日本三景で納豆「安芸の宮島」

最終更新日 平成13年7月10日

 江戸時代はじめ、全国を行脚した江戸幕府の儒学者・林春斎が
著書『日本国事跡考』で、卓越した三つの景観(日本三処奇観)
と書き記した「日本三景」。
 天の橋立(京都)、松島(宮城)、安芸の宮島(広島)。
 数々の和歌や文学にも登場してきたその日本三景で、納豆を食
べたい!と思い、平成13年3月18日、広島県・宮島にやって
きました。
 船で宮島に渡り、老若オスメスの鹿にまわりを囲まれながら、
海に建つ大鳥居が有名な厳島神社を目指します。
 複数の鹿にかこまれながら歩いていますと、なにやら神に選ば
れし者といった感じがありますが、それはただ単に手に持ってい
たお菓子、グリコ社「トマト・プリッツ」を狙っていただけのよ
うでした。
 懐かしのB&B島田洋七氏でも有名な名物「もみじ饅頭」の元
祖を名乗るお店がならぶ沿道を進むと、大鳥居が見えてきました。
 
*トマト・プリッツは狙っても、試食用もみじ饅頭を狙わないと
 ころに宮島に住む鹿の智慧を感じます。
 
 潮が満ちてくると本殿や回廊が海中に浮かんだようになるという
厳島神社は、推古天皇即位元年(593年)、佐伯鞍職によって
創建されたと言われ、現在の社殿は仁治二年(1241年)に再建し、
室町時代末期から桃山時代にかけて、毛利元就が本殿、回廊などを
改修したものだそうです。
 潮という自然現象をうまく利用した日本建築・究極の美と言っ
ても過言ではありません。
 その厳島神社のどこで納豆を食べようかと考え、満潮時に浮か
んだ本殿で能を見ながらということも考えましたが、ここはやはり、
そびえ立つ朱塗りの美しい大鳥居の近くということにしました。
 幸い、引き潮で大鳥居の近くまで歩いくことができます。
 ヌチャ、ヌチャ、と足を沈ませながら、潮が引いた浜辺を大鳥
居目指して歩いていくと、途中の水(海水)溜まりに、青々とした
アオサやちょうどいい大きさのアサリがありました。
 よく神社に行きますと
 
 「御神域につき、生き物をとってはなりません」
 
といった注意書きがありますが、【私の見える限りにおいて】は
注意書きは見当たらないので、ありがたくアオサとアサリをとらせ
て頂くことにしました。
 
 「ワーイ、ワーイ、潮干狩りだぁ〜」
 
と、20代後半独身男、楽しく独りで潮干狩り。
 できれば宮島らしく平家ガニと戯れたいところです。そこで一首

 宮島の鳥居の磯の白砂に、我喜びて、平家蟹と戯むる

 アサリ 32、アオサ少々を採取したところで、納豆を取り出し、
いよいよ「安芸の宮島で納豆」です。
 そのままの納豆を食べても芸がありませんので、納豆には先ほど
取ったアオサをちぎって混ぜて食べました。


(クリックすると大きな画像が表示されます)

 心地よい海風、朱色の雄々しい大鳥居の美しさに新鮮なアオサの
風味も入って、格別の納豆です。
 
 「ようし、今度はこっちから本殿を見て納豆を食べようかな」
 
と振り返った瞬間、本殿にいる観光客からの冷たい視線。
 
 「何やってんの?あの人」
 「鳥居の写真撮るのに邪魔なんだよ!」
 「なんか食ってるぞ、おい」
 
といったご批判も聞こえてきそうです。
 なかには、ビデオや本格的なカメラで撮影している外国人らしき
方もいらっしゃったので、訳の分からない日本人として撮影された
かも知れません。
 泣く泣く納豆を1パックであきらめ、逃げるように帰りの船に乗
り込み、「安芸の宮島で納豆」を終了しました。
 
 今後、機会を見つけ次第、残りの二景でも納豆を食べたいと
思います。
 
 ちなみに、バチがあたらないかと心配しながら取ったアサリは、
宿泊した旅館の部屋で味噌汁にして、ありがたく頂戴しました。


(クリックすると大きな画像が表示されます)

・・・・・その翌週の3月24日、死傷者計185名の安芸灘
地震が発生したのは、私のせいでしょうか?

「納豆の旅」報告へ戻る。


トップへ戻る。


ご意見、ご要望はこちらまでお願い致します。