1997年の新聞記事

  最終更新日 平成13年5月3日
それぞれの記事は引用です。

『【朝の詩】思い出 埼玉県新座市 小林新一』
1997/12/27 産経新聞 朝刊
 
朝から
きびしい
木枯しが吹く
冷たくなった手に
息をかけながら
納豆、納豆って
小さな声で
売っていたボク
家がまずしく
どうしても
納豆を買って欲しい
空から白いものが
落ちてきた
納豆は一本も売れない
寒い朝の
幼い日の思い出
(選者 新川和江)
 

『◆“1997冬季納豆特集 自社工場建設ラッシュ進む 旭松食品・埼玉工場が竣工』
1997/12/17 日本食糧新聞
 
 納豆業界は依然好調である。
 平成8年・9年1〜9月の都道府県別納豆の一世帯当たりの
消費金額と伸長率を比較すると一六・九%の伸びとなっている
(総務庁統計局家計調査報告より)。
 消費が減退する夏場をみごと乗り切ったといえるが、全国納
豆協同組合連合会では、その伸長率が二〇〇〇年まで仮に三%
に減速しても二〇〇〇億円市場に到達すると予測している。
 それを裏付けるかのように供給体制完備のため、大手に限ら
ずメーカーの自社工場建設ラッシュ、増設が進んでいるが、旭
松食品(株)(大阪市淀川区、06・306・4121、木下
晃一代表取締役社長)が埼玉県比企郡に竣工した埼玉工場(納
豆専用工場)の稼働が、何といっても最近の業界ビッグニュース。
 同工場は、関東市場向けに開発され消費者から爆発的に支持
を得ている「納豆いち完熟超小粒」を主として生産、「当初日
産二〇万食の生産を目標とするが、最終的に五〇万食を目指
す」(塩沢精取締役チルド事業部長)というが、首都圏にある
好立地で他のメーカーにとっては脅威的存在。関東における納
豆市場の勢力分布が二、三年のうちに一変する可能性を秘めた
工場といえる。
 このように市場の成長を背景に自社工場の建設が進んでいる
が、一方で消費の伸びがとまった時を危惧する業界関係者もいる。
 同工場竣工式典での全納連高星進一会長の言葉「伸びた後は
落ちるんです」が印象的で、追い風の中、培った営業基盤をバ
ックに、納豆だけにこだわらず即席カップ味噌汁など、新時代
の顧客ニーズに対応する多様な関連商品開発へのチャレンジが
必要だろう。
 

『1997冬季納豆特集 業界、環境問題などに取り組む 容器のリサイクル化へ』
1997/12/17 日本食糧新聞
 
 納豆菌が抗生物質を生産し、赤痢やチフス、病原性大腸菌な
どを抑制することは知られていたが、O157も抑制するとい
う研究報告がされて以来、納豆の栄養価も再度見直されて納豆
の需要は伸び続けている。業界ではこのO157特需に甘んず
ることなく、食品業界共通の問題である環境問題、有機・無農
薬、国産大豆の需要拡大などに取組んでいる。
〈容器包装リサイクル法への取組み〉
 一般廃棄物中、容積比で六割を占める容器包装廃棄物を分別
回収して再資源化を促進するために、平成7年に「容器包装に
係る分別収集及び再商品化の促進に関する法律(容器包装リサ
イクル法)」が制定され、今年4月から本格施行されている。
 二〇〇〇年には納豆容器も対象になることから、全国納豆協
同組合連合会は納豆の特性を踏まえ、リサイクルが容易で省資
源的な容器包装の開発・利用を促進するガイドラインを作成・
普及する事業に取組んでいる。
 一般廃棄物として排出される納豆容器包装廃棄物も、内容物
による汚れを除去し、その材質ごとに分別収集することができ
れば、飲料用の紙パックやPETボトルと同様に原料として再
商品化することが望ましい。しかし、納豆はその商品としての
特性や流通・販売の実状からみて、内容物による汚れを除去
し、その材質ごとに分別収集することは困難と考えられる。
 したがって、細分化した分別や徹底した洗浄を必要としない
リサイクル、例えば、油化、固形燃料化などの熱エネルギー源
としての利用が、衛生的にも効率的にももっとも適していると
考えられる。
 このようなことから、納豆業界としての対応を全国納豆協同
組合連合会では(1)容器包装をできるだけ減量化すること
で、容器包装廃棄物の排出量を減らす(2)容器包装リサイク
ル法の再商品化に有効に利用できる材質を選んで容器包装に使
用するの二つの方法を推進している。
 納豆容器包装の実態は表(11面)を参考にされたい。プラ
スチックパックが八六%と大多数を占めている。
〈高品質の原料大豆〉
 納豆業界は原料大豆の年間使用量は約一一万t、内国産大豆
は約二〇〇〇tで全体の一・八%にすぎない。ほとんどは米
国、中国、カナダなどの輸入に頼っており、輸入大豆の納豆に
ついても製造技術の向上により、非常に良質の製品ができてい
る。また、米国を中心とする遺伝子組み換え食品については原
料表示をめぐって現在大きな議論となっている。業界では行政
および関連団体を通じて、各方面の動向を必要に応じて情報と
して広報を行っている。
 こうした安全性の追い風に加え、差別化商品として国産大豆
商品を利用して高品質、高付加価値納豆の生産意欲が潜在的に
強くなっている。
 全国納豆協同組合連合会が行った国産大豆による納豆試作試
験によると、国産大豆を原料として使用することで、ねっとり
した食感と優れた風味を持つ納豆、アンモニアの発生が少な
く、豆が軟らかくなりにくい性質を利用し、熟成日数を長く風
味を増した納豆、大袖振などの豆の色を生かした納豆など、輸
入大豆では製造することができない高品質、高付加価値の納豆
の開発が期待されると報告されており、すでに最大のネックで
あるコストの問題をクリアしながら国産大豆納豆商品も裾野を
広げている。
 こうした業界の取組み事例として、あづま食品(株)の新商
品から納豆業界の方向性を紹介する。
 

『1997冬季納豆特集 環境に優しいPET素材をあづま食品が初導入』
1997/12/17 日本食糧新聞
 
〈環境にやさしいPET素材容器商品新発売〉
 納豆メーカー大手のあづま食品(株)(栃木県河内郡、02
86・72・2112)は、包材、包装機械、フィルムシール
など五社共同でリサイクル可能で焼却炉を傷めず、ダイオキシ
ンを出さずに環境に低負担のPET素材での納豆トレーを開
発、10月には「新極小粒3P」(五〇g三個、たれ・からし
付、一六八円)を、11月には「国産ひきわり3P」(同、一
六八円)を全国に新発売した。業界初の導入。
 従来の納豆容器は加工しやすく軽くて保温性のあるポリスチ
レンが主流だが、燃焼時の残灰(スス)および加熱時のベンゼ
ン溶出が問題となり、燃焼カロリーも高く、炉を傷める恐れが
あった。PET素材の最大の欠点はコスト高であったが、同業
他社に先がけて一五年前から有機大豆に取組み、九五年にはO
CIA(有機農作物改良協会)認定工場の資格を取得して健康
を提案してきた企業理念により、「日本人が毎日食べ親しまれ
ている食品から環境を考えよう」と新素材に着手した。
 新商品の「新極小粒」は在来の米国産極小粒大豆と栽培方法
をまったく変え、国産地塚大豆の品質を維持するために毎年日
本から種子を米国に持ち込んで栽培、五年の歳月をかけて量産
に成功した米国産地塚小粒大豆を使用。トレーは開けやすいト
ップシールタイプで、トレー一つ一つに賞味期限を印字してい
る。PET素材の三個パックの包装には業界初のトレーの完全
シュリンク包装を採用し、衛生面・安全面を一歩進めている。
 「国産ひきわり」は国産のタチナガハ種大豆を一〇〇%使用
し、六〜八分割した粗挽きタイプの挽き割り大豆を使用。PE
T素材のトレーはゆったりサイズ(容積三〇%アップ)で、よ
り一層ムラのない均一な発酵となっている。
 

『1997冬季納豆特集 関西地区=地元メーカーが健闘、関西人食生活に定着』
1997/12/17 日本食糧新聞
 
 【大阪】昨年、O157騒動が追い風となり、テレビの人気
番組で取り上げられたこともあって、大きく拡大した関西地区
の納豆市場は、今年、昨年ほどの伸長はないものの、堅調に推
移し、関西人の食生活に定着してきたといえる。
 大手スーパーの今年前期の売上げ状況をみると、ジャスコの
近畿地区では昨年比一七・八%増の月間平均二五七二万円、コ
ープこうべでは二二%増の月間約六三〇〇万円、イズミヤでは
伸び率は微増だが、3〜8月で約三億五〇〇〇万円と、厳しい
市場環境の中、各社とも善戦している。
 メーカー別売上げシェアをみると、コープこうべは、昭和5
0年から手がけているPB商品とフジッコだけの展開で、PB
の比率が九割以上と圧倒的に高い。ジャスコではPBが約六
割、旭松が約二割。イズミヤでは旭松が約二・五割、花園食品
が約二割、タカノフーズが約一・五割、朝日食品が約一割強、
くめが約一割弱といったところで、各社とも旭松、フジッコと
地元の有力メーカー、PB商品の健闘が目立っている。
 商品別では、ジャスコでPBの「有機百倍納豆」五〇g×三
Pが、8月からの月に一回、五八円という思い切った価格訴求
の寄与と、8〜10月まで定番価格九八円を続けたことで、約
四割のシェアを占めるに至った。二位は旭松の「なっとういち
超小粒」五〇g×三PとPBの「ひきわり納豆」が約一五%ず
つ、四位旭松「氷温熟成完熟超小粒」が約一割といったところ
だが、「毎日、特売価格に設定された商品がショーケースの下
段に並んでおり、そうした商品は、一日の売上げシェアの四割
を占めている」(バイヤー談)と、各社こだわり商品に注力し
ているとはいえ、価格訴求による売れ筋商品の変動は大きい。
 イズミヤでは、旭松の「なっとういち」が二・五割、花園
「無農薬超小粒」四〇g×三Pが約二割、タカノ極小粒三〇g
×三カップが約一・五割、朝日食品の「水戸いなか炭火作り」
三〇g×三カップが約一割強を占め、ここでも「有機」「無農
薬」など、健康志向を強調したPB商品の健闘が目立つ。
 また、ジャスコでPBの「ひきわり納豆」が第二位に登場
し、イズミヤでも「パイが小さいものの、昨年発売した花園の
ひきわり納豆が昨年同期比約二割の伸長」。テレビで消化吸収
がよいと取り上げられたことから、ひきわり納豆の人気が高ま
ってきたことも新しい傾向といえる。
 関西地区の納豆のこれからの市場性の予測と、各社の取組み
については、「関東の同規模の店と比較して、一人当たりの買
い上げ点数が約七割弱、まだまだ伸びる余地がある。ただし、
関西にも納豆好きのお客様が増えている。これからは原料や製
造工程にこだわったタイプが伸長すると思う。旨みの強い大粒
タイプも、パイは小さいものの、着実に売上げを伸ばしてい
る」(ジャスコ)。
 「簡便性が高く、健康に良い納豆は、今後も需要の裾野の広
がりが期待できる商材。関東の消費量に、関西がどこまで迫れ
るか注目している。有機・無農薬・国産大豆を使用した健康志
向やグルメなどの機能性を重視した商材や、ふりかけ・納豆汁
などの関連商材の品揃えの充実が、これからの売上げ拡大の鍵
となる。高齢化社会に向けて、骨粗鬆症などにもよいなど、ヘ
ルシー性を具体的にうたえばもっと伸長すると思う」(イズミヤ)。
 コープこうべは、PB商品を自社工場で生産していることも
あり、「契約栽培した北海道の鈴丸大豆を使用するなど、原料
にこだわり、大手メーカーに負けない技術力で生産するなど納
豆には注力している。現在、たれの味の見直しと、しそ味や海
苔味など新しい味の納豆を開発中。これからは有機栽培大豆使
用納豆の品揃えも必要となってくるだろう」と、各社とも差別
化商材の取り扱いに意欲的な姿勢を示している。
 売上げ伸長のためには「メーカーの力を借りてビデオやリー
フレットなどを使ってのメニュー提案」(ジャスコ)、「一人
でも多くのお客様に知ってもらうことが大切。メニュー提案の
レシピを置くと、売上げが連動して伸びている」(イズミヤ)
と、メニュー提案による新ユーザーの開拓が、これからの消費
拡大の鍵とみている。
 

『1997冬季納豆特集 関西地区=旭松食品、関東で5倍の伸び人気の氷温熟成製品』
1997/12/17 日本食糧新聞
 
 旭松食品(株)(大阪市淀川区、01・306・4121)
は、今前期決算(9月)で納豆部門の売上げが昨年比四一・
二%増の三四億四七〇〇万円と好調。凍り豆腐、即席味噌汁部
門を抜いて、もっとも大きな売上げ構成比を占めるようになった。
 これは、独自の納豆菌で発酵させた「においひかえめなっと
ういち」が、今まで納豆嫌いだった関西地区の消費者に受け入
れられ、近年の納豆ブームの牽引役となり、同地区の納豆マー
ケットの圧倒的なシェアを占めているだけでなく、関東地区の
消費者をターゲットに開発した「氷温熟成完熟超小粒納豆い
ち」が、大きな売上げの伸びを示していることが要因となっている。
 「氷温熟成」は、独自の製法で甘みと旨味が強く、トップシ
ールで空気を遮断し、過剰熟成を防ぎ、おいしい状態を保つこ
とができる。また、パッケージも可燃性のオパレー容器を採用
し、環境面も考慮されているなどさまざまな工夫が凝らしてあ
る。こうしたことが、ヘビーユーザーの多い関東地区の消費者
に受け入れられ、同地区の売上高で昨年比約五倍に伸長。生産
体制が追いつかない状況になった。
 そこで、納豆の性格上、デリバリー面も考慮に入れ、埼玉県
比企郡吉見町に物件を取得。首都圏納豆市場の拠点として、約
三六億円を投資し、生産性の高い最新設備を導入した「埼玉工
場」を竣工、11月19日から稼働を開始している。
 関東地区は今まで生産性の問題で、積極的に営業活動を展開
できなかったこともあり、これからは、地元のリージョナルス
トアなどにもストアカバー率を広げていくのが当面の目標。同
工場は当面日産二〇万食の生産体制で臨むが、同地区のシェア
拡大に伴い、ラインを増設し、日産五〇万食の生産体制にもっ
ていき、これからはさらに関東地区の売上げ強化を図りたいと
している。
 

『1997冬季納豆特集 関西地区=高橋食品工業、国産原料こだわりの「京納豆」好評』
1997/12/17 日本食糧新聞
 
 高橋食品工業(株)(京都市伏見区、075・621・39
31)は、「鶴の子納豆本舗」の商標登録で有名な納豆専業メ
ーカーで、年間販売額約六億円。大手量販店をはじめとする販
売チャネルで全国展開し、関西地区の納豆需要の伸びを追い風
に、昨年比一五%増と好調に販売額を伸ばしている。
 そもそも京都は納豆の歴史が古く、同社商品はパッケージに
「京納豆の由来」を記して京都色を打ち出しており、また、国
産の有機無農薬大豆を使用するなど、原料にもこだわり、大手
メーカー商品との差別化を図っている。
 この路線の強化商品として、9月から発売した「京納豆」シ
リーズは、国産黒豆大豆納豆「丹波」(四〇g二パック入り、
メーカー希望小売価格一九八円)と大粒で旨味の高い契約栽培
の袖振大豆を使用した「京都」(同一四八円)の二アイテムで
構成されており、消費者から「おいしい」「販売先を教えてほ
しい」と問い合わせが多く寄せられている。
 特に健康雑誌で黒豆が取り上げられたことなどから、「丹
波」の人気が高く、既存の黒豆納豆よりも低めの価格設定と相
まって、原料確保に追われている状況。
 また、この二品は、タレにもこだわり、本醸造醤油を採用す
るなど、同社のおすすめ商品として注力していく方針。
 高橋孝幸社長は「これからも京都というブランドイメージに
恥じない本格商材を展開していきたい。好評の京納豆シリーズ
も第三の商品を企画中で、デパートや量販店の納豆売場に京納
豆コーナーを設けるのが夢」と意欲的。
 

『1997冬季納豆特集 関西地区=フジッコ、昆布ミネラルを混入 黒豆納豆の商品も』
1997/12/17 日本食糧新聞
 
 フジッコ(株)(神戸市中央区、078・303・536
1)は、大豆に含まれるイソフラボンという成分に骨粗鬆症の
予防効果があると発表し、大豆製品の開発に力を入れている
が、中でも納豆は、これからの成長分野として位置付けしている。
 アイテムは、主力商品の「昆布ミネラル納豆超小粒」と、甘
みの強い大粒の大豆を用いた「やわらか大粒納豆」の二品を展開。
 納豆部門の売上げは年間約六億円だが、最近の納豆ブームを
追い風に、昨年から今年にかけて三〇%の伸びを示すなど、好
調に推移している。
 同社は、差別化の要素の少ない納豆で、消費者から「フジッ
コの納豆でなければ」といわれる商品開発を目指している。
 一つは、平成3年に納豆市場に参入した際、主力商品の昆布
に目を付け、発酵時に昆布ミネラルを混入することで熟成効果
を高め、昆布の旨味を加えたことが挙げられる。
 さらに、納豆菌も自社で発見した「KAORI二号」という
独自のものを採用している。この菌の作用で、従来の納豆より
旨味に優れ、アンモニア臭が発生せず、納豆嫌いといわれてい
た関西の消費者を中心に根強い支持を得ている。
 また、同社は、以前から栄養的にも旨味の点でも優れた黒豆
の納豆に注目していたが、黒豆は普通の大豆より皮が固いとい
う欠点があり、それを克服するため、「ネオマイルド七一〇
(ナットウ)」という大豆の皮を軟らかくする菌を発見し、黒
豆納豆の商品化に成功した。6月から関東地区を中心に地域限
定で発売、10月から全国で本格発売しており、関係者の注目
を集めている。
 国産の黒豆を原料として使用しているが、五〇g二パック入
りでメーカー希望小売価格一九〇円と、低めの価格設定がバイ
ヤーに受け入れられ、関東地区でかなり売場を広げている。関
西でも10月から大手スーパーを中心に店頭に並ぶなど、好調
なスタートを切っており、これからの重点商品として、注力し
て販売していきたいとしている。
 

『旭松食品企画開発部係長上辻徹氏』
1997/12/12 日経産業新聞
 
 「大阪出身で納豆の味がわかるんですか?」。旭松食品企画
開発部係長の上辻徹は東京都内で納豆の営業をしていた時、こ
うした質問をよく受けた。当時、旭松食品は納豆独特のにおい
を少なくした「なっとういち」を関西で売り出し、好調な滑り
出しを示していた。上辻はこれを首都圏でも販売しようとスー
パーなどを駆け回ったが、「においがなくては納豆と呼べな
い」と取り扱ってもらえなかった。
 七年間の納豆の営業を経て、九三年から企画開発部で関東の
顧客にも受け入れてもらえる納豆作りに取り組んだ。この時に
考えたのは納豆の魅力を「入れ物」という明確な部分と「おい
しさ」という概念的な部分に分け、それぞれについて消費者が
潜在的に抱く不満を探したという。
 九四年に関東地方の主婦九百人に面接調査し、週に三―四回
は納豆を食べるヘビーユーザーのし好を研究した。調査機関に
依頼したデータなども加味した結果、貴重なヒントが浮かび上
がった。
 目立ったのが新鮮さを求める声だった。発泡スチロール製の
パック三つを帯で巻いて売る納豆の賞味期限は帯の部分にだけ
書いてあり、一パック使えば帯は外れてしまう。冷蔵庫で長期
保存したパックは納豆の水分が失われ、アミノ酸が結晶化して
シャリシャリと嫌な歯触りになるという指摘だ。
 九六年三月に発売した「納豆いち・完熟超小粒」は水分が逃
げないよう容器にシールでふたをし、さらに一パックずつ賞味
期限を表示した。入れ物の改善である。
 味にも新機軸を打ち出した。納豆をセ氏零度から零下二度の
状態で従来の倍以上の時間をかけて熟成させる新製法を採用し
た。うまみの元であるアミノ酸の生成を促すことができる。
 「納豆いち」はヒット商品となり、旭松食品は首都圏での販
売額を前年度の三倍以上に伸ばした。同社の九六年度の納豆売
上高は前年度に比べ五七%増えた。
 大阪市中央区で生まれた上辻は幼少時代、「納豆は嫌いでは
なかったが、近所のスーパーでは売っておらず、年に数回しか
食べなかった」と言う。メーカーの商品開発担当者は、とかく
自分の感覚を信じるタイプが多い。だが上辻は「自分の舌を信
じず、純粋に消費者のし好を探り続けたのが良かった」と思っ
ている。
 九六年度の納豆の市場規模は約千六百億円。パック数に換算
すると四十四億パック(一パックは五十グラム)となり、国民
一人が年三十五パックの納豆を食べている計算になる。
 八〇年代後半には納豆ブームが起き、大きな伸びを記録。九
四年度に米不足の影響で消費量は前年を下回ったが、九五年度
以降は消費者の健康志向が高まるにつれ人気も回復した。
 総務庁の家計調査などから推計した一人当たりの納豆消費額
は、東京が年間に千九百八円(前年度比一〇%増)なのに対
し、大阪は七百十三円(同二八%増)。依然として地域格差が
あるが、「西日本の人は納豆を食べない」という常識は薄れつ
つある。 (原田洋)
 

『納豆用のPET容器、あづま食品が開発』
1997/12/03 日本経済新聞 地方経済面
 
 納豆メーカー大手のあづま食品(栃木県河内町、黒崎信也社
長)は、リサイクル可能なPET素材を使用した容器を開発、
同容器入りの納豆二種を発売した。生協、大手量販店など取引
先や消費者の環境問題に対する関心が高まっているのを背景
に、二〇〇〇年までに順次、全製品の容器を切り替える。ま
た、全国の納豆メーカーにも技術を公開し、業界あげてリサイ
クル容器導入を促したいとしている。
 新容器はフィルムシール、包材、包装機械メーカーなど四社
と共同開発した。回収容器をフレーク状にして溶融後再成型
し、工業用のトレーとして使えるのが特徴で、流通業界と回収
システムの確立を検討している。従来の容器は加工しやすく、
保温性のある発泡スチロールが原料だったが、発泡率が高いた
め、少量のポリスチレンしか回収できずリサイクルが困難だった。
 また、従来容器は燃やす際にススが出るほか、加熱時にベン
ゼンが溶出し、焼却炉を傷めるなど問題が多い。これに対し、
新容器は燃焼時に一酸化炭素、エタン、メタンなど有害ガスが
発生しない。発生カロリーも一キロ当たり五千五百キロカロリ
ーと従来の半分程度に抑えることができるという。
 同社は新容器を使用した「新極小粒3P」(五十グラム三個
入り、百六十八円)、「国産ひきわり3P」(同)を発売し
た。新容器は一パックあたり五円と従来品の約三倍のコストが
かかるが、小売価格には上乗せしない。
 同社の納豆の生産量は日産一千万パックで、新容器を使用し
た製品はまだ全体の五%程度。だが、三年後をめどに全量を新
容器に切り替える計画だ。
 また、全国納豆連合会を通じて、同業他社に新容器採用を呼
びかけ、業界全体での環境問題への取り組みを訴える。同時
に、そうした取り組みを通じて容器の生産コストダウンにもつ
なげる考えだ。
 

『加工食品の販売動向調査、POSデータ分析』
1997/11/29 日経流通新聞
 
 「有機栽培」をうたった農産物を原料とした加工食品が売れ
ている。全国のスーパー八十四店舗のPOS(販売時点情報管
理)データで、「有機」「オーガニック」「無農薬」というネ
ーミングのついた商品について、九五年以降の販売動向を集
計・分析したところ、販売金額、シェアともに年々増加傾向に
あることがわかった。「有機」の定義のあいまいさを問題視す
る声もあるが、そのネーミングには確かな販売力が備わってい
るといえそうだ。
 加工食品の中でも有機素材として最も浸透しているのが大豆
製品だ。もともと日本向け大豆の大部分を生産する米国で有機
大豆が栽培されており、製品に浸透しやすかった。中でも普及
しているのが豆腐と納豆。消費者のブランド志向が比較的高く
ないため「有機」というネーミングが販売に効果的に働いている。
 豆腐(生揚げ、油揚げなどの豆腐製品を含む)の販売金額全
体のうち有機商品のシェアは、今年一―十月の実績で一六・〇
八%。今回調査した加工食品のなかで、最も高い比率となっ
た。一カ月当たり販売金額も、ずば抜けている。
 納豆では、年間販売金額ランキングの上位百商品中十四商
品、販売金額シェア一〇・五〇%を有機商品が占める。今年一
―十月の販売金額ランキングでは、あづま食品(栃木県河内
町)の「有機栽培無農薬小粒カップ3」が二位以下を大きく引
き離した。
 同社は八二年に有機納豆を発売したが、売り上げが伸び始め
たのはここ数年。九五年に納豆メーカーとして初めてOCIA
(有機農産物改良協会、本部米国ネブラスカ州)からオーガニ
ック食品の認定を受けた。
 同社はタカノフーズ(茨城県小川町)に次ぐ業界の二番手メ
ーカーだが、有機商品では市場をリード。大手量販店にもPB
の有機納豆を提供、現在は、同社売上高全体の約三割を有機納
豆が占めるまでになった。今年度の売り上げは通常商品で前年
度比約一〇%増、有機納豆で約二〇%増を見込んでいる。
 みそ、しょうゆでも有機大豆を使った商品が増加傾向。販売
金額全体に占めるシェアは、みそが九五年の〇・二二%から九
七年〇・六八%、しょうゆが同三・四二%から三・八六%へ上
昇。八月にハナマルキ(東京都目黒区)が発売した「有機大豆
一〇〇%みそ」は、通常の二割高だが、「これまでの製品より
立ち上がりは五〇%程度良い」という。
 

『旭松食品、埼玉工場が竣工 首都圏納豆市場への拠点に』
1997/11/28 日本食糧新聞
 
 旭松食品(株)(大阪市淀川区、06・304・4121)
は19日、首都圏納豆市場への拠点となる埼玉工場の稼働を開
始し、併せて竣工披露式典を行った。
 新工場は、埼玉県比企郡吉見町大寺長谷一九五七番地(吉見
長谷工業団地内)に立地、敷地面積は二万八五七平方メートル
(約六三〇〇坪)、延べ床面積六一七二平方メートル。
 最近の納豆市場は、前年対比約一〇%増と著しく伸長してお
り、その中でも同社は、独自の納豆菌で発酵させた「においひ
かえめなっとういち」を開発、同社の拠点である関西地区中心
に、「納豆嫌いの食文化を変えた」といわれるほど、大きな支
持を得ている。また最近では、ヘビーユーザーの多い関東地区
に向けて開発した、甘みとうまみの強い「完熟超小粒納豆い
ち」が、関東地区を中心に大きく売上げを伸ばしており、生産
が追いつかない状況にある。埼玉工場はこの「完熟超小粒」の
生産工場として、同社四番目の納豆生産施設となるもの。
 同工場は、加工・包装ラインなど自動化が進んだ最新鋭生産
機器導入で、高い生産効率を実現している。また、環境対策で
も工場排水の水質基準をBOD二〇ppm以下に抑えて排水処
理を行い、一日二〇〇立方メートルの処理が可能。さらに機械
換気を採用するなど、衛生面も最新設備を導入、これからの納
豆生産施設として業界で注目を集めている。
 同社・木下晃一社長は、式典および記者会見の席上で「今9
月中間期決算で、納豆部門は対前年比約四一・二%増と大きく
売上げを伸ばした。凍り豆腐、即席みそ汁に次ぐわが社の三本
目の柱となり、現在では三部門の中では最も大きい売上げ構成
比を占めるようになった。今日では、関西地区で圧倒的なシェ
アを占めているが、関東地区では思うように消費が進まず、関
東市場に向けた納豆ということで研究を進めた結果、“氷温熟
成完熟超小粒納豆いち”を開発、昨年からの発売に至った。そ
の結果、納豆ブームの追い風の中、爆発的な人気を得て、関東
地区での売上げは昨年から五倍近く伸長。供給が間に合わない
状況となり、首都圏の消費者に近いところで工場の取得を急
ぎ、今日の竣工に至った」と、これまでの経緯を述べた。
 また、塩沢精取締役チルド事業部長は「当面日産二〇万食の
生産体制で臨むが、関東地区での消費拡大に伴い、ラインの増
設を進め、日産五〇万食を目標にしたい」と、新工場の今後に
意欲をみせた。
 さらに、来賓祝辞として、全国納豆組合連合会高星進一会長
が、「折からの健康ブームの中、納豆市場は大きな伸びをみせ
ている。これは、消費者に好かれるおいしい納豆をという、メ
ーカー各社の努力のたまものと感謝している。これからは、消
費全体の冷え込みや、メーカー間の競争の激化などで厳しい状
況も予想されるが、納豆市場規模のさらなる拡大、そして全国
シェアでトップメーカーになることを目標に頑張って欲しい」
とエールを送るなど、関係者たちの期待を集めて、盛大に行わ
れた。
 

『[のら屋の体においしい…]ニンジン葉と納豆のスパゲティ』
1997/11/27 毎日新聞 地方版
 
 今の季節はまだ、ニンジンの葉は元気いっぱい。寒さに負け
そうになりながらも太陽の光をいっぱい浴びて濃い緑色。香り
も強くて、みるからにビタミンたっぷり。もちろん、根っこの
赤いニンジンもおいしくなっているので、一緒にしっかりいた
だきましょう。「人(ヒト)」にとっても一物全体食といっ
て、丸ごといただくことが体にもよく、食べることの基本の一
つ。ぜひ心がけたいもの。
 (1)塩を加えて、スパゲティをゆでる。できれば、国内産
小麦で作ったスパゲティを使ってみましょう。固さは好みで。
ザルにあげたら、ゴマ油を少しからめておく。
 (2)ニンジン葉はよく洗って、汚いところは取り除く。軸
は固くてすじがあるので使わない方が無難。柔らかい葉の方を
ザク切りにする。根の赤いニンジンの方は、よく洗って皮つき
のまま細い線切りにする。
 (3)ごま油をたっぷり熱し、ニンジン葉、ニンジン、チリ
メンジャコを入れ、しっかり炒める。炒まったら、納豆を加
え、ほぐしながらさらに炒める。塩、コショウ、しょうゆで味
をつける。(1)のゆでたスパゲティを加え、しっかりまぜ
る。最後の味のチェックをして出来上がり。しょうゆ味をちょ
っと効かすとおいしい。
 (4)皿に盛り、きざみのりをたっぷりかけて召し上がって。
 (のら屋082・295・6465=スタッフ、原清子さん) 
 

『納豆作る枯草菌 日韓欧米の研究グループ、塩基配列すべて解く』
1997/11/27 東京読売新聞 夕刊
 
 納豆作りなどに利用され、分子生物学の実験生物としても知
られる「枯草(こそう)菌」の遺伝子を構成する全塩基配列
を、奈良先端科学技術大学院大学の小笠原直毅、吉川寛教授ら
日本、韓国、欧米十二か国の共同研究グループが世界で初めて
解明した。
 全塩基配列が判明した生物は、大腸菌やインフルエンザ菌な
どに次いで十例目。新しい抗生物質の開発などへの利用も期待
できるという。
 遺伝子(DNA)は生命活動に欠かせない酵素などたんぱく
質の設計図で、塩基と呼ばれる物質が鎖状に連結して出来てい
る。枯草菌の遺伝子数は四千二十一個あり、そのDNAは約四
百二十一万五千の塩基で出来ている。
 国際プロジェクトは一九九一年に着手、日本の三十三人を含
む百五十一人が共同研究。研究グループごとに二十万塩基ずつ
配列の決定を担当した。同大は二十万塩基を酵素などで五百ず
つに分断、PCR(遺伝子増幅)法などを用いて読み取り、五
年がかりで塩基配列を解析した。
 枯草菌は大腸菌と並ぶ分子生物学研究のモデル実験生物で、
広く自然界に存在する。たんぱく質やデンプンなどを分解する
酵素を分泌するため、洗剤や納豆作りにも利用されている。
 

『旭松食品、平成10年3月期中間決算』
1997/11/21 日本食糧新聞
 
 【大阪】旭松食品(株)(大阪市淀川区、06・306・4
121)平成10年度3月期中間決算
 ▽売上高八九億二六〇〇万円(前年同期比一二・六%増)▽
営業利益一億九五〇〇万円(五六・〇%増)▽経常利益一億八
二〇〇万円(一一・九%増)▽当期利益九三〇〇万円(八・
一%増)▽一株当たり中間利益九円九七銭
 〈部門別売上高〉▽凍り豆腐二四億九五〇〇万円(六・九%
減)▽加工食品二七億五六〇〇万円(五・八%増)▽納豆三四
億四七〇〇万円(四一・二%増)▽その他二億二六〇〇万円
(一〇・九%増)
 厳しい市場環境の中、消費者の健康志向、自然志向、食品の
安全性に対する関心は強まってきており、同社は、この消費者
ニーズ、市場競争への対応を念頭に置いた商品開発に努めた結
果、昨春発売の新商品「氷温熟成納豆」が、関東地区を中心に
順調に市場に浸透し、納豆部門が大幅な売上げ増となった。
 その他の部門では、凍り豆腐部門で健康志向を背景に新規需
要の開拓などに努めたが、高価格商品が伸び悩み、前年を若干
下回った。即席みそ汁「生みそずい」は、カップ製品を全面リ
ニューアルし、袋入りについては低温熟成味噌を使ったうまみ
や風味にこだわったシリーズ三品を新発売し、テレビCMと連
動した総合キャンペーンを打つなどの積極的な展開に支えら
れ、売上高、利益面ともに二桁の伸びをみせた。
 下期は、関東における供給体制の強化のため、埼玉県吉見町
に同社四番目の納豆生産設備「埼玉工場」を新設。同工場の本
格稼働を引き金に、引き続き関東戦略を積極的に押し進めると
ともに、顧客ニーズを先取りした商品開発や、利益を追求する
経営体制の推進、安定した経営基盤づくりなどに励み、さらな
る業績の向上を図る意気込み。
 通期では売上高一九〇億円(一〇%増)、経常利益五億八〇
〇〇万円(五%増)、当期利益二億五〇〇〇万円(五〇%増
)、一株当たり年間配当金一〇円を見込んでいる。
 

『旭松食品、埼玉新工場が稼動――氷温熟成納豆を増産。』
1997/11/20 日本経済新聞 地方経済面
 
 飯田市に本店を置く旭松食品が埼玉県内に建設していた工場
が完成し、十九日に稼働した。関東地方を中心に投入している
氷温熟成納豆(氷点下で熟成させる納豆)の販売が好調なため
増産体制を整えた。これまで関東地方向けには主に高森工場
(高森町)と友部工場(茨城県)から製品を供給していたが、
埼玉工場の稼働でより消費地に近い生産拠点からの供給が可能
になる。
 新工場は関越自動車道の東松山インターチェンジ(IC)か
ら約六キロの距離にある吉見長谷工業団地(埼玉県吉見町)の
約二万平方メートルの敷地に建設。二階建てで延べ床面積は約
六千平方メートル。一日当たり五十万食の生産能力を持つ。投
資額は土地取得費を含め約三十六億円。
 工程間の製品を自動搬送装置を使って移動させるなど省力化
を図り、従業員数は一日当たりの生産能力がほぼ同規模の小野
工場(兵庫県)の約半分の五十九人に抑えた。同時に生産ライ
ンの速度を約二倍に引き上げ生産性を向上させた。同社は「埼
玉工場を首都圏市場開拓の前線基地と位置づけたい」としている。
 

『決算から――旭松食品、納豆販売好調で増益。』
1997/11/14 日本経済新聞 地方経済面
 
 旭松食品 九七年九月中間期の売上高は前年同期比一二・
六%増の八十九億二千六百万円。納豆の販売が関東地区を中心
に順調に推移した。経常利益は一一・九%増の一億八千二百万
円、税引き利益は八・一%増の九千三百万円だった。
 九八年三月期は売上高百九十億円、経常利益五億八千万円を
見込む。
 

『[1997中間決算メモ]旭松食品 「関西に納豆」迷う』
1997/11/14 大阪読売新聞 朝刊
 
 ○…うまみを引き出すアミノ酸が通常の納豆の倍も含まれて
いるという氷温熟成納豆。旭松食品の納豆部門の売り上げは、
氷温熟成のおかげで、前年同期比四一・二%増の三十四億円だ
った。しかし、木下晃一社長は、これを関西にも本格投入する
かどうかで、迷っている。関西では、においをマイルドにした
「なっとういち」が定番化しており、においがきついままで
は、売れ行きに不安が残るからだ。「におい、味の面で改良も
考えている」と話すが、悩みは深いようだ。
 

『朝の詩10月「月間賞」 納豆 渋江達三さん』
1997/11/14 産経新聞 朝刊
 
 朝刊一面「朝の詩」の十月月間賞に東京都田無市南町五ノ一
一ノ九、無職、渋江達三さん(七五)の「納豆」(一日掲載)
が選ばれました。渋江さんには掲載紙のカラーパネルと一万
円、それにキユーピー(株)から「アヲハタジャムセット」を
贈ります。
 渋江さんの話「去年の月間賞に引き続き、二度目の月間賞を
いただき、本当にありがとうございます。こんどの詩のような
ことが、わが家にも全然ないわけでもないのですが、詩そのも
のは私の想像からの創作です。だから家族にはあまりみせられ
ないな、と思っているところです。これからも記憶に残るロマ
ンチックな詩を探求し、投稿したいと考えています」
 《授賞作品》
 納豆
おじいさんは今朝も
日課のように
納豆が糸を引くまで
掻き回す
息子
おばあさん
日頃 無口になって
みんな貝になった
紅い糸も切れ
糸電話も通じない
おじいさんは今朝も
つながりを求めて
納豆を掻き回す
 

『永谷園、有機大豆の納豆「生みそタイプみそ汁 納豆汁」発売』
1997/11/14 日本食糧新聞
 
 (株)永谷園(東京都港区、03・3432・2511)は
10月27日から、有機大豆の納豆を使った生タイプの即席味
噌汁「生みそタイプみそ汁 納豆汁」を北海道・東北・関東地
区で発売した。初年度販売目標は三億円。
 素材のひきわり納豆は、米国の有機農産物基準に基づいて作
った。三年以上、農薬や化学肥料を使用していない土壌で栽培
した大豆を使用、「従来品とは納豆のコク、風味が違う」(永
谷園)という自信作だ。
 味噌は北海道産の合わせ味噌を用いて差別化。深みとコクの
ある味が特徴だ。
 パッケージはシンプルながら、迫力のあるデザインを採用。
店頭露出効果を高めている。
 商品内容は次の通り。
 ▽生みそタイプみそ汁 納豆汁=内容量七三・五g(二四・
五g×三人前)、小売価格一六〇円、荷姿三人前×一〇P×八B
 

『有機大豆使用の即席納豆汁を発売/永谷園』
1997/11/12 東京読売新聞 朝刊
 
 永谷園は、生みそタイプの即席みそ汁「納豆汁」を北海道、
東北、関東の3地区で発売した。有機無農薬大豆のひきわり納
豆と北海道産の合わせみそを使用している。3人前で、73.
5グラム入り。160円。 (電)03・3432・2511
 

『あづま食品、業界初のPET素材納豆容器開発 環境に低負担』
1997/11/12 日本食糧新聞
 
 納豆メーカー大手、あづま食品(株)(栃木県河内郡、02
86・72・2112、黒崎信也社長)は、包材、包装機械、
フィルムシールなど五社の共同で、リサイクル可能で燃焼炉を
傷めず、ダイオキシンを出さずに環境に低負担のPET素材で
の納豆トレーを開発、10月には「新極小粒3P」(五〇g三
個、たれ・からし付き、一六八円)を、11月には「国産ひき
わり3P」(同、一六八円)を全国に新発売した。業界では初。
 従来の納豆容器は加工しやすく軽くて保温性のあるポリスチ
レンが主流だが、燃焼時の残灰(スス)および加熱時のベンゼ
ン溶出が問題となり、燃焼カロリーも高く、炉を傷める恐れが
あった。PET素材の最大の欠点はコスト高であったが、同業
他社に先がけて一五年前から有機大豆に取り組み、九五年には
OCIA(有機農作物改良協会)認定工場の資格を取得して健
康を提案してきた企業理念により、「日本人が毎日食べ親しま
れている食品から環境を考えよう」と新素材に着手した。
 新商品の「新極小粒」は在来の米国産極小粒大豆と栽培方法
を全く変え、国産地塚大豆の品質を維持するために毎年日本か
ら種子を米国に持ち込んで栽培、五年の歳月をかけて量産に成
功した米国産「地塚小粒大豆」を使用。トレーは開けやすいト
ップシールタイプで、トレー一つひとつに賞味期限を印字して
いる。PET素材の三個パックの包装には業界初のトレーの完
全シュリンク包装を採用し、衛生面、安全面を一歩進めている。
 「国産ひきわり」は国産のタチナガハ種大豆を一〇〇%使用
し、六〜八分割した粗挽きタイプの挽き割り大豆を使用。PE
T素材のトレーはゆったりサイズ(容積三〇%アップ)で、よ
り一層ムラのない均一な発酵となっている。
 同社では二〇〇〇年にはプラスチック製容器、包装に施行さ
れる容器包装リサイクル法に向けて、PET素材の納豆容器も
回収できる東京都稲城市のPETボトルリサイクル方式に着
目、納豆容器の回収を模索している。
 

『からし特集 業務用=波少なく堅調推移、納豆用ミニパックは銭単位でシノギ』
1997/11/12 日本食糧新聞
 
 業務用(加工用を含む)も総体的には堅調に推移している。
景気の波が少ないといわれる食品業界の中で、市場規模(用
途)が小さいからし業界だけに、波もより少ない地味な業界と
もいえる。ただ、そのためもあってメーカー間の競合も激し
く、とくに主体となる納豆を中心としたミニパック(添付品)
は、銭の単位でシノギを削っている。幸いにして、納豆の消費
は順調で骨粗鬆症や血栓予防など、従来からの食効に加えて、
病原性大腸菌O157でもその“底力”を発揮し、その健在ぶ
りをアピールした。このほか、コンビニエンスストアなどで展
開している持ち帰り用おでん、ファストフード関係、シューマ
イなどの添付用として、ミニパックの用途も広い。また、飲食
店向けなど業務用全般では、おでん屋、とんかつなどの和食系
をはじめ、中華料理店、ファミリーレストランや洋食店(マス
タード)など、あらゆる飲食業態に進出しているものの、使用
量が限られるうえ、外食全般で厳しさが続いているだけに、量
的な増加は期待できない。
 ただ、この分野も簡便性やメーカーの付加価値戦略もあって
か、練りからしなどのウェットタイプの方の伸びが大きい傾向
にあり、家庭用と同様に粉末タイプは「こだわる客(店)」に
絞り込まれつつある。
 一方、加工用は粉末が主力となる。専業メーカーが主体で、
香辛料メーカーなどを含めた仲間売りをはじめ、わさびやマヨ
ネーズ、ドレッシングなどの原料用や、夏から秋にかけてナス
のからし漬け用途などの季節需要もある。
 国内のからしメーカーは、主に関東以西に散在。その中で埼
玉のサカイスパイスとチヨダ、中部の美ノ久が専業の“御三
家”といえる。サカイスパイスでは、今年からカナダ工場の製
粉機が本格稼働。日本仕様のカナダ製からしパウダーを輸入
し、ユーザーにサンプリングを実施。規格や輸送システムを含
めて、この「一〇ヵ月でほぼメドがついた」と、来年からの切
り換えに自信を示している。また、美ノ久はマスタードを中心
に業務用やPBなど、からし製品を幅広く手がけているが、昨
年、東京に営業所を設置し関東地区を強化。チヨダでは、その
伝統と技術を生かし、粉末からマスタードまで、業務・加工・
家庭用を含めて対応。今年も納豆添付用のミニパックが順調の
ほか、輸出原料用も伸びている。
 このほか、首都圏では総合香辛料・スープメーカーとして知
られる平和食品が、シューマイなどのミニパックを主力に展
開。業務用全般や産業・学校などの給食向けの食材メーカーと
して知られるテーオー食品や交易食品(横浜)は、チューブ製
品などを主体に訴求。テーオー食品は「フレッシュパック」な
どの練りタイプが前年比二桁増と好調な動きを示している。ま
た、慶応年間に搾油業として創業した千葉のユニ・フードは、
全売上げの八割前後がからしで、そのほとんどがミニパック。
埼玉のアミュドも同様に小袋品が主力。専業の東京辛子粉も健在だ。
 

『◆からし特集 家庭用=チューブ入り練り「本生」好調』
1997/11/12 日本食糧新聞
 
 全体では堅調に推移しているからし(マスタードを含む)市
場も、家庭用・業務用(加工用も含む)ともに、飽和市場とな
っているために、競合が強まる構図となっている。
 とくに家庭用は、景気全体が先行き不透明で、消費者の生活
防衛意識が高まっているためか、からしの動きにも高級品から
レギュラー品にシフトするといった、数年前とは逆の動きがで
てきている。
 また、業務用(加工用を含む)関係では、以前からシビアな
コスト競争が続いているが、納豆需要の好調もあってか、添付
用ミニパックが順調ながら、この分野の競合も相変わらず激しい。
 一方、一〇〇%海外に依存する原料面は、今年産は増産が見
込まれているものの、世界的な需要も旺盛なため、産地相場も
堅調に推移するなど“高値安定”が定着化している。
 家庭用のからし(マスタードを含む)の今上半期の動向は、
全体では前年並みからやや増加と堅調に推移している。ただ、
景気全体の先行きが不透明なためか、チューブ入り練りからし
もかつての高級品志向から、レギュラー品の“復活”傾向が強
まるなど、消費者の生活防衛意識の一端が、ここにも現れてい
る。このため、用途が限られている現状に加えて、単価ダウン
といった市場の頭打ち傾向が強まり、必然的に競合激化という
図式が鮮明になっている。
 からし(マスタードを除く)の場合、タイプは主力のチュー
プ入りなどの練りと粉末(缶、袋)に大別されるが、粉末市場
はせいぜい四億〜五億円(メーカー出荷額)でジリ貧傾向をた
どっている。主力は簡便で使い勝手のいいチューブ入りの練り
タイプで、市場規模は六〇億円(同)見当。この分野は、エス
ビー食品とハウス食品の両大手で市場をほぼ制覇。他に量販店
のPBが散見される程度のため、両社がシノギを削っているこ
とになる。
 この秋口までの動きをみると、エスビーが好調な半面、ハウ
スが苦戦という全体構図が浮びあがる。エスビーの場合、前期
も粉からしは低迷したものの、チューブ入り練りタイプは、横
ばい基調のレギュラー品をシリ目に、約六割の構成比を占める
主力の高級品「本生」が、キャンペーン効果もあってか好調に
推移。チューブ入り全体では、前年比一〇%強と増加。これを
持続した形で、この上半期もチューブ入りの「本生」は、前年
同期比一二%増、低迷していたレギュラー品も同八%増と盛り
返している。
 一方、ハウスはこの余波を受ける形で、前期は粉からし、チ
ューブ入り練りタイプともにやや減少。この上半期は、粉から
しは横ばいながらチューブ入りは未だ“水面下”という状況。
ところが、チューブ入りの中でも、レギュラー品(ねりからし
七%増、ねり和からし一〇%増)は、それまでの低迷から脱し
て上向きに転じたが、主力の高級品「特選」が前年同期比で二
桁減と足を引っぱり、高級分野での競合が明暗を分けた形だ。
 一方、いわゆるマスタードも今期はよくて微増にとどまりそ
うだ。市場規模は一五億円前後(メーカー出荷額)と推定さ
れ、昭和35年に参入したキユーピーのほぼ独壇場という傾向
で推移してきた。ここ数年、エスビーやハムメーカー(日本ハ
ム、伊藤ハム)なども注力し、ジワジワと市場拡大に貢献して
きたが、こちらも食シーンが限られる分野だけに、関連販売な
どを通じ「着実に伸ばす」(キユーピー家庭用調味料部宇佐川
部長)不断の努力が求められている。キユーピーの今期(11
月期)の見通しでは、前年比微増の着地となりそうで、「それ
だけ定着した裏返し」とみている。種類別にみると、同社マス
タード売上げの八割を占める「あらびき(一〇〇gびん)」
が、かつて(平成5、6年)の急増から今期は微増にとどまる
気配。ただ、スクイズパックの「ホットドッグ用」(一五〇
g、小売二二〇円)は、今期も二〜三割増と、基礎数値は小さ
いながら、四年連続の二桁増を確実にしている。
 また、エスビー食品では「コールマンマスタード」(チュー
ブ)や「フレンチマスタード」(スクイズパック)などを手が
け、この上半期は横ばいながら、前年は一〇%増と着実に増
加。日本ハムなど、ハムメーカーのマスタードは、粗びきソー
セージとの連動(マネキン販売等)など、仕掛けによって動き
が大きく変化する宿命にある。
 また、首都圏量販店でのからし関係は、香辛料売場とマヨネ
ーズ・ドレッシング売場、さらに生鮮売場などに分かれるケー
スが多い。からしは、エスビー、ハウスのチューブがメーン。
粉末はエスビーの缶入り(三五g)のみで、袋は散見される程
度。価格は袋で一〇〇〜一一〇円、缶で一五〇円台。チューブ
は、レギュラー品で一二〇円台、高級品で一七〇円台。特売で
は二〇〜三〇円台の値引で訴求している。
 マスタードは、キユーピーのびん入り(一〇〇g)が一六〇
円台、輸入品(マイユ)で二二〇円台(一〇三g)。エスビー
の「コールマン」や「フレンチ」が一七〇〜一九〇円台という
のが大勢。日本ハム(四〇g)や伊藤ハム(五〇g)のチュー
ブ入りは、一〇〇円で関連販売するケースが主流だ。
 

『大豆――需給ひっ迫で高値圏へ、アジアの需要増が下支え(市況トレンド)』
1997/11/05 日経産業新聞
 
 今年夏から下落基調をたどってきた大豆の国際価格は、中長
期的にみれば再び高値圏に向かいそうだ。世界最大の生産国で
ある米国は今年、過去最高の豊作に恵まれたが、アジアの需要
拡大で需給ひっ迫感が次第に強まる公算が大きい。中国が輸入
国に転じそうなうえ、エルニーニョ現象による干ばつ懸念がぬ
ぐい切れないことも国際価格を下支えするだろう。
 国際指標となるシカゴ商品取引所の大豆期近価格は昨年の乱
高下の後、今年五月上旬まで上昇が続いた。九六年産の作柄悪
化と需要の拡大が主な理由で、一時は一ブッシェル当たり九ド
ル台の過去最高値を記録した。しかし、米国産をはじめとした
九七年産の豊作が確実となると、基調を弱め「歴史的に見て妥
当とされる六ドル台」(丸紅)に落ち着いた。
 十月に入ると、トウモロコシ価格が中国の突然の輸出停止な
どを受けて急伸したのに連れて上昇、現在は七・一ドル台とな
っている。十月の反転上昇が中長期的な値上がりのきっかけと
なるかは不透明だ。十月末からアジア各国の株価・通貨安によ
る需要減少予測が台頭しているためで、年内は不安定な値動き
を予想する向きが多い。
 市場では早くも年明け以降の需給分析が始まっている。まず
供給面をみると、米農務省(USDA)が十月十日に発表した
九七年九月―九八年八月の世界の大豆予測生産量は二十七億二
千二百万ブッシェルで過去最高の豊作となる見通し。
 一方、需要も拡大するとみられる。ここ数年で急速な経済成
長を遂げたアジアでは、食生活の欧米化が進んでおり、食肉の
需要が伸びている。食用油や飼料として使われる大豆の消費量
は増えており、「アジアの需要は長期的に増加基調を持続す
る」(大手商社)との見方が有力だ。
 この見方が崩れるとすれば、今年七月のタイバーツ急落をき
っかけに東南アジア各国に広がった通貨安とその後の株安だろ
う。通貨安は輸入価格の上昇を招いたばかりでなく、同地域の
景気減速につながった。
 十月末から景気後退がアジアの需要停滞につながるとの観測
が出ているものの、「影響は一時的」(丸紅調査部)との見方
が多い。アジアでは人口が増え続けており、食糧需要は拡大す
ることはあっても減ることは考えにくい。景気低迷が需要減少
に直結する産業資材や工業製品とは、需要構造に根本的な違い
がある。
 アジアを中心とした需要増を補うほどの供給の急増は見込め
ない。米国では九六年に新食糧法が施行され、農家が自由に生
産を増やせるようになった。全米で二億ヘクタールといわれる
耕地のうち、二千万ヘクタールは休耕地だが、その大半が土壌
保全を目的としており、生産調整に充てているのはわずか。作
付面積の大幅な拡大は望めない状況だ。
 中国の動向も見逃せない。同国の生産量は九五、九六年と最
高を更新したが、今年は東北部の干ばつで減産は必至とみられ
る。一方、需要は東南アジア各国と同様に増加しており、「来
年は輸入に踏み切らざるを得ない」との見方が浮上している。
 こうした状況から判断すると、大豆の国際価格は七―八ドル
の高値圏に向かうとみられ、日本の輸入価格にも波及しそう
だ。USDAの予測では九八年八月末の在庫率は一〇・四%
と、適正とされる一六―一七%を大きく下回る。エルニーニョ
現象による干ばつなどが加わった場合、急騰する可能性もあ
る。 (広谷大介)
 【ミニ知識】
 大豆はトウモロコシと並ぶ主要穀物。世界の生産の大半は搾
油に使用され、油を搾った後のかすは飼料用となる。豆腐や納
豆に使う食品用大豆の生産はごくわずか。主な生産国は米国の
ほか、ブラジル、アルゼンチンなどの南米諸国、中国などとな
っている。
 一方、主要消費国は米国、日本、欧州連合(EU)などで、
日本は最大の輸入国。シカゴ商品取引所の期近物が国際価格の
指標となる。
 

『納豆作り、祖国思う−−北朝鮮の日本人妻に、訪朝の都議ら面会』
1997/11/05 毎日新聞 朝刊
 
 朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)を先月下旬訪問した「東
京―ピョンヤン友好交流会議」訪朝団(団長・宇田川芳雄都
議、64人)の代表が4日、東京都庁で記者会見し、日本人妻
2人と面会したことを明らかにした。会話の内容から2人はと
もに一時帰国の第1陣(今月8日来日)に含まれている東京出
身のリ・ミヒョンさん(57)と、大阪出身のリュ・ソンスク
さん(55)と見られる。
 友好会議は、都議会日朝議連や労組で構成。先月27日から
31日まで訪朝し、日本人妻との面会は29日、平壌市のホテ
ルで行われた。日本側の親族に配慮して、氏名は公表されなか
ったという。日本人妻の一人は「(北朝鮮に行った当時は、日
本と北朝鮮を)行ったり来たりできると思っていたが、そうは
いかなくなった。(そのうちに日本の)母は亡くなってしまっ
た。心臓が悪く、娘の家から病院通いをしている。隣国だから
仲良くしてほしい。生きているうちに母の墓参りがしたい」
と、一日も早い帰国を望んでいることを強く訴えたという。も
う一人は、納豆やすし、福神漬けを作っては、祖国を懐かしん
でいると語ったという。
■写真説明 北朝鮮・平壌のホテルで友好交流会議訪朝団と面
会した日本人妻(手前右の2人)=同訪朝団提供
 

『JA熊本中央会「丼」コンテスト、最優秀は前田さん』
1997/10/30 日本農業新聞
 
 【熊本】アイデアを生かしたオリジナル丼(どん)で手軽
さ、おいしさを競う「お手軽丼・アイデアコンテスト」が二十
九日、熊本市の総合女性センターで開かれた。
 米の消費拡大運動の一環としてJA熊本中央会が主催したも
ので、書類選考で選ばれた主婦ら十人が参加。各自二十分の制
限時間内で、豆腐や納豆、タカナなど身近な食材を使った工夫
をこらした自慢の料理を披露した。審査には料理研究家の池部
美恵子さんら三人があたり(1)手軽さ(2)おいしさ(3)
アイデア(4)外観――の四点で優秀作品を選んだ。
 審査の結果、熊本市の会社員、前田なおみさんが作った「簡
単丼」が最優秀賞に選ばれた。なお、優秀賞には、末和美さん
の「たかなたま丼」と安東晋吾さんの「豆腐と納豆の山かけ
丼」が選ばれた。
 受賞者は来月九日の熊本農業フェアで行われる米・コメパー
ティーで表彰されるほか同コンテストに出された料理の料理メ
モも参加者に配布される。
 

『企画[サンデー経済]抗菌作用に脚光、納豆人気急上昇/鹿県内』
1997/10/26 南日本新聞朝刊
 
 鹿児島県内で納豆の消費が大きく伸びている。健康食品とし
て脚光を浴び、昨年猛威をふるったO157に対する抗菌作用
に関心が集まっているためだ。納豆人気の上昇は全国的な傾向
だが、鹿児島の伸びは著しい。全国納豆協同組合連合会=略称
全納連、東京=が総務庁の家計調査をもとにまとめた鹿児島県
の九六年の消費金額は、二十三億九千万円で前年比四七・五%
増。伸長率は全国第六位にもなる。
 「健康食品として見直され、ここ数年じわりと伸びていた
が、昨年のO157騒ぎで一気に火がついた」と納豆製造メー
カー・しかや食品=鹿児島市=の宮之原正治社長。納豆の抗菌
作用がテレビや新聞で報道され、それまでの二、三%の伸びが
二けたに急増した、という。
 タイヨーも「昨年秋から急激な伸び」、生協コープかごしま
は「二けたの伸びが一年近く続いている。薬感覚で食べる人も
いるようだ」。Aコープ九十六店の生鮮食料品を統括するJA
県経済連生鮮日配課の調べでは、九六年度上半期と抗菌作用発
表後の同年下半期を比べると、売り上げは三〇%以上増えている。
 同課の重冨千年課長は「消費者の健康志向にマッチした上
に、三十―五十グラムに小分けしたミニパックや納豆特有のに
おいが少ない小粒の大豆を使った商品が多くなり、抵抗なく受
け入れられた」と分析。Aコープで扱う納豆は以前は数アイテ
ム程度だったが、現在大規模店では三十五アイテムにも上る。
このうち三十はミニパックで、売り上げ上位四位まで小粒が占
める。他店も同様の傾向だ。
 O157への効果を発表した岡山の倉敷芸術科学大学の須見
洋行教授は「納豆菌にはサルモネラやO157、ブドウ球菌な
どの腸内病原菌の発育を抑制する働きがある。また血栓を溶解
させる酵素を含み、朝方できやすい血栓予防には夜食べるのが
効果的」とアドバイスする。
 全納連によると、抗菌作用や血栓溶解作用のほかに、(1)
骨を形成するビタミン2
K(2)骨粗しょう症を防ぐイソフラボノイド(3)心臓病、
高血圧予防に効果的なリノール酸(4)老化防止に役立つレシ
チン―などを豊富に含んでいる、という。
 昨年の県内一世帯当たりの消費金額は三千三百七十八円で、
全国二十一位。納豆製造メーカー・佐藤食品工業=日置郡伊集
院町=の佐藤真一郎社長は「まだまだ伸びる余地はある。ブー
ムをきっかけに効用のPRや新しい食べ方の提案に力を入れた
い」と話している。
 

『旭松食品、来期の設備投資8億円に抑制へ。』
1997/10/24 日経金融新聞
 
 旭松食品(2911)は、九九年三月期の設備投資を八億円
前後に抑制する計画だ。納豆事業拡大のための投資が一服する
ため、キャッシュフロー(約十六億円)の範囲内に抑え、財務
体質強化を優先する。
 現在、関東地区での納豆販売が好調で品不足の状態が続いて
いる。このため、埼玉県に工場を新設、今期の設備投資は二十
八億円前後に膨らむ見通し。キャッシュフロー(減価償却費十
一億円、税引き利益三億円)を上回るため、銀行から十億円借
り入れ、残りは現預金を取り崩す計画。新工場は今月末稼働予
定で納豆の品不足は解消する見込み。来期は改装・補修中心の
設備投資になる予定。
 

『[論説]あいまい表示は信頼を失う』
1997/10/21 日本農業新聞
 
 有機農産物の需要は急速に浸透し、すそ野を広げている。消
費者のニーズを反映して、取り扱いに積極的な量販店が増え、
ファストフード、ファミリーレストランなど外食産業も、米や
野菜など有機農産物使用を売り物にし始めた。総菜へ本格的な
使用を打ち出し、売り上げ増を狙うコンビニエンスストアもあ
る。納豆、めん類、調味料など加工食品でも原料への使用表示
が増えてきている。
分かりにくい六区分
 有機農産物は一般的に、無農薬・無化学肥料、減農薬など農
水省の青果物へのガイドライン六区分のすべてを「有機」と表
現されることが多い。六区分を知らない消費者も多いし、減農
薬、減化学肥料と言っても、生産現場を知らない消費者にはあ
いまいなうえ、分かりにくい。商品にはガイドラインに沿った
表示がされているものも多いが、十把ひとからげで「有機」の
ほうが通りが良い。しかし、そのあいまいさが問題となってくる。
 米国ではオーガニック(有機)食品生産法が成立しており、
施行は伸びていたが、早ければ来年二月の見通しといわれる。
農薬・化学肥料を三年以上無使用など、栽培基準をみたした農
産物以外にはオーガニック表示ができず、さらに、工食品もオ
ーガニック農産物を使い、添加物など基準に沿ったものにだけ
表示が認められる。違反者には罰則規定もある。それを検査す
る認証団体もあり、現在はそれぞれの団体が基準をもっている
が法施行後は一本化される。
 さらに、国連食糧農業機関(FAO)と世界保健機関(WH
O)が設置している国際食品規格委員会(コーデックス委員
会)では、国際的な基準づくりが検討されている。内容的には
米国の制度に沿ったものになりそうだ。
 これらの動きを受けて農水省は、検査・認証制度の法制化を
検討、対象をガイドラインの中の有機農産物、転換期間中有機
農産物に限定する方針だ。日本の有機農産物市場は、急速に広
がりつつあるが、このままだと、あいまいな表示が消費者の信
用を失い、輸入食品に市場を奪われかねない。制度整備が急が
れ、表示は単純で分かりやすい方がいい。
 食糧庁が米についても有機ガイドラインづくりを検討、青果
物に準じて有機米、転換期間中有機米、無農薬米、減農薬米、
無化学肥料米、減化学肥料米の六区分を打ち出している。これ
には消費者団体などから、やはり、あいまいさに対する批判が
出ている。
大切な単純明快さ
 まず、青果物と米を一本化し、認証表示は有機農産物(転換
期中含む)だけに限り、消費者から見ても分かりやすく、すっ
きりしたものにすることが重要だ。他の区分については、認証
表示とは一線を画し、あいまいさは残るが、日本独自のものと
して消費者の理解を求めたらどうだろうか。
 農薬の使用は現在のところ、全体的には農産物の安定生産に
欠かせず、残留農薬基準、安全使用基準でそれなりに農薬から
食品の安全が守られている。しかし、それに満足しない消費者
が増えており、環境問題からも、有機農産物の生産・流通の育
成に国がもっと積極的になる必要があろう。
 

『ホーネンが納豆から抽出したビタミンK2とCaを発売、骨粗鬆症予防に効果』
1997/10/20 日本食糧新聞
 
 ホーネンコーポレーション(株)(東京都千代田区、03・
3211・6677)は高齢化社会と、慢性的なカルシウム不
足から増え続ける骨粗しょう症の予防に役立ててもらおうと中
高年や女性をターゲットとした栄養補助食品「豊年Honex
K2(ホネックス ケイツー)」と「豊年カルシウム」を10
月10日、新発売した。
 同社は今年2月、ファインケミカル部門と、健康食品部門を
合体。これまで加工食品をヘルシー化した製品、例えば「一週
間ダイエット」や「粥」などをメーンに販売してきたが、消費
者の移り変わりが激しく流行に左右されるため見直しを進めて
いる。
 特に栄養素に特化した製品開発を進めており、一昨年は「ギ
ムネマ」や「コラーゲン」などをラインアップ。「コラーゲン
は順調に売上げを伸ばし、末端価格で五億円商材になった」
(同社野村悦夫専務取締役)と成果を上げている。
 今秋は骨粗しょう症をターゲットとした製品開発に取り組
み、「豊年HonexK2」と「豊年カルシウム」を新発売。
 「豊年HonexK2」は、同社の独自技術で世界“初”納
豆油から抽出したビタミンK2が主成分。ビタミンK2は納豆
以外の食品にはほどんど含まれないビタミンで、カルシウムが
腸管から吸収された後、骨に運ばれる際に重要な働きをするこ
とが明らかになり一躍注目を集めている。「納豆の摂取量が多
い地域は、少ない地域に比べ大腿骨骨折が少ない」(同社)こ
となど具体例も挙げている。
 さらに大豆胚芽から抽出した大豆イソフラボン、脂溶性ビタ
ミンと一緒に摂りたい大豆レシチン、カルシウムと同時に摂取
するとよいと言われているビタミン〓など栄養素をバランスよ
く配合している。一日に二〜六粒を目安に摂取。一〇〇粒入り
四八〇〇円と、二二〇粒入り九八〇〇円でラインアップ。初年
度一億円の売上げを見込む。
 「豊年カルシウム」は、一粒当たりカルシウムを七五ミリグ
ラム、ほかに同時に摂取したいマグネシウム、ビタミン〓、C
PPをバランスよく配合。さらにさわやかなヨーグルト風味
で、そのまま食べることが可能。砂糖不使用(一粒〇・四二キ
ロカロリー)でカロリーも気にならない。一五〇粒一九〇〇円
と、四五〇粒四八〇〇円を品揃え。これまでカルシウムで三億
円売上げており、「一挙倍増を狙う」(同社)構え。
 同社は「HonexK2とカルシウムを併用すると、健康な
骨の維持により効果的」といい、商品説明がしやすいデパート
の健康食品売場で内容訴求を図りながら販売していく計画。
 

『凍り豆腐特集、旭松食品が惣菜部門を強化』
1997/10/20 日本食糧新聞
 
 旭松食品(株)(大阪市淀川区、06・306・4121)
は、納豆と即席味噌汁、凍り豆腐の三本の柱で展開しており、
消費者の健康志向を背景に、順調に売上げを伸ばしている。
 凍り豆腐は、主力の一〇切れ入り、五切れ入りを中心に、ヘ
ビーユーザーから根強い支持を得て、トップメーカーの地位を
確保している。
 昨年は、O157騒動が逆に追い風となって、「安心できる
食材」として好調に売上げを伸ばした分、今年の春から夏にか
けての凍り豆腐の売上げは、前年同期比でみる限り苦戦を余儀
なくされた。しかし、消費税率引上げのなどによる、市場環境
の悪化の影響は比較的少なく、堅調に推移した分野といえる。
 関西地域は、伝統的にヘビーユーザーが多く、凍り豆腐の消
費量が多い地域として強化していく。
 一方、これから市場規模の拡大が期待できる地域として、関
東地区などにも需要を広げていきたいとしている。
 特に関東では簡便な用途別、味だし付タイプの「ちいさなこ
うや」シリーズのウエートが高いなど、新しい購買層の誕生が
期待される。
 また、9月25日にテレビの人気番組で、凍り豆腐が取り上
げられた際の反響も、この地域では早かったことなどもあり、
単に高齢化社会に向け、年配層のヘビーユーザーに訴求するだ
けでなく、若い主婦層に向けて簡便タイプ商品を強力にPR
し、息の長い商材として、地域的にも年齢的にも市場拡大を図
っていく方針。
 また、これからの成長分野として、惣菜部門を強化するた
め、現在、まだ売上げ構成比の低い業務用や、チルド部門にも
注力していきたいとしている。
 

『大豆と黒大豆混ぜた納豆、小杉食品(新製品)』
1997/10/18 日経流通新聞
 
大豆と黒大豆混ぜた納豆
 通常の大豆と黒大豆をブレンドした納豆「二重奏」。北海
道産の大粒大豆と黒大豆を50%ずつ混ぜ、納豆に加工した。
 健康ブームを受け黒大豆100%の納豆が好評だが、価格が
高く、特有の風味を嫌う人もいる。そこで、通常の大豆と混ぜ
合わせることで黒大豆のコクと、大豆のもっちりした食感がほ
どよく調和した納豆に仕上がった。価格も2パック(1パック
45グラム入り)200円と手ごろ。
 発売元は小杉食品(三重県桑名市、TEL0594・22・
1871)。
 

『[もの知りエース]素朴な疑問?? 3個パックが多いワケ』
1997/10/09 大阪読売新聞 夕刊
 
 ◆4個は高い
 Q 四人家族が多いのにカップ入りのヨーグルトや納豆はな
ぜ三個パックが多いのですか。(京都市・石田真咲)
 A 森永乳業によると、パック商品は子供や母親向けに考え
られています。同社の「アロエヨーグルト」の場合、一個売り
は百三十グラムに対し、二個入りは九十グラムで、少し小さめ
になっています。
 また納豆大手のタカノフーズ(茨城県小川町)によると、家
族が別々のものを食べる個食化が進み、十数年前までは一個百
グラム入りだったのが、いまは一個五十グラムで三個入りが主
流になっています。四個入りを出したこともありますが、二百
円を超えたため売れなかったそうです。
 

『納豆のルーツを解明、伊奈かっぺいの「なぜ?魅知国」』
1997/10/09 河北新報 朝刊
 
納豆のルーツを解明/伊奈かっぺいの「なぜ?魅知国」
日テレ系東北6局/11日に300回記念特集
 リポーターの伊奈かっぺいが東北6県を訪ねて身近な疑問を
解決する15分番組「なぜ?魅知国(みちのく)」(東北の日
本テレビ系6局共同制作)が9月で300回を迎えた。これを
記念して11日(テレビ岩手は12日)に「なぜ?魅知国スペ
シャル・わお!!かっぺい納豆にアジアを見た!!」を55分
番組で放映する。
 放送開始は1991年(平成3年)10月。「半年の約束で
始めたところ、春になれば暖かくなった、秋になれば寒くなっ
たと言われて、気がついたら300回」とかっぺい。
 日曜の早朝にも視聴率2ケタ(仙台地区)を保つ。かっぺい
は「今さら人に聞けないような小さな『なぜ』に迫るとうまく
いった。身近なテーマが性に合ってるのでしょう」。
 スペシャルでは、以前放映した「ひきわり納豆」編(横手
市)と「近代納豆」編(仙台市)を振り返りながら、マレー半
島などに伝わる糸を引かない納豆「テンペ」を紹介。仙台から
直行便でシンガポールに飛び、市場やレストラン、一般家庭を
訪れ、煮た大豆を油で揚げたりいためたりして食べる「テン
ペ」のなぞに迫る。
 番組はこれからも続く。かっぺいは「テーマより体力が勝
負。『なぜ』で始まり『なるほど』で終わる15分のドラマを
大切に、いずれ東北以外の人にも見てもらえるようになれば」
と話した。
 放映時間は秋田放送、山形放送、福島中央テレビが11日午
後4時から、青森放送、ミヤギテレビが11日午後5時、テレ
ビ岩手は12日午後4時。
 

『国産大豆増産して、うまくて品質安定、加工業界が強い要望』
1997/10/08 日本農業新聞
 
 国産大豆をもっと作ってほしい――豆腐や煮豆、納豆などの
業界は、国産大豆のうまさや品質の安定面などから、こんな要
望を強めている。
 国産大豆の用途のうち、約半分を占めるのが豆腐・油揚げ向
け。豆腐業界の官能試験でも、輸入大豆に比べて、国産大豆の
豆腐がうまいことがはっきりしている。国産大豆は商品区別化
の大きなポイント。「できれば国産大豆を使いたい」(都内の
泉食品)という豆腐メーカーも多い。
 日本豆腐協会の木嶋弘倫専務は、「少なくとも三〇%くらい
は国産で自給するように、生産への補助対策などをしてほし
い」と訴える。
 国産大豆用途の二割を占める煮豆業界も、「煮崩れしないな
ど、煮豆は一〇〇%国産大豆を使っている。何とか価格の乱高
下を防いでほしい」(全国調理食品工業協同組合)と、作付け
増による価格の安定を望んでいる。
 納豆業界でも、「国産大豆の納豆のほうがうまい」(全国納
豆協同組合連合会の黒田敏昭専務)とする。味に注目し、『国
産大豆使用』を訴える納豆製品が広がるなど、契約栽培などで
国産原料を確保しようとする動きも広がっている。
 

『[絵っくすせん]納豆』
1997/10/02 東京読売新聞 夕刊
 
 古くは弥生時代から親しまれ、海外では和食の代名詞にも挙
げられる納豆。鉄分やビタミンを含んだ高タンパクの健康食品
として注目度も高い。
 そこで、東京、大阪、茨城、四国の主婦、都内の会社員の計
344人に聞いたところ、納豆が好きな人で「健康によい」と
考えている人が8割を超えた。消費量が少ない西日本でも、5
4%が「好き」と答えた。
 また、ほぼ「毎日」食べる人の8割は「朝食」で口にしていた。
 納豆に含まれるビタミンB群はスタミナを作る働きがあると
いう。「きょうも1日頑張ろう」と、スタミナ源が手軽に食卓
に乗る“日本の朝食”は実に合理的とも言える?
 ※ミツカン「あなたと納豆のおつきあい事情」調査から。
 

『【朝の詩】納豆 東京都田無市 渋江達三』
1997/10/01 産経新聞 朝刊
 
おじいさんは今朝も
日課のように
納豆が糸を引くまで
掻き回す
息子
おばあさん
日頃 無口になって
みんな貝になった
紅い糸も切れ
糸電話も通じない
おじいさんは今朝も
つながりを求めて
納豆を掻き回す
(選者 新川和江)
 

『麦を混ぜたひきわり納豆、小杉食品(新製品)』
1997/09/30 日経流通新聞
 
 麦を混ぜた納豆「ひきわり納豆」。ひきわりにした納豆に麦
を約五%加え、加熱後、納豆菌で発酵させた。
 麦に含まれる糖分の働きにより、糸引きが強くなった。ま
た、特有のにおいや味もマイルドになり、食べやすい。
 カルシウムを吸収しやすくするビタミンKも豊富に含む。カ
ツオ風味のたれとからし付き。二パック(一パック四十五グラ
ム)百円。
 発売元は小杉食品(三重県桑名市、TEL0594・22・
1871)。
 

『有機農産物、加工食品次々と登場、総合市場研究所調べ』
1997/09/30 日本農業新聞
 
 健康・安全ブームで納豆、めん類、パン類、調味料など、有
機農産物を使った加工食品が増えている。総合市場研究所は、
有機農産物の加工食品への使用状況をこのほどまとめた。大手
食品メーカーは安定供給などから外国産を使うケースが多い
が、情報提供、発注面などで農家を支援しながら国産の有機農
産物などを使用するメーカーもある。コンニャクや高菜など、
伝統食品の原料でも特別栽培農産物のニーズが高まっている。
 これは、総合市場研究所がまとめた有機農産物マーケット総
覧。近年注目を集める有機農産物市場について、今年六〜七月
にかけて調べた。
 大手メーカーは、(1)安定供給ができる(2)オーガニッ
クの認証基準が明確で信用度が高い――などから外国産の有機
農産物を使うことが多い。そのような中で、国産原料にこだわ
るメーカーもある。
 光食品(徳島市)は、有機原料を使ったソース、ケチャッ
プ、ジュースを販売する。契約農家数は約三百、契約先の九割
が徳島県内だ。取引価格は生産者が決め、入手しにくい加工用
トマトの種子は同社が一括購入するなど支援策を取る。加工用
なら形の悪いものも使用でき、農家の安定収入にもながっている。
 高橋ソース(埼玉・本庄市)も国産野菜でソース、ケチャッ
プ、たれなどを製造する。同社は国内の大手企業がオーガニッ
クマーケットに参入し、市場が乱れていることを指摘。「今
後、品不足が到来することは確実」と、原料の安定調達を課題
に挙げる。
 そのほかコンニャク、納豆、みそ、酢、ジャムなどで国産の
有機農産物を使うメーカーが並ぶ。
 

『タカノフーズ、おかめ納豆でヘルシーグッズプレゼント』
1997/09/26 日本食糧新聞
 
 タカノフーズ(株)(東京本社=東京都台東区、03・38
45・7020)は20日から12月10日まで、おかめ納豆
「水戸一番」「極小粒ミニ3」「極小粒カップ3」の三商品
(九州地区は「水戸仕込み」を加え四商品)を対象に、プレミ
アムキャンペーン「ヘルシー感謝祭」を実施している。
 近年、健康・美容への関心が高まる中で、納豆も健康食品と
してその価値が見直されてきている。納豆は、ビタミンBを中
心に、鉄、タンパク質、カルシウムなどを豊富に含む栄養の宝
庫で、また、食物繊維もたっぷりでダイエットにも勧めること
ができる。
 発酵食品である納豆は、納豆菌があらかじめ大豆タンパクを
分解しているため、消化吸収しやすいのも特徴で、さらに、そ
の納豆菌は抗菌作用があるともいわれている。
 そこで同社は、ヘルシーをテーマにプレミアムキャンペーン
「ヘルシー感謝祭」を実施することにしたもの。このキャンペ
ーンは、昨秋、今春にも行い、好評であったことから第三弾と
して今秋も行うもの。
 応募方法は対象商品についているバーコードを切り取り、希
望コースを明記の上、専用のハガキまたは官製ハガキに貼り応
募する。 プレミアムは「イキイキ賞」(バーコード二枚で応
募)のAコースが「森林浴まく」、Bコースが「納豆鉢」で各
五〇〇人、計一〇〇〇人に、「ハツラツ賞」(同四枚)は、A
コースが「アロマポット」、Bコースが「ハンドタイプ体脂肪
計」で各五〇〇人、計一〇〇〇人に、「ヘルシー賞」(同八
枚)は、Aコースが「ハーブガーデンセット」、Bコースが
「折りたたみ自転車」で各三〇〇人、計六〇〇人に、総計二六
〇〇人に抽選で当たる。応募締切りは第一次が10月31日、
第二次が12月10日(当日消印有効)。
 また、抽選にもれた人を対象に「セカンドチャンス賞」とし
て一万七四〇〇人に、「おかめ納豆オリジナル・ナットウロー
ド手ぬぐい」が当たるダブルチャンス付きである。全体で二万
人に当たる。
 キャンペーンに連動しTVCMの投入、売場での幅広い販促
活動を行う。
 

『◆納豆特集 秋の陣、消費量驚異の伸び O157も追い風』
1997/09/26 日本食糧新聞
 
 納豆市場は一昨年以来拡大を続け昨年、前年同月比で五〇%
増の勢いを示したメーカーもあった。ヘルシー志向の追い風と
個食化傾向の高まりで八〇年代ブームになったが、ここ数年の
生産量については正確な統計はないが、大豆の消費量から換算
して年間二二万tに達するとみられ、パック数に換算すると一
パック(五〇g)約四四億個生産されている計算になる。
 平成8年度の年間消費金額は全国で一六〇〇億円、都道府県
別でみると、病原性大腸菌O157が猛威をふるった岡山県を
はじめ、三重県、奈良県、兵庫県など東海以西の地域の伸びが
目立っている。一世帯当たりの消費金額は年々順調な伸びを示
しており、平成6年に若干の落込みをみせたが、これは同年3
月に起こったコメ不足騒動によりご飯の消費が一時的に減少し
たのが原因と思われる。
 ちなみに平成8年の全国一世帯当たりの納豆消費金額は三四
二一円となっている。今年度一七〇〇億円市場達成が見込ま
れ、二一世紀には二〇〇〇億市場達成が目標と全国納豆協同組
合連合会ではアピールに意欲的だ。
 大豆では小粒が七三%、大粒が一七%、ひきわり一〇%。用
途別販売動向は市販用が七割、業務用が三割とみられている。
業務用では和食系のファミリーレストラン、チェーン外食ユー
ザーが中心で、即席味噌汁の実績はわずかだと思われる。また
市販用チャネル別販売動向は量販店が八〇%、CVSが一〇
%、その他一〇%と思われる。
 一般消費者の納豆に対するイメージは近年特に良くメーカー
と組合の業界あげてのPRが功を奏している。昨年、食品業界
を震撼させたO157に納豆菌が有効だとの研究が倉敷芸術大
学須見洋行教授によって発表されたが、今年も8月21日に納
豆菌の抗菌作用について同教授が発表している。
 納豆は原料である大豆の栄養成分をそのまま残し、さらに納
豆菌の働きによって納豆独自の優れた成分を作り出している。
血栓の溶解作用、病原菌を抑える抗菌作用、骨を形成するビタ
ミンK2、骨粗しょう症を防ぐイソフラボノイド、脳内モルヒ
ネの最適材料、牛肉に匹敵する高タンパク食品、心臓病、高血
圧の予防に効果的なリノール酸、老化防止に役立つレチシン、
豊富なビタミン、便秘予防・美肌保持に役立つ食物繊維、抗ガ
ン作用の期待がもたれるセレンなどが含まれているという。
☆熾烈な納入合戦
 上位ブランドシェアはおかめ(タカノフーズ)が約二〇%、
朝日印(朝日食品)とあづま(あづま食品)がそれぞれ約一
〇%、次にくめ(くめクオリティプロダクツ)、旭松なっとう
いち(旭松食品)、おはよう納豆(ヤマダフーズ)、太子食品
工業、フジッコといったところか。ここ数年、大手とされるタ
カノフーズをはじめ各納豆メーカーは大型小売店、大手量販
店、CVSの棚割シェアをめぐって熾烈な納入合戦を繰り広げ
てきた。
 現在、都内大型小売店ではおかめ納豆タカノフーズは「有機
無農薬ひきわりミニ2」(五〇g×二P)、旭松は「完熟ひき
わり納豆いち」(五〇g×三P)朝日食品は「水戸こつぶ」
(五〇g×四P)、くめクオリティプロダクツは「味道楽ミニ
2」(五〇g×二P)キャプテンクック(ダイエー)は「北海
道丸大豆納豆」(四五g×三P)、フジッコは「やわらか大
粒」(五〇g×二P)、ヤマダフーズは国産大豆一〇〇%の
「小鉢納豆 遊」と「キムチ納豆」に力を入れている。
 一方、都内CVSでは一例としてセブンイレブンで「有機無
農薬無添加」(あづま食品)が二から七フェースとっていると
ころもある。ローソンでは「小粒納豆」「極小粒ミニ2」(タ
カノフーズ)、ファミリーマート「極小粒納豆」(ファミリマ
ート)、ampm「納豆いち 完熟超小粒」(旭松)、朝日食
品工業の「僕、納豆が大好き」など。都内大型小売店、大手量
販店ではやはり下段では圧倒的にタカノフーズが強く「極小粒
ミニ3」「水戸一番」が半分以上占め、溢れ返っている。
 ただし都内ストアでは上段から下段まですべてあづま食品の
製品という例もあり、あづまの意気込みをうかがい知ることが
できる。
☆自販機お目見え
 一方、消費者の嗜好は多様化し中上段では大手以外にも人気
が出ている商品があり、そのいい例が野呂食品の「鎌倉山納
豆」の人気だ。昨年人気が爆発、「おいしい納豆を安定して供
給したい」と野呂社長は語る。
 他に保谷納豆が秋季限定納豆「秋納豆なめ茸ドレッシング
付」を発売した。たれの多様化もトレンドといわれている。か
らしでは昭和38年から納豆業界向けに練り芥子を開発したサ
カイスパイス工業(株)が有名。
 また昨年秋、“こだわり納豆を目指して”’96全国納豆関
連機材資材展示会が行われ各メーカーの関心が高かった。その
中には納豆の自動販売機も出品され来場者の目を引き、実際山
梨で設置した例があるという。
 業界の抱える問題としては大手では供給体制を完備するため
に工場の増設が目立ち設備投資による利益率の低下が起こって
いるが、特に関西以西で自社工場を建設する動きがでてきてお
り、長い目でみれば全国的な消費量増加に対応する先行投資を
優先せざるを得ない現状なのかもしれない。
 中小では大手の寡占化が進む中、商品の差別化と販売方法の
工夫(例えば自販機、営業時間の延長、専門店など)が迫られ
ているといえよう。
 

『納豆特集 最大手メーカーのタカノフーズ、おかめマークに高い支持』
1997/09/26 日本食糧新聞
 
 タカノフーズ(株)(水戸本社=茨城県東茨城郡、029
9・58・5101 東京本社=東京都台東区、03・384
5・7020、高野英一代表取締役社長)は、納豆メーカー最
大手、ガリバーを目指すようにも見えるが大型小売店、大手量
販店の下段からは同社主力アイテムミニ2、ミニ3が下段から
溢れ返っている。
 激動の時代を乗り越え今日の隆盛を築いたのは先代高野徳三
社長からの方針から、創業時から今日まで一貫して「人づくり
 健康づくり 食文化づくり」をモットーに邁進。
 生産体制はもちろん、業界に先駆けて経営の近代化、合理化
に取組み早くからダイエー、イトーヨーカードーとほぼ同時期
に取引を開始した。
 50年頃からCGC、CVSという新たな販路も得た。56
年にCI導入でブランドを統一、57年にはオンラインシステ
ム化を実現、59年には水戸工場に生産管理コンピュータを導
入、「整理」「整頓」「清潔」「洗浄」「殺菌」の五S運動を
展開、大きな成果をあげた。同時に「豆腐事業」への進出を図
り総合食品メーカーの第一歩を歩み出している。
 60年6月スーパー大手納豆メーカーでは最後発の関西進出
ではあったが以降、北海道、東北、九州の営業所開設につなが
る。11月には水戸工場内に研究所が完成した。
 同社は昭和7年の高野商店を前身に社名を(有)おかめ納豆
本舗、(株)おかめ納豆本舗に変えてきたが60年現社名であ
るタカノフーズ(株)と改称し今日に至っている。39年には
現社長の発案で「おかめ納豆」のブランドマークの商標登録を
出願し42年11月に登録されたことが、長期にわたり多くの
消費者から支持を得る大きな要因になったことはいうまでもな
いだろう。
 現在でも、同社の主力商品はミニ3、ミニ2の二銘柄。一昨
年9月に発売した「水戸一番」の販促に昨年から引続きに力を
入れているが、中小ストアから販促を開始、供給面の対応から
最後にダイエー、イトーヨーカドーに成約、納入しなければな
らないという現状があり、まさにガリバーとしての強みといっ
ても過言ではない。
 また昨年ジャスコで発売を開始した納豆ふりかけ、同じく三
種類の煮豆の販売も開始、豆腐はもちろん多様な食品に取組ん
でいる。
 佐賀工場も完工、稼働し万全の供給体制で臨み、二一世紀へ
向け総合食品メーカーとしての道を歩んでいる。
 同社水戸工場は一般の見学者も受け付け、また昨年6月に工
場内の研究所に「納豆博物館」をオープン、業界全体のアピー
ルにもつながっており、同時に茨城・石岡の新名所にもなって
いる。
 

『納豆特集 369社参加の全国納豆協同組合連合会、鑑評会や業者表彰など開催』
1997/09/26 日本食糧新聞
 
 母体は昭和14年に
 全国納豆協同組合連合会(東京都台東区、03・3832・
0709、高星進一会長)は、昭和29年4月に設立、会員所
属企業数は三六九企業。
 同会では会員相互扶助の精神に基づき、会員およびその組合
員のために必要な共同事業を行い、もって組合員の自主的な経
済活動を促進し、かつ、その経済的地位の向上を図ることを目
的とする‐‐としている。
 また会員資格を有する者は納豆の生産を行う事業者で組織し
た協同組合であること、同会の地区(全国一円)に事務所を有
することとなっている。
 沿革は昭和14年各県ごとに「納豆組合」が発足、同16年
「全国納豆工業組合協会」(全納協)を創立、同29年全納協
を改組、中小企業等協同組合法に基づく「全国納豆協同組合連
合会」を設立、現在に至っている。
 分科会については各単協、理事長とその組合員が当面する諸
問題を迅速に解決。事業を推進させ新しい時代環境の対応に全
力を尽くして全納連の役割を果たし、組織の充実および活性化
を図るとし流通部会、研究部会、PR部会、青年同友会、厚生
事業部会がある。
 また最近の全国的活動としては納親会主催により、昨年2月
に東京で納豆の鑑評会を行い、「だいもんじ食品」「タカノフ
ーズ」などが表彰された。
 今年は札幌で開催され、東京で行われた第四三回通常総会で
受賞した「松葉納豆製造所」「(有)元祖白糸本舗」など各社
の表彰式が行われた。
 

『納豆大全!(本)』
1997/09/22 日経産業新聞
 
◇納豆大全!(町田 忍著)
 タンパク質や各種のビタミンを含み、栄養食品の代表選手と
もいえる納豆。消費量も徐々にではあるが伸び続けている。本
書では、納豆の歴史や栄養面での優位性を、学者のコメントを
交えながら詳しく紹介している。
 納豆の起源については五説ほどあるが、いずれも長時間、大
豆とわらが接触したことによる“偶然の産物”ということでは
変わりない。病原性大腸菌O(オー)157に対する納豆の効
能や、有機栽培大豆を原料にした納豆が増えてきたことなど、
最近注目される事象についても触れている。
 (小学館=03・3230・5739、千五百円)
 

『納豆菌をお菓子で食べる、三共エール薬品(新製品)』
1997/09/20 日経流通新聞
 
納豆菌をお菓子で食べる
 おなかの調子を整える錠剤タイプの菓子「超快調
710(なっとう)」。納豆菌、乳酸菌、梅果肉、食物繊維を
使用。納豆菌と乳酸菌は、胃の酸で死滅することなく腸まで届
くタイプの菌を使用し、腸内で善玉菌を増やす。納豆特有のに
おいやネバネバ感がなく、食べやすい。16粒入り、200
円。コンビニなどで販売する。
 瓶入りの「皆快調710」(150粒1800円)は薬局・
薬店で扱う。
 発売元は三共エール薬品(東京都千代田区、TEL03・5
821・6431)。
 

『【書評】「納豆大全!」 町田忍著 歴史、食べ方、効能まで』
1997/09/14 産経新聞 朝刊
 
 納豆に関する根源的疑問の一つは「なぜ糸を引くのか」であ
る。かき回せばかき回すほど、絹糸のように光沢のある粘りの
糸がたくさん出てくる。これは、グルタミン酸ポリペプチドと
フラクタリンという物質の相乗効果だという。老化を防いで、
いつまでも若々しい肌を保つ効果があると説明されている。
 だが、納豆の効能はこれだけではない。食中毒をもたらすO
157やサルモネラ菌をはじめ病原性の細菌を駆逐し、血栓を
溶かし、血圧を下げ、骨を丈夫にして、しかもビタミン豊富と
いう、願ったりかなったりの健康食品なのだという。
 その効能から歴史、食べ方、考現学までを徹底ガイドしてい
る。各種の納豆商品を紹介したカラー口絵は、見るだけでも楽
しい。
 

『納豆好き7割高い男性支持、ミツカンがアンケート』
1997/09/13 日本農業新聞
 
 日本人の七割が納豆好き――。ミツカン(中埜酢店)のアン
ケート調査「あなたと納豆のおつきあい事情」から、こんな傾
向が分かった。日本の食卓に欠かせない納豆は、特にビジネス
マンの大好物。健康食としてのイメージがファンを広げてい
る。調査は今年七月、東京、大阪、茨城、四国の主婦、ビジネ
スマン三百四十四人を対象に行った。
 納豆を「好き」と答えたのは七割。中でもビジネスマンでは
「非常に好き」が約半数を占め、男性の支持がはるかに高い。
若い女性には敬遠されがちで、二十代女性の一四%が「非常に
嫌い」だ。
 納豆が好きな理由は「健康によい」が八八%を占め、「おい
しい」の七五%を抑えた。女性を中心に、納豆は健康食品の一
つに位置付けられているようだ。「簡単に食べられる」も六割
台と、簡便さも魅力。
 嫌いな理由は、「におい」が八二%で断然の一位。「食べる
習慣がない」が六一%で続き、食べず嫌いが多い。
 「週二〜三回以上」食べる人は全体の四五%。関東では六割
近くを占めるのに、西日本では三割に満たない。納豆嫌いと言
われた西日本で徐々に消費が増えているとはいえ、まだまだ食
卓にのぼる頻度は低。「ご飯にかけて」が大半の関東に対し、
西日本では単品やおかずで食べる割合が高く、食習慣の違いが
のぞく。
 食べる時は「夕食」が五九%で、「朝食」の五三%を抑えた。
 

『米アイオワ州政府、食品用大豆の輸出拡大でセミナー』
1997/09/12 日刊工業新聞
 
大豆生産量世界最大の米国の中でトップクラスの生産州である
アイオワ州政府は豆腐や納豆、みそなどに使う食品用大豆につ
いて、有機大豆や遺伝子組み換えでない大豆の購入方法などを
十二月上旬に日本で開くセミナーで説明することを決めた。
このセミナーはたんぱく質分が多い大豆など品質面で付加価値
の高い食品用大豆の市場を拡大するのがそもそもの狙いだが、
有機や遺伝子組み換えかどうかへの関心が日本で高まっている
ことからこうした説明をすることにしたもの。
食品業者にとっては脚光を浴びて手当てが難しくなっている有
機大豆を調達する道が広がり、組み換えでないことも把握でき
るなどのメリットがあり注目されそうだ。米国アイオワ州政府
は「食品用大豆の供給状況について」(仮称)と題する説明会
を十二月八日に大阪市内で、十日に東京都内でそれぞれ開催する。
米国の州政府が食品用大豆の説明会を日本で開くのはこれが初
めてという。説明会は大豆の品種改良が専門であるアイオワ州
立大学のフェア教授と、大豆輸出業者が出席。品種をはじめ、
色合い、粒のそろい具合などの特徴を説明する。
さらに日本側から要望があれば、分別仕分けで有機大豆や遺伝
子組み換えでない大豆が購入できる方法や、サンプリングでの
内容証明が可能なことなどを紹介する。米国の対日大豆輸出量
は年間で約四百万トン。内訳は食用油や飼料用が三百万トン
で、豆腐や納豆、みそなどに使う食品用大豆は百万トンを占める。
そのうち、食用大豆で分別仕分けされて袋に入って日本のユー
ザーに届いているのは九七年で十五万トン程度と見られてい
る。アイオワ州は大豆生産量ではイリノイ州とトップを争う主
要生産州で、米国全体の年間大豆生産量六千万トンのうち一〇
数%のシェアがあるという。
またアイオワ州の九七年大豆生産量の一五%が遺伝子組み換え
大豆と予想されている。
 

『中埜酢店、「納豆」でアンケート調査 ヘビーユーザーは「朝食」で』
1997/09/12 日本食糧新聞
 
 (株)中埜酢店(愛知県半田市、0569・24・508
7)は、このほど納豆に関するアンケート調査結果を発表した。
 去る7月、東京、大阪、茨城、四国に在住する主婦三〇二人
と東京在住のビジネスマン四二人に対し「あなたと納豆のおつ
きあい事情」について回答してもらったもの。ポイントは次の
通り。
 (1)七〇%の人が納豆好き。関東と比べて納豆の消費量が
少ない西日本でも、五四%が好んでいる(2)納豆が好きな理
由は(イ)「健康によい」(八八%)(ロ)「おいしい」(七
五・二%)(ハ)簡単さ、手軽さ(六一・二%)。おいしさだ
けでなく、健康への効果が注目されている(3)納豆を食べる
頻度は地域差が大きい。(「週二〜三回以上食べる」率が関東
では五八・八%。大阪・四国では二六・八%)(4)一日のう
ちで、納豆を食べる機会は(イ)「夕食」(五九%)(ロ)
「朝食」(五二・六%)の順。ヘビーユーザー層は、ほとんど
が「朝食」(八〇・六%)に(5)納豆の食べ方は「ごはんに
かけて食べる」が七四%。「単品で、おかずとして」が二三
%。関東に比べ、西日本には「おかず」派が多い。(三八・
五%)(6)納豆が高たんぱく食品であることの認知率は八
一・四%。
 なお、納豆が好きな理由は前記のように「おいしさ」(七
五%)を抜いて、「健康によい」が八八%と断然トップだった。
 納豆に含まれる酵素「ナットウキナーゼ」が脳卒中や心筋こ
うそくの原因となる血栓も溶かし、血液のとおりをよくするこ
とや、「大豆イソフラボン」に骨粗しょう症を予防する効果が
あることなど、最近、納豆にまつわるさまざまな健康情報が話
題になったが、この結果からも、それら情報の影響がうかがえ
る‐‐としている。
 

『O157に強いぞ、茶、納豆、もずく、梅、ワサビ』
1997/09/09 日本農業新聞
 
 夏が過ぎたとはいえ、食中毒などの危険はまだ去っていな
い。人の手などによる危険は、管理を徹底すればある程度防げ
る。それ以外に、最近では、食物の抗菌作用が見直されてい
る。研究によると茶、納豆、もずくなどが強い抗菌性を発揮す
ることがわかってきた。O(オー)157にも効果があるとい
う実験結果も出された。食品の隠された力を紹介する。
◇納 豆      
 納豆は、ジコピリン酸がO157に対する強い抗菌性を持っ
ている。これは納豆中の粘り成分で、大豆にはなく納豆になっ
て初めて作り出される成分だという。
 O157(菌数=百二十個)に、納豆の抽出液を入れたもの
と、そうでないもので培養した。後者は三万個に増えたのに対
し、納豆の方は三十八個に減少した。しかし、「昔の納豆に比
べて最近のものは、ジコピリン酸が減少してきている。その原
因を調べるのがこれからの課題」と、倉敷芸術大学(岡山県)
の須見洋行教授。
 

『【高齢社会】調味料パックの切り口工夫して』
1997/09/08 産経新聞 朝刊
 
 無職 石川功 61(福島県いわき市)
 近ごろの納豆には、ビニールパック入りのブレンドされた調
味料が添えられているので、大変重宝しているが、そのビニー
ルパックの切り口がいちいち老眼鏡をかけて見ないと分からな
いのが、しゃくの種である。
 大体この辺りだろうと見当をつけて開けようとするが、うま
くいかない。無理やり開けると、しょうゆが辺りに飛び散る始
末。たまに赤い印で表示されているものに出会うが、ほとんど
切り口とずれている。
 「最初から老眼鏡をかければよいのに」と妻は言うが、「食
事をするのにわざわざ老眼鏡をかけられるか。納豆メーカーが
老人に不親切なのだ」とぼやきつつ、パック入りの調味料と悪
戦苦闘して、健康維持のため納豆を食べてる。
 納豆メーカーさん、老眼鏡をかけなくても開けやすい、調味
料パックの切り口をぜひ工夫してください。
 

『納豆消費伸びる 殺菌効果で納得 O157も“退治”関西でも消費急増』
1997/09/05 産経新聞 夕刊
 
 病原性大腸菌O(オー)157が猛威をふるった昨年から今
年にかけ、納豆の消費量が飛躍的に伸びている。納豆が病原菌
に対して抑制機能がある−との学術研究が発表されたことに加
え、納豆業界が抗菌効果を積極的にPRしたことが要因とみら
れる。最近は、殺菌作用のある酢や緑茶などへの関心も高まっ
ており、食品の持つ抗菌作用が改めて注目されている。
 全国納豆協同組合連合会によると、平成八年度の納豆消費金
額は全国で約一千六百億円。一世帯当たりの消費額は三千四百
二十一円と前年度より一四・五%伸びた。
 都道府県別では、(1)東京(2)神奈川(3)埼玉(4)
千葉(5)北海道−の順。昨年、O157が猛威をふるった岡
山や大阪などでは、前年度比約四〇%の伸びを示すなど、「西
日本各地での伸びが目立つ」(同組合)という。
 納豆の需要が伸びた背景の一つに、同組合では「納豆菌によ
って作り出されるジピコリン酸がO157に効果的」と提唱し
た倉敷芸術科学大学の須見洋行教授の学術研究を挙げる。
 納豆のネバネバから、心筋梗塞(こうそく)や脳卒中の原因
となる血栓の溶解物質「ナットウキナーゼ」を発見したことで
も知られる須見教授は昨年夏、納豆成分をO157の病原性大
腸菌と混合する実験を実施。その結果、O157は二日目には
半減し、四日目には完全に死滅したことを確認した。
 さらに、納豆菌が他の大腸菌に対しても強い抗菌作用がある
ことを突き止めた。
 須見教授の実験結果をもとに、納豆製造メーカーでは、抗菌
作用を利用した新製品の開発に取り組んでいる。
 くき食品(福岡県若宮町)では、発酵時間を四倍かけた特殊
加工により、抗菌物質のジピコリン酸を通常の五倍に増やした
「抗菌納豆」を開発した。豆が軟らかめで、粘り気が三倍強い
のが特徴だ。
 同社の斎藤陽彦社長は「納豆の抗菌性を十分に取り入れたう
え、においは極力抑え、納豆嫌いの人にも食べてもらえるよう
にした」と話す。
 同社では、納豆アメや乾燥納豆なども商品化。最近では納豆
ゼリーや、ジピコリン酸を自然水に混合させた納豆水の開発に
取り組んでいる。
 一方、ヤクルト本社(東京都港区)では、昨年から国立小児
病院小児医療研究センターと共同で、腸内有用細菌である乳酸
菌とビフィズス菌がO157の増殖を抑制する可能性について
研究を実施した。
 その結果、乳酸菌によりO157は二十四時間で、ビフィズ
ス菌により四十八時間で全滅したことを確認した。いずれの場
合も、大腸菌が産生するベロ毒素の量が百分の一に減少したと
いう。
 また、食酢のトップメーカーの中埜酢店(ミツカン、愛知県
半田市)は、名古屋大学との共同研究で、酢がO157の殺菌
や増殖を抑える効果があることを発見した。このことから、酢
が安くて安全な「殺菌剤」として、台所や床のふき掃除に使わ
れるケースも増えている。
 さらに、殺菌作用を持つ緑茶も食卓で人気になっている。緑
茶の持つ「カテキン」という物質に殺菌作用があるため、好ん
で飲まれるようになり、酢と同様、ふき掃除に使われることも
あるという。
 このため、例年なら消費が伸び悩んでいた夏場に入っても、
緑茶の販売は順調で、「前年と比べ売上高が一〇%近く増えて
いる」(緑茶メーカー)そうだ。
納豆のネバネバの中にあるジピコリン酸がO157に対して抑
制効果がある
 

『朝日食品、納豆用大豆、「有機」調達3倍に』
1997/09/02 日経産業新聞
 
 中堅納豆メーカーの朝日食品(茨城県牛堀町、野田和男社
長)は米国で契約栽培している納豆用の有機大豆の調達量を来
年分から三倍に増やす。納豆業界は比較的早い時期から各社が
有機大豆を使用した製品を投入している。消費者の自然・安全
志向の高まりを背景に市場が急拡大しており、調達量を大幅に
増やしてシェア拡大を狙う。
 米国の種苗メーカー、ハーツ・シード社(アーカンソー州)
と提携、八九年に納豆用有機大豆の契約栽培を始めた。これま
で年間千トン強の有機栽培大豆を調達していたが、「需要が急
増、供給が追いつかない」(野田社長)状況にある。来年使用
する有機大豆の調達量を三倍強の約三千五百トンに拡大する。
契約栽培している有機大豆は米国の有機農産物認証機関のOC
IAなどの認証を受けているという。
 九四年から「有機栽培無農薬大豆使用納豆」(二種)を販売
している。九七年八月期の同シリーズの売上高は約十五億円。
原料調達の拡大に伴う増産で同シリーズの総売上高に占める比
率を二割程度まで引き上げたい考えだ。
 納豆業界では、大手メーカーほぼ全社が有機栽培大豆使用を
うたった製品を販売するなど市場が拡大している。九七年七月
時点で同製品の市場規模は約百五十億円とみられる。
 

『[DATAファイル]納豆好き7割も』
1997/09/02 東京読売新聞 朝刊
 
 納豆とのおつきあい事情(ミツカンが東京・茨城・大阪・四
国に住む20代以上の主婦と都内の30―40代のビジネスマ
ン、計344人にアンケート)
◆納豆の好き嫌い
好き        70%
嫌い        16%
どちらともいえない 14%
◆納豆が好きな理由(複数回答)
健康に良い   88.0%
おいしい    75.2%
簡単に食べられる61.2%
手軽に食べられる61.2%
もう一品ほしいときに便利 33.5%
食が進む         32.2%
容器から直接食べられる  19.0%
料理に使える  3.7%
その他     3.7%
◆納豆が嫌いな理由(同)
においが嫌い  81.5%
食べる習慣がない61.1%
味が嫌い    44.4%
ネバネバするから37.0%
息ににおいが残る24.1%
食器が汚れる  13.0%
混ぜるのが面倒  3.7%
その他      9.3%
◆納豆を食べる頻度
週2、3回以上 45.2%
週1回以下   38.8%
食べない    16.0%
◆どんなときに納豆を食べるか(複数回答)
朝食      52.6%
昼食      18.3%
夕食      59.2%
夜食.間食    4.8%
飲酒時      4.5%
その他      0.3%
◆納豆の食べ方
ご飯にかけて  74.1%
単品で     22.8%
料理に入れて   1.0%
その他      2.1%
 

『ズームアップ、ネバネバ納豆「O157」に効果、病原菌を抑制…だって』
1997/09/02 河北新報 夕刊
 
ズームアップ/ネバネバ納豆「O157」に効果/病原菌を抑
制…だって
 病原性大腸菌O157による食中毒が大流行した昨年から今
年にかけ、納豆の消費が大きく伸びている。それも納豆をあま
り好まないといわれる西日本で著しい。納豆に病原菌の増殖を
強く抑制する機能があるとの研究が発表され、納豆業界が積極
PRしたことも一因だが、“腹薬”としての納豆は、一部地方
では伝統的な知恵として受け継がれてもいる。戦後は抗生物質
の普及であまり注目されることがなかった納豆の抗菌作用。O
157問題は、納豆の再認識という副産物を生んだ。
◎脳卒中、心筋梗塞/「世界に誇る食品」
納豆嫌い?西日本でも人気急上昇
<業界でさえ再認識>
 「納豆が栄養に富んだ食品だとは知っていたが、抗菌作用が
あるとは意外だった」と、東京・東村山市で40年近くも納豆
を作り続けてきた中堅業者は告白する。
 風が吹けばおけ屋がもうかるというわけではないが、納豆業
界はこれを前面に押し出して販売促進に懸命。8月21日に通
産省の外郭団体である日本工業技術振興協会が開いた「食品の
もつ抗菌作用について」と題したセミナーも大きな支援材料
に。気をよくした全国納豆協同組合連合会では「納豆は世界に
誇るべき食品」というわけで、この秋にも使節団を訪米させ、
健康食品への関心が強い米国市場の開拓に乗り出す準備も進め
ている。
 積極PRに努めたかいがあって、日本での1世帯当たりの納
豆消費金額は、1994年度(平成6年度)には、主食となる
コメ不足の影響で前年度に比べて減少したものの、96年度に
は3421円、前年度比14.5パーセントと大きく伸びた。
しかも、納豆の本場である茨城では7.5パーセントで1けた
の増加だが、O157が猛威をふるった岡山や大阪など西日本
では30パーセントを超える急成長ぶりだった。
 納豆再認識の火付け役となったのは、昨年、O157の治療
方法がはっきりしない段階で「納豆を使えばよい」と直言した
倉敷芸術科学大学産業科学技術学部の須見洋行教授だ。
 同教授は納豆のネバネバから、脳卒中や心筋梗塞(こうそ
く)の原因となる血栓を溶かす物質を抽出したことで知られる
医学博士で、卒中などの予防策として日ごろから納豆を食べる
ことを提唱してきた。
<糸にジピコリン酸>
 「秋田では腹具合が悪いときは納豆を湯でといて飲めばよい
といわれ、関東大震災の時も病気予防に納豆が売れたという記
録がある」「納豆菌がO81、O111などの病原性大腸菌に
対する抗菌作用があることは10年も前からのデータがあり、
胃腸薬にも納豆菌が使われている」「当然、O157にも効く
ことが想像され、おなかの中と同じ状況で実験すると、O15
7に強い物質が納豆の中にあることが確認された」などと須見
教授は話す。
 納豆のネバネバした糸の中には、納豆菌が増殖する際に作り
出すジピコリン酸という物質が大量に含まれている。抗生物質
の専門家の間では、このジピコリン酸が抗菌作用を持つことは
知られていたものの、戦後、ペニシリンをはじめとする劇的な
効果のある抗生物質が欧米から流入したため注目されず、納豆
菌の科学的研究はあまり進まなかった。
 須見教授は「ジピコリン酸と納豆のその他の成分が複合的に
抗菌作用を高めていると考えられる。これはわたしが初めて提
起したことではなく、昭和10年代に海軍は国家事業として、
パラチフスや腸チフスの薬として納豆を研究している。ジピコ
リン酸は諸外国での抗生物質の発見に先立って、日本人の海軍
軍医が発見したものだが、ドイツ軍も納豆を食料や薬として実
戦で使っていた」と指摘している。
◎旧ドイツ軍も極秘研究/抗生物質登場で日陰に
<電撃作戦の元にも>
 ドイツは戦前、納豆の原料である大豆の大産地だった満州
(現中国東北部)から、船やシベリア鉄道を使って大量の大豆
を輸入していた。これらの大豆は食用ではなく、大半は油の抽
出が目的だった。
 しかし、1941年のギリシャ侵攻作戦では、ドイツ軍兵士
は乾燥納豆を携行していた。当時のロンドン・タイムズは、捕
虜のドイツ軍将校の「大豆がなければドイツ軍の電撃作戦はで
きなかっただろう。ポーランド戦までは極秘事項だった」との
話を伝えており、英米も納豆に注目していたことをうかがわせる。
 この辺りの事情に詳しい元大豆安定供給協会調査役の木村栄
一さんは「ドイツは納豆を利用しようとしていたことを日本に
も秘密にしていたようだ」と語る。ドイツ軍総司令部では大島
浩駐独大使(在任1940−45年)ら日本側関係者を招いて
大豆試食会を開いているが、このメニューに「みそ汁はあった
けれど乾燥納豆はなかった」という。
 43年(昭和18年)ごろになって日本軍は、乾燥納豆の情
報に基づいて試作品製造を手掛けている。海軍は潜水艦の食料
として利用する考えだったと言われる。だが、乾燥納豆が実用
化されることなく日本は敗戦を迎えた。
 木村さんは「日本では納豆がありふれたもので、そんな秘め
られた価値があるとは知らなかったのではないか。薬としての
研究もドイツの方が進んでいたのでは」と、ドイツ主導の納豆
利用の歴史を無念そうに振り返った。
<旧日本海軍も研究>
 事実関係をひもとくと、乾燥納豆の実用化はともかく、海軍
は“納豆療法”の研究をかなり進めていたようだ。
 「日清、日露などの戦争では、病気で多くの死者を出した。
こうした反省に立ち、海軍では納豆を食べさせた兵士と食べな
かった兵士の違いをみるなど、臨床実験も行っている。貴重な
研究が多いのだが、戦後は抗生物質が日本に入り、これらの成
果は全部捨てられてしまった」と須見教授は言う。
 O157は当初、その治療方法が確定できず、不幸な犠牲者
を生んだ。「もし、戦前の納豆研究の成果を生かした研究が戦
後も引き継がれてきたなら…」と、残念がる関係者の声もある。
 「O157が消えても次には別の病原性大腸菌による食中毒
が発生するだろう。納豆菌は病原菌の成長を抑えるだけだが、
その間に病原菌は死滅していく。腸内菌を殺してしまうためビ
タミン剤を併用しなければならない抗生物質とは違う。治療法
が分かっており、抗生物質が劇的に効く場合はともかく、わけ
の分からないおなかの不調にはまず納豆を食べること。将来に
備えて納豆の抗菌作用の原因を研究していきたい」と須見教授。
 納豆のほかにも、アロエ、ドクダミ、ニンニクなど一般的に
薬効があるとされる食品類は多い。O157についても「モズ
クや酢が有効」などの説もある。
 「民間療法から学ぶべき部分は多い」としながらも、須見教
授は「O157は水と混ぜておいても死ぬ。だからといって水
を飲めばよいとは言えない。人体の中でどれだけ効くかが問
題」と指摘、あれも効く、これも効くといった安易な取り上げ
方には不満を示す。
 そして、納豆についても「昔に比べ、最近の納豆に含まれる
ジピコリン酸は減っている。これはなぜなのか解かなければな
らない」とし、食品そのものの成分変化も新たな研究課題とし
て掲げた。
 

『工業技術振興協会、食品の抗菌作用セミナー開く』
1997/09/01 日本食糧新聞
 
 (社)日本工業技術振興協会天然物生理機能素材研究委員会
(東京都千代田区、03・3238・5300)主催、全国納
豆協同組合連合会後援で、「食品のもつ抗菌作用について」と
題するセミナーが8月21日、アイビーホール青学会館で開催
された。
 同協会では、昨年9月に緊急公開セミナーで納豆の病原性大
腸菌O157に対する抗菌性を発表、注目を集めたが、今回は
納豆だけでなく、お茶、梅など抗菌作用を持つとされる食品に
ついて専門家がそれぞれ講演した。
 須見洋行倉敷芸術科学大学教授(天然物生理機能素材研究委
員会委員長)が開会のあいさつを行い、(株)目黒研究所長小
澤恭輔氏の「抗菌の歴史ー納豆菌を中心として」のテーマから
講演が開始、(株)海産物のきむらや矢倉美代氏が「もづく
」、宮崎利夫東京薬科大学名誉教授が「梅」、島村忠勝昭和大
学医学部教授が「お茶」、メルシャン(株)研究所佐藤充克氏
が「ワイン」、(株)カレックス営業部長代理関山泰司氏、東
京都立食品技術センター主任研究員宮尾茂雄氏が「ワサビ」に
ついてそれぞれ抗菌性を発表した。
 最後に須見教授が「納豆成分のO157に対する抗菌活性」
について講演、昨年発表した納豆菌のO157について抗菌作
用と、並びにその本体の一つとして産生されるジピコリン酸の
関与の推測について研究成果を発表、納豆中のジピコリン酸も
それ単独で十分な濃度であるが胃酸、十二指腸内での増殖とい
う条件が揃えばさらに強力なO157に対する抗菌効果が期待
出来ると強調した。
 閉会のあいさつは、高星進一全納連会長が行った。
 

『[食シリーズ]健康食品「テンペ」』
1997/08/26 毎日新聞 朝刊
 
◇みそ、コロッケに加工−−岡山で人気じわじわ
 大豆のカマンベールといわれる健康食品「テンペ」をご存じ
だろうか。もとはインドネシアの伝統的な発酵食品だが、この
テンペが今、みそ、コロッケなどの加工品になって、岡山県で
普及し始めた。ハトムギのテンペも開発され、その味の良さも
手伝って、一流割烹(かっぽう)で使う動きまで出てきた。
【小島正美】
◇地場産業振興にも
 テンペは、浸漬(しんし)した大豆を煮て、ハイビスカスの
葉などにいるテンペ菌の胞子をまぶし、バナナの葉に包んで3
0〜38度で発酵させたもので、1〜2日で出来上がる。大豆
の粒が白い菌糸で固まり、白いケーキに見えるが、納豆のよう
に糸は引かない。肉のような食感があり、たんぱく質が分解し
てできたうまみ、ほんのりとした甘さと塩辛さが混ざったよう
な味がする。
 インドネシアでは、油で揚げて、庶民の日常食として食べら
れている。不飽和脂肪酸やビタミンB群、食物繊維に富み、血
栓症、貧血、肥満予防、コレステロール抑制、幼児の悪性下痢
などに役立つという。
 こうしたヘルシー食品を地場産業の発展に結びつけようと岡
山県工業技術センターは約10年前から、各種中小企業と協力
しながら、日本独自のテンペ加工食品を研究してきた。これま
でにテンペを使ったソーセージ、クッキー、あられ、カレール
ー、スープ、食パンなどを試作し、現在はコロッケ(1個10
0円)、みそ(500グラム1000円)が岡山市内のデパー
トで販売されている。
 テンペ食品の開発研究に取り組んできた同センター製品開発
部研究員の野崎信行さんは「テンペは1980年代に米国でも
菜食主義者を中心にブームになった。納豆のようなクセがない
ので、和、洋、中華料理の素材として十分利用できる。いろい
ろ作った中で、テンペみそ(通常の大豆とテンペを半々に使っ
て発酵させる)の人気は高く、我が家では子供たちの大好物で
す。現在、テンペを使ったしょうゆも開発中」と話す。同セン
ターでは、昨年3月から毎月10日、「テンペ料理を楽しむ
会」を開き、普及に余念がない。
 テンペみそは、ほんのりとした甘みと香りがよく、おいしい
ことから、岡山市の割烹「二の丸」や「武蔵」は、客に出すみ
そ汁をすべてテンペみそに変えてしまった。
◇「ハトムギ」製も開発
 野崎さんらと一緒に研究し、テンペみそなどを製造している
末安祥二さん(同県瀬戸町)は、漢方薬としても知られるハト
ムギを原料にした「ハトムギテンペ」を開発した。作り方は大
豆のテンペとほぼ同じだが、風味のよさを出すのに1年余りの
苦労を重ねたという。
 ハトムギテンペは世界でも例がないことから、末安さんは今
年7月中旬にインドネシアで開かれた国際テンペ会議で野崎さ
んとともに開発成果を発表、現物を試食してもらったところ、
大好評だった。割烹「二の丸」では、ハトムギテンペなどを使
ったフルコースを客の注文(予約必要)に応じて出している。
エビにテンペをはさんで揚げたてんぷら、から揚げなどがおい
しく、固定客がつき始めたという。
 末安さんの本職はカメラマンだが、いまはテンペみその製造
などテンペの普及、開発に情熱を傾ける。日々、さまざまなテ
ンペ料理を工夫している末安さんは「フライパンやトースター
で焼いて、ポン酢をかけたり、ハンバーグに2割ほど混ぜても
おいしい。ようかんも試作したが、クリのようにホクホクして
うまい。健康によいテンペ食パンに興味があれば、その製法を
教えてあげます。これからの高齢化社会に備え、若い人にうん
と食べてもらいたいですね」とテンペ作りに燃えている。
 テンペの研究で知られる常磐大学(水戸市)教授の加藤清昭
さんは「ハトムギは、その特有の脂肪臭が敬遠される要因にな
っていたが、テンペ菌はそのにおいを取り除いてくれるので、
ハトムギテンペは驚くほど食感のよいものになった。インドネ
シアの人も国際会議で絶賛していた。テンペの加工開発は自治
体の町おこし運動として将来性がある」と話している。
 問い合わせは岡山県工業技術センターの野崎さん(代表08
6・286・9600)。
 

『【料理レシピ】納豆せんべい』
1997/08/26 産経新聞 朝刊
 
《作り方》
(1) 長ネギはみじん切りにする。
(2) ボウルにご飯を入れてすりこ木で半つぶしにし、納豆
と(1)、酒大さじ1/2、昆布茶を加え混ぜる。
(3) のりに(2)を全面に広げ、ぬらしたスプーンの背で
軽く押さえる。
(4) オーブントースターで(3)を5〜6分焼き、はけで
表面にしょうゆ大さじ1を塗ってさっと焼き、乾かす。
(5) (4)を網の上で冷まし、適当な大きさにちぎる。
(6) 器に(5)を盛る。
 【一口メモ】
◇しょうゆを塗ってさっと焼いたら、オーブントースターのス
イッチをきり、扉を開けてしばらくおくとパリッと焼き上がる。
◇納豆の代わりにチリメンジャコなどを混ぜ込んでもよい。
《材料メモ》
ご飯………茶わん2杯分
長ネギ…………1/2本
納豆(ひきわり・100グラム)……………1パック
昆布茶(粉末)……大さじ1
のり……………2枚
酒、しょうゆ
 

『茨城産大豆にこだわり、伝統製法で納豆、日立市の馬上さん』
1997/08/22 日本農業新聞
 
 【茨城・茨城ひたち】納豆用大豆の九〇%以上が輸入物とい
われているが、茨城県産大豆にこだわり続ける人がいる。日立
市小木津町で「おぎつ納豆」を製造する馬上俊一さん(六○)だ。
 馬上さん宅は戦後すぐに納豆作りを始め、俊一さんで二代
目。最初は「えびす納豆」という名称だったが、あちこち売り
歩く中で、「小木津の納豆屋さん」として親しまれ、自然に
「おぎつ納豆」と呼ばれるようになった。
 現在は茨城産の納豆小粒を主な原料に、昔ながらの作り方で
おいしい納豆を製造。JAのAコープ店や直売所などでも販売
している。茨城産大豆について馬上さんは「豆そのものが味が
良く、油脂分が少ないので、酸化しにくく日もちがする。食べ
てみれば味・香りともその違いはすぐ分かる」と話している。
 

『伝統食品の抗菌性検証、東京でセミナー』
1997/08/22 日本農業新聞
 
 伝統食品の抗菌作用についての公開セミナーが二十一日、東
京都内で開かれ、第一線の研究者が納豆や梅、茶などなじみの
深い食品の抗菌性を検証した。主催は日本工業技術振興協会な
ど。約百五十人が集まった。
 セミナーは、病原性大腸菌O(オー)157に対する伝統食
品の抗菌性を検証するのが目的で、昨年の納豆に続いて二回
目。大学やメーカーの研究者が、納豆、梅、茶、ワイン、ワサ
ビなど伝統食品の抗菌作用について講演。研究データなどを示
し、利用方法にも触れた。
 東京薬科大学の宮崎利夫名誉教授は「梅は中国で昔から医薬
品として用いられてきた」と指摘。梅肉エキスがO157、サ
ルモネラ菌、赤痢菌など種々の食中毒菌や腐敗菌に対し、防
菌・殺菌作用がある、と説明した。
 また、昭和大学医学部の島村忠勝教授は、茶の成分であるカ
テキンがコレラ菌などの病原菌に高い殺菌効果があることを示
した。その上で、「将来、病気の予防や治療に、ますます応用
されることを期待する」と強調した。
 

『米国産有機大豆が高騰、国内価格――安全・健康志向映す。』
1997/08/21 日本経済新聞 朝刊
 
 米国産オーガニック(有機栽培)大豆の国内価格が、消費者
の安全・健康志向の高まりを背景に高騰している。豆腐、み
そ、納豆などの食品加工業者が農薬や遺伝子組み換え技術を使
っていない有機大豆の調達を拡大。通常大豆が米国での豊作予
想を受けて値下がりしているのとは対照的な値動きとなっている。
 米国産有機大豆の東京・問屋価格は現在、一トン当たり十八
万円程度で、春先に比べ約二万円上昇した。品不足が表面化し
始めた年初に比べると約三万―五万円高い。一方、通常の米国
産食用大豆(インディアナ・オハイオ・ミシガン、選別)は春
先に比べ約八・四%値下がり、現在は同六万五千円前後で取引
されている。
 豆腐、みそ、しょうゆなど食品用の大豆は国内で年間約九十
万トン消費されているが、このうち有機大豆は三万トン前後と
みられる。そのほとんどを米国からの輸入に依存している。豆
腐メーカーなどの需要家や商社と、米国農家との契約栽培が基
本だが、世界的に供給が限られるなかで需要が急増し「調達が
難しくなっている」(大手豆腐メーカー)
 有機大豆の需要が急増している背景には、健康志向ブームに
加え遺伝子組み換え農作物に対する消費者の懸念がある。同技
術を使った大豆は昨年収穫された米国産の約二%を占め、通常
の大豆と混ぜられて日本へ輸出されている。この秋収穫される
大豆では、全体の一〇%強が組み換え大豆となる見込みだ。
 しかし、米国最大の有機農産物認定団体、有機農産物改良協
会(OCIA、ネブラスカ州)が昨年、認定基準に「遺伝子組
み換え技術の使用を禁止する」との項目を追加。日本の需要家
の間でも「組み換え技術を使用していない有機大豆を求める動
きが出始めた」(商社)という。
 

『AHC、「バクト菌」欧米で特許』
1997/08/21 日本経済新聞 地方経済面
 
 バイオ事業のエー・エィチ・シー(AHC、前橋市、飯塚武
社長)はこのほど、自社で発見した微生物「バクト菌」につい
て欧米で特許を取得した。今後米国で事業展開を図るため、バ
クト菌の輸入販売を手掛ける現地法人を設立する計画で、米店
頭株市場(ナスダック)での株式公開を目指す。
 バクト菌は土壌中に存在する納豆菌の仲間の微生物で、家畜
や植物の成長を促進し、免疫を活性化するなどの効果を持って
いる。
 AHCは米国でバクト菌の抗カビ効果についての使用特許を
取得。すでに取得済みの菌株特許や家畜肥育剤としての使用特
許と合わせ、同菌の主要な部分の特許をすべて取得した。欧州
ではバクト菌本体とその用途について、欧州特許庁の審査が終
了、オーストリア、ドイツ、デンマーク、フランス、イギリ
ス、イタリア、オランダでの特許が成立した。
 米国の現地法人は日本企業の米国子会社との共同出資を考え
ており、パートナーが決まり次第、米国に進出する。現法はナ
スダック公開で資金を調達し、AHCから濃縮したバクト菌を
輸入、家畜肥育剤や成長促進剤などに加工して販売していく。
米国の大規模農場や穀物メジャーなどと取引していきたい考え
だ。日本での店頭公開よりも短期間で実現すると判断した。
 同社の計画によると、米国に設立する子会社は「AHCアメ
リカン」で、AHCが三千五百万円、共同出資会社は三千万円
を出資する。
 

『「納豆好き」東日本8割、西でも5割(PickUp)』
1997/08/21 日経流通新聞
 
 中埜酢店が東京、茨城、大阪、四国に住む主婦と東京のサラ
リーマン合わせて三百四十四人を対象に、「納豆が好きか」を
尋ねた。その結果、「好き」と答えた人の割合は、東日本(東
京・茨城)が八二%、西日本(大阪・四国)が五五%。納豆を
「週二―三回以上食べる」率は東日本が五九%、西日本が二
七%。納豆が好きな理由は「健康によい」、嫌いな理由は「に
おい」がそれぞれトップ。
 

『遺伝子組み換え、安全性に不安、納豆業者、原料手当てに奔走』
1997/08/16 日本農業新聞
 
 朝食の顔の納豆。健康食ブームなどから消費は拡大傾向にあ
るが、製造業者は一九九六年秋から流通し始めた遺伝子組み換
え大豆の取り扱いに頭を痛めている。中小業者は独自の原料調
達ルートづくりに奔走。大手は安全性を訴える表示を検討する
など、対応に追われている。
 納豆に使用される大豆は年間約十二万トン。その九割以上を
米国からの輸入に依存している。米国では九六年から遺伝子を
組み換えた大豆の生産が始まり、現在、主に搾油用大豆として
生産されている。米国の農家の遺伝子組み換え品種に対する作
付け意欲は高く、今後は食品用大豆にも波及する可能性が高い
とみられている。
 日本は九六年二月、厚生省が遺伝子操作した食品の安全性評
価指針を策定している。輸入業者は指針に従い、遺伝子組み換
えによってできるたんぱく質を検査し、合格すれば食品として
の安全性が認知されることになるという。しかし、消費者団体
は「アレルギーに関する検査など安全性は十分に保証されてい
ない」などとして反発、不安が広がっている。
 中小の生産業者で組織する全国納豆協同組合連合会の高星進
一会長は「組合として役員数人を九月中に米中西部に派遣し、
遺伝子を組み換えていない大豆を調達するルートをつくりた
い」と話す。現地では農家と意見交換し、米農務長官とも会談
する予定という。
 一方、業界最大手のタカノフーズ(茨城・小川町)は「使用
している大豆に遺伝子組み換えのものは含まれてない」としな
がらも、「パッケージに『契約栽培』の大豆使用と表記するこ
とを検討している」と話している。
 

『大豆栽培現地を視察、福岡の生協、鵡川町で意見交換』
1997/08/15 日本農業新聞
 
 【鵡川】胆振管内鵡川町産の納豆用大豆「すずまる」を利用
している福岡県「グリーンコープ」の役員が七日、契約栽培先
のJAむかわを訪れ、生産者と意見交換会を開いた。
 この日、福岡空港を早朝に出発したグリーンコープ連合商品
委員会の眞田龍子委員長ら十二人の役員一行は、鵡川町農業セ
ンターに到着。
 同JA今村隆営農部長の農協概況説明と、「すずまる」生産
者や関係者と相互に自己紹介をしたり、意見交換をした後、広
大な耕地で「すずまる」を栽培している現地ほ場を見学した。
 一行は、商品化された納豆は日ごろ見慣れているが栽培され
ている大豆の状況を見るのは初めて。このため持参のカメラの
シャッターをしきりに切ったり、説明に当たった東胆振地区農
業改良普及センターの山下茂専門普及員の説明に熱心にメモを
取ったり矢継ぎ早に質問をしていた。
 「すずまる」栽培日本一を誇る同JAは一九九〇年からグリ
ーンコープと提携、契約栽培している。今年産の契約は約八十
ヘクタール、九州や茨城県などで納豆に加工してグリーンコー
プで販売している。
 

『抗菌納豆を乾燥、飴や粉末に加工、くき食品(新製品)』
1997/08/12 日経流通新聞
 
 病原性大腸菌などを抑制する「抗菌納豆」を使った加工食品
二種類。発売元が昨年開発した「抗菌納豆」はO157の抑制
に有効な酸を一般の納豆の約五倍含むという。
 「抗菌納豆飴(あめ)」=写真(右)=は北九州市の菓子メ
ーカーと共同開発。凍結乾燥させた納豆をあめでくるんだ。
「乾燥納豆オー・ドライ!710(ナットウ)」=同(左)=
は納豆を乾燥させ粉末状にした。ふりかけやみそ汁などの具材
に。各二百円。発売元はくき食品(福岡県若宮町、TEL01
20・11・6889)。
 

『[きび談語]O157 /岡山』
1997/08/08 毎日新聞 地方版
 
 納豆菌がO157の増殖を抑えるという須見洋行・倉敷芸術
科学大教授の研究を先日、紙面で紹介した。取材の中で教授が
してくれた話が興味深かった。抗生物質のせいで日本人は細菌
に弱くなっているというのだ▲日本では戦後、抗生物質が盛ん
に用いられ、細菌性の病気の万能薬のように思われている。し
かし抗生物質は、人間の腸内に元々いて有毒細菌を撃退してく
れている“善玉”の細菌まで殺してしまうのだという▲O15
7が急に猛威を振るうようになった理由の一つがここにあるの
ではないか、と教授は話していた。
戦前、抗生物質の代わりをしていたのが納豆だった。しかも納
豆菌は善玉細菌を殺したりしない。我が家の食卓にも先ごろ、
納豆が登場。子供たちは生まれて初めて納豆を食べた。【北川
創一郎】  
 

『O157に警戒感、伸びる抗菌食品、納豆は西日本で急増』
1997/08/08 日本農業新聞
 
 大阪・堺市の集団食中毒の原因として厚生省がかい割れダイ
コン説を示し、生野菜などに衝撃を与えてから一年――。今年
も食中毒の季節を迎え、産地や食品業界では、病原性大腸菌O
(オー)157中毒に警戒感が高まっている。いわれなき責任
を押し付けられた、かい割れダイコンの後遺症は今なお深い。
一方で、消費者の安全志向から梅やお茶など抗菌作用のある食
品は売り上げを伸ばしている。
 梅干し・梅漬けの生産量は、一九九六年が約四万一千トンで
前年比一一%増(食品需給研究センター調べ)。五年ぶりに四
万トン台に回復し、今年も前年を上回る生産が続く。昨年のO
157騒ぎで売れ行きが急増。主産地の和歌山県では「昨年産
の貯蔵原料がなくなりかけた」(みかん園芸課)。高級品志向
も相まって、国産原料の引き合いは強い。
 カテキンの抗菌作用が脚光を浴び、緑茶の用途は衛生用品、
衣類など飲食以外にも用途を広げる。
 もちろん飲用の消費も堅調だ。総務庁の家計調査によると、
九六年の一人当たり年間消費量は三百七十二グラムで、二年間
で三十グラム増えた。
 製造・販売大手の伊藤園は、一〜六月の緑茶販売額が前年比
八%増、緑茶料は同三〇%増と好調だ。カテキン成分を緑茶の
三倍含む飲料「スーパーカテキン」も新発売している。
 第五次のワインブームと言われ、出荷量は三年続けて急増。
九六年は約十六万七千キロリットルで九三年の五一%増(国税
庁調べ)。体の酸化を防ぐという健康面に加え、アルコールと
有機酸の相乗効果による抗菌性に注目が集まる。各社は今秋の
新酒に、国産原料を前面に打ち出した新製品を相次ぎ投入す
る。輸入を含めたワイン市場全体で「今年は二〜三割伸びてい
る」(メルシャン)状況で、秋の商戦も熱気を帯びそうだ。
 食品市場の調査をしている富士経済(東京・日本橋)による
と、一九九六年の食酢の販売額は六百九億円と見られ、すでに
成熟している。その中で、大手メーカー・中埜酢店によると、
今年七月の酢の売り上げは、昨年七月に比べ三%増えた。「微
増が普通で、三%は伸びているという感じ」(広報室)。酢の
抗菌効果については日本細菌学会などでも発表され、酢メーカ
ーは、まないた洗浄や酢漬けメニューで、効果が期待できると
呼びかけている。
 一世帯が、一か月に買う納豆の金額は、今年六月で三百十
円、昨年同月比で一五・七%増えている。納豆がO157など
大腸菌や赤痢菌に対して抑制効果があることが広く知られ、消
費も急増、大阪、兵庫、福岡などの県で、四割から五割増の勢
い。全国納豆協同組合連合会は、「納豆になじみが少ない西日
本での急増は、O157中毒の発生が西日本で多かったことと
関係している」と見ている。
 刺し身やすしなど、生ものが不振だったため、薬味として使
われるワサビにもマイナス要因だった。ワサビ産地の静岡県で
は、「相場安が続き生産意欲は低い」と静岡県農業試験場。エ
スビー食品も「例年並みで、まだ売り上げで目立った動きはな
い」と話している。ただ、今年は食品業界で衛生管理を徹底す
る動きが強く、生もの需要が盛り返してくれば、「ワサビも回
復する見通し」(エスビー食品)という。
 九三年までの横ばいの後、乳酸菌飲料の需要は高まってい
る。富士経済の予測で二〇〇一年の販売量は十七万三千五百キ
ロリットルと、九六年を一万キロリットル上回る見込み。昨年
はO157予防に効果があるという情報が需要を後押しした。
健康性を訴求した製品が増え、市場が活気づいている。
食品衛生に期待できる酢、梅干し、ミツカン調査
 夏の暑い時期、主婦が家庭の食品衛生についてどのような点
に気を使っているかについてのミツカン(中埜酢店)の調査
で、主婦は食品衛生に期待できる食品として酢、梅干し、緑茶
などを挙げていることが分かった。また食中毒を防ぐため、肉
やハム類、魚の生のメニューを減らす、加熱するメニューは火
を長めに通すなどの工夫をしている。
 ミツカンが首都圏と阪神圏の三十代の主婦約三百人を対象に
実施した。
 食中毒防止策としては「肉やハム類の生のメニューを減らす
(七九%)」「魚の生のメニューを減らす(七二%)」「火を
長めに通す(六九%)」などの答えが目立つ。食品衛生に期待
できる食品としては酢(七四%)、梅干し(五五%)、緑茶
(四六%)、ショウガ(三三%)が挙がり、以下塩、ワサビ、
納豆、シソ、トウガラシと続く。
 

『[クッキングメモ]納豆 ネバネバに抗菌物質「おなかの薬」』
1997/08/05 大阪読売新聞 朝刊
 
 納豆の消費が、比較的、食べる習慣のなかった関西圏を中心
に昨年、大きく伸びた。O(オー)157に対する抗菌効果が
注目されたらしい。
 全国納豆協同組合連合会の調べでは、昨年の納豆の消費金額
は全国で約千六百億円と前年比一六%の増加。とりわけ、兵庫
県で五一%、大阪府で三九%、奈良県で三七%と、関西圏での
伸び率が大きかった。
 納豆の抗菌効果を実験で明らかにしたのは倉敷芸術科学大の
須見洋行教授。同教授によると、納豆がコレラやチフスなどの
菌の繁殖を抑える効果があることは経験的に知られていた。実
験で、納豆菌の作るジコピリン酸が、O157の繁殖も防ぐこ
とがわかった。納豆は多くの抗菌物質を含む「おなかの薬」の
ようなものという。
 

『納豆で容器作る、めんたいこ会社と九大が開発へ』
1997/08/05 日本農業新聞
 
 博多名物辛子めんたいこメーカーの最大手「ふくや」(本
社・福岡市)と九州大学が共同で、納豆を原料とする疑似プラ
スチックを使った容器の開発に乗り出す。“納豆容器”の具体
的な実用化計画は初めて。
 共同開発するのは、九州大学農学部の原敏夫助教授の研究
室。原助教授は、精製した納豆のネバネバ質(γポリグルタミ
ン酸)を基に、プラスチックに似た素材の開発に成功。透明で
無味無臭、有機物で生分解することから、めんたいこ容器に応
用するアイデアが浮上した。原助教授は「それ自体食べられる
ので、宇宙飛行に携行する食品の容器にも向いている」と期待
している。
 

『辛子明太子のふくや、地球に優しい容器研究』
1997/08/01 日本経済新聞 地方経済面
 
 辛子明太子メーカーのふくや(福岡市、川原正孝社長)は、
納豆研究で実績のある原敏夫九州大助教授と契約を結び、八月
一日から共同で環境に優しい容器の開発などに着手する。まず
同助教授研究室にふくやが技術者を派遣する。
 原助教授は、納豆のネバネバする糸を、特許申請中の特殊な
処理法でゲルと呼ばれる物質に変えることに成功。ゲルそのも
のは食べられる上、吸水性に優れ、自然に分解されるため、し
ょうちゅう廃液や養豚場のし尿をゲルに吸収させ、たい肥化す
る研究が進んでいる。
 昨年、ゲルの保水機能が砂漠の緑地化にも応用できるとし
て、通産省の外郭団体「新エネルギー・産業技術総合開発機
構」(NEDO)から事前調査対象に選定された実績がある。
 ふくやは、福岡女子大の早渕仁美助教授と共同で昨年、みそ
調味料を使った業界初の「みそめんたい」を製品化するなど、
製品の多様化を進めており、「食べられる容器に入ったヘルシ
ーで環境に優しい明太子製品を作れれば」(製造部)と博多発
の新製品開発に意欲を見せている。
 

『「米国産食用大豆の遺伝子組み換えはない」』
1997/07/31 日本食糧新聞
 
 アメリカ大豆協会(東京都港区、03・5563・141
4)はこのほど東京・秋葉原の都立食品技術センターで、アメ
リカの食品用大豆の研究やオーガニック市場などの現状報告
と、展示・懇談会を行った。日本の味噌、豆腐、納豆などのユ
ーザーや商社、問屋など約一〇〇人が参加し、食品用大豆の実
情に耳を傾けた。
 この催しにはアメリカの生産・販売会社も多数参加し、午前
中は、大豆の品質改良などに取り組んでいるミネソタ大学ジ
ム・オーフ教授が「日本向け食品大豆の研究・開発について」
を講演した。
 同教授は「高品質の食品用大豆は、日本のみならずアジアを
中心に引き続き伸びている」としながらも、日本のマーケット
は「非常に複雑で常に変化し、製品ごとにニーズが異なる」と
製油用大豆との違いを指摘し、その研究の重要性を訴えた。ま
た、食品用大豆の日米の農法の違いによる課題に触れた後、五
〜八年かかる新品種開発の同大学での工程を披露。「私の知る
限り、食品用大豆のかなりの量がオーガニックで生産」されて
いるとし、遺伝子組み換えについても「食品用大豆については
されていない」と断言。研究テーマとしてはともかく、遺伝子
組み換えのニーズ(消費者など)がなければ(将来的にも)
「ありえない」と、企業の論理を引き合いに、食品用大豆につ
いては遺伝子組み換えの可能性を否定した。
 

『O157予防に「納豆菌」実験で完全消滅』
1997/07/27 毎日新聞 大阪朝刊
 
 大豆を発酵させて納豆を作る納豆菌に、病原性大腸菌O15
7の増殖を止めて消滅させる働きのあることが、倉敷芸術科学
大学(岡山県倉敷市)の須見洋行教授(52)=機能物質化学
=の研究で分かった。納豆菌に抗菌作用があることは知られて
いるが、猛威を振るうO157の“予防食”として効果が確認
されたのは初めて。
 須見教授は、納豆が旧日本海軍でコレラやチフスの予防に用
いられるなど、戦前は抗菌食品として広く利用されていたこと
に着目。
栄養液中にO157だけを入れたものと、納豆菌を混ぜたもの
を人間の体温と同じ37度で培養する実験をした。
 O157の濃度は1ミリリットル中約10億個。納豆菌はそ
の1000分の1にした。その結果、O157だけでは濃度に
ほとんど変化はなく、混合培養ではO157は2日目には約1
万分の1に減少、4日目には完全に消滅した。
 納豆菌はジピコリン酸という特有の抗菌物質を含んでいる
が、実験はジピコリン酸単独の実験より抑制効果が大きかっ
た。納豆菌にはほかにたんぱく質分解酵素なども含まれてお
り、これらが共同して病原性大腸菌の増殖を抑え、最後には死
滅させるとみている。
 須見教授は「納豆菌は抗菌剤のように他の有益な腸内細菌ま
で殺してしまうことはなく、逆に乳酸菌などは増やす。納豆を
見直してほしい」と話している。 【北川創一郎】     
 東京工大資源化学研究所の正田誠教授(バイオテクノロジ
ー)の話 日本人に体験的に知られていた効果が科学的に証明
されたということだと思う。現代の日本人は清潔すぎる環境の
せいで細菌に弱くなっている。
 

『[農漁食]O157対策に「抗菌納豆」』
1997/07/21 西日本新聞朝刊
 
 福岡県鞍手郡若宮町の納豆メーカー「くき食品」(斎藤陽彦
社長)が「抗菌納豆飴(あめ)」と「乾燥納豆」の発売を始めた。
 くき食品によると、納豆には病原性大腸菌O157の発生を
抑えるジピコリン酸が含まれている。同社は昨年八月、通常の
納豆の約五倍のジピコリン酸を含む「抗菌納豆」を開発。今回
はその「抗菌納豆」を素材に納豆飴と粉末納豆を新たに商品化
した。
 「抗菌納豆飴」は北九州市の入江製菓と技術協力。納豆をフ
リーズドライしてアメでくるんだ。アメ四個で納豆一個分のジ
ピコリン酸が含まれているという。
 乾燥納豆は商品名「オー・ドライ710」。納豆を十五秒
間、熱で乾燥させて粉末にした。納豆のにおいを抑え、ご飯の
振りかけやみそ汁の具などに使える。斎藤社長は「抗菌納豆は
十日間しか保存できなかったが、飴や粉末にすれば長期間保存
できる。夏のO157対策の健康食品として最適」と話している。
 値段はともに二百円。福岡県内のスーパーなどで販売中。
 

『栃木県食品工業指導所開発、においの少ない納豆菌』
1997/07/18 日本経済新聞 地方経済面
 
 栃木県食品工業指導所(宇都宮市)はアンモニア臭の少ない
納豆菌の育種に成功した。親株に紫外線を照射し、特殊な変異
株を作り出した。同指導所では県内の納豆メーカーにこの菌を
公開。各社は若年層を中心とした新しい消費者ニーズに対応で
きると判断し、これを使った新商品開発に取り組んでいる。
 納豆菌の中から、アンモニア臭の元となるアミノ酸を作りに
くく、低温で生育が抑えられる低温感受性株を選び、紫外線を
照射して変異株を作った。
 変異株を使用して試作した納豆のアンモニア態窒素は、製造
日には百グラム当たり百十六ミリグラム、三日後には百五十七
ミリグラムだった。従来の納豆菌が製造日に百四十七ミリグラ
ム、三日後には二百ミリグラムだったのに対して、アンモニア
態窒素の増加が少なく、においも弱いとしている。また、うま
みの元であるグルタミン酸が減らず、冷蔵庫で保存すれば粘り
が少なく、色も変化しにくいという。
 県内納豆メーカーは、大手のあづま食品(河内町、黒崎信也
社長)をはじめ十七社あるが、すでに各社とも新開発の納豆菌
を使用した商品づくりに取り組んでいる。
 栃木県納豆工業協同組合によると、県内の納豆の生産額は年
間約二百億円で、消費者の健康志向の高まりの中でここ数年順
調に伸びている。指導所発酵食品部では「においのほとんどな
い納豆は全国でも珍しい。納豆が苦手な消費者にも抵抗なく受
け入れられ、県内メーカーの武器になるはず」と話している。
 

『遺伝子組み換え食品、表示求める声高まる』
1997/07/17 日本経済新聞 朝刊
 
 大豆やトウモロコシなど遺伝子組み換え技術を利用した農産
物が国内に入り始め、消費者の間には食用油や豆腐といった食
品への使用について「表示」を求める声が高まってきた。米国
を中心に遺伝子組み換え農産物の生産が増えるなか、消費者に
は安全性への不安感もある。国会や農水省では表示問題の論議
が本格化。一方、生協は独自の対策に動き出したほか、使用し
ないことを売り物にする食品企業も出てきた。
 遺伝子組み換え農産物は、既存の作物に他の生物の遺伝子を
組み込んで「害虫を寄せ付けない」「除草剤に強い」といった
新たな性質を加えたもの。例えば、害虫に強いトウモロコシは
害虫が食べるとえさの消化吸収を妨げるたんぱく質を合成する
が、このたんぱく質は人間が食べても無害で、胃や腸で分解さ
れる。
 厚生省は九六年、こうした食品の安全性評価指針を策定。遺
伝子自体や遺伝子が作るたんぱく質が、アレルギーを引き起こ
したり、毒素を含んでいないことを確かめる検査などを求め
た。遺伝子組み換え農産物を輸入販売する業者は、事前に安全
性検査を行い、厚生省が提出資料を確認する。同省食品保健課
は「指針に沿って検査をすれば、既存の食品と同程度の安全性
は確保できる」としている。
 ただ、厚生省の指針では遺伝子などが現在知られているアレ
ルギー源や毒素とは違うことを確認するだけで、新しい危険を
想定した動物実験などは義務付けていない。このため消費者団
体などからは「長期的な安全性の確保が不十分」との声も上が
っている。
 現在、日本で販売が認められている遺伝子組み換え農産物は
大豆、トウモロコシ、菜種、ジャガイモなど十五品目。大豆の
場合、米国での遺伝子組み換え品種の作付面積は昨年の二%か
ら今年は一〇%強に膨らんだ。
 日本の穀物輸入依存度は大豆で九九%、そのうち八三%を米
国が占める。今秋の収穫後に日本に輸入される大豆には一〇%
前後の比率で遺伝子組み換え大豆が含まれ、豆腐や納豆、みそ
などに使われる見込みだ。
 遺伝子組み換え食品の表示問題で十七日、二つの審議会が開
かれる。一つは衆院消費者問題等特別委員会に設置された「遺
伝子組み換え食品の表示問題等に関する小委員会」。同日から
九月まで計十回話し合い、次の臨時国会までに表示の是非につ
いて結論を出す。
 「遺伝子組み換え食品について消費者の関心が高まってお
り、国会としても無関心ではいられなくなった」(岸田文雄小
委員長)ことが背景にある。
 もう一つの審議会は農水省の「食品表示問題懇談会遺伝子組
み換え食品部会」。ここには消費者団体のほか、学者や食品メ
ーカーなどが参加。五月末に続く二回目の会合だが、今回は厚
生省などの専門家を呼び、議論を本格化する。
 すでに欧州委員会は六月、遺伝子組み換え農産物を使った場
合の表示義務付けを決め、欧州連合(EU)各国に七月末まで
に実施するように通知した。米国は「品種の安全性が確認され
れば表示の必要はない」との考え方が定着している。
 

『旭松食品、埼玉に納豆工場建設 10月稼働目指す』
1997/07/16 日本食糧新聞
 
 旭松食品(株)(長野県飯田市、0265・26・903
1)は、このほど埼玉県比企郡吉見町に、納豆専用の埼玉工場
の建設に着手、今秋10月の完成、稼働を目指す。
 昨年3月に、関東市場向けに納豆「完熟超小粒」を発売した
が、予想を上回る伸びで、生産能力の確保が急務となったこ
と、また、特に納豆は、鮮度維持のためにスピード物流が必要
であり、消費地に近い場所に生産拠点を持つことを経営戦略と
しており、今年の5月に吉見町の長谷工業団地内に土地、建物
を取得、建設に着手したもの。
 現在、同社は、長野県飯田市(生産能力日産二〇〇俵・大豆
換算)、茨城県友部市(同五〇俵)、兵庫県小野市(同二〇〇
俵)に納豆工場を持っているが、新工場は日産五〇万食(大豆
換算二五〇俵)で、これまでの約一・五倍の能力となる。
 新工場は、関越自動車道松山ICから六キロメートルと便利
で、首都圏向けの工場としては最適である。取得した土地は約
二万一〇〇〇平方メートル、建物は延床面積約四〇〇〇平方メ
ートルで、これまで他の工場として使われており、現在、既設
備を撤去し、納豆生産設備の設置工事を行っている。
 設備投資額は、土地、建物の取得分を合わせ約二〇億円。
 

『ジャスコ野田阪神店、ベストオブ納豆』
1997/07/16 日本食糧新聞
 
 7月10日は納豆の日‐‐神戸弁で「おいしくなってる」を
「おいしなっとう」ということからもじって、「おいしなっと
うコンテスト」とユーモラスに命名された納豆の人気投票が、
ジャスコ野田阪神店(広報=大阪市福島区、06・457・6
115)で開かれた。
 投票期間は6月24日から7月9日まで。10日に「ベスト
オブ納豆」を選出、併せて投票者の中から同社商品券が当たる
公開抽選が行われた。
 今年のベストオブ納豆は(投票総数一四五三票中有効票一三
七五票)、一位旭松食品(株)の「なっとういち超小粒納豆」
が二六九票、二位同社「なっとういち完熟超小粒」が一七七
票、三位タカノフーズ(株)の「おかめ極小粒カップ3納豆」
が一七四票と高得点を獲得。
 抽選では、商品券三〇〇〇円分が大阪市東成区の河村清一さ
ん他九人、一〇〇〇円分が尼崎市の笠谷武志さん他四九人が当
選、景品は後日郵送にて送付された。
 また納豆への対応について担当バイヤーは次のように語った。
 昨年のO157や健康志向から納豆が注目され、わが社でも
昨年比三〇%増と好調に推移している。ただし全体の客の中で
の納豆を購入する比率は、関東地区が六割に対して、関西地区
は四割とまだまだ伸びが期待できる分野だ。今春から売場のゴ
ンドラを平均四尺から六尺に拡大し、アイテム数も一三から一
六に増やすなど積極的に展開している。
 アイテム別ではこのコンテストの結果やPOSデータから
も、小粒タイプに根強い人気が集まっているものの、最近はあ
づまの「大粒鶴の子納豆」のような大粒タイプのものが徐々に
人気を伸ばしてきていることを受け、8月からは大粒タイプの
品揃えを強化する計画を立てている。
 さらに今年の夏は、売場でメニュー提案などの消費者への啓
蒙を行いながら、市場の健康志向に対応する商品として納豆を
アピールしていく。
 また「何々の日」というかたちでの楽しい催事を展開してい
く中で、来年からは他店にも同コンテストを拡大し、地域的な
消費動向の差違や購入者の年齢構成などをつかみ、関西地区で
の納豆普及に役立てたい。
 

『老人ホームなどに、納豆1万6200食を贈呈』
1997/07/13 毎日新聞 地方版
 
 県内の納豆業者17社でつくる「県納豆工業協同組合」(坂
井功理事長)がこのほど、老人ホームや養護施設など193施
設に1万6200食分の納豆を贈った。
 今月10日が、ごろ合わせから「納豆の日」であるのにちな
み、ヘルシー食品の納豆をPRし、食べてもらおうと贈ったもの。
 

『[ビジネス情報]納豆製造・販売のくき食品 抗菌納豆飴を発売』
1997/07/12 毎日新聞 西部朝刊
 
 納豆製造・販売のくき食品(本社・福岡県若宮町)はこのほ
ど、抗菌納豆飴(あめ)と粉末状の乾燥納豆「オー・ドライ7
10」を発売した。
 納豆に含まれる成分に抗菌作用があることに着目。健康食品
として、納豆の粘りやにおいが嫌いな人でも食べられるように
工夫した。乾燥納豆はふりかけやみそ汁などに混ぜて食べる。
飴は1袋(100グラム)、乾燥納豆は1瓶(50グラム)で
いずれも200円。スーパーなどで扱うほか、通信販売(01
20・11・6889)も。
 

『7月10日は納豆の日、健康、抗菌効果で「粘り勝ち」消費増える』
1997/07/09 日本農業新聞
 
 あす七月十日は「納豆の日」。無臭、乾燥など新たな製品が
開発される中、健康食品として消費が増え続けてきた。一九九
六年には、病原性大腸菌O(オー)157への抗菌効果から西
日本を中心に、全国計で一五%も伸びた。国産大豆を使った納
豆が、輸入大豆を使ったものより、味も日もちも良いとの試験
結果も出された。豆腐、煮豆に次いで納豆は、国産大豆にとっ
て三番目の需要先になる。
<味では国産大豆に軍配>
 国産大豆使用――と、原料の違いを訴えるメーカーが増えて
いるが、輸入大豆よりも国産大豆を使った納豆の方が味が良
く、日もちもするという結果が、食べ比べでわかった。 食べ
比べ(官能試験)は、今年二月、札幌市内のホテルで、全国納
豆組合連合会が行った。道中央農業試験場の生産技術員、道食
品加工研究センター、納豆メーカーの社長ら八人が評価員にな
り、豆の硬さや色から、納豆の日もち、におい、風味などを判
定した。八項目合計の満点を五百七十六点として、国産大豆の
納豆は、「鈴の音」を除いて、いずれも、中国産、米国産を原
料とした納豆よりも高い点数となった。
 輸入大豆納豆に比べ、国産大納豆は、粘りが豊かで、保存し
ても軟らかくなりにくく、アンモニアの発生も少ないなどの特
徴があることがわかった。「鈴の音」の納豆が低かったのは、
この時に使った大豆の水分が一〇%未満で、「過乾燥の影響」
(同連合会)と見られている。
 食べ比べの結果を分析した茨城県工業技術センター発酵食品
部の長谷川裕正主任研究員は「味と日もちが違うことがはっき
りした」とし、今後は、大粒の輸入大豆との比較も課題になる
としている。同連合会は、今年九月にも、消費者を対象にした
食べ比べ試験を行う計画だ。
<大阪、兵庫など4〜5割増>
 「東高西低」と言われる納豆の消費が変化してきた。病原性
大腸菌O(オー)157の騒ぎがあった昨年は、納豆の抗菌作
用に関心が集まり、西日本を中心に需要を伸ばしている。
 納豆の消費は、米不足の影響を受けた九四年を除くと順調に
伸びてきた。総務庁の家計調査を基に、全国納豆協同組合連合
会がはじいた消費金額は表の通り。九六年は千六百億円で前年
に比べ一五%伸びた。
 西日本の一人当たり消費量は依然小さいが、「伸長率が高
い」(同連)のが最近の傾向だ。特に昨年は、O157を抑え
る納豆の働きが紹介され、消費増につながったようだ。大阪、
兵庫、岡山などで前年比四〜五割増と、伸びが大きい地域は西
日本に集中する。
 納豆になる原料大豆は年間十一万トン。製品ベースで二十二
万トンとなり、一パック五十グラム換算で四十四億個が生産さ
れている。国民一人が一年間に三十六個を食べている計算だ。
納豆用に使われている国産大豆は九五年で約四千トンと見ら
れ、国産大豆流通量の一割を超す。
<乾燥商品も登場>
 鰍ュき食品(福岡・若宮町)は納豆の日にあわせ、「乾燥納
豆(オー・ドライ七一〇)」(五十グラム二百円)を発売す
る。納豆の粘り、においを抑え、納豆が嫌いな人でも食べやす
いのが特徴。昨年八月に発売した「抗菌納豆」を乾燥したもの
で、効果・効能は納豆と同等。ふりかけ、お好み焼き、ピザ、
カレーなどにも利用できる。
 納豆メーカーは、消費者ニーズに対応した新商品を開発して
いる。健康志向に合わせ、脳卒中の原因となる血栓を溶かす働
きがあるといわれているナットウキナーゼ活性の高い商品や、
若い女性の貧血予防に鉄分を強化した商品もある。
 

『【料理レシピ】五色納豆』
1997/07/08 産経新聞 朝刊
 
《作り方》
(1) 長イモは皮をむいて5ミリ角に切り、酢水にさらして
水気をきる。
(2) オクラは塩少量をふってもみ、熱湯でさっとゆでて冷
水にとり、へたを落として1センチ幅に切る。
(3) 梅干しは種を取って粗くたたき、カツオ節を加え混ぜる。
(4) だし汁大さじ3、しょうゆ大さじ1・1/2、酢大さ
じ2/3を合わせ混ぜる。
(5) 器に(1)(2)と納豆を盛り合わせ、中央に(3)
と卵黄をのせ、(4)を添える。
【一口メモ】
◇納豆に添付されたつゆに酢適量を加えて添えてもいい。
◇薬味に万能ネギや青ジソ、ミョウガなどもいいし、練りガラ
シも合う。
《材料メモ》
納豆(100グラム・ひきわり)…………2パック
長イモ…………5センチ
オクラ………………8本
梅干し………………1個
カツオ節(粉末)…………小さじ1
卵黄…………………4個
酢、塩、だし汁、しょうゆ
 

『納豆嫌いにも食べやすく、くき食品、飴など発売。』
1997/07/07 日経産業新聞
 
 納豆製造のくき食品(福岡県若宮町、斎藤陽彦社長)は十
日、「抗菌納豆飴」と「乾燥納豆(オー・ドライ七一〇)」を
発売する。ともに納豆独特のねばり、臭いをなくして、納豆嫌
いの人にも食べやすく仕上げたという。納豆の抗菌性をアピー
ルしながら通信販売などで全国に拡販する。
 納豆のねばりに含まれるジピコリン酸は抗菌効果のあること
が知られている。同社は今春、ジピコリン酸の含有量を高めた
「抗菌納豆」を発売。この「抗菌納豆」をフリーズドライ加工
してあめに混ぜたのが「抗菌納豆飴」。「乾燥納豆」は「抗菌
納豆」を乾燥、粉末加工した。「乾燥納豆」はご飯に振りかけ
たり、みそ汁に混ぜるなど「各種食品と組み合わせて食べるこ
とができる」(同社)。
 価格は「抗菌納豆飴」が百グラム入りで百八十円、「乾燥納
豆」が五十グラム入り二百円。通信販売(0120・11・6
889)あめ十袋、乾燥納豆十袋のセット商品のみで四千円
(送料込み)。初年度で年間約十億円の販売を見込む。
 

『真誠が「ゴマ友達しょうゆ味」スティックタイプを追加』
1997/07/04 日本食糧新聞
 
 (株)真誠(愛知県西春日井郡、0568・23・331
1)は、7月1日から全国へ「ゴマ友達しょうゆ味スティッ
ク」を新発売した。
 好評発売中の「しょうゆ味ゴマ九〇g」のシリーズ品で(
1)使い切りで、持ち運びに便利なスティックタイプ(2)弁
当、アウトドアなどに手軽に利用できる(3)そのまま、おつ
まみ、ふりかけ、おにぎり、和え物、冷やっこなど、広く利用
できる(4)納豆、大根おろし、サワーライスなど、減塩の調
味料としても利用できる‐‐などが特徴。
 二・六g×八。一〇×一〇。価格はオープンで設定していない。
 

『本紙・福岡支局45周年に寄せて マルキン食品・吉良元雄社長』
1997/07/04 日本食糧新聞
 
 日本食糧新聞社福岡支局様が開設四五周年を迎えられ、誠に
おめでとうございます。
 消費者の購買動向を的確にとらえ、今後の食品市場の展望を
示唆される充実した紙面。何よりも公平な立場で広範囲にわた
って取材され情報を発信されるその報道姿勢に、心より敬意を
表するものであります。私どもも、信頼できる貴重な情報源と
して大いに活用させていただいております。
 当社は大正4年に創業、穀粉類の製造・販売から出発し、納
豆・こんにゃく・ところてん・豆腐等日本古来の伝統食品を毎
日製造し、食卓へお届けしております。消費者のニーズが今後
どのように変化していくか、的確に予想するのは難しいことで
はありますが、す早く対応するためには御紙の情報がますます
必要となってまいります。
 国際的問題である食糧難の世紀、業界のオピニオン紙の役割
をこれからも果たしていかれることを期待します。
 

『納豆パウダー使い豆菓子、メーコウ(新製品)』
1997/06/28 日経流通新聞
 
納豆パウダー使い豆菓子
 【写真7】納豆を使ったカップ入りスナック菓子「水戸なっ
とう・おつまみ納豆スナック」。昨年発売した納豆スナックが
好評だったことを受け、第2弾を商品化。
 食物繊維が多いグリーンピースを使い、ヘルシーさを強調し
た。表面に納豆パウダーをまぶし、特有の風味と粘りが楽しめ
る。「梅味」と「からし味」の2種類。各60グラム入り、2
00円。茨城県内の限定販売。数がまとまれば全国に宅配も。
 発売元はメーコウ(茨城県石岡市、TEL0299・24・
5310)。
 

『ヨークベニマル、「中新田店」開店 新鮮な地元調達品も』
1997/06/27 日本食糧新聞
 
 ヨークベニマル(本社=郡山市、0249・24・330
5)の中新田店が24日、オープンした。立地は、宮城県北の
中心地、古川市から西に一〇キロメートルほど離れた、加美郡
中新田町の商店街から一キロメートルほどのところ。
 売場は、地域の普段の暮らしの中から商品をピックアップ
し、採れたて野菜、味噌、豆腐、納豆、うどん、そばなどを地
元から調達。加美郡の名産品、中新田鮎、小野田産やまめ、い
わな、米沢屋だんご、ラインの森ウィンナー・ハムなども揃え
ている。さらに、簡便性の高い商品や、調理済み商品(カット
野菜、冷食)の充実、石巻、気仙沼から新鮮な魚を提供する‐
‐などが特微。
 同店のオープンで店舗数は福島県四〇店、宮城県二二店、山
形県七店、栃木県九店となった。
 中新田店の店舗概要は次の通り。
 ▽敷地面積=一万二四九三平方メートル▽売場面積=三六一
二平方メートル(自営三一五八平方メートル、テナント四五四
平方メートル)▽駐車台数=四七九台▽売上げ目標=初年度二
六億円▽来店客数=平日約二一〇〇人、土日約三二〇〇人
 

『朝日食品社長、「再建へ出向者活用」――水郷工場、ライン増設検討。』
1997/06/27 日経産業新聞
 
 経営不振から中埜酢店(ミツカン)に経営権を譲渡した大手
納豆メーカーの朝日食品(茨城県牛堀町)は、人件費抑制、生
産性の向上などを軸とする再建策をまとめた。中埜酢店から同
社の社長に就任した野田和男氏に聞いた。
――再建の基本方針は。
 「人・モノ・カネを最大限有効利用する考えだ。人について
は、人件費比率の上昇を抑えつつ営業力を強化するため、自分
を含めて三十五人の専任出向者を活用する」
――モノの有効利用策は。
 「水郷工場(千葉県佐原市)を最大限活用する。現在は工場
の敷地も建屋も半分ぐらいしか使っていない。納豆の需要は堅
調に伸びており、稼働率も限界に来ているので生産ラインの増
設を検討している」
 「経営に必要な情報の管理体制が不十分なので、受注から売
掛金の管理までの情報を一元化し、社内で共有できる情報シス
テムの構築に着手する」
――カネの面はどうか。
 「経営支援を要請したぐらいだからカネはないものと考えて
いる。しかし、最近の健康志向を背景に納豆市場は拡大してお
り、売り上げ増による収益改善を目指す」
――遺伝子組み換え農産物を使った食品の表示問題が話題に
なっているが、今後の商品戦略は。
 「当社は、納豆用大豆の九九%近くを米国での契約栽培によ
ってまかなっている。米モンサント傘下のハーツシード社を通
じて輸入している納豆用大豆はすべて遺伝子組み換え品ではな
いことを確認している。しかし、今のところ、当社の商品に遺
伝子組み換えフリーであることを表示するつもりはない」
 

『ジャスコ、「納豆の日」で7月10日人気コンテスト』
1997/06/25 日本食糧新聞
 
 ジャスコ(株)(広報部=大阪市福島区、06・457・6
115)は野田阪神店で24日から7月9日まで、7月10日
の「納豆の日」にちなんで、納豆の人気投票を行っている。
 同店で販売されている納豆の中から一番おいしいと思う商品
名を客が投票、もっとも高得点を得た商品に投票した人の中
で、抽選で六〇人に同社の商品券をプレゼントするもの。タイ
トルは「おいしくなってる」を、神戸弁で「おいしなっとう」
ということから、もじって「おいしなっとうコンテスト」とし
ている。
 応募方法は、納豆コーナーに用意されている応募用紙に記入
の上、投票箱に投函。期間は24日から7月9日まで。景品と
してジャスコ商品券三〇〇〇円を一〇人に、同券一〇〇〇円を
五〇人にプレゼント。発表は7月10日午前11時に納豆コー
ナーで公開抽選。当選者名と「ベストオブ納豆」を同コーナー
に掲示する。当選商品は郵送にて発送。
 関西納豆工業協同組合は、体力が消耗する夏場に健康を保
ち、夏バテを防ぐ健康食品として納豆をアピールし、需要拡大
を図るため語呂合わせで、八二年に7月10日を「納豆の日」
と設定。さまざまなPR活動を行っている。同社も「納豆の
日」にちなむ催しとして、昨年から同催しを開いている。
 最近、関西地区での納豆の需要が高まってきており、昨年も
有効応募総数一六九二票と好評。昨年のベストオブ納豆は、一
位に旭松の「なっとういちひきわり納豆」四三六票、二位に朝
日の「水戸小粒納豆」二一八票、三位にタカノフーズの「極小
粒納豆カップ3」一九三票で選ばれた。
 

『あづま食品――本物の納豆を追求(地方の食品我が社の実力トップが語る)』
1997/06/23 日経産業新聞
 
 昔ながらの納豆の味を守ることが使命――。四十七年前、家
内工業から出発した、あづま食品の企業姿勢は全国二位の納豆
メーカーに成長した今も変わらない。自然食品ブームで注目を
集める市場にあって、黒崎信也社長は素材重視の商品を作り続
けてきた。
 ▼業界の環境 ここ数年、納豆の栄養に対する評価が高ま
り、納豆市場は一千億円にまで拡大した。これからも成長が期
待できる。ただし、新規参入業者も多く、シェアを食い合う厳
しい状況になっている。
 納豆は幅広い層の消費者に浸透してきたため、本物志向の商
品が受けるようになってきた。良質の大豆の確保が難しくなっ
ている。
 ▼経営戦略 良質の大豆を安く確保することが重要と考えて
いる。十四年前から米国の農場と提携し、日本と同じ品種の大
豆の生産に取り組んできた。現在は日本産と同等品質の大豆栽
培に成功している。八七%の商品で輸入大豆を使用し、製造コ
ストを半分にすることができた。
 また、無農薬食品の需要が高まっていることから、納豆メー
カーとしては初めて、国際的な農作物認定機関であるOCIA
(有機農作物改良協会、本部米国オハイオ州)の認定を受け
た。安全性を打ち出すことで、環境問題に敏感な客層もとらえ
ることができる。
 さらに事業の多角化も進めている。おつまみ用に乾燥納豆の
製造も今年から開始、コンビニエンスストアなどで販売してい
る。学校給食用に乾燥納豆をチョコレート、ヨーグルトでコー
ティングした商品の販売も計画している。
 ▼強み・弱み 創業四十七年がたった今こそ、手づくりだっ
た創業の原点に戻らなければならない。当社もカラシ、タレな
どに添加物を混ぜている商品もあるが、消費者から飽きられて
しまう危険性がある。良い大豆と良い納豆菌だけを使い、何度
食べても飽きのこない本物の味を作る必要がある。
 そのために高速液体クロマトグラフなどの最新分析機器を使
い、科学的試験を繰り返している。この原点に戻ることができ
れば最大の強みになるはずだ。派手にテレビCMを放映しなく
ても消費者はついてきてくれる。
 ▼ライバル 他の納豆メーカーをライバルとは考えていな
い。あえていうならばスーパーの食料品コーナーに並ぶすべて
がライバル。ご飯のともとして食卓で親しまれる商品を作って
いくだけだ。
 ▼自慢の商品 OCIAの認定マークをつけた「有機無農薬
極小」(タレ・カラシ付き、三十グラム二個入りで百十八円)
を食品の安全性に敏感な消費者にぜひ食べてほしい。また、ど
うしても外国産大豆に抵抗のある人には国産大豆一〇〇%使用
で、日光水系の天然水で仕上げた「舌鼓」(タレ付き、四十五
グラム二個入りで百四十八円)がおすすめ。茨城県の契約農家
に作ってもらっている厳選した素材だ。 (宇都宮支局 名波
彰人)
派手さはないが、本物志向はどの納豆メーカーよりも強い。
「納豆一筋」と語る黒崎社長のもと、素材の厳選、後味の良い
納豆の開発に全社をあげて取り組んでいる。納豆業界でのシェ
アは現在一〇%程度だが、添加物に慣れた消費者にどこまで昔
ながらの味を伝えられるかが、シェア拡大のカギとなる。
 黒崎社長は大豆の安全性など環境問題にも敏感。現在はリサ
イクル容器の採用を検討中で、自然食品志向の強い消費者の感
覚にぴったりと合っている。
 課題は営業戦略にありそうだ。宣伝戦略でシェアを伸ばす納
豆メーカーもある中で、知名度は今一つ。大都市圏には強い
が、今後、北海道、九州など全国展開を進めていくうえで、販
促活動のてこ入れが必要となる。
 

『納豆作り、いとも簡単――菌粉末、愛用者が最近“増殖”。』
1997/06/21 日経流通新聞
 
 家庭で簡単に納豆を手作りできる「納豆の素」が、納豆好き
や健康に関心のある層にじわじわと広がっている。
 納豆菌メーカーの高橋祐蔵研究所(山形市、高橋紘一郎所
長)の「納豆素(もと)」は、乾燥化させたパウダー状の白い
納豆菌。一晩水に浸し、柔らかく煮沸した大豆にふりかけ、
一晩発酵させるだけで新鮮な納豆ができ上がるという。
 粉の量を加減すれば粘りの強さも加減でき、自分の好みの納
豆が作れるのも特徴だ。
 同研究所が六十年以上前から業者向けに販売していたもの
を、今年から家庭向けのミニボトルに入れ、東京都内の東急ハ
ンズなどで販売している。価格は一本七百五十円。一本で大豆
三十キログラム分の納豆が作れるという。
 「健康にいい納豆を食べたいが、市販の発泡スチロールに入
った納豆は発泡スチロール臭が強くて苦手、という人に受けて
いる。だれでも失敗なく作れる点が好評」と、東急ハンズ渋谷
店では話している。
 

『【料理レシピ】鶏ひき肉とエビを混ぜて 納豆ギョーザ』
1997/06/21 産経新聞 朝刊
 
《作り方》
(1) タマネギ、ニラ、ショウガはそれぞれみじん切りにする。
(2) むきエビは背わたを取り、ぶつ切りにする。
(3) フライパンにサラダ油、ゴマ油各大さじ1/2を熱し
て鶏ひき肉と納豆、(1)(2)をいため、砂糖、みそ各小さ
じ1/2、しょうゆ小さじ1、塩、コショウ各少量で調味し、
粗熱をとる。
(4) (3)に溶き卵とかたくり粉大さじ1を混ぜる。
(5) ギョーザの皮に(4)をのせ、2つ折りにして縁に水
をつけ、ひだを寄せながらしっかりと閉じる。
(6) フライパンにサラダ油大さじ1を熱して(5)を並べ
入れ、軽く焦げ目がついたら水1/4カップを加え、ふたをし
て水気がなくなるまで焼く。
(7) 器に(6)を盛って青ジソや白髪ネギなどを飾り、練
りガラシと酢、しょうゆを添える。
《材料メモ》
納豆(100グラム・ひきわり)…………1パック
むきエビ(冷凍)…………50グラム
鶏ひき肉………100グラム
タマネギ………1/2個
ニラ……………1/3束
ショウガ………1かけ
溶き卵…………1/2個分
ギョーザの皮(24枚)………1袋
ゴマ油、かたくり粉、酢、練りガラシ他
 

『【Newふるさとの味】茨城納豆 日本料理「山びこ」』
1997/06/21 産経新聞 朝刊
 
 茨城の特産品といえば、まずあげられるのが、納豆。県内の
生産量は全国一を誇る。納豆は、タンパク質やミネラル、ビタ
ミンが豊富な健康食品としても近年評価が高いが、独特のにお
いは苦手な人も多い。
 「実は私も、どちらかといえば、あのにおいが苦手な方なん
です。味そのものは、おいしいと思うんですが…」というの
は、総和町の日本料理店『山びこ』(TEL0280・32・
3751)の二代目主人である進藤栄治さん(三〇)。父親が
開いた店を継ぐ、新鋭料理人だ。
 同店は、懐石料理を主体とした店。懐石料理に納豆は合わせ
にくいという。
 「やはりにおいが気になりますね。食べた後も、部屋ににお
いがこもってしまいますし。しかし、地元の代表的な素材です
し、何でも使ってみたいという気もあって、納豆を使うことも
たまにあります」
 もちろんそこには工夫がある。
 「スマートに食べられるよう心がけている」とのことで、今
回、考案してくれた二品(下のレシピ)も、納豆とは思えない
しゃれた料理だ。
 どちらもにおいを抑えることが、第一のポイントになっている。
 〈納豆チップス〉は、においを取るために、納豆をぬるま湯
で洗う。「粘り気を取ると、かなりにおいが抑えられます」。
ミョウバンを入れた湯だと、より効果的ということだ。
 「この納豆を上新粉と練り合わせ、油で揚げた〈納豆チップ
ス〉は、二年ほど前に父親と考えたもので、料理人対象の講習
会で紹介したこともあります。それをアレンジしてみたんです」
 長ネギと鶏肉を中華の甘みそダレであえたものを添えると中
華風に、また、アボカドとエビをクリームチーズであえて添え
ると洋風の味わいになる。
 「チップスにすることでバリエーションが広がり、ビールに
もワインにも合う料理になったと思います」
 一方、〈納豆ギョーザ〉は、みそを使って納豆の臭みを和ら
げている。「このほか、香味野菜を使ったり、油でいためたり
するのも、納豆のにおいを抑えるのに効果的です」とのこと。
〈納豆チップス〉にいろいろな料理をのせた〈納豆カナッペ〉
は、店で前菜に出したりもしているが、好評だという。
 「最近は、オーソドックスな料理だけではなく、新しい感覚
の料理が期待されてもいるようです。わたしも昔のよいものは
残しつつ、中華や洋風のエッセンスも取り入れた新しい料理に
挑戦したいと思っています。今は、皆さん舌が肥えていてチェ
ックが厳しい。その分、やりがいもあります」
 店では、お客が家族連れか、若い人のグループか、あるいは
接待か−などによって、料理内容も変える。
 「だれがいらしても、満足してもらえるようにと思っていま
す」という進藤さんは、新しいメニューの開発に余念がないよ
うだ。(岩原和子)
 

『遺伝子組み換え食品、浸透は――米で生産が急増』
1997/06/15 日本経済新聞 朝刊
 
 植物油、しょうゆ、豆腐、納豆、ビール、マーガリン――。
遺伝子組み換え技術を使った大豆、トウモロコシなどを原料と
した食品が食卓に登場し始めた。日本では昨年八月、食品衛生
調査会(厚相の諮問機関)が大豆やトウモロコシなど七品種の
組み換え農作物について安全性に問題ないとしたのを手始め
に、今年五月にも追加。現在では十五品種の組み換え農産物を
輸入できる。半面、安全性に不安を抱く消費者も多い。遺伝子
組み換え食品は国内市場に浸透するか。
 今月初め、米国の農業・穀物流通関係者を「スペインショッ
ク」が襲った。スペインが約十五万トンのアルゼンチン産トウ
モロコシを急きょ調達。これまでトウモロコシといえば米国産
が世界貿易の約七割を占め独占状態にあったが「スペインが米
国産の遺伝子組み換えトウモロコシを嫌った」(米商社)。市
場関係者によると、スペインはアルゼンチン産トウモロコシを
手に入れるためにプレミアム(割増金)まで払った。
 遺伝子組み換え農産物は、農産物の中に別の遺伝子を人工的
に導入して作る。農産物の性質を手早く変え、新品種を作り出
す技術だ。
 しかし、食品安全への消費者の関心が高い欧州では、オース
トリアが遺伝子組み換えトウモロコシの輸入を禁止、欧州連合
(EU)も遺伝子組み換え農産物を使った食品に、使っている
旨の表示を義務付けるなどの動きが出ている。
 日本でも、消費者団体などは、遺伝子組み換え食品について
「アレルギー反応を人体に引き起こす可能性が否定できない」
(日本消費者連盟)などと反発。百二十を超える地方議会も遺
伝子組み換え食品には表示を求める決議を採択した。
 農水省も同省食品流通局長の諮問機関である食品表示問題懇
談会に「遺伝子組み換え食品部会」を設置。遺伝子組み換え農
作物を使っている旨の表示の是非を議論し始めた。表示が決ま
れば、消費者が遺伝子組み換え農産物を敬遠する動きも生ま
れ、農産物の輸入、加工、流通の各段階で混乱が生じそうだ。
 遺伝子組み換えの効果は大きい。例えば、米モンサントが開
発した遺伝子組み換え大豆は除草剤に対する抵抗力を強め、収
量も向上させた。収量は通常の大豆と比べ「最大二〇%程度も
向上する」(商社)。
 世界の人口は九六年に五十八億人を超え、二〇五〇年には百
億人に達する見込み。激増する穀物需要に対応するためには
「化学肥料の開発と普及では限界があり、バイオ技術が必要」
(アメリカ飼料穀物協会)との考えも根強い。
〈普及するが、表示も義務付けられ、非遺伝子組み換え食品へ
の需要も増える〉
 日本の主な食糧輸入先である米国で遺伝子組み換え農産物の
生産が急拡大しており、食卓への普及度は自然に高まる。米国
で遺伝子組み換え技術を使ったトウモロコシの作付けが始まっ
た昨年の作付面積は全体の一%にも満たなかったが、今年は一
〇%程度にまで拡大しそう。
 同時に、不安を持つ消費者の声などに配慮して、農水省は遺
伝子組み換え技術を使っている農産物にはその旨の表示を義務
付ける。
 一部の消費者の間では、価格が高くても、遺伝子組み換え作
物を使わない製品を買いたいという動きが出て、例えばオーガ
ニック(有機)農産物の消費量は飛躍的に伸びる。
 米最大の有機農産物の認証機関である有機農産物改良協会
(OCIA、ネブラスカ州)が昨年、有機の認定基準に「遺伝
子組み換え技術の使用禁止」を加えるなど、非遺伝子組み換え
であることが有機農産物の売り物となる。すでに日本でも昨年
末以来、米国産有機大豆の価格が品不足から高騰している。
〈遺伝子組み換え食品への制約が一切なく、メーカー主導で市
場制覇へ〉
 農水省の「遺伝子組み換え食品部会」でも、メーカーを代表
して参加している食用油メーカー、ビールメーカーなどは、非
組み換ええ食品を使うとコストが跳ね上がることから表示には
消極的。同部会で、厚生省の安全性テストをパスしたものは表
示なしで使うことができるとの結論が出て、消費者は遺伝子組
み換えか否かを選べなくなる。
 ただ、この場合は消費者団体からの強い反発が予想され、部
会に参加している食品メーカーなどへの不買運動が起きる恐れ
もある。
〈国が遺伝子組み換え食品を全面禁止〉
 消費者団体などの要求で輸入を禁止する可能性がないわけで
はない。
 ただ、日本の食糧自給率は四二%(九五年・熱量ベース)。
穀物の輸入依存率はさらに高く、大豆では九八%に達し、その
うち八三%が遺伝子組み換え食品が広まっている米国からだ。
アルゼンチンなどの穀物に頼るとしても、安定的にしかも大量
にとなると非常に難しい。また、組み換え農産物の輸入全面禁
止は米国との貿易摩擦につながる。
× × ×
 表示については国連のコーデックス(国際食品規格)委員会
でも議論が続いており、結論が出れば日本も従う見込み。しか
し、「表示は不要」の米国と「表示が必要」の欧州が対立、ま
とまる見通しは立っていない。シナリオの実現可能性は(1)
が六五%、(2)が三〇%、(3)は五%程度か。 (商品部
 大石信行)
 

『新潟の伝統食品(気になる商品)』
1997/06/14 日経流通新聞
 
 ◆東京・有楽町の有楽町阪急内にある「越後手づくり村」
(TEL03・3575・2297)は新潟の伝統的な
食品を販売する店。人気は、国産大豆と地下水で作った「懐か
し豆腐」(二百七十円)、昔ながらの製法による「ビリ辛納
豆」(五百円)、乳酸で自然熟成させた白菜の漬物「百匠漬」
(百グラム百六十円)など。商品はすべて新潟県湯之谷村(北
魚沼郡)にあるメーカーから毎日トラック便で仕入れている。
 二十八種類のおにぎり(百五十円から)もあり、笹(ささ)
の葉でくるんだおにぎりが入った「まんぷく弁当」(六百円)
もよく売れる。
 

『[憂楽帳]環境食(池田知隆)』
1997/06/13 毎日新聞 大阪夕刊
 
 “ジャワ納豆”ともいわれるインドネシアの発酵大豆食品
「テンペ」に関する国際会議が来月中旬にバリ島で開かれる。
「まだ納豆に関心があれば、参加しませんか」と常磐大学教
授、加藤清昭さんから誘われた。もう7年前になるが、納豆の
ルーツを追ってアジアを旅したことがあるからだ。
 テンペは、ハイビスカスなどの葉の裏にいるカビの一種で大
豆を発酵させる庶民的な食品だ。ヤシ油で揚げると淡泊で、
「大豆のカマンベールチーズ」のような味が懐かしい。
 さらに植物性タンパクとはいえ、ビタミンB12(抗悪性貧
血因子)を含み、「肉に代わる副食として最適」と菜食主義者
の関心は高い。テンペは病原性大腸菌O157の増殖を抑える
抗菌作用を持つとか、緑黄色野菜プラス大豆食品が前立腺がん
や乳がん、大腸がんの予防に有効、との報告もある。
 いまや欧米型肉食文明の代表「ハンバーガー」が世界を制覇
しつつあるが、「地球環境と食の問題を考えると、大豆をまる
ごと食べる納豆が見直される。納豆は地球を救うのです」とい
う加藤さん。
会議には行けないが、地球環境のために納豆を食べる“環境
食”をしばらく続けよう。  【池田知隆】        
 

『くめ・クオリティ・プロダクツ、高級納豆の新工場完成』
1997/06/12 日本経済新聞 地方経済面
 
 納豆メーカー大手のくめ・クオリティ・プロダクツ(茨城県
金砂郷町、石塚昇一郎社長)は十一日、同町内で高級納豆の新
しい専門工場「高柿工場」の落成式を開いた。全国でも最先端
の防菌設備を備え、発酵法にこだわった製品をつくる。同工場
を含む敷地には納豆の情報提供施設も設けた。既存の研究施設
と合わせてハイクオリティー施設「こしらえの丘」として一般
の見学にも応じていく。
 同施設は敷地約一万平方メートル。うち高柿工場は床面積約
二千平方メートルの平屋建てで、最高級納豆「丹精」や昔風の
味の新製品「水戸伝説」などを製造する。生産能力は一日約十
三万食。見学コースを設けた。
 工場の壁や床に高度の防カビ材を使用、窓をなくし、温度を
一定に保つなど全国で最も防菌対策が進んだ納豆工場とした。
 施設群の中心にはテラス風の「こしらえ工房」(床面積約百
三十平方メートル)も建設。新製品の開発や新メニューの提
案・試食などを行う。建設費は計約七億円。
 同社の二つ目の自社工場で、協力工場を含めると計十工場と
なる。九八年夏には和歌山県内に同社製品の協力工場を設ける
ほか、県内の江戸崎町にも量産工場建設を構想している。
 

『[論説]食品表示は消費者の視点で』
1997/06/11 日本農業新聞
 
 最近、米国の有機(オーガニック)認証団体マーク入りの食
品販売が、国内で増えている。認証マーク付きの農産物や加工
食品を輸入し、そのまま販売するもの、米国の認証農産物を輸
入し、国内で加工するものなどさまざまだ。納豆、みそなどオ
ーガニック大豆を輸入して国内で加工する場合は、化学添加物
の不使用など加工製造面の基準に沿った認証を受ける。
米国有機米が登場
 それが米にも登場した。大手量販店が売り出した。米国の認
証団体、有機農産物改良協会(OCIA)が認定している。売
買同時入札(SBS)で輸入され、神奈川の大手米卸業者が精
米している。小売りの米袋の表には「オーガニック・ライス」
と大きく表示されている。それが問題になった。
 食糧庁の定めた精米表示方法では、「有機米」の表示はでき
ないためだ。国内の栽培基準があいまいなことが、その理由だ
と言う。栽培方法についても、JAなど栽培責任者と米卸が栽
培基準を確認した特別表示米以外は、表示ができない。食糧庁
は表示中止を指導してきたが、「中止を求める判断材料がな
い」と黙認している。認証団体は、無農薬・無化学肥料など基
準に沿った栽培に限り認定しているかだろう。
 ここでの問題は「黙認」ではなく、米国や欧州などのオーガ
ニック表示に対する厳しさと、あいまいなまま、個々の業者独
自の「有機」が流通をする国内の実態だろう。農水省は今年一
月に有機農産物等表示ガイドラインの一部改正をし、農薬や化
学肥料を使わない「有機農産物」と、無・減農薬などの「特別
栽培農産物」に区分した。米は、対象から除かれている。しか
し、それについても「欧米に比べあいまいさが残る」との消費
者団体の批判があり、さらに店頭でその表示が守られていると
は言えないのが実態だ。
 あるスーパーの店頭に「有機栽培米こしひかり」と大きく表
書きした米があった。裏に印刷された栽培基準では有機質肥料
使用はあっても、化学肥料についての明示はなく、除草剤一回
使用が明記されていた。栽培責任者、確認責任者も明記されて
いる。これは、特別表示米制度によるもので、有機農産物ガイ
ドラインと表示方法が違うが、統一すべきだろう。
あいまいさが問題
 日本の気候は、乾燥した欧米に比べ病害虫も多く、日本独自
の基準づくりが必要との指摘がある。それも事実である。その
点を消費者に理解・納得してもらい、国内農産物の良さをアピ
ールすることも重要だろう。産直ではそれが行われている。し
かし、その問題と表示をあいまいにすることは別だろう。
 表示問題は有機に限った問題ではない。消費者が店頭で購入
する場合、表示に頼るしかない。健康・安全・品質志向が高ま
る中、分かりやすくより明確な、信用の置ける表示が求められ
ている。遺伝子組み換え食品表示にしても同じことがいえよ
う。遺伝子組み換えは食料生産にとっても重要な技術であろ
う。だが、政府の安全認定があっても消費者には選ぶ自由があ
るはずである。それにこたえる消費者視点にたってこそ、信頼
の獲得ができるのではなかろうか。
 

『遺伝子組み換え原料、生協が「不使用」表示、岩手』
1997/06/05 日本農業新聞
 
 いわて生協(組合員十二万九千人)は四日、遺伝子組み換え
作物を原料として使っていない商品に、「不使用」表示を始め
たことを明らかにした。また、組合員(消費者)に不安が広が
っていることを考慮し、国産原料を使った商品の開発を強める
方針だ。県内の流通業者としてトップクラスの販売金額を上げ
ている生協の方針だけに、他業者にも影響を与えそうだ。
 「不使用」表示を始めたのは豆腐、納豆、みそなど四品目二
十五アイテム(商品)。同生協が独自に開発した“アイコープ
商品”が中心で、「この商品は遺伝子組み換え原料を使用して
いません」と商品に明記、十五店舗すべてで二日から取り扱い
を開始した。
 また、いわて、みやぎ、共立社(山形県)の三生協で共同開
発した“サンネットコープ商品”についても、すでに原料の調
査を始め、できるものから遺伝子組み換え作物でない原料に切
り替える。
 同生協では、消費者に遺伝子組み換え作物や、それを使用し
た食品に対する不安が広がっていることを考慮し、国産原材料
を使った商品の開発を強める。特に、岩手県には大豆産地もあ
ることから、産直豆腐やしょうゆの開発を計画している。
いわて生協の事業高(販売金額)は一九九六年度で三百四億円
に上り、県内流通業者としては二番目の規模だ。同生協の加藤
善正専務は「コストは上がるが、安全な商品は価格的に高くな
ることを、組合員にも理解してもらう」と話している。
 

『総会 全国納豆協組連、需要増えても業者減』
1997/06/02 日本食糧新聞
 
 全国納豆協同組合連合会(東京都台東区、03・3832・
0709、高星進一会長)は5月21日、東京・池之端のホテ
ル・ソフィテル東京で第四三回通常総会を開催した。
 納豆業界の市場規模は約一六〇〇億円。平成8年1月から1
2月までの全国消費者購買金額の平均伸長率は九・二%増、特
に10月から12月にかけて約二〇%増と急上昇、今年に入っ
ても消費は引き続き好調で平成9年度には一七〇〇億円市場に
拡大する見込みだが、同時に大手メーカーによる寡占化が進ん
でいる。
 総会では高星会長があいさつ、連合会のPR効果もあってか
納豆の需要が伸びる一方、年々製造業者が減少する厳しい状況
があり、小は小なりのスタンスでいい品物を作り地域に密着し
た営業展開が大事だと強調、各地各社の独自性のある商品開発
などで消費者ニーズにあった製品の提供を行うべきだと考えを
示した。
 続いて第一号議案から第九号議案まで審議、可決されたが、
平成8年度事業では容器包装リサイクル法に関する検討と対
応、「納豆の持つ機能性」に関する委託研究、国産納豆大豆利
用検討委員会の実施、他に週四〇時間労働の対応に関する件な
どが報告され、平成9年度の事業計画案では消費者購買目標金
額を一七二〇億円とし市場規模を広域に拡大するためPRを推
進、「魅力ある全納連」づくりへ邁進する、と発表された。
 また同日、2月に行われた平成8年度全国納豆鑑評会の表彰
式が行われ、農林水産省食品流通局長賞の松葉納豆製造所(埼
玉県)、(有)元祖白糸本舗(福島県)の両社をはじめ、(
株)丸美屋(熊本県)、マルカワ食品(株)(北海道)、(
株)山ノ下納豆製造所(新潟県)、(有)山口醗酵食品(北海
道)の各社が表彰された。
 

『テンペ国際会議に合わせ視察ツアー(短信)』
1997/05/30 日経産業新聞
 
 テンペ国際会議に合わせ視察ツアー インドネシアの発酵大
豆食品「テンペ」に関する国際会議が七月中旬にバリ島で開か
れるのに合わせ、国内の食品研究者らで組織する全国テンペ研
究会が現地視察ツアーの参加者を募っている。日程は十日出
発、十六日帰国。テンぺは“インドネシアの納豆”で、国際会
議では健康食品としての可能性などを話し合う予定。詳細は同
研究会筑波事務所の加藤氏TEL0298・52・1300
へ。(筑波)
 

『おから使って納豆作り、松浦東高・食品科学部生徒らが開発』
1997/05/30 西日本新聞朝刊
 
 長崎県立松浦東高校(松浦市今福町、成瀬日出夫校長)の食
品科学部(末永智弥部長、七人)が、おからを使った納豆を作
った。六月に北松浦郡田平町の県立北松農業高校で開かれる県
学校農業クラブ連盟大会に出品するが、指導している山口英明教
諭(32)は「おからの納豆は全国で初めてでは」と話している。
 同校ではこれまで「シソリキュール」や「アジの薫製」「コ
メジャム」など地場産品の加工食品を開発してきた。シソリキ
ュールは平成四年の全国学校農業クラブ連盟大会で最優秀賞の
文部大臣賞に輝いた。
 おから納豆を作るきっかけは二年前、山口教諭と生徒たちが
同市内の豆腐工場に見学に行った際、工場側から「おからの処
理に困っている」と聞いたことから。「おからも大豆かす。納
豆を作れるのでは」と思いついたという。
 製法は、まず蒸したおからを、きな粉とアルギン酸ナトリウ
ムにまぜ、大豆の形に成形し、塩化カルシウムを流して固め
る。固まったところで水洗いし、市販の納豆とまぜ、冷蔵庫の
中で丸一日おいて完成させる。香り、粘りは納豆そのものという。
 熊本県の納豆工場から商品化の打診もあり今後、保存試験や
コスト計算のほか試食アンケートを実施する。末永部長は「お
からを成形するところが難しかった」と話している。
 

『ヤマダフーズ、納豆原料の商品拡充――せんべいなど18種販売。』
1997/05/26 日経産業新聞
 
 【秋田】大手納豆メーカーのヤマダフーズ(秋田県仙南村、
山田清繁社長)は納豆を原料にした新製品攻勢をかける。当面
十八種類の新製品を市場に投入する考えで、第一弾として醤油
(しょうゆ)せんべいにフリーズドライ製法で開発した乾燥納
豆をまぶした「納豆せんべい」を発売した。八年前につくった
研究所で開発してきた各種の納豆菌を生かす。
 納豆せんべいは甘だれをつけた醤油せんべいに乾燥納豆をふ
りかけ、高温で処理、納豆風味をもたせた。乾燥納豆を製造す
る際に使う納豆菌は糸引きとにおいを抑える特性を持つ。これ
により、せんべいの風味を損なわず、納豆の風味を生かすよう
にした。
 全国の量販店、コンビニエンスストア、一般小売店で販売す
る。価格は二百十円。十一枚入り一袋で初年度、六百万袋の販
売を目指す。
 せんべいのほか、クッキーやふりかけなどでも同様に乾燥納
豆を生かした商品開発を進めており、順次、市場に投入する。
黒豆のような高級大豆を使った納豆など原料を工夫した納豆も
販売する。
 ヤマダフーズは一九六八年の設立。本社工場に次いで、昨年
茨城県牛久市に関東工場を完成、首都圏での販売体制を整え
た。新製品攻勢は業容拡大を図るとともに、関東工場の稼働率
を上げる狙いも込めている。
 

『地元産100%納豆が好評、茨城・JAやさと200万パックの大台突破』
1997/05/25 日本農業新聞
 
 【茨城・やさと】茨城県のJAやさとが一九九三年から取り
組んでいる納豆の製造・販売が、丸四年を経過して順調に伸び
ている。昨年度は二百二十一万パック(一パック百グラム)を
製造して二百万パックの大台を超え、スタート時に比べて一
四%増加。「地元産大豆を一〇〇%使用」が消費者の人気を呼
んでいる。
 JAの工場は職員三人とパートタイマー七人で対応。原料は
地元で栽培される大豆品種「地塚」を使用。低脂肪、高たんぱ
くの特徴が納豆向きとされている。
 商品は昨年まで二個一パック(一個五十グラム)としてい
た。しかし消費者の「量目が多い」と言う声を背景に本年度か
ら三個一パック(一個三十五グラム)に製造の中心を切り替え
た。このほか、「ひきわり納豆」(二個一パック)を製造し
て、商品数は三商品。
 原料の大豆は管内で百十ヘクタール程度栽培されるものを同
JAが買い上げ、価格は昨年の場合で六十キロ二万八千円とし
ている。
 販売金額は昨年度一億八千万円。今年は二百五十万パックで
一億八千五百万円の販売を計画している。
 同JAでは「遺伝子組み換えによる大豆が混じる輸入物とは
違い、消費者が安心して食られる納豆を今後も製造していきた
い」と語っている。
 

『プルトニウムやウラン吸着 納豆菌の仲間確認/日本原研』
1997/05/22 東京読売新聞 夕刊
 
 納豆菌などと仲間のバチルス属の中には、プルトニウムやウ
ランを吸着する性質がある細菌がいることが、日本原子力研究
所(原研)と坂口孝司・東和大教授(福岡市)らの研究でわか
った。原研は、この細菌を、使用済み核燃料からのウラン、プ
ルトニウム分離回収などに応用したい考えで、実用化に向けた
基礎研究をさらに進める。
 この細菌は、オーストラリア北部のウラン鉱床で以前から見
つかっていた。核燃料元素に強い親和性を持つ細菌の研究を進
めていた坂口教授は、同鉱床の細菌に着目、昨秋、現地から三
百種以上持ち帰り、実験を重ねた。
 その結果、六種類の細菌の表面がウランなどと合体する構造
になっており、水溶液中のウランなどを吸着することを突き止
めた。細菌一グラムで、数分でウランを〇・六グラム、プルト
ニウムを〇・三グラムも回収、回収率は九九%にものぼった。
 原研では、これらの細菌を利用できれば、〈1〉施設整備が
小規模ですむ〈2〉薬品などを使わないため環境への影響が小
さい〈3〉微生物を焼却処分できるため、ゴミを減らせる――
などのメリットがあるとしている。
 原研は今後、ウラン吸着のメカニズムの解明や、回収能力の
より高い細菌の発見などに努める。
 

『ヤマダフーズ、納豆原料に新製品攻勢』
1997/05/21 日本経済新聞 地方経済面
 
 大手納豆メーカーのヤマダフーズ(秋田県仙南村、山田清繁
社長)は納豆を原料にした新製品攻勢をかける。第一弾として
醤油(しょうゆ)せんべいに乾燥納豆をまぶした「納豆せんべ
い」を発売した。乾燥納豆には自社開発の納豆菌を活用した。
各種の納豆菌を生かしたクッキーなど、当面十八種類の新製品
を市場に投入する計画だ。
 ヤマダフーズは六八年の設立。昨年、茨城県牛久市に関東工
場を完成し、首都圏での販売体制を整えた。新製品攻勢は同工
場の稼働率を上げる狙いも込めている。
 納豆せんべいは甘だれをつけた醤油せんべいに乾燥納豆をふ
りかけ、高温で処理、納豆風味の製品とした。乾燥納豆はフリ
ーズドライ製法で開発したもので、製造する際に使う納豆菌は
通常の納豆菌に対し、糸が引きにくくにおいも抑える特性を持
つ。これによって、せんべいの風味を損なわず、納豆の風味を
生かすようにした。
 秋田県での試験販売の結果、好評だったことから、全国の量
販店やコンビニエンスストア、一般小売店でも販売することに
した。価格は十一枚入り一袋で二百十円。初年度六百万袋の販
売を目指す。
 同社は八年前に業界では珍しい自社研究所を設置し、世界か
ら納豆菌を収集するとともに、独自に新しい納豆菌を開発して
きた。ここ数年、年に三、四種類のペースで新製品を発売して
きたが、研究所の成果を生かして製品開発ペースを早める。
 現在せんべいのほか、クッキーやふりかけなどでも同様に乾
燥納豆を生かした商品開発を進めており、市場に投入する。高
級大豆を使った納豆も販売する。
 

『旭松食品、9年3月期決算』
1997/05/21 日本食糧新聞
 
 【大阪】旭松食品(株)(大阪市淀川区、06・306・4
121)は平成9年3月期決算を発表した。納豆部門の関東地
区における大幅な伸びに支えられ、増収となったものの、同部
門の急激な売上げ増に伴う諸費用増と原材料高で減益となっ
た。カッコ内は対前期増減率。
 ▽営業収益一七二億六三〇〇万円(一五・五%増)▽営業利
益五億四四〇〇万円(二二・五%減)▽経常利益五億五二〇〇
万円(二四・七%減)▽当期利益一億六七〇〇万円(四九・
六%減)▽一株当たり当期利益一七円八二銭(一七円四九銭
減)▽一株当たり年間配当金一〇円(同じ)
 〈部門別売上高〉▽凍豆腐五五億二八〇〇万円(三・五%
増)▽加工食品五七億六六〇〇万円(二・八%増)▽納豆五五
億二三〇〇万円(五六・六%増)▽その他四億四四〇〇万円
(五・八%減)
 平成10年3月期業績予想は次の通り。
 ▽営業収益一九三億円(一一・八%増)▽経常利益七億二〇
〇〇万円(三〇・四%増)▽当期利益三億二〇〇〇万円(九
一・六%増)と予想。早急に納豆の供給体制の整備、拡充を図
り、関東戦略をさらに推進するとともに、前期よりスタートし
た「第五次中期経営計画」を押し進めていく方針。
 

『納豆の効用――二重の血栓防止作用(働き盛りの栄養学)』
1997/05/19 日本経済新聞 夕刊
 
 心臓弁膜症で人工弁をつけた人、心臓バイパス手術をした人
などに投与される「ワーファリン」という薬がある。ビタミン
Kの働きを抑えて、血栓ができるのを防ぐ薬だ。気安く使える
薬ではなく、納豆が禁止食品になる。消化管中で、納豆菌は多量
のKを作ってせっかくのワーファリン効果を帳消しにするからだ。
 ワーファリンの世話になっていない人にも納豆悪玉論が耳に
入りやすい。Kは血液凝固因子である、納豆にはKが多い、ゆ
えに納豆は血栓症を引き起こす、という短絡思考である。「大
好きだった納豆」をあきらめて我慢している人も結構いる。
 が、事態はそれほど単純ではない。血液凝固は十三因子の共
同で複雑に制御されている。Kもその一つの因子。Kが多い、
というだけで血液が簡単に固まるわけではない。あくまでもワ
ーファリンという薬が納豆と両立しない、という話なのだ。
 納豆には納豆キナーゼという成分があり、これには血栓を溶
かす働きがあるというから話がこんがらがってくる。血栓症予
防にはむしろ納豆を食べた方がよいのか、となる。納豆キナー
ゼは、納豆菌の発酵作用でできる一種の酵素である。
 一方、人間の体自身もウロキナーゼという血栓溶解酵素を持
っている。納豆キナーゼがウロキナーゼを活性化することもわ
かった。とすれば納豆キナーゼには二重の血栓防止作用がある
ことになる。
 つい最近、納豆から別の新しいウロキナーゼ活性化物質が見
つかった。その機能は人間でも証明された。こうなると、納豆
こそ血栓症の特効食品に見えてくる。皮肉にも調べた数百種類
の食品で血栓溶解物質を含むのは納豆と塩辛(酒盗)だけだっ
た。納豆のような伝統食品には通り一遍の解釈は通用しない。
(女子栄養大学教授 五明 紀春)
 

『旭松食品、万世工業から埼玉工場を取得。氷温熟成納豆を増産』
1997/05/19 日刊工業新聞
 
【北大阪】旭松食品は十五日、万世工業(埼玉県川口市栄町3
の11の17、今井伊八社長)から埼玉工場用の土地と建物を
取得した。取得額は十五億二千六百六十万円。取得したのは埼
玉県比企郡吉見町の約二万千平方メートルの土地と延べ床面積
約四千平方メートルの建物。
氷温熟成納豆の関東市場向けの需要急増に対応するためで、十
月下旬から一日約五十万食を生産する。設備投資額は約二十億円。
 

『納豆業界、活気づく。健康食品、抗菌性効果で消費加速』
1997/05/19 日刊工業新聞
 
【熊本】健康食品ブームに乗って納豆業界が活気づいている。
九六年夏の病原性大腸菌O157による食中毒騒ぎが、納豆の
消費をさらに加速させた。納豆菌には大腸菌を抑制する効果が
あると、テレビなどで報道されたからだ。九州の納豆メーカー
は、九六年度の売り上げが前年度に比べ約二〇%の伸び。
ブームに乗り遅れまいと工場増設、新製品発売などに意欲的に
取り組んでいる。九州のトップメーカー、マルキン食品(熊本
市)は、九六年度の納豆売り上げが前年度に比べ約二〇%増。
「テレビ報道などによって五年に一回ピークが来る。今後に過
大な期待は禁物」(吉良元雄社長)と冷静だが、工場は休日な
しのフル稼働。
納豆発祥の地の一つといわれる熊本、大消費地の福岡を中心に
関西まで商品を供給する。二番手の丸美屋(熊本市)は、八億
円を投資して南関工場(熊本県南関町)を増設、六月から操業
を開始する。九六年度の売り上げの伸びは約二〇%だが、「九
七年度も同様の伸び率が目標」(東健常務)という。とくに福
岡での需要拡大が狙い。
全国大手のタカノフーズ(茨城県小川町)も、佐賀県千代田町
に工場進出し、九六年十二月から操業を開始した。全国の年間
納豆消費金額は約千五百億円と推定される。九州はその約一〇%。
総務庁統計局が全国約八千世帯を対象に行う家計調査報告によ
ると、一世帯当たりの平均納豆消費金額は、年間で九五年が三
千百三十二円、九六年は三千四百二十一円。九六年に大きく伸
びた理由は、古くから認められていた納豆の抗菌効果が脚光を
浴びたためだ。
倉敷芸術科学大の須見洋行教授は、日常食べている一パックの
納豆から、理論的に抗菌性が期待できることを実験で証明し
た。さらに、骨粗しょう症の予防に役立つといわれるビタミン
K2が含まれていることも納豆が注目されている一因だ。
こうした薬効に目を付け、くき食品(福岡県若宮町)は一般の
商品以外に抗菌納豆など八品種の差別化商品を発売した。納豆
は圧倒的に関東地区の消費が多い。しかや(鹿児島市)は、業
務用納豆で関東進出を目指す。すしに使う従来のひき割り納豆
は原料の大豆を割ったもの。同社は発酵、熟成させた後、刻ん
だ商品を開発した。
さらに刻み納豆にチリメンジャコを混ぜた商品を七月に市販予
定。「東京では鹿児島に納豆があったのか、と冷やかされる
が、こだわり商品で関東市場に食い込みたい」(宮之原正治社
長)と意欲的だ。
 

『使ってみたい飲食材仕入れガイド いか納豆=日東食品』
1997/05/19 日食外食レストラン新聞
 
<特徴>完熟発酵の小粒納豆とひきわり納豆に最高級のイカ
をバランスよくミックスして冷凍。イカと納豆の絶妙なうまみ
は、アイデアしだいでバラエティーに富んだオリジナルメニュ
ーができる。
<荷姿>三〇〇g×二四本
◆日東食品(株) 電話048・728・2111
 

『原研、放射性核物質の捕集菌を発見。』
1997/05/17 日刊工業新聞
 
日本原子力研究所は十六日、ウランやプルトニウムを効率よく
回収する捕集菌を発見したと発表した。微生物で使用済み核燃
料から放射性核物質の回収など、バイオ再処理技術の開発を可
能にするという。坂口孝司東和大学教授らが豪州北部のウラン
鉱床から採取した三百種の微生物の中から見つけた。
この微生物は納豆菌などと同種の「バチルス」で、大きさは
〇・七ミクロン程度。性能をチェックした結果、菌体一g当た
り最高六百十五ミリg(〇・六一五g)のウランを回収した。
この能力は従来、三百五十ミリg程度であったウラン捕集菌の
能力を凌駕(りょうが)するもので、市販の高性能キレート樹
脂の約二倍の能力を持つ。
坂口教授は捕集時間も三分程度でキレート樹脂よりも特性がよ
かったとしている。ウランの捕集能力は菌が死んでいても高い。
このウラン回収能力をプルトニウム溶液で試した結果、PHが
一・五の酸性域で濃度十ppmのプルトニウム(四価)を菌体
一g当たり三百ミリg程度捕集する機能も併せ持つことが明ら
かとなり、酸性の濃度を変えると捕集機能がウランからプルト
ニウムに変わり、ウランとプルトニウムを分離して回収するこ
ともできる。
同研究所ではこの研究成果をもとに、さらに研究を発展させ、
薬品を多種類使うピューレックス法という核燃料再処理法に代
わるバイオ再処理技術、プラントの開発を目指す。また、既存
の再処理工場で発生するウランやプルトニウムが混じった廃液
処理に活用することも検討する。
 

『関東向け納豆増産へ、旭松食品、埼玉に工場。』
1997/05/16 日本経済新聞 地方経済面
 
 飯田市に本店を置く旭松食品は埼玉県内に工場用地・建物を
取得、十月下旬から関東地方向け納豆の増産体制に入る。関東
限定で販売している氷温熟成納豆「完熟超小粒」の販売が急拡
大したため、生産能力を増強する。埼玉工場で一日当たり約五
十万食を生産する計画で、納豆の売り上げを九七年三月期の五
十五億円から九八年三月期は六十九億円にまで高める。
 関越自動車道の東松山インターチェンジ(IC)から約六キ
ロの距離にある吉見長谷工業団地(埼玉県吉見町)に約二万平
方メートルの敷地と延べ床面積約四千平方メートルの建物を取
得した。取得額は十五億二千六百万円。
 六月から約二十億円をかけて改装工事と設備投資を行い、十
月下旬の稼働を目指す。
 

『決算から――旭松食品、前期売上高15%増。』
1997/05/16 日本経済新聞 地方経済面
 
 旭松食品 九七年三月期の売上高は百七十二億六千三百万円
で前期比一五・五%増加した。関東地方向けの納豆の販売が伸
びたことが主因。一方、納豆部門の生産能力増強のための費用
が増えたことで経常利益は二四・七%減の五億五千二百万円、
当期利益も四九・六%減の一億六千七百万円となった。
 九八年三月期は売上高百九十三億円、経常利益七億二千万円
を見込む。
 
 

『さあ出番/朝日食品社長・野田和男氏「意識改革で成長を」』
1997/05/13 日刊工業新聞
 
社長就任早々から社員に対し意識改革を訴え続けている。資金
繰り悪化に苦しむ納豆メーカー、朝日食品を建て直すため、ミ
ツカンブランドの中埜酢店から派遣された。三月二十四日付で
就任した。
「これまで会社を良くしようという意識が少し希薄だったが、
今後会社をどう発展させるのか、社員一人ひとりが前向きに考
えなければならない。そうすれば会社も成長する」。それでも
理解度は「まだまだ。創業以来、百九十三年間は改革への挑戦
の連続だった中埜酢店のやり方と同質化してほしい」と続ける。
納豆業界は健康ブームで市場は拡大している一方で、シェア争
いはほぼ固定化している。現在一〇%弱の朝日食品は業界二
位。「市場が成長した分、売上高も伸びただけ。つまり、市場
まかせで何らかの販売政策を打ち出してこなかった」と手厳し
い。意識改革と並んで営業マンの増員を図る。
納豆を柱に手薄な量販店へ攻勢をかけるのが狙いだ。中期経営
計画は八月ごろに打ち出す方針だが、「再建屋」として送り込
まれただけに、どのような再建策を描くのか注目が集まる。*
「朝日食品社長・野田和男氏」『略歴』79年(昭54)神戸
大農卒、同年中埜酢店入社。
91年マーケティング本部開発部課長、96年同本部チルド食
品プロジェクトリーダー。大阪府出身、40歳。(茨城県牛堀
町上戸180の2)
 

『知って得する情報 納豆の栄養を手軽に「納豆錠」内藤商店が発売』
1997/05/10 百歳元気新聞
 
 納豆は、独特のにおいと粘りで苦手な人も多い。しかし、便
秘を解消したり、ビタミンKが豊富で骨粗鬆(しょう)症予防
にも効果があり、抗菌作用も高い。
 あのにおいと粘りの中には、納豆菌が作り出したナットウキ
ナーゼが多く含まれている。心筋梗塞や脳卒中の原因、血栓を
溶かす酵素で、血液をサラサラにする役割があるとのこと。血
栓は夜の就寝時にできやすいというので、夜に納豆を食べるの
が望ましいわけだが、いくら納豆好きでも毎夜、納豆を食べる
のでは飽きてしまう。
 納豆の栄養素を毎日簡単に摂取できないだろうかと考え、化
学工業薬品・製菓薬品の内藤商店(名古屋市中区丸の内、電話
052・962・5551)が長年の研究の末「納豆錠」を開
発、この春から発売を開始した。
 「納豆錠」は、納豆分が六○%にオリゴ糖が配合してあり、
一錠で約三○○mg、一二錠で市販の生納豆三○gパックの栄
養が摂取できる。納豆の粉末を錠剤にしたので、副作用の心配
は一切なく、ごくんと飲んでしまえば、いやなにおいも粘りも
感じない。納豆嫌いの人や、納豆の食べられなかった日に、ぜ
ひ飲んでみていただきたい。
 

『遺伝子組み換え大豆、納豆業者「使わず」』
1997/05/07 日本農業新聞
 
 遺伝子組み換え農産物に対する食品メーカーの対応が注目さ
れているが、大手納豆メーカーは、輸入品についても契約栽培
を進め、「遺伝子組み換え大豆を使う必要がない」とするとこ
ろが多い。米国の遺伝子組み換え大豆は主に搾油用。納豆用の
大豆は、極小品種が中心のため、流通面などでも区別化ができ
ると判断している。
 納豆原料の主流は、極小大豆だ。豆が裂けていないこと、し
ょ糖の含有量が適していることなど、納豆向けの品質が求めら
れるため。そのため、メーカーは、納豆に適した極小大豆を、
米国や中国、カナダなどで、契約栽培し輸入している。ほとん
どが米国産だ。
 あづま食品(本社=栃木県河内町)は「納豆に適した大豆
と、今回遺伝子を組み換えた大豆は品種が違う。アイオワ、オ
ハイオ、ミシガンで作られるIOMといわれる搾油用の大豆で
は良い納豆はできない。遺伝子組み換え大豆を含め、搾油用の
大豆は使わない」と説明する。同社は、納豆を食べない米国の
農家にリベートを支払い、契約栽培をしている。
 原料の九九%にあたる二万トンを米国産とカナダ産で賄って
いる朝日食品梶i茨城県牛堀町)でも、「小粒は納豆用の品種
を契約栽」と、遺伝子組み換え大豆を使用する可能性はないと
強調する。
 納豆の主流が小粒の中、同社は大粒大豆も使用するが、「こ
の分は北海道産。IOMの搾油用大豆ではいいものはできな
い」と話している。 
 大手のタカノフーズ(東京都台東区)も「契約栽培してお
り、遺伝子組み換えのものは使わない」と、同様の見解だ。
 水戸納豆製造梶i水戸市)は、「極小大豆は米国、中国から
輸入している。大粒大豆を使用した納豆は作っていない」と、
極小専門だ。
 また、表示問題で各メーカーでは、義務化されるかどうかな
ど行政レベルの動きなどを見ながら、今後、判断していくとし
ている。
 大手五社で市場占有率(シェア)は、ほぼ五割になる。
 

『朝日食品、中埜酢店から営業員受け入れ』
1997/05/05 日刊工業新聞
 
【水戸】納豆メーカー、朝日食品(茨城県牛堀町上戸180の
2、野田和男社長、0299・64・2711)は、営業体制
を強化する。
資本参加など経営支援を受けている中埜酢店(愛知県半田市中
村町2の6、中埜又左エ門社長、0569・21・3331)
から、若手の営業担当者三十人近く受け入れ、六十五人体制で
販路拡大を目指す。朝日食品は過剰投資で資金繰りが悪化した
ため、経費削減に努めてきた。その一環で営業担当者も減らし
てきた。
しかし、経営支援をする中埜酢店は、市場シェアアップを図る
ため、手薄な営業体制を強化する必要があると判断、増員に踏
み切った。とくに大量販売が見込める量販店を中心に販売攻勢
をかける。
これまで量販店向けの売上高は総売上高の四五%にとどまり、
同業他社に比べ低く、「将来は七〇%まで引き上げる」(野田
社長)方針だ。営業品目は納豆のほか、中埜酢店が手がけてい
た、もずく、めかぶ類やコメ関連のチルド食品も売り込む。
朝日食品は年商に匹敵する規模の設備投資を実施したが、売り
上げの伸び悩みで資金繰りが悪化。一月下旬以降、中埜酢店か
ら社長派遣などで経営支援を受けている。
 

『くめ・クオリティ・プロダクツ、経営本部東京にシフト』
1997/05/03 日本経済新聞 地方経済面
 
 大手納豆メーカーのくめ・クオリティ・プロダクツ(茨城県
金砂郷町、石塚昇一郎社長)は製品開発部門を強化する。経営
本部の機能の半分を東京に移しマーケティング能力を高めるほ
か、同本部と研究室の定期的な合同会議を開いて商品開発のス
ピードを速める。納豆業界の競争が激化する中で、より消費者
のニーズに合った商品の供給を目指す。
 このほど東京・銀座に新しいオフィスを設け、金砂郷町の本
社と商品開発の機能を分担した。東京には経営本部の半数にあ
たる四人が移り、主力の納豆や今後力を入れる総菜や健康食品
関連の商品開発を手掛ける。全国販売を念頭に、より消費者に
近い立場からマーケティングを基礎とする開発を行い、東京の
販売や宣伝広告部門と組んで売り込んでいく。
 一方、本社は茨城県内を主な対象とする納豆周辺商品の開発
を担当する。県内で同社の納豆に対する評価が定着したと見
て、スナック菓子など納豆菌と大豆を使った県内向け新商品に
特に取り組む。同社は過去にパン乗せ納豆を発売したことがある。
 また今春から、製造技術面に携わる「研究室」(同町)と経
営本部との間で月二回程度の定期会合を始めた。外部の経営専
門家も招いており、消費者のニーズと技術の連携をさらに強める。
 今後、国産大豆の使用など消費者の人気の高い商品を中心に
開発を進める考え。
 納豆業界では今年、中埜酢店(ミツカン)が大手メーカーの
朝日食品(茨城県牛堀町)の経営権を完全に握るなど、各社の
販売・開発競争が一段と激化すると予想されている。
 

『[のら屋の体においしい…]納豆ギョーザ/広島』
1997/05/01 毎日新聞 地方版
 
 今は何でも簡単に手に入る時代で、ギョーザもギョーザ皮と
して市販されていて、とても便利になりました。だけど、手作
りの皮はとてもおいしい。粉のうまさがストレートに伝わって
くる。大きかったり小さかったり、少しばかりゆがんでいたり
しても、それが手作りの良さ。事実、私の母は、面倒臭かった
のか、やたらに大きいギョーザを作って焼いて食べさせてくれ
ていました。3個ほど食べたら、おなかいっぱいになってしま
う、ギョーザステーキでした。
それはそれでとても懐かしく、楽しい思い出です。
 【ギョーザの皮】直径8センチ、40個分として、強力粉2
25グラム、薄力粉75グラム(3対1)、熱湯3/4カッ
プ、油(ラード、ゴマ油など)小さじ1、打ち粉少々。(1)
熱湯に油を混ぜる(2)粉をふるってボールに入れ、(1)を
加え、はしで混ぜて手でよくこねる。まとまったら30分ほど
冷蔵庫で寝かせる(3)台の上に粉をふり、寝かせておいた生
地を手で、直径3センチくらいの棒状にする。包丁で40個に
切る。1個ずつを手のひらで軽く押して円形にし、さらに、め
ん棒で押し広げていく。
 【納豆ギョーザ】(1)納豆は包丁でたたくように
刻み、ネギ、ゴマ油少しを混ぜる(2)出来た皮で包んでい
く。市販の皮は、ふちに水をつけながら中身を詰めていくけれ
ど、手作りの皮はギュッと指先で押すだけでくっつき、ひだも
寄せやすい(3)今回は油で揚げて、揚げギョーザに。香ばし
くなり、少々納豆嫌いの人でも「これなら食べられる」とのこ
と。そのままでもいいし、酢しょうゆ、ラー油でもどーぞ。
(のら屋082・295・6465=スタッフ、原清子さん)
 

『3社の立地計画承認、埼玉県、旭松食品納豆工場など。』
1997/04/26 日本経済新聞 地方経済面
 
 埼玉県は二十五日、産業立地推進会議幹事会を開き吉見長谷
工業団地(吉見町)の旭松食品など県内工業団地に三社の立地
計画を承認した。新規立地が懸案となっている騎西藤の台工業
団地(騎西町)、秩父みどりが丘工業団地(秩父市)にも一社
ずつが決まった。
 旭松食品は納豆の加工工場として使用。騎西に決まった建築
資材製造業の日本化成(東京・新宿、裏地康宏社長)は建築用
のモルタルや接着剤を製造する。秩父に決まった粘着テープ製
造の共同技研化学(所沢市、浜野尚吉社長)は業務用テープの
製造工場とする。
 旭松は夏までに、日本化成、共同技研はそれぞれ十二月まで
に引き渡す。これで騎西は残り二十区画、秩父は十七区画となった。
 

『カテゴリーランキング伸びる市場縮む市場』
1997/04/26 日経流通新聞
 
 日本の伝統食、納豆の市場が着実に成長している。業界全体
での地道なPR活動が実を結び、すぐれた健康食品としての評
価が消費者にいっそう浸透しているためだ。納豆メーカー各社
は拡大する市場のパイを獲得するため、素材や製法へのこだわ
りや容器のきめ細かい工夫で商品力を高めようとしている。
 納豆は粒納豆とひきわり納豆に大きく分類されるが、市場の
九割を占めているのが粒納豆。その粒納豆の九七年一―三月の
来店客千人当たり販売金額は一万二千百十八円で、前年同期比
一四・一%増となっている。
 健康に良い食品としてのイメージが全国的に浸透し、需要の
底上げに結びついたようだ。全国納豆協同組合連合会では、骨
粗しょう症予防や血栓を溶かす効果があるなど健康への効用
を、小冊子の作製などでアピールした。この活動が功を奏し
て、テレビを中心に納豆が取り上げられる機会が増加した。
 メーカー別では、首位のタカノフーズ(茨城県小川町、高野
英一社長)が安定して約三割のシェアを確保している。三月の
シェアは三一・七%で、二位に一七・八ポイントの差をつけて
いる。主力商品「おかめ納豆」は、トレー容器の「極小粒ミニ
3」とカップ容器の「極小粒カップ3」合計で一八・五%のシ
ェアを占める納豆売り場の定番的存在。
 納豆人気が高まっている時期を好機ととらえて、二位以下の
メーカーは新製品の投入で追い上げを図っている。シェア二位
のあづま食品(栃木県河内町、黒崎信也社長)は、有機栽培大
豆の納豆づくりの先駆け的存在。今年五月に発売する「健康ス
タジアム」では、有機農作物の国際認定機関OCIA(有機農
作物改良協会、本部米国ネブラスカ州)の認定を受けた。原料
の大豆と水にこだわり、健康志向の消費者のニーズにこたえる。
 旭松食品が昨年三月、関東地区限定で発売した「納豆いち 
完熟超小粒3段」は、おいしさが長持ちする密閉型の容器、ト
レーごとの賞味期限表示などの商品提案が大手量販店を中心に
高く評価されている。このため昨年十月から、段階的に販売地
域を近畿地区、東海地区に広げてきた。
 また、ひきわり納豆の市場も粒納豆と足並みをそろえて順調
に伸びている。手巻きずしやイカ納豆など、料理の材料として
使いやすい点が受けている。
日経商品マスターに基づき、各カテゴリー(小分類単位)の成
長率を算出した。対象期間は前月から過去三カ月間とし、来店
客千人当たり販売金額で前年同期と比較した。前年同期の来店
客千人当たり金額が食品は二百円以上、家庭用品は百円以上を
基準とし、小規模なカテゴリーは削除した。対象店舗は連続比
較が可能な三十四チェーン百十八店舗(家庭用品は百十六店舗)。
 調査カテゴリーは、「新製品売れ行き週間ランキング」の対
象から、食品は水産加工品、洋・和生菓子、ベビーフード、栄
養補助食品を、家庭用品は基礎・頭髪化粧品をそれぞれ外した。
 

『1等大粒で納豆新発売、石川・JA松任、地元の転作大豆100%』
1997/04/16 日本農業新聞
 
 【石川・白山】JA松任は、今春営業を始めた食品加工団地
(松任市宮永町)の金城納豆食品と連携、転作大豆「エンレ
イ」一等大粒大豆を使った「あさがお娘」を開発。酒のつまみ
にも最適な、まろやかさ抜群の新商品を今月末から発売する。
 販売に先立ちこのほど、同JAで新商品の発表会が行われ、
倉田正夫同JA副組合長が「地元産一〇〇%活用の納豆はJA
オリジナル“あさがお娘”。名称もマークも信頼できる金城納
豆さんに作ってもらった」と説明。同社の和田重國社長も「松
任市は納豆菌繁殖の水と空気が最適地。エンレイの特性を最大
限活用した」と自信満々。
 商品は従来の外国産大豆に比べ色、粘り、歯ざわり抜群。価
格も一パック(五十グラム入り二個)二百三十円と割高だが
「栄養価満点、悪い大腸菌の繁殖防止に大きな効果がある」
と、同JAは太鼓判を押す。
 

『内藤商店、「納豆錠」開発 糸引き納豆嫌いな人でもOK』
1997/04/14 日本食糧新聞
 
 【名古屋】健康食品・食品添加物・工業薬品など販売の内藤
商店(名古屋市中区、052・962・5551)では、糸引
き納豆から作ったダイエット食品「納豆錠」を開発、4月中旬
から発売する。
 昔から糸引き納豆を摂取すると便秘を解消する働きの他、抗
菌作用が高く、ナットキナーゼの働きで血栓を溶かして、血液
をサラサラにすることもわかっていたという。血栓は体中に移
動して悪さをし、脳で起これば脳梗塞になるという。この血栓
をできにくくすれば、梗塞の予防になるわけであるが、とくに
血栓は夜、就寝時にでき易いといわれるので、夜、納豆を食べ
ることが望ましい。しかし、夜、納豆を食べ続けるのは容易で
はない。そこで納豆を全国で初めて錠剤にし、同社内藤社長が
自分での人体実験を行ってようやく出来上がったもので、血栓
や梗塞が気になる方にお薦めという。
 この錠剤は特殊技術により納豆菌を損ねることなく粉体化
し、オリゴ糖を加えて錠剤にしたもの。副作用もなく、納豆嫌
いの方や夜食べにくい方、また粘りも匂いもない錠剤だから安
心して飲むことができる。
 納豆錠は一箱三六〇錠入り、希望価格四五〇〇円。
 

『納豆特集 東日本地区メーカー動向』
1997/04/11 日本食糧新聞
 
 ▽タカノフーズ(株)(東京本社=東京都台東区、03・3
845・7020)=「おかめ」ブランドで業界のトップメー
カーとして、全国に生産拠点網を完成させつつある。九州工場
に続き、今秋東北工場が稼働の予定で積極的に展開する。
 現在、昨年比二〇%増のペースで進んでおり二二〇億円の売
上げ目標は達成できるもようである。
 総アイテム数約一七〇の内、主力の「ミニ3シリーズ」が引
続き好調さを維持しているのと、低温でじっくり熟成させた
「水戸一番」がキャンペーン効果もあり上乗せとなり、市場の
伸びを上回る動きをみせている。
 「水戸一番」を対象としたプレミアムキャンペーンは昨秋に
続き今春も、一万円が二〇〇〇名に、五〇〇〇円が三〇〇〇名
に当たる現金プレゼントで5月11日まで実施しており、手応
えは良いとしている。「魔法使いサリー」をキャラクターにし
たテレビスポットでも後押しをしている。
 納豆は特売比率が非常に高く、これを避けて通ることはでき
ないが、三段目以上の品揃え商品の強化が今後の課題である。
そのため関東エリアで「五穀(ミニ2)」を新発売した。極小
大豆に麦、粟、稗、黍を加えた納豆で健康志向に対応した。
 納豆以外ではカップ入りの煮豆シリーズを発売、新規分野に
参入したが今秋にはよりよい形にするため見直しを進めている。
 これまで仕入れ販売していた豆腐類も、この3月に茨城県に
豆腐工場を建設、国産大豆とにがりにこだわり自社生産を始めた。
 ▽朝日食品(株)(茨城県行方郡、0299・64・271
1)=「朝日印」ブランドで、PBを含み約四〇アイテムで展
開している。トレータイプ七、カップ三の比率であり、まだト
レータイプのシェアが高いが、カップタイプが最近また伸び始
めたとしている。
 主力製品はトレーの「水戸こつぶ4Pたれ付」「有機栽培無
農薬大豆3P」、カップの「水戸のモーニングさん3」である
が、この商品群をより強固なものにしていく方針である。
 現在、昨年比一一%増のペースできており、8年8月期の九
三億円から、9年8月期売上げは九八億円、うまくいけば一〇
〇億円台に乗る勢いである。
 また全国展開しており、効率面からやたらにアイテム数を増
やすことはせず、契約栽培で大豆を入手しているが、ビタミン
Eの含有量が通常の大豆より多いのが同社の納豆の特徴で、こ
れを差別化の大きなポイントとし、主力製品に注力する。「有
機栽培無農薬大豆3P」の伸びが顕著であるが、たれを工夫
し、納豆臭の少ない「さらりと納豆」(トレー3P、売価一六
八円)を発売、新規層の開拓に努める。また、(株)中埜酢店
が資本参加、新しい展開も期待できる。
 ▽あずま食品(株)(栃木県河内郡、0286・72・21
11)=お客の声を大切にし、味と品質、原料にこだわり続け
る納豆専業メーカーである。
 有機無農薬大豆使用の納豆にもいち早く取組み、アメリカの
権威ある有機の認定団体、OCIA(有機農産物改良協会)の
マークも取得している。これは原料から流通、製造まで厳しく
チェックされ、納豆業界では現在、三社程度が取得している。
原料の確保には非常に注力しており、国産大豆も納豆向けで一
番良いとされる茨城県産、北海道産などと契約栽培をしている。
 主力は茨城県産の大豆を使用した「舌鼓」(カップ、トレ
ー)、ミネソタ州リビングファームの有機栽培大豆を使用した
「有機栽培無農薬小粒納豆」(同)、「極小一番」等の他、業
務用も力を入れており、業界としてフォローの風もあり順調に
売上げは伸びているとしている。
 今春納豆菌を生かした健康スナック「ドライ納豆」(からし
味、塩味、カレー味)を新発売。有機、国産が伸びて、8年5
月期八六億円、今年5月期には一〇〇億円台に乗る予定である。
 生産面では三重工場も稼働し、栃木工場に加え、各地に協力
工場を持っており、営業面でも販売本部を東京に置くなどトッ
プを積極的に追っていく。
 ▽くめ・クオリティ・プロダクツ(株)(茨城県久慈郡、0
294・76・3333)=高品質な商品をお客に届けるを基
本姿勢に納豆を造り、現在NB二〇アイテム、PBを併せ約五
〇アイテムで展開している。
 主力製品は納豆本来の味を追求した「味道楽ミニ2」、カッ
プの「プチ納豆4カップ」であるが、茨城県産の「納豆小粒」
を使用した「丹精」シリーズ、原料大豆、たれの醤油、からし
種と有機栽培に原料にこだわった「有機・無農薬なっとう」シ
リーズが高い評価を得て伸びている。
 業務用は学校給食向けがメーンでこれからの分野である。た
だ「プチ納豆業務用」(一〇〇食入り)は学校給食の他、病院
給食、ホテル、旅館にも浸透してきている。
 8年6月期は八〇億円(前年比九〜一〇%増)で、今期は目
標八六億円はクリアできるとしている。北海道から沖縄まで全
国展開しているが、特に関西地区が四〇〜五〇%増と伸びが顕
著である。
 春の新製品は地域対応で一部発売しているが、「有機・無農
薬なっとう」シリーズを対象にメロン、コメなどが抽選で総計
一五〇〇名に当たる「くめ納豆健康キャンペーン」を5月31
日まで実施しており、高級品メーカーとしての認知度アップに
努めている。その他、メニュー提案にも力を入れ、春夏秋冬そ
れぞれリーフレットも用意している。
 現在、茨城県に新工場を建設しており、5月稼働予定となっ
ているが、高級品、こだわり商品を中心に生産する予定である。
 ▽(株)ヤマダフーズ(秋田県仙北郡、0182・37・2
246)=昨年6月、近代的な茨城工場を竣工、首都圏攻略の
態勢を整えた。日産六〇万個(五〇g換算)の能力を持ち、こ
れまで秋田県から首都圏への輸送というハンディキャップも解
消された。
 「おはよう納豆」のブランドで家庭用から業務用まで幅広く
展開している。そして納豆、納豆菌の持つ機能性は「納豆は地
球を救う」をテーマに研究体制にも力を入れ、また納豆菌の開
発、自社生産に努め、現在開発した菌は一〇〇を超える。
 この自社開発の菌を用いた納豆を数多く上市しているが、注
目されるものに、納豆キナーゼは血栓の溶解作用を持つが、こ
れが通常の約五倍の菌を使用した「今晩どうぞミニ3」、糸引
き、臭いを抑えた「サラダ専用納豆ミニ2」は新しいファン層
を開拓している。納豆菌の自社生産が大きな差別化のポイント
となっている。
 製品面ではひきわり納豆ではトップメーカーであるが、原料
にもこだわり、OCIAの認定も取り、そのアメリカでの契約
栽培大豆を原料にした新製品「有機畑のおくりもの」を近々新
発売する。現在デザインなど最後のチェックを受けており、4
月下旬には登場する。たれもこだわり、健康性の高いごまとの
組合わせである。また、秋田新幹線の開通を記念し、あきたこ
まち一〇キログラムが三〇〇名に当たるキャンペーンを6月2
8日まで実施している。売上げも今期は四〇億円を超えそうで
ある。
 ▽こいしや食品(株)(栃木県塩谷郡、0286・82・2
220)=納豆菌に一番やさしい環境をつくるかを大きなテー
マに取組んでいる。ガラス繊維ではなく、大谷石室で、長期低
温熟成した納豆をメーンにしている。納豆の売上げは現在七億
円で、豆腐を加えトータルで約二七億円の売上げ規模の小さな
メーカーであるが、納豆は昨年比一六%増と好調である。有機
原料の「自然農法納豆」をカップなど五アイテム発売している
が、付加価値商材として順調に伸びている。
 今春、自然のやさしさが生きている納豆として、納豆、めか
ぶ、なめ茸を組合わせた「大自然の恵み」(売価二〇〇円)二
品を新発売した。山の恵みなめ茸は長野県産を、海の恵みめか
ぶは三陸海岸産と原料にこだわり、納豆のおいしさに栄養をプ
ラスした。
 納豆については、大谷石造りの発酵室生まれを差別化のポイ
ントに隙間を狙っていくが、豆腐については来年秋を目途に新
工場の建設を進めている。土地は確保し地元への説明、了解を
得る段階で、木綿、充填豆腐、油揚げなどを生産する。投資額
は二六億円で日産一九〇俵の大豆をつぶし、木綿七万五〇〇〇
丁、充填五万丁、油揚げ五万丁の規模でスタートする。豆腐に
ついては徹底的にコスト競争力を付けていく方針である。
 

『納豆特集 中部地区=地元も健闘、需要は絶好調』
1997/04/11 日本食糧新聞
 
 【名古屋】中部の納豆業界が地殻変動を起こして既に久し
い。大型装置産業化した関東勢の大手二、三社がナショナルブ
ランド化して全国に進出。それまで家内工業的ながら、地元に
密着して商いを保っていた中小筋が、片隅に追いやられるとい
う地殻変動から一〇年は経つ。その流れの中で、一気に大型化
を目指した一部筋は、需給のアンバランスから経営危機を招
き、市場から姿を消していった。ここ三、四年は表面的には比
較的平穏だが、シェア争いは激烈で予断はまったく許さない状
況にある。
 具体的に中部の現状をみると、中部には「東海納豆組合」が
あり、中小十数社が傘下に所属してシェアの維持に努めてい
る。その中で、リードするのは丸愛納豆、小杉食品などで、地
元の意地にかけて関東勢・NBへ勝負を挑む。また、小森食
品、政岡食品などもそれぞれの地区でシェアを死守している。
 流通の話を総合すると、中部への移入ブランドは、タカノフ
ーズ、あずま食品、朝日食品、旭松食品、くめなどで、力のあ
る大手はすべて出揃っている。これらのシェア争いも、つい四
〜五年前までは朝日食品、あずま食品が主導していたが、ここ
へきて業界トップのタカノフーズが中部でも急速に力をつけ、
これに旭松、くめなどもからんで、上位三、四社は横一線の状
態で、今後のシェア争いはまったく流動的。この中から、はっ
きり抜け出るメーカーが出るかどうか、大いに注目されるとこ
ろだ。
 そうした競争激化の中で、需要はこのところ好調そのものの
ようだ。昨年の猛牛病やO157問題も業界にとってフォロー
になったとみられ、加えて納豆のヘルシー性やテレビ等マスコ
ミで種々取り上げられることもあって、大は大なり、小は小な
りにそれぞれが需要は絶好調という。また、それを裏書きする
ように、スーパーのチルド売場では納豆が一方の主役になって
おり、好回転している。アイテムの主流はカップで極小粒、超
小粒タイプ。さらに“オーガニック食品”ニーズに対応した
「有機栽培」商品の引きが中部でもよい。この納豆の“絶好
調”ぶりが、この先いつまで続くかだが、ヘルシー食品である
だけに、今後とも手堅い需要は引続き期待できそうだ。
 

『◆納豆特集 末端史上1700億円到達か、NB目指しシェア争い激化』
1997/04/11 日本食糧新聞
 
 納豆の市場は順調に伸長している。九四年はコメ不足の影響
もありダウンしたが、九五年には回復、九五、九六年と二年続
けて二桁の伸びを示した。
 納豆の持つ健康性はこれまでも植物タンパクの豊かな機能性
食品として、あるいは血栓溶解作用を持つとされる酵素である
納豆キナーゼが納豆中に発見されるなど、プラス要素が非常に
多く食品界のスーパースターとして人気を高めている。
 昨年も二桁の伸びを示し、出荷ベースで一〇〇〇億円を超
え、末端市場規模で約一五〇〇億円に達したとみられるが、業
界には大きなフォローの風があった。昨年はO157の問題が
発生、納豆にその抗菌作用があるといわれたり、その関連でテ
レビ等マスコミに多く取上げられたこと、各社が積極的にキャ
ンペーンなどを実施したことも伸びた要因である。しかし、そ
れだけに各社特売に力を入れ、もともと特売比率の高い商品だ
けに価格は下がり、利益面ではそれほど伸びなかった。
 今年も今のところ順調なペースできているが、原料大豆が高
騰、コスト面での圧迫はある。価格改定も今の環境ではままな
らず、新製品等で価格転嫁するしかない状況である。
 納豆業界は大手メーカーを中心に全国展開しているが、NB
といわれるのは少ない。タカノフーズ(株)の「おかめ」ブラ
ンドが今のところ、それにあたるが、競合他社も生産面では工
場の新設、協力工場体制の確立、営業面でも本部を商売の中心
である東京に移転するなどし、追撃態勢を整えてきており、こ
れから本格的な競争が始まると思われる。
 まず最初に納豆の一世帯当たりの購入金額をみると、全国平
均で九六年は三四二一円で、前年の三一三二円に比べると九・
二%の増加である。納豆消費は九四年に減少したが、九五年に
回復し順調にきている。
 全国平均を上回るのは、北海道、東北、関東、北陸地区で、
昨年九州地区が初めて三〇〇〇円台に乗せた。
 しかし近畿、中国、四国など西日本地区は伸びてはいるが、
まだまだ低い。
 ある大手メーカーの調査によれば、納豆を食べるのは関東地
区は「好きだから、おいしいから」が大半で、関西地区は「健
康にいいから」と健康性重視の消費形態と完全に違う。小さい
頃からの食習慣の違いもあるが、関西向けには各社、納豆が嫌
われる要因と思われる、納豆の臭いを和らげたもの、糸を引か
ない納豆などを開発、市場に投入したことで食べる人が増え、
拡がりをみせ、これが伸びている原因の一つであり、今後まだ
伸びる要素は持っているといえる。
 今年の納豆業界であるが、昨年は業界全体に大きなフォロー
の風が吹き伸長したが、今年もまたO157の問題が発生して
きており、業界にはプラスとして作用すると思われる。
 その他のプラス要因としては、納豆の持つ機能性に対し消費
者の理解が進みつつあること、また今春もプレミアムキャンペ
ーンを有力各社が実施、納豆購入が促進されると思われる。
 一方、納豆は特売比率が五〇%を超え、購入の大半が特売時
という商品も多い。価格競争から脱皮できない状況が続くとみ
られる。
 原料コストは確実に上昇しており、この状態からの脱出が業
界の大きな課題である。
 スーパーなど量販店も一定の数字は特売で稼ぎ、利益面は高
付加価値商品でと考えているが、まだまだパイも小さく、下段
商品の動向次第といった域を脱しきれていない。
 納豆の開発は最初粒径の開発競争で、大粒から小粒、極小粒
へと動き、今はそれが主流となっている。その後、たれ付きの
登場で、今はたれの差別化競争もある。用途として、牛丼チェ
ーンで朝食の納豆定食の浸透、居酒屋等でのつまみとしての納
豆メニューの開発浸透もある。
 このような歴史の中で伸びてきて、今は原料大豆の差別化、
より機能性を付加した、例えばカルシウム添加などの商品が、
付加価値商品開発のポイントとなっている。
 戦略的には、メーカーの規模により異なる。上位メーカーは
ある程度下段を抑えており、三段目以上の利益商材の開発とそ
れのフェイス確保に、中堅は主力製品の確立、下位メーカーは
隙間を狙うなど商品開発もその方向が違うが、今年はもっと違
った意味での競争が本格化すると思われる。
 NBをかけた競争である。有力各社が本社工場に加え、販売
拠点、攻略拠点に工場を建設、これが昨年あたりまでに出揃
い、稼働が本格化すること。当然、新工場は相当高い生産能力
を持っており、稼働率向上という命題もあり必然的に競争は起
こる。
 また、営業面でもトップメーカーのシェアはまだ二〇%程度
であるが、ここで離されるか、差を縮めることができるかが今
後の展開を大きく左右するだけに、営業本部を首都圏に移すと
ころもあり、また関西地区を中心に新規参入メーカーもあり、
それの東上もあり競争は激化する。
 今年の市場規模は順調に伸び、末端で一七〇〇億円規模に達
するといわれているが、原料高騰から各社とも生産コストは上
昇しているにもかかわらず、シェア争いは活発化すると思われる。
 

『納豆特集 流通はこう見る 昭和加工食品部・前田勝宏課長』
1997/04/11 日本食糧新聞
 
 〇…納豆の昨年から今年にかけての動きは、一言でいって好
調そのものだ。他社もそうだと思うが、当社の伸びも過去最高
になっている。多分、昨年の狂牛病とか、O157などの問題
が逆にフォローになったのだと思う。
 当社の場合は、昨年4月ころから好調だった。そういう問題
が起きる前からだった。これは、テレビ等で取上げられたのが
大きかったのではないか。この4月上旬時点での伸びは二〇%
増以上で目標以上の伸びとなっている。
 冒頭のように、当社が納豆の取扱いをはじめて以来、最高の
伸びといえると思う。それも、一昨年、昨年のように、一部の
メーカーさんが伸びたばかりでなく、取扱っている全部のメー
カーさんが伸びている。本当によく売れているという感じだ。
一言で勢いがあるということだ。
 〇…問題は、この勢いがどこまで続くかだろう。勢い的には
とまるかも知れない。昨年から今年にかけてのように、今後と
も右肩上がりというのは難しいかも知れないが、ガタッとくる
ようなことはないだろう。納豆は何といっても健康志向に沿っ
た商品だ。中部の消費者の東西からの人事交流もあって、納豆
の消費量が上がってきていることはいえるのではないか。
 〇…ブランド別では、トップがあずま食品、二番手がタカノ
フーズ、三〜四番手はずっと一緒で、朝日食品と丸愛納豆とな
っている。いま納豆の販売は、やっていて非常に楽しい。今後
も積極的に対応したい。
 

『納豆特集 流通はこう見る 小杉食品・小杉力社長』
1997/04/11 日本食糧新聞
 
 ○…中部圏の納豆の特徴は、全体的にみて納豆特有の香りが
少なく豆そのものも白いものが主流を占めつつある。それでも
本来の納豆の香りが好きというユーザーも多く、メーカーとし
ては消費者ニーズをつかむには難しい時代がきていると感じて
いる。
 ここへきて、納豆のもつ健康性がマスコミ等でクローズアッ
プされ、当地域でも納豆の消費は一〜二割方伸びている。もと
もと納豆消費が極端に少ない地域だけに、納豆の健康性が消費
者に浸透して認識していただいていることは喜ばしい限りである。
 ただ問題は、認識していただくことが、実際の消費にどこま
で結びつくかであるが、やはり東日本の膨大な消費量と比較し
ても、中部圏は三分の一か四分の一程度という状況であるだけ
に、まだまだであるという感じをもっている。またテレビ放映
で納豆ブームの様相もみられたが、ブームが去れば消費も一段
落してしまうというジレンマも感じている。
 ○…納豆業界としては、常に納豆の健康性を消費者にPRし
続けていく必要があり、個々の企業レベルではできないPR活
動を業界全体として考えていかなくてはならないだろう。
 

『納豆特集 流通はこう見る 東海納豆組合・小森高行理事長』
1997/04/11 日本食糧新聞
 
 ○…最近の納豆の状況は、テレビ放映後かなり順調な荷動き
を示した。中部地区は元来納豆をあまり食しない土地柄であ
り、相当苦労して納豆の普及に努力してきたが、ここにきて消
費者は納豆の健康性を認識してきているという実感をもてるま
でになった。しかし、認識とたくさん食べるということとは、
かなりの開きがあり、現実面では消費量の多い関東地区と比べ
たら、三分の一程度というのが実態であろう。
 ○…それでも、テレビ放映後は当地区でも平均して一〇〜一
五%は伸びたといえそうだ。ただ、当納豆組合は中小業者も多
く「テレビの影響はない」といわれるところもあり、難しい面
が多いことは事実である。全体としては、業界全体の二極分化
が進んでいるわけで、価格競争是正を含めた、納豆業界の活性
化を目指すための業界全体のコンセンサスを作っていく必要が
あろう。
 ○…昨今はいろんな伝統的食品が、本質的にもっていた健康
性から、改めて脚光を浴びるケースが多くなってきている。納
豆はその最たるものである。
 それだけに、納豆の健康性をより広く普及していく努力を、
業界全体としてやらなくてはならない時期がきていると考えて
いる。
 

『納豆特集 関西地区=メニュー提案で拡大、味へのこだわり志向も』
1997/04/11 日本食糧新聞
 
 【大阪】関西地区の納豆市場は順調な拡大をみせている。昨
年のO157が追い風となり、コープこうべでは「昨年は前年
比約二〇%増」、マイカルでも「九六年9月〜九七年2月で前
年比二二・二%増の二億二四〇〇万円の売上げ」と大きく成長
した。
 これは「納豆は大腸菌に強い」というマスコミ報道や、その
後も「納豆の効用」について特集が多く組まれたことにより、
一般消費者の納豆に対する関心が高まったことがあげられる。
 関西では一般に納豆に対して「食べず嫌い」があるといわれ
てきた。が、旭松、フジッコなどの関西のメーカーを中心に、
製造方法や菌などを工夫し、関西人にも食べやすい納豆を開
発、同時にメニュー提案による需要の裾野を広げる努力が実っ
てきたことも要因。マイカルでは「試食販売をすると他商品に
比べ、よく食べられており、売上げも前年比三〇%増と高い」
と、消費者の納豆への関心も高い。
 栄養的に優れていて、伝統的なヘルシー食品である納豆だ
が、最近は「国産大豆」や「有機、無農薬栽培大豆」を使用し
たものに人気が集まっている。コープこうべでは、国産大豆を
使用したタイプが売れ筋商品の三位となった。
 一方、味に対するこだわり志向も強まっている。マイカルで
は、パイは小さいものの、「くめ端正」という商品が通常の三
連の納豆が売価一五〇円前後に対して、二三〇円と高価格にも
かかわらず、前年比三五%増と大きく伸長した。
 納豆のメーカーシェアは、マイカルでタカノフーズ二八・
一%、旭松二七%、朝日一四%、高橋一三%。関西スーパーで
は、あずま食品八七%、フジッコ一三%。コープこうべではP
B商品が充実していることから、PBが九九%と圧倒的に強い。
 売れ筋商品としては、コープこうべでのPB商品を除くと、
旭松のなっとういち三P(マイカル、三位、前年比三〇%増
)、同商品二P(マイカル、五位、同一〇%増)やフジッコ極
小粒五〇g×三(関西スーパー、二位、同三〇%増)などの健
闘が目立つ。
 これからの関西の納豆市場は、昨年のような大きな伸長はな
くても、裾野はさらに広がり、大きなマーケットとなるとみて
いる。
 「これからも売場でさらに健康面をアピールしながら、サラ
ダなどにも応用メニューを提案していきたい」(関西スーパ
ー)、「国産大豆フェアなどの催しの頻度を上げたい」(マイ
カル)など、積極的な姿勢がみられる。
 これからの注目される商品としては、しそ味のたれ付きタイ
プがあげられ、関西スーパー、コープこうべでは取扱いたい意
向をみせている。
 また、メーカーではドライ納豆、納豆ふりかけ、チョコ納豆
など、加工方法による関連商品の開発も進んでおり、スーパー
側でも「ふりかけを取扱いたい」(関西スーパー)という声も
聞かれ、納豆の人気を背景とした関連商品の取扱いに意欲をみ
せている。
 

『納豆特集 関西地区=旭松食品・塩沢チルド事業部長』
1997/04/11 日本食糧新聞
 
 旭松食品(株)(大阪市淀川区、06・306・5301)
は、納豆の今期売上高で、昨年比五〇%増の五〇億の目標を達
成する見込みで(6月期決算)、その原動力になっているの
が、一昨年前に開発した「納豆いち完熟超小粒」。将来的には
全国レベルで納豆のシェア率二桁を目指すと意気込む。塩沢精
チルド事業部部長に語ってもらった。
 ‐‐この商品の人気の秘密について教えて下さい。
 塩沢 納豆では後発メーカーのわが社が市場でのシェア率を
上げるため、おいしさや便利さなど、消費者にとってわかりや
すいコンセプトを考えました。そこで、大豆のタンパク質か
ら、旨みの成分アミノ酸をじっくり引き出す、氷温熟成製法を
開発、さらに、酸素をカットした特殊な容器で、過剰の熟成を
防ぎ、おいしさをキープする工夫をしたことが人気の要因です。
 また三パックや四パック入りの商品の場合、一度に食べきれ
ない場合でも、冷蔵庫の中で期限がわからなくなることがない
ように、ラベルだけでなく、一パックずつにも品質保持期限を
表示をしました。
 最近は消費者の環境問題に対する意識が高まってきています
ので、オパレという燃焼温度の低く、環境に負荷のない包装材
を使用するなど、新しい発想で商品が誕生しました。
 ‐‐その狙いはどこにあったのですか。
 塩沢 納豆では一人当たりの消費量が関西の約三倍と、ヘビ
ーユーザーの多い関東地区をターゲットに開発をしました。関
西や中部地区では広く消費者に認められておりますが、関東で
はまだ認知度が低いので、大手量販店のバイヤーにさまざまな
意見を聞き、商品開発に反映させました。市場ニーズに合致し
たのか、売り出して半年で関東地区のみで、約一〇億円の売上
げを達成しました。
 ‐‐全国に進出したのはいつ頃ですか。
 塩沢 昨年の秋から関西地区にも進出しました。われわれは
「なっとういち」でこの分野へ進出して以来、食べず嫌いの傾
向にある関西の消費者に、まず味を覚えてもらい、メニュー提
案しながら、需要の裾野を広げる努力を続けました。結果関西
地区でのシェアは三〇〜四〇%と高いものになりました。今回
の完熟納豆がさらに後押ししてくれることを期待しています。
 ‐‐完熟納豆のバリエーションの拡大は。
 塩沢 現在は小粒と、ひきわりの二タイプで、基本的な商品
の中で、用途提案をしながら、リピート率やメニュー頻度を上
げていく方向をとっていきたい。
 わが社はもともと、凍り豆腐や即席味噌汁などドライグロサ
リー専用メーカーですが、これからの成長分野として、チルド
部門を強化したいという目標があります。だから、納豆で出来
上がったチルドのチャネルを利用し、「健康」をキーワードに
して、新しいチルド商品の開発をしていきたいと考えています。
 

『納豆特集 関西地区=フジッコ、昆布ミネラル納豆健闘』
1997/04/11 日本食糧新聞
 
 フジッコ(株)(神戸市中央区、078・303・536
1)は、納豆商品「昆布ミネラル納豆極小粒」と「やわらか大
粒納豆」の二商品で健闘している。同社は平成3年に納豆市場
に参入する際、ベーシックな商品こそ飽きがこないと判断し
た。そこでシンプルの中にも他社との差別化を図れる商品とし
て「昆布ミネラル納豆極小粒」を開発した。
 この商品は同社の元来の主力商品の昆布にヒントを得て、納
豆の発酵時に昆布ミネラルを混入することで酵素活性が促進し
て、熟成効果が高まることを発見した。同時に昆布の旨みも加
わり一層おいしい商品となった。
 また三年前に、今までの納豆は夏場にアンモニア臭がする
と、苦情が多いことに目を付け、「KAORI2号」というア
ンモニア臭の発生しにくい菌を探し出し、既存商品に応用した。
 それとともに、低温でじっくり二段階に分けて熟成させる旨
み熟成製法を発見。よりまろやかな商品にリニューアルした。
納豆のヘビーユーザーの多い関東だけでなく、納豆になじみの
薄い関西の消費者にも、臭いが控えめでおだやかな味と市場に
定着している。
 その時に「やわらか大粒納豆」も商品化した。この商品は大
粒のため、甘味が強いが、納豆菌が中まで作用しくいという欠
点があるものを、昆布ミネラルの力を借りて、大豆の旨みを生
かしながらも中まで柔らかい商品に仕立て上げた。
 パッケージにも工夫を施し、超音波シールを用い菌が過剰に
増殖することを防ぐため、空気を遮断した。
 さらに、昨年のO157騒動で、納豆菌が大腸菌に強いとい
うことが追い風となり、主力商品の「やわらか大粒納豆」で前
年比二〇〜三〇%増の伸びをみせるなど、好調に推移している。
 同社は主力商品の「昆布ミネラル納豆超小粒」の熟成度を高
めて、さらに旨みとコクを引き出した商品を検討中。また豆自
体の旨みが強い黒豆納豆もテスト販売、消費量、生産量ともに
東高西低の納豆業界の中で、さまざまな工夫をすることで消費
の拡大をはかり、差別化できる商品の開発を続けていく方針。
 

『納豆特集 九州地区=こだわり商品伸長、伸び率高い福岡』
1997/04/11 日本食糧新聞
 
 【福岡】タンパク源として優秀な植物タンパクの代表格であ
る大豆は、その効用が広く認められ、健康志向の強い食品業界
にあって、この関連商品は近年、等しく脚光を浴びている。
 このうち、納豆も例外でなく、年率二桁以上の規模成長が続
いている。納豆文化は元来、関東を中心に東日本地区で発達
し、西日本地区では縁の薄い食品であったが、近年のチルド物
流の整備に伴い、次第に店頭にも並ぶようになったのが、一〇
年前。最近では全店、定番商品としての地位を確立したが、ま
だ、西日本地区での消費量は関東地区と比較して、遠くおよば
ない。
 だが、九州地区では熊本だけは例外で、昔から納豆文化が根
付いていた。そもそも、納豆は肥後熊本の領主、加藤清正公が
朝鮮出兵の折りに、馬のえさとして積んだ大豆が藁の持ってい
る納豆菌によって発酵し、できたといわれ、歴史は文禄元年に
さかのぼる。
 熊本の納豆文化はこれから始まる。今でも、一人当たりの消
費量は福岡の二倍はあるとされ、毎日の食卓に上がる。
 とくに、熊本では昔から、もちにはさんで食べる習慣があ
り、もちをよく食べる正月に冬の食べ物として親しまれた。
 現在でも、この習慣は残り、年末、納豆の売行きが急激に上
がる。以前から熊本では家庭で納豆を造るのが普通で、生活に
密接に結びついていたが、もちをつく家庭が少なくなったよう
に、納豆も店頭で購入するようになり、現在の購入形態となった。
 商品傾向は以前は一〇〇gが主流だったのが、個食化傾向や
そのまま廃棄できる簡便性が受けて、今では三〇〜五〇gの個
食パックが大半を占め、これに応じて、納豆も小粒、中粒が消
費の中心となっている。
 最近では有機栽培の大豆を使用するこだわり納豆が高い伸び
を示している。地域的には九州全体では人口の集積する福岡地
区での伸びが高く、熊本では安定した消費量となっている。
 

『納豆特集 九州地区=マルキン食品、奇跡の豆腐開発』
1997/04/11 日本食糧新聞
 
 【福岡】九州の納豆トップメーカー、マルキン食品(株)
(本社=熊本市、096・359・1155)は、九州を中心
に関西以西を販売地域としている。
 日配食品の関係上、販売地域の拡大は物流機能の整備が重要
な要素となり、全国メーカーになりにくい側面がある中で、同
社は販売地区を広げ、西日本屈指のメーカーとなった。
 商品開発姿勢は常に消費者の視点に立ったモノつくりを基本
に、若い感覚を大事にしている。一〇年前から三六五日体制を
敷き、新鮮な商品を各地域に届けているが、一方で、完全週休
二日制も同業界ではいち早く導入し、効率的なレイバースケジ
ュールのもとで稼働している。
 主力の納豆は約半分、コンニャクが三割強、その他豆腐やき
な粉類が残りを占める。
 健康をテーマとした食品企業で、伝統のある自然食品を主体
に、商品開発を進めている。
 最近は一〇年前から温めていた奇跡の豆腐「生造り冷やっ
こ」「生造り旬」を商品化した。同品はなめらかで、コクのあ
る豆腐本来の味を追求。大豆を煮るときに使用する消泡剤を一
切使わず、無添加としたことや、にがり一〇〇%使用。有機栽
培大豆を一〇〇%使い、原材料にも徹底的にこだわった。製造
システムは人の手に触れず、加熱殺菌しており、しかも水にさ
らさないため、豆腐の旨みが逃げないのが特徴。納豆で培って
きた伝統と技術を豆腐に生かした。
 

『素肌機能液、宮城の伊藤さん「ササニシキ」の根、納豆が原料』
1997/03/19 日本農業新聞
 
 「ササニシキ」の根と納豆から作った素肌機能液でお肌すべ
すべ――。宮城県河南町の伊藤敬さん(六八)が開発したも
の。顔や手にすりこみ、二分程度マッサージして、湯で洗い流
すと肌がしっとり、すべすべ。マスコミなどを通じて紹介され
たこともあり、伊藤さんの元には全国から注文が相次いでいる。
 伊藤さんは知る人ぞ知る発明おじさん。観賞用の鉢植えミニ
ササニシキやミニササニシキの根から育毛剤「ササトニック」
を開発した。ミニササニシキは約三十センチ四方に一本植えの
粗植にした田んぼからわい性ササニシキを見つけて伊藤さんが
選抜、鉢植えにしたもの。茎は半分以下だが、分けつは倍以
上。ただし、味は良くなく米としては売り物にならない。
 伊藤さんは鉢植えミニササニシキの根にアミノ酸がふんだん
に含まれていること、加えて血栓を溶かし血行をよくする納豆
菌が持つ酵素の働きに着目。五年前から開発に取り組んだ。
 出穂十日前から十日後ぐらいまでのミニササニシキの根を採
取、陰干しして完全に乾燥させ、焼酎(しょうちゅう)に一週
間つけミキサーで搾り、エキスを抽出、市販の納豆を加える。
納豆独特のにおいをるのに苦労して、消臭作用のあるヒマワリ
の種とボディーシャンプーを配合し四年がかりでにおい取りに
成功、昨年八月完成した。
 妻の芳子さん(六二)が実験台になり開発に協力、「最初は
においがきつくて納豆を見るのも嫌になった。おふろに入った
時にも使うが、血行がよくなり毛穴が広がるよう。さっぱりし
ます」と効果を語る。伊藤さんの元には「にきびが出ていたの
がよくなった」などの声も寄せられたという。
 伊藤さんは「皮下脂肪と関係があるのではないか。ダイエッ
トにも応用できれば」と語っている。
 販売はしないが、希望者にははがきで申し込めば実費で分け
るという。住所は宮城県桃生郡河南町鹿又駅前。
 

『<連載>これだけは知っておきたい最新の医薬品情報(第15回)』
1997/03/17 Pharmaweek
 
納豆と血栓−ナットウキナーゼとビタミンK−(アポプラスス
テーション(株)木崎景一郎)
◆はじめに
 まず、納豆と聞くと“ねばねば”しているというイメージを
思い浮かべることでしょう。納豆は大豆の煮豆を発酵させて作
るので、栄養価は満点である。最近では健康食品として注目を
集めており、健康のために好んで納豆を食べる人が多くなっ
た。今回は健康食品としての納豆について、特に血栓との関係
から解説する。
◆ナットウキナーゼ
 納豆には“ナットウキナーゼ”という酵素が含まれている。
ふざけた名前と思われるかもしれないが、この名前が学術的な
正式名称である。
 それでは、このナットウキナーゼという酵素はどんな作用を
示すのだろうか?
 ナットウキナーゼは、血液凝固系で最終的に生じるフィブリ
ンを分解してしまう作用を持つ。フィブリンは、血小板の凝
集・粘着をより強固にする“糊”のような役割を果たすので、
このフィブリンを分解するということは血栓を溶かすことにな
る。心筋梗塞の治療に用いられる血栓溶解薬のウロキナーゼ
や、プラスミノゲンアクチベータと同じような作用を示すと考
えて良いだろう。
 血栓溶解薬は、経口では消化管内で分解されてしまうが、納
豆中のナットウキナーゼは、経口でも血栓溶解作用を示す。し
たがって、納豆摂取による血栓予防の可能性が示唆されてい
る。
◆ビタミンK
 一方、納豆にはビタミンKが多く含まれており、また納豆中
に含まれる納豆菌は腸内でビタミンKを産生することが知られ
ている。
 医薬品としてのビタミンKは止血薬として用いられる。作用
機序は肝臓でのビタミンK依存性血液凝固因子の合成を高める
ことである。“あれっ”と思う人もいるかも知れないが、納豆
中には血栓を溶かすナットウキナーゼと、血液を固めるビタミ
ンKという2つの相反する作用を持つ物質が含まれていること
になる。
 但し、ビタミンKはビタミンK依存性血液凝固因子異常以外
の止血には無効なので、健常人が納豆を食べても、血液が固ま
りやすくなることはないと考えられている。
◆注意しなければいけないこと
 納豆中のナットウキナーゼとビタミンKについて簡単に述べ
たが、薬剤師として注意しなければいけないことが一つある。
それは、ワルファリン服用患者が納豆を摂取することである。
ワルファリンの相互作用については、以前に本シリーズでも解
説されているが、ビタミンKによりワルファリンの作用が減弱
してしまい血栓が生じやすくなることは有名である。
 すなわち、ワルファリン服用患者がナットウキナーゼのこと
を知り、血栓を予防できると思って納豆を食べてしまうと大変
なことになってしまう。最近の研究では、10g程度の納豆で
も、ワルファリンの効果が弱まってしまう可能性が指摘されて
いる。
 したがって、このような誤った認識を持ったワルファリン服
用患者がいるならば、服薬指導を十分に行なう必要がある。ま
た、そうでなくともワルファリンを服用している患者さんに
は、少量でも納豆摂取は厳格に制限する必要があることを説明
しなければならない。
 

『[雑記帳]大波乱…茨城の8社、入賞を逃す』
1997/02/08 毎日新聞 朝刊
 
 ◇納豆といえば茨城だが、7日、札幌市のホテルで開かれた
「全国納豆鑑評会(全国70社参加)」で、1位を福島と埼玉
に奪われた。しかも、茨城から参加した8社がいずれも6位ま
での入賞を逃すという大波乱。
 ◇製造量でほかを圧倒する茨城産の水戸納豆。大豆の直径5
ミリ未満の小粒が大半だが、最近の消費の流行は5ミリ以上の
中粒とか。豆本来の味が生かせて、技術革新で中粒の欠点とさ
れた歯触りの悪さが克服されたため、小粒人気は下火に。
 ◇血栓症や骨粗しょう症予防の健康食品として消費量は拡大
し、意気上がる納豆業界。「天下の茨城が、なぜ上位に入らな
かったのか」と関係者は“納豆王国”の落日に納得のいかない
様子だった。
 

『ヤマダフーズ茨城工場――省力化ハイテク納豆』
1997/02/06 日本経済新聞 地方経済面
 
 国道408号を牛久市から江戸崎町に向けて車でしばらく走
ると、とんがり屋根の時計台を備えた真新しい建物が目に入っ
てくる。壁には「水戸の朝一番・おはよう納豆本舗」の文字。
しかし、地元の納豆メーカーではない。昨年六月に操業を始め
たヤマダフーズ(秋田県仙南村、山田清繁社長)の茨城工場だ。
 原料大豆の選別・洗浄から蒸煮、容器詰め、発酵、貯蔵、出
荷まで、一連の工程が長さ百六十六メートルの建物に順に配置
してあり、連続して処理する。省力化を徹底した新鋭工場の中
には人影がまばらだ。
 蒸し上がった大豆は納豆菌をまぶしてパックに詰め、二十時
間ほどかけて発酵させる。発酵を終えた製品は一次冷蔵庫に蓄
え、品種ごとにラベル包装した後に二次冷蔵して出荷を待つ。
これらパック詰め後の製品搬送を完全に自動化したのが最大の
特徴だ。
 発酵室や冷蔵庫は大きな立体自動倉庫になっており、発酵工
程では温度や湿度、酸素濃度を時間を追って最適に調整する。
「人手に頼っていた搬入作業や条件調整をコンピューター制御
に置き換えた。ここまで徹底した工場はおそらく業界初」と高
橋護工場長。
 大豆を蒸し上げる工程についても、バッチ式の自動蒸煮釜に
加え、「連続蒸煮缶」と呼ぶ新設備を導入した。高温・高圧の
タンクの中でコンベヤーが動いており、ひきわり大豆を投入す
ると蒸し上がったものから連続して出てくる。量産品種向けに
独自開発した。
 工場の生産能力は五十グラム入り換算で日産四十万個。小
粒、ひきわり、カップ入り、業務用のチューブ入りなど、四十
種近い製品を手掛ける。現在の稼働率はまだ五五%程度だが、
山田社長は「五年後にフル稼働させ、株式を店頭公開して二期
工事に取り掛かる計画。最終的には日産百四十万個まで拡大し
たい」という。
 これまでは秋田の本社工場から関東まで十二時間かけて製品
を輸送していた。輸送費のほか、事故による欠品の危険性や消
費期限の面でも不利で、卸価格ベースで年間約四百八十億円と
される関東圏の納豆市場にあって同社の実績は十九億円弱。新
工場を軸に、市場開拓に全力をあげる。
 海外の契約農家から調達した有機栽培大豆は横浜港と鹿島港
に荷揚げしており、茨城への立地で原料の陸上輸送でも有利に
なった。鹿島港にはコンテナヤードの整備計画があり、完成後
は全量を鹿島で陸揚げする考えだ。
 一方、「納豆の本場・茨城によそ者が殴り込み」などと評さ
れることに対しては気を使っている。山田社長は一月中旬、牛
久市内の社宅へ一家で引っ越した。「住民票も移した。茨城の
一企業としてやっていきたい」。七十人強の工場従業員のう
ち、六十二人は地元採用だ。
 工場そのものにも趣向を凝らした。ベルサイユ宮殿を模した
前庭。納豆の歴史を紹介する「ミニ博物館」など完備した見学
コース。自治体や学校などから見学の申し込みが相次いでお
り、県内の納豆メーカーにも刺激を与えている。
 

『納豆が素材のスナック菓子、メーコウ(新製品)』
1997/02/04 日経流通新聞
 
 納豆を素材に使ったスナック菓子「水戸なっとう」。
 凍らせた納豆を粉末にし、かつお節や青ノリ、調味料を配合
してコーンスナックの生地に練り込んだ。コーンの軽い歯ざわ
りがあり、かんでいるうちに納豆特有の粘りが出てくる。風味
も生きている。
 オープン価格で販売、一口タイプ(四袋)とスティックタイ
プ(十二本)がある。
 発売元はメーコウ(茨城県石岡市、TEL0299・24・
5310)。
 

『旭松食品、「納豆いち 完熟超小粒」氷温熟成・密封容器が急成長』
1997/02/03 日本食糧新聞
 
 健康志向に合った代名詞的な食品としての納豆。関東地区を
中心として食生活のタンパク質源として昔から日常的に食べら
れてきたが、ここ数年、納豆菌が健康に良いことや、アミノ酸
形成での独特のおいしさから、従来食習慣の無かった関西地区
でも、市場への定着を見せている。
 しかし関西圏での拡大はあるものの、市場規模(メーカー出
荷ベース)九〇〇億円といわれる内の、シェア五〇%弱を占め
ると推計される主力消費の関東市場で、年間世帯購入量が頭打
ち状況の中、競争激化での価格の下落で各社とも厳しい商戦を
余儀なくされてきた。
 その市場の中で、昨年春の発売以来、急成長を続けている商
品が業界の注目を浴びている。旭松食品(株)(本社=大阪
市、06・306・5301)の「納豆いち 完熟超小粒三
段」である。
 同社は納豆臭が敬遠されて普及しない関西市場へ約一〇年
前、バイオ技術を応用して臭いを抑えた納豆「なっとういち」
を商品開発して市場に参入。関西地区での納豆の市場定着へ大
きな役割を果たした経緯がある。その後、関東地区にも積極的
に進出し、同社の柱商材のひとつとして納豆類が成長した。
 今回はヘビーユーザーの多い、最消費地の関東市場の活性化
を図ることに的を絞って商品開発に取り組んだ。技術力では凍
豆腐のトップメーカーとして、高水準の研究施設を長野の本社
に備えており、バイオ応用の臭いを抑えた納豆も、そこから生
み出されたものである。
 同社は、健康志向ベースに合う商品として納豆の成長性に自
信を深め、市場傾向から、より本物を追求した商品が必要と判
断して商品づくりに乗り出した。
 商品開発では納豆のうま味を形成しているアミノ酸の絶対量
を増加させることがひとつのポイントとして研究された。この
ため数々の研究の結果、米子市にある氷温研究所の考案した
「氷温熟成」技術と、水蒸気・ガスバリア性をもつ容器(オー
パレ容器)の起用と、同社技術の結集の末、今回の新製品の開
発にこぎつけたものである。
 その技術と特徴の要旨は次のようである。
 納豆はただ発酵させただけで、うま味が出るわけではなく、
熟成させることでアミノ酸を中心としたうま味成分が醸成され
る。発酵ではタンパク質を分解するプロテアーゼをつくり出す
が、その発酵過程で活発に活動している納豆菌の生育を氷温
(マイナス二〜〇度C)でストップさせ胞子形成率を高め、そ
して発酵で産出されたプロテアーゼで、じっくり、うま味、甘
味のアミノ酸を醸成させる。この時氷温で三日間以上熟成させ
ることでアミノ酸含有量は、同社の従来品に比べて約一・七倍
に増大して、うま味が増加する。また従来の空気孔付き容器で
なく、水蒸気やガスバリア性の高い密封容器を採用して酸素な
どを遮断するとともに、最適水分量を維持し乾燥することな
く、アミノ酸の結晶の析出に起因する、品質劣化の指標とされ
る「しゃり」の発生を抑え、さらに孔があることで、外部から
の異物や細菌による品質劣化の危険性が少ない利点があるとい
うものである。この容器は紙と同様に焼却でき、しかも燃焼カ
ロリー、CO2が低いオパレイ材を使用してエコロジーにも配
慮している。また、容器は従来よりも六〇%大きく、ネギや玉
子の具材もそのまま入れて食卓に出せる他、強度も従来容器に
比べて強く、輸送や、食卓での箸などでの破損の危険が少ない
という特徴がある。なお賞味期限は一個ごとに印字されており
分かりやすくなっている。
 同社は約二年ほどの開発期間をかけ、昨年3月に関東地区で
先行発売したが、品質重視の消費者ニーズに合致して、好調な
スタートを切り、半年間に関東地区だけで一気に一〇億円とい
う売上げを計上して業界の注目を集めた。さらに流通界の要望
もあり昨年9月から関西地区でも発売を順次始めており、この
1月からは全国展開に踏み切った。
 また販売体制の強化と、流通界への敏速なフォローのため、
昨年から納豆事業部を設立して、営業面でのバックアップ体制
も敷いた。これらが相まっての売上高増加だが、今年はこの
「完熟」を一気に認知を高め、納豆類売上げの拡大を図るた
め、春の消費者キャンペーンやTVなどの電波媒体を中心とし
た大量の宣伝投下も計画されている。
 これらのことから同社の納豆類の売上高は年間三五億円か
ら、今年は五五億円に六〇%近くも拡大する見通しである。
「高野豆腐、納豆、即席味噌汁、それにプロセスミックス商材
としてFDやレトルト商品の四本柱で進みたい。その中でも納
豆類が今回の「完熟」の完成で成長の大きな柱となっており、
納豆類だけで三年間で売上高一〇〇億円の達成を目指したい」
(木下晃一社長)と意欲を語る。
 ともかく、健康志向を背景に注目を集め、従来食習慣の少な
かった関西地区でも普及、浸透している納豆。よりうま味成分
の高い同製品の出現は、品質重視の消費者のニーズにも支えら
れ同社への寄与もだが、納豆業界としても関東地区での市場活
性化と、関西地区でのより一層の需要開拓の力になるものとし
て期待されている。
 

『中埜酢店、朝日食品と資本提携 納豆を加え低温分野強化』
1997/01/31 日本食糧新聞
 
 (株)中埜酢店(本社=愛知県半田市、0569・24・5
087、中埜又左エ門社長)は、納豆業界第二位の朝日食品
(株)(本社=茨城県行方郡牛堀町、0478・57・111
1、茂木弥一郎社長、資本金三億円)の株式の二〇%を取得す
ることで合意した。4月に正式契約し、経営参画する。
 朝日食品は九〇年に九五億円をかけ最新鋭大型工場を建設し
たが、バブル崩壊を経て資金繰りが悪化、九三年8月期で累損
三〇億円になった。「九六年8月期で累損は五、六億円に縮小
し、業績は回復している。二一世紀に向け企業体質の強化を図
り、さらなる飛躍を目指し提携した」(茂木社長)。
 中埜酢店は低温食品分野の強化を事業計画の柱のひとつに位
置づけ、商品開発、販路拡大に取り組んでいる。健康イメージ
の高い納豆は今後の成長性が期待でき、低温食品の強化につな
がると判断したもの。今回の資本提携を機に売上高一〇〇億円
達成を目指し、大豆関連商品の開発にも取り組む。
 朝日食品は、昭和27年4月に創業。大手スーパー主体に納
豆の販路を広げ、九六年8月期で九二億円を売り上げている。
生産工場は千葉県佐原市と行方郡の二ヵ所。従業員は三二〇
人。九〇年建設の佐原工場は敷地面積約一〇万平方メートル、
コンピュータ制御の生産設備を備え、日産七〇万食の生産能力
を持つ。しかし、バブル崩壊後資金繰りが悪化し、九一〜九三
年度で累損三〇億円になった。「九四〜九六年度でリストラ、
内部強化に取り組み二七億円に減らし、累損は現在五、六億円
になった。業績は回復してきたが、食品業界の環境は厳しく、
企業体質を強化し、二一世紀に飛躍するために中埜酢店と組ん
だ」(同)。
 中埜酢店は、新中期経営計画で多角化と国際化の推進を掲げ
ており、なかでも低温食品事業の基盤整備は重要課題のひと
つ。「健康イメージが高い納豆が加わることでチルド商品の充
実、低温商品の強化になる」(中埜酢店広報)。
 朝日食品の発行済み株式数六〇万株の二〇%を中埜酢店が取
得、4月の正式調印までに新経営体制について固める。当面売
上高一〇〇億円を目標に、両社連動した新体制で高品質・低コ
ストの納豆生産販売体制の確立を目指す。
 

『【暮らし】ちょっとさいえんす 納豆 毎日食べよう』
1997/01/30 産経新聞 朝刊
 
 最近、あらためて納豆が注目されています。納豆菌が病原性
大腸菌O(オー)157の発育を阻害するという研究発表がさ
れたためです。納豆菌が抗菌物質を生産し、赤痢やチフス、病
原性大腸菌などを抑制することはわかっていましたが、O15
7については今回初めて報告されました。ただし、これはあく
までも実験室の中の結果であって、実際に効果があるかどうか
は、今後の研究に期待されるところです。
 とはいえ、納豆は植物性タンパク質、カルシウム、鉄、食物
繊維、ビタミンBが豊富で、塩分がないなど栄養的にすぐれた
特徴を持っています。
 日本人の食生活も最近は肉類が多くなり、摂取したタンパク
質のうち動物性タンパク質が占める割合は、五三%と年々高く
なっています。
 動物性タンパク質が多くなると、同時に摂取される動物性脂
肪やコレステロールが問題になります。動物性タンパク質は四
〇から五〇%が理想とされてますから、やや取り過ぎの傾向と
いえます。
 そのため表のように、植物性タンパク質として、豆類を一日
に一〇〇グラム取った方がよいといわれています。しかし、国
民栄養調査(平成六年)では六六・八グラムしか摂取されてい
ませんでした。「畑の肉」と言われる大豆をもっと取りたいも
のです。
 ただし大豆は蒸煮など加熱加工しなければ、消化吸収が大変
悪いという欠点を持ちます。納豆は、納豆菌の生産する酵素で
大豆の成分がある程度分解されており、タンパク質の消化吸収
率は煮豆が六八%に対し、納豆は八五%とかなり高くなってい
ます。納豆は大豆のもっとも効率的な利用方法の一つなのです。
 食物繊維は、便の量を増し、かつ軟らかくし、体内にできた
老廃物や発がん物質などの排せつを促します。ところが、現在
日本人が取っている食物繊維は平均一七グラム。目標摂取量二
〇−二五グラムに、三−八グラム不足しています。この原因
は、食物繊維が豊富な豆類や穀物類の摂取が減ってきているた
めです。やはりここでも積極的な豆類の摂取が望まれます。
 納豆には、一〇〇グラム中に六・七グラムも食物繊維が含ま
れています。現代人の食物繊維の不足分は、納豆ミニパック二
つで解決できることになります。
 これだけ豊かになった日本人の食生活で、唯一不足している
栄養素はカルシウムです。国民栄養調査では五四五ミリグラム
と所要量六〇〇ミリグラムを下回っています。骨粗しょう症予
防のためにも努めて取りたいものですが、カルシウムは体内へ
の吸収率が低いという問題があります。しかし、この吸収率
も、タンパク質やアミノ酸を多く含む食品を一緒に取ると上が
ることが知られています。
 納豆には一〇〇グラム当たり九〇ミリグラムのカルシウムが
含まれていますし、アミノ酸も多い食品です。そのため、納豆
のカルシウムは利用されやすいものとなっています。納豆を食
べておけば、カルシウムの補給も同時にできるわけです。
 実は、納豆の栄養にも欠点があります。ビタミンAとCが含
まれていません。ビタミンAであれば卵や乳製品、緑黄色野菜
などから、ビタミンCであれば果物、野菜など他の食品から補
う必要があります。
 また納豆がいくら健康によいからと言って、まとめ食いや食
べ過ぎは決してよいことではありません。表のように、さまざ
まな食品を満遍なく取るよう心掛けたいものです。手軽で、し
かも栄養豊富な納豆をミニパック一つでもいいですから毎日続
けて食べることが、納豆の持つ機能性を期待できる上手な食べ
方といえるでしょう。(フジテレビ商品研究所 相良和彦)
 

『中埜酢店、朝日食品に経営参加、納豆市場へ本格参加』
1997/01/30 日本農業新聞
 
 中埜酢店(ミツカン、本社=愛知県半田市)は二十九日、納
豆業界二位で債務超過に陥っている朝日食品(本社=茨城県牛
堀町、資本金三億円)の救済のため、同社株式の二〇%を取得
して経営参加することで基本合意したと発表した。
 資本参加を機に、中埜は一千億円とされる納豆市場での本格
的な事業展開を図る。四月をめどに正式契約する方針。
 

『納豆は「賞味期限」、消費生活をまもる条例、施行規則を改正、仙台市』
1997/01/28 河北新報 朝刊
 
納豆は「賞味期限」/消費生活をまもる条例/施行規則を改正
/仙台市
 食品衛生法の施行規則改正で、4月出荷分から加工食品の日
付表示が「製造年月日」から「期限表示」に切り替わるのに合
わせ、仙台市は27日までに、「仙台市民の消費生活をまもる
条例」の施行規則を一部改正した。
 法の施行規則が改正されたのは「製造年月日表示が、厳しい
日付管理による深夜操業や、まだ十分食べられる食品の返品に
つながっている」「期限表示が主流である国際的な動向に対応
する」のが主な理由。
 仙台市の条例では、違反にペナルティーはないものの、市内
で販売される豆腐、油揚げ、コンニャク、納豆に対して「製造
年月日」などの表示を義務付けていた。4月1日以降は国の方
針と同じく品質が急速に劣化しやすい豆腐と油揚げは「消費期
限」、納豆とコンニャクついては「品質保持期限(賞味期限
)」の表示に切り替える。
 ただし、豆腐と油揚げについては経過措置として11年3月
31日まで「消費期限」と「製造年月日」の併記を義務付けた。
 併記について、仙台市市民生活課は「アンケートなどで依然
として消費者が製造年月日の表示を望んでいることに配慮し
た。改正の趣旨を消費者や製造業者に浸透させていきたい」と
説明している。
 条例は昭和50年に制定され、小売店で販売される商品の表
示、包装、被害の救済などについて定めている。
 

『あづま食品、乾燥納豆、おつまみ・菓子に―コンビニ・給食向け。』
1997/01/24 日本経済新聞 地方経済面
 
 納豆メーカーのあづま食品(栃木県河内町、黒崎信也社長)
は納豆を原料とした新たな加工食品を本格展開する。二月上旬
から、セブン―イレブン・ジャパンにおつまみ用の乾燥納豆の
納入を始めるほか、乾燥納豆を使った新開発の菓子も学校給食
向けに売り込む。おかず向けの納豆市場の伸び悩みが続いてい
るため、おつまみや菓子に加工して需要の掘り起こしを狙う。
 おつまみ用の乾燥納豆は、東京都内のセブン―イレブン六百
二十二店舗で「ドライ納豆」の商品名で販売する。内容量は二
十五グラムで塩味、からし味、カレー味の三種類。希望小売価
格は一袋百円。増産体制が整い次第、首都圏全域のセブン―イ
レブンで販売する計画。
 一方、学校給食向けには乾燥納豆をチョコレート、ヨーグル
トでコーティングした「ナッピー」を開発済みで、年内にも菓
子問屋を通じて販売する。
 乾燥納豆はピーナツより低カロリーで、ビタミン、カルシウ
ムを多く含むうえ、手軽に食べられることから、健康志向が高
まっている消費者の需要が見込まれると判断した。
 大粒納豆を凍結後、パーム油で減圧フライ加工を施して製造
するもので、あづま食品が製法特許を持っている。これまで飛
行機の機内サービス用や他社のおつまみの副資材として供給し
ていたが、自社ブランドとしては手掛けておらず、年間売上高
も一億円未満だった。
 同社の現在の乾燥納豆の生産能力は月産七・五トンだが、三
年以内に月産二十トン体制を整え、乾燥納豆の売り上げを十億
円に伸ばす考えだ。
 

『カップうどんの具材に納豆使用、まるか商事(新製品)』
1997/01/23 日経流通新聞
 
 かやくに納豆を使用したカップ麺(めん)「ペヤング・納豆
麺うどん」。
 「おかめ納豆」(タカノフーズ)のフリーズドライを豊富に
使用。特殊製法で仕上げてあり、納豆菌を生きた状態で摂取で
きる。うどんはソフトでなめらかな弾力のある油揚げ麺。
 消費者の健康志向に対応した。しょうゆ味とみそ味の二種類
あり、希望小売価格は百五十五円。
 発売元はまるか商事(群馬県伊勢崎市、TEL0270・3
2・8181)。
 

『[今晩のおかず]納豆とイカの酢の物』
1997/01/22 大阪読売新聞 朝刊
 
【材料=4人前】
ひきわり納豆   100グラム
キュウリ         1本
イカそうめん    80グラム
松葉ノリ         少々
酢、塩、砂糖、だし汁、みりん、薄口しょうゆ、ショウガ汁
………………………………
エネルギー(1人前)76キロ・カロリー
塩分(1人前)0.7グラム
 【作り方】〈1〉キュウリは薄く小口切りし、塩小さじ三分
の一をふりかけてしんなりしたら水気を絞る〈2〉だし汁、酢
各大さじ二、みりん小さじ二、薄口しょうゆ小さじ一、砂糖小
さじ二分の一、塩少々、ショウガ汁小さじ四分の一をまぜ合わ
せ、納豆とキュウリとイカそうめんをあえる。盛りつけて松葉
ノリをひとつまみ天盛りにする。(所要時間10分)
 手早くできる一品。酒のさかなにも。(津川 トシノ)
 

『埼玉県、日付表示で豆腐・油揚げをさらに2年間併記へ』
1997/01/22 日本食糧新聞
 
 食品の日付表示が原則「期限表示」に改正されたのが九五年
4月、二年間の移行期間も3月末には期限切れとなるのを前
に、埼玉県では消費生活条例の対象となっている七品目のう
ち、豆腐(充填豆腐を除く)と油揚げの二品目についてはさら
に二年間製造年月日を併記することになった。昨年12月28
日に提出された県消費生活審議会(会長=木元錦哉明大教授)
の答申に基づくもの。
 同県消費生活条例では、これまで(1)豆腐(2)油揚げ
(3)納豆(4)こんにゃく(5)油菓子(6)緑茶(7)食
パン‐‐の七品目について製造年月日の表示を義務づけてきた
が、4月からは原則として「期限」表示に移行する。しかし、
食パン、豆腐、油揚げについては消費者に製造日表示を求める
声が強いうえに「消費期限」表示に不慣れであることなどか
ら、豆腐(充填ものを除く)と油揚げについては国の経過措置
期間が切れる4月以降も九九年3月までの二年間、製造年月日
を義務づけることになった。食パンは現在、JAS法に基づく
品質表示基準の策定作業が進められており、近く制定される見
通しとなっていることから、審議会でも条例からの除外を提言
している。
 他の品目については「期限」表示に一本化、年度内には条例
の改正を行う。
 

『工場を歩く(29)、仙台・高橋食品工業本社工場、安全と環境が第一』
1997/01/20 河北新報 朝刊
 
工場を歩く(29)/仙台・高橋食品工業本社工場/安全と環
境が第一
廃棄物を衛生処理
 「仙台納豆」の商標で知られる高橋食品工業。本社工場は昭
和4年の創業以来、仙台市若林区河原町にあったが、東北新幹
線の建設ルートにかかったため、51年に移転した。
 「ここは、もともとはコンニャク製粉工場。昔はコンニャク
芋を天日で干していたので、広い場所が必要だったため、移転
先として十分なスペースがあった」と専務の高橋信次さんは移
転の経緯を説明する。
 納豆製造ラインでは、圧力釜で煮られた大豆が盛り込み充填
(じゅうてん)器でベルトコンベヤー上のパックに次々と詰め
られる。大豆にはあらかじめ納豆菌が振り掛けてあり、発酵室
にしばらく置くと、独特の粘り気が出てくるという。
 高橋さんは「わらで包んで大豆を発酵させる“わら納豆”が
主流の中で、うちでは創業時から大豆に納豆菌を直接植え付け
る“箱納豆”を売っていた」と胸を張る。祖父で創業者の故高
橋三雄次(みおじ)氏は「納豆名人」と評された人物だった。
 商品は納豆のほか、豆腐、コンニャク、モヤシなど。コンニ
ャク以外は、いずれも日持ちがしない食品のため、工場は年中
無休、24時間体制で操業、朝と夕方の2回、県内の小売店や
量販店に出荷する。
 「企業の合理化と衛生管理に万全を期す」という社是の通
り、製造ラインの自動化にも積極的だ。最近では豆腐の冷却と
包装を一貫して行うオートパックシステムや、モヤシの自動洗
浄・脱水装置を導入している。「高級豆腐のための手作りライ
ンも別に設けている」と高橋さん。
 工場からは豆腐の搾りかすである「おから」やモヤシくずな
ど1日当たり1−2トンの廃棄物が生まれるが、工場の外に出
るのはわずか。子会社「アール・ビー」が宮城県工業技術セン
ターと共同で開発した生ごみ焼却装置によって、ほとんどが処
理されるからだ。
 この装置は、乾燥機とボイラーを組み合わせ、水分を含んだ
廃棄物を腐敗臭もなく衛生的に処理する。焼却熱エネルギーは
製造ラインの蒸気として回収できるとあって、大手食品メーカ
ーからの注文もあるという。高橋さんは「今後も安全と環境を
第一に考えた企業でありたい」と強調した。
<メモ>所在地は仙台市若林区若林4丁目1の4。コンニャク
工場として昭和16年操業開始。51年本社が移転。約462
0平方メートルの敷地に、延べ床面積約4720メートルの鉄
筋コンクリート3階の上屋が立つ。従業員130人。8年の売
り上げは約12億円。3月には宮城県川崎町にモヤシ専用工場
が完成する予定。
 

『くめ・クオリティ・プロダクツ、会員制オフィス事業に進出。』
1997/01/20 日刊工業新聞
 
【水戸】「くめ納豆」ブランドの納豆メーカー、くめ・クオリ
ティ・プロダクツ(茨城県金砂郷町大里4137、社長石塚昇
一郎氏、電0294・76・3333)は会員制オフィス事業
に進出する。東京・銀座に会員制オフィスを開設、二十三日に
サービスを開始する。
アイデアはあるものの、資金不足に悩む起業家らを対象に、パ
ソコンなど最新のOA機器のほか、事務や秘書サービスなどを
低価格で利用してもらい事業を興すまで支援するのが狙い。銀
座に半年内に二カ所目を開設する。また、将来はIZM事業部
を法人化する方針。
会員制オフィス「IZM(イズム)」は、延べ床面積五百九十
四平方メートル。個人向けブースが三十室、会議室が四室、会
員間で情報交換できるサロンも設けている。パソコン十台、フ
ァクス、コピー機などを完備、事務や秘書サービスなども利用
できる。
オフィス内にLAN(域内情報通信網)を構築、インターネッ
トにも接続できる。入会には保証金三十万円(退会時に返金)
が必要。登録すれば各種サービスが利用できるほか、石塚社長
がエグゼクティブコンサルタントとなり、コンサルティングサ
ービスもする。利用は予約制で、月五万八千円の基本料金を支
払う。
利用状況によって基本料金は最大四万円まで下げるが、予約時
間に利用しなかったなど利用状況が悪い場合は、最大六万八千
円までアップする。利用時間は午前八時から午後十一時まで。
 

『納豆菌の機能を生かす健康飲料、日本生物科学研究所(新製品)』
1997/01/14 日経流通新聞
 
 納豆菌の持つ機能を生かした健康飲料「フェルビオ」。
 有用納豆菌をはじめ、酵母やこうじ菌など健康に役立つ微生
物を五―六カ月間、液体の中で培養熟成させた。これにより、
納豆菌などが生成した酵素が体に吸収されやすい状態になっ
た。
 カルシウムの吸収促進や血栓症の予防に有効で、腸の調子を
整えるビフィズス菌を増やす効果も。七百二十ミリリットル入
り(約三十六日分)六千円。
 発売元は日本生物科学研究所(大阪府高槻市、TEL012
0・600720)。
 

『[あぐり相談]納豆を作りたい、作り方を教えて』
1997/01/12 日本農業新聞
 
問い
 健康食品である納豆を作ってみたいので、製法を教えてください。
 (福岡県穂波町・渡辺ツジ子)
答え
 納豆の原料である大豆はでんぷんをほとんど含まず、その脂
肪分は血液中のコレステロールの降下作用があります。
 また、たんぱく質を構成するアミノ酸のバランスも良く、健
康食としての評価は高まっています。自家製納豆に挑戦したい
とのことですが、要領を飲み込んでしまえば意外に簡単。一例
を紹介しましょう。
 まず、▽壷(つぼ=素焼きがよい)に煮豆を入れ、納豆菌を
混入▽煮豆の上に三、四か所穴を開けたビニールを一枚かぶせ
る▽和紙でふたをし、さらに布で包む▽この壷を木箱に入れて
こたつの隅の方に入れる▽温度は四〇〜四二度で十六〜二十時
間くらい保温すれば納豆になります。
 また、市販の“わらづと”入り納豆のわらには、納豆菌が付
着しているので容器と併用すると効果的です。
 納豆菌の価格は一袋(粉末四グラム入り)で六百円。入手先
は、成瀬醗酵化学研究所=〒176 東京都練馬区練馬二丁目
一八の七、(電)03(3994)3939へ。
 

『納豆風味のスナック菓子、茨城県の問屋とメーカー』
1997/01/11 日本農業新聞
 
 【茨城・常陸】茨城の特産である納豆を使ったスナック菓子
「水戸なっとう」が、県内の大手菓子問屋と菓子メーカーの共
同開発で商品化され人気を呼んでいる。
 開発したのは菓子問屋・丸高商会(千代田町)の子会社で菓
子商品企画・メーコウ(石岡市)と、菓子メーカーのリスカ
(石下町)。両社は二年前、「地元の特産品である納豆を生か
した新しいスナック菓子を作ろう」と、試行錯誤を繰り返し研
究の結果、商品化にこぎつけ昨年十一月から販売を始めた。
 製造の原材料は、納豆を凍結乾燥したものを粉末にして、か
つお節、青のりなどの調味料とブレンドし、コーンスナックに
味付けした。納豆独特の風味と粘りにコーンの香ばしさと軽い
歯ざわりも楽しめる。
 スナック菓子「水戸なっとう」は一口サイズの二十五グラム
四袋入り(二百円前後)と、スティックタイプ十二本入り(百
八十円前後)の二種類を発売。県内のスーパーのカスミやスパ
ーのほか、亀印、関東鉄道の駅、常磐自動車道などの一部売店
で販売している。
 おやつや酒のつまみとして、年齢層を問わず売れ行きも好評
で、関係者は改良を加えて納豆のように粘り強く、息の長い商
品にしいと話している。
 

『有機農産物利用食品、米国機関の認定相次ぐ』
1997/01/08 日本農業新聞
 
 有機農産物を使っていることの認定を米国の機関から受ける
国内食品製造メーカーが増えている。日本の認証制度がないな
かで、第三者による米国機関の認定を前に出すことで、消費者
にアピールしようというのがメーカー側の狙い。業種も、豆
腐、納豆、梅干し、お茶などに広がっている。
 栃木県河内町の納豆メーカー、あづま食品鰍ヘ、平成七年
に、納豆業界としては初めて、米国有機農産物認定機関(オー
ガニック農作物改良協会・OCIA)の、認定工場の資格を取
得。米国産(ミネソタ州産)の有機無農薬大豆を使い、一般大
豆を使った製品より約七%高の三パック(一パック五十グラ
ム)百五十八円で販売している。「OCIA認証の大豆使用」
を前面に出すことで、一般大豆を使った製品より割高で販売で
きる代わりに、この認証マークの使用料として出荷価格の〇・
五%をOCIA本部に納める。
 同社は、茨城県産の地塚大豆などで、こだわりの納豆を基本
にしている。あいまいな表示も含まれる国産有機に比べ、米国
機関の認定工場となることで、より確かな有機納豆であること
を訴えることができるという。米国機関の認証マークは「消費
者に浸透していないが量販店などが有機食品としての確証を得
るために、米国機関の認定を評価してきている」(同社の柳井
彰製造部長)という。
 東京中野区に本社のある豆腐メーカー、泉食品鰍焉A山梨県
白州町にある同社工場を、七年にOCIAの認定工場の資格を
とった。原料は、米国産の有機認定大豆を使った手づくり豆
腐。一般物に比べ三割ほど高い、四百グラム百七十八円水準で
販売。同社は、中国産の有機大豆などを使ってきたが、証明が
より信頼できる米国産に切り替えた。「いわゆる有機農産物を
使用などをうたった製品が増え、より確かな認証を受けた製品
であることを、はっきりさせる必要があった」と青山隆社長は
言う。
 米国のOCIAの認定を受ける国内食品メーカーは、年々増
えている。OCIA関連の農産物を扱っている商社の一つ、
むそう商事(本社=大阪)によると、二年ころには七、八社だ
ったものが、八年時点で二十社を超えた。輸入農産物を使うメ
ーカーだけでなく、OCIAの有機農産物認証を受けた、国産
の梅、茶、大豆などを使っているメーカーも多い。日本オーガ
ニック&ナチュラルフーズ協会は「全体の数は不明だが、認定
工場が年々増えている」としている。

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