第9回全日本丸太早切選手権大会

最終更新日 平成11年8月17日

 お盆の時期にふるさとイベントを行うところが多いことと思います。
 私の地元近くに刃物作りで有名な三島町というところがありまして、
9年前よりふるさとイベントとして「全日本丸太早切選手権大会」と
いう大会を行っています。
 この町特産の鋸を使って、丸太をいかに早く切るかという大会で、
使用する鋸は約1.5mと長く、これを2人で引き、優勝商品は、地
酒1斗、コシヒカリ1俵、味噌40kg、うどん10m、中古軽トラッ
クとチョー豪華?です。
 こういうくだらない(失礼)大会が大好きな私は、第4回から毎回
出場しているのですが、いまだ優勝できず3位が最高順位と情けない
かぎりです。


   (過去の栄光!第4回初出場で3位) 

今回もめげずに、出場しました。
 私が出場する理由は次の2つです。
 1つは簡単で、地元TVの優勝者インタヴューで、
 
 「優勝するために努力なさったことはなんですか?」
 「毎日、3パックの納豆を食べることです。 ワァーハッハッハッ」
 (ここで帰省していた人たちが納豆の力を知る)
 
とやりたいためです。
 もう1つは、毎回ベスト3に必ず入っている奈良県の木こりの方に
勝つためです。
 川端康成の小説『古都』にでてくるような、木をまっすぐ育てる仕
事をしていらっしゃるそうで、地下足袋を履き、手ぬぐいを鉢巻きに
したその風貌がいかにもプロといった感じです。
 プロに勝ちたい!という気持ちだけでしたら、数回負けていますの
であきらめるところなのですが、丸太を切るときのとてもイキな態度
に憧れているからでしょうか、イキにその方に勝ちたいという気持ち
でいっぱいです。
 以前その方は、決勝戦で大木を切っている途中、いきなり手を休め、
クーラーボックスにすたすたと歩いていき、カポン!と冷えたワンカッ
プの蓋を開けて、ゴキュ、ゴキュとスポーツドリンクのように一気に
飲み干すと、プップッと唾を手につけて、再び丸太を切り出しあっと
いう間に優勝してしまいました。
 私も同じように、切っている途中、いきなり手を休め、クーラーボッ
クスにすたすたと歩いていき、パカッ!と納豆のパックを開けて、ズ
ルズルと食べ干し?優勝したいと思っています。
 イキな納豆野郎の「男のロマン」です。

 ということで、平成11年8月16日(月)、快晴、新潟県三島郡
三島町で、第9回全日本丸太早切り選手権は行われました。

 実行委員長、町長の長い挨拶が終わり、競技説明です。
 
 「アルコールを飲んでの競技は禁止としました」
 
 えっ?切ってる最中に冷や酒クイーッはもうダメ?
 今年から、競技途中に冷や酒あおって「いっちょ切るか」なんて粋
な事ができなくなりました。残念です。
 そして、選手宣誓。
 
 「選手宣誓、駐在さんお願いします。」
 
 なんと選手宣誓は、三島町の駐在さん。しかも制服を着たまま、勤
務中の出場です。地元イベントらしい選手宣誓に、盛り上がってまい
りました。
 私は一緒にタッチフットボールというアメフトからタックルをとっ
た競技をやっているチームメイトのWさんと出場しました。
 参加費は無料で、参加賞として味噌1kg、手延べそうめん3束、
地酒1カップ、地場産チーズナイフ、洋なしジュース、おつまみイカ
を頂戴しました。ありがたいことです。
 まずは、近くにあったポプラにハイキック数発と片手腕立て数回で、
近くにいた子供をビビらせてウォーミングアップ。

 「続きましてぇ、エントリーナンバー7番、
  ミニス・・、えっ、ミニスカートガンガン?チームです」
 
と司会者に呼ばれ、ゴツイ男の私たちが試合場にでると、会場全体か
ら軽い笑い。まずはチーム名で笑いをとって先制攻撃です(誰に対し
てかはよく分かりませんが・・・)。
 「ヨーイ!」のかけ声に続いてピストルが撃ち鳴らされ、スタート。
ヨイショ、ヨイショ、樹齢50年という直径60cmの杉の木を1分
28秒で切り落としました。
 まわりのチームを見回してもだいたい1分30秒前後なので、こりゃ
3位以内は余裕だな、と思っていた大間違い、こりゃ確実にかなわん
なというチームが4チーム。
 以前、決勝で切っている最中に冷や酒をあおり優勝した、奈良県奈
良市の木こりチーム「ならやま」が45秒。
 昨年優勝した、中国から出稼ぎにきている中国人・日蓮さんと李さ
んのチーム「中越鋳物工業共同組合」が56秒。
 新潟県長岡市で農園業をやっていらっしゃる「金垣農園」チームが
57秒。
 京都の木こりチーム「さきもり」(九州出身の方のようです)が1
分。
 他のチームとは、多くとも10秒の差なので、木にフシがあるかな
いかで変わってくる程度ですが、45秒となると力だけでなく、技も
必要です。
 ちなみに中国人チームは、生活がかかっているそうで、昨年優勝し
たときにもらった軽トラックは、すぐに現金にして国に送ったそうで
す。今どきの日本人には無い、家族のために勝つ、という姿勢には感
動しました。
 12時前に1回戦がすべて終わり、昼休みとなりました。
 三島町には、君が代製麺所という美味しいそうめんのメーカーさん
があり、その直営店で流しそうめんを食べることができます。そこで、
午後の2回戦にむけて、流しそうめんとしゃれこみました。Wさんも
私も大飯喰らいなので、とりあえず3人前づつ注文。
 
 「お待ちどうさまでしたぁー」
 
 冷たい地下水に流れるそうめん、汗を流したからでしょうか、つゆ
を多めにつけて一気にすすりこむと、なんともいえぬ充実感がこみあ
げてきます。
 
 「すいませーん、追加お願いしまーす」
 
 結局、そうめん5人前づつ、天ぷらを食べてしまい、しばらく安静
となりました。本格的なアスリートにはなれないようです。
 午後1時、1回戦での上位16チームが2回戦のタイムトライアル
に出場です。この時点で、私たちは13位。再度、気合いを入れて切
ると、今度は1分30秒。フシがあった分の2秒ぐらいかなと思い納
得していると、チーム「ならやま」はなんと37秒・・・・チェーン
ソーと同じぐらいの早さだそうです。チーズを切るようにサクサク切っ
てました。
 結局、私たちは12位で終わり入賞を逃してしまいました(5位く
らいまでは10秒以内の差、クヤシー!4位以上には完敗)。
 納豆インタビューを受けられなくて、申し訳ありません。
 優勝は、もちろんチーム「ならやま」。優勝商品を軽トラックに載
せ、颯爽と地元・奈良県に向かって会場を後にしました。
 力+技があってこその37秒だと思いますが、来年までにノコギリ
の基礎?をしっかり学び、打倒チーム「ならやま」に挑戦し、かつ納豆
をススり、

 「えっ?勝因ですか?もちろん、納豆ですよ」

と高らかに宣言したいと思います。

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