1995年の新聞記事

  最終更新日 平成13年5月3日
それぞれの記事は引用です。

『骨粗鬆症、進む予防研究 新診断基準、「骨の量」で危険度判定』
1995/12/28 東京読売新聞 朝刊
 
 ◆食べ物はお茶や納豆、魚が有効
 骨がすかすかになり、骨折しやすくなる「骨粗鬆(しょう)
症」。高齢になるほど、それも女性に目立つ病気だが、最近、
「なってからでは遅い」とばかり、予防面に力を入れた新しい
診断基準がつくられた。一方、日常的な予防として、お茶や納
豆など日本式の食生活が意外に効果的であることなども分かっ
てきた。
 この十月、骨粗鬆症の新しい診断基準が、整形外科や婦人
科、放射線科の専門医らでつくる骨代謝学会によりまとめられ
た。
 骨粗鬆症になる割合が高い女性の場合、骨量はふつう二十―
四十五歳前後をピークに閉経とともに減る。新しい診断基準で
は、骨量がその時期の平均値より約二〇%以上減った場合、エ
ックス線撮影結果も加味し、骨粗鬆症の予備軍として「骨量減
少」と診断しようというものだ。
 真正の「骨粗鬆症」と診断されるのは、減り方が約三〇%以
上の場合。こうなると骨折の危険性もかなり高まってしまう。
中心になって検討してきた大蔵省東京病院院長の折茂肇(おり
もはじめ)さん(老年医学)は「予防面を重視し、病気との境
界にあたるグレーゾーンの範囲も明確にした」と新基準の意義
を話す。
 骨量測定は最近では、主な医療機関や一部の自治体の住民健
診などでも受けられるが、「骨量やその減り方には遺伝的要素
も大きく、なるべく早い時期に一度調べてもらうとよい」とい
うのが折茂さんのアドバイスだ。
 一方、骨粗鬆症の予防方法でも新しいデータが紹介されつつ
ある。その一つが、厚生省の「退行期骨粗鬆症の予防及び治療
に関する研究班」が昨年から今年にかけて行ったアンケート調
査結果。約六百五十人の全国の高齢者を対象に、最近一年間に
足を骨折した人としない人とに分けて生活習慣などについて聞
いた。
 それによると、「日本茶を一日三杯以上飲む」「アルコール
を適度に(ビールで大瓶一日一本、日本酒で一日一合まで)飲
む」「魚をよく(週に三、四回)食べる」「運動をよく(週
一、二時間)する」「硬いものも食べられる」などの人に、骨
折しにくい傾向が強く見られた。
 逆に「日光浴をしない」「年二回以上転倒する」「(畳の上
の布団ではなく)ベッドで寝る」「不眠の傾向がある」などの
人は、骨折しやすいことが分かった。
 また、高齢者の骨折は関西に多く“西高東低”の傾向がある
ため、原因を調べたところ、納豆をよく食べる地域ほど骨折が
少ないことが分かった。納豆のビタミンKの中に特に多く含ま
れるメナキノン7という物質が、骨粗鬆症予防に効果があるら
しいという。
 同研究班のメンバーでもある東京都老人総合研究所疫学研究
室長の鈴木隆雄さんは、「日本人は、欧米人に比べてカルシウ
ム摂取量は少ないが、その割には骨折が少ないと言われてき
た。だが、日本茶を飲んだり、納豆を食べたり、布団を毎日上
げ下ろししたりする伝統的な日本の生活が、骨を強くしている
面があるらしい」と話している。
 

『ゆうかん料理教室、◎とうほく味のしおり、納豆汁』
1995/12/27 河北新報 夕刊
 
ゆうかん料理教室
◎とうほく味のしおり/納豆汁
 冬は春に採取し保存しておいた山菜を食べる季節である。一
面雪に覆われた山里では新鮮な野菜は望むべくもない。山菜を
「あおもの」と呼びならわす山里の人々の心根が、冬はいっそ
うよく実感される。
 冬はまた納豆を作る季節でもある。ほどよく煮た豆をわらづ
とに入れ、2、3日あんか入りのふとんに寝かせる。時に納豆
が風邪をひき、がっかりすることもあったが、あれは本当に楽
しみだった。今では常備食だが納豆の旬は冬だ。
 その納豆をすり鉢ですりみそ汁でとき、これにもどしたゼン
マイやウド、芋ガラ、里芋、コンニャクなどを加えてつくる納
豆汁は、体がしんまで温まる冬一番のごちそうだった。スズナ
もスズシロもまだ雪の下なれば、無病息災を願う正月の七草
も、前年に保存した7種の具を入れた納豆汁のことであった。
七草汁、そう呼んでいたように記憶する。体だけでなく心まで
も温めてくれるゆかしい料理である。(結)
 

『ぴっくあっぷ――需要ひく「ひきわり納豆」(新製品売れ行き週間ランキング)』
1995/12/23 日経流通新聞
 
 あづま食品の「ひきわり納豆」が前回の217位から38位
に急上昇した。米国の農場で栽培した国産品種の大豆を独自の
発酵方法で加工してあっさりした食感を演出。大豆を6等分に
することで食べやすくしたのも奏功、消費者の健康志向も手伝
って、手巻きずしや納豆スパゲティの食材としてパーティーな
どに利用され、子供から大人まで幅広く人気を集めている。希
望小売価格は148円。
 

『タカノフーズ――大豆、米で契約栽培(茨城県企業21世紀への挑戦)』
1995/12/19 日本経済新聞 地方経済面
 
 茨城名物である納豆の最大手メーカーとして、今や全国に名
を知られる存在にのし上がった。創業は昭和の初め(一九三二
年)と業界では老舗だが、その歴史にあぐらをかかず、米国産
大豆の契約栽培、品質保持の研究と常に新展開へ向け、たゆみ
ない努力を続けている。この品質への頑固なまでのこだわり
が、日本一になった秘けつだろう。
 商品名は「おかめ納豆」。創業者である父の跡を継いだ高野
英一現社長が八五年に「タカノフーズ」に変更するまで二十八
年間、「おかめ納豆本舗」を名乗っていた。それ以前の創業か
ら二十五年間は「高野商店」だったが、今風の現社名は若手社
員らにも受けがよい。
 主力商品はスーパーの店頭などでよく見られるトレー容器入
り三段重ねの「極小粒ミニ3」。売り上げの四〇%ほどを占
め、紙容器入りの「極小粒カップ3」が約一五%で後を追う。
この秋から売り出した「水戸一番」も早くも五%のシェアにな
り、大型商品に成長する可能性を感じさせる。古くからの大粒
納豆も売れ行きは派手ではないが、根強い人気を保つ。
 今期の売上高は百九十三億円で、十年前の八五年(五十五億
円)に比べ三・五倍と堅実な成長を続けている。
 原料の大豆は現在では、ほぼ米国産になった。十五、六年前
は中国からの輸入だったが、より大規模にということで米国ア
ーカンソー、ミネソタ両州の農場と契約栽培に踏み切った。カ
ナダでも米国産の四分の一前後だが、やはり契約栽培してい
る。
 単なる輸入ではなく契約栽培にこだわるのは、ひとえに安定
した品質を維持するためだ。「納豆は大豆の質が命と言っても
過言ではない。一方、大豆と一口に言っても油用、豆腐用など
種々ある。納豆に合った大豆づくりが欠かせないわけで、契約
栽培ならこちらが望む原料が得られる」(梶本幸男専務)と言
う。
 梶本専務によると、納豆に適した大豆は糖質が高くて、油分
が少なく、粒がそろったものが要求される。豆腐などと異なり
原料がそのまま製品になるから、特に粒ぞろいは必須(ひっ
す)条件でもある。
 品質保持で同社が採っているのは、おいしさを数値化すると
いう独特のシステム。豆の硬さはグラムで表した歯のかむ力、
糸引きは糸の強さ、粘り具合などを数値化する。色も数値化の
対象だ。この数値に合うように大豆をふかす際の圧力や時間を
決定、ラインに指示する仕組みになっている。
 工場には品質を最終的にチェックする検査員がいて出荷の権
限を握っている。「工場長より強い権限で、少しでも品質に疑
義がある時は絶対、市場には出荷できないシステムになってい
る」(梶本専務)という。
 県内二カ所の自社工場のほか福島、宮城、埼玉などの協力工
場を含め計八カ所で製造してきた。八九年には三重県嬉野町に
西日本地区をカバーする伊勢工場を完成、自社工場の全国展開
への足掛かりを付けた。九六年暮れまでには九州にも自社工場
を完成させる。
 生産体制充実に伴い営業面での新展開も必要として昨年四月
には東京都台東区に東京本社を設置、二本社制にした。スーパ
ーなど得意先の本社が東京に多い点に配慮したもので、「茨城
の企業として東京に情報発信する」と意気込む。
 昨年七月には本社工場に隣接して技術開発センターを新設し
た。ミニプラントによる新商品開発や、充てん機などのライン
自動化促進など早くも多岐にわたって貢献している。
 現在、小川町の本社敷地内に来年五月の完成を目指し、新研
究所とゲストホール、日本で初めての納豆博物館建設を進めて
いる。工場には現在でも年間三千人ほどの見学者があり、博物
館では納豆の歴史などを知ってもらう。新たな話題提供の場に
なりそうだ。
 

『日本食品標準成分表新たに3つのビタミン加える』
1995/12/15 日本農業新聞
 
 学校や病院給食などの栄養管理に利用される日本食品標準成
分表に、納豆やキャベツに多く含まれ止血作用があるビタミン
KやビタミンB6、ビタミンB12が新たに加えられることに
なった。科学技術庁長官の諮問機関、資源調査会が成分表の改
訂で盛り込む予定だ。
 

『納豆 成人病の予防効果で注目 関連商品の開発進む ドリンク、酒…無臭のものも』
1995/12/14 産経新聞 朝刊
 
 納豆が成人病の予防食品として注目されている。納豆が体に
良いことは古くから言われているが、高血圧、血栓症、骨粗し
ょう症などの予防につながることが最新の納豆研究で明らかに
なってきた。こうした研究成果などから、より栄養価を高めた
鉄分強化納豆や納豆ドリンク、納豆酒、また、においを抑えた
無臭納豆も相次いで開発されている。多様化する最近の納豆事
情を探ってみた。(伊倉一馬)
 納豆の研究は平成二年に社団法人・日本工業技術振興協会が
運営する天然物・生理機能素材研究委員会が発足されて以降、
活発化している。大学や企業の研究者が集まり、伝統食品であ
る納豆を医学的な面から研究している。
 特に成人病予防の面に力を注いで研究が進められているが、
例えば、宮崎大学の丸山真杉教授は納豆の摂取が血圧を下げる
効果があることを明らかにしている。
 血圧の高い成人五人に対し、乾燥納豆三〇グラム(納豆とし
ては二百グラム相当)を毎日続けて四日間飲ませたところ、五
人中四人が血圧が下がったという。最高血圧の平均は一七三ミ
リから一五四ミリと一九ミリ低下し、最低血圧の平均も一〇一
ミリから九一ミリと一〇ミリ下がったという。
 倉敷芸術化学大学の須見洋行教授は、納豆の中に非常に強力
な血栓溶解酵素「ナットウキナーゼ」が含まれていることを明
らかにした。同酵素を高単位量含む乾燥納豆を被験者に摂取し
てもらったところ、「血管に詰まった血栓が煙突掃除のように
だんだん溶けてなくなってしまった」という。
 「血栓を溶かす食品ということでいえば、納豆は世界中の食
べ物の中で抜きんでており、納豆摂取は心筋梗塞(こうそく)
や脳梗塞など多くの血栓性疾患の予防効果が期待できる」とし
ている。
 東京大学の細井孝之助教授は、骨粗しょう症予防に納豆摂取
が効果的であると報告しており、都道府県別の骨折率と、一世
帯当たりの納豆消費量が負の相関関係にあることを説明してい
る。
 こうした研究が進むにつれ、納豆の関連商品の開発も進めら
れてきている。川鶴酒造(香川県)はナットウキナーゼが多く
含まれている納豆の糸を清酒に溶かし、ペパーミントなどの香
料を配合した納豆酒「美健酔」を販売している。
 また、ヤマダフーズ(秋田県)では、ナットウキナーゼや、
骨粗しょう症の予防に良いといわれるビタミンKを多く含んだ
「納豆ドリンク」を現在開発中だ。
 関西で納豆のトップシェアを誇る「旭松食品」(大阪市)
は、通常の納豆の約四・五倍の鉄分を含んだ「鉄分たっぷり」
や、ナットウキナーゼ含有量を高めた「されど納豆」などを発
売している。
 同社はまた、納豆独特のアンモニア臭を抑えた「なっとうい
ち」を販売しているが、「消費者調査の中で、納豆嫌いの原因
として納豆のにおいを挙げる人が圧倒的に多かったので関西向
けに開発したのがきっかけ。約三千種の納豆菌の中で一番にお
いが少ないが、うまみのある納豆菌を使っている」と話してい
る。
 ◆消費量、年々増加
 日本古来の伝統食品である納豆は、大豆栽培の始まった弥生
時代から作られ始め、江戸時代には庶民の食べ物として親しま
れてきた。健康志向を反映し、消費量は年々、拡大傾向にあ
る。市場規模は約千四百億円。国民一人当たり一年間に約十八
個の納豆を食べている計算になる。
 都道府県別では、東京都が約百八十九億八千万円でトップ、
続いて神奈川県(百三十億二千万円)、埼玉県(九十八億四千
万円)千葉県(九十七億一千万円)と関東勢が占めている。
 

『「ビタミンK、B6、B12」成分表作成 優良食品に393品目』
1995/12/14 産経新聞 朝刊
 
 科学技術庁の資源調査会は十三日、国民の健康管理に広く使
われている「四訂日本食品標準成分表」に新たに追加されるこ
とになったビタミンK、B6、B12を多く含む食物と含有量
のデータをまとめた。
 出血を止め、骨を丈夫にする働きがあるビタミンKを多く含
む食品の上位三位はキャベツ、納豆、コマツ菜。普通に食べる
分量の中に、四百−三百二十マイクログラム(一マイクログラ
ムは百万分の一グラム)が含まれている。
 百グラム当たりで単純比較すると、抹茶(二千九百マイクロ
グラム)や干しのり(千四百マイクログラム)が上位にくる
が、普通に飲んだり食べたりする量ではともに三十マイクログ
ラムしかなく、納豆などの約十分の一にとどまっている。
 欠乏すると皮膚炎や貧血、神経炎が起きやすくなるビタミン
B6は、砂糖類以外の多くの食品に広く含まれているが、肉類
やマグロなどの赤身魚やギンナン、ヒマワリの種といった種実
類が上位二十位にほぼ同量で並んでいる。いずれも普通に食べ
る分量中に〇・一−〇・二ミリグラム(一ミリグラムは千分の
一グラム)程度の量だ。
 高齢者に欠乏気味の人が目立ち、不足すると悪性貧血につな
がるビタミンB12の上位三位はホッキ貝、牛レバー、シジミ
で四十八−二十五マイクログラム。魚介類や動物の肝臓、腎
臓、卵類、藻類に多く含まれていた。
 今回まとめられた「日本食品ビタミンK、B6、B12成分
表」には計三百九十三食品が収録されており、定価千円で十五
日から全国の政府刊行物サービスセンターなどで販売される。
 

『[うちのおかず]納豆の韓国風ニラ焼き』
1995/12/12 大阪読売新聞 朝刊
 
 (神戸市須磨区、藤田幸子、53歳)
 納豆は健康的で満腹感も生まれるので愛用しています。韓国
料理でお好み焼きに似たチヂミをヒントに、ニラを多く使って
納豆料理を考えました。ダイエット中の私には少しつらいとこ
ろですが、ビールにも合いますよ。
 【作り方】〈1〉ニラ2束、エノキダケ1パック、キムチ5
0グラム(小皿に1盛り程度)を粗くみじん切りにする〈2〉
納豆4パックを箱についている調味料と一緒にねばりがよく出
るまで混ぜる〈3〉小麦粉1カップ、卵1個、水2分の1カッ
プを混ぜ合わせる。刻んだニラ、キムチ、エノキダケと納豆を
加えて混ぜ、ホットプレートかフライパンにゴマ油を熱し、焼
く〈4〉ポン酢で頂く。
 

『[おあしす]三重で日本一のきれいな水で作った納豆発売』
1995/12/08 中部読売新聞 朝刊
 
 ◇…建設省の水質検査で「日本一のきれいな水」に選ばれ
た、宮川(三重県宮川村)の自然水と、有機無農薬栽培の大豆
という“自然素材”にこだわった納豆が売り出された。発売さ
れた納豆は「自然水納豆・森の番人」。
 ◇…製造元は同県松阪市の奥野食品会社。大きめの大豆を自
然水「森の番人」につけ込み、圧力がまで蒸し、昔ながらのワ
ラで包み込んでの製造。「大豆の歯ごたえを味わってもらいた
い」と今春から試行錯誤を繰り返してきた。
 ◇…「森の番人」を製造する村おこし会社「森と水を守る
会」が県内外で試販したところ、いつも完売で、七日からは同
村のお土産センター「もみじ館」でも販売を開始。百グラム入
りで二百三十円とやや高いが「ねばりがある」と手ごたえは十
分という。
 

『中部納豆特集 中部3県で70億円、2年連続で実績割れ』
1995/12/04 日本食糧新聞
 
 納豆の消費は、バブル経済が弾けたあとも、一世帯当たり平
成4年三一〇二円、5年三一六六円と順調に伸び続けて来た
が、昨年は三〇一三円となり、対前年比約五%のダウンとなっ
た。これは昭和59年一六七四円が翌60年に一六五五円とわ
ずかながら割り込んで以来、実に九年ぶりのダウン、実績割れ
となる。これは年初のコメ不足と夏場での猛暑がたたったもの
と見られる。それを裏書きするように、平成6年度の一世帯当
たり一ヵ月平均消費金額をみると、1月二五四円、2月二六三
円、3月二七四円、4月二五五円、5月二六〇円、6月二四六
円、7月二二七円、8月二三一円、9月二四六円、10月二五
六円、11月二五〇円、12月二五一円となり、猛暑となった
り、8、9月の不振が目立つ。とくに7月の二二七円は3年8
月の二二六円以来、三年ぶりの最低消費金額となった。昨年の
6、7、8、9月は酷暑、猛暑により米飯関連の食品はすべて
大きなダメージを受けており、さすがの健康食品の納豆も例外
でなかった。
 今年に入ってからの動きは1月二二七円、2月二五七円、3
月二八三円、4月二六七円、5月二六一円、6月二五七円、7
月二四六円となっており、前年同月比で1月から3月までは下
回ったものの、4月以降はいずれも上回っており、回復基調を
示している。
 このなかで、東海地区の一世帯当たり消費金額をみると、昨
平成6年は二二三四円となり、5年の二三一一円に比べ三・
四%のダウンとなり、4年の二三四四円をピークに二年連続の
ダウンとなった。また、北陸地区は昨6年が三一三八円とな
り、最近では昭和60年以来、同年一四四〇円、61年一七一
九円、62年一九四三円、63年二二九六円、平成元年二六〇
六円、2年二七三三円、3年二七五二円、4年三二三七円、5
年三三七四円と伸び続けた消費金額が初めて七%の割り込みと
なった。
 なお、平成6年の全国納豆消費金額は一三九七億二〇〇〇万
円となり、この中で都道府県別では愛知県四七・四億円、岐阜
県一〇・五億円、三重県一二・六億円、中部三県では合計七
〇・五億円となり、全国でのシエアは五%。民力度からみてま
だまだ“納豆後進国”であることがうかがえる。
 

『中部納豆特集 顧客は小売店に戻ってきた 丸竹・丸愛納豆・服部勝之社長』
1995/12/04 日本食糧新聞
 
 〇…最近の納豆の状況だが、販売量は上がっているが、販売
価格が下がっているので、売上げ的には大体前年並み程度では
ないか。価格破壊という状態が業界を覆っているということだ
ろう。この価格は特定のどこそこということでなく、地元のメ
ーカーも含めて、そういう動き・流れになっていると思う。昨
年来、残念ながら価格はエスカレートしている状態だ。これに
ついては、自分のところだけ別行動というわけにいかないの
で、当社もその渦中にあるというのが正直なところだ。現在、
販売量と売上げとの差は四〜五%はあるのではないか。その原
因の一つに、やはり作り過ぎがあげられると思う。従って、業
界全体の需給のバランスが崩れている。そのバランスが崩れた
原因のひとつに、バブルの崩壊ということもあるだろう。小売
店さんが非常に厳しい状況にあることが、需給の崩れた大きな
原因だと思う。
 〇…価格については、今後も厳しい状況が続くと思うし、業
界として価格を維持しようという動きは非常に難しい問題では
ないか。しかし、今の価格競争が業界にとって、いいことでは
ないと皆さん思っていると思う。そういう点では、業界の指導
的立場にある方々が、手本になる行動をしてほしいと思う。ど
こそこのメーカーということではない。逆に、当社としても競
争しなければならない時はやります。現にやって来たこともあ
る。ただ、やはり業界トップにある方々が手本を示して頂けれ
ば、業界としてもまとまっていくと思う。生産の方が多いわけ
なので、パイの取り合いになるのは当然でもある。当社として
は、現状維持といったところだ。ということは、販売数量は前
年を上回っている。これはお客さんが小売店さんに戻って来て
いることもある。売上げだけ追っては、とても利益のある商売
はできない。
 〇…以前のように、高水準の利益を上げるということは難し
くなったが、仕事をしていて、従業員がばかばかしいと思うよ
うな仕事はさせたくない。あまり値段を下げて物を売るという
ことをやっていると、士気が落ちて来る。自分たちのやってい
る仕事が、満足のできるようなものにしないといけない。工場
の人達が一生懸命作った納豆は、昼夜を問わず手間がかかって
いるわけだ。それだけに、やはり納得のいく販売をしなければ
ならないと思う。
 

『中部納豆特集 PR・啓蒙が今後の課題 東海納豆組合・小杉力理事長』
1995/12/04 日本食糧新聞
 
 東海地区の納豆は全体的にみて納豆特有の香りが少なく豆そ
のものも白みをおびたものが主流となっている。
 最近の動きとしては地味ではあるが、毎年着実な動きで推移
しており、日本人の食生活に欠くことのできない伝統的な健康
食品としての地位を確保してきた。
 とくに納豆は昔から「畑の肉」として高蛋白質の大豆加工食
品の認識が高く、医学分野のデータでもヘルシー度の高い食品
として浸透しているだけに、さらに高い消費の拡大が期待でき
るものと考えられる。
 最近では、ダイエット食品として女性の間にもファンは増え
ており、病院、工場、学校などの給食分野でも健康食品として
採用が増えており、市販部門でも「朝食に納豆」の定義が定着
して需要の拡大が期待できる。
 また、従来の大粒ものよりひき割りの小粒ものへの移行が目
立っている。これは、当地区の製品が関東地区の商品に影響を
受けてねばりと小粒化の傾向が強く表れていることである。量
的な面からみても関東地区の納豆が当地区へかなり浸透してい
るなかで、当地区の納豆もねばりと特有の香りへのリバイバル
現象がみられる。
 東海納豆組合は愛知、岐阜、三重県下の専門メーカーが加盟
しているが、他業種に比べて企業規模が小さいだけに積極的な
PR活動ができにくく、納豆そのものの商品イメージからも日
本古来からの伝統的健康食品のため、この動きが微増なだけに
あえてPRの必要性がなくても着実に消費されている点は業界
にとって明るい材料だと思う。
 当地区の納豆業界は一部を除き、生産、販売の面でも大手と
の格差が開き、それぞれ独自の販路をもつメーカーが主流だ
が、今後、会の運営面では組織の力で、納豆のもつすばらしい
健康へのアピールを啓蒙していくことが会の課題となってい
る。
 納豆は畑の肉といわれる大豆を主原料にしたすばらしい健康
食品だけに、これらのPRをいかに業界こぞって普及させてい
くことが大きな課題と思われる。
 

『中部納豆特集 販売競争ますます激化、安売りが常態化』
1995/12/04 日本食糧新聞
 
 納豆は中部市場でも安売りが常態化、当面の正常化は難しい
ものと見られており、現状のまま推移しそうで、業界としては
早急な立て直しに迫られているといえそうだ。
 業界の全国団体である全国納豆協組連合会でも最近の業界に
ついて「食生活の洋風化に伴う朝食のパン食化、バブル崩壊後
の長引く景気低迷による買い控え、加えて流通業界の競争激化
による値下げ攻勢など、納豆業界を取り巻く環境は厳しい。平
成6年には、年初からのコメ不足もあって、消費者のコメ離れ
が起こり、また夏場の猛暑の影響もあって、納豆の消費金額も
ダウンした」と分析。
 こうした厳しい状況を打破するため(1)新しい納豆菌や製
造方法の研究(2)納豆に適した原料大豆の開発(3)無臭納
豆、鉄分強化納豆、無農薬大豆納豆など、消費者ニーズに対応
した新商品の開発(4)食材としての納豆の啓蒙普及活動(納
豆料理コンテスト)の実施、新しい納豆料理の紹介など)(
5)納豆の効用についての科学的検証(6)業務用市場の開拓
‐などを通して、さらなる納豆の需要促進を図っていく考え
だ。
 これを背景に、中部市場に目を転じると、地殻変動がまだま
だ続いており、これからもひと波乱、ふた波乱が予想されて、
シェア争いの面でも全く楽観を許さない。
 その一番大きな問題点が、冒頭に掲げた安売りの常態化であ
ろう。もちろん、バブル崩壊前の高度成長時代にも、大手メー
カーの全国市場への進出で、地元をも含めて競争激化を引き起
こし、そのための値崩れも当然あった。しかし、それは各社の
営業施策なども含めた、いわゆる常識的な価格対応であり、そ
れほど心配することでなかった。ところが、今日の納豆市場の
安売りは、バブル崩壊後の価格破壊の渦に巻き込まれているわ
けで、これだけの健康食品“納豆”においてすら例外ではあり
得なかったということだろう。
 従って、メーカーサイドからすれば、前のような高収益は望
めなくなったことが明確に指摘できよう。これについては、業
界もある程度認識せざる得ないようで、「従来の価格はコスト
プラス利潤。今は、価格から利潤をマイナスしてコストを計
る。安く売ればコストを下げるしかない」との見方も出てい
る。こうした現状について、流通業界では「価格が元に戻ると
いうのは今後難しいのではないか。かといって、これ以上、価
格が下がることもないだろう」と分析。たとえば増量により、
値下げを防止するなど、中間流通でもチエを絞って懸命な価格
対応を行っている。こうした動きのなかで、シェア争いは大手
は大手同士、また大手と地元勢、さらに地元勢同士という図式
のなかで誠に織烈。
 現在のメーカーシェアが今世紀末から二一世紀へどういう形
になって来るか。今から注目されるところだ。
 そうした中で、現状で地元勢として善戦しているのは、東海
納豆組合傘下の、こうじや、高丸食品、山下食品、村山食品、
高野元秀商店、丸愛納豆、高田食品、政岡食品(以上・愛知
県)、小森食品、貝崎商店、アサヒ食品、湯葉勇商店、大進納
豆本舗(以上・岐阜県)、小杉食品、奥野食品、ハヤシ食品、
ヤマジン食品(以上・三重県)の各社。地元の市場だけに、死
守へ懸命な販売を行っている。
 

『中部納豆特集・問屋はこう見る 昭和=増量で対応、これ以上安くならぬ』
1995/12/04 日本食糧新聞
 
 中部納豆市場の今年の動きはどうだったのか。大手卸の(
株)昭和(名古屋市熱田区、052・681・4151)と
(株)大一(名古屋市熱田区、052・682・7584)の
担当者に流通最前線の動きを聞いた。
 〇……今年の納豆の市況は、例年になく厳しいと思う。その
一番の問題点は、ディスカウントだろう。価格破壊というとオ
ーバーだが、それに近いということだ。これはメーカーが弱気
になっているとか、そんなことではない。ご存じのように、ほ
かの商品も安く売られている。その流れの一つということで、
納豆も残念ながら例外でありえないわけだ。そうしたディスカ
ウント化といっても、これ以上は下がらないと思う。スーパー
での特売の頻度は高くなって来ている。そうした安売りをなん
とか食い止めなければならないので、増量セールで対応して来
ている。いまのところは、これをやっているのは関東勢の二社
となっている。ダブルパックを三段にしたり、カップを四つに
したり、そういうことだ。これだとメーカーとしても量がさば
けるのでいいわけだ。
 〇……納豆の動きを当社の今期4〜9月でみると、売りその
ものは一〇〇%ちょっとだ。やはり夏場が猛暑だったことか
ら、需要がちょっと落ちた。数量ベースでは上がっており、一
〇%くらい伸びているはず。これを見ても価格が下がっている
ことがよく分かる。一〇〇円だと思いっきり売れるとか……。
一〇〇円以下というのはないが……。今まで一二八円とか、一
三八円で売っていたのが、一〇〇円になったりしている。増量
については、こちらからメーカーに頼んだりしている。その価
格競争も冒頭述べた通り、底まで来ているのではないか。そう
見ている。といって、値段はこれ以上には戻らないのではない
か。このまま、推移すると思う。こだわり商品も出て来ている
が、一七八円とか、一五八円なので、特売には入っていない。
そういった商品は上段で売られている。値段は高いが、それは
それで売れている。うちとしても数量はさばきたい。しかし、
値段は崩したくないということで、増量セールといったことを
やっているわけだ。特売で増量セールをやると、数量はものす
ごく出る。最も、やり過ぎると効果はないが……。
 〇……うちの主力製品は地元の丸愛、関東勢のあづま、タカ
ノ、朝日など。売りは各社ともほとんど変わらない。やはり定
番は強い。現在、納豆の月間売上げはうちとして約七〇〇〇万
円。当面、年間一〇億円の達成を目標にしている。((株)昭
和冷凍冷蔵食品部、惣菜課係長)
 

『中部納豆特集・問屋はこう見る 大一=厳しい消費の状況、100円が特売のラインに』
1995/12/04 日本食糧新聞
 
 〇……最近の納豆消費状況は厳しいように思う。例年だと、
5〜6月に若干落ち込むが、それは何とかクリアすることがで
きた。各メーカーがCMなど消費促進へ前向きに取り組んでい
ることもクリアしたことに繋がっていると思う。その後の7月
下旬から8月は、ご存知のような猛暑だったわけだが、大体例
年程度は売れたといってよい。練り製品などは駄目だった。夏
場はどうしても食欲は減退するし、納豆自体も痛みやすい。そ
れでも、そんなに目立って悪いということはなかった。10〜
11月までは、まあなんとか……。そういうことではないか。
 〇……その中での価格問題だが、メーカーによってはかなり
条件を出して来る。商品を回転させることもあるのだろう。全
体がそうだというわけではないが、一部がやると、どうしても
つられることになるようだ。それにより、ボリュームが伸びる
こともあるだろうが、それが長続きするかどうかもある。今ま
で定番で買って頂いたお客さんに対して、いい影響がでるかど
うか。かえって、不審に思われることがあるかもしれない。価
格を下げるためには、ある程度回転させなければならないか
ら、それでボリュームをさばくために、一時やるということが
多いと思う。スーパーで目玉として使うとなると、どうしても
一〇〇円がある程度のラインになる。一四八円とか一五五円と
か、そのあたりを一〇〇円くらいで売るわけだ。しかし、われ
われとしては、納豆を扱ってのマージンは確保させて頂いてい
る。ただ、特売の比率が高くなって来ているので、特売が多い
商品はどうしても率が下がって来る。特売は月何回ということ
でやるスーパーもあるし、こちらの都合でお願いする場合もあ
るし、メーカーが作り過ぎて余っちゃったという場合もある。
それにより定番の動きが悪くなるということもあるから、ある
程度限ってやらなければならないということだろう。
 〇……メーカーの動向については、関東勢は中部ではトント
ンか若干増えている程度ではないか。地元勢の商品は、よそは
どうか分からないが、うちとしては低迷している。これは、商
品力の差もあるだろうし、買い取り、引き取りという差もある
のかも知れない。ともかく、納豆はまだまだ伸びる商品だと思
う。うちとしては今後とも力をいれていきたい。
((株)大一営業部係長)
 

『中部納豆特集 ドミーで見る販売傾向・売れ筋 丸タイプ増える、中身は極小粒化傾向』
1995/12/04 日本食糧新聞
 
 販売傾向や売れ筋などを(株)ドミーで見てみると次の通
り。
 まず、上期における納豆の販売は物量ベースが前年同期比一
二%増、金額ベースは一〇%増(ちなみに食品全体の売上げに
占める割合は〇・三二%)。実際の店頭の場合、同社(食品取
扱い店一三店)の売場は三〜四尺パターンが基本。PB、NB
を含む商品は一一アイテム。商品価格ゾーンは九八円から一九
八円で、中心価格は一一八円。このうち、売れ筋を見ると(
1)ドミー納豆(PB、トレー四段)小売一一八円(2)丸愛
炭火納豆・一二八円(3)朝日モーニング納豆(丸カップ三
個)一四八円(4)朝日ひきわりミニ二四・九八円など。
 全体の傾向としては「丸カップタイプが増えているほか、味
のバラエティー化、また、消臭化傾向もある。粒の大きさは小
粒へ来ていたが、今はさらに細かくした極小粒化の傾向(ドミ
ー担当者)と見ており、納豆自体の需要はまだまだ増加すると
予測でき、TV、雑誌などで宣伝が入ると即売上げに影響があ
るため、各メーカーや協会でのPRが望まれている。
 

『[味な放浪記]納豆の食べ方 左まわしでまぜる、お父さんの名人技』
1995/11/28 毎日新聞 夕刊
 
 納豆にこだわる人は多いようである。特にお父さんに多い。
お母さんで納豆をかきまわすのが大好き、という話はあまり聞
かない。お父さんは厳密である。まず納豆を器にあける。はし
を右手で握りしめる。そして時計回りとは反対の左まわしでか
きまわす。右まわしでもかまわないが、日本人の腕は手前に引
いたほうが強いという合理的な思考がそこにある。納豆のねば
り具合を確かめるにもそのほうがよい。右手の回転に抗(あら
が)うくらいのねばりがあれば最高だ。
 中にはまったく抗わない納豆もたまにある。そのとき「ねば
りのないヤツめ」といって見捨ててはいけない。まな板にとっ
てていねいに納豆のタタキを作りみそ汁の実にするのである。
そのときの相棒は豆腐がよい。納豆と豆腐とみそはともに大豆
族の出身である。おなじ大豆族の出ながらその人生は波乱万丈
であった。みそはすりつぶされ塩にまぶされて調味料になっ
た。豆腐はその原形さえとどめず真っ白な人生を歩んだ。かろ
うじて納豆だけが大豆族の末えいであることを維持してきた。
三者は偶然にも出会い、涙をながしてなつかしがるであろう。
そんなことはないか。
 それはともかく、十分に納豆をかきまわす。その回数にはあ
えてこだわらない。納豆の糸がまく状になり粒が見にくくなれ
ばそれでよい。そこで細かく刻んだネギとカラシを加える。お
母さんたちは「どうせ混ぜるんだから最初からネギとカラシを
入れてもいいんじゃない」というがそれが無神経だというん
だ。最初からネギをいれると高速度でかき混ぜたときネギが器
のそとに飛びだしてしまうのである。納豆を十分にかき混ぜ
「どうぞネギさんいらっしゃい」という態勢をととのえるまで
待たねばならない。
 つぎにしょうゆをそそぐのだが名人クラスのお父さんになる
と納豆の量にたいしてどのくらいのしょうゆを入れればいいか
瞬時に判断する。そしてゆっくりとかき混ぜながら最後の仕上
げをするのである。その日によって味を変えたいときにはその
とき青ノリを加えるのもいい。そうして出来上がった作品をし
みじみとながめお父さんは満悦の笑みをうかべる。
 そこで世のお嬢さん方にお願いしたいのだが、そのとき「お
父さんのかき混ぜた納豆はとってもおいしい」と褒めてあげて
いただきたい。お父さんは、「オレは子供のころからこの技を
きわめようと努力し、この年になってようやく奥義をきわめら
れた。お前もお嫁にいくなら、この技を盗め」と鼻をヒクヒク
いわせながら喜ぶであろう。いまやお父さんにとって食卓で自
慢できるのは納豆のかき回し方ぐらいしかないのである。
(筆・佐藤健)
 

『「本物の味」は国産無農薬 豆腐と納豆を販売−七飯町のピーシー農園/北海道』
1995/11/27 毎日新聞 地方版
 
 渡島管内七飯町の生産法人・ピーシー農園(牧野喜代志代
表)がこのほど、一〇〇%無農薬の国産大豆を使用した豆腐と
納豆の販売を始めた。今のところ共同購入方式だが、広く「本
物の味を知ってもらう」ため、函館市と近郊に限って一般の注
文にも応じたいと話している。
 同農園の国産大豆使用は十年余の実績があるが、無農薬は初
の試み。千葉県の生産農家から取り寄せ、豆腐は七飯町の、納
豆は函館市の業者の協力で製造している。
 その際、納豆はタレやカラシを使わないなど、牧野さんが自
らに課した条件を付けている。カラシには発がん性のある「ウ
コン色素」が入っており、添加物の一掃の表れ。
 納豆の容器も化学製品をやめ、木の皮「経木(きょうぎ)」
に包んで「納豆菌が呼吸でき、風味を損なわない」工夫も。牧
野さんによると、豆腐の原料は九五%が輸入物。輸入物にはポ
ストハーベストが当たり前のため、安全性に疑問が残るとい
う。
 販売価格は豆腐は四〇〇グラム二百六十円、納豆は一〇〇グ
ラム百二十八円で、いずれも普通の倍から五割増し。無農薬国
産大豆の値段が輸入物の五倍程度のためだが、「おいしさは保
証付き」という。
 毎週水曜日に各百五十個前後製造、宅配している。函館市や
上磯、七飯、大野三町なら共同購入の会員以外でも注文に応じ
られるという。問い合わせは(0138・65・8779)
へ。
 

『外観・粘りなど審査 県納豆鑑評会に30点−−茨城 /茨城』
1995/11/23 毎日新聞 地方版
 
 茨城町の県工業技術センターで第七回県納豆鑑評会がこのほ
ど開かれた=写真。品質向上を目指す納豆業者の勉強会で、十
八社が出品した三十点を河野通忠・同センター長ら十二人の審
査員が、外観やにおい、糸引き具合や硬さなどを十点満点で採
点した。最高得点の八十九点を取ったのは、大粒大豆から作っ
た納豆だった。
 同センターによると、県産の納豆の特色は「小粒で、糸引き
が強いこと」。県内の納豆生産の開始は、水戸が小粒大豆の産
地だったことが主な要因で、現在は四十以上の業者が全国生産
量の約六割分を作っている。納豆の種類も、昔ながらのワラに
包まれたものから、金粉をまぶしたものまでさまざま。全国納
豆組合連合会の高星進一理事長は、「健康と美容に良い納豆
は、全国的に消費が伸びている」とPRしていた。
 

『[あぐり相談]納豆を作りたい、菌の販売会社は』
1995/11/19 日本農業新聞
 
問い
 納豆を自家生産したいと思いますが、納豆菌を販売している
ところを教えて下さい。
 (山形県村山市・工藤生ほか)
答え
 農水省食品総合研究所(茨城県つくば市)によると、納豆菌
を市販しているところは三社あります。
 いずれも納豆メーカー用の菌を販売しています。いわば工場
のプロ向け。「素人には取り扱いが難しい」(仙台市にある有
限会社・宮城野納豆製造所)ため、どの会社も家庭向けの販売
には、あまり積極的ではありません。
 そんな中で、東京都練馬区にある叶ャ瀬発酵化学研究所で
は、郵送でなら販売に対応してくれるそうです。四グラムの粉
末で六百円。一般の家庭ではこれだけあれば十分だとのことで
す。返信用の封筒に八十円の切手を張って同封して下さい。料
金は六百円分の切手でも良いそうです。
 同社の所在地は、〒176 東京都練馬区練馬二ノ一八ノ七
で、郵便で申し込んで下さい。電話での注文は遠慮してほしい
とのことです。郵送する菌には製造法を解説したパンフレット
を付けるそうです。
 市販の納豆にも納豆菌が生きたまま付いています。菌を買わ
なくてもこれを利用すれば、納豆はつくれるそうです大豆を晩
水につけてから煮て、納豆菌か納豆を混ぜて四〇度前後の温度
に保って発酵させます。約一日でできるそうです。
 雑菌が入りやすいこと温度の管理が難しいことから、納豆の
自家製産にはカビが生えてしまうことが多いようです。農水省
食品総合研究所でも「カビがこわいので、素人にはあまりお勧
めしていない」と話しています。
 

『公開セミナー「高齢社会を迎えての栄養と効果―納豆の機能成分と効能」』
1995/11/18 毎日新聞 朝刊
 
 ◇公開セミナー「高齢社会を迎えての栄養と効果―納豆の機
能成分と効能」 28日(火)午前10時―午後5時、東京都
渋谷区渋谷4の4の25のアイビーホール青山会館3階アロン
(地下鉄表参道駅下車B1出口)。日本工業技術振興協会と天
然物・生理機能素材研究委員会が、全国納豆協同組合連合会の
協力を得て発表する。宮崎医科大教授の丸山真杉さんの「納豆
の血圧への影響」などの研究発表が行われる予定。希望者は事
前に日本工業技術振興協会(03・3238・5300)へ電
話予約をする。
 

『決算から――旭松食品、中間期は増収増益。』
1995/11/17 日本経済新聞 地方経済面
 
 旭松食品 九五年九月中間期の売上高は前年同期比七・三%
増の七十億五千二百万円、経常利益は二億七千三百万円(前年
同期比二八・一%増)、最終利益一億四千六百万円(三九・
五%増)で増収増益となった。商品アイテムの追加や生産の合
理化が奏功した。部門別の売上高は、凍り豆腐二十五億七千九
百万円、即席みそ汁など加工食品が二十五億五千九百万円、納
豆が十六億九千八百万円。
 九六年三月通期では売上高百四十七億円(前期比三・五%
増)、経常利益七億一千万円(一三・八%増)、最終利益三億
五千万円(六九・一%増)を見込んでいる。
 

『エッ糖尿なの、それじゃこれ食べてみたら(春秋)』
1995/11/14 日本経済新聞 朝刊
 
 「エッ糖尿なの。それじゃこれ食べてみたら」と藤本敏夫さ
んが自家製の納豆を食べさせてくれた。「地球納豆倶楽部」を
作り、販売もしているとあって、納豆を練る手つきもどこか違
っていた。「これはね、うまいんだよ」とわが子をいたわるよ
うな表情で練り続ける。
 
▼元全学連委員長というよりは歌手加藤登紀子さんのだんなさ
んといったほうが通りがいいが、三年近くもの刑務所生活を終
えて“シャバ”に出た藤本さんを待ち受けていたのは、文明病
ともいうべき糖尿病だった。それから糖尿病との闘いが始ま
る。食事制限をせよ、運動をせよ、それができなければ失明す
るぞ、などと医者に警告され、できずに自己嫌悪に陥るという
糖尿病患者のお決まりのコースに入り込んだ。
 
▼日本の糖尿病患者は六百万人。「糖尿」といういささか響き
の悪い病気ゆえに、隠れ患者もかなり多いはずだ。万病のもと
といわれ、薬で血糖値を下げることはできても、根本的に治す
のは難しい。藤本さんは「刑務所に入れば事は簡単だが、糖尿
病治療のために刑務所には入れない」(「藤本敏夫の糖尿病変
革論」)と、社会にあるあらゆるストレスが原因だと指摘す
る。
 
▼藤本さんの納豆をはじめ漢方薬、針治療、気功と効果があり
そうなものにはすべて飛びつきたくなるのが、この病気の患者
の特徴である。痛みでもあればまだしも、初期には自覚症状も
ない。何とかしなくてはと焦りながらも、毎日の生活に悪戦苦
闘し、ストレスはたまるばかり。だれか早く特効薬を発明して
くれぬものかと祈るばかりだ。
 

『茨城県内4社の納豆歳暮ギフトに結集――ボンベルタ伊勢甚詰め合わせを投入。』
1995/11/08 日本経済新聞 地方経済面
 
 百貨店のボンベルタ伊勢甚(水戸市、鶴田次政社長)は今年
の歳暮ギフトに、オリジナル商品の「水戸納豆づくし」=写真
=を投入する。茨城県のメーカー四社の納豆を詰め合わせた。
「一社だけの詰め合わせと違って、さまざまな納豆が味わえる
のが特徴」という。
 水戸納豆づくしには、タカノフーズ(小川町)の「副将軍
」、くめ・クオリティ・プロダクツ(金砂郷町)の「丹精」、
丸真食品(山方町)の「舟納豆」、だるま納豆本店(水戸市)
の「わら納豆」が入っており、価格は送料込みで四千五百円。
 

『からし特集 業務用=納豆の“食効”で活気 おでん需要などで明るさ』
1995/11/08 日本食糧新聞
 
 昨年、やや明るいきざしが見えてきた業務用(加工用を含
む)関係は、厳しい基調は同じながらも、その明るさが増して
きている。
 その最たる例が、ここにきて再び納豆の食効が喧伝され、別
添小袋詰めのからしに活気がでてきたためだ。納豆の食効は、
大豆発酵食品のひとつとして、成人病予防などの面から早くか
ら注目を集め、その売行きも上昇の一途をたどっていた。
 それが、一昨年来の“コメ騒動”でコメ離れが生じ、売行き
も急速に鈍化。別添小袋詰めからしの競合激化もあって、業務
用からし全体の市場を冷え込ませる要因ともなっていた。その
コメ騒動も昨秋以降はしだいにおさまり、納豆の需要もそれに
連動して回復。
 今秋、テレビのワイドショーで再び納豆の食効が取り上げら
れたことを契機に、その動きも一段と加速。最近では、全国紙
が「骨粗鬆症の予防に効果がある」との、東京大学病院老人科
の細井孝之助手らの研究成果を掲載したこともあって、その動
きもさらに確実なものとなりそうだ。
 業務用といえども、からしの需要は下期のウエートが高い。
居酒屋や屋台を含めて、おでんメニューが増えるほか、コンビ
ニエンスストアなどでも、持ち帰り用のおでんメニューを用
意。その添付サービスとして、小袋品のからしをつけるため
だ。
 納豆用をはじめとした別添小袋用のからしも、その競合は激
しい。「量に売上げの伸びがともなわない」というのが、これ
までのパターンだが、納豆の需要が急激に回復すれば、その悩
みもいくらかは解消できそうだ。
 加工用のわさびやマヨネーズの原料用途は、あまり変化もな
く構造要因からくる低迷が続いている。ただ、昨年は家庭用で
も伸びた粉からしが、一部メーカーでは「伸びている」とい
い、従来の簡便化路線一辺倒とは、やや違った“こだわり”の
傾向もでてきている。
 また、外食関係の業務用途も、相変わらず厳しい状況が続い
ている。おでん、とんかつ、中華などの和中華系のからし、洋
食系のマスタードなど、いずれも使用メニューが限定され、ヒ
ットメニューの開発も至難の中で、この分野も構造的な要因が
強まっているといえそうだ。
 あまり変化のない市場の中で、製品の“国際化”の動きがで
てきた。
 昨秋、サカイスパイスが、カナダ(工場)進出を正式に発
表。その半製品(ケーキ状)が、早ければ今月中にも輸入さ
れ、粉末での輸入も射程に入れ、来春の本格稼働を目指してい
る。
 一方、チヨダでは、このほど中国向けにマスタード(びん
詰)をサンプル出荷。市場経済化の国際化の進む巨大市場をに
らんで、日本製マスタードの市場開拓に乗り出したことなどが
その一例。全面的に輸入にたよる原料に続いて、からし製品で
も輸出入の両面で“国際化”への道を歩み出そうとしている。
 国内のからしメーカーは、主に関東以西に散在。その中で埼
玉のサカイスパイスとチヨダ、それに中部の美ノ久が専業の
“御三家”といえるところ。
 このほか、総合香辛料メーカーの平和食品やテーオー食品。
千葉のユニ・フード、それに、タレや調味料などの小袋充填専
業のアミュード(埼玉)などが活躍している。
 

『脳の働き高める納豆、ヤマダフーズ(新製品)』
1995/11/04 日経流通新聞
 
脳の働き高める納豆
 脳の働きを高めるレシチンを豊富に含む納豆「マイケルの天
才くん・IQ200粒」。
 発売元が開発した納豆菌を使用し、レシチンの量を一般の納
豆の1.5―2倍に増加させた。レシチンは、記憶力を高める
物質のアセチルコリンを作るという。さらに、DHA(ドコサ
ヘキサエン酸)も添加した。
 商品名は米の天才少年の名にちなんだ。価格は50グラム×
3カップ入り、170円(たれ付き)。
 発売元はヤマダフーズ(秋田県仙南村野荒町街道の上27
9、TEL0182・37・2246)。
 

『骨粗鬆症予防に納豆食べて 週2回でビタミンK2が8倍 東大助手が研究』
1995/10/25 東京読売新聞 夕刊
 
 骨粗鬆(こつそしょう)症の予防で納豆に効果があること
が、東京大学病院老人科の細井孝之助手(骨代謝学)らの研究
で明らかになった。市販の納豆一パック(八十グラム入り)
で、予防効果は一週間続くことがわかり、細井助手は「週二回
は納豆を食べて」と話している。
 納豆には、骨の形成を促進するビタミン(K2)が多く含ま
れているが、納豆の摂取量と血液中の(K2)濃度との関係は
不明だった。細井助手らは女性四十九人(平均年齢六十七歳)
を対象に、納豆を食べる回数と(K2)の血中濃度を分析。週
二回以上食べている女性の(K2)濃度は約八ナノ・グラム
(ナノは十億分の一)、週一回では三ナノ・グラム、ほとんど
食べない人は一ナノ・グラムだった。
 また、二週間納豆を食べなかった後、一パックの納豆を摂取
した女性八人の血中濃度変化を追跡調査した結果、摂取翌日に
は食べる前の約十五倍に増加、七日後も二・五倍だった。
 都道府県別の納豆消費量と骨折頻度の相関関係を分析したと
ころ、消費量の多い地域では骨折が少ないこともわかった。細
井助手は「納豆はタンパク質やカルシウムも豊富。週二日食べ
れば、骨粗鬆症の予防になる」と話している。
 

『ヤマダフーズ、用途提案型の納豆拡販。』
1995/10/24 日経産業新聞
 
 【秋田】大手納豆メーカーのヤマダフーズ(秋田県仙南村、
山田清繁社長)は用途提案型納豆の販売に力を入れる。その第
一弾として、新種納豆菌を使った野菜サラダ向け納豆「サラダ
に納豆」(商品名)と手巻きすし用納豆「手巻きひき割り」
(同)の販売をこのほど始めた。いずれも、糸引きの強さを通
常の納豆の半分に抑える一方で、うまみのもとになるグルタミ
ン酸の含有量はそのまま維持しているのが特徴という。サラダ
に入れてもべとつかず、手巻きにしてもさらっとしているの
で、美容や健康に関心の高い若い女性を中心に市場開拓を急
ぐ。
 「サラダに納豆」と「手巻きひき割り」は、自社開発の納豆
菌を使って開発した。納豆菌はワラや笹、エノコロ草に付着す
る枯草菌の一種。同社は国内外で収集してきた納豆菌に紫外線
を照射して突然変異を起こし、糸引き具合を低下させながら、
グルタミン酸含有量は変わらない納豆菌二種類を人工的に作り
出したという。
 その一つでサラダ向けを商品化、納豆サイズを小さくするの
に適したもうひとつの菌を使ってひき割りを作った。
 すでに二製品とも北海道、東北、関東地区で販売を始めてお
り、価格は「サラダに納豆」が五十グラム入り二個で百二十
円、「手巻きひき割り」が四十グラム入り二個で百二十円。そ
れぞれ初年度一億円の売り上げを目指す。
 

『食文化研究の報告会/味の素食の文化センター』
1995/10/22 東京読売新聞 朝刊
 
 財団法人味の素食の文化センターでは、十一月十四日午後一
時半から東京・京橋の味の素本社で、食文化研究助成事業の事
例報告会を開く。今回発表するのは、「東アジアのすり鉢文
化」「江戸後期から明治・大正の食物番付」「熱帯・亜熱帯ア
ジアの納豆食品」――の三例。無料。定員百人。
 申し込みは往復はがきで、住所、氏名、年齢、職業、電話番
号(返信用はがきにも住所と氏名)を書き、〒104東京都中
央区京橋一の一六の七、財団法人味の素食の文化センター事務
局(03・5250・8357)へ。締め切りは二十五日(消
印有効)。
 

『骨粗鬆症を納豆で予防 ビタミンK2増える 東大助手らが研究発表/大阪』
1995/10/21 大阪読売新聞 夕刊
 
 骨粗鬆(しょう)症の予防に納豆が非常によいことを、東京
大学病院老人科の細井孝之助手(骨代謝学)らが突き止め二十
日、大阪市で開かれた日本老年医学会で発表した。市販の八十
グラム入り一パックを食べると効果は一週間続き、細井助手は
「週二回は納豆を」と話している。
 納豆にはビタミンK2が多く含まれ、このビタミンが骨の形
成を促進することがわかっている。しかし、摂取量と血液中の
濃度との関係は不明だった。
 細井助手らは女性四十九人(平均年齢六十七歳)を対象に、
納豆を食べる回数とK2の血中濃度を分析。週二日以上食べて
いる女性のK2濃度は約八ナノ・グラム(ナノは十億分の一
)、週一日は三ナノ・グラム、ほとんど食べない人は一ナノ・
グラムだった。
 また、二週間納豆を食べなかった後、一日だけ市販の八十グ
ラムを摂取した女性八人の血中濃度変化を追跡した。摂取翌日
には食べる前の約十五倍に増加、七日後も二・五倍だった。
 都道府県別の納豆消費量と骨折の頻度を分析、消費量の多い
地域は骨折が少ないこともわかり、細井助手は「納豆はタンパ
ク質やカルシウムも豊富。週二日食べれば、骨粗鬆症の予防に
なる」と話している。
 

『納豆TPOで使い分け時代――ヤマダフーズ「サラダ」「手巻き」に新開発の菌を使用。』
1995/10/19 日本経済新聞 地方経済面
 
 大手納豆メーカーのヤマダフーズ(秋田県仙南村、山田清繁
社長)は付加価値を高めた用途提案型製品の第一弾として、自
社開発の新種納豆菌を使った野菜サラダ向けの「サラダに納
豆」と手巻きすし用の「手巻きひき割り」を発売した。糸引き
の強さを通常の納豆の半分に抑えており、べとつかない点を売
り物に、美容や健康に関心の高い若い女性に売り込む。
 自社開発の納豆菌はワラや笹(ささ)、エノコロ草に付着す
る枯草菌の一種。同社は国内外で収集した納豆菌に紫外線を照
射して突然変異を起こし、糸引きの強さが低下しても、グルタ
ミン酸含有量が変わらない納豆菌を作り出した。
両製品とも北海道、東北、関東地区で販売を開始。価格は
「サラダに納豆」が五十グラム入り二個で百二十円、「手巻き
ひき割り」が四十グラム入り二個で百二十円。それぞれ初年度
一億円の売り上げを目指す。
 同社はこれまで、通常の納豆を製造、販売してきたが、サラ
ダや手巻きずしなどの食べ方を提案して市場を開拓する考え
だ。
 

『ふりかけ・お茶漬特集  静岡地区=真富士屋食品「昔ながらのふりかけ」など販売』
1995/10/18 日本食糧新聞
 
 【静岡】ふりかけ、麺つゆ・具材などの地元大手メーカー、
真富士屋食品(株)(静岡市、054・286・2281)は
新製品「モロヘイヤ入り野菜ふりかけ」と、三十数年前、山
梨、静岡両県下でシェアトップの座にあった真富士屋のふりか
けを「昔ながらのふりかけ」と改め10月初旬から一斉販売に
入った。同時にびん入りふりかけ納豆、ツナマヨネーズ、しら
すなどのデザインを一新、店頭で目立つような色合いに変え
た。
 ふりかけといえば「真富士屋のふりかけ」といわれた時期が
あった。昭和30年代から始まったふりかけの市場拡大の頃で
ある。同品再チャレンジの動機は買物をする主婦層が「真富士
屋のふりかけを食べて育った」人達が子育ての年齢であること
などによるもの。カルシウムが豊富で温かいご飯にふりかけて
食べるのが同品の最もうまい食べ方だ。
 今回はカレンダー式で提案する。狭い店頭でも取り扱うこと
ができるのが大きな特徴だ。モロヘイヤ入り野菜ふりかけは野
菜を食べやすい味に加工した。
 同社ではクッキング餃子、あんかけの素などもカレンダー式
の商品に切り替えて販売を始めたが、今後店頭の反応をみなが
ら他の商品もカレンダー式に変えるかどうかを決める。
 

『新品種の横顔15、高収益で納豆向き、大豆「鈴の音」』
1995/10/12 日本農業新聞
 
 ▽「鈴の音(ね)」(だいず農林101号)=旧系統名「東
北115号」。農水省東北農試が育成した、収益性の高い納豆
用の小粒大豆として有望な品種。
 昭和五十八年に「刈系244号」を母、「刈系221号」を
父に人工交配。以後、選抜・固定を図ってきた。
 主茎長は「コスズ」よりやや短い。主茎節数と分枝数は「コ
スズ」より少なくいずれも「中」。伸育型は「有限」、熟した
さやは「褐色」、粒の大きさは「コスズ」よりもわずかに大き
く「小粒」で、粒形は「球」。
 成熟期は「コスズ」より十六日早く「早の晩」。倒伏抵抗性
は「強」で、子実収量は育成地では「コスズ」より劣るが、採
用県では優れる。ダイズモザイク病、紫斑(しはん)病、立枯
れ性病害への抵抗性は「中」、ダイズシストセンチュウ抵抗性
は「弱」。
 子実成分は「コスズ」並みで、粗たんぱく、粗脂肪とも「
中」で、納豆加工適性に優れている。裂皮性は「無」、外観品
質は「上の下」。
 適地は東北北部。岩手県の大豆作付面積は、水田転作緩和な
どで減少している。しかし大豆は土地利用上あるいは労働配分
の面で、今後とも重要な作物。健康食品志向からも、県大豆の
需要は高まっている。大豆作の振興を図るには省力機械化とと
もに、より収益性が期待できる品種の導入が重要だ。
 「鈴の音」は早生で、岩手県中央部以北では「コスズ」より
収量性で優り、耐倒伏性があり、機械化適性も優れている。従
って収益性の高い納豆用の小粒大豆として有望で、岩手県中・
北部を中心に導入される。
 栽培上はダイズシストセンチュウ抵抗性が「弱」なため、線
虫発生ほ場への作付けは避け、適正な輪作で栽培する。ウイル
ス病多発地では、アブラムシの防除に努める。
 

『[論説]国産大豆の利用拡大で振興を』
1995/10/07 日本農業新聞
 
 納豆というと、すぐごはんというくらい伝統食のイメージが
強い。スーパーの納豆売り場を見ると「国産大豆一〇〇%使
用」という商品が目につく。「国産大豆」にこだわりがあり、
商品化計画もここに重点があることが分かる。価格も外国産を
使ったのと比較して高い。納豆の売り場はにぎやかでどんどん
変化している。国産大豆使用の納豆にもっと注目すべきであ
る。
ふやせ納豆用需要
 納豆用には全国で、十万トンの大豆が使用されるという。大
半は輸入大豆を原料とする。国産は納豆用専用種である小粒種
類を含めて、一万トン程度という。消費者も外国大豆使用の納
豆で、違和感が無いということかもしれない。
 国産大豆の生産量は九万八千八百トン(平成六年)に過ぎな
い。作付面積、生産量とも漸減している。需要は製油用、飼料
用、それに食用の合計で五百八十二万トンである。自給率はわ
ずか四%である。
 納豆に国産大豆使用を増やすにはどうすべきか。第一に国産
大豆を使った納豆の消費を増やすことである。総務庁の家計消
費調査によると、一九八六年から毎年、前年比増を記録してい
た。九三年には前年比一〇二・一、三千百六十六円の支出だっ
た。
これが九四年からは基調が変わり、三千十三円、前年比九五・
二となった。今年に入ってもこの基調は変わらない。業界では
販売努力を「価格破壊」などの動きによって、減殺されたとい
う。メーカーが全国各地で過当競争に陥っているのも事実だ。
 一方納豆にあまりなじみを示さなかった関西以西の消費者
に、食べるように仕向けていき、消費に広がりをつくったこと
は、他業界でも高い評価を受けている。この際自信をもって、
国産大豆使用による納豆の安全性と、健康食品としての食べ方
の多様性を一層訴えていくべきである。
 第二に商品の工夫である。首都圏の有力生協であるコープか
ながわが、九二年九月に「納豆シンポジュウム」を開いたこと
が記憶に新しい。参加組合員が「タレは必要か」をめぐって長
時間議論して、納豆の食べ方と商品づくりに多くのヒントを与
えた。タレとからしがセットになれば、その分コスト高になる
ことも分かった。
 一方伝統回帰の包装、三連カップなど包装タイプが多様化し
つつある。原料大豆の説明も納豆が一番詳しいし、それだけ原
料を大事にしていることになる。あとは量目の問題だろう。最
低三十グラム入りから五十グラムを中心にした少量化は、少
食・個食化への対応だというが、商品価格に占める国産大豆の
原料代の低下にならぬよう、一層の努力を望みたい。
生産と流通の工夫を
 第三に生産と流通の問題である。国産専用種は小粒種類なの
で他の用途に転用が難しい。従って産地との契約生産にもさら
に工夫が求められよう。生産費は六十キロ当たり三万千四百三
十八円(五年)。実取引は一万四千二百十八円の基準価格をふ
まえて入札で契約される。基準価格の現行価格堅持を求めて生
産者・JAも要請運動中である。国産納豆が局面展開の糸ひき
になってほしいものだ。
 

『[やらまいか]静岡ベンチャー列伝/1 緑大豆の納豆−冨良食品/静岡』
1995/10/05 毎日新聞 地方版
 
 ◇「目においしい」がヒット 加熱後も「緑」残す製法開発
 円高だ空洞化だと、このところ産業界は元気がない。しかし
「企業のデパート」静岡県を見渡せば、どっこい、ベンチャー
(冒険的)な起業家魂が消えたわけではない。このシリーズで
は、物事に果敢に挑戦する「やらまいか」精神が、この言葉を
生んだ遠州地域に限らず、広く静岡各地で新しいビジネスを生
もうとしている姿を紹介する。
 納豆づくり二十六年の冨良食品、冨永昌良社長(52)は、
五年前に小粒納豆の商品化に乗り出した時、農家から「小粒だ
けでは困る、緑大豆も買って欲しい」という条件を付けられ
た。重さで値が決まる大豆は、粒が小さいほど生産効率が低い
からだ。仕方なく緑大豆も買った。「さて、この大豆をどうし
よう」
 納豆は大豆から作る。大豆は色だけでも黄、黒、緑、赤の四
種類がある。しかし納豆は黄色大豆でしか作られていない。な
ぜ「緑色の納豆」はないのか。二年前にそう思い付いた時、冨
永さんの「やらまいか」が始まった。
 まず大豆を軟らかくするため、黄色大豆と同じように高圧が
まで一時間ほど蒸してみた。ところがせっかくの緑色が、灰色
に変わってしまった。「まるで食欲をそそらない」
 そこで考えた。「葉緑素は銅クロロフィル。銅のかまで蒸し
てみたらどうだろう」。また失敗だった。県の工業技術センタ
ーにも通って研究した。
 行き詰まったころ「おいしい薄皮まんじゅうは『せいろ』で
作れても『かま』ではできない」というお菓子屋さんの話を耳
にした。確かに納豆も、せいろで蒸すとどこか味が違う。試行
錯誤の挙げ句、水煮工程を取り入れることと時間と加熱のバラ
ンスを調整することで、ついに鮮やかな緑色を確実に残せるよ
うになった。
『緑大豆の納豆』は二パック百三十円。従来品に比べ特別の
栄養がプラスされているわけではないが、大豆の糖分が多いこ
とから香りが濃厚である。今春、出荷を開始して以来、消費者
の反応は上々。やはり緑色は「目においしい」らしい。
 着色料を使えば簡単に大量生産できるが、「無添加は冨良食
品の精神的支柱」だから、それはしない。そして「地元の商店
といっしょに成長する」というのが冨永社長の信条なので、静
岡、山梨県にしか卸さない。冨永さんのこの頑固さが、不思議
な納豆を生んだエネルギーなのだろう。(題字は静岡県書道連
盟理事長・佐藤芳谷氏)
 ◇冨良食品
 静岡市用宗4―2―18(電話054―259―2229
)。1924年創業の鮮魚商「冨良」を、76年に昌良さんが
株式会社に改組。納豆製造と冷凍・冷蔵食品卸。資本金1千万
円、年商5億円。「緑大豆の納豆」は日産500箱。
 

『【料理レシピ】あつあつがおいしい 納豆いなりの磯辺揚げ』
1995/10/05 産経新聞 朝刊
 
 【作り方】
 (1) 長ネギはみじん切りにする。
 (2) ボウルに納豆と溶きほぐした卵、(1)、しょうゆ
大さじ1、練りガラシ小さじ1を入れて混ぜ合わせる。
 (3) 油揚げはざるに並べて熱湯を回しかけ、水気を絞っ
て2等分し、切り口をていねいに開いて袋状にする。
 (4) のりは1枚を6等分に切る。
 (5) 小麦粉大さじ1を水大さじ1・1/2で溶きのば
す。
 (6) (3)に(2)を等分して詰め、(4)の両端に
(5)を塗って巻く。
 (7) (6)を170度の油で色よく揚げる。
 (8) 器に青ジソなどを敷いて(7)を盛る。
 【材料メモ】
 納豆(100グラム)    …………2パック
 長ネギ…………1/2本
 卵………………1個
 油揚げ…………6枚
 のり……………2枚
 しょうゆ、練りガラシ、小麦粉、揚げ油
 

『国産大豆使いおいしく安全な納豆、小杉食品(新製品)』
1995/10/03 日経流通新聞
 
 おいしさと安全性にこだわり、国産大豆のみを使用した納
豆。納豆の消費金額が伸び悩んでいることを考慮し、本物志向
の納豆を商品化。
 北海道産・大粒大豆を使用し、やわらかくもっちりした歯触
りの「日本の大粒」、納豆用に品種改良した北海道産・小粒大
豆を使った「日本の小粒」、国産の大粒大豆をひきわった「日
本のひきわり」の三種類。
 添付のたれやからしにも添加物は使っていない。価格はいず
れも二食(一食五十グラム)入り、百四十円。
 発売元は小杉食品(三重県桑名市安永一ノ九三八、TEL0
594・22・1871)。
 

『タカノフーズと武井工業所が私募債。』
1995/09/26 日本経済新聞 地方経済面
 
 納豆メーカーのタカノフーズ(茨城県小川町、高野英一社
長)とコンクリート二次製品メーカーの武井工業所(茨城県石
岡市、武井勇社長)は相次ぎ私募債を発行する。タカノフーズ
は四回目で二十六日に一億円発行、設備資金にあてる。七回目
の武井工業所は二十九日に一億円発行、長期運転資金とする。
共に期間は七年で、常陽銀行が単独で受託する。
 

『タカノフーズ、完熟丸大豆使用納豆「水戸一番」発売』
1995/09/20 日本食糧新聞
 
 タカノフーズ(茨城県東茨城郡、営業推進部=03・384
5・7010)は1日から、新製法(新おかめ製法)で作り上
げた納豆二品を新発売した。
 完熟丸大豆を使用した「水戸一番」、有機栽培の大豆を一〇
〇%使用した「有機まるまる丸大豆」の二品で、“新・おかめ
製法”を開発し低温完熟発酵を採用している。
 両品とも、この低温完熟発酵により、ムラなく均一な発酵を
実現し、糸引きも豊富で、より一層うまみがアップした納豆と
なっている。
 また両品とも、新型容器(ゆったり容器)を採用している。
 容量・参考小売価格は「水戸一番」が五〇g×三、一六八
円。「有機まるまる丸大豆」が五〇g×二、一一八円。
 発売地域は、「水戸一番」は東日本を中心に展開、「有機ま
るまる丸大豆」は全国。
 

『納豆作りに挑戦−板橋/東京』
1995/09/15 毎日新聞 地方版
 
 身近な健康食品「納豆」を実際に作りながら、そのしくみや
栄養について学ぶ消費生活講座が十四日、板橋区板橋二、区消
費者センターで開かれた。
 区内の若い人から年配者まで男女三十六人が参加。都食品衛
生協会東京食品技術研究所食品化学検査課の小林厚文課長を講
師に納豆作りに挑戦した。蒸し煮した大豆をカップに取り、市
販されている納豆のねばねばを付けたスプーンで混ぜるという
方法。二十四時間ほどすれば食べられるという説明に、参加者
は「こんなに簡単とは」とびっくりした様子。また、納豆に含
まれるタンパク質や脂肪などの量をハムや卵と比較し、健康食
品といわれる理由を学んでいた。
 

『[東京5つ星シリーズ]和食の基本(2)納豆と卵、栄養は満点(連載)』
1995/09/14 東京読売新聞 夕刊
 
 「和食の基本」シリーズの二回目は、食卓の栄養源・納豆と
卵を紹介する。原料の大豆や製法にこだわった納豆、鶏のエサ
や飼い方に違いを追求した卵。各店自慢の一品は、食卓を明る
く変えてくれるのではないか。毎日付き合うものだから、この
際、じっくりと本物の味を選んでみてはいかがだろう。
 〈納豆〉 昭和二十六年に創業した当時の製法を守るのが矢
口納豆製造所(浦和市、048・886・4067)。低圧ガ
マでゆっくり煮た国産大豆を、木の室で発酵させ、スダレ形の
ワラに詰めている。
 「がんこおやじ小粒」が八十グラム百四十円、丹波の「黒豆
納豆」が百グラム五百円など。埼玉県南部や東京の西武沿線な
どで自動車の巡回販売を行うほか、十二個以上の注文は郵送に
応じる。
 小山商店(国立市、0425・72・1404)の納豆は、
無農薬・低農薬の国産大豆を使用。室の中で炭火をたいて納豆
菌の働きを活性化。うま味と日持ちのよさが自慢という。
 「信濃路」(百五十グラム二百五十円から)、「小山さんち
の炭火納豆」(百グラム百二十円から)はいずれも小粒だが、
大粒の注文生産にも応じる。店頭販売のほか、FAXやはがき
での注文にも応じる。
 大力納豆(新潟県小出町、02579・2・0411)は各
種工夫をこらした納豆を扱っている。コウジや食塩でまろやか
に下味をつけた「味付納豆」(百四十グラム二百円)、刻んだ
ワカメ入りの酢みそで味わう「わかめ納豆」(八十グラム百三
十円)、トウガラシやゴマ入りの「辛味納豆」(二百グラム五
百円)など。真空パック入りは冷蔵庫で一か月は保存できる。
 「おかめ納豆」で知られる業界最大手のタカノフーズ(台東
区、0120・030710)は今月から、新容器、新製法に
よる「有機まるまる丸大豆」(百グラム百十八円)、「水戸一
番」(百五十グラム百六十八円)を発売。深底のゆったりした
容器を使い、豆を低温でじっくりとムラなく発酵させたとい
う。
 1年間に1家庭で食べる納豆は、金額にして全国平均が約3
010円。最近は西日本でも納豆を抵抗なく食べる人が増えて
はいるが、まだまだ納豆は東日本の食べ物。いまだ地域差は大
きく、水戸市の約7050円、福島市の約5970円に対し
て、大阪市約1340円、高松市約840円などとなってい
る。
 

『くめ・クオリティ・プロダクツ――高品質納豆を安く(茨城県企業21世紀への挑戦)』
1995/09/07 日本経済新聞 地方経済面
 
 有力納豆メーカーのくめ・クオリティ・プロダクツは激変す
る世の中に合わせて経営戦略を柔軟に切り替える。ここ数年、
市場で競争激化による価格低下が一段と進んだため、「高品質
の納豆を高めの価格で販売する」という従来の方針を軌道修
正、品質の高い商品をより安く提供することにした。研究開発
型の食品メーカーを目指しており、納豆市場は成熟するとみ
て、総菜や健康食品の開発に取り組むなど多角化にも乗り出し
た。
 納豆生産の全国展開にも着手。このほど函館市に約四億円か
けて工場を完成させた。同社の商品は茨城県の本社工場から供
給しているが「工場から遠くては食品販売は難しい」(石塚昇
一郎社長)ためだ。函館工場は一日十万パックの生産能力があ
り北海道での供給拠点となる。
 また、関西では一日三十万パック生産できる工場の建設に来
年着手。さらに、茨城県でも江戸崎町に四年後をめどに一日百
万パックを生産する同社の中心工場を建設する計画だ。江戸崎
の工場は「生産効率、技術など業界一を目指す」(同)として
おり、納豆生産は数年で大幅に拡大することになる。
 一方で、同社のセールスポイントである「質」の追求も続け
る。本社近くの高柿地区に確保した一ヘクタールの土地の一部
を使い、このほど約二億円かけて納豆研究所「クオリティ・セ
ンター」を完成させた。建築面積は約六百六十平方メートル
で、大豆の品種改良や納豆菌の培養などに取り組んでいる。
 さらに、この研究所に隣接して、総菜、健康食品、スナック
や納豆を応用した新製品の開発・生産に取り組む「手づくり工
場」を建設する。「納豆だけでは生き残れない」(石塚社長)
として事業を多角化するのが狙い。建築面積は約千六百平方メ
ートルで、工事費は約三億円。来年着工の予定。
 総菜はグルメ志向のパーティー用軽食を開発する。欧米並み
にパーティーの習慣が根付いてきたにもかかわらず専用の軽食
が少ないとみて、味にこだわった手軽に食べられるメニューを
つくる。スーパーの店頭で販売するほか、ホテル、飲食店への
納入も検討している。手づくり工場の周辺には納豆料理が食べ
られるレストランや納豆販売店の設置も計画しており、「製
造、小売り、外食が一体化した新しい業態を模索していきた
い」(同)という。
 販売戦略では納豆の低価格化を進める。「これまで高成長の
中で消費者は外国に比べて高い商品も買っていたが、今や低価
格志向が定着してきた」とみているためだ。小粒大豆を低温長
時間発酵させて作る主力商品の「丹精」は現在二百三十円で販
売しているが、これを品質を落とさずに百六十円程度で販売で
きるようにする。石塚社長はコストダウンが生き残りへの同社
最大の課題と考えている。
 業績は順調に拡大している。九五年六月期の売上高は七十一
億円で前期に比べ七億円増えた。経常利益は一億六千万円で売
り上げの二・二%を占めるが、石塚社長は三年後にこれを五%
に引き上げることを目指している。将来、売り上げ百億円、経
常利益五億円を確保できるようになれば株式の店頭公開も検討
していきたいという。
 社内の情報化にも積極的で製造、販売を一括管理するオンラ
インシステムを構築中だ。今年から一部移動、二年後には完成
の予定で総費用は四億円。社内の書類がいらなくなり、指示も
パソコンでできるようになるため、事務処理の効率化が図れる
としている。
 同社は二十一世紀までに事業規模の拡大、多角化、情報化を
一気に進める。ここ数年が勝負どころとなりそうだ。
 

『“本家”中国超えた豆腐の食文化(食あれば楽あり)』
1995/09/07 日本経済新聞 夕刊
 
 豆を原料にした加工食品の代表といえば、豆腐と納豆であろ
う。だが、腐ってもいないのに「豆が腐る」と書いて豆腐と呼
び、逆に納豆菌というバクテリアの作用を受けたのをそういわ
ないのはおもしろいことだ。
 これは大昔に豆腐が中国から伝来したものであることを示し
ている。すなわち中国においては、「腐」(フウ)とは「ブヨ
ブヨしたもの」の意があり、例えば先般、私が中国の成都市の
自由市場で求めた「酸牛〓」(スワンニュウナイ)という食品
はそのまま「酸っぱい牛乳」を意味する。つまりヨーグルトの
ことであるが、これを中国では「酸〓腐」(スワンナイフウ
)、または単に「乳腐」(ルウフウ)とも書き、「ブヨブヨし
た酸っぱい乳」をいう。
 ちなみに納豆は、「寺の納所(なっしょ)の豆」から来た日
本生まれの言葉だ。
 豆腐を最初に発明したのは漢代の学者で劉安(紀元前一二二
年没)とするのは俗説で、劉安自らの著でもある前二世紀の
「淮南子」はもとより、六世紀の「斉民要術」にも、またその
後の隋や唐の諸書にも豆腐のことは見当たらず、やっと宋の
「清異録」に初見する。
 おそらく騎馬民族から入ってきた乳腐にヒントを得て、農耕
民族が発明したのだろうが、その発明の時期は八―九世紀であ
るようだ。おもしろいことに中国ではその後、豆腐を発酵させ
てつくった「チャイニーズチーズ」とも呼ばれる食べ物にも、
実は「乳腐」という字を当てている。
 これは騎馬民族や草地民族の乳腐の原料は動物乳であり、漢
民族の乳腐の原料は植物の豆乳であるのを、いつの間にか合体
してしまって、区別のつかないままに「乳腐」の名が固定した
のであろう。
 わが国における豆腐の初見は寿永二年(一一八三年)の奈
良・春日大社の記録。また鎌倉時代の日蓮上人の書状(一二八
〇年)にも豆腐の名が出てくる。豆腐が国民食的な発展を見せ
たのは室町期以降で、いかにこの民族が豆腐を好んだかは、当
時の様々な古文書が豆腐に対して共通したあこがれや敬いをも
って触れていることでわかる。
 江戸時代に入ると「雲錦随筆」や「歌仙豆腐」「豆腐百珍」
「続豆腐百珍」といった、豆腐料理に関する歴史的名著が次々
に世に出る。いずれの書でも豆腐の神髄をことごとく生かした
素朴な食べ方として、例えば田楽、豆腐汁、八杯豆腐(水四、
しょうゆ二、酒二だけで豆腐を煮たもの)、冷ややっこ、湯豆
腐などの食法を伝授している。
 食に対する日本人の知恵の深さを豆腐に見るとすれば、それ
は豆腐そのものの料理の多彩さと、豆腐を原料にした二次加工
品の素晴らしい発明である。質素な豆腐に油のうまみやコクを
付けた油揚げや生揚げ、がんもどきはもとより、栄養成分を濃
縮しながら保存食品とし、質素な日本料理の食材とした高野豆
腐などは、この国ならではの傑作豆腐ということができる。
 こうして日本人は、豆腐の発明国・中国にも見られない豆腐
の一大食文化を築き上げた民族となったのだ。 (東京農業大
学教授)
 

『【料理レシピー】納豆と明太子をのせた 一口冷ややっこ』
1995/09/04 産経新聞 朝刊
 
《作り方》
(1) 木綿豆腐は軽く重しをして水きりし、8等分に切る。
(2) 明太子は薄皮を取り除く。
(3) アサツキは小口切りにする。
(4) (2)(3)としょうゆ、酒各小さじ1を混ぜ合わせ
る。
(5) 納豆としょうゆ大さじ1を混ぜ合わせる。
(6) 白ゴマはすり鉢で粗くする。
(7) のりは細切りにする。
(8) (1)の4個に(4)を等分してのせる。残りの(
1)に(5)を等分してのせ、(6)(7)を散らす。
(9) 器にサラダ菜などを敷き、(8)を盛る。
 ●材料メモ●
木綿豆腐………1丁
明太子…………1/2腹
アサツキ………3本
納豆(ひきわり・50グラム)  ……………1パック
白いりゴマ……小さじ1
のり……………1枚
しょうゆ、酒
 

『【料理レシピー】東京都日野市・篠田龍哉さんのスタミナモリもりそば』
1995/09/03 産経新聞 朝刊
 
《作り方》
(1) たっぷりの熱湯にそばをほぐし入れ、一煮立ちしたら
水1/2カップを加え、再び煮立ったら水1/2カップを入れ
る。さらに煮立ったらざるにとって流水下で洗い、水気をき
る。
(2) ボウルに卵を割りほぐし、泡立て器で泡立てる。
(3) 別のボウルに納豆を入れてよく混ぜ、みじん切りにし
た長ネギ、すりおろしたニンニク、練りガラシ小さじ1を混
ぜ、(2)を加える。
(4) 小なべにみりん大さじ2を煮立ててだし汁1・2/3
カップ、しょうゆ大さじ3・1/3を加えて一煮立ちさせ、火
から下ろして粗熱をとり、冷やす。
(5) 器に(1)を盛って(3)をのせ、のりを散らして
(4)を添える。
 【篠田さんから】居酒屋で食べたニンニク入り納豆がヒン
ト。バテ気味、食欲のないときに作ります。
 《材料メモ》
そば(乾)………320グラム
納豆(ひきわり・50グラム)     ………4パック
長ネギ……………1/2本
ニンニク…………2かけ
卵…………―……2個
のり(刻み)……適量
練りガラシ、みりん、だし汁、しょうゆ
 

『[一村逸品]「やさと納豆」茨城県八郷町』
1995/08/31 日本農業新聞
 
 味よし 香りよし ねばりよし ふるさとの味 やさと納豆
 
 筑波山ろくの八郷町でとれた極小粒大豆だけを使って、JA
やさとの納豆工場で仕上げた本格派の納豆。
 茨城県が品種改良し、納豆用に開発した「納豆小粒」品種を
使っている。納豆に向く大豆は、高たんぱく質、低脂肪、高糖
質。輸入大豆は、高脂肪で糖分が少ないものが多く、うまみに
欠けていたが、八郷町産大豆はズバリこの三条件に合致してい
た。
 それにもう一つ加わるのが安全性。国内の他の品種の、半分
の農薬で収穫できる。納豆に使う大豆の九〇%以上は外国産に
頼っているが、輸入大豆は収穫後に散布するポストハーベスト
農薬を使っているのが実情だ。国産大豆の生産は頭打ちだが、
JAやさとは東都生協と大豆基金を設けて、生産を奨励してい
るため、大豆生産は年々増えている。
 販売は生協のほか、地場消費として学校給食、農家還元、店
舗販売するほか、郵便局のゆうパック(十一月から二月)は、
納豆だけ(千六百円)と、納豆に焼きのりと器がセット(千九
百円)の二種類を扱っている。宅配便も可。一パック百円。
 問い合わせは、八郷町農協納豆工場(新治郡八郷町山崎二七
ノ五)、(電)0299(46)1815。
 

『出光興産、微生物農薬に参入、花のかび防止。』
1995/08/18 日経産業新聞
 
 出光興産は二〇〇〇年にも農薬市場に参入する。花卉(か
き)の地上部がかび菌に感染してしおれてしまうのを納豆菌の
一種を使って防ぐ微生物農薬で、来年中に農薬評価試験を開始
する。また植物の根っこの部分にかび菌が進入するのを防ぐ微
生物剤も土壌改良剤として先行して発売する予定で、農産物の
総合防除を狙う。花卉の品質を損なわず、環境にやさしい農業
資材として普及を図る考えだ。
 同社が農薬として商品化を考えているのは、納豆を作る納豆
菌を水溶液状にしたもの。花や葉など花卉の地上部に散布する
と花卉表面で菌が繁殖する。するとほかの有害な菌が進入して
も繁殖が抑えられるため病気にならないと考えられている。現
在、日本植物防疫協会に詳しい作用メカニズムの研究を委託
中。
 来年中には殺菌剤としての効果を確認する試験に移り、九九
年にも農水省に農薬登録申請する予定。二〇〇〇年中にも「フ
ラワーガード」(仮称)として発売する計画だ。梅雨時など花
卉にかび菌が感染してしおれてしまう「灰色かび病」を防ぐ効
果があるとみている。化学農薬でも防除できるが、薬害で花が
傷み商品価値が低下してしまうことがあるという。納豆菌を使
えば傷まず、環境や人体への安全性も高い。
 また植物の根っこの部分にグリオ菌という無害な菌が共生し
て、土壌中のかび菌の感染を防ぐバイオ土壌改良剤「グリオソ
イル」を十一月に発売する。農薬ではないため病気への効果は
うたえないが、花卉のほかキュウリ、ナス、メロンなどの農産
物の生長を促進する効果があるという。
 価格は容量十キログラムで七千五百円。年間五、六億円の売
り上げを見込んでいる。
 同社は菌根菌という微生物を使った土壌改良剤「Drキンコ
ン」を販売し、環境にやさしい農業資材の普及に力をいれてい
る。農薬として販売を考えているのは納豆菌が初めて。土壌改
良剤のグリア菌とともに微生物によって植物を守る技術を総合
的に展開していく。現在、農水省では微生物農薬の安全性評価
ガイドラインを策定中で、異業種からの農薬参入に拍車がかか
りそうだ。
 

『総菜・健康食品に進出、くめ・クオリティ・プロダクツ、多角化へ新工場。』
1995/08/15 日本経済新聞 地方経済面
 
 納豆メーカーのくめ・クオリティ・プロダクツ(茨城県金砂
郷町、石塚昇一郎社長)は、来年、金砂郷町内に新工場を建設
し、総菜、健康食品、スナックなどの生産・販売を始める。総
菜はグルメ志向のパーティー用軽食を検討しており、茨城県内
などで販売する。納豆市場の競争激化で製品の価格低下が進
み、「納豆だけでは生き残れない」(石塚社長)として事業を
多角化する。
 新工場の名称は「手づくり工場」とする予定。延べ床面積は
約千六百平方メートルで、同町高柿に約三億円かけて建設す
る。総菜、健康食品などのほか、納豆を応用した新製品の開発
にも取り組む。「芸術家のアトリエのように、さまざまな製品
の試作を進めながら、質の高い食品を追求する施設にしたい」
(石塚社長)としている。
 工場が完成する来年には、グルメ志向のパーティー用総菜を
商品化する。「欧米のようにパーティーを開く習慣が根付いて
きたにもかかわらず、専用の軽食が少ない」(石塚社長)と判
断したためで、味にこだわった手軽に食べられるメニューを開
発する。
 スーパー店頭などで販売するほか、消費者への直接販売や、
ホテル、飲食店への納入も計画している。健康食品は二、三年
後をめどに商品化する。
 同社は納豆の製造販売で九五年六月期は七十一億円の売り上
げを確保、増収基調を続けている。しかし、価格低下や大手資
本の参入で今後、競争が厳しくなると判断、第二の柱となる食
品の開発に乗り出した。九月には、パンに塗って食べる納豆の
発売も予定するなど、納豆の新しい食べ方の提案も積極的に進
める考えだ。
 

『ヤマダフーズに新規投資決める、東京中小企業投資育成』
1995/08/15 河北新報 朝刊
 
ヤマダフーズに新規投資決める/東京中小企業投資育成
 
 政府系投資機関の「東京中小企業投資育成」(本社東京、矢
野俊比古社長)は14日までに、納豆製造のヤマダフーズ(本
社秋田県仙南村、山田清繁社長)に新規投資することを決め
た。東北での投資先企業は52社となった。
 ヤマダフーズは「おはよう納豆」の商標を持ち、納豆専業と
しては全国有数規模。新製品開発に努めるほか、茨城県牛久市
に来春完成予定の関東工場を建設中で、投資育成は「企業とし
て一層の成長が見込める」として、8000万円分の新株引受
権付き社債を引き受けることにした。
 また、投資育成は、水産加工のシンコー(本社石巻市、丹野
耕太郎社長)がこのほど実施した株主割当増資のうち、150
0万円分を引き受けた。シンコーへの株式増資引き受けは平成
5年11月に続いて2回目。
 

『DDMPサポニンが「がん」を抑制、大豆食品、豆腐や納豆』
1995/08/05 河北新報 夕刊
 
DDMPサポニンが「がん」を抑制/大豆食品/豆腐や納豆
良質タンパク質の“畑の肉”/毎日食べて病気予防
 
 豆腐や納豆など大豆を原料とする食品には、人間の体に欠か
せない良質のタンパク質や脂質がたっぷり含まれている。それ
だけでなく、がんなどの病気や老化の大きな要因として注目さ
れている活性酸素を消し去る働きがあることが、東北大学農学
部の大久保一良教授(食品生物工学)のグループの研究で分か
った。大久保教授は「大豆食品を毎日食べることは病気を予防
する上で大きな効果がある」と話している。
<食品の3次機能>
 「大豆には人間の体に最も合う良質のタンパク質が豊富に含
まれます。大豆タンパク質は肉や卵、牛乳に含まれるタンパク
質に近く、そのために大豆は“畑の肉”と呼ばれます」と大久
保教授。
 例えば、100グラムの大豆にはタンパク質が約40グラム
含まれるほか、脂質も牛肉に劣らない量の約20グラムが含ま
れる。脂質は脂肪酸とグリセリンなどの物質が結合してできて
いるが、大豆に含まれる脂肪酸の半分は血中のコレステロール
を下げる働きのあるリノール酸が占めている。
 そのほかにも、大豆には鉄やカリウムなどのミネラル、ビタ
ミン、オリゴ糖、食物繊維などが含まれる上、豆腐や納豆など
は非常に消化吸収率が高く加工された健康食だ。
 「食品の1次機能は栄養、2次機能は食べておいしいかどう
か。さらに、食べて健康になり病気を予防するというのが3次
機能です」と大久保教授は言う。大豆を含む食品の3次機能と
しては、がんの発症を押さえることが指摘されている。
<活性酸素を消す>
 大豆には血中コレステロールを下げて動脈硬化を防ぎ、肥満
や糖尿病を防止し、血圧を下げるなどの効果がある。いずれも
健康を維持する重要な効果だが、しかし、それだけではがんを
防ぐ効果を十分には説明できない。
 「何か別の物質ががんを押さえるのではないかと考えて調べ
た結果、発見したのが、サポニン(配糖体成分)の一種DDM
Pサポニンという物質です」。この物質ががんなどの病気を防
ぐ働きをしているらしい。
 病気の原因となる物質として最近クローズアップされている
活性酸素は、遺伝子を破壊するため、生物の体内には活性酸素
を消去する能力がある。大豆に含まれる活性酸素を消去する物
質を「微弱発光法」という方法で調べ、見つけたのがDDMP
サポニンだ。
 この物質には活性酸素の一種であるスーパーオキサイドアニ
オンやヒドロキシラジカルを消す働きがあることが実験で分か
った。
 「DDMPサポニンは大豆の維管束という部分にぎっしり詰
まっています。この物質はがん患者に使う強力ネオミロファー
ゲンに似た化学構造を持っています。大豆加工食品が健康にい
いことは、こうしたことからも裏付けられます」と大久保教授
は話している。
 

『[きょうの夕食]冷やしうどん』
1995/08/03 東京読売新聞 朝刊
 
◇材料=4人分
干しうどん350〜400g
鶏ささみ      2本
カマボコ    100g
干しワカメ    15g
ニンジン     60g
カイワレナ   1パック
納豆      200g
青ジソ       8枚
万能ネギ      4本
ノリ        1枚
………………………………
【カロリー・塩分=1人分】500kcal/2.3g
 つけ汁にみりんを多めに使う時は、煮立てたみりんに火をつ
けて燃やし、アルコール分をとばした“煮きりみりん”にして
使います。
 【作り方】《1》干しうどんはたっぷりの熱湯でゆでて水に
とり、よくぬめりを洗っておく《2》みりん1/4カップを煮
きりみりんにし、だし1カップ、しょうゆ1/4カップを加え
てひと煮し、よく冷やす《3》鶏ささみは塩、酒各少々をふ
り、アルミホイルに包んでオーブントースターで5分間蒸し焼
きにし、細かく手でほぐす《4》カマボコは薄切りにする。ワ
カメは戻して熱湯をかけ、3センチ長さに切る。ニンジンは千
切りにし、さっと熱湯を通す。カイワレナは洗って根を切る
《5》納豆は包丁でたたいて適当に刻む。青ジソは千切り、万
能ネギは小口切り、ノリはもみノリにする《6》皿にうどんを
盛って上にささみ、カマボコ、ワカメ、ニンジン、カイワレナ
をのせる《7》冷やしたつけ汁に〈5〉の納豆と薬味を入れ、
うどんと具をつけて食べる。
 

『ヤマダフーズ、茨城に納豆工場建設、来春完成――首都圏での拡販狙う。』
1995/07/18 日経産業新聞
 
 【秋田】納豆の中堅メーカー、ヤマダフーズ(秋田県仙南
村、山田清繁社長)は茨城県牛久市に新工場を建設する。十八
日に着工し、来年三月の完成を目指す。仙南村の本社工場から
出荷している現在の体制を刷新、茨城に生産拠点を確保するこ
とで首都圏でのシェア拡大を狙う。
 建設地は牛久市の南奥原工業団地の隣接地で、敷地面積は六
万平方メートル。一期工事として日産能力三十万個(一個百グ
ラム換算)の納豆工場を建設する。投資額は約二十五億円。来
年三月から試験操業を始め、五―六月に本格操業に入る段取り
で、操業当初の従業員はパートを含め百人程度になる見込み。
 新工場は延長百六十メートルの直線ラインを設置、品質のむ
らをなくす自動発酵装置や立体自動倉庫なども導入して省力化
を徹底する。また、納豆の歴史や機能性などをパネルや映像で
紹介するギャラリーや納豆の新しい食べ方を提案する試食コー
ナーを設け、一般開放する。
 将来的には二、三期工事でそれぞれ日産能力二十万個の工場
を増設、七十万個体制を確立する計画で、三期までの総投資額
として約九十億円を見込んでいる。増設計画の実施時期は業績
の推移を見ながら判断するが、「二期の具体化は五年後、三期
は十年後を想定している」(山田社長)。
 ヤマダフーズは現在、仙南村の本社工場で一日当たり三十万
個を生産、主に東北、首都圏に出荷している。しかし東京まで
六百キロの距離があるため、首都圏では納品が製造日の翌日に
なり大手スーパーなどへの販売量を伸ばしきれないでいる。消
費者には「納豆と言えば水戸」とのイメージが定着しているた
め茨城県への工場進出を決めた。
 

『秋田のヤマダフーズ、納豆の本場茨城に工場、きょう着工―首都圏で拡販狙う。』
1995/07/18 日本経済新聞 地方経済面
 
 納豆メーカーのヤマダフーズ(秋田県仙南村、山田清繁社
長)は茨城県牛久市に関東工場を建設する。十八日に着工、来
年三月に完成する予定。同社は仙南村の本社工場から首都圏に
出荷しているが、日配商品の納豆では距離的なハンデを負って
いた。納豆の本場、茨城に工場進出し、首都圏でのシェア拡大
を目指す。五年後をメドに株式を店頭市場に公開する準備も進
めており、新工場の増設資金の一部を店頭公開で調達する。
 関東工場の建設地は牛久市の南奥原工業団地の隣接地。敷地
面積は六万平方メートルで、一期工事として日産三十万個(一
個は約百グラム)の能力を持つ納豆工場を建設する。投資額は
約二十五億円。来年三月から試験操業を始め、五―六月に本格
操業に入る。操業当初の従業員はパートを含め百人程度になる
見込み。
 新工場は延長百六十メートルの直線生産ラインを備える。品
質のむらをなくす自動発酵装置や立体自動倉庫などを導入し、
自動化、省力化を徹底する。また、納豆の歴史や機能性などを
パネルや映像で紹介するギャラリー、納豆の新しい食べ方を提
案する試食コーナーを設けて一般に公開する。
 将来計画では、二、三期にそれぞれ日産二十万個の工場を増
築し、関東工場の生産能力を七十万個に引き上げる。三期まで
の総投資額は約九十億円にのぼる。増設計画の実施時期は業績
の推移を見ながら判断するが、「二期の具体化は五年後、三期
は十年後を想定している」(山田社長)。
 ヤマダフーズは本社工場で一日当たり三十万個を生産、主に
東北、首都圏に出荷している。しかし、東京まで六百キロもあ
るため、首都圏では納品が製造日の翌日になり、大手スーパー
などへの販売量を伸ばしきれていない。消費者には「納豆と言
えば水戸」とのイメージが定着しているため、茨城県への工場
進出を決めた。関東工場の生産額は年率二〇%で拡大すると予
測している。
 関東工場で必要な資金を調達するため、店頭公開の準備を進
めている。安定株主対策としての第三者割当増資、市場からの
公募増資で調達する資金を建設費に充てる計画。山田社長は
「金利、建設コストとも低く、人材募集もしやすい不況の今こ
そ絶好のチャンス」と話している。
 

『「納豆の日」、宮城県内の老人施設に6000パック、県共同組合が寄贈』
1995/07/11 河北新報 朝刊
 
「納豆の日」/宮城県内の老人施設に6000パック/県共同
組合が寄贈
 
 7月10日の「納豆の日」にちなみ、宮城県納豆事業協同組
合(高橋雄太郎理事長)加盟のメーカー14社が、同県内の老
人福祉施設に納豆約5900パックを寄贈した。同日、高橋理
事長が仙台市青葉区の宮城県社会福祉協議会を訪れ、目録を白
鳥武好事務局長に手渡した。
 納豆の寄贈を受けたのは宮城県内の各種老人ホーム61カ
所。40−50グラム入りの1人用ミニパック5900個余り
が、10日までに各メーカーから施設に届けられた。
 「納豆の日」は、全国納豆協同組合連合会(高星進一理事
長)が定めた記念日で、毎年消費拡大のためのさまざまなPR
行事を行っている。老人ホームへの納豆の寄贈は、宮城県納豆
事業協同組合が平成5年に実施し、今年が2回目。
 高橋理事長は「健康食品としても評価が高まっている納豆へ
の理解が、一層深まるきっかけになれば」と狙いを話してい
る。
 

『企画[大波小波]九州納豆組合県支部、施設に納豆プレゼント』
1995/07/11 南日本新聞朝刊
 
 七月十日はごろ合わせで「納豆の日」。九州納豆組合鹿児島
県支部は、県内の児童福祉施設や老人ホーム百四十六施設にパ
ック入り納豆一万二千五百食をプレゼントした。
 鹿児島市犬迫町の精神薄弱者厚生施設明星学園成人部では、
同組合の佐藤真一郎さんが「納豆は体にいい食品です。たくさ
ん食べてこの夏の猛暑を乗り切ってください」と三十食を入園
者に手渡した。入園者代表がお礼に手作りの鉢植えを贈った。
 久木元弘園長は「みんな納豆は大好物。朝食で週に二―三回
食べている。早速給食でいただきたい」と話していた。
 

『[ライバルの目]7月10日は「納豆の日」−−関東の小粒と関西の大粒』
1995/07/10 毎日新聞 夕刊
 
 「毎朝、食べたら良かっぺよ」と言う水戸っぽに、「そんな
ん、食べられへん」と鼻をつまむ大阪人。この納豆の東西構図
が最近、崩れてきた。それどころか、「実はこちらが本家」と
いう関西産に、復権のきざしが見えつつあるのだ。きょう7月
10日は納豆の日。
 ◇市場を席巻、小粒−−関東
 「納豆の日」は「ナナ・トウ」のごろ合わせ。1981年に
全国納豆協同組合連合会(東京都台東区)によって制定された
が、中心となって宣伝してきたのは「関西納豆工業協同組合
」。関東ではあまり知られていない京都・丹波産納豆をアピー
ルするためで、「納豆発祥の地はこちら」と主張する。ただ、
茨城、秋田県なども「発祥の地」を自称しており、ねばっこい
“本家争い”を演じている。
 納豆市場は現在、小粒の大豆製が9割以上を占め、大粒は少
ない。その大粒の代表が丹波の納豆。昔は納豆といえば大粒だ
ったこともあり、丹波では「大粒こそが本来の納豆」とPR、
「発祥の地」の論拠の一つにしている。
 一方、小粒。全国の納豆生産量(約19万6000トン、9
3年)の約半分を占める茨城産が小粒なのは、茨城県を流れる
那珂川によるところが大きい。かつて同川は台風シーズンにな
ると毎年のようにはんらんして農作物に大きな被害を与えてい
たことから、洪水の前に収穫できる早生(わせ)の大豆を作ろ
うと、江戸時代から品種改良を進めてきた結果なのだ。
 ◇復権を狙う大粒−−関西
 苦肉の策だった「小粒」がその後、なぜ、全国の納豆市場を
席巻するに至ったのか。京都市伏見区の「高橋食品工業」社
長、高橋孝幸さんは「小粒はコメつぶの大きさに近く、ご飯に
かけて食べるのにちょうど良かったためではないか」と分析す
る。
 あつあつのご飯との相性の良さが小粒人気の秘密のようで、
今では北海道から沖縄まで“小粒納豆戦争”は激化する一方。
切り干し大根あえや、ソバ粉入り、ふりかけなどの変わり納豆
も増えてきた。
 こうした中で、「大粒納豆に復活のきざしが見え始めてき
た」と話すのは、脳血栓を防ぐ「ナットウキナーゼ」(納豆特
有の酵素)を発見した“納豆博士”の岡山県立大学保健福祉学
部助教授の須見洋行さん。「小粒の納豆かけご飯で洗礼を受け
た関西の若い人が、最近砂糖やケチャップをかけて食べたり、
お好み焼きの具にもしているが、こうした食べ方をするにはカ
サのある大粒が向いている」からだそうだ。
 小粒の本場・茨城でも、「丸真食品」(山方町)がようじで
食べる大粒の「青仁一粒(せいじんいちりゅう)」納豆(80
グラム450円)を「お酒のつまみ向き」と新発売するなど、
“先祖返り”の動きが出始めている。
 ◇お薦め!?「納豆チーズトースト」
 納豆といえば、刻みネギや卵と混ぜて、というのが普通の食
べ方だが、小説家の野中柊さんのお薦めは「納豆チーズトース
ト」。
 食パンに納豆を載せ、とろけるチーズをかけて焼く……。
「一度試してみると病み付き」になるそうだ。このほか、チャ
ーハンやオムレツの具にすると、独特のくさみが消えて食べや
すいという。
 ◇主要都市の1世帯当たり年間納豆購入額(円)
札幌   4331
青森   4727
盛岡   4758
仙台   5246
秋田   4663
山形   4800
福島   5529
水戸   8086
宇都宮  5578
前橋   5580
浦和   4459
千葉   4544
東京区部 4036
横浜   3759
川崎   3921
新潟   4240
富山   4124
金沢   3233
福井   2917
甲府   4332
長野   4386
岐阜   2208
静岡   3009
名古屋  2152
津    2033
大津   2475
京都   2415
大阪   1515
神戸   1281
奈良   2137
和歌山  1143
鳥取   1895
松江   2399
岡山   1459
広島   1794
山口   2341
徳島   1331
高松   1408
松山   1588
高知   2168
北九州  2127
福岡   2651
佐賀   2179
長崎   1734
熊本   4019
大分   2194
宮崎   2497
鹿児島  2412
那覇   1277
 
全国平均 3166
 
 (全国納豆協同組合連合会調べ、1993年)
 

『[一村逸品]「しんちゃん納豆」福島県JA新地町』
1995/07/05 日本農業新聞
 
 地場産大豆を使った納豆として人気を呼んでいるのが、福島
県のJA新地町で作っている「しんちゃん納豆」。JAのバッ
クアップもあって大豆の生産意欲も高まっており、地域の保育
所での利用、県経済連のふれあい食材のルートにも乗るなど、
まさに地元の味だ。
 納豆は昨年三月に完成したJAの農産物加工施設で作られて
いる。「もともとのきっかけは、転作大豆の格外品利用から」
(農産加工施設)だった。以前はそれを婦人部などがみそに加
工していたが、「もっと付加価値を」ということで納豆作りに
取り組んだもの。
 原料は一〇〇%国産大豆、それも地元産の「コスズ」。さら
に、添加物を極力抑えているというのが人気の秘密で、一パッ
ク五十円とやや高めだが売れている。現在の市販の納豆は、輸
入大豆を使ったり、内容量も三、四十グラムが主流。ところが
「しんちゃん納豆」は五十グラムで国産大豆を使う。「たれも
極力、添加物を使わない」としている。
 昨年の歳暮シーズンには、千二百〜千七百円の価格帯で詰め
合わせギフト商品(梅干しとみそをセットした)を開発したと
ころ、今でも「地元のお土産として買っていく人がいる」ほ
ど、特産品とて定着している。
 問い合わせはJA新地町営農販売課、(電)0224(6
2)2121か、同農産加工施設、0224(62)445
3。
 

『【料理レシピー】納豆ののし焼き』
1995/07/04 産経新聞 朝刊
 
《作り方》
(1) 長ネギはみじん切りにする。
(2) ボウルに卵を割りほぐして鶏ひき肉、納豆を加え混
ぜ、(1)とみそ、酒、かたくり粉各大さじ1、しょうゆ大さ
じ1/2を加えてさらによく混ぜ合わせる。
(3) 天板にホイルを敷いて薄くサラダ油を塗り、(2)を
1センチ厚さにのばし、白ゴマを散らす。
(4) (3)を200度のオーブンで15〜20分焼く。
(5) (4)のホイルを取り除き、適当な大きさに切る。
(6) 器に(5)を盛る。
 《ヘルシー・ポイント》
 食塩を厳しく制限しているときは、低塩のみそやしょうゆを
使うとよいでしょう。長ネギのほか、青ジソなど香りのよい野
菜を加えると、薄味でもおいしくいただけます。
 ●材料メモ●
 (4人分)
鶏ひき肉………200グラム
長ネギ…………1/2本
卵………………1個
納豆(100グラム・ひきわり)…………1パック
白ゴマ‥………大さじ1
みそ、酒、かたくり粉、しょうゆ、サラダ油
 

『基金で大豆復活、国産納豆食べたい、生協、茨城・JAやさと』
1995/06/27 日本農業新聞
 
 JAと生協が独自に創設した「大豆基金」が、国産大豆を復
活させた。地場産大豆を納豆に加工販売しているJAやさと
(茨城県新治郡八郷町)の今年の大豆作付面積は、基金が発足
する三年前の一・六倍に広がる見込み。基金が大豆の買い取り
価格を補てんし、農家の生産意欲を刺激しているからだ。基金
は納豆の売り上げの一部で積み立てられており、生産者と消費
者の熱意が実を結びつつある。
 JAやさとの納豆工場は、産直をしている東都生協(東京都
世田谷区)への出荷を主目的に平成元年にスタートした。この
年は転作大豆のピークで、百ヘクタールが栽培された。しかし
その後、転作緩和や転作奨励金の削減で、農家に作付けの魅力
がなくなってしまった。四年には四十五ヘクタールに半減し
た。このためJAの納豆工場は製品需要の拡大にもかかわら
ず、地元産の原料不足に直面してしまった。
 これを重く見た同JAと東都生協は、両者からの拠出で五年
に「大豆基金」を創設。安い生産者価格を補う加算金に充て、
農家の意欲を盛り上げることになった。納豆製品二パック(販
売価格百円)から生協四円、JAが一円を負担。合計五円を拠
出して年間約一千円積み立てられている。
 基金から生産者に六十キロ当たり三千円を支給。この加算に
よって農家の手取りは六十キロ二万八千円になる。さらに大豆
種子の無償配布やコンバイン、選別調製機の導入も基金で運
用。今年はもう一台コンバインを導入し、労力の削減を図る。
 JA管内の大豆の栽培面積は基金発足以来、順調に伸びてい
る。今年は七十ヘクタールと前年より五ヘクタール増える予定
だ。同JAには半年分の大豆が備蓄され、生協への供給も順調
だ。
 八郷産の「納豆小粒」は、小粒でたんぱく含量も多く、納豆
原料として優れ、国産原料を推進する東都生協から高く評価さ
れているため、基金拠出に対し組合員の理解が得られた背景が
ある。一方、国内の大豆自給率は五年には二%と史上最低を記
録。国産原料一〇〇%の納豆の姿が消えつつある。
 JAやさとの萩原久組合長は「大豆基金は、本来ならば国が
やるべきこと。JAでは増産計画を立ててきたが、基金は栽培
面積を広げる意味で効果が高い」と評価している。
 

『穀物の自給向上へ、あす成田で集い―千葉デバンダ/千葉』
1995/06/16 毎日新聞 地方版
 
 有機農業を実践している生産者などが集まった「千葉DEV
ANDA(デバンダ)」(約百団体、事務局・生活クラブ生協
千葉)は穀物の自給率アップを目指して「大豆・小麦の100
町歩作付け運動」を提唱、十七日午後十二時半から、成田市の
国際文化会館で「THE穀(ザッコク)千葉の集い」を開き、
全国の生産者に運動への参加を呼び掛ける。
 大豆はみそ、しょうゆ、納豆など日本型食生活に欠かせない
が、自給率は約二%しかない。小麦の自給率も一〇%と低い。
国産の穀物を増やす策として、千葉DEVANDAは昨年、千
葉、茨城県内の生産者に大豆の栽培を呼び掛けたところ、約二
百人が趣旨に賛同し、計約十一ヘクタールの大豆畑が誕生し
た。今年はさらに生産者の輪を広げ、「大豆・小麦の100町
歩作付け運動」(一町歩は一ヘクタール)と名づけて展開する
ことを決めた。
 問い合わせは千葉DEVANDA(043・278・717
2)
 

『インドネシアの“納豆”を、熊大で17日に「テンペ研」総会。』
1995/06/14 日本経済新聞 地方経済面
 
 健康食品のテンペの普及を目指して、「テンペ研究会」(会
長・太田直一熊本県立大学教授)の総会が十七日、熊本市の同
大学で開かれる。テンペはインドネシアの伝統的な大豆発酵食
品で、白カビの一種であるテンペ菌を接触して作る。日本の納
豆の親せきともいえる。
 栄養に富み、塩を使わないため、健康にいい食べ物という。
インドネシアでは納豆のような日常食で、揚げたり、いためた
りして食べる。納豆ほど癖がないので、食糧難の発展途上国の
栄養対策にも有用とされる。
 テンペ研究会は八三年に発足、今年四月には「インドネシ
ア・テンぺ財団」とテンペの普及、研究などについて協力関係
を結んだ。今回の総会には同財団関係者も出席、太田会長は
「分析、研究が進んでいる日本と広く食べられているインドネ
シアの協力関係を深めたい」と期待している。
 日本では京都、岡山、名古屋、秋田などでテンペが作られて
おり、佐賀県の白石町は町おこしとして製造、販売を始めてい
る。総会後、研究者が大豆の有効成分の流失などを防ぐための
新しい製造技術などを発表する講演会が開催される。
 

『【料理レシピー】大阪府門真市・高山友世さんのオクラとろろ納豆』
1995/06/11 産経新聞 朝刊
 
 ◆作り方◆
(1) オクラは塩少量をふって板ずりし、熱湯でさっとゆで
て冷水にとり、水気をおさえる。へたを切り落として3ミリ幅
の輪切りにする。
(2) 納豆と(1)、だし汁大さじ2、しょうゆ大さじ1・
1/2、練りワサビ小さじ1を混ぜ合わせる。
(3) 長イモは皮をむいて酢水につけ、水気をおさえてすり
おろす。
(4) カイワレは根元を切り落として半分に切る。
(5) 器に(2)を盛って(3)をかけ、中央にウズラの卵
を割り落として(4)を添える。
 【高山さんから】忙しい主人のために、朝食にはボリューム
があって栄養バランスのよい料理を用意します。ニラと長ネギ
もよく登場します。
 ●材料メモ●
オクラ…………1袋
納豆(100グラム)…………2パック
長イモ…………10センチ
カイワレ………1/2パック
ウズラの卵……4個
塩、だし汁、しょうゆ、練りワサビ、酢
 

『【言葉の雑学】出納』
1995/06/10 産経新聞 夕刊
 
〈出納〉 常用漢字の「納」は、その音訓欄にいろいろな音を
盛り込んでいる。最も一般的な音はノウであろう。納税、納
入、納涼、収納、格納、未納など、みなノウと読む。しかし、
納得、納豆はナッ、納戸になるとナン、納屋だとナと、実にバ
ラエティーに富んでいる。で、「出納」はスイトウだから、音
はトウ。シュツノウは誤読。(塩)
 

『大豆――国産減り、8割以上が輸入品(やさしい商品知識)』
1995/06/03 日経流通新聞
 
 「畑の肉」といわれるほどたんぱく分に富む大豆。古来から
豆腐やみそ、納豆など食品の原料になるほか、しょうゆや食用
油の原料としても使われる。食油を絞ったミール(大豆かす)
は飼料原料になる。日本食の食材として欠かせない食品だが、
国産品の出回り量は年々減少し、八〇%以上は米国産やブラジ
ル産などの輸入品が占めている。
 昨年の大豆の輸入量は四百七十三万千三百八トン。最も多い
のは米国からの輸入だ。全体の八〇%前後に達しており、第二
位のブラジル、三位の中国を大きく引き離している。
 輸入大豆は国産品に比べて油分が高いため、大半は搾油用と
して使う。油分が高いとはいうものの、実際に油が取れるのは
二〇%前後と少なく、残った絞り粕は飼料原料として活用す
る。
 食用では豆腐や油揚げ向けの需要が圧倒的だ。中でも「IO
M大豆」と呼ばれる大豆がこうした用途に多く使われる。「I
OM」とは米国のインディアナ州、オハイオ州、ミシガン州の
頭文字。これらの州で取れる大豆は、たんぱく分が多いため、
豆腐の原料に向いている。
 みそや納豆で多く使うのは中国産。大豆の中には、芽が出る
部分が黒くなっている「黒目」がある。見た目に汚れた印象を
受けるため、みそや納豆の原料としては敬遠されがち。しかし
中国産の「目」の部分は、目立たない白や茶色が多く、みそや
納豆に加工しても、消費者が違和感なく受け入れるというのが
その理由。風味が国産品に近いのも人気の秘けつだ。
 中国政府が今年度の輸出許可証を発給しなかったため、市場
では「大豆の手当てに支障が出かねない」との懸念が広がって
いた。商社などは「万一」に備え、米国やカナダから代替品を
買い付けるなどの対応策に追われたが、このほど輸出が継続す
る見通しがたった。これでみそや納豆メーカーの間に広がって
いた品薄感は、急速に後退している。
 

『中国産大豆、9月から輸入再開――供給不安解消へ。』
1995/06/01 日本経済新聞 朝刊
 
 中国産大豆の輸入が九月から再開する見通しとなった。中国
の輸出窓口である中国糧油食品進出口総公司が日本の輸入商社
に対し輸出の意向を伝えてきた。みそ、納豆メーカーなど中国
産大豆の需要家の間に広がっていた供給不安は解消に向かいそ
うだ。
 中国政府は同公司に対し、輸出許可証を新規に発給する方針
を固めた模様。これを受け同公司は「九月積み以降、大豆の輸
出ができる見通しがたった」とし、日本商社に購入数量などを
取りまとめる旨を伝えたという。商社は需要家と協議したうえ
で同公司と交渉に入る。
 食糧品のインフレを抑える切り札として、中国政府は年度代
わりの五月から大豆の新規輸出許可証の発給を停止し、輸出向
けを国内に振り向けてきた。
 原料の大半を中国産に頼っていた日本の需要家の間に混乱が
広がったため、商社などが同公司などに働き掛け、五、六月積
みは許可証の期限延長という形で輸出が実現した。しかし七月
積み以降は白紙の状態で、市場では中国産大豆の輸入は途絶え
るとの見方も出ていた。
 七、八月積みの輸出は止まるが、商社などはこの間の代替品
として米国、カナダから約四万トンの大豆を手当てしていた。
 

『[スポットライト]水戸黄門像 おなじみポーズで』
1995/05/30 毎日新聞 夕刊
 
 茨城県のJR水戸駅に降り立った。「水戸」と聞いてすぐに
思い浮かぶのは、納豆と水戸黄門。
 駅構内の売店は、ワラにくるまれた納豆のオンパレードだっ
た。“まるまると太った”納豆がドサッと何本もぶら下がって
いて、独特の風情。「さすが……」と、つぶやきながら駅の外
に出ると、今度は水戸黄門様=写真中央=が出迎えてくれた。
両わきに、助さん=同左=、格さん=同右=を引き連れて。水
戸のイメージを裏切らない歓迎に、感激!
 この像、1993年2月に同駅北口広場にお目見えした。ブ
ロンズ製で、高さ180―190センチ、台座を加えると約3
メートル。助さんが「頭が高い」と手を上げ、格さんは今まさ
に懐から印篭いんろうを取り出そうとしている。テレビでおな
じみのポーズ。眺めているうちに、何やら悪代官になったよう
な気がして――思わず、「ハハーッ」と平身低頭してしまっ
た。
 その傍らを、スケートボードを持った若者や年配のカップ
ル、ビジネスマンら“水戸っぽ”が次々に通り過ぎていく。足
を止めて像を見つめる人は……いない。ここでは、東京っ子が
“おのぼりさん”だった。
 

『【おいしいエッセー】評論家 川本三郎さん 納豆さえあれば』
1995/05/23 産経新聞 朝刊
 
 豆腐屋で売っているものはみんな好きだ。がんもどきも油あ
げもおからも。
 なかでも豆腐に負けずに好きなのが納豆。ほとんど毎日食べ
ている。
 みそ汁の具は単品に限るが、納豆はなぜか納豆だけでは寂し
い。他に何か入れてかきまぜる。定番はねぎだろうが、それだ
けでは芸がない。
 野沢菜を細かく刻んで納豆にまぶす。かつおぶしも忘れな
い。居酒屋には酒のさかなに必ずいか納豆があるが、あれはご
はんには意外と合わない。
 まぐろ納豆もぜいたくすぎてごはん向きではない。しらすは
いい。もみじおろしを少し納豆に加えてもおいしい。豆腐その
ものを納豆に入れてまぜてみたらこれも案外おいしかった。
 みそ汁の具に納豆をそのまま入れてしまうという手もある。
家人は嫌うので、ひそかに作る。
 東北には納豆汁がある。納豆をすり鉢でよくすってみそとと
いて汁にする。冬の寒いときなどこたえられない。
 日本橋人形町のある小料理屋は納豆釜めしを名物にしてい
る。酒を飲んだあと最後に茶漬けがわりに食べる。うまくて思
わず顔がほころぶ。
 田端駅の陸橋下に昔から親しまれている大衆食堂がある。酒
も飲ませる。ここのメニューには納豆オムレツがある。オムレ
ツの具が納豆になっている。
 一見ゲテモノ風だが、これが絶妙な味。自分でもときどき作
ってみるのだが微妙な隠し味があるのか、なかなかこの店のよ
うにうまくはいかない。田端に行ったときは必ずこの店に立ち
寄る。
 定番の組合せだが、納豆と梅干しも合う。古漬けのきうりと
納豆も夏にいい。
 納豆でもうひとつ好きなのは大徳寺納豆。日本酒のさかなに
最高だ。
 

『決算から――旭松食品、26%の減益に。』
1995/05/19 日本経済新聞 地方経済面
 
 旭松食品 九五年三月期の売上高は百四十一億九千八百万円
(前期比六・六%減)、経常利益六億二千四百万円(二六・
二%減)、当期利益二億七百万円(五二・九%減)と減収減益
となった。
 部門別に売上高を見ると、凍り豆腐五十二億二千六百万円
(一〇・一%減)、即席みそ汁など加工食品五十三億五千万円
(六・〇%減)と苦戦したほか、これまで伸びていた納豆も三
十一億五千六百万円(二・四%減)と前期を下回った。
 今期の業績は売上高百四十五億円(二・一%増)、経常利益
七億円(一二・二%増)、当期利益三億五千万円(六九・一%
増)と増収増益を目指す。
 

『【料理レシピー】目先を変えて 納豆とサヤインゲンの落とし揚げ』
1995/05/19 産経新聞 朝刊
 
◆作り方◆
(1) サヤインゲンは塩少量を加えた熱湯でさっとゆでて水
気をきり、1センチ幅に切る。
(2) 長ネギは小口切りにする。
(3) ボウルに納豆と(1)(2)、しょうゆ大さじ1/
2、練りガラシ小さじ1を合わせ、小麦粉大さじ2を加え混ぜ
る。
(4) (3)をスプーンですくって170度の油に落とし入
れ、色よく揚げる。同様にして8個作る。
(5) 器に(4)を盛り、スダチなどを添える。
 【一口メモ】
◇焦げると苦みがでるので、油の温度に注意して。
◇油揚げなどに詰めてフライパンで焼いてもおいしい。
 ●材料メモ●
納豆(100グラム)………1パック
サヤインゲン…8本
長ネギ…………1/2本
塩、しょうゆ、練りガラシ、小麦粉、揚げ油
 

『微生物使い靴用消臭剤、キャピタル(新製品)』
1995/05/13 日経流通新聞
 
微生物使い靴用消臭剤「快足嗅降201(きゅうこうにおわん)」。
 
 納豆菌から採取した微生物菌を、おがくずとぬかをか粒状に
したものに付着させた。1袋(0.4グラム)を左右の靴の中
にまくと、仮死状態だった菌が、足の水分や体温によって活動
を開始し、悪臭のもとを分解する。そのまま履いても違和感は
ないという。5袋入り(300円)と15袋入り(800円)
がある。
 発売元はキャピタル(兵庫県尼崎市南塚口町8―57―1
7、TEL06・427・5077)。
 

『福島・新地町農協、遊休桑園で大豆栽培、地元産原料の納豆が人気』
1995/05/01 河北新報 朝刊
 
福島・新地町農協/遊休桑園で大豆栽培/地元産原料の納豆が人気
 
荒廃地化歯止めに
 遊休桑園の活用などを目的に、新地町農協が平成6年度から
手掛けている大豆栽培が、地元大豆を原料にした納豆の人気と
あいまって定着しそうだ。昨年度7ヘクタールだった栽培面積
は本年度12ヘクタール程度に増加する見通し。養蚕業の衰退
とともに増加している桑園荒廃地化の歯止めになるのでは、と
期待されている。
 新地町農協が導入した大豆は、小粒で納豆向きの「コスズ
」。高齢農家の栽培意欲を促すため、種まきや刈り取り、脱
穀、選別といった機械作業を農協が受託し、農家は施肥、耕
運、除草、病害防除など労力がかからない作業だけで済むよう
にした。また、コメ同様、10アール当たり1万8000円で
の買い取りを補償した。
 収穫した大豆は、新地町農協が6年度に建設した加工施設で
納豆に加工され、「しんちゃん納豆」の名称で売り出されてい
る。50グラム入り2パックで100円と、外国産大豆を主原
料とした納豆に比べて割高だが、農薬の安全性の点などから消
費者の人気は上々。地元小売店のほか、福島、いわきの経済連
も宅配用食材として採用し、6年度の年間生産量は40万パッ
クと、目標を大きく上回った。
 また、県外の納豆業者から大豆そのものの注文も寄せられ、
「しんちゃん納豆」の材料として必要な分以外は県外販売に回
した。
 新地町農協は現在、6月の種まきに向け大豆栽培の契約農家
の取りまとめ中だが、昨年度の実績に勇気づけられた農家は契
約を更新。1農家で1ヘクタールを作付けするケースも現れた
ほか、新規に大豆栽培に乗り出す農家も出る見込みだ。
 同農協営農販売課の林良平課長は「遊休桑園を中心に本年度
は約40戸、12ヘクタール程度にまで増えるのではないか。
今後は消費者のこだわり志向に合った大豆の有機栽培にも取り
組んでみたい」と意欲を見せている。
 

『【お知恵拝借】冷凍した納豆で一品』
1995/04/27 産経新聞 朝刊
 
◆冷凍した納豆で一品
 冷凍した納豆をひき割りにしてニラや長ネギをいためた中に
入れ、添付のタレ、化学調味料、コショウ、オイスターソー
ス、トウバンジャンを加えて好みの味にととのえます。納豆は
冷凍保存できて便利です。(茨城県 立原敬子)
               ◇ 
 納豆って凍ってガシガシになったりしないから、解凍する手
間がなくって超便利。最近、納豆キムチ焼き飯に凝っていま
す。いためた卵に白ネギ、キムチのみじん切り、あれば豚ひき
肉か焼き豚をちょいと加え、あとはご飯と納豆、塩、コショ
ウ、しょうゆ少々で出来上がり。キムチの漬け汁もちょいと加
えるのがミソ。
 

『【お知恵拝借】納豆のタレの利用法』
1995/04/20 産経新聞 朝刊
 
◆納豆のタレの利用法
 納豆パックについているタレがたくさんたまったので、タコ
焼きを作るときに下味に加えてみたら、「こんなたこ焼きは食
べたことない」というほどおいしいもので、子供にも大好評で
した。(東京都 笹真理)
                   ◇ 
 いわゆる一つのだし汁でございますので、卵焼きや茶わん蒸
し、麦トロ、炊き込みご飯などの下味や隠し味として利用でき
ますし、しょうゆ差しのしょうゆの中に何袋か入れてブレンド
しておけば、冷ややっこや漬物などがメチャウマに大変身。酢
を加えて土佐風にして、好みでワサビやショウガで味を足す
と、サッパリとしたあえ物にもなります。
 

『納豆の味引き立つタレ、ベル食品(新製品)』
1995/04/15 日経流通新聞
 
納豆の味引き立つタレ
 納豆にかける卓上瓶入りのたれ「納豆のたれ」。
 
 「かつお風味」と「しそ風味」の2種類。しょうゆ味をベー
スに、カツオとシソのエキスを配合した。納豆以外にも冷やや
っこや海藻サラダなど、いろいろな料理に応用できる。
 納豆はしょうゆをかけて食べるのが一般的だが、それだけで
は味に変化がなく、飽きがくる。そこで納豆の味に変化をつけ
ようと商品化。価格は150ミリリットル入り、170円。
 発売元はベル食品(札幌市西区二十四軒3条7―3―35、
TEL011・613・0001)。
 

『納豆――におい抑え、売れ行き伸びる(やさしい商品知識)』
1995/04/15 日経流通新聞
 
 納豆は消費者の健康志向の高まりを追い風に、ここ数年おお
むね順調に売れ行きを伸ばしてきた。かつては、独特のにおい
や糸を引く粘り気の強さを敬遠する人も多かったが、メーカー
各社がにおいを抑えた新製品を相次ぎ開発した結果、特に関西
などこれまで納豆になじみが薄かった地域での伸びが目立って
いる。
 納豆の製法は圧力がまなどでふかした大豆に納豆菌を吹きつ
け、発酵させるというもの。もともとは、煮た大豆をわらに包
んで室(むろ)に入れ、わらに付着している納豆菌を繁殖させ
て作るのが一般的だった。たんぱく質やビタミンB2に富み、
消化吸収が良いほか、納豆に含まれるナットウキナーゼという
酵素には血管内の血栓を溶かす作用があると言われる。
 現在、消費の中心になっているのは小粒、極小粒と呼ばれる
商品で市場に出回る納豆の七―八割を占める。「ごはん粒の大
きさに近くて食べやすいことや、口当たりの柔らかさが支持さ
れている」(関西納豆工業協同組合)ようだ。これに対し、大
粒の納豆は納豆菌が中まで浸食しないため、煮豆の味が残り、
独特の風味がある。「長年納豆を食べ慣れている固定ファンが
多い」(フジッコ)という。
 また、納豆ほど地域によって好き嫌いの差が出る食べ物も珍
しい。九三年の総務庁の家計調査によると、県庁所在地の一世
帯が一年間に購入する納豆の金額は、水戸市がトップで八千三
十六円。以下、前橋、宇都宮、福島市と北関東、東北地区が上
位を占める。
 一方、最下位の和歌山市の購入額は千百四十三円と水戸市の
わずか一五%。続いて下から、那覇、神戸、徳島の順。西日本
の都市がずらりと並ぶ。全国平均の三千百六十六円を基準にす
ると熊本を除き、富士山を境に東側が平均以上、西側が平均以
下と二分される。
 ただ最近では、従来食卓に登場する機会が少なかった西日本
で、需要が急速に上向き始めた。メーカー各社が発酵方法や熟
成期間の工夫やシソの風味を加えるなどの方法で納豆特有のに
おいを抑えることに成功したためで、大阪では五年間で消費額
が二倍に増えた。ここ数年は東日本のメーカーが相次いで関
西、九州地区に工場を建設する動きも目立つ。各社とも新規需
要の掘り起こしに懸命だ。
 

『旭松食品の1995年3月期、合理化効果で減益幅が縮小。』
1995/04/01 日本経済新聞 朝刊
 
 旭松食品の九五年三月期の経常利益は六億円程度と九四年三
月期比三割弱減ったものの、従来予想の五億円に比べて減益幅
が縮小した模様だ。冬場の需要期にカップみそ汁の売り上げが
好調だったうえ、退職者の不補充による人件費圧縮など合理化
効果が出た。
 前期の売上高は百四十億円強と同八%減ったようだ。九四年
三月期まで好調に伸びてきた納豆が夏場の猛暑で落ち込んだ。
一方、カップみそ汁の「生みそずい」は年明け後売り上げが伸
びた。
 広告宣伝費を一億円程度減らしたほか、人件費負担も軽くな
り、営業利益は同三三%減の五億五千万円と従来予想の四億五
千万円を上回ったと見られる。 九六年三月期は、量販店から
の値引き要請が厳しくなり、売上高は前期見込み比四%増の百
四十五億円弱と伸び悩みそう。しかし、減価償却費が一億円程
度減ることから、経常利益は七億円前後と同一七%増える見通
し。
 

『ベル食品、かつお風味「納豆のたれ」など2種を道内発売』
1995/03/27 日本食糧新聞
 
 ベル食品(株)(札幌市西区、011・613・0001)
は22日から、道内で「納豆のたれ」(かつお風味・しそ風
味)二種類を新発売した。
 「かつお風味」は、豊かな鰹風味とだし感が納豆のうまさを
引き立てる。冷奴などに最適。「しそ風味」はオリジナルなシ
ソ風味で納豆のくさみを軟らげ、さらにおいしく、特に冷奴・
海藻サラダなどにマッチする。
 価格は、いずれも一本(一五〇ミリリットル)希望小売価格
一七〇円、賞味期間六ヵ月。
 

『中国、大豆の対日輸出停止――消えるか「安定供給基地」、需要家の信頼にひび。』
1995/03/25 日本経済新聞 朝刊
 
 中国が昨秋のトウモロコシに続いて大豆の輸出停止に踏み切
った。納豆やみそメーカーなど日本の需要家は急きょ代替品と
して米国やカナダ産大豆を確保したため、当面の製品供給に支
障はないとみられるが、経済成長と背中合わせのインフレ抑制
を狙って、既契約分を自国市場に振り向ける国内事情優先策に
反発は強まる一方。中国は二年前にも一方的に輸出を停止して
市場関係者を混乱に陥れた過去があり、食品の安定供給基地と
いう信頼性にひびが入り始めた。
 「中国が大豆輸出を停止するかもしれない」――。関係者の
間にこんなうわさが広まったのは二月初旬のことだった。
 日本の商社は中国側窓口の糧油食品進出口総公司と昨年十一
月から今年四月積みまでの輸入契約を交わしていただけに、半
信半疑だったが、三月に入ると、うわさは現実に。中国の船積
み停止通告によって、四月積みの約二万一千トンは宙に浮き、
五月以降の新規契約が結べるかどうかも現時点では不透明のま
まだ。
 驚異的な経済成長は同時にインフレを加速する。九四年の中
国の物価上昇率は二〇%を超えたとみられる。「中央政府は民
生重視の観点から輸出向け穀物を国内に回し、インフレを抑え
込むつもりなのだろう」。今回の輸出停止の狙いを関係者はこ
う推測する。
 中国産大豆は大半がみそ、納豆向け。国内の関連メーカーは
買い付け先を米国やカナダに切り替え、これまでに約四万トン
を手当てしたとみられる。「みそや納豆が不足することはな
い」と全国味噌工業協同組合連合会は説明する。
 しかし、輸入先のシフトは需要家にコスト負担増を強いる。
緊急避難的に米国、カナダから大豆を手当てしたという長野県
内のみそメーカーは「一〇%前後コストが上昇した」と苦り切
った表情だ。「輸送距離が長くなった分、海上運賃負担が増し
た」という。
 中国と異なり、米国からの輸送には大きなパナマックス型船
(積載量五万―八万トン)を使うため、陸揚げ先は東京や横浜
など大きな港に限られる。「地方への輸送にはトラックや内航
船を使う必要があり、結局コストアップにつながる」。商社の
担当者は米国産への切り替えは確実にコストの上昇を招くと指
摘する。
 中国産不在を前提にした調達にのめり込むことへの不安もあ
る。中国が一転して契約を履行し始めたら、日本には三カ国の
大豆が入着することになり、価格は急落する。リスクにおびえ
る商社やメーカーの購買担当者は「目先、どう輸入計画を立て
たらいいのか」と頭を抱える。
 今回の輸出停止騒ぎは、十二億の人口を抱える中国の供給力
が万全ではないことを証明した。経済成長を背景に食生活が向
上すれば、輸出余力の低下は避けられない。これまで中国は食
品など一次産品の有力な供給基地と目されてきたが、今後も高
い経済成長が続くことを想定すると、日本は常に「輸出停止」
を視野に入れた原料の調達計画で臨む必要がありそうだ。 
(商品部 諏訪敬明)
 

『タカノフーズが私募債発行。』
1995/03/21 日本経済新聞 地方経済面
 
 納豆メーカーのタカノフーズ(茨城県小川町、高野英一社
長)は今月、私募債を合計三億円発行する。同社初の発行で、
茨城県美野里町に建設する新工場の用地取得、建設費に充当す
る。一回目は二十二日に二億円発行し、常陽銀行が受託。ま
た、月末には一億円の発行を予定しており、三菱銀行が受託す
る。ともに期間は七年。
 

『味噌業界またも中国大豆の供給不安 6月以降の輸入見通し立たず』
1995/03/20 日本食糧新聞
 
 中国産大豆の先行きが、またもや怪しくなってきた。中国の
市場経済化の余波を受けた形で、「6月積み以降の輸入見通し
が立たない」状況。主要ユーザーの味噌業界では、中国当局に
安定供給の要望書を提出。一方、昨年末にはカナダにミッショ
ンを派遣し、新たな供給源の開拓を開始。今月中旬にはオンタ
リオ州大豆協会の一行五名が来日。約一週間の予定で、味噌、
納豆、豆腐など、大豆加工業界の現状を視察するなど、両国業
界団体の動きも活発化。味噌有力メーカーの中には、全量を北
米産大豆に切り替えるなど、食品用大豆をめぐる動きも急変し
そうな雲行きだ。
 味噌業界では、年間約一七万t台の大豆を使用しているが、
このうち約九割が中国産大豆というのが、これまでのパター
ン。過去にも、再三トラブルに見舞われており、最近では九二
年後半から九三年にかけて、供給が一時ストップ。玉集荷の遅
れや流通ルートが確保できないなど、この時も市場経済化など
中国の国内事情による混乱であった。
 また、昨年夏頃から夾雑物の増加や品質の劣化した豆の混入
が目立ち、対中国に輸出規格の見直しなどの改善を要請した。
今回のトラブルも、農村離れによる作付減や大豆需要の増加な
ど、中国の市場経済化に伴うものといわれ、トウモロコシの輸
出契約キャンセルなどもあって、急拠、全国味噌工連の久保輝
男専務が訪中。安定供給を主旨とした要望書を中国当局に提
示。今後の供給見通しでは、3月積みまではクリアしたが「4
月積みは八割方大丈夫だが、5月積みは半々」とその可能性も
厳しそう。このため、商社筋でもカナダ白目大豆やアメリカ産
大豆などを、これまで四万t程度手当てしたといわれ、味噌業
界の月間需要量を二万tとすれば、在庫などを含め当面「玉不
足の心配はない」状況ではある。
 全国味噌工連では、一連の中国大豆のトラブルもあり「保険
の意味」も兼ねてカナダの白目大豆の供給開拓に向け、昨年末
にミッションを派遣。搾油用や飼料がメーンのアメリカと違
い、カナダは「食品用大豆の考え方が強い」こともあって、適
性品種さえみつかれば、将来の供給地として有望となりそう。
日本の動きを受けて、今月11日にはカナダオンタリオ州の大
豆協会から、大豆加工品のミッションが訪れ、味噌や納豆など
の工場見学やメーカーの希望調査など、市場開拓にも乗り出し
ている。
 また、味噌大手メーカーのハナマルキでは、今年から全量を
アメリカ大豆(契約栽培)とカナダ白目大豆にシフト。昨年、
夾雑物騒動により味噌の異物混入など、クレーム処理に追われ
た苦い経験や、7月からのPL法の施行をにらみ、「コストア
ップにはなる」ものの、中国大豆離れを宣言している。
 

『地場産大豆で「しんちゃん納豆」すっかり特産に、JA新地町』
1995/03/12 日本農業新聞
 
 地場産大豆の納豆が人気を呼んでいる。これは、福島県相馬
郡のJA新地町で作っている「しんちゃん納豆」。当初目標を
大幅に上回る注文が舞い込み、うれしい悲鳴を上げている。J
Aのバックアップもあって大豆の生産意欲も高まっており、地
域の保育所での利用、JA福島経済連のふれあい食材のルート
にも乗って、ますます好調だ。
 納豆は、昨年三月に完成した同JAの農産物加工施設で作ら
れている。「きっかけは、転作大豆の規格外品利用から」(農
産加工施設)だった。以前は婦人部などがみそ加工に使ってい
たが、「もっと付加価値を」と、納豆作りに取り組んだ。
 加工施設では納豆とみそをつくっているが、当初目標は納豆
が三十六万パック(一パック五十グラム)だった。それが実績
は五十万パック。原料の大豆は一〇〇%国産大豆、それも地元
産の「コスズ」、さらには添加物を極力抑えていることが人気
の秘密のようだ。
 原料大豆はJA新地町が契約して全量買い入れるので、生産
者も安心。そのうえ、「一番手間のかかる種まき、収穫、選別
をJAが行うので、生産者は中耕や除草など比較的軽作業だけ
担えばよいことになる。重労がないので、高齢者に最適」だ。
 そのため、生産意欲は高まる一方。「中には大幅に作付けを
増やしたいと言う人もいる」ほど。管内には、近年の生糸環境
の悪化で抜根したり放置された遊休桑園がかなりあり、有効活
用も期待できる。
 一パック五十円とやや高めだが、売れ行きは上々。一般の納
豆は輸入大豆を使ったり、内容量も三、四十グラムが主流。と
ころが、「しんちゃん納豆」は五十グラムで国産大豆を使う。
「たれも極力添加物を使わない」のが人気の秘密。当初は相馬
地域だけだったが、地域の保育所や経済連のふれあい食材にも
使われ、一挙に広まった。地元商店からの要望も強いという。
 昨年の歳暮シーズンには詰め合わせギフト(梅干しとみそと
のセット)を開発したが、今でもお土産として買っていく人が
いるなど、特産品として定着している。内容量やパックなどに
対する要望は寄せられているが、「施設の規模として、種類も
量もそれほど増やせない」と、品質重視の生産を続けていく構
えだ。
 

『食品2工場が環境対策を強化、京浜産業の汚泥焼却炉が活躍』
1995/02/13 日本食糧新聞
 
 食品加工会社二社は環境へ配慮した工場を目指すため、昨年
11月、12月相次いで食品製造工場から排出される汚泥を処
理する焼却炉を導入した。これまで両工場とも、食品残滓とし
て処理業者に汚泥処理を委託していた。東光食品水戸工場では
豆腐、納豆など五工場から排出される脱水汚泥を、大手畜肉加
工工場では排水処理後の脱水汚泥を京浜産業(株)エンジニア
リング部(横浜市神奈川区、045・461・2121)が開
発した「流動床式焼却炉」の導入により、効率よく、低コスト
で、しかも無公害で処理できるようになった。二社の取り組み
を紹介する。
 〈ケース1〉東光食品(株)の場合
 東急グループの東光食品(株)は、豆腐、揚物、納豆、コン
ニャク、生麺類をグループ会社を通じて多方面に納品してい
る。同社の主力工場である水戸工場では、これら五工場の排水
処理工程で発生する毎日四tを超える汚泥を処理業者に委託処
理していた。
 京浜産業(株)は東急グループの(株)共同技術センターと
共同で、公称毎時六〇〇キログラムの処理能力を持つ「流動床
式焼却炉」を納入、現在フル稼働状態だ。東光食品仕様の焼却
炉は、汚泥のほか製造過程で発生する廃品や食品残滓、製品の
包材なども焼却処理できるものだ。揚物工場から排出される廃
油は、焼却炉の助燃材としても利用され、ランニングコストの
低減に役立っている。
 〈ケース2〉大手畜肉加工工場の場合
 この食品会社は、畜肉ハムソーセージのほかにレトルト食品
まで製造している。ハム・ソーセージを製造している工場で
は、排水処理後の汚泥を処理するパイロットプラントの位置付
けで可搬式の「流動床式焼却炉」を導入した。五・五m×二・
三mの架台の上に焼却炉一式を架装、トレーラーなどを利用し
て移動することも可能だ。公称能力は毎時一〇〇キログラム。
12月26日の引き渡し後、フル稼働状態だ。同社はこの工場
での運転結果を踏まえて、環境問題の解決の手段として、他の
工場への導入を検討している。
 燃えカス残らず
 京浜産業(株)が開発した「流動床式焼却炉」は、砂を流動
させる風量調整から、炉の温度、汚泥の投入量など煩雑なこと
をすべて自動化。そのため、運転管理者は毎時一t焼却処理ク
ラスの炉でも一人で、一日数回チェックするだけだ。標準型炉
の設置コストは、処理能力毎時五〇〇キログラムタイプが五〇
〇〇万円、同一tクラスが八〇〇〇万円と三年間くらいで設備
コストが回収できる価格設定も魅力的だ。「流動床式焼却炉」
の特徴は(1)含水率の高い(八〇〜九〇%)廃棄物の焼却が
可能(2)全自動運転で省力化された設備(3)完全燃焼処理
するため無臭・無煙(4)狭い場所でも設置可能(5)燃えカ
スがほとんど残らない、などのメリットがあることから、今後
も汚泥処理に悩む食品製造工場での導入に拍車がかかりそう
だ。
 

『減塩、納豆みそに激励の言葉添えて、JA雲仙吾妻地区婦人部』
1995/02/03 日本農業新聞
 
 【長崎・雲仙】南高来郡吾妻町の農事組合法人JA雲仙吾妻
地区婦人部農産加工組合はこのほど、救援物資を入れた段ボー
ル箱十個を吾妻郵便局に委託し、神戸市災害対策本部に送っ
た。
 救援物資は、減塩みそ百キロと納豆みそ百キロの計二百キロ
で、一箱ずつに「災害お見舞い申し上げます。わたくしたちの
手作りのみそです。温かいみそ汁を召し上がってください。ど
うぞ元気を出してください」と激励のメッセージが添えられて
いる。
 明島静子組合長は「新聞やテレビなどの報道で、温かいもの
が食べたいとの被災者の声を知りました。輸送ルートが見つか
らず困っていたところ、郵便局で災害救援物資を取り扱ってい
ると聞き、早速送ることにしました。不自由な避難生活で大変
でしょうが、頑張ってもらいたい」と話していた。
 

『「新春対談」いいなぁ田んぼの風、日本の田舎が好き』
1995/01/01 日本農業新聞
 
ご飯が好き、納豆も好き、そして日本の農村、田んぼが大好き
デス……。そんな日本ファンの2人に、農村や田んぼについて
語ってもらった。英国生まれの写真家ジョニー・ハイマスさん
は「小さな田んぼに日本の“原風景”がある。農業を続けるた
めに整備するのも仕方ないが、米作りの意義や農業について、
もっとみんなで考えていきたい」と訴える。カナダ・マニトバ
州政府駐日代表のアン・マクドナルドさんは「新しい農業を目
指すことが必要だが、“田の文化”も守ってほしい。農業・農
村の活性化のためには、積極的に都市との交流を図りたい」と
話す。日本の田んぼ、農村の魅力を語る言葉から、日本の農家
へのエールも聞こえてくる。
 アン ジョニーさんが田んぼが好きになった、きっかけはど
んなことだったのかしら。今、田んぼをどう見ていますか。
 ジョニー 二十年前に日本に来た時、田んぼだけでなく、日
本の“原風景”全部が面白いと感じた。海、伝統的な史跡……
など。でも長く写真を撮っているうちに、どんどん田んぼが頭
に入ってきた。都市に近い水田、飛行機の窓から見る水田、小
さな水田など、さまざまな田んぼがあった。
 七年、写真集のコンセプトを考えているうちに、「田んぼの
移り変わりに、特別に自分が打ち込めるものがあるのではない
か」と思った。田んぼの風景だけでなく、縄文・弥生時代から
田んぼをつくってきた歴史などを振り返ると、生活にも話が広
がってきた。
 春夏秋冬、一月から十二月まで、田んぼには移り変わりがあ
る。人間も一緒に動いている。「冬になれば田んぼは凍結す
る。そして農家の方も“半冬眠”に入るんだなあ」、そんなこ
とを考えるようになった。
 特に面白いと思ったのは用水路。北から南まで水の使い方が
違い、それぞれの風景が異なる。また、はさがけの仕方、周辺
に住む生き物、さらに南九州の田の神などにも興味を持った。
七年間、田んぼについていろいろ勉強してきたが、まだまだ勉
強し足りない。
 いま一番撮りたいと思っているのは、田んぼの中にいるシラ
サギ(白鷺)。昔は田の神様だったという。印象的な写真が撮
れていないので、ぜひ撮りたい。
 アンさんが日本に来た時の印象はどうだった――。
 アン 十六歳の時、交換留学生として初めて日本に来た。日
本はどこにあるのかぐらいで、風景のイメージなどまったくな
い白紙の状態だった。住んだのは、大阪で田舎のような河内長
野市。丘の上の高校に通うために、春の段々畑を歩いた。その
時に田んぼを見て、「オー、マイゴッド! 別世界に入ったん
だなあ」と実感した。
 私の農業や農村、畑のイメージは、住んでいたカナダ・マニ
トバのように、畑が海のように続くものだった。その田んぼの
印象が忘れられない。家にもすぐ手紙を書いた。大学生の時に
は、熊本に滞在した。米とイ草の二毛作があり、収穫も経験さ
せてもらった。
 写真家ではないが、農村の風景を一目見た時に「きれい!」
と思った。また長野では、風景だけでなく、人間がどのように
田んぼと接しているか……ということに興味を引かれた。
 アン ジョニーさんは長い間、農村を回って写真を撮り続け
ていますが、田んぼも変わってきましたか。
 ジョニー 日本にきた時からの二十年、日本の田んぼの移り
変わりはスピーディーだ。初めは曲線の美しい、急傾斜の小さ
な田んぼが多かった。だれの言葉か分からないが、「みのを田
の上に置くと、小さな田は見えない」という田んぼがあった。
それがとてもきれいだった。
 そういう田んぼがなくなった。田植え、稲刈り、夏休み、お
祭り、初雪の時などの“原風景”もなくなった。農業機械のた
め、またお年寄りでもやりやすいように、大きく真四角なもの
ばかりだ。それは仕方ない。でも毎年会っていた九州のおじい
さんが「今年はこわい、もうやりたくない」と話していた。昨
年の秋に行ったら、そのおじいさんの田んぼでは、もう米が作
られていなかった。
 農村の田んぼの変化は、特に五、六年前からが激しい。バブ
ル経済の観光ブーム、高速道路の建設などで田んぼが壊され、
あぜ道がなくなり、周辺の生き物がいなくなってしまった。周
りの風景も変わった。日本のアイデンティティーも失われてき
たのではないか……と感じ、寂しい。
 アン 私は二十年前のことは分からないが、写真家の薗部澄
氏が撮った田んぼの写真が好きで、よく見る。それと比べる
と、最近のイメージはかなり違う。
 間違っているかも知れないけれど、この一、二年で新しい
“田の文化”が生まれつつあるのではないか……と思ってい
る。三年前に田植えをした時は、若い人は四十代で、後はお年
寄りばかり。若い人は日曜日だから仕方ないと、商売の片手間
に嫌々ながらしていたようだった。
 でも、一昨年の不作を経て、昨年の田植えは楽しくすっきり
とした気持ちでできた。長野や京都では十年間作らなかった田
んぼで米を作り、息子も一緒に植えたんだとも言っていた。
 しかし、ジョニーさんが言う“小さくて美しい田”もいいけ
れど、これからの日本の農業を考えると、小さな田んぼでは田
植えもやっていけない。前のような生活にも戻っていけないだ
ろう。現在の状況の中で、どうやって“田の文化”をなくさず
に、新しい文化をつくっていくか……が、これからの問題だと
思う。
 ジョニー 確かに後継者などの問題がある。
 アン 田んぼは、いろんな形に変化していくでしょう。ある
人は美しい田んぼを守っていくのかもしれない。一方で、ある
人は大規模化していくだろう。そういう動きもないと、日本の
農業は発展していかないのではないか。小規模と大規模のバラ
ンスを取りながら進んでいくのではないかと思う。そう祈って
いる。
 ジョニー 暮らしていくためには、形が変わっていくのも仕
方がない。でも「絶滅動物」の例で考えてみると、だんだん少
なくなって大事になるものもある。昔からの水田、古い昔の
“原風景”も絶滅動物のようになってきたのだろうか。
 能登半島では千枚田が残されているが、農家のためでもない
ようだ。新潟平野のはさ木は、新潟平野のアイデンティティー
だと思ったが、ヘリコプターで農作業をするためになくなって
きた。最後まで残っている新潟県分水町の風景も、観光客のた
めのようだ。農家のためでなく、観光で残っても、なんだか悲
しい。
 アン 日本人が“田の文化”から離れてきたことは否定でき
ないと思う。でも無意識ではあっても、現代っ子も“田の文
化”からは離れていない。この間、浅草の祭りに行ったら、竹
の熊手に稲の飾りが付いていた。昔は納豆はわらで包み、わら
ぞうりを作って履いていた。それほど密着していなくても、今
も日本人の味覚や文化に潜在的に残っているのではないか。
 ジョニー 自分の生活の話では、私は夜だけだが健康のため
に玄米を食べている。肉は余り食べず野菜とか魚が好きだか
ら、米がいい。一緒に住んでいる家族七人と和食ばかり。米の
食生活で元気が出ます。それと納豆が大好きだ。
 アン 私も日本食は何でも食べる。必ず一日一回はお米を食
べる。魚と漬物、それにご飯とみそ汁があれば、もう天国だ。
でも、朝だけはパンと果物のフレンチスタイルが多い。
 都会の人について思うのは、舌が鈍くなっているのではない
か……ということ。そのために米を食べなくなっているのでは
ないかしら。マクドナルドやコンビニエンスストアがカナダよ
り多く、便利な食べ物があふれて、舌が貧しくなっているので
はないか。
 米の素朴な味の中にバラエティーがある。米は非常に繊細な
もので日本の文化を表している。西洋人は米も、米の文化は皆
同じと思うが、同じではない。米の作り方が違うから、こうい
う味がするんだということをもっと知ってほしい。
 米をもっと理解すれば食事も面白くなる。田んぼのことも考
えるようになるのではないか。間接的な方法で遠回りな教育に
もなるが、農業や田んぼを守っていくことにつなげたい。
 ジョニー 日本の米はたんぱく質やミネラルなど、外国産米
より栄養分に優れているという。この前の米不足で外国から輸
入されても、やはり日本の米を食べたかった。日本の米には深
い意味がありそうだ。
 アン 日本人が“田の文化”から離れてきたことは否定でき
ないと思う。でも無意識ではあっても、現代っ子も“田の文
化”からは離れていない。この間、浅草の祭りに行ったら、竹
の熊手に稲の飾りが付いていた。昔は納豆はわらで包み、わら
ぞうりを作って履いていた。それほど密着していなくても、今
も日本人の味覚や文化に潜在的に残っているのではないか。
 ジョニー 自分の生活の話では、私は夜だけだが健康のため
に玄米を食べている。肉は余り食べず野菜とか魚が好きだか
ら、米がいい。一緒に住んでいる家族七人と和食ばかり。米の
食生活で元気が出ます。それと納豆が大好きだ。
 アン 私も日本食は何でも食べる。必ず一日一回はお米を食
べる。魚と漬物、それにご飯とみそ汁があれば、もう天国だ。
でも、朝だけはパンと果物のフレンチスタイルが多い。
 都会の人について思うのは、舌が鈍くなっているのではない
か……ということ。そのために米を食べなくなっているのでは
ないかしら。マクドナルドやコンビニエンスストアがカナダよ
り多く、便利な食べ物があふれて、舌が貧しくなっているので
はないか。
 米の素朴な味の中にバラエティーがある。米は非常に繊細な
もので日本の文化を表している。西洋人は米も、米の文化は皆
同じと思うが、同じではない。米の作り方が違うから、こうい
う味がするんだということをもっと知ってほしい。
 米をもっと理解すれば食事も面白くなる。田んぼのことも考
えるようになるのではないか。間接的な方法で遠回りな教育に
もなるが、農業や田んぼを守っていくことにつなげたい。
 ジョニー 日本の米はたんぱく質やミネラルなど、外国産米
より栄養分に優れているという。この前の米不足で外国から輸
入されても、やはり日本の米を食べたかった。日本の米には深
い意味がありそうだ。
 アン 農村で育った人は都会に出ていき、過疎化してきた農
村には農業の後継者が以内。それは寂しい。でも、やりたくな
い人に無理をさせるのもよくない。一方で「農業をやりたい」
という人も出てきている。その、やりたい人を受け入れる体制
づくりが必要になる。新しい農業のためには、そうしていかな
いとならないのでは。
 そのためには、都市と農村の交流をもっと積極的に行い、そ
ういう人を歓迎していくことだ。お互い刺激し合い、交流を深
めることが大事。今のままだと詰まってしまう。
 ジョニー 次の世代の後継者がいないという問題が、米輸入
の問題よりもおおきいのではないか。二十一世紀にはだれが耕
すのだらうか……と心配。アンさんが言うように、都市と農村
の流を図っていくことは良いことだと思う。
 田植や稲刈りなど忙しい時は、都会の人も一緒に手伝うよう
にできないだろうか。中学生は修学旅行で田植えの旅などもし
ている。日本にも北海道から沖縄までいろんな農業がある。英
国でも教育課程で、ジャガイモやホップを育てる交流がある。
農作業を手伝って小遣いを稼ぐ子供もいる。コンピュータゲイ
ムばかりでなく、農業を知るこちは子供たちにも良いだろう
か。日本は経済だけの国ではないのだろうか。
 アン でも農業はとても大変で、プロでないとできない。こ
れからの農業は、一方では無条件に農業だけで食べていけるよ
うなプロを育てること。もう一方では子供たちにひとつの人生
教育のようなもので体験してもらい、農業をする人たちを支え
ていくような形にすればよいだろう。
 そんな二つの方法を日本で広げながらやっていけば、“田の文
化”を守りながら新しく広げていくことになるのではないか。
風景もある程度、変わらざるをえないだろうが、一方では古き
良きものを持ちながらやっていけたらと思う。
 ジョニー 昆虫や魚がいる田んぼがおとぎ話のようになっ
て、子供には特別な世界になっているみたいだ。そして、昔の
素晴らしい話も忘れさられようとしている。
 

新聞記事一覧へ戻る。