納豆蕎麦打ちボランティア

最終更新日 平成13年7月10日
 ボランティア(Volunteer)、篤志奉仕家・・・・いいお言葉です。
 僭越ながら、私もいままで、それなりにボランティア活動に参加を
してきましたが、海岸清掃や荷物運びなどの力仕事が中心で、力仕事
が悪いとは言いませんが、正直言って物足りなさがありました。(多
少の勘違い含む)
 21世紀はもっと人のためになることをやらネバネバ!と思ってい
た矢先、三宅島から都内に避難されている皆様に手打ち蕎麦をご馳走
して、復興にむけて英気を養ってもらおうというお話をお聞きし、参
加することにしました。
 
 平成13年1月28日(日)、おりしも都内はジトジトの雨ですが、
その雨を蒸発させるぐらいの熱い魂をもって、会場につきました。
 肩や頭についた雨は、ジュッという音を立てて蒸発したぐらいです。
                         (ウソです)
 本日のメニューは手打ち蕎麦(二八)と鴨汁で、避難されている方
の昼食にするのが目的です。
 早速、鴨汁作り班と手打ち蕎麦班に分かれ、一斉に作業開始!
 今回、私は手打ち蕎麦班ですが、ただの手打ち蕎麦を打っては納豆
学会としての立場がありませんので、TV東京『TVチャンピオン 
納豆王選手権』でもお見せした、納豆パウダーを練り込んだ納豆蕎麦
を打つことにしました。
 はっきり申しまして、納豆蕎麦を打つのはただの私の趣味ですが、
その趣味で打った納豆蕎麦を食べて、多くの方に喜んで頂けるなら、
納豆冥利につきるところでございます。
 
 「さて、さて、蕎麦粉と・・・」
 
と私がゆっくり準備をしているうちに、鴨汁班が炭火で焼く鴨肉から
のモウモウと立ちこめる煙、気の早い蕎麦打ち名人達の

 
 「おーい!打ち粉どこー?」
 「こま板、そっちにない?あっ、ある?持ってきてー!」 

 
と大きな声が会場内に響き、一気に戦場状態になりました。
 最初に納豆蕎麦を打つ分の納豆パウダーを作ろうとしていた矢先、
 
 「500を急いで2つ打てる?」
  訳:500gの蕎麦(蕎麦粉400g、つなぎ100g)を
    2回、計1kgの蕎麦を急いで作れるか?
 「はっ、はぁ〜、打てますけど・・・」
 「じゃあ、打ったら煮方にすぐ渡して!」
  訳:打ち終わったら、蕎麦を茹でる係りの人に早く渡して!
 「は、はい」
 
となり、普通の二八蕎麦を急いで打つことになりました。
 鴨の脂で勢いよく立ちこめる煙の匂いにまかれながら、ヨイショ、
ヨイショと蕎麦を打ち、とりあえず2回打ち終わったところで、
一休み。
 と、思いきや避難されている方に蕎麦打ちを体験させてやってほし
いと事務局の方に言われました。
 100食分の蕎麦を打てるかどうか分からないぐらいの状態で、蕎
麦打ち体験を指導している暇は無いのではと思ったのですが、体験希
望者は小柄な20代後半らしき色黒の健康美女。
 「喜んで、お教えしましょう!」と女性に弱い私としては、お約束
のように元気ハツラツ!オロナミンCの勢いになりました。
 
 「えっと、まず蕎麦粉とつなぎとなる小麦粉、
           強力粉なんですけど、これを混ぜます」
 「はぁい」
 「指はこう立てて、熱が蕎麦粉に伝わらないようします」
 「あっ、でも爪が・・・」
 「じゃあ、ここは私がやります」
 
 (5分経過)
 
 「次は水を入れてこねます」
 「これも多分、爪が・・・」
 「あっ、そうですね。じゃあ、ここも私がやります」
 
 (25分経過)
 
 「じゃあ、『こね』が終わったので、『のばし』に入ります。
  まずは、打ち粉を敷いて、その上に玉になった蕎麦をのせます」
 「はい、これですね」
 「そしたら、30cmを目指して手の平の厚い部分で広げます」
 「はい、あっ、でも難しいぃぃ」
 「・・・・・じゃあ、私がやります」
 
 (10分経過)
 
 「あとはこの包丁とこま板を使って切るだけです」
 「スゴーイ、この包丁。よく切れそう」
 
 トン、トン、グチャ、ト・グチャ、グチャ
 
 「・・・・私がやりましょうか?」
 「お願いしまーす」
 
と、無事体験?が終わったところで、私の下心の出番だったのですが、
 
 「じゃあ、ここで茹でて食べましょうか?」
 「あっ、いいです。子供とか待っているし・・」
 
えっ、子供?・・・・人妻様でございました。
 
 下心も見事にうち砕かれ、蕎麦打ちボランティアに集中しなけれ
ばと思ったところで、なんと時間終了。
 残念ながら、納豆パウダーを使った納豆蕎麦を打つ暇なく、終わっ
てしまいました。
 
(納豆学会の人間としては失格です。申し訳ありません。
 次の機会には、必ず隠れて納豆蕎麦を打ちたいと思います。)
 
 全体の片づけが始まったころ、意外にも多くでた汗に驚きながら、
多少煮詰まった鴨汁に、焼いた極太のネギをブツ切りにして入れ、
そこへ最後に打った蕎麦をつけて、ズズズーッ。
 鴨の脂の濃厚にネギの苦みと力強さが加わり、爽快感ある蕎麦が
引き立ちます。

 
 ズズーッ、ズズーッ、ズズーッ。
 
 肌寒い雨のなかに響き渡る音。
 煮詰まった鴨汁の塩気が体全体だけでなく、恋心にも染みわたっ
たような気がした三井田でした。

 三宅島から避難されている皆様の
  一日も早いご帰島をお祈り致します。

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