平成12年

 今年の”日本一”味噌試食会

最終更新日 平成12年12月3日

 皆さんご存じのように、7月10日は「納豆の日」ですが、11月30日
は、ゴロ合わせで「いい味噌」、味噌の日だそうです。
 これにちなみ、平成12年11月30日、東京のホテルオークラで、
第43回全国味噌鑑評会の上位入賞した味噌を試食会「今年の”日本一”の
味噌を味わう」(みそ健康づくり委員会http://www.miso.or.jp)が行わ
れました。
 味噌と言えば、納豆の兄弟と言ってもいい食品です。
 ということで、会員のなっ鳥さんと私で潜入してきました。

 ホテルオークラに着き、試食会が始まる前に、参加者をざっと確認したと
ころ、九割が女性、そのうちのほとんどは熟年、中年のお母さんとそのお友
達といった感じで、なかにはオカーサンに無理に連れてこられたようなオトー
サンが「俺、立場ないなぁ」と言わんばかりにウロウロしています。
 もちろん、男二人組はなっ鳥さんと私だけです。

 「それでは、どうぞお入り下さい」

と、ドアが開き、試食会開始。50組100名が、ウェルカム・ドリンクを
受け取りながら会場に入ります。

 「さぁて、全種類喰ったるぞ!」

と意気込んだ矢先、

 「それでは乾杯の音頭を・・・」

と、なぜか乾杯の儀。味噌PR推進委員会・委員長による

 「1200年の歴史をもつ味噌が、今日このような・・・」

というありがたいご挨拶、そしてグラスを持つ手が重たくなったところで
乾杯。
 続いて、中央味噌研究所の代表の方からのご挨拶があり、その後、今回
の調理を担当した「ホテルオークラ」の大庭シェフによる料理の説明です。

 大庭シェフのお話によると、

 「味噌は難しい素材だったが、うまく調合して、味噌の良さを全面にだ
  した料理を作ることができた。
  酒と味噌を調味料として使うことは、フランス料理でもたまに行う。
  海外のシェフとの交流のときに味噌が話題になることがある」

とのことでした。
 さて、いよいよ試食開始です。
 試食は味噌そのもの、味噌汁、味噌を使った料理の3つのカテゴリーに
別れていました。
 まずは、味噌汁。出品されていた味噌汁は以下の7品です。

a.ワカメと豆腐のみそ汁
 (株式会社よしのや「善光寺みそ」長野県、米みそ)

b.大根とにんじんのみそ汁
 (ひかり味噌株式会社「匠」長野県、米みそ)

c.なめこのみそ汁
 (有限会社越後一味噌「味」新潟県、米みそ)

d.きのこのみそ汁(シイタケ、しめじ、えのき)
 (福山醸造株式会社「トモエ北海道仕込み赤粒」北海道、米みそ)

e.かぶのみそ汁
 (新庄みそ株式会社「新庄白みそ」広島県、米みそ)

f.ゆり根のみそ汁
 (イチビキ株式会社「特選 京赤だし」愛知県、豆みそ)

g.じゃがいもと玉ねぎのみそ汁
 (株式会社山内本店「とっておき 麦白生みそ」熊本県、麦みそ)


 味噌の味を全面に押し出せとの指示があったのでしょうか、全体的に味が
濃く、かなり「しょっぱく」なってます。
 ダシはきちんととってありますので、薄くしたらかなり美味しく、かつ、
もっと味噌の差がでたと思われ、大変残念です。

 そんななか、これは!という味噌汁がeです。
 甘く麹の香りほのかな味噌、程良く炊いた甘いかぶ、そして吸い口として
入れたからしの爽快感。いい勉強になりました。
 片っ端から、デジカメで撮影しながら味噌汁を飲み、評価をメモっていた
からでしょう、調理を担当した和食部門の板前さんたちにジロジロと見られ、

 「あの〜TVチャンピオンにでていた方ですよねぇ」

と言われ、しばらく味噌&料理談義。他の方にも声をかけられ、恐るべし
TVチャンピオンの視聴率。



 次は、味噌を使った料理。出品されていた料理は以下の10品です。
 
 1.秋野菜のあんかけ、どんぶり仕立て
  (株式会社よしのや「善光寺みそ」長野県、米みそ)

 2.豚と豆のトマト煮込み、みそ風味
  (ひかり味噌株式会社「匠」長野県、米みそ)

 3.みそ風味ハヤシライス
  (有限会社越後一味噌「味」新潟県、米みそ)

 4.鶏のみそ焼き
  (福山醸造株式会社「トモエ北海道仕込み赤粒」北海道、米みそ)

 5.さといものみそ風味グラタン
  (新庄みそ株式会社「新庄白みそ」広島県、米みそ)

 6.ゆで豚のみそだれ
  (イチビキ株式会社「特選 京赤だし」愛知県、豆みそ)

 7.ツナと豆腐のサラダ、みそドレッシング
  (株式会社山内本店「とっておき 麦白生みそ」熊本県、麦みそ)

 8.ほうれん草ときのこの肉みそ
  (米みそ)

 9.帆立貝のパルマンティエ サバイヨンのみそ風味
  (米みそ)


10.アンコウのロースト、ニンニク味ソース、ノワイリー風みそ入り
  (米みそ)


 あまりの人気のため、9は食べられなかったのですが、他はすべて食べて
みました。
 料理によっては、味噌の加減にかなりのバラツキがあり、本当に味噌入っ
てるの?からまったくもって味噌そのものという料理まであります。
 なかでもオススメは、4と7。
 4は、味噌焼きだと通常肉が固くなってしまうところを柔らかく仕上げて
あり、かつ味噌を焼いたときの香ばしい香りが口いっぱいに広がる一品です。
 7は、ツナ缶を使う手軽さながら、豆腐の清涼感、トマトの透明さを麦み
その独特の風味がまとめ、前菜として一級品です。
 10もかなり美味しかったのですが、それは素材・アンコウの新鮮さで
あり、味噌料理としての評価は高くはないと思います。
 また、タレとしての味噌の使い方として、6のみそだれが素晴らしく、
豆みその個性とゴマの個性がよく響きあい、これにクルミでも足したら野趣
あふれ、最高のタレになったと思います。
 また、クリーム味のソースには、意外にも広島の白味噌が合うことも発見
でした。
 最悪は、味噌本体以上にしょっぱい味つけだった8の肉みそ、そしてご飯
です。私が新潟出身だから、ということは抜きにしても、グチャリとしたご
飯、焼きむすびはガチガチに押し込み過ぎ、と最悪でした。

 ここまで食べ尽くしたお陰で、ウーロン茶はがぶ飲み、口の中は塩気で
シワシワとなりましたが、ここで引き下がっては納豆学会の名折れ、味噌自
体の試食も行います。
 第43回全国味噌鑑評会の上位入賞した味噌をすべて味わってみました。

 味噌の横に柿のスライスしたものがあったので、味噌をつけて食べるもの
かと思っていましたが、実は味噌を連続して試食する際に味覚をリフレッシュ
するためのものだそうです・・・・2枚ほど味噌つけて食べてしまいました。

農林水産大臣賞

 ・株式会社よしのや「善光寺みそ」長野県、米みそ
 ・ひかり味噌株式会社「匠」長野県、米みそ
 ・福山醸造株式会社「トモエ北海道仕込み赤粒」北海道、米みそ
 ・有限会社越後一味噌「味」新潟県、米みそ
 ・株式会社山内本店「とっておき 麦白生みそ」熊本県、麦みそ
 ・新庄みそ株式会社「新庄白みそ」広島県、米みそ

 普段、馴染みがあまりないからでしょうか、麦みそよりは米みその方が味
わい深く感じ、特に北海道の「トモエ北海道仕込み赤粒」は、塩気のなかに
内在する大豆のうまみ、麹の香りが発揮され、私が理想とする感じの味噌で
した。
 また、食糧庁長官賞を受賞した味噌も試食でき、なかでも以下の味噌が
ビビっときました。

 ・株式会社ますやみそ「母さんの味 ますやのみそ」広島県、米みそ
  まろやかでクリーミィな味噌で、洋風の料理に使えそう。
 ・丸久味噌株式会社「雪国の味」新潟県、米みそ
  やはり食べなれた味なので・・・・・。
 ・青源味噌株式会社「下野の麦味噌」栃木県、米と麦の調合みそ
  麦の個性が若干押さえられているが、複雑な麹の香りが楽しめる。

 試食を終えたところで、今回の試食会のゲストであり、「味噌がガンに効
く」ということを研究なさっている広島大学の渡辺教授にお話を聞きました。

 渡辺教授は、放射線による障害が味噌によって治癒するという結果から、
味噌に含まれるどの成分が放射線によって壊れた細胞を直すのか、ひいては
ガンにも味噌が効くのでは、という研究を行っているそうです。
 研究をはじめる発端となったのは、新庄みそ株式会社の社長の奥様が放射
線障害をお持ちになっていたため、社長とともに味噌と放射線障害について
研究しようと思ったから、とのことです。
 赤味噌のみで実験されているそうですが、実際に放射線障害のマウスに対
して、仕込み直後の味噌、完熟の味噌を与えたところ、完熟の味噌を与えた
マウスは消化器官系の放射線障害が治癒したそうです。

 「味噌のどの成分が効いている、というところまで研究は進んでいらっしゃ
  るのでしょうか?」

という不躾な私の問いに、渡辺教授は

 「いやぁ、分かっていないんですよ。
  味噌のどの成分が効く、というところまで分かったら、もっと味噌は
  見直させると思いますが・・・」

とやさしくお答え頂きました。
 専門的な事も大変分かりやすく説明して頂き、貴重な時間を過ごすことが
できました。渡辺教授、ありがとうございました。

 あっという間に試食会は閉会となり、最後にはお土産を頂きました。
 味噌料理のレシピ、みそ健康づくり委員会が発行している書籍類
 『味噌コンシューマー・ニュース』、『ご存じですか、みその効用』
 『みそを使えば鍋がおいしい』、『みそを使えば魚介がおいしい』
 『みそを使えば野菜がおいしい』、『みそを使えばご飯がおいしい』
 『みその話』『みそ汁の本』
と、今井醸造株式会社さんから「たからみそ」(北海道、米みそ)、株式会社
竹屋さんから「タケヤみそ塩ひかえめ」(長野県、米みそ)500gずつと、内容
は豪華でした。

 「“日本一”の味噌試食会」、味噌自体の知識だけではなく、料理のアイデ
アなど大変勉強になりました。
 今回のような素晴らしいイベントを企画された、みそ健康づくり委員会さん
に感謝しつつ報告を終わりたいと思います。

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