の推
進(4)先進地への視察研修による技術の研さんと、高い平準
化などを活動目標にしている。
 こうした水田作組合で生産される大豆の約五〇%を、木瀬農
協は政府売り価格よりも有利な条件で引き取り、木瀬産大豆と
低農薬有機米で冬から春にかけて、同農協婦人部員の手作り天
然醸造(寒仕込み)で三十トンを仕込み、「ほのぼの味噌」と
名付けて七年目。販売も県内Aコープチェーン店や、各種イベ
ントにも参加して売れ行きは順調。
 また、納豆も手がけて二年目となり、組合員から納豆の愛称
を公募し、「よっちゃん納豆」と名付け、木瀬産大豆「タチナ
ガハ」で、Aコープチェーン店や県内百貨店で年間十万パック
(一パック八十グラム)の販売実績だ。
 

『納豆つくりへ、神奈川のグループ、まいた大豆収穫−山形県朝日町』
1990/11/04 日本農業新聞
 
 【山形】伝統食品の納豆を見直そう――と、六月に山形県西
村山郡朝日町に一ヘクタールを借り「地塚大豆」をまいた神奈
川県藤沢市の「湘南フォーラム21・クラブ・ナット」(柴田
年彦代表)の会員二十三人が三日、収穫に訪れた。納豆を知る
には、ただ食べるだけではなく、「自分たちで作って初めてわ
かる」と山の畑で汗を流していた。
 畑の管理は、畑を提供した杉山地区の生態農法研究会(安藤
正義さん、九人)が引き受けてきた。芽が出てきたころ山バト
に食われ、ウサギに荒らされる被害を受けたが、無農薬で栽培
した割にはいっぱい実をつけた。
 一行は、収穫にもツアーを組み、二日から三日間の日程で訪
れたもので、三日午前八時半から収穫作業。豆をまくのも収穫
も初めてという人たちがほとんどだったが、かまを手に朝もや
の中で一生懸命。佐藤愛子さん(六四)は「初めて豆を作った
が、私がまいた豆が一番多くなっているようだ」と大喜び。新
関久美子さん(四二)は「豆一粒にも多くの人手がかかること
を知った。ぜひ子供に体験させたい」と話していた。
 この日、農協と役場職員も数人出て収穫した豆を乾燥するた
なづくを応援。また杉山地区(三十七戸)では、地区挙げて歓
迎、昼食にもちつき、山形名物・芋煮の料理を振る舞った。
 収穫した豆は、朝日温泉のお湯を利用して納豆を作ることに
しており、自分たちで作った豆が納豆になるのを楽しみにして
いた。柴田さんは「納豆を健康食品として、もっと見直すべき
だ」と話しており、今春、藤沢市で納豆シンポジウムも開い
た。今後、納豆大学、学術会議、コンサートなどを開くことを
計画している。
 

『[一村逸品]「納豆汁」山形県庄内朝日農協、健康食品として好評』
1990/09/18 日本農業新聞
 
 山形県の郷土料理・納豆汁を簡単に食べられるようにしたの
が、東田川郡朝日村の庄内朝日農協が開発した「納豆汁」の缶
詰。納豆そのものが缶詰工程の高温で苦みが出ることや、納豆
菌が熱に強いことから缶詰にしても発酵が進むなど開発に当た
っては大変苦労した商品。企画から商品化までに七年間かかっ
たという。現在では地元でも本物とほとんど変わらない味とし
て好評だ。当然、郷土の味として都会へのお土産や健康食品と
しても人気が高まっている。
 材料は納豆、ワラビ、ミズナ、ナラタケ、ニンジン、サトイ
モの茎、豆腐、酒かす、みそなど。いずれも地元産のもので食
品添加物は無添加。
 庄内朝日農協は「月山ワイン」など農産加工では全国でもト
ップレベルにあるが、同農協の小野寺良寛開発課長は「農産加
工の目的の一つは話題づくりもあるが、郷土食を商品化するこ
とで地域の見直しにもつながる」と、これまでも「あけび汁」
の缶詰などの商品化も手掛けてきた。
 納豆汁は四号缶四百円、七号缶三百円。箱入り三缶セット
(四号)千四百円、同六缶セット(七号)二千円。
 問い合わせは同農協開発課、電話0235(5)2516ま
で。
 

 
『うまい納豆栽培から−神奈川の消費者と山形県朝日町で生・消交流』
1990/06/13 日本農業新聞
 【山形】納豆を通して現代の暮らしを見直そう――と今春、
神奈川県藤沢市で「納豆シンポジウム」を開いた「湘南フォー
ラム21」(柴田年彦代表)が、無農薬、有機農法栽培の大豆
で納豆を作ろうと「納豆ツアー」を組んだ。メンバー二十二人
が八日から三日間、山形県西村山郡朝日町を訪れ、山の畑に豆
まきをして帰った。
 「納豆ツアー」一行は、飛行機で山形空港に着き、朝日町の
自然館に一泊した。翌朝、マイクロバスで山へ登った。畑は、
標高五五〇メートル。同町杉山集落(三十七戸)が、かつて共
同桑園を経営していた場所だ。地元の人たちから一ヘクタール
を借り、教わりながら、一粒ずつ約二十センチ間隔に、二十ア
ールに種をまいた。品種は、茨城県から取り寄せた納豆専用の
小粒「地塚大豆」。
 管理は杉山地区生態農法研究会(安藤正義代表)が引き受け
る。残り八十アールは、地元の人たちが一週間ほど前に種まき
したので芽を出しており、この日の種まきで全部終わった。
 わざわざ山形県の山間部まで来て豆まきをしたのは「納豆を
最初から作ってみよう」という考えから。「納豆は、健康食品
であり、食文化として見直す必要がある。それには自分たちで
大豆から作ってみなければわからない」と柴田さんは話す。
 「湘南フォーラム21」と同町との交流は鎌倉市に住む同町
出身の広告デザイナー・多田拓生さん(五五)の紹介で始まっ
た。山村振興に熱意を持つ山形朝日農協の菅井正人農業振興対
策室長と意気投合し、何回か訪ねるうちに、リンゴとワインの
里・朝日町の自然環境などに魅せられてツアーが実現した。
 ツアーは、杉山集落挙げての歓迎を受け、小林富蔵町長、鈴
木辰次郎農協組合長も駆けつけた。汗を流した後の昼食は、集
落の主婦たちが作った山菜料理。和やかな交流となった。
 秋には収穫に訪れ、納豆作りをするが「地元に伝わる味のい
い″おけ納豆″作りもしたい」と今から楽しみにしていた。
 

 
『輸入食品検証の番組、視聴者から反響続々、急きょ第2弾放映』
1990/06/03 日本農業新聞
 
 「納豆をよく食べているが、大豆はほとんど輸入ものなの
か。残留農薬の心配はないのか」――テレビ東京系が、先月放
送した、輸入食品の安全性を問う番組が反響を呼び、急きょ続
編「第二弾、輸入食品は安全か」(四日午前十時)が放送され
ることになった。確実に増えている輸入食品の実態を初めて知
った視聴者などから、不安の声や国産品を購入したいという声
が局に届き、制作担当者も思わぬ反響に驚いている。
 番組は、五月二十一日午前十時からの「タウン情報生ワイ
ド」の特集「緊急ルポ危険食品チェック」。海外のポストハー
ベスト農薬の実態をルポした食品評論家の小若順一さん、食品
の安全性に詳しい中村雅人弁護士らをゲストに、残留農薬が含
まれた小麦粉製品が日本に入ってきている実情などを放送し
た。
 放送中から電話は鳴りっぱなしで「輸入食品は怖くて食べら
れないと思った」「鳥肌がたった。今日からなるべく国産品を
買う」「スーパーマーケットの食品のうちどれが輸入食品かわ
からない」と不安の声。
 そのほか、「残留農薬の基準を早く制定して」(四十一歳・
会社員)、「消費者同士で輸入食品の反対運動をしたい思う
が、そういう活動をしている団体があったら教えてほしい」
(六十歳・主婦)という切実な声が三百本もあり、その後、反
響が続々届いている。
 

 
『健康を考えたら「納豆」成人病を予防、秋田でシンポジウム』
1990/05/03 日本農業新聞
 
 健康食品の納豆が見直されています。納豆は納豆菌による酵
素分解の働きで、独特の風味と優れた栄養価値をもつ食品だか
らです。先ごろ秋田市で開かれた全国初の「納豆シンポジウ
ム」には北海道から沖縄まで大勢の納豆ファンが集まり、納豆
の成人病への効用や、おいしく食べられ、普及を広めていくた
めの新しい料理方法など学びました。
 大豆は″畑の肉″といわれるほどで、良質の大豆を原料とし
た納豆は「百グラムで卵三個分、牛肉なら八十グラムに匹敵す
るたんぱく質を備えている」(主催の秋田県納豆商工組合)と
いいます。
 ただ、大豆そのままでは組織が固く、消化が悪いため、納豆
にすると納豆菌で作り出す酵素で消化がよくなります。納豆の
栄養で注目されるのはたんぱく質のほか、ビタミンBが多いこ
と。特にB2は納豆菌の働きで煮大豆の時に約五倍にも増えま
す。さらに体を弱アルカリ性に保ち、カルシウムや鉄分も含ん
でいます。
 シンポジウムでは、納豆の成人病予防効果が報告され、改め
て関心を集めました。高血圧や脳卒中などの成人病は、コレス
テロールや中性脂肪の沈着で起こる動脈硬化が重要な原因とい
われていますが、コレテロールを含まない納豆は、血管や心臓
にかかる負担を防いだり、低下させる働きのあるリノール酸を
多量に含んでいるのです。
血栓を溶かす強力な酵素含む
 また、講演で岡山県立短大の須見洋行助教授が、宮崎医科大
と岡山理科大の研究グループが脳卒中の心筋こうそくなどの血
栓(せん)を溶かす強力な酵素(ナットウ・キナーゼ)を含ん
でいることを解明したことを報告して注目されました。
 東北地方には「納豆を食べると中風にならない」という言い
伝えがありますが「これが科学的に実証された」と、地元の納
豆フアンを喜ばせました。須見助教授は「納豆はいま話題の機
能性食品の筆頭といえるもの」と称賛しました。
 健康食品のエースも広く普及していくには、よりおいしく食
べられる新しい料理方法の提案も必要です。地元の料理研究
家・岸和子さんの調査では、九割の人が「ご飯に混ぜて食べ
る」一般的な食べ方だった、といいます。
嫌いな理由はにおいネバネバ
 全国の主要都市での調査で、納豆嫌いの理由に「食べ慣れて
いない」「においや、ネバネバがいや」などが挙がっていま
す。岸さんは「定着させるにはご飯との組み合わせが基本です
が、ハンバーグやギョウザ、スパゲティなど、メニューのバラ
エティー化も必要」と提案しました。
 
アントニオ猪木参院議員の力の源
 納豆ファンを自認する参議院議員のアントニオ猪木氏は「納
豆にセロリを刻んで、レタスに包んだ」″納豆サラダ″が好物
と言っています。
 
 パネルディスカッションでは、大豆資源の有効利用や食料危
機の特効薬など「大豆(納豆)の価値が世界的にも見直されて
いる」ことが認識され、製造販売メーカーでは「納豆を海外に
大いに売り込んでいく」と意気込んでいました。
 

 
『秋田で全国初の納豆シンポ、栄養たっぷり成人病にも効果』
1990/04/22 日本農業新聞
 
 地球的規模の自然破壊が進む中、これからの食料問題を考え
ながら、納豆の消費拡大を図ろう――と、全国初の″納豆シン
ポ″が二十一日、秋田市の県総合生活文化会館「アトリオン」
で開かれた。「納豆は世界を救う!」と銘打った同シンポでは
納豆研究家らの講演や公開パネルディスカッションが行われ、
栄養素に富む納豆食の世界的な普及と、大豆生産振興の重要性
が強調された。
 「納豆シンポジウム・イン・あきた」は、地元秋田県納豆商
工業協同組合(理事長=山田清繁ヤマダフーズ社長)が主催
し、秋田県、秋田市、秋田県経済連などが後援。「納豆発祥の
地」を自負する秋田県だけに、初のシンポジウムに寄せる関係
者の関心も高く、会場には県外の業界関係者も含む約五百人が
詰めかけ、終日にぎわった。
 同シンポではまず、「納豆のルーツとその改革史」と題して
太田輝夫・元農水省食品総合研究所応用微生物部長(現不二製
油筑波中央研究所顧問)、また、「納豆の成人病への効果」に
ついて須見洋行・岡山県立短期大学食物科助教授の二氏が基調
講演をした。
 この中で須見助教授は「納豆には血液の血栓(せん)溶解作
用がある」と強調、納豆の薬効を医学的に分かりやすく説明
し、シンポ参加者の関心を呼んだ。
 続いて参院議員のアントニオ猪木氏が「プロ選手は納豆が大
好き」と題して特別講演を行った。同氏は納豆愛好者として知
られ、「私の健康の素(もと)は毎朝食べている納豆です」と
語り、さらに「スポーツの戦う闘魂の″とう″は豆(とう)
だ。納豆の良さが分かれば食べずぎらいもなくなる。納豆食の
普及で新たな食文化を起こし、納豆で世界の人々と手を結ぼ
う」と、呼びかけた。
 午後からは、太田輝夫氏、須見洋行氏、アントニオ猪木氏に
加え、主婦、納豆料理研究家らを交えた公開パネルディカッシ
ョンが行われた。
 

 
『[一村逸品]大粒納豆「よっちゃん」前橋市木瀬農協、風味と甘み』
1990/03/24 日本農業新聞
 
 水田転作で生産した大豆「タチナガハ」を使った手作り納豆
が「よっちゃん」。
 群馬県前橋市の木瀬農協管内の約七割は水田だが、米、麦を
はじめ繭、牛乳、肉、卵、野菜、果実、花など農産物は多岐に
わたる。
 同農協では、昭和五十九年から加工事業に乗り出し、地場産
の農産物を原料にして、みそ、甘酒、漬物など、あらゆる手作
り加工品を開発してきた。
 この納豆は昨年五月に登場。名前を組合員から公募した結
果、板垣芳治組合長にちなんだ「よっちゃん」に決めた。
 小粒納豆も出回る中で、大粒納豆を製造しているのは「品種
自体の特性もあるが、大豆本来の風味、甘みなどは大粒のほう
が優れている」と同農協生産課。
 「よっちゃん」は一パック(八十グラム入り)八十円で、農
協の直売所、市内のスーパーストアなどで買えるほか、みそな
どの詰め合わせセット「ほのぼのシリーズ」があり、地方発送
もできる。
 問い合わせは、木瀬農協生産課、〒(379)―21群馬県
前橋市野中町二九四―一、電話0272(61)0219。
 

 
『[一村逸品]「かあちゃん納豆」青森県稲垣村、村の健康一手に』
1990/03/10 日本農業新聞
 
 青森県西津軽郡稲垣村の農産物加工振興会(伝法谷むつ子会
長)が、製造販売し、好評を得ているのが「かあちゃん納豆」
だ。価格は一個(八十グラム入り)三十五円。
 
 名前の由来は、村のかあちゃんたちが稲垣村加工センターに
集まって納豆を製造することから付けられたもの。このかあち
ゃんたちは、同村の稲垣村農協、稲垣興農農協の両婦人部が中
心。
 
 この納豆は、納豆菌だけを使っているのがセールスポイン
ト。そのため、安全で健康に良く、おいしく、村内の学校や保
育所の給食にも納入している。さらに、毎月一日と十五日を″
納豆の日″と決め、村民から注文を取って配達しており、村ぐ
るみで食べている。特に、冷凍庫に入れておけば、二〜三か月
以上も保存が可能というのも大きな特徴。
 
 同振興会では、このほかにも数多くの加工品を開発しており
「かあちゃん味噌」「よもぎライスめん」「赤飯」なども手掛
けている。
 
 問い合わせと、注文は、稲垣村農産物加工振興会へ。電話0
173(46)3998。
 
 

 
『転作大豆で納豆作りも、茨城県協和町の日向頼夫さん』
1989/12/29 日本農業新聞
 
【茨城・県西】真壁郡協和町横塚の日向頼夫さん(五九)は長
年、農業経営の傍ら、農協の水田利用経営研究会の会長を務
め、長男の義己さん(三六)とともに゛楽しくて豊かな農業経
営゛を実践している。経営は、自作地四ヘクタール、借地二ヘ
クタール、受託地一・五ヘクタールで転作大豆八十アール、二
条大麦三・五ヘクタールの主穀に、促成キュウリ、抑制トマト
千六百五十平方メートルのハウス。
 
日向さんは、資金、労力、技術(能力)、耕地面積など経営構
成を総合的に判断して、決して背伸びしない。常に目標収量を
確保できる技術を持って、コスト低減を実現している。水稲は
農薬空中散布一回、除草剤一回やっただけで、目標収量の十ア
ール当たり平均四百八十キロを今年も確保できた。低農薬で経
費減少と省力化を狙っている。茨城県経済連県西支所の進めて
いる「天恵米」と、新しく奨励品種になった「キヌヒカリ」を
二十アールずつ栽培して、新しいものへの対応も考えている。
増収技術と省力化では、液剤による深層施肥を試験的に一ヘク
タール栽培、十アール当たり五百四十キロの収量があった。
 
転作大豆の一部は、手作り納豆にしている。納豆を作るわらつ
と作りも、真ん中を俵のように一本編んだ本格的な、昔ながら
の田舎風。一本のわらつとに生の大豆で五・五リットルも入る
大きなもので、自然食として消費者に人気だ。最近では「干し
納豆も作って」との声もある。
 
日向さんは「近代化の急流の中で、ゆとりのある生活が見直さ
れている。田舎風のわらつと納豆も、その一つ。作る方も食べ
る方も、生活のにおいを感じている」と話している。
 
 

 
『「イオン納豆」売れ行き順調、北海道の士別市農協』
1989/10/12 日本農業新聞
 
【北海道・士別】北海道上川管内の士別市農協(植松繁雄組合
長)は北海道産の大豆を使った、電子加工食品「イオン納豆」
を製造販売している。順調な売れ行きで、旭川市内のスーパー
ストアをはじめ、上川、留萌、宗谷の各管内のAコープ店など
と、一部は東京や東北方面でも売られ、風味が良いと好評で、
毎日八千食が製造販売されている。
 
イオン納豆は、原料の大豆に電子を通して製造したもの。製造
方法は▽原料の大豆を手よりして精選、一週間ほど電子を通す
▽水洗いした後、イオン水に浸漬しながら二日間、電子を通す
▽この後、イオン水を使ってボイラーで蒸し、発酵室で納豆菌
を植えて発酵させる。発酵室でも電子が通される。
 
出来上がった納豆は商店や消費者の要望にこたえ、丸のままの
大豆百グラムパック、同五十グラムパック、ひき割り八十グラ
ム入り、薄皮包み百グラム入り、五十グラムカップ三個入りな
ど、好みに合わせて買うことができるよう、製品の容器や分量
がバラエティーに富んでいる。
 
納豆業界は大手から、個人経営まで企業の数も多く、し烈な販
売競争をしている。同工場では消費者ニーズにこたえ、今月上
旬から小粒大豆を原料にした「イオン納豆」を新発売する予定
で、意欲的に計画を進めている。
 
農協の松ケ平参事は「普通の大豆は化学肥料や農薬などの残留
がある。電子を通してこれを除去、クリーンな大豆で納豆をつ
くるので、昔わらつとでつくった納豆と同じ、本物の風味があ
る」と話している。また農協では、数年前から々士別農協イオ
ン納豆(社長=植松繁雄組合長)を組織して、現在、製造販売
に当たっている。
 

 
『うけてますイオン納豆、電子を通し本物の味に、士別市農協』
1989/09/07 日本農業新聞
 
【士別】士別市農協(植松繁雄組合長)は道産大豆を使った、
電子加工食品「イオン納豆」を製造販売している。順調な売れ
行きで、旭川市内のスーパーマーケットをはじめ上川、留萌、
宗谷の各管内Aコープ店などのほか、一部は東京や東北方面で
も売られ、風味が良いと好評で毎日八千食が製造販売されてい
る。
 
イオン納豆は、原料の大豆に電子を通して製造したもの。製造
方法は、▽原料の大豆を手よりで精選、一週間ほど電子を通す
▽水洗いした後、イオン水に浸漬しながら二日間、電子を通す
▽この後、イオン水を使ってボイラーで蒸し、発酵室で納豆菌
を植えて発酵させる。発酵室でも電子が通される。
 
出来上がった納豆は小売店や消費者の要望にこたえ、丸のまま
の大豆百グラムパック、同五十グラムパック、ひき割り八十グ
ラム入り、薄皮包み百グラム入り、五十グラムカップ三個入り
など、好みに合わせて買うことができるよう、製品の容器や分
量がバラエティーに富んでいる。
 
納豆業界は、大手から個人経営まで企業の数も多く、し烈な販
売競争をしている。同工場では消費者ニーズにこたえ、今月上
旬から小粒大豆を原料にした「イオン納豆」を新発売する予定
で、意欲的に計画を進めている。
 
農協の松ケ平参事は「普通の大豆は化学肥料や農薬などの残留
がある。電子を通してこれを除去、クリーンな大豆で納豆をつ
くるので、昔わらづとでつくった納豆と同じ本物の風味があ
る」と話している。
 
また農協では、数年前から々士別農協イオン納豆(社長=植松
繁雄組合長)を組織して、現在、製造販売に当たっている。
 

 
『大豆も用途別生産時代、国産物に熱い期待、加工業界』
1989/07/31 日本農業新聞
 
風味、甘さなど輸入物に比べ高品質な国産大豆に、加工業界が
ラブコールを送っている。内外価格差は大きいが、豆腐、納
豆、みそ、煮豆など各メーカー間の販売競争が過熱し、差別化
商品で生き残るために、国産の高品質大豆の力を借りざるを得
なくなったためだ。品種、産地、等級を指定注文する企業が大
半を占めており、産地の用途別生産への対応が求められてきて
いる。
 
国産大豆一00%使用の豆腐が売れている。西武系の朝日工業
が今春発売した「私のとうふ」は、一丁百二十〜百五十円の高
価格ながら、「日産一万丁を生産、今年度売上高は四億円の見
込み。関西地区の農協生鮮品共同購入運動にも供給している
が、今後は一般流通にも乗せる計画」(同社広報室)と好調
だ。一般に豆腐原料の八割は米国産。価格が国産の半値で凝固
力が強い。しかし、「国産は米国産よりたんぱく質含量が二〜
三%高く、粒が大きいため、おいしさを引き出せる」(同社食
品事業部)ことが国産を選んだ理由だ。
 
富山産「エンレイ」が豆腐業界では最高といわれる。同県経済
連は「約七千ヘクタールあるうち九九%がエンレイ。豆腐用に
力を入れて生産しているが、全国各地からの引き合いも強く、
県内に十分供給できない状況」と業界から熱い視線を注がれて
いる。日本豆腐協会は「国産大豆は豆腐をおいしくするので、
差別化販売のため必要になっている。豆腐のブランド化は難し
いが、伝統食品を消費者が見直す中で、国産大豆使用の豆腐は
売れている」と見る。
 
納豆業界でも国産がもてる。子実が丸く、白めで油分が少な
く、糖分やたんぱく質が高いのもに需要が強い。茨城産「地
塚」、北海道産「スズヒメ」などの使用が多いが、小粒種に消
費者ニーズが動いている。
 
「国産を使うと味がよくなる」「外観が良くなる」とみそ製造
業者も国産大豆に太鼓判を押す。
 
煮豆需要も根強い。北海道産「つるの子」「トヨスズ」、富山
産や東北産「大粒白目」が人気だ。インゲン系がよく使われる
が、製品にした時、大豆の風味が出るものに関心が高い。
 
大豆供給安定協会によると、「現在の検査規格は煮豆用に合わ
せた感じが強く、豆腐用の規格がほしい」「ユーザーが希望す
る品種を増産してほしい」「安定供給できれば使用量は増え
る」など、入手しにくい国産に対して業界の注文が相次いでい
る。
 
大豆需要量は豆腐用が五十万トンあるが、国産比率は一割強。
さらに納豆用は九万トンのうち二割弱、みそ用は十八万トンの
うち一割強と低く、凍り豆腐用三万トンでの国産はゼロに近
い。
 
農水省は特産用途大豆産地育成事業をスタートする一方、交付
金制度に銘柄間格差を導入する計画だ。同省は「産地に用途別
生産を意識し、安定供給で消費拡大を図ってほしい」と指摘す
る。
 

 
『イチゴワインの製造法など発表、栃木県食品工業指導所』
1989/07/27 日本農業新聞
 
【栃木】栃木県食品工業指導所(福田仁一所長)は二十一日、
第三回研究成果発表会を行った。
 
この中でイチゴワイン製造法、大谷石採掘跡地における低塩度
塩蔵野菜の保存など、農産物の加工にかかわる試験の成果が出
された。
 
発表会には、県内の食品メーカーから四十人が集まり、ヒント
になれば自分の経営に取り込もうと聴き入った。
 
発表の演題は、このほか、納豆の品質保持技術の改善、ゆばの
保存性向上、米菓生地製造とα米など計十三項目が発表され
た。
 
イチゴワインは、県内では取れすぎ、未熟果のイチゴに付加価
値をつけるもの。香りがイチゴのイメージと違ったり、退色し
てしまったりする欠点を、固定化酵母を使い一0度Cで再発
酵、ワイン酵母に変更処理などして解消している。
 

 
『中山栗納豆に局長賞、愛媛県伊予中山農協』
1989/06/30 日本農業新聞
 
【愛媛】伊予郡中山町の伊予中山農協(田中利男組合長)が昭
和六十一年から製造・販売している「中山栗納豆」がこのほ
ど、第一回優良ふるさと食品中央コンクールで農林水産省食品
流通局長賞を受賞した。同農協では「最近、販売も好調で製造
が間に合わない状態だ。(受賞で)今後の販売にも弾みがつい
た」と今後の製造拡大に意欲をみせている。
 
同農協管内では現在、約一千戸、六百ヘクタールでクリを栽
培、年間生産量は約一千トン。
 
従来、加工向けは業務用の甘露煮が中心だったが、昭和六十一
年に新たな商品開発を−−と特産品開発プロジェクトチームを
組み、新製品の開発に当たってきた。
 
同年秋、第一号の「栗納豆」を開発、三百キロを製造販売、六
十二年には千五百キロ、昨年は三千キロを製造した。
 
原料のクリは同農協管内の特選クリ一00%。ふるさと食品中
央コンクール国産原料利用部門で、ふるさと食品の製造を通じ
て原料調達、雇用促進などで地域の発展、活性化に功績があっ
たとして高い評価を得た。
 

 
『茨城から納豆産直、八郷町農協、粘り強い糸が結ぶ、東都生協』
1989/06/07 日本農業新聞
 
「においが少々、鼻につくが、栄養満点の納豆」−−産直で生
協との信頼関係を強める茨城健新治郡八郷町農協(木崎眞組合
長)は、今秋から全国でも珍しい納豆産直に取り組む。事業主
体となる有限会社の設立もすみ、近く工場建設に着手。三年後
には、年間約一億円の販売取引を計画しており、同農協は「原
料大豆は全量地元産で賄うので、転作大豆振興、ひいては農業
の活性化につながれば」と期待している。
 
八郷町農協と納豆の産直をするのは、東京都調布市に本部を置
く東都生協(山本寛幸理事長、組合員約七万二千六百人)。同
農協とは卵、ブロイラーの産直を機に、昭和六十年ごろから青
果物にも拡大、地域総合産直を目指している。すでに納豆の原
料用大豆供給でも実績があり、今年に入り、これを製造にまで
拡大する方向で話し合ってきた。
 
計画によると、事業主体は「八郷町協同産業有限会社」。木崎
組合長を社長に今月一日、農協出資(資本金八千万円)で発
足、園部地区にある稚蚕共同飼育所の隣に製造工場を建設す
る。敷地が四千九百五十平方メートルで、建物は鉄骨平屋建て
三百九十六平方メートル。近く建設に着手、八月には完成する
予定。九月からの供給をめざす。
 
製造は一日約五千個(一個=五十グラムパック二つ)。今年度
は九月からで約六十万個、来年度に年間百六十二万個を供給、
平成三年度には年間約一億円の取引高を計画している。
 
原料は、全量が町内産の省農薬栽培の小粒大豆。六十キロの大
豆で約千個の納豆製造が可能。フル生産に入ると年間約百二十
トン、栽培面積換算で約六十六ヘクタール分の原料大豆を゛消
化゛する。
 
製造工程は、水洗い、浸水、蒸し器、菌投入、充てん、菌培
養、冷却、冷蔵、かん詰め、出荷の順。同農協では、すでに出
向職員を゛技術研修゛に出し、パートも含め十人前後の従業員
でスタートする段取りだ。
 
同農協管内の大豆栽培面積のうち六割は水田転作が占めてい
る。谷島幹雄・同農協営農部長は「以前から原料大豆は供給し
ており、信頼関係にある。転作で大豆が増えており、少しでも
安定生産、安定販売につながれば」と期待している。
 

 
『転作大豆を活用、納豆づくり、木更津市の婦人グループ』
1989/03/17 日本農業新聞
 
【千葉・木更津】ベテラン主婦の手で転作大豆の利用を高めよ
う−−。木更津市下内橋転作集団組合の婦人グループが、大豆
の加工や新しい料理方法の普及に力を入れている。勉強会を通
じて腕を磨いてきた婦人たちは次は加工品の販売も」と意欲的
だ。
 
同グループは十三日、下内橋集会所で、納豆作りの実習と六十
三年度活動の反省会を開いた。
 
自家栽培の大豆を持ち寄り、十回にわたり開いてきた「くらし
の教室」の締めくくり。農業改良普及所の指導で、納豆を作る
一連の作業を学んだ。
 
大豆の利用方法を広げて、消費増につなげようと頑張るのは、
五十五〜七十五歳の年配の婦人十人。これまでに、みそ、豆
腐、大豆ふりかけ、ハンバーガーなど、料理のレパートリーを
贈やしてきた。
 
婦人たちは、「若い人が勤めに出て参加できないのがさびし
い」としながらも、「せめて私たちが手づくりの料理を習っ
て、孫たちに伝えたい」と表情を輝かせる。
 
平成元年度は、これまでに習った技術を生かし、地元でとれた
大豆を地域の多くの人に利用してもらう考え。みそをはじめと
する加工品を農協祭などに出品、販売して普及を図ることにし
ている。
 

 
『「納豆汁」の缶詰いかが、地元山菜たっぷり』
1988/12/09 日本農業新聞
 
【山形・庄内】゛おふくろの味を食卓に゛と、山形県東田川郡
の庄内朝日農協が六年がかりで開発、今年二月から発売を始め
た「納豆汁」の缶詰は、地元庄内はもとより首都圏で好評。今
年度は前年度の四倍強の三万缶を生産目標に掲げ生産に入っ
た。
 
納豆汁、芋煮、きんぴらごぼうは田舎料理の中でも代表的なお
ふくろの味。秋に山から採ったナラモタシなどきのこに芋殻、
豆腐などを入れ、納豆をすりつぶし、酒かすとみそで仕上げた
納豆汁は、古くから寒い冬に体の暖まるおいしいみそ汁として
各地方で親しまれてきた。
 
これを作るには塩蔵きのこの塩抜きをしたり、芋殻の水戻し、
納豆のすりつぶしなど手間と時間がかかり、共稼ぎ家庭が増え
たこともあって作る主婦は少なくなった。
 
そこで同農協では、家庭で簡単に食べられる納豆汁の缶詰を作
ってみよう−−と五十八年から山菜加工所の技術スタッフが研
究に入った。
 
木綿豆腐を使い、缶詰にして長期保存すると、豆腐がふやけ、
苦味が発生したり酸化しやすく、うまくいかなかった。この防
止にいろいろ工夫を凝らして作るうちに、苦味と酸化を防ぐ方
法が偶然見つかり、昨年十二月、特許庁に特許申請し本格的な
生産に入った。
 
原料は朝日村で採れるナラタケにワラビ、そげニンジン、芋
殻、高野豆腐、納豆、酒かすなどを使い無添加の自然食品とし
て村の雪まつり・雪トピア`1988の二月二十日から一斉発売を
開始した。
 
製品は、四号缶容量四百グラム、お汁わん三杯分入れと、七号
缶三百グラム入れの二種類。開缶しなべで二、三分温めるか、
沸騰した湯の中に五分間入れれば食べられるので、簡便性と響
愁をそそるおふくろの味が受けて、三月末までに七千缶を出荷
した。
 
今シーズンは前年度の四倍強の三万缶を生産、山菜加工品の取
引でつながりのある首都圏のスーパーマーケットやデパートに
出荷する計画。
 

 
『[一村逸品]、健康食として加工、玄米スープの素とよもぎ粉』
1988/08/20 日本農業新聞
 
納豆、みその自給を目指して五十八年十一月に青森県西津軽郡
の稲垣村が加工センターを設立、これを村から委託されて運営
しているのが稲垣村農産物加工振興会(伝法谷むつ子会長)
だ。管内の農家の主婦四百三十人が会員となり、自給を中心に
さまざまな農産物加工に取り組んでいる。その中の一つが玄米
スープの素。玄米をいってから粉にしたもので、熱湯を注いで
スープにする。
 
「北海道でブームになったものだ。本来は玄米をいったものを
せんじて飲むが、手間がかかる。そこで、粉にし、手軽な健康
食として息長く愛用してもらうため粉にした」と伝法谷会長。
五百グラム三百五十円で販売しているが、直売方式。県内のデ
パートなどの催事にも参加するが、「基本は地域内自給だ」。
 
さらに、直接、加工センターで加工しないが、会員が摘んでき
たよもぎも粉にし振興会から販売している。
 
「ふっくらとした粉にするには特殊な加工が必要なため、よそ
のところに頼んでいる」(伝法谷会長)が、これも人気のある
農産物加工品。
 
そのほか、同振興会では「赤飯」や「よもぎ入り大豆おこわ」
などレトルト食品も製造している。
 
問い合わせ先は、同振興会、電話0173(46)3998。
 

 
『低農薬、有機肥料で大豆を契約栽培へ、静岡県の農協と納豆業者』
1988/07/21 日本農業新聞
 
【静岡】静岡県磐田地区の農協と静岡市の納豆食品メーカー
(株)富良食品(富永昌良社長)との間で、低農薬・有機施肥
の納豆用小粒大豆栽培の話が進んでいる。今年はまだ、磐田地
区で初めての小粒大豆の収量性、収益性などを確かめる試作段
階だが「地元で販売するものは、地元で生産する大豆から製造
していきたい。最終的には、二十ヘクタール、五百俵分が欲し
い」とメーカーの期待は高い。
 
(株)富良食品は、県内のAコープにも商品を卸している納豆
食品メーカー。国産有機栽培の大豆を使った納豆は、取引先の
スーパーマーケットのブランドで製造、販売している。「健康
食品が売りものの納豆だけに消費者の関心も高に」(富永社
長)。現在は、一日に一俵の大豆を原料にした製品を納めてい
る。
 
これまでの原料大豆は、大豆問屋を通して愛知県産のものを使
っていたが、製品の人気が高く、原料の安定確保、さらにでき
るだけ地場のものを−−という考えから、中央会、経済連の磐
田支所に話を持ちかけたもの。
 
今年試作するのは遠川森町、浅羽町など数農協。品種は、茨城
県で栽培されている「地塚」という小粒種。これを低農薬とで
きるだけ有機物施用で栽培する。条件は厳しいが「価格は、交
付金大豆や普通の有機大豆より高い一俵二万円以上を払える。
メリットはあると思う」と富永社長は言う。
 
売買逆ざやの解消のため交付金大豆の価格は、下げ傾向(六十
二年産一等一万六千五百八十五円)、等級格差も厳しくなる傾
向にある。さらに六十二年産から、交付金の対象から四等の規
格がはずされるなど厳しい情勢が続くとみられている。
 
浅羽町農協は今年、三十アールに作付けした。同農協営農生活
課では「一応栽培基準はある。問題は病害虫防除。慣行では花
が咲いてから二、三回のところを一回で済ませるには適期をつ
かむ必要がある」。「小粒種のため収量が低いが、価格は高
い。収益性さえ変わらなければ、納豆にこだわらず、低農薬大
豆として価値のある売り方も出てくるのでは」と話している。
 
富永社長は「大豆の販売も難しくなる。この契約栽培もメリッ
トが出るのでは。量が確保できればAコープにも卸していきた
い」と産地への期待をする。
 

 
『ハトムギ茶添えふるさと第一便、長崎県諫早農協』
1988/07/15 日本農業新聞
 
【長崎・県央】諫早農協(緒方秀隆組合長)は、関東在住の管
内出身者に喜ばれている「農産物ふるさと便」の今年度第一便
をこのほど発送した。
 
管内でとれたばかりの新鮮なカボチャ、ナス、ジャガイモ、タ
マネギ、アムスメロン、ハウスミカン、ショウガのふるさとの
香りに、好評のおふくろの味として特産のハトムギ茶、ハトム
ギ納豆みそ、ハトムギみそが添えられた。
 
年間二万円の会費で、季節ごとに四回、宅配便で届けている。
四年目の今年は会員二十三人。毎回、農協だより、市報、ロー
カル紙も一緒に詰めて送っており、受け取る人たちは、懐かし
い味と香りにふるさとの近況まで手に入るので「待ち遠しい」
と心待ちしているという。
 

 
『極小粒の納豆製品化に成功、角田市農協』
1988/06/22 日本農業新聞
 
【宮城・角田】角田産の極小粒大豆を使用した納豆の開発を進
めていた角田市農協(小島文一組合長)は、市内の食品会社の
協力で「極小粒こすず納豆」の製品化に成功した。
 
原料の極小粒大豆は、納豆専用のもので、転作作物として五十
ヘクタールほど栽培している。しかも、より安全性の高い食品
とするために、転作田での農薬の使用を一回(通常四〜五回)
に抑えた減農薬栽培とされている。
 
製造された「こすず納豆」は、みやぎ生協や同農協の生活セン
ターで供給する。すでに今月初めには生活センターの店頭に並
び、組合員はもとより広く市内に流通する。
 

 
『栄養たっぷり人気呼ぶ、ハトムギ納豆みそに自信、長崎県諫早農協』
1988/06/09 日本農業新聞
 
【長崎・県央】諫早平野特産のハトムギで、付加価値の高い加
工食品づくりに取り組んでいる、諫早農協ハトムギ部会婦人部
(八戸スミ子部長ら十四人)は、このほど「ハトムギ納豆み
そ」を仕込んだ。
 
ハトムギ、丸麦、大豆各十キロにもち米二きろの割合。蒸した
ハトムギにこうじ菌をまぶして二日半ほど寝かせたところで、
四、五人が八戸さん宅に集まって、ゆでてつぶした大豆、麦こ
うじ、塩を混ぜ、さらに砂糖、しょうゆ漬けの昆布、ショウ
ガ、はちみつ、水あめ、砂糖などを加える作業をした。
 
同婦人部は、ハトムギ栽培農家の主婦たちによって昨年五月に
発足。手始めにハトムギみそ、ハトムギ納豆みそを作ってみた
ところ、納豆みそが、手づくりの味とともに栄養たっぷりの自
然食品として人気を呼び、農業祭りなどで引っ張りだこで、部
員も自信を付けてきている。
 
諫早平野は、西日本唯一のハトムギ産地で、四十人で約十五ヘ
クタールを栽培している。
 

新聞記事一覧へ戻る。